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山花委員 では、
青木審議官どうもありがとうございました。退席されて結構です。
それでは次に、この先取特権なんですけれども、先日来ずっと
参考人の
質疑でも
意見を伺ったりとか、あるいはこの場でも申し上げてきたことですけれども、これを実現しようとするとなかなか
手続のところで壁があって、これももう申し上げていたことですけれども、実際に立証するための書面を集めようとすると、しかも証明力のあるような形でということになると、そうそう容易に手に入らないものであったりとか、あるいはせっかく手に入れても、いろいろなものを持っていっても
裁判所の方で、いやそれだけではちょっとという話があったりとか、過日、
山内委員もいろいろ
質疑をされておりました。
そこで、まず
裁判所の方にお伺いしたいんですけれども、過去にも同様の議論が行われていたわけであります。第八十七国会、昭和五十四年のことですから結構昔になります。同じような議論がされているんですね。
例えば参議院の方で
政府委員の香川さんという方が、「その権利を証する書面なりや否やというところは、ある
程度そのものずばりの明白なものでなくとも、存在が推認できるというようなものであれば、この書面として扱うというふうな運用を期待したいわけでございます。」というふうに言われております。あるいは、違うところの
答弁ですけれども、「
裁判所のこの書面の取り扱いについては、
相当弾力的に考えていただければというふうに考えております。」と
政府側は一生懸命弾力的にやってくれというようなことを言われていて、当時の最高
裁判所長官代理者西山俊彦さんは、これも
答弁をしていて、
先取特権を証する文書の種類については、実務の取り扱いといたしましても特に制限をしているわけではございませんで、
執行官あるいは
執行手続でどういう証明文書が多く用いられているかということは実際にはわかりませんが、仮に賃金
支払いの仮処分の事件なんかの例によって考えてみますと、倒産をしたという企業であってもまだ会計係が残っている場合がございまして、その会計係の人が給与に関する証明を出してくれるという例もありますし、それから賃金台帳を持参してくるという例もございます。それから、そういうものがない場合でも、
そういうものがない場合でもということを言われていて、
過去に毎月毎月賃金をもらっていたその賃金の明細書を各人労働者持っておるわけでございまして、それを提出してもらって賃金額を決めているというのが実情でございまして、かなり融通的な取り扱いがなされているのではないかというふうに考えておるわけでございます。
と非常に希望的な観測を述べられております。
さらには、大変御丁寧に、これは衆議院の方に来たときに、
政府からの
答弁などもいろいろあったんですけれども、
先回の議事、それから今回の議事もそうですが、この立法過程それからその審議過程におきます論議は、これは当然立法解釈の資料として裁判官も使うということはもちろんでございます。特に新しい法律でありますれば、それが解釈、運用の指針になるということは、もう一番強い
意味を持っておるように思われます。私どもといたしましては、この法案が成立いたしました暁は、
民事執行法についての裁判官用の執務資料を作成して、その中に国会における
質疑応答の内容も掲載する予定でおります。それから、この
民事執行法の解釈、運用について裁判官協議会を開催して、新法の運用に遺憾なきを期するという予定でおりますが、その中の問題の一つとして、いま問題になっております各条文についての解釈についても、
意見交換をする機会を持ちたいというふうに考えております。それから恐らく、新法が施行されるまでには
法務省当局の立案担当者によります公式の解釈というものが、いろいろな文献に載ることであろうかと思われます。それも当然裁判官の目に触れて、運用に誤りがないことになるであろうというふうに申し上げるわけでございます。
と随分御丁寧な
答弁をされていたんですけれども、その割には、過日来指摘があるように、その証する書面についてはかなり厳しい取り扱い実務がされている
ケースもあるわけであります。
つまり、行政の側からもこういうふうにやってほしい、議会の側からも柔軟にやってほしいというようなやりとりがあって、参議院なんかの附帯の決議でも、「柔軟な対処を図る法の
趣旨にかんがみ、」とか、こういうことが言われていて、ここまでいろいろあって丁寧に
答弁されて、ところが、実際の運用が随分厳しいということですと、議会に身を置く側からすると、率直に言って何なんだというような気もするわけであります。
過去にこういった
答弁もされているわけですけれども、この点について
裁判所としては、今回、例えばこういう議論があったということを受けて、特に何かされるということはあるんでしょうか。あるいは、過日の
答弁と全く一緒ということなんでしょうか。その点についての御認識をまず伺いたいと思います。