○菅(直)
委員 小泉総理初め、おはようございます。
今、
国民の
皆さんが何を心配されているか。子供たちを巻き込んだ犯罪、治安の悪化、このことがまず一番ではないかと思います。また同時に、長い
景気低迷の中での倒産、リストラ、さらには自殺、こういったことも大きな心配です。加えて、イラクの
情勢が大変悪くなっている。そのイラク、戦地イラクに自衛隊を本当に送るのか、このことも、多くの
皆さんが大変心配をされていることだと思います。きょうは、こういった問題を中心にして、
総理としっかりと
議論をさせていただきたい、このように思っております。
私は、今の
日本、大変残念ながら弱くなってしまった。今申し上げた治安の面でも、かつては、水と安全はただだとある作家が述べられましたが、今やいずれも大変な大きな課題に直面しております。もっと強い
日本をつくるべきだ、つくれるはずだ、私はそう思っております。
そういう強い
日本、しっかりした
日本をつくるにはどうするか。民主党としては、そのことを中心に据えて、次の衆議院
選挙の前にマニフェスト、つまり、私たちが政権を
担当することを
国民の
皆さんの手で選んでいただいた場合には、政権としてこういうことをやります、このことを明確に示して、そして
選挙を戦いたい、このように考えております。
そこで、マニフェストについて少し、
国民の
皆さんにもだんだん理解が浸透してきたと思いますが、私たちの考え方を申し上げてみたいと思います。
マニフェストと従来のいわゆる
選挙公約がどう違うのか。
従来の
選挙公約は、一般的に言えば、
選挙の前に、どちらかといえば抽象的なスローガン、元気のいい
日本をつくりましょうとか、
景気回復をしましょうとかという抽象的なスローガンを、だれの責任とは言いませんけれども、党が決めて、そして
選挙をやる。ですから、
選挙をやったときには、
国民はその抽象的なスローガンに対して支持をするかどうか、事実上、いわばその政党に対する白紙委任を求められて、そこで例えば自民党が勝ったとして、新政権がさらにつくられたとしても、その
中身を具体化するためにはもう一度合意形成ということが必要で、そのために今日、幾ら
小泉さんが公約をしたことであっても実は実行がされない、先送りがされるという、これが従来型の
選挙公約であります。
それに対して、マニフェストという考え方、政権公約という考え方は、逆に、
選挙の前に、その政党と
総理候補、首相候補でありますその党のリーダーが合意をして、一致をして、私たちが政権を担う場合にはこうしますということをあらかじめ方法、期限、
財源などを明記して、それを
国民に示す。ですから、
国民はその
中身を、政権を選択する判断として投票する。まさにそれによって政権がとれれば、公約ですから当然実行しますが、とれなければ残念ながら実行することはできません。そこで、新政権が発足しますと、既に合意しているわけですから、改めての合意形成手続は必要ありません。族議員や族官僚のいろいろな横車を入れることなく実行に移す、直ちに実行に移す、このことがこれまでの
選挙公約と基本的に違うところであります。
ここに二冊のマニフェストがあるのは、先日もお見せしたとおりであります。これは、一九九七年のイギリス労働党、当時の
野党のマニフェストであります。これは、二〇〇一年、政権を持った中でのブレア労働党政権のマニフェストであります。
きょう夕方にはブレア
総理が
日本に来られますが、私も十八年ぶりに政権交代を一九九七年にされたブレア首相から、できればそのときの経験を聞きたいし、
総理も、政権を持った後のこの二〇〇一年のマニフェストについてぜひブレア首相と
意見交換でもしていただいて、与党の立場のマニフェスト、
野党の立場のマニフェスト、どう違うのか、このこともぜひ
認識をしていただきたい。与党のマニフェストは、
自分たちが政権をとったらこうします、あるいは
自分が
総理になったらこうします、あるいは
総理になった後にこうするという約束をしたことについてみずからきちんとした検証をしています。
自分が約束をしたことを検証した上で次のマニフェストを出しているんです。この中には、大したことないなんてことは書いてありません。しっかりと、
自分が約束したことがどこまで行ったかを検証してあります。
そういった
意味で、
総理にも、ぜひ次の衆議院
選挙に当たっては与党と一致した、それが抵抗勢力であろうがなかろうが、自民党の議員集団、与党と一致した、そうしたまさに政権政策、マニフェストを出して、我が党を中心にした
野党と正々堂々の戦いをしていただきたい。
最近の
総理の発言は、いや、総裁選の公約がそのまま総
選挙の公約になるんだ、一説には踏み絵を自民党に踏ませるんだと言ったという話もありますが、最近は、腹話術ではないかもしれませんが、山崎幹事長が、いやいや、そんなことは
総理は言っていない、党は党として決めるんだからと言って、大分腰が引けているようになっております。
はっきりとこの場で
総理にお聞きしたい。私たちが考えるような、私たちは
野党ですから、政権が獲得できたときにはこうしますというそのマニフェスト、
総理のお立場からいえば、
選挙で勝ってさらに
小泉政権が続くときにはこうしますということを与党と一致した形で出して
選挙を戦うことを、
国民の前でお約束していただけるでしょうか。