○
今川正美君
社会民主党の
今川正美です。
私は、
社会民主党・
市民連合を代表いたしまして、
有事関連三
法案及び
修正案に対して、
反対討論を行います。(
拍手)
皆さん、きょうのこの日は、
沖縄が
本土に復帰してからちょうど三十一周年であります。
沖縄では、全国から多くの
人々が集まって、
米軍基地の
整理縮小や
有事法制廃案を求めて、雨の降る中に
平和行進を行っております。今から半世紀前、唯一の
地上戦を強いられ、二十三万八千人もの
沖縄の
人々がとうとい命を奪われた、実に凄惨な
戦争でありました。
国家防衛を
理由にして、老若男女を問わず、あらゆる
沖縄県民が強制的に
戦争に動員され、
集団自決まで強いられたのでした。
古今東西、軍隊の
任務は
国家体制を守るものであって
国民を守るわけではない、冷徹な事実を身をもって示したのでありました。
戦後も、
本土の平和と安全という
理由で、二十七年もの間、
米軍統治下に置かれ、銃剣とブルドーザーで不法に土地を奪われました。
本土復帰から三十一年の今もなお、
沖縄県民は、
米軍基地の重圧にあえぎ、
米兵犯罪や
米軍訓練の
脅威に毎日さらされているのであります。
こうした
沖縄県民の戦中戦後の苦労を知る者であれば、
戦争に備える
有事法制など、推進できるはずもありません。
与党が
沖縄での
地方公聴会を徹底して嫌がったのも当然であります。
政府や
与党は、一年前、
平時において冷静かつ慎重に
審議をしたいと言ったにもかかわらず、現在、
イラク戦争や北朝鮮の
脅威を口実にして、
野党提出の
基本法案をろくに
審議もせず、
公聴会すら開かずに強行
採決したのは、全くの
信義違反であり、
国民無視の暴挙と言わなければなりません。(
拍手)
しかも、
委員会の場外で
民主党との
政党間協議を行ったあげく、
委員会では合意された
修正案の是非も問わないという乱暴きわまるやり方は、
議会制民主主義のルールを破り、
国会の権威を傷つけるもので、私は心から怒りを込めて抗議したいと思います。(
拍手)
さて、
政府提出の
有事関連三
法案については、
与党自体が、
満足度六割程度と言い、
民主党も、当初は、
欠陥だらけの
法案と批判し、自由党も、
破れ傘法案とまでこきおろすほどのひどい
法案でありました。
この時代、
政府も認めるように、
日本に
武力攻撃を加える国など想定できないのに、備えあれば
憂いなしという無理な設定をするから、いろいろな矛盾が噴出するのであります。
例えば、
事態の
定義、
国会の
関与、
国民への
情報提供、
地方公共団体の
責務、
指定公共機関の範囲、
基本的人権の
制限、
事態対処法制の
整備などをめぐって、
政府の
答弁は全く支離滅裂でありました。今回の
与党と
民主党との
修正でも、
法案成立ありきの政治判断が優先しただけであって、肝心な
事項は、ごらんのように先送りであります。
何よりも、今回の
法案で、最優先すべきはずの
国民保護法制が先送りされたということは、
自衛隊優先の
法案であることを象徴しています。しかも、いざというとき、日米で戦うはずなのに、
米軍行動の法
整備を先送りしましたが、
米軍は一切の国内法適用を拒否するはずであります。
皆さん、ずばり、
戦争するための立法だったら、一九六三年当時の三矢研究の方がよほど正直であります。
政府や
国会を無視した制服組による研究であったために大きな政治問題となりましたが、そこには、
国家総動員体制に必要なすべてを網羅しています。つまり、
国家有事に際して、国の権力を集中し、情報を統制し、自治体はもとよりあらゆる人的資源を動員して
国民の権利を抑圧する、つまり、
戦争がおさまるまで
憲法停止状態となるのが当然との
考え方であります。
今回の
有事関連三
法案も、本当はこれを参考にしたはずなんだけれども、それでは
国民をひどく刺激し反発を招くので、耳ざわりよく言葉をまぶしたにすぎません。
ちなみに、三矢研究が、第二次朝鮮
戦争を想定して、その影響が
日本に及ぶという前提で日米共同作戦のあり方を研究していたことは、実に示唆的であります。
攻撃
事態、予測
事態のいずれを問わず、
事態の認定を最初にするのは、あらゆる情報を握る米太平洋軍であると思います。
我が国が閣議で決定するはずの
事態の認定は、その
米軍情報に従う以外ありません。
さらに、日米合同軍の指揮権を握るのは、間違いなく米太平洋軍であります。これは、旧安保
条約に係る行政協定締結時からの日米の約束事でもあります。密約であります。
こうした軍部による作戦計画を私たち政治家や官僚がいかなる方法でコントロールできるのでしょうか。一たん下された命令は、戦時において調整あるいは変更するのは無理であって、
国会は単なる追認機関となりかねない危うさを持っております。つまり、小泉総理がいかに力もうとも、
日本の主体的判断や
行動は不可能なのであります。
小泉総理は、米国のアフガン
戦争を
支援するため、
自衛隊をインド洋に派兵し、国際法を無視した
イラク戦争も、日米同盟が重要であるといって支持しましたが、全く大きな誤りでした。
日米安保体制は、再
定義以来、新たな段階を迎えております。新しい日米ガイドラインから
周辺事態法、そして今回の
有事法制という一連の流れは、
周辺事態を戦うための日米共同作戦に実効性を持たせる作業にほかなりません。
そして、今、米国は、米太平洋軍のもとで、北朝鮮に対する
戦争計画五〇二七を改定作業中とされており、極めて重大であります。
一方、こうした法
整備に先行する形で、
自衛隊は、陸海空の統合運用、
海外展開のための装備のハイテク化と大型化などが進み、
米軍との運用の一体化と、専守防衛をはるかに超える、戦える軍隊へと変質しつつあるのであります。
皆さん、半世紀前、アジア諸国をじゅうりんした我が
日本がこれほど平和で豊かさを享受できるのは、
戦争放棄をうたう
憲法とアジア諸国への経済援助のおかげではありませんか。こうしたアジア諸国との間に、過去の歴史認識を共有しながら外交や経済を通して信頼
関係を高め、対話と協調による総合的な安全
保障機構を築くことこそ、最大の備えではありませんか。今こそ、
我が国の平和
憲法を生かして平和をつくる努力をすることこそが有益かつ重要だと私は確信いたします。
私たち
社会民主党は、歴史に禍根を残さず、子供たちに平和な未来を渡すために、
憲法を破壊する世紀の大悪法、
有事法制を
廃案にすることを強く求め、私の
反対討論を終わります。(
拍手)