○中林
委員 例えばセーフガードの発動問題で、暫定発動いたしました。しかし、自動車業界の方から、中国が制裁
措置をとって一定の輸入制限をしたということで、大変なあつれきの中で本発動には至らなかった。日中の首脳間の話し合いということでそうなってしまったわけです。本来ならば暫定から正発動というのはどこの国もやっていた状況なんですけれ
ども、そういう
意味では、本当に国内
農業を守る、国内
生産を守るということが、言葉では何かごまかしながら言っているんだけれ
ども、関税引き下げを要求されるということは、要するに輸出国の利益を求めるものだと思うんですね。
だから、EU提案に乗っていこうという話も、EUは基本的に輸出国ですよ。
日本は食料の六割を輸入しています。そういう特異な国だということを肝に銘じていただかないと、このWTO
農業交渉、そういう国益という大くくりの中で、そのバランスを欠くなどということでまたまた
農業が犠牲にならないように。私は、EU提案の数字でいくと言われたときに、これはだめだなというふうにもう本当に失望しているんですけれ
ども、そこも本当に考えてやっていただかなければならないというふうに思います。
私
ども日本共産党国
会議員団は、WTO
農業交渉がある、また、
米政策改革大綱が出たということで、とりわけ米をめぐって非常に大きな分岐点に今あるということで、全国各地の
農業者あるいは
農業団体、消費者、自治体、そういう方々がこのWTO
農業交渉あるいは米改革大綱についてどのように考えていらっしゃるのか、現状はどうなのかということでの全国
調査を展開いたしました。
大臣御存じだと思いますけれ
ども、
北海道は
日本の食料基地だ、このように言われていますね。だから、
北海道の
農業がどうなるかが
日本の全体の
農業をも左右するぐらい大きな
意味があるというふうに思います。
北海道の新十津川町、
北海道の一番の米作地帯ですけれ
ども、ここでいろいろお話を伺いました。その中で出てきた言葉というのは、十ヘクタールつくっても実際二百万円しか残らない、これでは高校なんかやれるわけがない、
米価下落の中で、もう大変ぎりぎりな状況になるんだ、こういう話でございました。
それから、
自分たちの政策が間違っていたなどということを今まで政府は一言も言っていない、もう
自分たちの生活は初任給以下になっているというようなことで、国の施策について大変失望感をあらわにしておられました。
いろいろ激しい言葉などを聞いたわけですけれ
ども、こういう話もありました。十年前に農地拡大して認定
農家を奨励したが、その大
規模農家が支払い金利にも苦しんでいる、それで、負債を背負って肩たたきに遭っている。後継者も育たない、離れていっている、こういうふうに言って、私は
北海道だけに行ったわけではありません、東北、それから関東地方、それから東海地方、近畿、中国、四国、九州、全部回らせていただいたんですけれ
ども、本当に、もうあきらめの境地といいましょうか、そういう事態に、もちろん意欲的な方が中にはいらっしゃいます、もちろんそれを否定するものではないですけれ
ども、全体的にはもうあきらめの境地になっている。
それはなぜなのかということなんですけれ
ども、新政策に基づいて規模拡大をやったけれ
ども、
米価下落になった。それからまた、売る自由だと盛んに宣伝して新
食糧法ができた、これでも
米価は下落した。さらには米の関税化に踏み切った。
農業は守れる、こういうふうに政府は言明しながら、こういう施策をこの十年余りやってまいりました。実態は、もう
米価の急落ですよ。そういう中にあって、本来政府が言ってきたこととはまるで逆の方向になっている。WTO
農業交渉の見通し、こういうふうにさらなる市場開放につながる関税引き下げ、そこに今政府が入り込んでいるということになると、ますます大変な事態になっていく。
大臣、こういう事態をどういうふうにお考えでしょうか、受けとめておられますか。