○山花
委員 民主党・無所属クラブの山花郁夫でございます。
心神喪失者等
医療観察
法案に関連して、反対の立場から討論をいたします。以下、その
理由を申し述べます。
そもそも
心神喪失等医療観察
法案は、一昨年の大阪・池田小学校事件における不幸な事件を契機とし、小泉総理の誤った認識に基づく軽率な発言からその立法化の動きが一気に加速されたものであり、
関係する
審議会の意見を聞くこともなく策定されたものであります。
本来、十分に検討が加えられるべき司法と
精神医療の連携の実情、
措置入院制度の実態等々の現行法上の
問題点には一切目が向けられず、新たな強制
医療法を制定しようとするものであって、当初よりノーマライゼーションの理念に真っ向から反するものとして厳しい批判の声が寄せられておりました。
民主党は、今必要なことは、従来、取り組みが大きくおくれていた
精神障害者の
医療と福祉の施策の充実、それを前提に、従来必ずしも適切でなかった司法と
精神医療の連携の改善を図る必要があると認識をいたしております。
私たちは、新たな立法によるのではなく、現行の法
制度の一部改正を、その運用の改善を図る観点から、精神保健及び
精神障害者福祉に関する
法律の一部を改正する
法律案並びに
裁判所法の一部を改正する
法律案及び検察庁法の一部を改正する
法律案を提出して、一貫して他
害行為を犯した
精神障害者のための適切な施策確立に真っ正面から取り組み、積極的に
審議の場に臨んでまいりました。
本
法律案は、かつての衆議院における
委員会採決の当時も、野党各党がなお
審議を継続すべきである旨主張していたにもかかわらず、
委員長の職権で採決が決められたものであります。
さらに、今
国会における
参議院の
法務委員会の
審議においても、
委員間の熱心な
議論、参考人
質疑、
厚生労働委員会との連合審査な
ども含め、
問題点もようやく浮かび上がってきており、今後の
議論の煮詰まりが期待されていたところでありました。にもかかわらず、さらなる
議論の進展を奪い去り、
精神障害を持つ人々の不安を増大させる結果となりました。
また、
参議院の
審議過程で
指摘された本
法案に関する疑惑、すなわち本
法案が一部の
団体により金で買われた
法案ではないかとの疑惑であります。
参議院の
法務委員会では、
関係者を参考人として招き、疑惑を解明すべく努力が続けられていたものであり、このような機会を失わせる結果になり、疑惑まみれの
法律ではないかとの烙印を押す結果になったことは極めて残念であり、遺憾であります。この疑惑は将来いずれ解明されるものであると確信をいたしておりますが、みずからの解明の努力を放棄したまま
法案成立を強行した責任は重いと言わざるを得ません。
また、
参議院法務委員会における手続の問題もあります。
本来、
法案に対して賛否が異なることがあるのは当然でありますが、十分な
審議がなされたならば、各会派の
理事間の協議により
審議を終了し採決に付することが
委員会審議の原則であります。
ところが、本件においては、さきにも述べたように、
参議院法務委員会において参考人
質疑もさらに
予定され、さらなる連合審査の必要性についてもおおむね合意が形成されておりました。採決が強行された当日の
委員会開会前の
理事会においても、与党からは
審議が尽くされたので採決に付するとの提案も一切なく、むしろ次の定例日の協議がなされ、ごく自然に
法案審議が継続されるものとの認識が形成されておりました。次回の
理事会には与党としての
考え方が示される旨の表明もなされておりました。
しかし、当日の採決の
状況を見るに、手続は事前に
計画されていたことが明らかであって、それを十分承知しながら
理事会においては何らの提案もなされなかったことは、それは信頼に基づく協議の場を形骸化し、信頼を裏切るものにほかなりません。このような
理事会の協議の一部始終を知りながら、与党から突然出された動議に対し
理事会協議の機会すら設けられず、一方的に採決まで強行されたものであります。
このような
経緯、
内容に照らすと、衆議院に
法案が送付されている以上は、本来であれば十分な
法案審議を行うべきと主張してまいりましたが、その旨の合意に至らなかったことは極めて不本意であるということを申し述べまして、本
法案に反対する討論といたします。(拍手)