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中村(哲)
委員 お話を聞いていると、十分な研修を行って調査官はしっかり育てているというふうな御
答弁だと
理解をさせていただくわけですが、現場の弁護士さん
たちはそのように感じていらっしゃいません。
ここに、全国難民弁護団連絡
会議がお調べになった「
難民調査官の資質、技能、知識や態度が問題となった事例 二〇〇三年二月」というものがあります。ここに載っていることを聞いたら、驚くべきことがいろいろ書いてあるわけです。
難民調査官に任命されるに際して何ら特別な研修を受けることなくそのまま業務についていた事例。入省三十二年目にして突然
難民調査官に任命されて二年間のみ
難民調査官として勤務した者であった事例。最低限の知識さえないということが認められる事例として、この難民認定
基準ハンドブック、これもごらんになっていなかった事例。「灰色の利益」という
言葉自体をお知りにならなかったという事例。難民の定義として記載されている「特定の社会的集団」という用語すら頭に入っていなかった事例。
もっともっといろいろあるんですけれども、一番ひどいのでは、カルザイ大統領の名前を知らなかった調査官。タリバンのことについて新聞報道されるまで知らなかった調査官。また、バングラデシュの状況をよく把握していない調査官に、UNHCRはよく知っていたと指摘したところ、それはあちらは専門家だからと答えた調査官。いろいろありますね。さっきのカルザイさんの件では、カルザイと言っているのに「カイザイ」と書いたり、また読み聞かせのときにはカイザルと読んだり、そういったことがある。
このときに、立ち会いの弁護士さんの感想は、このように述べられているんです。実は、私は難民
異議のインタビューに立ち会うのは初めてでしたが、本当に腰が抜けるほど驚きました。ほかの弁護士がさんざん問題点を指摘していることが全く大げさではなかったことを身をもって知ってしまった次第です。人のよい不器用なおじさんタイプと言えなくはないのですが、難民認定
手続は、ある意味人の命にもかかわる
手続なのですから、到底このような人に関与させてはならないと思いました。このように立ち会い弁護士の方が感想を述べられているんですね。
実は、こういったことが現場で起きている。今、局長がおっしゃったように、近年まれに見るハイスピードで研修体制は整っているんだと恐らく思うんです。しかし、今までこういった事例が脈々としてあって、現場の弁護士さんは、
難民調査官の資質がどうなっているんだという気持ちを感じていらっしゃる。そういった実情に対して、
大臣は御存じでしょうか。