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西村分科員 大臣の体験された事態と現在の
日本というものは全然違いますよ。巨大なデフレギャップがあります。世界最優秀の商品を生み出せる設備が眠っているんですよ。これを活性化するのがデフレからの脱却でしょう。
それから、いろいろな通貨を発行するとは私は申し上げておりません。
政府が持っているセニョレッジの特権を行使して、例えば
政府発行の五十兆円貨幣を一枚つくって日銀に貸して、日銀はそれを担保にして日銀券を発行したらいいんです。いろいろなやり方があります。
さて、小野盛司さんという方がやった
一つのシミュレーションがあるんです。五年間、毎年五十兆円の
減税をする。五十兆円
減税を五年間続ける。
財源は国債発行による。これを日経新聞社のコンピューターのシミュレーションでやれば、インフレ率〇・六%になる。それから、驚くべきことに、一挙に不況から脱却する。つまり、GDPは二八%増加し、民間設備
投資は二・五倍、法人
企業利益は三倍に激増する。失業率は二・一%まで下がる、インフレ率は二・六%になる、日経
平均は三万二千円に戻る。
これをサミュエルソンに送って評価を求めれば、サミュエルソンは、インフレ率は気にしなくてよい、
需要を回復しデフレから脱却できればよいのだ、こういう手紙が来た。ペンシルベニア大学の、これもノーベル
経済学賞のクライン教授も、二%ぐらいのインフレ率が適当なのではないか、
経済状況が改善されるのは本当によいことだ、こういうふうな返事が返ってきたというんですね。
なぜ、こういう
政府を圧迫している
財政、借金の重みから解放されたのかといえば、今、GDPと長期債務残高の対比の中で
政府は苦しんでおる。苦しんでおるけれども、
政府がやっておるのは、債務残高、分子を減らそうとしている。分子を減らす、借金を減らそうとしているんです、今。借金を減らそうとしておりますから分母が減っていっている、GDPが減っていっているんです。だから、いつまでたっても比率は同じなんです。GDPを一挙に、これは分母をふやすことを考えれば、分子の増加など消してしまう。こういうシミュレーションがあるということも、どうか御承知おきいただきたいなと思います。
今、余りにも分子ばかりにかかわっている。しかし、会社経営をしている人は、もう自明のことですよ。十億円の借金をした人間で青くなってはあはあしているのは資産一億円しかない人、これは
当たり前。一千億円持っている人が十億円借金しようが五百億円借金しようが、へっちゃらなんだ。これは
当たり前のことじゃないですか。
我が国には巨大なデフレギャップがあり、これが適正なレートで動き始めれば、本当にあと七百兆、八百兆のGDPを生み出す設備があるわけです。これを動かせと僕は言うておるわけですよ。つまり、分母を広げましょうと。分母を広げる前に、少々の借金はしますよ、分子に上乗せしますよ、でもそんなことはへっちゃらだと。それぐらいの
経済の力が我が国にはあると私は申し上げておるわけです。
このセニョレッジの件については、我が国だからこそできるんだ。今、
大臣の体験の、シナ大陸のあの
状況の中ではできない。これは麻薬ですから、一たん政治がこんなのを覚えたら、
先ほどの御体験みたいになるわけですよ、
日本もやった軍票。しかし、
日本はならないんです、デフレなんですから。デフレでならない、インフレにはならない。まあ御感想でも。
御感想の前に、あと二分ですから、御感想はもう胸にしまっておいてください。正田邸の問題に参ります。
大臣、正田邸は、
大臣の行政組織が決められたことです。したがって、行政組織に今、決められたことを云々聞かれても、また同じ答えが返ってくる。しかし、我々は政治家同士なんです。僕は、いましばらく正田邸解体は猶予していただけないでしょうかと。猶予することによって国家に何かの損失があるんですか。その間にいろいろな利用方法が
国民の中からアイデアとして出てくるではありませんか。
愛知和男先生が会長をされている社団法人
日本ナショナル・トラスト協会は、品川区長に手紙を送って、旧正田邸をナショナルトラスト方式によって保存、活用を図りたいと思う
国民運動は全国に広がりつつある、八万八千名の署名が集まっておるというふうに、品川区長の高橋さんに手紙を書いております。私も、我々の国会で、この国有財産を皇室用国有財産に転換する決議をして利用することも可能なんです。
皇居の中には生物学研究所も蚕の研究所もいろいろあり、天皇陛下が個人的な研究をされておありなんです。皇后陛下は子供の童話の問題に取り組まれております。この建物を、例えば童話の世界的な事務局として活用することもできます。いろいろな活用方法があります。
大臣の組織が判断された、旧正田邸が価値が著しく損なわれているというこの認識は、お聞きになったらおわかりのように、昭和八年の建設当時よりも大きく改造、改修がされておるので、これを確認できたので、建造物としての文化財の価値は著しく損なわれていると判断したというものでございます。しかし、これは建造物としての文化財の価値が、増改築が行われているので著しく損なわれているという判断にしかすぎず、旧正田邸が持つ社会的、歴史的、文化的な価値に関する判断ではございません。
今しばらく解体に御猶予をいただけないでしょうか、
大臣。解体に御猶予をいただきたいと八万八千名の署名があります。皇后陛下の御生家であります。社会的、文化的、歴史的価値については
財務省は判断されておりません。
大臣、どうかよろしくお願いします。
お答えをいただけますように。