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2003-07-01 第156回国会 衆議院 法務委員会 第28号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十五年七月一日(火曜日) 午前十時四十一分
開議
出席委員
委員長
山本
有二君
理事
佐藤 剛男君
理事
塩崎
恭久
君
理事
園田 博之君
理事
吉田 幸弘君
理事
河村たかし
君
理事
山花 郁夫君
理事
漆原
良夫
君
理事
石原健太郎
君
太田
誠一
君 小西 理君
後藤田正純
君
左藤
章君 笹川 堯君 下村 博文君
竹本
直一
君 中川 昭一君
中野
清君
平沢
勝栄
君 保利
耕輔君
星野 行男君
保岡
興治
君 吉川 貴盛君 吉野 正芳君
五十嵐文彦
君
鎌田さゆり
君 中村 哲治君 水島 広子君 山内 功君 上田 勇君 山田 正彦君
木島日出夫
君
中林よし子
君 保坂
展人君
山村 健君 …………………………………
議員
太田
誠一
君
議員
塩崎
恭久
君
議員
保岡
興治
君
議員
石井 啓一君
議員
金子善次郎
君
法務大臣
森山 眞弓君 内閣府副
大臣
伊藤
達也君
法務大臣政務官
中野
清君
政府参考人
(
金融庁総務企画局審議官
)
大久保良夫
君
政府参考人
(
金融庁証券取引等監視委
員会事務局長
) 新原
芳明
君
政府参考人
(
法務省民事局長
) 房村
精一
君
法務委員会専門員
横田 猛雄君
—————————————
委員
の異動 七月一日
辞任
補欠選任
平沢
勝栄
君
竹本
直一
君
日野
市朗
君
五十嵐文彦
君
不破
哲三
君
中林よし子
君 同日
辞任
補欠選任
竹本
直一
君
平沢
勝栄
君
五十嵐文彦
君
日野
市朗
君
中林よし子
君
不破
哲三
君
—————————————
本日の
会議
に付した案件
政府参考人出頭要求
に関する件
商法
及び
株式会社
の
監査等
に関する
商法
の
特例
に関する
法律
の一部を改正する
法律案
(
塩崎恭久
君外四名
提出
、
衆法
第二一号) ————◇—————
山本有二
1
○
山本委員長
これより
会議
を開きます。
塩崎恭久
君外四名
提出
、
商法
及び
株式会社
の
監査等
に関する
商法
の
特例
に関する
法律
の一部を改正する
法律案
を議題といたします。 この際、お諮りいたします。
本案審査
のため、本日、
政府参考人
として
金融庁総務企画局審議官大久保良夫
君、
証券取引等監視委員会事務局長
新
原芳明
君及び
法務省民事局長房
村
精一
君の
出席
を求め、
説明
を聴取いたしたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
山本有二
2
○
山本委員長
御
異議
なしと
認め
ます。よって、そのように決しました。
—————————————
山本有二
3
○
山本委員長
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
五十嵐文彦
君。
五十嵐文彦
4
○
五十嵐委員
民主党
の
五十嵐文彦
でございます。 当
法案
を
審議
するに当たりまして、そもそも論から少し、もう最後のようですから、考えてみたいと思うんですが、今一生懸命
持ち合い株
の解消というのを、
政府
・
与党
のみならず、我が党も当然賛成をしているわけですが、進めております。 なぜ
持ち合い株
がいけないのか、これは二点あると思うんですね。
一つ
は、
株価
の
変動リスク
が影響をして、本業以外のところで
会社
の存続を危うくするというおそれが大きい、その
株価変動リスク
を遮断しようというのが
一つ
だと思うんですね。 もう
一つ
、根本的な問題があるんですね。それは、
株主
の権利を空洞化させないようにしようということなんだと思うんですね。
持ち合い株
で、例えば
銀行
からやってきた
経営者
がいるとします、その
会社
の株はほとんど持っていません、そして、その
銀行
の
安定株主
がいますから、そこの意に沿った
経営
をするけれ
ども
、実際に
出資
をしている本来保護すべき
投資家
の
権限
は空洞化して
余り
顧みられない、配当性向が落ちるというようなことが行われがちであります。 こういうことは、本来の
あり方
から離れてしまうということで、
出資者
、
株主
の
権限
を守るという
立場
から
余り
好ましくないということがあると思うんですね。 それと同様に、
自社株
を持つということはどうなんだろうかと。そうすると、やはり同じ問題が起きてくるわけですね。大体
会社
が、よその
会社
の株を
法人
として持つというのはあり得ると思うんですが、
会社
として
自分
の
会社
の株を持つということは、まさに同じように、本来保護されるべき、
権限
が守られるべき
投資家
、
株主
の
権限
が相対的に空洞化するということにつながってくるのではありませんか。ですから、この
法案
の
自社株
を解禁するということは、
投資家保護
、
株主
の
権限保護
という
立場
から、そんなに褒められた話では本来ないということが言えると思うんですね。 ただ、
条件つき
の中では私も実は許されてもいいと思うんですが、もろ手を挙げてこれはいいことだと言えるような話ではもともとないんです。本来
条件
が厳しくされるべきものだということだと思うんですが、その
認識
をお持ちかどうか。そうですね、まず
伊藤
副
大臣
にお伺いしましょうか。
伊藤達也
5
○
伊藤
副
大臣
今
先生
御
指摘
のとおり、この
持ち合い株
の問題については、
銀行
の
健全性
の
観点
からいっても、その
リスク要因
の大きな
一つ
であると。したがって、
株価
の
変動リスク
というものをより軽減してその
健全性
を確保していくということは極めて重要なことであるというふうに考えております。 その中で
自社株
の問題を、
株主
の
立場
から、今
先生
から
問題点
の御
指摘
があったわけでありますが、
先生
御
指摘
のとおり、ある種の
条件
の中でこうした問題を考えていくことは非常に重要であり、そうした
認識
のもとで今回
議員立法
として、現在当
委員会
で御
審議
がなされているんだというふうに思っております。 いずれにいたしましても、私
ども
としましては、
投資家
を保護し、そして
投資家
に信頼されるような
証券市場
をしっかり確立していくということが極めて重要でございますので、そうした
観点
から
証券市場
の
活性化
に向けてさらなる
努力
を続けてまいりたいというふうに考えております。
五十嵐文彦
6
○
五十嵐委員
前提条件
はお
認め
になられたというふうに解釈をいたしますね。私の望んだとおりの
答弁
とは決して言えないかもしれませんが、基本的な
認識
が違っているわけではないということだと思います。 それでは、
日本
の
証券市場
の
健全性
というのは現在、あるいはこれまでどうだったんだろうかということを検証してみる必要が
一つ
あるんだと思いますね。
一つ
は、やはり
日本
は株のプライス・キーピング・オペレーション、
PKO
、これがずっと行われ続けてきたのではないかと。これは明示あるいは黙示の、あるいはあうんの呼吸かもしれません、そういうものがあって
政府関係機関
、
特殊法人
あるいは
農林系
という
機関
ということはあるかもしれませんが、
政府
と何らかのつながりのある
機関
が株式の買い出動に出ているということは、私は紛れもない事実だと思いますし、また
市場当事者
もみんなそう思っております。 この株の
PKO
というのは、
意味
を限定するのは非常に難しいかもしれませんが、行われているのかいないのか、どういう
認識
をお持ちか、
提出者
、いかがでしょうか。
塩崎恭久
7
○
塩崎議員
政府
が仮にやっているとすれば、それは我々も知る由もないところであって、巷間言われている範囲で我々判断すれば、どうもやっているかもわからない。なおかつ、
与党
からそういうリクエストが出てくるということでありますが、私
自身
は
株価
というものがそもそも、個別の
企業
で見てみれば、将来
収益
の現在価値ということでありますから、言ってみれば
通信簿
みたいなものであって、それを何かいじくったところで将来
収益
が変わるわけでもないわけであって、むしろそういうことで
株価
を動かすということを
政府
の意図として持っているということをさらすこと自体、私は
余り
好ましいことではないと思っております。
五十嵐文彦
8
○
五十嵐委員
そういうことがあるかもしれないということが言われているということは今お
認め
になったと思うんですね。 現実に、
金融関係
の新聞を読んだりしますと、この五月ぐらいですか、連日、何億だかの
年金基金
の買いが入っているというようなことが報道されているわけですね。そういうことから見ても、
我が国
は実は
外国関係者
からも
PKO
を行っているのではないかという
指摘
がずっと出ているわけであります。 それから、その以外のことでも
我が国
の
市場
の
健全性
というのは非常に疑われているわけですね。 二番目に私が
指摘
をしたいのは、今
銀行
、りそなの問題で大変有名になりましたけれ
ども
、いわゆる
繰り延べ税金資産
、これに依存した
決算
というのが、実は
銀行業
だけに限らず
一般
の
事業会社
でも非常に横行している。すなわち、
監査法人
による
監査
が
一般
的に甘いのではないかと。その証拠に、
日本
の
監査法人
の
監査
を受けたものであるという言葉が
海外
では付されるということで、必ずしも
アメリカ
なり国際的な
基準
の
監査
ではありませんということが付記されるような
状況
になっていて、
日本
の
決算
、
日本
の
企業
の
決算
については
信頼性
に乏しいのではないかという
指摘
が出ているわけですね。 この問題についても私はゆゆしい問題だというふうに思っているわけですが、これはどうお考えになりますか。
大久保良夫
9
○
大久保政府参考人
お答え
申し上げます。 ただいま、
銀行業
に限らず、
繰り延べ税金資産依存
の
決算
が多いのではないかという御質問でございます。
繰り延べ税金資産
の計上に関しましては、
税効果会計
の
会計基準
、これは
平成
十年の
意見書
に基づきまして
平成
十一年度から実施されているものでございますが、これと
日本公認会計士協会
の
実務指針
に基づきまして判断されていることとされておりまして、
金融機関
と
一般企業
において、
適用
の
ルール
に違いはございません。
一般企業
の場合でも、
商法
上の大
会社
や
証取法
上の
適用
を受ける
会社
は、
決算期
において、
貸借対照表
、
損益計算書等
の財務諸表を作成しまして、
取締役会
の承認を経た上で、
外部監査人
による
監査
を受ける必要がございます。このような
決算手続
の中で、
外部監査人
は、独立した
立場
から、個々の
企業
の見積もった
繰り延べ税金資産
の
妥当性
について厳正な
監査
を行っているものというふうに考えております。
五十嵐文彦
10
○
五十嵐委員
そういう
建前論
を聞いてもしようがないんですね。 私
ども
は既に
指摘
しましたけれ
ども
、
アメリカ
の
税効果会計
、
繰り延べ税金資産
の
基準
と
日本
の
基準
は違うわけですね。今、現に違っていて、かなり裁量の余地があるやり方になっている。すなわち、何か非経常的なことが起きれば、五年を限度に
繰り延べ税金資産
を多年度
認め
られるという
基準
があるんですが、経常的な状態の中ではこれは
認め
られないんです、通常は。何か特別な事情があった場合には
認め
られる。 こういう本来の
基準
からいえば、これは普通は一年なんですね。ところが、何年分も
繰り延べ税金資産
を
認め
ている。しかも、
繰り延べ税金資産
というのは
利益
が上がらなければ返ってこないわけですから、
認め
られないんです。ところが、
収益見込み
がないにもかかわらず、
収益
の
見込み
を過大に見積もって、多年度にわたる
繰り延べ税金資産
を計上しているという
企業
が多くなっている。これは
銀行
に限らずそうなっているんですねという
状況
は、これは簡単に、容易に証明できるわけでありますから、今の御
説明
だけで納得するわけにはいかないわけであります。
日本
の
繰り延べ税金資産依存
の
決算
が多いということを
認め
るべきだと私は思いますが、もう一度簡単に。余計なことは言わなくていいです。
大久保良夫
11
○
大久保政府参考人
お答え
申し上げます。
繰り延べ税金資産
のもとになります
税効果会計
は、
企業会計
上の
収益
と費用、それから
課税所得計算
上の益金と損金の
認識時点
の相違によりまして生じているものでございまして、これを合理的に対応させることを
目的
とする
手続
でございます。 ただいま御
指摘
の
アメリカ
の例でございますけれ
ども
、これは
会計
上の問題と
銀行監督
上の問題があろうかと思います。
銀行監督
上の制限をしているということはございますけれ
ども
、
会計
上の問題につきましては、私
ども
の承知している限り、特に年限の明示的な規定は設けておらないというふうに承知しております。
五十嵐文彦
12
○
五十嵐委員
経常的なものについては一年ということはあるわけですけれ
ども
、
アメリカ
ではこの五年
ルール
というのはないはずであります。 それから、これは
財務金融委員会
でもやっている問題ですから、ここだけでこの問題に費やすわけにいかないので、先に進みます。 一方で、今行われているのは、こうした、
証券市場
の
健全性
をさらに進める、
フェアネス
を守るということから逆行したことが盛んに行われている。
金庫株
の解禁というのも、
条件つき
でありましたけれ
ども
、我々も、必ずしも、全面的にこれはやってはいかぬ、こういうふうには思っていませんが、これについてもやはり
条件
が厳しくつけられるべきなんですね。 これは
答弁
の中でも、
柳澤
前
金融担当大臣
も
認め
られております。私とのやりとりの中なんですが、これは
平成
十三年の五月二十八日の
予算委員会
なんですが、この中で
柳澤大臣
は、「
緊急経済対策
を決める、その中に
金庫株
の問題もあったわけですが、その際にも、今
先生
の御
指摘
の
インサイダー取引
あるいは
相場操縦
、こういうようなものを誘発する機会がふえるという厳しい
認識
に立ちましてそこにはっきり言及がなされておりまして、」そういう手当てをすることによって対処していくんだということを
答弁
されておりまして、逆に言えば、そういう
条件
がつけられなければこれは
認め
られるべきではないという考え方を
大臣自身
が示しているわけですね。ですから、不公正な
取引
といったものを防ぐ
手だて
を
強化
するんだということを言明されているわけです。 ところが、その後、日銀による株の
買い取り
だとか
銀行保有株
の
買い取り機構
をつくり、
銀行保有株
を買い取るだけではなくて、反対に、
一般事業会社
が持っている
銀行
株の
買い取り
もする。今、
財務金融委員会
にかかっているのは、この
スキーム
をつくったときに、基礎的な
条件
として、
要件
として、
国民負担
をかけないということで、
スキーム
の
要件
になっていた八%の
拠出金
、これを今度は廃止してしまうという、これは全くモラルのない、とんでもない換骨奪胎の
法案改正
を今
与党
さんは求めてきているわけであります。こうした
方向
というのは、
日本
の
証券市場
の
健全性
を進め、
海外
からの
日本
の
市場
の評価を高めるという
方向
とは全く逆行している
あり方
なんですね。これは私は本当におかしなことだと思うわけです。 また一方、かつて二年ほど前ですか、ダイエーの社長さんの
インサイダー取引疑惑
が報道されました。また、
大阪証券取引所
、大証の
スキャンダル
も今、見せかけに
株取引
の量を拡大する、そういう
スキャンダル
が出ておりますし、とにかく、
インサイダー
、
株価操縦
、
不正取引
の実例が、
我が国
では本当に絶え間なく起きているわけであります。こういう
状況
があるという中で、このような、逆に
インサイダー取引
やあるいは
株価操縦
、
相場操縦
のいわばツールになり得る
法案
を出してくるということに非常に問題があると私は言わざるを得ないわけであります。 そこで、こういう
認識
に立ちますと、やはりそれをとめる有効な
手だて
を講じなければならない。私
ども民主党
は、もう既に、
日本版SEC
の
必要性
を強く
認識
いたしまして、
法案
を国会に
提出
しておりますし、し続けているわけですが、心ある人はこの
日本版SEC
の
必要性
を
認め
るべきだ、こう私は思うんですね。ところが、
金融庁
は、多分
自分
の縄張りが減るということを嫌がってのことだろうと思いますが、歯牙にもかけないというにべもない言い方でこれを否定されているわけです。 この
答弁
を読みますと、
柳澤大臣
のころから言っているんですが、
金融業
が
コングロマリット化
している、
商品
がみんな似てきている、複雑化している、それから業態がみんな寄ってきている、ですから、これは
証券
に特化したような
SEC
をするよりも、今のような
金融庁
で
監督
する方が正しいんだというのが、我々が言っている
SEC
を否定する唯一の
論拠
です。あと、
枝葉
はあるかもしれませんよ、新しい
組織
をつくると人数がふえると。だけれ
ども
、公正さのために必要なことは、私
ども
は、
組織論
としては多少ふえても構わないはずでありますから、それはもう
枝葉
の
議論
だと思います。 その主な
議論
は、
コングロマリット化
に対処できないということなんですが、私は間違っていると思うんですね。これは、
商品
がどんなに巧妙につくられようと似てこようと、公正な
取引
が行われているかどうかという、いわば
経済
の面での司法的な
機能
に着目をして判断する独立した
機関
をつくるというのは正しいことだと私は思います。 また、それでは、
アメリカ
が今
コングロマリット化
しているから
アメリカ
の
SEC
は
機能
していないかというと、そうではないと思うんですが、その辺の判断を、
提出者
と
金融庁
から、
伊藤
副
大臣
で結構でございますが、簡潔に
お答え
をいただきたいと思います。まず
伊藤
副
大臣
の方からお願いします。
伊藤達也
13
○
伊藤
副
大臣
過日の本
委員会
でも
お答え
をさせていただきましたように、
証券市場
において
投資家
を保護していく、そして
投資家
にとって信頼ある
市場
にしていくために、やはり
監視体制
というものを抜本的に見直していくことは極めて重要だということを
お話
しさせていただいているところでございます。 そうした中で、私
ども
としましては、世界的にさまざまな
取り組み
がなされているわけでありますから、単に
組織論
だけではなくて、
市場
の
監視機能
をどういう形で
強化
していったらいいのか、その点についても今
検討
を進めさせていただいているところでございます。
総合規制改革会議
の答申におきましても、人員の大幅な増強でありますとか、民間の
専門家
の積極的な登用とあわせて、
市場
の
監視機能
の
強化
について十五年度中に
検討
、結論を出すということがうたわれておりまして、その中で、
ルール
の一層の整備、
エンフォースメント手段
の
強化
、
多様化
、ペナルティーの
強化
ということでございます。具体的な
検討事項
として、
民事
・行政的な
制裁的負担
を賦課する制度、差しとめ
命令
や
是正命令等
の
積極的活用
、罰則の
強化
、こうした具体的な
項目
もうたわれているわけでありますので、そうした
項目
も含めて、
監視機能
の
強化
について、私
ども
として、
勉強
を進めて、そして充実した
体制
というものを整備していく、そのための不断の
努力
を続けてまいりたいというふうに考えております。
塩崎恭久
14
○
塩崎議員
大事なことは、
監視監督
の
論理
だと思うんですね。
証券市場
はやはり
投資家保護
というのが最大の
目的
であり、そして
銀行
は
預金者保護
であり、大きな違いは、
銀行
の場合には、必ずバランスシートに載ってきた後で貸し出しを行う、こういう
体系
になっていますし、
証券
の場合は、
証券業
はツーツーであります。 したがって、
先ほど
、今
伊藤
副
大臣
からも
組織論
という話がありまして、
日本版SEC
をつくろうというのは、
組織論
を言っているんじゃなくて
機能論
を言っているんだということを見落としているのが
金融庁
の今までの
論理
であります。我々は、我々というのは
五十嵐
さんと私という
意味
じゃないんですけれ
ども
、私は、
機能論
からいって、やはり
銀行監督
と
証券監督
は分けた方がいいだろう、つまり、
利益相反
がある。今回、
監査法人
に対して
銀行監督当局
が云々という話がちまたに伝わっておりますけれ
ども
、李下に冠を正さずという
意味
でも、そういうことはきちっと分けるべきだと思うんです。 それが世界の流れであって、これまた
規制改革会議
の中で、
金融庁
がつくった資料などを見てみると、例えば、
ドイツ
も
銀行
と
証券
の
監督
は同じところでやっていると言っています。
連邦金融監督庁
というのがやっているんですが、実は、もうヨーロッパはEUが
監督
の元締めであって、そこは
欧州証券委員会
というのがあって、その下に
ドイツ
の
連邦金融監督庁
というのがあるだけの話であって、
欧州証券委員会
というのが大もとなんですね。ですから、やはり
証券
は
証券
だけで見るということになっています。韓国も同じように、
金融監督院
が
銀行
と
証券
を
一緒
にやっているというのは、これもうそで、
証券先物委員会
というのが上にあって、
論理
ははっきりしているわけです。 したがって、私は、
組織論
ではなく
機能論
からして、やはりきちっと
投資家保護
のための
組織
というのは別につくって、それも、完結した、
企画立案
から
監視
、準司法的なものに至るまで
一緒
にやって、パワフルなものにしなければいけない、こう思っております。
五十嵐文彦
15
○
五十嵐委員
ですから、私の言っているのは
機能論
なんですね。ですから、私が言っているのは、司法的な
機能
をやる必要があると言っているのであって、
伊藤
さんの
答弁
は、今、あなたのはおもしろくないというコマーシャルがありますが、おもしろくない
答弁
なんですよ。全然、役所の枠から外れないようにしているだけで、本来の
思想
というのが感じられない。私は、本来、
伊藤
さんというのは
改革派
だと思っていますから、本来はきちんとした
論理
をお持ちのはずなのに、それを曲げておられるように見えてならないですね。 今のりそなの例でいっても、
金融庁
は、一方で
公認会計士
や
監査法人
を
監督
する
立場
であるんですが、一方では
銀行
の
監督
をする
立場
でもある。ところが、
銀行
の
監督
をする
立場
からいうと、
監査法人
が
認め
たんだからいいでしょうという話になるわけですよ。だけれ
ども
、
公認会計士
を
監査
する
立場
から、その
監査
が正しいかどうかというのを事後的にチェックすることは当然必要なわけですよ。
利益相反
がもうここで起きているんです。だから、分ける必要があるという今の
塩崎
さんの
お話
は
説得力
があるんですよ。別にエールを送っているわけではないんですが、送っているのかな、
論理
的にそうなるはずで、
日本版SEC
をつくりなさいというものを退ける
論拠
には、今の
お話
も、
伊藤
さんの
お話
はなっていないんです。 もう一度お願いします。
伊藤達也
16
○
伊藤
副
大臣
先ほど
から私の方も
お話
をさせていただいているのは、何か
組織論
だけでこの問題を逃げようということを言っているのではなくて、
機能論
も含めて、
監視体制
の
強化
というものをいかに実現していくのか、そのことが重要だということを私
ども
としても
お話
をさせていただいているところでございます。 私
自身
も、今の
立場
につく前に、
塩崎先生
からもお誘いをいただいて
日本版SEC
の
勉強会
にも参加をさせていただき、そして、
機能強化
をするために、世界的な
取り組み
も含めてどういう
状況
になっているのかということを今鋭意研究させていただいているところでございます。 ただ、
先ほど
から出ている
コングロマリット化
の流れ、これを、
組織論
ということだけではなくて、担い手や
金融商品
が一体化する中で、どのような形で、本当の
意味
での
機能面
からも
監視体制
を
強化
していくかということについてはさまざまな
議論
があるわけでありますので、
提案者
の
塩崎先生
からも
お話
がございますように、その
思想
と、そしてそれを実行していく
体制
というものをどうしっかりと
体系
の中に位置づけて
監視体制
というものをつくり上げていくか、そのことについてさらに鋭意
努力
をしていきたいというふうに考えているところでございます。
五十嵐文彦
17
○
五十嵐委員
私、
財金分離
を推進した一人でありますけれ
ども
、
金融庁
が本来の事後的なチェックに、事後的な
監督
に終始するという
立場
をお守りになったら、まだ
説得力
が幾らかあるんですよ。ところが、そうなっていない。 きょうも、実は、参議院の
財政金融委員会
で、我が党の大塚
議員
が大変重大な発言を今している最中だと思います。まさに政治の分野まで踏み込んだ、あるいは個別の
企業
の
経営
方針まで踏み込んだ
お話
を
金融庁
の幹部がされているという、証拠に基づいた爆弾的な質問が行われているはずであります。実際に、そういう事後的なチェックに終始していないんですよ。 要するに、手とり足とり、コーチ業にまで進んで、もうプレーヤーになるところまでやっているんですね。だから、コーチ業をやるのであればアンパイアの
機能
は別にしなさいというのが私
ども
の主張ですから、これは、アンパイアの
機能
としての
日本版SEC
は別途設ける必要が、重要性が非常にある、
必要性
があると思うわけですね。 また、例えば
公認会計士
協会の奥山会長さんと
お話
をさせていただいても、本来、
監査法人
や
公認会計士
のチェック
機関
は
日本版SEC
であるべきだということを言われていますよ。私、
お話
ししたときに、私だけではなくて、我が党の
会議
においでをいただいたときにそういう発言をされています。 そうなんです。だから、そういう司法的な
機能
、アンパイアの
機能
は、もし
金融庁
が今のようにいつまでもコーチ業をやっていたいというのであれば、手放すのが当然のことだ、こう思うわけです。 ですから、
日本版SEC
について
勉強
してきたし、これからもいろいろするんだというようなことをおっしゃいましたけれ
ども
、
SEC
をつくる
必要性
があるかどうかについて、
検討
する必要もないのか、
検討
の配慮には入るのかということを、もう一回
伊藤
さんに
答弁
いただきたいと思います。余計なことは言わなくていいです。
伊藤達也
18
○
伊藤
副
大臣
お答え
をさせていただきたいと思います。
先ほど
から
お話
をさせていただいているように、この問題についてはさまざまな
議論
があるところでございます。そうした
意味
からも、私
ども
は、世界的な
取り組み
も含めていろいろ
勉強
させていただき、そして、究極の目標は、
先生
御
指摘
のとおり、事後チェック型行政の中で
投資家
の保護に資するような
監督
体制
というものをしっかりと確立していくということでございますので、
機能面
からも
体制
面からも、それを実施できるような
体制
づくりのために不断の
努力
をしていきたいというふうに思っているところでございます。
五十嵐文彦
19
○
五十嵐委員
どうしても強い後ろからの羽交い締めが来ているようですね。その程度のことも言えないようでは、私はちょっと情けないなと思っております。
自社株
買い取り
を機動的にやれるようにしようというのは、どう考えても、
先ほど
言ったように、本来、
株主
の
利益
に反することが起こるかもしれない話なわけですから、
株主
総会で授権されるのは当然なんですね。当然なんです。だから、それを機動的にやろうというのは、どう見てもいわゆる期末の
株価
対策なんですよ。だけれ
ども
、期末の
株価
対策はそういうふうにやるべきものなんですか。
株価
を一時的に動かして
自分
の
会社
を助けようというのは、確かに
株主
の
利益
になるかもしれないけれ
ども
、
株主
でもいろいろありますから、そんなお金があるんだったら配当しろよと言う人も当然出てくるわけで、それに反してしまうわけですから、正しい考え方とは言えないわけですね。 結局は、
株価
対策だったら別のやり方があるべきだ。私は、長期の保有株は、例えば期末の一時期の
株価
によって決めるのではなくて、半年ぐらいのスパンで時価評価をするというような別のやり方で考えるべきであって、今のようなやり方で、
株価
対策をすればどうにかなるという考え方自体を改めなきゃならないと思っております。 最後に、時間が来ましたので一点だけ。私
ども
は
日本版SEC
の
必要性
をなお言い続けてまいりたいと思いますので、もしこの
法案
の附帯決議に
SEC
の創設について
検討
するということを入れるとすれば、受け入れる余地があるかどうか
塩崎
さんに伺って、終わりたいと思います。
塩崎恭久
20
○
塩崎議員
私は
提案者
でございますので、附帯決議を
自分
の
法案
につけるというのはいかがなものかなと思いますが、御
議論
の末に
委員会
の皆様方がそうだと言えば、私は、個人的には特に異論はございません。
五十嵐文彦
21
○
五十嵐委員
終わります。
山本有二
22
○
山本委員長
石原健太郎
君。
石原健太郎
23
○石原(健)
委員
提案者
にお尋ねいたします。 今回の改正の
目的
の
一つ
に、敵対的買収に対抗するためなんだというような趣旨だったかと思うんですけれ
ども
、
提案者
の方では、敵対的な買収というものはどのようなことを想定しておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
金子善次郎
24
○金子(善)
議員
お答え
いたします。 敵対的買収の用語でございますが、これは法令上のものではないと思いますが、当該
会社
の
経営者
にとって望ましくない者による買収という
意味
で通常用いられているようでございます。典型的なケースでございますけれ
ども
、純資産額が多い反面、
株価
が異常に安くなっている
会社
を、当該
企業
の解体を
目的
として安い価格で買収しまして、その
会社
を解体して売却してしまうというような
企業
買収が考えられるところでございます。 敵対的買収の対価、
条件
によりましては、
経営者
にとっては望ましくないというようなものでございましても、
株主
にとりましては
利益
になる場合もあるというようなことでございます。このような場合でございますけれ
ども
、既存の
経営者
が
自分
の地位を守るために買収を阻止するというようなことは許されないものであるというふうに考えております。 以上であります。
石原健太郎
25
○石原(健)
委員
今の
説明
で、純資産が大きくて
株価
が安いというような
説明
だったんですけれ
ども
、普通の株の価格のつき方からいえば、純資産が大きくて
株価
が安いということは
余り
起こり得ないような気がするんですよね、
一般
的に。 それと、例えば、外国の物すごい大きな
会社
なんかが
日本
の優良な
企業
に目をつけて、そこを
自分
の子
会社
みたいにしようということでどんどん株を買い増していく、こういうのは敵対的とは言わないんですか。
金子善次郎
26
○金子(善)
議員
お答え
申し上げます。 基本的には、
株主
の
利益
になるかどうかというような
観点
から判断されるべきものでございまして、言い方が適当かどうかあれでございますけれ
ども
、ケース・バイ・ケースで考えていかなきゃならない、判断しなきゃならない、このように考えております。
石原健太郎
27
○石原(健)
委員
外国の大資本家が
日本
の優良
企業
の株を買い占めたなんというと、
経営者
だって交代しなくちゃならないような状態も起こるかもしれませんよね。そうすると、
経営者
の目から見ればこれはやはり敵対的な買収というふうに言えるんじゃないかと思うんですけれ
ども
、その辺はどうでしょう。
金子善次郎
28
○金子(善)
議員
繰り返しで恐縮でございますが、基本的には、
株主
の
利益
になるかどうかという
観点
から判断しなきゃならない。確かに、
経営者
サイドにとりましてはそう
認識
されることもあろうかと思いますが、基本的には、自由
市場
の
経済
原則のもとでは、
先ほど
も申し上げましたように、
自分
の地位を守るという
観点
のみで買収を阻止するというようなことは許されない、このように考えているところでございます。
石原健太郎
29
○石原(健)
委員
今度の改正で、中間配当の限度額内、それには法定準備金の取り崩しなんかも可能なようなんですけれ
ども
、それにしても、その程度の金額で、本格的にある
企業
の株が買い占められようとしているとき、実際有効に防止できるものなんでしょうか。
金子善次郎
30
○金子(善)
議員
基本的にでございますけれ
ども
、
経営者
側の保有する議決権が、敵対的買収を仮に意図しているという者があれば、当たり前のことでございますけれ
ども
、その保有する議決権が上回ることができるかどうか、それにかかっているという以外
お答え
しようがないわけでございますが、要は、そういうことからいえば、大変申しわけございませんけれ
ども
、ケース・バイ・ケースで判断するしかない、このように思います。
石原健太郎
31
○石原(健)
委員
必ずしもそういう乗っ取りのようなことを防止できるものとは限らないというふうに考えられるんですけれ
ども
、そういうことになってくると、敵対的買収に対抗するというような理由は、何か聞こえはいいんですけれ
ども
、
余り
効果のない理由づけじゃないかなという気もするんですよね。でも、金子さんのお考えはお考えで、それはわかるわけですけれ
ども
。 次に、
会社
が
自社株
を購入しますね。その後さらに
株価
がどんどん下がって、営業上の
利益
は上がっているのに、株を買ったために損をして配当ができなくなっちゃった。こんなような場合は、やはり
経営者
の責任というものは出てくるものなんでしょうか。
石井啓一
32
○石井(啓)
議員
金庫株
以前は、買い取った
自社株
をバランスシートの資産の部に計上しておりましたが、
金庫株
解禁以降は、買い取った自己株は逆に今度資本の部のマイナス
項目
に入れるようになりました。資本の部のマイナス
項目
に入れまして、なおかつここは取得価額を記載するということになりましたので、
株価
の変動によってそれは影響を受けないことになりますので、おっしゃったような事例は想定されないというふうに思っております。
石原健太郎
33
○石原(健)
委員
なかなかうまい仕組みをお考えになって、よくわかりました。 次に、
説明
では、既存
株主
の持ち株比率の希薄化を回避できるということも理由になっているようなんですけれ
ども
、なぜ
株主
が希薄化してはいけないのか。私は、かえって、
株主
というのは、
一般
に広く大勢に株を持ってもらうという方が、さまざまな面でその
会社
にとってメリットがあるんじゃないかと思うんですけれ
ども
、
提案者
はどうしてそういうふうにお考えになったんでしょうか。
石井啓一
34
○石井(啓)
議員
先生
おっしゃるように、株式は、特定の
株主
だけじゃなくて、いろいろな
株主
が取得しているということが望ましいかもしれませんけれ
ども
、それは、同じ株数であって、それがたくさんの方に取得されるというケースかと存じますが、ここで言っていますのは、株式の数がふえて、それで既存の
株主
の持ち株の比率が薄まるということは望ましくないといいますか、既存の
株主
にとっては、やはり
株主
の持っている比率によってその
株主
の
権限
の行使ができるわけでございますので、そういった
意味
での希薄化というのは、既存の
株主
の
権限
を守るという
意味
でやっていかなければならない。 ですから、
先生
にお示しした
組織
再編のケースでも、新株を発行するよりは、自己株を取得して、それを放出するということで、株式の数をふやさない、全体の数をふやさないという方が既存の
株主
にとっては
利益
になるという
意味
で配慮をしなければいけないというふうに考えておるわけであります。
石原健太郎
35
○石原(健)
委員
次に、
株価
の急変時に影響を緩和するためという
目的
も考えられておられるようなんですけれ
ども
、この場合、影響とはどういうことを指しておられるんでしょうか。
石井啓一
36
○石井(啓)
議員
株価
の急変の影響というのは、いろいろな影響が考えられるかと存じますけれ
ども
、今ここでお示しをしている、事前に
先生
に御
説明
をした資料の中に載っております
株価
の急変時の影響といいますのは、
持ち合い株
の放出圧力、これは時価
会計
の導入ですとか、あるいは
銀行
に持ち株制限をかけるとかいった
意味
で持ち合いの放出の圧力がかかっているわけですけれ
ども
、そういたしますと、
企業
の業績とは無関係といいますか、
企業
が業績がいいにもかかわらず
株価
が落ちるということもあるわけでありまして、そういたしますと、
先ほど
質疑の中にありましたけれ
ども
、敵対的な買収というのも行われやすくなるということが
一つ
の影響というふうに考えております。 また、そのほかにもさまざまな影響はあるかと存じます。
石原健太郎
37
○石原(健)
委員
それから、
株価
の実体水準という言葉も使われておりましたが、
株価
の実体水準というのはどういうふうに考えておられますか。
石井啓一
38
○石井(啓)
議員
これはなかなか難しい概念だったと思うんです、
株価
の実体水準というのは。 もともと、発行済みの株式の総数に比べて、
市場
で
取引
されている株式の数というのはごく一部ですよね。ですから、
市場
で
取引
されている価格をもって、では、残っている株式の価値を全部考えるのかどうかというそもそも論もございます。ございますが、ここで申し上げている、私
ども
が従前
説明
しました
株価
の実体水準といいますのは、
企業
の価値の適正評価額という
意味
で申し上げておりまして、
先ほど
の質問の中でも申し上げましたように、持ち合いの放出によりまして、
企業
の業績にかかわらず
株価
が急落するという事例もございますので、急落前の業績に応じた
企業
の
株価
のことを
株価
の実体水準ということで考えております。
石原健太郎
39
○石原(健)
委員
株価
が急落するということは確かにあるかと思うんですけれ
ども
、やはり、急落したということは、そのときの国内の
状況
とか世界の
状況
とか、それはいろいろなそのときの
状況
でそういう価格が、
株価
がつくわけですから、急落してもそれはそれで仕方がないことじゃないかというふうに私は考えるんですけれ
ども
、その点はどう
説明
いただけるんでしょうか。
石井啓一
40
○石井(啓)
議員
それは、確かにそういう見方もあろうかと思います。
株価
というのが、その時々の
企業
の価値をやはり鏡のようにあらわしているわけだから、どんな
株価
であれ、それはそれで受認しなければいけないという考え方もあろうかと思いますが、一方で、
経営者
やあるいは
株主
の
立場
にとってみれば、業績がいいにもかかわらず
株価
が下がっているようなケースもあるわけでありますから、そういったケースは改善しなければいけないというふうに思うこともやはりあろうかと思っております。
石原健太郎
41
○石原(健)
委員
わかりました。 質問を終わります。ありがとうございました。
山本有二
42
○
山本委員長
木島日出夫
君。
木島日出夫
43
○木島
委員
日本
共産党の
木島日出夫
です。
提案者
にお聞きしますが、今回の法改正の基本、中身を確認しますが、要するに、
自社株
買い取り
、
金庫株
の
買い取り
を、現行法では
株主
総会で議決が必要だったのを、定款さえ変えてしまえば、あとはもう
取締役会
の決議だけでできるようにするということですね。ですから、定款さえ一度変えさえすれば、それ以降、もう未来永劫に、
株主
総会など開かずに、
取締役会
決議という小さなところでの決議だけで、
自社株
を
法律
に従って自由に買い受けることができる、そういう仕組み、間違いないですね、確認。
塩崎恭久
44
○
塩崎議員
総会で定款を変えるということで可能になるということです。
木島日出夫
45
○木島
委員
そうすると、定款さえ変えてしまえば、あとはもう総会事項じゃないわけですから、
取締役会
決議のみで
会社
は
自分
の
会社
の株を買うことができる。 そうすると、
取締役会
決議というのは、広く
株主
や
一般
国民や
海外
投資家
に知るところとなりますか。現行
商法
の
取締役会
決議がどのぐらい表に見えるか。現行
商法
はどうなっているでしょうか。
提案者
。
塩崎恭久
46
○
塩崎議員
取締役会
の内容につきましては、しばしば
議論
になりますが、今のところ、オープンにそのままストレートになるわけではございません。
木島日出夫
47
○木島
委員
オープンにならないということですね。
商法
二百六十条ノ四が
取締役会
の議事録についての規定です。それのみですね。要するに、
会社
は
取締役会
議事録を十年間本店に備え置く。しかし、それを
株主
が見れるかというと、見れない、原則見れない。
商法
二百六十条ノ四の第六項は、
株主
がみずからの権利を行使するために
取締役会
議事録を見るときには裁判所の許可が必要だ、そして、許可があったときのみ議事録の閲覧、謄写ができる、そういう
商法
ですね、間違いないですね。
塩崎恭久
48
○
塩崎議員
そのとおりでございます。
木島日出夫
49
○木島
委員
そうすると、続いて確認しますが、現行法、また今回の改正法でも結構ですが、今回改正ができたとして、
取締役会
決議のみで
自社株
を買い受けようとするときに、その原資を、法定準備金の取り崩しか、
利益
配当に回る分を原資にするか、二つに
一つ
だと思うんですが、そのような場合、広く
株主
に知れるところとなるんでしょうか。法の仕組みはどうなっていますか。
塩崎恭久
50
○
塩崎議員
定款授権に基づく
取締役会
決議による
自社株
取得につきましては、期中において
株主
に
会社
財産を払い戻す点において中間配当と同じだ、そういう性格を有しているため、その取得価額の総額について中間配当限度額と同じ額を限度としたということは御案内のとおりであります。 法定準備金の取り崩しによる自己株式の取得というのは、まず、法定準備金の取り崩しの
株主
総会決議が当然必要であって、その際、債権者保護の
手続
、無効の訴えの
手続
等、
一般
的な資本の減少に関する
手続
と同様の
手続
を必要といたしまして、
会社
の債権者の保護を図るということとなっております。 今回の改正案では、最終の
決算期
後、法定準備金の減少を行った場合には、減少した法定準備金に相当する額は、中間配当限度額の計算に当たり、純資産額から控除額には含めないということで、取り崩した法定準備金を中間配当限度額に含めることとしているわけであります。 既に述べておりますように、定款授権に基づく
取締役会
決議による自己株の取得の財源というのは中間配当限度額とされていることから、当然、取り崩した法定準備金を財源として、定款授権による
取締役会
決議により自己株式を取得することができる、こういうことで、取り崩した法定準備金を自己株式の取得財源とすることも可能ということで、もちろん、既に述べたように、債権者保護のための
手続
は行われるということで、
先ほど
来
先生
がおっしゃられている含意は、債権者の保護はどうなるのか、
株主
の保護はどうなのかということだろうと思いますが、
手続
はとっているということだと思います。
木島日出夫
51
○木島
委員
私が一番関心があるのは、
会社
が自己株を取得するときに、その情報がどのくらい
株主
や、
一般
投資家
や、
一般
国民、外国の
投資家
等に知れていくんだろうかというところに含意があるわけです。 そうすると、
取締役会
決議は外の者には見えない。ただし、
自社株
を買い取る原資を、法定準備金を取り崩すという大変荒っぽい、資本充実の原則に根本的に反するような非常に荒っぽいことを原資として使うという場合には、確かにそれは資本の減少ですから、
株主
総会の議決事項になっている。その範囲で
株主
は事前に知るところになる。 しかし、仮に、法定準備金の取り崩しなんという荒っぽいことじゃなくて、
利益
を
自社株
配当に回すというような場合には、確認ですが、
株主
総会は要らないですね、
商法
の規定は。
塩崎恭久
52
○
塩崎議員
当然、事後に、総会で次に報告をするわけでありますし、もともと、この間も
議論
になりましたけれ
ども
、総会で
株主
が選択をできるわけで、特別決議で定款を変えるわけでありますから、それを……(木島
委員
「特別決議なんか関係ないですよ」と呼ぶ)いや、特別決議を無効というか
意味
がないということであるならば、何も決められないということになりますので。
木島日出夫
53
○木島
委員
イエスかノーかだけでいいんですよ。 要するに、定款さえ一回変更してしまえば、もう翌年も翌々年も、将来、未来永劫に
株主
総会なんて開かずに、法定準備金の取り崩しなんという荒っぽい方法でない原資を使って、要するに
利益
ですよ、
利益
を使って
自社株
を買い取る場合には、事前に知る者は
取締役会
を構成する取締役しかいない、そういう仕組みになっているということを、今度の法改正の基本仕組みをまず押さえておきたいと思います。 それでは次に、きょうは
金融庁
を呼んでおりますからお聞きしますが、では、現実に、ある
会社
が
自社株
を買い受けるという場合に、
証券
取引
上はどんな規制がかかることになっておりますか。骨だけでいいです。きょうは細かい論議に立ち入るつもりはありません。
大久保良夫
54
○
大久保政府参考人
お答え
申し上げます。
証券
取引
法において、自己株式の買い受け、売却に係る規定は大まかにどういうふうになっているかというお尋ねでございますが、
証券
取引
法におきましては、自己株式の
買い取り
、売却に関しまして、まず第一に、
インサイダー取引
規制関係ではこれを重要事実というふうに位置づけまして、これらの決定について公表した後でなければ、上場
会社
等の
会社
関係者は自己株式の取得または処分をしてはならないというふうに決めております。 また、
相場操縦
関係では、自己株式の売買に関しまして一定の遵守すべき
要件
を定めるという仕組みになっております。 また第三に、
市場
外で買い付けをするという場合には、公開買い付けによるということとなっております。 また第四に、ディスクロージャー関係では、自己株券買付
状況
報告書の
提出
等を義務づけるというような規定を置いております。
木島日出夫
55
○木島
委員
今、規制の柱をお聞きいたしますと、
市場
外
取引
で買い受ける場合には公開買い付けの方法だと。そうすると、あらかじめ
会社
は、どの期間内に何万株を
株価
幾らで買いますから
株主
は持ってこい、そうすれば買ってあげますよということで表に出るということですね。 それから、
市場
で
取引
する場合には、今
答弁
にあったように、
インサイダー取引
をされてはいかぬということで重要事項を事前に公表する。そういうことで、今回の法改正ができますと、
取締役会
決議のみで
会社
が
自社株
を買い受けることが辛うじて表に見えるようになるということですね。 さて、そうしますと、
提案者
に聞きますが、それも全部
取締役会
決議が行われた後でしょう。重要事項の公表とか公開買い付けの方法を告知するというのは後でしょう。ですから、
取締役会
決議が行われたという事実、大変重要な事実ですね。その事実を知り得る
立場
にあるのは取締役しかいない。また、取締役の周辺部分にいる者しかわからない。そういう者は事前にキャッチできるということになりますね。 そうすると、私は、そこで大変な
インサイダー取引
の可能性、おそれが急速に膨らんでくるんじゃないかと。
会社
は
取締役会
決議をして、
自社株
を何万株買い受ける、価格は幾らだ、今非常に安いというようなことを取締役周辺はかぎつけることができる。そうすると、もう買ってしまおうというので、あらかじめ安い
株価
で買い占めてしまう。そしてその後、
取締役会
の決議があって、それより非常に高い値段で
株価
が設定されて、公開買い付けになる。そうすると、
インサイダー取引
がまんまと成功するということになるんじゃないかと思います。 それで、
証券
取引
等
監視
委員会
をお呼びいたします。この三年ぐらいでいいですが、内部者
取引
で有罪となって確定したどんな事件があるか、簡潔に答えていただけませんか。幾つか例を教えてください。
新原芳明
56
○新原
政府参考人
お答え
申し上げます。
平成
十一事務年度から
平成
十三事務年度の三カ年で、
証取法
上の内部者
取引
に係る犯則事件、判決の内容は法務省の管轄でございますので、私
ども
、摘発したものが六件ございます。具体的……(木島
委員
「簡潔でいいです、どんな人物がどんな
インサイダー
をやったか」と呼ぶ)はい。 例えば、
株式会社
ピコイの
取引
先の役員が、その
会社
の和議の開始の申し立てを行うことを知って公表前に売りつけた。あるいは、
株式会社
プレナスの役員のお姉さんが、役員からプレナスが子
会社
の異動を伴う株券の取得を行うことを知り、公表前に株券を買い付けた。あるいは、武藤工業の業務提携先の社員、
公認会計士
でございますが、これが資本業務提携を行うことを知って、公表前に同社の株券を買い付けたというような件で六件ございます。ただ、自己株式の取得に関する
取引
についての摘発は、今のところございません。
木島日出夫
57
○木島
委員
それは結構です。全部私は結果を持っています。全部有罪が確定していますよ、これは
自社株
じゃないですけれ
ども
。 要するに、
取締役会
の周辺にいる者、近い者、そういう者が
会社
の重要な情報を知り得る
立場
にあって、事前にそれを知って株式を買って、後で高く売り抜ける、それで
利益
を上げる、そういうのが典型的な
インサイダー
ですね。
先ほど
私は、今度の法改正によって、
取締役会
決議のみで
自社株
が大量に買えるという仕組みを持ち込むことの仕組みを聞きました。これは私は、本当に
インサイダー取引
のおそれを大変に押し広げるものだと思わざるを得ませんが、
提案者
がさっきから手を挙げていますが、言いたいことがあったら
答弁
してください。
太田誠一
58
○
太田
(誠)
議員
今、木島
委員
がおっしゃったことがまさに
インサイダー取引
の定義であって、限られた者のみ知って、その株が上がるという見通しのもとに株を買ってもうけることが
インサイダー取引
なんですから、おっしゃっていることは、
インサイダー取引
とはそういうものだということを言っておられるだけのことであって、だからこそ、それをどうやって防止するかということに意を注がなければいけないということだと思います。
木島日出夫
59
○木島
委員
私が言っているのはそういうことじゃないですよ。現行法は私
ども
反対しましたよ。資本充実の原則に反する、
株主
の
利益
に反する、こういう場当たり的な
会社
経営
ではだめだということで反対しましたよ、二年前に。しかし、それでも二年前は
株主
総会決議を経て
自社株
取引
を
認め
ていたわけです。それは少なくとも
株主
には、表へ出るわけです、広く市民にも、表へ出ます。 しかし、今回はそうじゃないんでしょう。
取締役会
決議のみによって
自社株
を買い取る仕組みをつくり出す。それは
法律
上、表に見えない。辛うじて
取引
直前に重要事項公表とか公開買い付けというようなことで表へ出るだけ。だから、その直前まで幾らでも取締役周辺は、
インサイダー
、重要な情報を知って、いち早くこれを買い受ける、そういう
状況
に置かれるということですよ、今回は。現行法と比べまして、それまで全然、
取締役会
決議は表に見えないわけですから。 時間ですから、その点だけ
指摘
して、何か言いたいことがあったら。
太田誠一
60
○
太田
(誠)
議員
木島
委員
は突然おととしの法改正でそうなったようにおっしゃいますが、
平成
九年に
自社株
取得を解禁いたしまして、最初の
法律
では、まさに
取締役会
決議、定款の授権による
取締役会
決議で
自社株
取得ができるようになっていたわけでございまして、この一年間、去年の
株主
総会からこの一年間だけが今おっしゃったようになっていたというだけのことです。
木島日出夫
61
○木島
委員
もう終わりますが、最初に出発したときは
自社株
消却の
目的
に限定されているんですよ、そういう株はもう消すという。私も反対しましたよ。しかし、それは非常に限定的な
目的
だったんです。一昨年の
金庫株
の解禁によってそれを押し広げてしまった。ただし、
手続
だけは
株主
総会という厳格な
手続
を経ていた。今回は、押し広げて、さらに
手続
も、取締役しかしないようなやり方で全面解禁、こんなばかげた
法案
はないじゃないかと。だから、
余り
にもひどいので、恥ずかしいから、法務省、閣法に出せなかったんじゃないでしょうか。 さらに言えば、もう
一つ
、もう時間ですから終わりますが、売り抜けるわけですよ、今度は。
金庫株
は持って、
会社
は売ることもできるんですよ。そこでまたとんでもない利ざや稼ぎなんかにこの法改正が使われるということを厳しく
指摘
して、私は質問を終わります。
山本有二
62
○
山本委員長
保坂
展人君
。
保坂展人
63
○保坂(展)
委員
社民党の保坂展人です。 前回少し積み残した点を何点か
提案者
にお聞きしますが、前回、中間配当のところでアサヒビールの事例を答えていただいたのですが、他にどのぐらいこういった事例が生じているのかということについて、いかがでしょうか。
金子善次郎
64
○金子(善)
議員
お答え
いたします。 どれぐらいの事例があるかという御質問でございますが、詳細には把握しているわけではございません。ただ、
日本
ユニパックホールディング、これがアサヒビール以外に中間配当ができなかった事例として承知をしているところでございます。
保坂展人
65
○保坂(展)
委員
前回も聞いて、ちょっと
お答え
いただけなかったのですが、現行制度のもとで中間配当が制限された部分であっても期末における配当財源というふうにすることが可能であって、そうなれば特段不都合が生じないのではないかということについて。
金子善次郎
66
○金子(善)
議員
現状でございますけれ
ども
、多くの
株式会社
が定款で中間配当を行うと定めているところでございますけれ
ども
、
株主
サイドから見れば、期末と期中の年二回配当が行われるということを強く期待しているところであると思います。 そうした中で、中間配当を受けられない
株主
からは、まず、中間配当を行っても資本の欠損を生じるわけではないわけで、そうした
状況
を前提といたしまして、現行法による計算方法は過剰な規制ではないかとか、あるいは現行法においても取り崩した法定準備金は定時の総会決議で
株主
に払い戻すことができるのであるというようなこととの整合性がないというような
指摘
もなされているところでございます。 そういうことで、中間配当をもらえないということ、そのことについての合理的な
説明
がなかなかできないのではないか、
株主
から理解を得ることが難しいのではないかという趣旨でございますが、そうしたことから、
株主
の期待にこたえるよう、中間配当限度額の計算方法を見直しまして、
会社
が円滑に中間配当を行うことを可能とする必要がある、こういう
認識
でございます。
保坂展人
67
○保坂(展)
委員
では、もう一点なんですが、これは
商法
の
特例
法の関係なんですが、
委員会
等設置
会社
について、自己株式の取得の決定を
取締役会
に留保し、これを執行役にゆだねることができないというふうにしている点について、その理由を。
太田誠一
68
○
太田
(誠)
議員
委員会
等設置
会社
について、自己株式の取得の決定を
取締役会
に留保し、執行役にゆだねることができないというのは、言ってみれば、
取締役会
は
株主
総会のさらに代
議員
会みたいなものだという位置づけがあって、その意思決定
機関
としての
取締役会
がゆだねた範囲で執行を行えるわけであります。ですから、
取締役会
の決議で
利益
処分的な性質を持つ重要なことでありますから、これは執行役などに任せるわけにはいかないと。
保坂展人
69
○保坂(展)
委員
ちょっとこの辺でこの
商法
から離れまして、残りの時間を、
民事
局長に来ていただいていますので、不動産権利証が廃止をされて、いわゆる電子情報化するということがきのうの毎日新聞に報道されました。これは大変国民生活にかかわりの深い、影響もあるかと思うので、二、三、ちょっと
答弁
をしていただきたいと思います。 これは、インターネットを通して、速く、また簡便に登記の
手続
がなされることが可能になるということなんですが、従来のように、本人が登記所に行って、そして
手続
をするということも可能なのかどうか。その場合は、権利証みたいな従来のものは変わらずにあるのか、それとも違う仕組みになるのか。それだけ答えてください。
房村精一
70
○房村
政府参考人
御
指摘
のように、現在、法務省
民事
局においては、不動産登記オンライン申請を可能にする方策を
検討
中でございます。 オンライン申請を可能にした場合、窓口に直接申請ができるかという点ですが、これは窓口への申請も可能でございます。どちらでも、申請する者の任意の選択によります。 その場合、登記済み証はどうなるかということですが、これはもう基本的に、オンライン申請であれ窓口であれ、これからは電子ベースでの処理が中心になりますので、窓口で申請をしていただいた場合にも、登記済み証ではなくて、識別情報を申請人に交付するということになります。
保坂展人
71
○保坂(展)
委員
ちょっと教えていただくと、識別情報というのは、アルファベットと数字の組み合わせの情報というものがインターネットでやった場合は送られてくるわけですね。そして、窓口へ行っても、要するにアルファベットと数字の組み合わせの登記識別情報は、はい、これですよと渡される、こういうことですね。それでよかったらそれでいいんですけれ
ども
。 それで、大変便利なようで、新たな犯罪を誘発しないのかということをまずすぐ考えてしまいますよね。今まで、例えば押し込み強盗とかそういう方が来ても、家にある金銭あるいは貴金属、そういうものをとっていく、家そのものは盗まれなかったわけですよね。これは、もし、この制度が普及した後に、そういった外部から自宅内に侵入して、登記識別情報というのは本人しか知らないんですね、権利証というのはないわけですから、パソコンを前におどされて、要するに登記を変えられてしまう、そしてまた、本人そのものが行方不明になってしまったり、ひとり暮らしのお年寄りがねらわれたり、そういったセキュリティーの面で大変問題を残すんじゃないかと思いますけれ
ども
、いかがですか。
房村精一
72
○房村
政府参考人
登記識別情報にした場合に、おっしゃるように、それを第三者が何らかの手段で入手して、本人に成り済まして登記申請をするという可能性は否定できないわけであります。 ただ、登記申請の場合に、登記識別情報だけで本人確認をするわけではなくて、オンラインの申請であれば電子認証、このような仕組み、あるいは電子署名、そういったオンラインによる本人確認の手段が今開発されておりますが、そういうものとプラスして登記識別情報を要求しておりますので、登記識別情報を入手したからといって直ちに成り済ませるわけではない、それがまず第一点でございます。 それから、何らかの形で登記識別情報が他人に盗まれたのではないか、そういうような疑いを持った場合には、登記識別情報を失効させる
手続
も用意してありますので、それを事前にとっていただければ成り済ましを防ぐ、あるいは第三者が成り済まして登記申請をするおそれがあるというようなことを登記所の方に通報していただけますと、今回の法改正では登記官の本人確認の
権限
を
強化
してそういった成り済ましを防ぐような仕組みを考えておりますので、そういったものを総合することによって防げるのではないか、こう思っております。
保坂展人
73
○保坂(展)
委員
実は、けさこれをいただいたんですが、七月一日に、きょうですね、電子情報処理
組織
を使用する方法による申請の導入等に伴う不動産登記法の改正に関する担当者骨子案というのが出て、一カ月間国民から意見を募ると。今大事な時期なんですね、
法案
を国会に
提出
されてから骨格を変えるのはなかなか難しいんですけれ
ども
。 そこで、ちょっと伺いますけれ
ども
、では、登記をする国民の側のプライバシー、そこを十分保護することができるのかどうかということで、つまり、権利証なんというのは、どこかに隠しておいたり、あるいは
銀行
の貸し金庫とか、安全な場所に置くことができるんですけれ
ども
、インターネット上の情報というのはごくごく簡単に複製されていくわけですね。複製することはかなり可能なわけです。そして、いわゆるサイバーテロもありますし、またハッカーという形で相当強固なバリアも破って入ってくる。それに対して暗号化の技術で対抗する。これは日進月歩なわけで、お互いにイタチごっこなわけですよね。 こういうことを見ますと、ちょっと流れを図面に示したものを見ると、インターネットで登記の申請をすると、本人確認として、住基台帳のネットワークシステムで、登記官がここに照会をして本人であるかどうかを見る、こう書いてあるわけですね。これはこういうふうにやるんですか。
房村精一
74
○房村
政府参考人
現在、登記申請に当たって申請人の住民票の添付を要する登記申請がございます。これをオンラインで申請する場合に、書面での住民票の添付はできませんので、そういう場合にオンライン申請を可能にするために、住民票の添付を要求しているような登記申請につきましては、登記官の方で住基ネットワークに接続してその住所を確認するということによって住民票の添付を不要にする、そういう仕組みを考えております。
保坂展人
75
○保坂(展)
委員
そうすると、例えば土地の持ち主が、例えば道路をつくるとか公共の建築物をつくるということで、どうも最初の登記上の住所にいないというときには、直ちに、要するに住基台帳で確認しているわけですから、十一けたの番号が一人一人に振られているわけですよね、川崎市に住んでいた人が今川崎に住んでいないというときに、どこにいるのかいなということで照会をして、例えば、ああ、この方は山形県に引っ越していた、こういう形で照会をするという形で使われることもあるんですか。
房村精一
76
○房村
政府参考人
これは、
先ほど
も申し上げましたように、住所を証するために住民票の添付を要求している、それにかえて住基ネットで確認するということで、こちらから住所を、要するに追跡するために行っているわけではありませんので。
保坂展人
77
○保坂(展)
委員
ただ、追跡するためにやっていなくても、コンピューターというのは必ず履歴を残していくわけで、どこにその持ち主がいるかわからないという、国や自治体がその方を追いかけるときに、これは必ず使うだろうということは
指摘
しておきたいと思いますよ。 この
委員会
でも、法務省はいろいろなネットワークシステムをつくっていますよね。CONETという矯正ネットワークシステムも、何か、初歩的なこともできないのではないかという
指摘
、その割には随分お金を使っているなということを言いましたけれ
ども
、このシステムの開発のために、現在、どのぐらい予算を使ったのか、それからこれを稼働させて維持させていくためにどのぐらいの予算規模を想定しているのか、お願いします。
房村精一
78
○房村
政府参考人
このオンラインシステムの開発でございますが、これにつきましては、
平成
十四年度と十五年度で予算措置をしておりまして、合計で六億三千万になります。 運用コストですが、これについては、基本的に法務省の汎用の受け付けシステムを利用して申請してもらって、それを各登記所あてに配る、そして登記所では登記所にあるコンピューターシステムを使って処理をするという形になりますので、オンラインそのものの運用コストというのは、まだ積算もしておりませんが、それほどの額にはならないだろうと思っております。
保坂展人
79
○保坂(展)
委員
法務大臣
に伺いますけれ
ども
、実は、こういった制度をどういう制度にしていくかということで、例えば登記の、登記済みということをICカードで与えたらどうだろうかとか、中に携帯電話なんというのもあったみたいですね、携帯電話で本人確認をして。 いろいろな案があって、今の案に落ちつきつつあるらしいんですけれ
ども
、不動産権利証というのは、まさに土地の登記、財産の一番の核をなすものですから、特にお年寄りはこういうものに弱いですよ。ましてや、アルファベットと数字の羅列が、これはこれだけ大事なものだということをおわかりになるかどうかということを考えると、やはり慎重に、特にそういったコンピューター社会になれていない高齢者の財産が不当に害されることがないように、しっかり、これは
議論
の段階ごとに開いて、ぜひ慎重に
検討
していただきたいというふうに思いますが、いかがですか。
森山眞弓
80
○森山国務
大臣
世の中が非常にコンピューター化しておりまして、すべてのものがコンピューターで処理されるという時代になっておりますので、インターネット、コンピューターを通じていろいろな
手続
が行えるようにというのは、国民の便利の面からいいますと非常に重要なことでございますので、電子
政府
というのをつくろうということも非常に重要な課題でございます。 今
お話
しのこの登記の問題についても、できるだけ便利なやり方でということでこのようなものが考えられているわけでございますけれ
ども
、おっしゃるように、犯罪の問題とかあるいはプライバシーとか、いろいろ考えなきゃならない問題がたくさんございますので、十分慎重にいろいろな考え得る方法を考えて、万全を期していきたいというふうに思います。
保坂展人
81
○保坂(展)
委員
この問題は、それこそ家族の中でも、おばあちゃんを孫たちがいわば半分だまして財産を移転してしまうなんということも起こり得ることですから、むしろその犯罪対策のためにまた予算がうんと必要になったなんということに絶対ならないように、これは本当に大変大事な問題だと思いますので、今後も
議論
させてください。 これで終わります。
山本有二
82
○
山本委員長
これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————
山本有二
83
○
山本委員長
これより討論に入ります。 討論の申し出がありますので、これを許します。
中林よし子
君。
中林よし子
84
○中林
委員
私は、
日本
共産党を代表して、ただいま議題となりました
商法
等一部改正案に対する反対討論を行います。 反対理由の第一は、本改正が
金庫株
取得方法の緩和により、債権者保護のための資本充実・維持の原則を一層形骸化し、
株主
平等の原則の例外をつくるなど
商法
の原則を崩し、
相場操縦
、
インサイダー取引
のおそれを増大させるものだからです。 株式の公開買い付けや、資本提携、和議開始申し立てに伴って、
企業
経営者
やその家族、提携先などによる
インサイダー取引
が後を絶ちません。これまで
株主
総会という比較的開かれた場でしか決定することができなかった
金庫株
取得の決定を、本改正のように
取締役会
という密室の決定にゆだねることによって、
インサイダー取引
が一層助長されかねません。 反対理由の第二は、中間配当限度額の計算方法の見直しが、
商法
学者から異例の批判声明が出される等、
株価
対策を
目的
に極めて拙速に進められた二〇〇一年
商法
等改正案のミスを糊塗するものであり、法定準備金の取り崩し額等を中間配当の財源にすることをできるようにするなど、資本充実・維持の原則を形骸化するものだからです。 以上、反対の理由を述べ、討論を終わります。(拍手)
山本有二
85
○
山本委員長
これにて討論は終局いたしました。
—————————————
山本有二
86
○
山本委員長
これより採決に入ります。
塩崎恭久
君外四名
提出
、
商法
及び
株式会社
の
監査等
に関する
商法
の
特例
に関する
法律
の一部を改正する
法律案
について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
山本有二
87
○
山本委員長
起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました
法律案
に関する
委員会
報告書の作成につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
山本有二
88
○
山本委員長
御
異議
なしと
認め
ます。よって、そのように決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
—————————————
山本有二
89
○
山本委員長
次回は、明二日水曜日午前九時三十分
理事
会、午前十時
委員会
を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時二分散会