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山崎政府参考人 四十四条一項に、八号までですか、さまざまな取り消し事由が書かれております。簡単に御
説明申し上げます。
一号でございますけれ
ども、これは、例えば、
当事者が
仲裁合意の当時、
法律行為をする能力がなく、有効に
法律行為をすることができなかったような場合でございます。
第二号は、
仲裁合意の成立
効力は日本法によると
合意されていた場合に、その
仲裁合意に錯誤があって無効になる、こういうような場合ということでございます。
三号は、いわゆる
手続保障を欠く重要な例として、適正な通知がなかった場合を取り上げたものでございます。例としては、
仲裁手続について口頭審理を行う場合に、その日時、場所が通知されずに
手続が進められてしまって、
仲裁判断に至ってしまったというような場合でございます。
それから四号につきましては、
仲裁判断の取り消しを求める申立人が、
仲裁廷の行った
仲裁手続において相手方の
主張立証に対する反論の機会を与えられず、
手続保障を欠いてしまったような場合ということでございます。
五号でございますけれ
ども、損害賠償についての
仲裁合意をいたしたのに物の引き渡しを命じてしまったというようなものでございます。あるいは、百万円の支払いを求めたのに百五十万円の支払いを命じたとか、そういうものでございます。
それから六号は、
仲裁廷のメンバーでありますが、
仲裁人の選任
手続が行われていなかったりあるいは
仲裁人の権限を有していなかったというような場合、それから、口頭審理を開くことが
当事者間で
合意されていたのに、それを開かないままその
判断がされたというような場合でございます。
七号は、例えば特許の有効性そのものの争いなどについて
仲裁によって解決することはできないのでございますが、それについて
仲裁判断が出されたというような場合でございます。
それから八号は、例えば、禁制品の
取引代金の支払いを命ずるような
仲裁判断がなされたような場合。
こういうようなことがいわゆる取り消し事由であるということでございます。