○城島
委員 日本では、ここにありますが、化学物質の
リスクコミュニケーションの手法というのがありまして、これは私も勉強させていただきましたけれ
ども、
食品にもかなりの部分応用できるんじゃないかというふうに思うんですね。ですから、
日本でも、化学物質については、この
分野の
検討が少し先行しているんじゃないかというふうに
思います。
ただ、化学物質の
リスクコミュニケーション手法
検討会というのが実はあって、その中でも触れられているわけでありますが、
日本においては
行政とか企業等、そういった部分と市民団体、
消費者団体の皆さんとのまさにコミュニケーションというのがふなれであるということから、いろいろな
相互不信とか対立とかいうのが多い。したがって、この
分野はますます力を入れていかないといかぬのじゃないかというここの
指摘があるわけであります。
これを読んでいて、より
食品の方が難しいなと思う点が何点かあったんですが、その最大のものは、今回、このリスクアナリシスという全体の概念を導入した。これはまた欧米どこへ行ってもそうですけれ
ども、
食品においてもこのリスク分析というものを導入する基本的な考え方というのは、
食品もと言った方がいいと
思いますけれ
ども、常に、絶対、いつでも安全だというものではない。まさに使い方、量、あるいは、
食品ですから調理の仕方とか保存とかということによって安全である場合もあるし、場合によっては危険になることもあるということが前提になっているからこそ、分析をしながら、常に安全なものを
消費者の皆さんに提供していく、あるいはとるということが必要だという、その基本的なところがそういう考え方だということだと思うんですね。
そして、化学物質の場合はかなりそれが明確に、害になるかどうかというのが比較的
食品に比べては簡単にと言っては失礼ですけれ
ども、出てくる可能性がある。
食品の場合は、先ほどから論議になっているように、フードチェーンを見ると膨大な範囲がある。しかも、いろいろな人がステークホルダーとしてかかわっている。
代表例でいつも僕も言うんですけれ
ども、例えば塩
一つとっても、塩というのは、人間の健康に必須なものだけれ
ども、とる量が過大になれば高血圧になるというようなことが
代表例です。そうした中で、適量とは一体何かというのはまた人によっても違うという大変に難しいものがこのリスクアナリシスの中にある。
したがって、この
分野については、ますます化学物質以上に
リスクコミュニケーションということを深めながら全体の
理解をしていく必要があるし、また、レベルを上げていく必要がある。
午前中、たまたまでありますけれ
ども、これも鮫島
委員が、この
リスクコミュニケーションに関しての部分だと
思いますが、以前のカイワレの問題をやられていました。たまたま、実は私、先ほど
BSEの問題と言いましたけれ
ども、その同じ
委員会で同じ
指摘をしておりまして、九七年の
委員会では、当時の厚生省ですけれ
ども、いかにもカイワレが原因みたいな報道というはおかしいじゃないか、カイワレそのものはキャリアの
一つであって原因ではない、しかし報道が、あるいは報道だけじゃなくてその発信源の
厚労省そのものも、いかにもカイワレがO157の原因みたいなことを言った、おかしいと。まさにこれは、
情報提供をすればいいというものじゃなくて、間違った
情報を与えるとすれば、これまた
消費者、あるいはその場合は
生産者もそうだったんですけれ
ども、大変な被害があるし、マイナスの効果になる。ですから、
情報そのものも質的にも上げていくということにおいても、ステークホルダーのそれぞれがレベルを上げていく面においてもこの
リスクコミュニケーションが非常に大事だということだと思うんです。
そういう点で、これまたアメリカの例でありますけれ
ども、私が調べたときに、ハーバード大学にもう既にこのリスクアナリシスの研究
機関があって、しかも、その中には
リスクコミュニケーションの講座もある。この
分野の
専門家を国策としても積極的に
育成しているということなんですね。
それで、
お尋ねしたいんですけれ
ども、そういう点でも、
リスクコミュニケーションをうまくレベルを上げていくためにも人材ということが極めて大事だということですけれ
ども、
日本の大学等においては、この部分についての
現状はどうなっているんでしょうか。