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山崎政府参考人 これは、明治二十三年に
現行法ができて以来、形式
改正以外は全く
改正をしていないという代物でございまして、何でそんなにほっておかれたのかということにもなるわけでございますけれ
ども、やはり、どうしても
日本人にはなじみがないというのがまず出発点にあろうと思います。何かやはり物事を
解決してもらうためには、お上と言っちゃおかしいんですけれ
ども、
裁判所でぴしっと決めてほしいという感覚がどうもあるんじゃないですかね、
日本人には。ですから、なかなか使わない。これが根底にあるのかなというふうに私は思います。それは推察でございますので、本当にそうかどうか、わかりませんけれ
ども。
それから、そうなりますと、
余り使われないものですから、
仲裁人の候補者、これもやはり十分ではないというふうに、どっちが鶏か卵かという問題はございますけれ
ども、そういう問題になる、ますます使われなくなるという状況になります。
それから、国際的な
仲裁、最近はかなり行われていると思いますが、なかなかこれも
日本の企業が嫌がったのは、言語の問題があるということでございまして、多分、
外国と
取引をした場合には、どの言語で
仲裁を行うかといったら英語になるだろうと思います。
日本人は語学に非常に弱いものですから、そういうところでなかなかこれを使わなかったということでございますけれ
ども、最近はもう
日本の方も英語が相当上手になっておりますので、使えるようになっておりますので、最近は
仲裁を結構活用して行われるということになりますが、なかなか
日本での
仲裁は行われない、ロンドン、パリ、ニューヨークとか、そういうところで
仲裁を行っているという例が多いというふうに聞いております。
そういう中で、今回は、
現行法の
仲裁法、これを
改正するわけでございますが、
現行法の法律は片仮名で書かれておりまして非常にわかりにくい、それから使い勝手も悪い、要するに
世界的な
流れとは少し違う
規定を置いているということもございまして、やはり
仲裁が
利用されてこなかったということになろうかと思います。
一番使い勝手が悪いのは、典型的に申し上げれば、現在の
仲裁法は、
当事者が
仲裁人の人数を定めれば別ですけれ
ども、
合意しないときは、
原則として
仲裁人は二人という
規定を置いているわけでございます。AとBが
仲裁契約を結んで、それぞれが
仲裁人を選定するわけでございます。この二人で
仲裁を行います。
意見が可否同数のときはそこで
仲裁が終了してしまう、こういう
規定になっているわけでございます。これは明治十年にドイツの法律ができたのをそのまま入れたものでございまして、現在、
世界の潮流は三人でございます。
要は、二人でやっていますと可否同数になるのは当たり前ですね、普通でいけば。そうすると、そこで
仲裁は終わっちゃうんですね。これじゃもう本当に使ってみても
意味がないということにもなりますし、
世界の国々が
日本と
仲裁合意をして
日本で
仲裁をやろうという気にならないんだろうと思いますね。こういう点が非常に問題があるということで、今までずっと
指摘がございました。
私
どもも、政府としては、
法務省を中心にかなり前から
改正をしなければならないということは意識はしておりましたけれ
ども、その間、
民事法制の大幅な変革、特に
手続法の変革という波がございまして、なかなかやる時間がなかったということで、最終的に今回提出ができたということでございます。
なお、私的なことながら申しわけございませんけれ
ども、UNCITRALの
モデル法、これが成立しましたのが昭和六十年でございまして、その
会議に
出席していたのが私でございます。その当時からやらなければならないという意識はずっとございましたけれ
ども、なかなかできなかったということで、今回、国際的な
仲裁と国内的
仲裁、それを含めまして
独立の法律ができるということで、私もほっとしているというところはございますが、ぜひ御
承認をいただきたいと思います。