○
石井(啓)
委員 ことしから
総理はラジオ番組を始められたと、私は失礼して最初の番組は聞いておりませんでしたけれども、そういった機会もぜひ活用していただきながら、
国民の皆様にぜひアピールをしていただきたい、わかりやすく御説明をいただきたい、こういうふうに思っております。
続いて、今竹中
大臣から指摘がございました
金融政策面でのデフレ克服策でありますけれども、今、日銀は銀行に対して大量の貨幣を供給しております。ゼロ金利
政策、量的緩和ということで、いわゆるベースマネー、現金と日銀当座預金を合わせたベースマネーというのは非常に高い伸びでございまして、最近では、前年度対比二〇%程度の伸びということで、日銀は銀行に対してたくさんの貨幣を供給しているわけでありますけれども、銀行からその先に出ていかない。銀行からの
企業への貸し出しやあるいは投資というのが広まらないということで、これはマネタリーベースという指標で評価しますけれども、このマネタリーベースの伸びは、対前年比二、三%程度にとどまっている。
日銀から銀行の間は、ある意味でお金がじゃぶじゃぶの状況だけれども、その先がなかなか出ていかない。やはり世の中にお金が回らないものですから、なかなか景気もよくなっていかない。今、こういう
金融の状況かと存じます。
そこで、銀行がなかなか貸し出しをしない原因の一つとして、不良債権がある。不良債権を大量に抱えているため、銀行は、今、自己資本に余裕がない。したがって、自己資本を必要とするような貸し出しができない。こういうことから、昨年は
不良債権処理を加速化してこの問題を早期に解決しよう、それで
金融仲介機能を回復しよう、こういうことであったというふうに私は
理解をしております。
したがって、この
不良債権処理を速やかにやるということはぜひ必要でありますけれども、ただそれだけで、では
不良債権処理をすれば景気
活性化をするような資金需要が生まれてくるのかということは、また別の問題でございまして、やはりデフレを克服して資金需要を生むような対策もやらなければいけないということから、
不良債権処理とデフレ克服というのを
金融面からもやらなければならないということで、今、いわゆるインフレ
目標というのが
議論をされ始めたわけであります。
これは、例えば消費者物価の年間の上昇率を一%から三%程度に上げるということを、具体的な物価上昇の
目標を設定しまして、
一定期間の間に中央銀行がこれを達成するように
金融政策を行う、こういうものでございますけれども、インフレといいますと、かつての狂乱物価だとかあるいはバブルを想起するといいますか、誤解をされる向きもありますので、ただ、目指していますのは、デフレでもないインフレでもない、緩やかな物価上昇ということでありますから、私は、インフレ
目標と言うんではなくて、むしろ物価安定
目標というふうに、こういうふうに言いかえた方がいいと思っておりますけれども、この物価安定
目標については、これまで我が国ではとられたことのない
政策でございます。したがって、これに対していろいろな疑問あるいは懸念というのが提起をされております。
代表的なことでいいますと、この物価安定
目標を設定することで、物価が下落するんだという予想が変わって物価上昇期待に転換するのかどうか、
目標を設定するだけでその物価上昇期待が広まるのかどうか、こういう疑問も提起されております。また、物価が上昇し始めて急激な物価上昇に万が一なったりすると、それを抑制できるのかという心配も言われております。
また、この
目標を達成する手段として、日銀の
金融緩和手段でありますけれども、現在では、
国債を買い入れすることによって日銀は資金を提供しているわけでありますが、それに加えて、極端な例では、日銀が株とか土地を買ったらどうか、こういう主張もございます。そこまでやって日銀がリスクのある資産をたくさん抱えるようなことになると、これは、日銀の
財務の健全性に傷がついて、ひいては、過剰な円安ですとかあるいは急激な金利の上昇、
国債の暴落という副作用を招くんではないか、こんな心配も言われております。
確かにいろいろな疑問や懸念もございますけれども、私は、先ほど申し上げましたように、これ以上デフレを放置して万が一デフレスパイラルに陥るような事態があったら、これはもう大変なことでありますから、これはもう絶対避けなければいけない。そういったことを
考えますと、デフレ克服に効果のあると
考えられるものはやはり挑戦してみてはどうか、この際、この物価安定
目標の導入に向け真剣に検討してはどうか、こういうふうに思っております。
そこで、前向きにこれを評価した上で二つのことを申し上げたいと思っているんですが、一つは、この物価安定
目標政策、とかく政府はデフレ克服の努力を放棄して日銀にやらせるためにこれを導入しようとしているんじゃないかという批判がございます。政府は決してそういうことを
考えていらっしゃらないと思うんですね。ですから、私は、政府と日銀がこの物価安定
目標を共有して
お互いに努力しているんだ、政府もこれまで以上にデフレ克服策に努力するんだ、こういう姿勢をやはりきちんと示すことが重要であるというふうに思っております。
二つ目には、先ほども若干申し上げましたけれども、具体的な
金融緩和手法については、これは日銀の裁量にゆだねるべきであろう。この二点について申し上げたいと思います。
この物価安定
目標の導入について
総理のお
考えを伺いたいと思いますし、また、私の二つの注文につきまして竹中
大臣にお答えをいただきたいと思います。