○津川祥吾君
民主党の津川祥吾でございます。
ただいま
議題となりました二
法案につきまして、
民主党・
無所属クラブを代表して、質問いたします。(
拍手)
まず、質問に先立ちまして、
イラク情勢に関して、議員各位に一言申し上げます。
議員各位におかれましては、
アメリカによる
イラク攻撃が今どの程度切迫しているかは、無論、十分御承知のことと思います。客観的に判断して、もはや、
アメリカをとめることはだれにもできないようにも思われます。まさに、開戦前夜の様相であります。
アメリカ国内においてさえ、「戦争には反対だが、もうどうすることもできない」、こういった声も聞かれるありさまであります。
私は、野党第一党の
民主党の一議員として、
政府の
外交姿勢を批判する立場にあります。
国民に対する
説明欠如の問題を初めとして、小泉
外交は問題だらけであります。
しかし、今、小泉
外交を批判することに果たして意味があるだろうかと思えてなりません。
政府の方針や姿勢を一切
説明しようとしない
大臣に対しては、質問すること自体がむなしいということもありますが、それよりも、そもそも期待すらしていない
政府を批判しているだけで、我々が議員として十分に役割を果たしているであろうかということであります。
戦争を起こすにはそれ相応の十分な正当性がなければならないと主張される方がいらっしゃいます。また、そもそも戦争を正当化できるような合理的な理由などあり得ないと主張される方もいらっしゃいます。しかし、いずれの立場であったとしても、戦争をやめさせることに理由を求める方はいないはずであります。
不可避に思われる戦争を回避させることができたとするならば、議員として、これ以上の仕事はあるでしょうか。与党議員として
政府を支えるとか、野党議員として
政府の非を追及するとか、当選回数を重ねるとか、まして、地元に一本の橋をかけたかどうかなどということよりも、はるかに大きな仕事であります。(
拍手)
私は、あえて、
政府ではなく、議員各位に申し上げます。
もうだれにもとめられないように見える戦争ではありますが、私たち政治家には、もうできることがないのかどうか。ボールは
イラク側にある、
政府は
国民に対して
説明責任を果たすべきである、
国連の新たな
決議なしの武力攻撃には反対である、これらはいずれも正しい見解だとは思いますが、それらの見解を述べるにとどまらず、一政治家としてできることはな
いかどうか、特に与党議員の皆様方にいま一度お
考えいただきたいと思います。
外務大臣には、官僚のトップとしてではなく、私は、
外務大臣は民間出身であったとしても政治家だと思いますが、政治家として、この事態を
いかに
考え、
いかに行動するおつもりなのか、お伺いしたいと思います。(
拍手)
次に、
法案について質問いたします。
まず、この二
法案と
道路関係四公団の民営化問題との関係であります。
道路関係四公団の民営化問題は、小泉
改革の看板の
一つであったはずであります。小泉
内閣誕生以来、派手な看板は掲げるものの、なかなか具体的な
改革は進まない。それどころか、改悪されるものさえ目立ってきている
状況であります。
そのような批判がなされたときに、
総理が決まって小泉
改革の成果として挙げてきたのが、この公団
改革でありました。四公団は一体で民営化する、国費は投入しない、五十年以内に償還する、
改革意欲に富んだ七名を選んだなどと、成果を強調されました。
ところが、昨年の十二月に民営化推進
委員会の最終
意見が
提出されて以降、この件に関し、
総理が正式に発言をしたのは、最終
意見を「基本的に尊重する」という言葉だけであります。つまり、民営化推進
委員会の最終
意見に従って公団
改革を進めるかどうか、また、どのように高速
道路網を整備していくかは、まだ
政府としては具体的には何も表明しておりません。
そのような
状況であるにもかかわらず、
委員会の
意見とは必ずしも一致しない今回の二
法案を
国会に
提出してくるのはなぜでしょうか。現在では、あれだけ注目された民営化推進
委員会は、ほとんどまともな議論ができない状態に陥っていると伺います。最終
意見ですら生かされないようであれば、小泉
改革の成果の旗頭であったはずの
委員会も看板倒れであります。
例えば、
委員会では、通行料金について、「常軌を逸している」として、現行の半額程度に引き下げることを求めておりますが、今回
提出された
法案にかかわる本四連絡橋については、さまざまな
制度を
利用しても、割引率は一、二割です。通行料金は尊重する範囲ではない、基本ではないとおっしゃるのでありましょうか。
国土交通
大臣に、両
法案と民営化推進
委員会の最終
意見との関係についてお答え願います。
また、この両
法案は、昨年十二月十二日に
政府と与党との間で交わされた「
道路関係四公団の民営化について」の申し合わせに沿った
内容となっております。
道路関係四公団民営化推進
委員会による最終
意見が出されたのが十二月六日、半年もかけて
委員会で議論して結論を出したにもかかわらず、わずか六日後には、幾つもの異なる点を含んだ申し合わせを与党と交わしているようでは、
総理御自慢の民営化推進
委員会での議論がないがしろにされていると言わざるを得ません。しかも、さらに奇妙なことに、この
政府・与党の申し合わせの五日後、十二月十七日に、例の、「基本的に尊重する」という閣議決定がなされております。
これら一連の経緯は極めてわかりにくい。果たして、
政府は、
法律に基づいて設置された民営化推進
委員会の最終
意見に対して、しっかり議論したのでありましょうか。
今まさに、その最終
意見とは異なる
内容を含む
法案を
提出されていますが、いつ、
政府の方針を議論したのか。最終
意見が
提出されてから
政府・与党の申し合わせまでの間の六日間でありましょうか。その後の閣議決定がなされるまでの五日間でありましょうか。それとも、最終
意見が
提出される以前から
政府の方針は決まっていたのでありましょうか。お答えを願います。
高速
道路関係の問題には、根本的に二つの問題がございます。
一つは、どのくらい高速
道路を整備すればよ
いかという問題、もう
一つは、現状の膨れ上がった債務を
いかに償還するかという問題です。
ただいま
議題となっております二
法案のうちの
一つ、本四公団関連の
法案は、まさに後者の問題であります。
現在、四・七兆円にも膨れ上がった本四公団の債務を、だれが
負担し、どのように償還すればよ
いか。
負担者として
考えられるのは、連絡橋
利用者、地域受益者、
国民の三者であり、償還期限をいつにするかによって、いつの時代の人々に
負担していただくかが変わってまいります。これまでは、
利用者に
負担をしていただいておりました。それを、今回、
国民に、一兆三千四百億円ものツケを回そうというのがこの
法案であります。
これまでの
政府の
説明では
発生するはずのない巨大な債務がなぜ生まれたのか、その
説明が全くなされず、責任の所在も明らかにされないままに、
負担だけが
国民にツケ回されるのであれば、
国民の理解が得られるはずもありません。また、他の高速
道路などでは
利用者のみが
負担をしている
状況から比べても、公平性に欠くとの指摘も成り立ちます。
なぜ、小泉
改革の成果として強調していた国費投入ゼロという決定をこうも簡単にほごにしてしまうのか。そして、なぜ、
本州四国連絡橋公団の債務だけを一兆三千四百億円も
国民の
税金で
負担しようとしているのか、その合理的根拠をお示しいただきたい。
私ども
民主党においても、小泉
内閣発足の以前から、
道路公団問題にはチームをつくって
調査検討をしており、この
本州四国連絡橋公団に関しては、やはり何らかの抜本的
措置を速やかにとらなければならない危機的な
状況との認識を持っております。しかし、それは、
政府が示すような単なる借金の棒引きではなく、いわば、民間で言うところの破綻処理に近いものであると
考えております。
海上という厳しい
状況にさらされ続ける長大橋でありますから、繰り返し荷重や超過確率の観点から見れば、これらの橋が今後何百年も
使用し続けられるとは
考えにくい。厳しく見積もれば、百年もつかもたな
いかというところでありましょう。
そうであるならば、橋として最大の効用を発揮させることを中心に据えて、建設にかかったコストや維持管理費を
利用者、地域受益者、
国民の三者が全体で
負担するというスキームも
考えられなくはありません。これとても、
国民の
負担を求めるわけでありますから十分な
説明が必要ですが、何十年も先の
需要を予測するよりも、現在の橋の効用最大化の計算の方がはるかに確実であり、また、わかりやすくもあるはずであります。(
拍手)
政府の方針は、わかりにくい上に、余りにも短期間に二転三転するという問題があります。この本四橋についても、東名・名神の利益を充てるべきだと言ってみたり、本四の赤字を東名
利用者に
負担させるのはおかしいと言ってみたり、通行料金についてなどは、赤字に悩んでいるのに料金を値下げするのはおかしいと言っていたのは、つい最近の扇
大臣の発言であります。
今回の
政府案によれば、この債務を切り離せば、一割から二割の通行料金の引き下げを行っても順調に債務が償還できると計算されております。しかし、有利子債務の償還完了は今から四十二年後の
平成五十七年の予定であり、さらに、その後にも、
政府からの無利子融資の返済や国、県からの出資金の返済を予定しており、結局、完済はいつになるかは霧の中であります。しかも、これだけ超長期になれば、橋の大
規模な補修が必要になる可能性も否定できません。さらには、どのような形で民営化されるか全く未定の
状況では、将来の返済計画を立てたとしても、某
内閣の某
大臣の口癖のごとく、仮定に仮定を積み重ねた議論であり、信憑性を持ちません。
果たして、今、一兆三千四百億円の債務移管だけで本当に
本州四国連絡橋公団の債務は収束するのか。納得のできる、責任ある
説明をお願いいたします。(
拍手)
次に、
高速自動車国道法等の一部を
改正する
法律案について質問いたします。
これは、先ほど申し上げました高速
道路問題にかかわる二つのテーマで言えば、前者の方、つまり、どのくらい高速
道路を整備すればよ
いかという問題にかかわります。
この
法案も、民営化推進
委員会の最終
意見に基づくものというよりは、根拠のよくわからない
政府・与党の申し合わせをもとにした
法案であります。
申し合わせによれば、新
会社による整備の補完
措置として国と
地方による直轄
事業を導入するとありますが、与党の方々は、そもそもこのフレーズからしておかしいとはお思いにならないのでしょうか。本来であるならば、必要な高速
道路はこの程度であって、その建設方法として直轄であるとかその他のスキームが選択されるというのが筋であり、
政府・与党の申し合わせの
考え方は、順序が逆であります。
また、この申し合わせを素直に読む限りでは、九千三百四十二キロのうち特に採算の合わない区間を三十年かけて直轄で建設するというものであります。新
会社は採算路線を五十年かけて建設し、建設費を償還することになっていますから、このスキームは、今後三十年から五十年かけて、いわゆる九三四二の残りの部分を完成させることのみを設計しております。つまり、現在、
政府が必要であると主張している一万一千五百二十キロや一万四千キロといった数字は、この申し合わせの外にあります。
そもそもの高速
道路網の整備計画を精査せずに、
必要性の議論をあいまいにし、
事業予算の確保ばかりを優先させようとした結果がこれではないでしょうか。申し合わせの言う三兆円で、一体どこをつくるのか。
平成十五年度
予算案の中にも一千億円計上されておりますので、どの路線を直轄でやる予定なのか、お答えください。
また、
地方に税源移譲を行うことも申し合わせにはありますが、
地方には、国の高速
道路計画に参加せず、その
財源をもって、地域により
必要性の高い幹線
道路整備を独自に行うという選択が可能であるかどうか、あわせてお答えください。
最後に、本年二月末日をもって発売を停止された高額ハイウェイカードについて質問いたします。
これは、高額ハイカの偽造問題対策として、五万円券で八千円のプレミアがつく高額ハイカを廃止し、ETCによる前納割引に移行させようとするものです。しかし、これは、ETC車載器を持たない多くのドライバーにとって、実質的な値上げでありますし、そもそも、ETC車載器が
開発されていない二輪車の
利用者にとっては、完全な値上げであります。
偽造対策と言うのならば、一万円ハイカを五枚まとめ買いすれば八千円分のプレミアカードがついてくるようにすれば、五万円券をなくしたとしても割引率は維持できますし、そもそも、値引き相当額の料金を全体で値下げしてしまえば、高額のハイカがなくなっても、
利用者の
負担はふえません。偽造対策と言いながら
利用者に
負担を強いるこのやり方に問題がな
いかどうか、伺います。
なお、かつて、通行料金を引き下げるべきとの要望に対して、割引率の高い高額ハイカを発売することで対応しようとした
政府は、当時、絶対に偽造はあり得ないと断言して高額ハイカを導入、今日判明しただけで約十一億円もの偽造被害を招くという決定的なミスを犯していることを指摘して、質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣川口順子君
登壇〕