○松本(善)委員 本当に認識が甘いと思うんです。これは本当に極端に言えば、どの
輸入食品も、安全だということを胸を張って言えるようなものはないですよ、いろいろ。
食品の安全の問題について、国民に、今のままで安全ですなんということを言えるか。私は、今の答弁は結局、やはりそういうことを小泉内閣は言っているんだと。
亀井農水
大臣は最初に、いやそんな、
現状でいいというようなことを考えているつもりはないと言われるけれども、実際は、小泉内閣の姿勢というのは、今のままで、財政
状況も厳しい、人員もそんなにふやせない、だから安全でないものを食べてもしようがないんだということを言っているんだというふうにしか受け取れない。こういうふうに申し上げて、私は、この問題ばかりやっているわけにいきませんから、次の問題に移ろうと思います。
この問題の根幹にあるのが、一九九五年に発効したWTO協定と、その中に含まれているSPS協定、衛生植物検疫
措置の適用に関する協定であります。これは国際基準のハーモナイゼーション、平準化を強制するものであって、この国際基準が極めて緩い基準になっている。検査体制の問題もありますが、この基準の問題がある。これは輸出国のアグリビジネスとか多国籍企業が策定に関与をしていて、安全基準が緩ければ
意味がない。SPS協定全体を、我が国の国民の食の安全を守るという観点から見直して、協定の改定も課題にしなければならないと思います。
WTO協定に根本的な問題がありますし、進行中なので、この問題、WTO協定について、農水
大臣に伺いたいと思います。この協定交渉、特に多面的機能についてお聞きしたいと思います。
モダリティーの合意は断念をされて、そして、
大臣は四月の二十九日から訪欧されて、EUだとかWTOの幹部などとも会談をしてこられました。九月のメキシコ・カンクンにおける第五回閣僚
会議に向けて、食料安全保障、農業の多面的機能などの非貿易的関心事項についての各国合意に向けた努力は極めて重要だと思います。
二〇〇二年六月十四日に、ローマで、第四回の非貿易的関心事項に関する閣僚レベル
会議が、五十四カ国の参加で開かれて、そして、WTOでのさらなる約束は非貿易的関心事項に
対応しなければならないというコミュニケを発表しました。
ドーハの閣僚宣言には、「我々は、加盟国から提出された交渉提案に反映された非貿易的関心事項に留意するとともに、非貿易的関心事項が農業協定で規定されているとおり交渉において考慮されることを認識する」と。
この非貿易的関心事項、多面的機能の問題は非常に重要でありますが、私がきょう特に申し上げたいと思いますのは、国際人権規約なんですね。人権宣言があってそれから人権規約がありますけれども、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約の第一条に、「すべて人民は、互恵の原則に基づく国際的経済
協力から生ずる
義務及び国際法上の
義務に違反しない限り、自己のためにその天然の富及び資源を自由に処分することができる。人民は、いかなる場合にも、その生存のための手段を奪われることはない。」というふうに規定をされております。
農業、森林の多面的機能というのは、我が国の国民が生存していくために不可欠の資産だと思います。
農水省作成の資料によりますと、
日本学術
会議の
評価額は、農業で八兆二千二百二十六億円、森林で七十兆二千六百三十八億円。その中身は、例えば農業でいえば洪水防止機能でありますとか、土壌侵食防止機能でありますとか、土砂崩壊防止機能でありますとか、森林でいけば二酸化炭素の吸収機能でありますとか、表面侵食防止機能でありますとか、表層崩壊防止機能、洪水緩和機能等々、やはり
日本の国民が生きていくために不可欠の機能がありますし、これらはやはり我が国の天然の富及び資源の
一つであると思います。
この農業、森林の多面的機能の問題というのは、我が国の国民の生存及び我が国の天然資源等を守るという根本問題で、妥協のできない性質のものであると思いますが、農水
大臣、いかがお考えでしょうか。