○小野
委員 いよいよこの
議論も佳境に入ってきている段階だろうと思っておりますけれ
ども、この段階に当たりまして、少し皆さんが提起された問題外の
部分も含むことになろうかと思いますが、いろいろな点からの御質問をさせていただきたいと思います。
この
少子化対策基本法案が提起されました当初の
問題意識と申しますのは、恐らく、この
基本法案の
前文にもありますとおり、我が国における急速な
少子化社会の進展が高齢化社会を生み出す、同時に人口構造にひずみを生じさせる、こういう問題を克服しなければ将来の
日本のビジョンが描けない、こういうところから、それにいろいろな問題が加味されながら、この
法案がまとめられてきたものと思うわけであります。
そうしますと、この課題、これから
少子化対策に取り組んで、
子供をたくさん産んでいただこうといいながら、実際にその
方たちが
労働人口になるには少なくとも二十年、実際に効果があらわれるまで
考えると三十年というような月日を要するかと思いますと、その間の人口構成のアン
バランスを緩和する措置というものも同時に
考えなくてはならない問題なのではなかろうかというような思いを持つわけでございます。
そこに、もう結論から申しますが、私は、
日本の高度な科学技術の力を使って、ロボットを活用して、この人口アン
バランスの圧力を緩和する社会を実現してはどうだろうということを
考えている次第であります。
実は、先日、自民党内におきまして高齢社会白書に関しての
議論がございました。そこで
厚生労働省を中心にしたところから出されました問題提起というのは、まさにこの人口のアン
バランスの問題でありまして、
労働力人口の減少、また、年金や社会福祉、医療のコスト高に伴うところの財政の問題、
日本社会全体の活力の低下、こういう課題があるから高齢社会に対して真摯に向き合わねばならないんだ、こういう提起がされたわけでありますが、私は、それを聞きながら、このようなマイナス要因ばかりでこの問題というのをとらえ続けていって果たしていいものだろうかという根本的な
問題意識を持った次第であります。
と申しますのも、これが一年、二年で克服できる問題であるとするならば、その問題
指摘をしながら、その問題のマイナス面にいかに取り組むかというふうな解決法で皆さん方も理解いただけるでありましょうが、この問題と申しますと、現在の状況で高齢化率が約二〇%と言われますが、今後二〇五〇年のところでの予測、これはどうなるかまだわかりませんけれ
ども、三五%に及ぶ。国際比較の表を拝見いたしますと、その間ずっと
日本が世界の中で一番の高齢社会を走り続けていく。ということになりますと、この高齢社会というのがマイナス要因ばかりでとらえられるとすれば、これから半世紀以上にわたって、
日本はマイナス環境の中で生きる国家ということをみずからが宣言していることになってしまうのではないか、これが果たして本当に国家として望ましい問題のとらえ方なんであろうかというふうな気持ちを持った次第であります。
ですから、私の論点といたしましては、むしろ、こういう状況に置かれた
日本の国だとするならば、逆に、持てる技術力そして富を尽くして、世界の超高齢社会のモデルとなるべき国家を目指すべきである。現実、これが安易に変えられないとするならば、とらえ方を変えて、この厳しい環境の中を、むしろ、問題を克服し、理想的な社会を目指す国家として世界に
日本はその
取り組みを訴えていくべきであるし、国民にもその理解を求める国家になるべきなのではなかろうかというような気持ちがしたわけであります。
故ケネディ大統領は、若者は夢を持て、老いたる者はビジョンを描け、夢のなきところ社会は滅ぶ、こういうふうなことを言って理想を語る政治をやられたわけでありますけれ
ども、私は、この
日本社会の問題を見るときに、
子供や青年たちにとって最も大きな問題は、現象面における問題よりも、将来に対して、この国や社会が、そしてその人たちの未来が希望のないものだと思わせることが最も深刻な問題である、こういうふうな
認識を持っているわけであります。
そこで、繰り返すようでございますけれ
ども、この少子高齢化社会の問題というのも、それを
理由として青年や
子供の夢を奪うような社会を決してつくってはならない、この逆境と
考えられる状況に対して、逆に
日本の国は積極果敢に挑戦を行い、新しい可能性を切り開き、そして世界に
日本の存在感を示すと同時に、世界じゅうの国家がこれから高齢社会に向かっていくわけでありますから、
日本はその高齢社会の中におけるリーダー国として、新しい幸福観、人生観、喜びを世界に広げていくべきである、こういうふうな思いを持ったところでございます。
そこで、先ほど冒頭に申しましたとおり、ならばこの問題を克服する最も
日本的なる解決法はいかなるものであるかと申しますと、私は、ロボットの活用である、こういうふうに思う次第であります。
これも、単に工場でロボットをたくさん入れて、
労働力が不足するからそのロボットで
労働力不足を緩和しようというそんな単純な話ではなくて、むしろ
パートナーロボットというべきものを開発して、お年を召されるとともに身体機能が衰えるならば、衰えた身体機能を、横にぱっとロボットが寄り添ってそれを補う、足が弱いなら足の機能を助けましょう、目が見えないなら見えない
部分を補いましょうと。
こういうふうな形で身体機能も補えば、年をとるとどうしても記憶力が衰えますねというようなことを言われますから、それは、記憶なんというのはコンピューターは得意なわけでありますから、横に寄り添うロボットが、あなた、それはこういうことですよと言ってくれるようなロボットが隣にいれば、精神活動だって若者に負けないでやれるというようなことを通して、年をとられた人の、相田みつをさんの言葉じゃありませんが、一生青春、一生勉強、こういう精神で毎日毎日
充実感を覚えながら、最後の最後までその生を燃焼させるような生き方をするような社会がなぜに活力を失う社会になるのでありましょう。
だから、年をとったら元気がなくなる、仕事ができなくなる、社会での存在場所がなくなる、こういう問題を克服していきながら、高齢者がよりよく生きていくことができる。それを通して、財政問題というのは、お年を召された方々が、福祉のお金をもらうだけじゃなくて、みずから働いて稼げば、ここの
部分にお金、そんなにかかるわけじゃないわけでありますから、そういうことで若者や
子供たちにも過大なる財政負担を押しつけることにもならない。それで、
日本の国は世界をリードする立派な国なんだというふうなことも若者たちに
メッセージを送ることができる、こういうふうなことになってくるのではなかろうかと思う次第であります。
そこで、質問でございますけれ
ども、
中山提案者は、二〇〇一年の世界初のロボット総合イベントでありますところのロボフェスタの実現に大変な御尽力をされるなど、ロボット問題への
取り組みを進めてこられると同時に、現在も憲法調査会会長として
日本の国家ビジョンの大本を立て直していこうとしておられるわけでございますが、そんなお立場の中から、高齢社会、少子社会に対してこういうような提案を織り込んだビジョンを描いて、国家の
基本的な課題としてこのロボット問題を織り込んでいくというようなことについていかなる御所見をお持ちか、お尋ねをしたいと思う次第であります。