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2003-07-10 第156回国会 衆議院 総務委員会 第23号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十五年七月十日(木曜日) 午前九時一分
開議
出席委員
委員長
遠藤
武彦君
理事
荒井
広幸君
理事
佐藤
勉君
理事
林 幹雄君
理事
八代
英太
君
理事
武正
公一君
理事
桝屋
敬悟
君
理事
黄川田 徹君 浅野 勝人君
荒巻
隆三
君
伊藤信太郎
君
岩崎
忠夫
君
岩永
峯一
君 上川 陽子君 川崎 二郎君
近藤
基彦君
左藤
章君
阪上
善秀
君 滝 実君 谷
洋一
君 谷本 龍哉君
平林
鴻三君 宮路
和明
君
山口
泰明
君
吉田
六
左エ門
君
荒井
聰君
伊藤
忠治
君
石毛えい子
君 大出 彰君
玄葉光一郎
君 島 聡君 手塚
仁雄
君
中沢
健次
君 松崎 公昭君
佐藤
茂樹君 山名
靖英
君 山岡 賢次君
藤木
洋子
君 矢島 恒夫君 重野 安正君 横光 克彦君
金子善次郎
君 …………………………………
総務大臣
片山虎之助
君
総務
副
大臣
加藤 紀文君
総務大臣政務官
岩永
峯一
君
総務大臣政務官
吉田
六
左エ門
君
政府参考人
(
公正取引委員会事務総局
経済取引局長
)
伊東
章二
君
政府参考人
(
総務省総合通信基盤局長
)
有冨寛一郎
君
総務委員会専門員
大久保 晄君
—————————————
委員
の異動 七月十日
辞任
補欠選任
伊藤信太郎
君
荒巻
隆三
君
佐田玄一郎
君
山口
泰明
君 谷
洋一
君
阪上
善秀
君
野中
広務
君
近藤
基彦君
平林
鴻三君
岩崎
忠夫
君
中沢
健次
君
石毛えい子
君
春名
直章君
藤木
洋子
君 同日
辞任
補欠選任
荒巻
隆三
君
伊藤信太郎
君
岩崎
忠夫
君
平林
鴻三君
近藤
基彦君
野中
広務
君
阪上
善秀
君 谷
洋一
君
山口
泰明
君
佐田玄一郎
君
石毛えい子
君
中沢
健次
君
藤木
洋子
君
春名
直章君
—————————————
本日の
会議
に付した案件
政府参考人出頭要求
に関する件
電気通信事業法
及び
日本電信電話株式会社等
に関する
法律
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第一一一号)(
参議院送付
)
行政書士法
の一部を改正する
法律案起草
の件 ————◇—————
遠藤武彦
1
○
遠藤委員長
これより
会議
を開きます。
内閣提出
、
参議院送付
、
電気通信事業法
及び
日本電信電話株式会社等
に関する
法律
の一部を改正する
法律案
を議題といたします。 この際、お諮りいたします。
本案審査
のため、本日、
政府参考人
として
総務省総合通信基盤局長有冨寛一郎
君及び
公正取引委員会事務総局経済取引局長伊東章二
君の
出席
を求め、
説明
を聴取いたしたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤武彦
2
○
遠藤委員長
御
異議
なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
遠藤武彦
3
○
遠藤委員長
これより
質疑
に入ります。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
伊藤忠治
君。
伊藤忠治
4
○
伊藤
(忠)
委員
民主党の
伊藤忠治
でございます。 時間が三十分でございますので、その中で、数点の問題について、ポイントを絞りながら
質問
させていただきたいと思います。 今日の
我が国
の
情報通信
の
進展状況
でございますが、ITU、
国際電気通信連合
の報告によれば、
日本
の
情報通信
は、
料金
の安いことも
ナンバーワン
、スピードが速いことも
世界
で
ナンバーワン
、このように評価をしていることは御
承知
のとおりでございます。
e—Japan計画
によれば、超
高速
の
加入者
一千万、これは二〇〇五年までの
目標
でございますが、さらに
高速
の
加入者
は三千万、これを実現するために総力を挙げて頑張ろうと、こういう
e—Japan計画
を策定されていることも御
承知
のとおりでございます。この
達成目標
に向かって
関係者
が
努力
をいたしました結果、
IP
・
ブロード
の
加入者
は一千万を大きく上回る今日の
状況
でございます。
ADSL
七百万、
CATV
二百万、非常に
進展
目まぐるしいと言えると思うんです。 さらに、これから
高度情報化
を本物にするためには、何といっても
光ファイバー網
の構築、すなわち
FTTH化
が本番を迎える今日の
状況
だと私は位置づけておりますし、そういう
考え方
で
政策
も
制度
も進めていかなければいけないと思っているわけでございます。 具体的には、
指定電気通信設備規制
について申し上げたいと思いますが、この
事前規制措置
は、一九七九年の
組織改編
のときに、
メタル回線
にかかっている
規制
をそのまま
光回線
にも適用したわけでございます。すなわち、
都道府県別
に
エリア
を区切りまして、それぞれの
エリア
内における
占有率
が五〇%以上
シェア
を持っているという
NTT
に対して
規制
がかかったわけでございます。これをそのまま
光ファイバー
に適用することには無理があるんじゃないでしょうか。
回線状況
、
敷設状況
の
経過
を見ましても、
FTTH
に持っていこうとしますと、き
線点
からの
回線
の
張りぐあい
、
構造そのもの
を見ましたときに、ちょっと無理がある、私は
実態
的にもそう思っております。
固定電話網
の場合は、
都市部
から
山間僻地
まであまねく公平に
サービス
を
提供
するという
義務
が課せられまして、
全国ネット
が今日張られているわけであります。これは当然の話で、
国有化時代
から
経過
をしておりますから、
固定電話
というのは各家庭に行き渡るようにネットを張らなければいけないという
義務
が
NTT
には課せられまして、その後、公社から
民間
になり、
民間
から再
編成
になって
持ち株方式
で今日に至っているわけでございます。言いかえれば、
全国ネット
が張られております
固定電話網
というのは、
国民生活
のライフライン、言うならば
ユニバーサルサービス
の役割を果たしていると思っております。そういう性格でございます。 ところが、これから本格化しようという光の場合は全く違いまして、この
固定電話
の
基本サービス
の上に、
高度情報化社会
の
ニーズ
にこたえて、これから本格的に
FTTH
の
加入者
の
拡大
を図ろうとするものでございます。したがいまして、当然のことながら、
FTTH
の
ニーズ
は、
都市部
の場合でも、例えば東京を例にとりましょうか、
汐留
だとかああいう
ビジネスエリア
がありますが、この
エリア
と、
集合住宅
が密集している
エリア
と、そうでない、郊外というんでしょうか、その他の
エリア
によって、
ニーズ
に格差が出ることは当然の話でございます。
事業者
も、
ニーズ
の高い
エリア
に
回線
を集中させまして、そのことによって
競争
は活発になっていくわけでございます。 第一種
事業者
と呼ばせてもらいましょうか、この方がはっきりしますので。第一種
事業者
も複数ございますから、
NTT
もやれば
NCC
の第一種
事業者
もそこに集中しまして、
ニーズ獲得
のために、
FTTH
を敷くために活発な
市場競争
が行われます。これはまた、
政府
としても我々としても望むところでございまして、そういうものがなければ光の
世界
は発展しないわけですよね。 そうすると、とりわけ
ビジネスエリア
には集中しますから、当然、その
ビジネスエリア
における
シェア
というのは均衡する場合が出てくるんじゃないでしょうか。だから、
シェア
の
基準設定
は、従来は
固定電話網
を
前提
にしていますから
都道府県別
にやっていたんですが、光の場合は、
都道府県
内においても
市場
の
シェア
が
エリア別
に変化していくわけでありまして、
FTTH
の
加入者回線
と
加入者数
など、
市場
の
実勢把握
を正確に、科学的にというか合理的に行う
必要性
が当然出てくる、私は
実態
を見ましたときにそう思うわけでございます。今後の課題は、そういう
シェア
の
把握
が必要だと思っているわけです。 したがって、現在の
規制措置
が
メタル用
のものであって抽象的な
基準
になっていることは、
皆さん
御
承知
のとおりです。これらの
問題点
にも着目されまして、
市場競争
の
進展
を踏まえながら、この
設備規制
、
役務規制
もそうなんですが、
見直し
について当然
検討
していくという姿勢がなければ、
e—Japan計画
で何ぼ二年先に一千万
加入
を言ってみたって、
現実
には三十万ですか、
NTTプラスNCC
の敷きました
FTTH
の総
加入者数
がわずか三十万なんですよ。これは当面五十万に行くよう
努力
されているわけですけれども、たかだかその程度なんですよ。二年先には一千万という
目標
を掲げているんですが、それに到達をさせようとしますと、
規制
というものも、今言いました
市場
の
進展状況
を正確に
把握
をして、それの
見直し
をかけていかないと実際に不可能なんじゃないでしょうか。 とりわけ、
汐留
を例にとりますと、これは
シェア
がかなり均衡しますね。そうしますと、どういうことになるか。Nも四〇%。とりわけこれからは、Nに競合して参入されるのは僕は
電力
だと思いますよ。これは
大臣
御
承知
だと思う。
電力
だと思う。
電力
は非常に心強いですよね、そういう
基盤設備
をお持ちですから。
電力
がそれに競合するんじゃないでしょうか。そうすると、四〇%、四〇%という
シェア
なんか、当然これは起こり得るわけです。そのときに、五〇%を超えておりませんから、Nの
指定電気通信設備規制
は外れますよね。
民間
には
規制
はかかりませんからね。そうすると、どうですか、オール
相対取引
の
状況
になるんじゃないでしょうか。そういう
矛盾
だって出るわけですよ。 そういうことを念頭に置いて、現在の
指定電気通信規制
といいますのは、
固定電話網
にかけてきてそのままスライドさせていますから、これに問題がある、
矛盾
が必ず起きるというふうに私は心配をしておりますので、この点について、いやいや、もうそのままいくんや、未来永劫そのままいくんや、
市場
がどれだけ
進展
しようがお構いなしというような
考え方
によもや
総務省
も立っておられないと思いますから、まあ一番詳しいのは
局長
さんですから、
有冨局長
、どうですか、ちょっと
答弁
してください。
有冨寛一郎
5
○
有冨政府参考人
今
先生
御
指摘
のありました
指定電気通信設備
の
制度
の趣旨でございますけれども、現在の
制度
におきましては、他
事業者
、今でいいますと
NCC
とよく言われますけれども、その
事業者
が
サービス
を
提供
するために、その
設備
をどうしても利用しなければ
サービス
ができないというような
観点
で、いわゆる
不可欠設備
と呼んでおりますけれども、そういう不可欠かどうかという
観点
でこの
指定設備
の
対象
というものを決定しているというのがこれまでの対応でございます。
光ファイバー
についても、今
先生
いろいろ御
議論
ございましたけれども、これはあくまでも他
事業者
が
サービス
を
提供
するという上で
不可欠性
があるという
観点
で
メタル回線
とは差異はないというふうに考えられまして、これは
情報通信審議会等
でも
十分議論
をした上でございますけれども、
指定
の
対象
としてきているということでございます。 この
光ファイバー
の
敷設
という
観点
で、他の
事業者
もそれなりに対応してきているというふうに
承知
をしておりますけれども、
現時点
でいいますと、
現実
に利用されている
加入者回線
という
観点
から見ますと、仮に
光ファイバー
だけで計算いたしましても、
NTT東西
の
シェア
はすべての
都道府県
で五〇%を超えておりますし、
全国平均
では八〇%というような数字もございます。 実際に、
光ファイバー網
を
指定
したことによって多くの
事業者
による新たな
サービス
の
提供
が可能となりまして、先ほど
先生
言われましたような、
我が国
が
ブロードバンド
においても、
世界
で一番安い、一番速いというような
状況
も出てきておるわけでございまして、これは
現行制度
が有効に機能しているということではないかというふうに
把握
をしております。 そして、
光ファイバー
を用いた
サービス
が、
ADSL
が急速に伸びたことと同様に、一層高度な
情報通信市場
の
拡大
に寄与するものというふうに考えておりまして、
現時点
で直ちに今の
制度
を見直すという考えはございません。 なお、
先生
から
ビジネスエリア云々
という御
指摘
がございました。
電気通信事業法
におきましては、
全国
の
区域
を分けて
電気通信役務
の
利用状況
及び
都道府県
の
区域
を勘案して
総務省令
で定める
区域ごと
に
指定
を行うということとされております。
現状
におきましては、
ネットワーク
がおおむね
都道府県
を単位として形成されているということでございますので、
省令
におきましては、
都道府県
を
区域
と
指定
しているということでございます。 ただ、今
先生
いろいろ
問題点
の御
指摘
がありましたけれども、
行政
といたしましては、他
事業者
による
光ファイバー
の
敷設
の
現状
がどうなっているのか、あるいは、どういった
地域
で、どういうような
敷設状況
にあるのか、
競争状況
にあるのか、なぜ
敷設
できないのか等々につきまして、必要に応じて調査を行って、
先生
御
指摘
のように、
市場
の
実勢
というものは
十分把握
をしていきたい、そのように努めていきたいというふうに思っております。
伊藤忠治
6
○
伊藤
(忠)
委員
直ちにこれを廃止せいとか見直せとか、そんなことは言っていないんですよ。そのまま来ているけれども、これは無理がありますねと。だから、今私が申し上げましたような
観点
も含めて、
実勢
に合ったように、
規制
はかけるというのが
基本
ですからね、おたくは。だから、その
規制
が、殺してしまうような
規制
なのか、促進するような
規制
なのか、
規制
の
あり方
が問題なんですから、そういう
立場
で、
市場
が
進展
する、そういう
状況
を踏まえて
検討
していってほしいと言っているわけです。 これは合うんじゃないですか。もう時間がありませんから、余りお互いにこれで
議論
したって次に移れませんので。それはいいんでしょう。その点を確認したいと思います。
有冨寛一郎
7
○
有冨政府参考人
あくまでも、
我が国
の
情報通信市場
、これが円滑、活性化する、
拡大
をするという
観点
でのいろいろな
規制
の
あり方
を考えていくというのがスタンスでございます。
伊藤忠治
8
○
伊藤
(忠)
委員
次は、
接続料金
の
見直し
についてお伺いをしたいと思いますが、これは
片山総務大臣
に御
答弁
を期待しておるわけです。 現在の
長期増分費用方式
につきましては、これは既に決まっておりますが、
平成
十七年度以降は全面的に見直すということになっているわけで、なぜ見直すことになったのか。 それは、アメリカでも
事業者
間に抵抗が強くて一部でしか実施されていないということは、
日米交渉
でも
実態
はわかりました。
有冨局長
なんか、当時はあなた、
外交交渉
に出られたじゃないですか、一番のそれのスタッフとして。
状況
は私も知っているわけで、皆、随分苦労されたんです。
日米交渉
で、これはもう
皆さん
御
承知
のとおり、詰め腹を切らされたんです、結局は。この
表現
が当たっているかどうかというのはあれとしましても、結局やられたわけです、正直言って。
沖縄サミット
でやられたわけです。ああ、
八代先生
みえますものな。
八代先生
は随分
委員会
でも、私も
日本
の
大臣
である、絶対そういう
交渉
は不平等にやられるということはありませんと、私の
質問
に対して見えを張っていただいたわけですが、今でも私は信用していますが、そういう
経過
があるんです。これは極めて問題だったわけです。 それで、
LRIC方式
というのは、結局、
仮想網
で
算定方式
を決めているわけですね。だから、
現実
に投下した資本を回収できないという構造的な
問題点
があるわけです。これも
審議会
でも
議論
になりまして、
委員会
でも
議論
になりました。これは九七年の再
編成
のときにわかっていましたから、随分私もその
議論
に参加させていただいたわけです。 加えて、これは
事業
を取り巻く
環境
が随分変わりました、それ以降。
固定電話網
がだんだん減少していく、
トラフィック
が落ちる、
IP通信
が
拡大
をする、これが主に特徴だと思うんですが、それに加えて、これからは
CATV
が、これは、私の三重県なんかは全
世帯数
の八五%なんですよ。これがもう張られておるわけですよ。
都市部
では結構ありますよ。これからは関東から東北の方へ向いてどんどん広がると思います。それが
IP電話
をやるんですよ。もう今販売をやっています。そうすると、
固定電話
なんかは飾りで置いたみたいなものですよ。使えません、本当に。そうでしょう。そういうことになっちゃうわけですよ、これは。これはいかんともしがたい。我々が賛成だ反対だとそんなことを言ったって、超えてやっているわけですから、どうにもならぬわけです。また、それを奨励していますよね、
政府
としても。これが
実態
なんです。もう取り巻く
環境
ががらっとやはり変わってきているわけですよね。 では、そういう新たな変化した
環境下
において一体どうなのかということも考えなきゃいかぬということで、
農業
がそうじゃないですか。
土壌
を本当にいたわるというか維持するというか、
肥やし
をやって耕して
土壌
をしっかりしたものにしなければ立派な
作物
はできませんよね。
花園
もそうですよね。
花園
もそうじゃないですか。ただ花を咲かせるだけで種をまいたって、いい花は咲きませんよね。これはもう、
農業
に限らず、物事はやはりそれが
基本
だと思っているんです。 だから、本当に立派な
ネットワーク
を維持発展させようと思えば、そういう
肥やし
をしっかりやる、面倒を見ていくということがなければ、クリームスキミングだけを、奨励をするわけじゃないんですが、業者はそこに入ってきますから、それがどんどんどんどん利用するだけで、だれが
基本
的な
ネットワーク
を維持するのかという
努力
が、
努力
をしたいけれども、その条件をつくらなかったら、これは
農業
と一緒でございます。とれる
作物
というのはやせ細って、場合によっては田畑が荒れてとれなくなるということにもなるわけでございますから。 以上の
観点
からするならば、実際
費用
が見られていない現在の
LRIC方式
では問題があるから、そういう実際
費用
を加味した
算定方式
に
見直し
ていただきたいし、見直すべきであると私は考えているわけですが、国家百年の大計を語るときに、
日本国
の
基本
的な
ネットワーク
をまずしっかり守るためにそういう
措置
が必要だということを訴えたいわけですが、
大臣
、どうでございましょう。
片山虎之助
9
○
片山国務大臣
この問題はいろいろ
経緯
がございまして、特に
長期増分費用方式採用
についてはいろいろな
経緯
があったと私も
承知
いたしております。 それで、これは十二年度に導入しまして、十二年度、十三、十四とやって、それから、十五、十六もこの
方式
でいこう、こういうことにいたしておりますが、十七年度からどうするか。まさに、
伊藤委員
が言われましたように、
環境
はかなり変わっていますよね。
トラフィック
が大幅に減少して、したがって、その
投資
も抑制ですよね、いずれにせよ。そうなると、ある程度
投資
が継続するという
前提
に
長期増分費用方式
がありますからね。それは全然
前提
が崩れているという
議論
も成り立つ、私はこういうふうに思います。 そこで、来年度からどうやるかにつきましては、
関係者
の
意見
も十分聞きながら総合的に
検討
いたしたいと思いますけれども、今
委員
が言われましたように、実際
費用方式
というんですか、これだと
現実追随
みたいになっちゃって、
投資額
の回収はできますけれども、それじゃ、
プラス
というのか、
努力
とか効率だとかということがちょっとわきに追いやられるような感じもありますので、
お話
は
お話
と承りまして、十分な
検討
の上適正な結論を出してまいりたい、こういうふうに思っております。
伊藤忠治
10
○
伊藤
(忠)
委員
大臣
、ありがとうございます。 そういう
考え方
で
お願い
したいのですが、実際
費用方式
に戻せ、そんなこと言ってないんです。実際の
費用
、
投資
した
コスト
が回収できるような要素もそこに入れてもらわないといかぬなということを私は言っているわけですから、その点は
意見
は一致するんじゃないでしょうか。その点をぜひともひとつ
お願い
をいたしたいと思います。 これとも関連するのですが、三番目に
質問
をいたしますが、
ユニバーサルサービス
なんです。これは不幸なことでございますが、
現行制度
は実際に機能していないんですね。 あの
ユニバーサルサービス
の
基金制度
をつくるときに、
法案
が出まして、私は
事前
に随分と
説明
を受けたんですが、
法案
の文言を読んでいる限りは、なかなかもっともらしい
表現
だったわけです。だから、それはいいことだ、別に
意見
を挟む問題もないわなというので、当時、私も賛成しました。積極的に、それはいいことだと思って賛成したんです。ところが、具体的にはこれは政令で決められているわけですよね。それで出てきたのが
相殺方式
でございまして、つくった仏は立派な仏だったんですが、魂の入れ方を間違ったものですから、実際にこれは
運用
されていないんです。これはいかがなものかと思いますね。 このように変化が激しく、
高度情報化
がどんどん
進展
をする
状況
でございますので、実効性あるものに
見直し
ていただかないと、何のためにこのファンドをつくったのかという思いが消えませんので、私
たち
としては、党として
政策
をこれから、今も持っておりますが、
検討
したいと思っておりますが、総合的な見地に立った具体的な見解を私
たち
は持っておりますし、
検討
して出したいとも思っておりますが、そういう
観点
から、今の
現行制度
が実際
運用
可能なように
見直し
を
検討
するということについて、どうでしょうか。
局長
さん、お答えください。
有冨寛一郎
11
○
有冨政府参考人
ユニバーサルサービス基金
でございますけれども、これは
地域通信市場
、とりわけ
都市部等
の
採算地域
において
競争
が
進展
をする、そうしますと、例えば
NTT東西
のように特定の
事業者
のみにみずからの
負担
で
ユニバーサルサービス
の
提供
を
義務
づけるというようなことを続けることは
競争
上問題があるということで導入された
経緯
がございます。
現時点
で、
先生
御
指摘
のように、
基金
は稼働しておりません。おりませんけれども、これは今後、
地域通信市場
における
競争
の
進展
に伴いまして、
NTT東西各社
の
コスト負担
だけでは
ユニバーサルサービス
を維持することが困難となった段階でこの
基金
は稼働するものというふうに考えております。ですから、まだそういう
状況
にはないというようなことだろうと思っております。
先生
御
指摘
のように、この
制度
の詳細というものは
省令
で
規定
をされております。この
省令
の中で、
制度施行
後二年を目途にして必要な
見直し
を行うというような
規定
を設けておりまして、今後の
競争
の
進展状況
、そして
制度
の
運用状況等
を踏まえた上で、適切に
見直し
を行ってまいりたいというふうに考えております。
伊藤忠治
12
○
伊藤
(忠)
委員
二年ということがございまして、
省令
でこれの
見直し
という御
答弁
がありましたけれども、僕らは、やはり
法律
できちっとなるべく詳しく書くべきだという
立場
なんですよね。ところが、
法律
に出てきましたのは非常に骨太というか抽象的でございまして、全く意味がなかった。実際に
省令
に盛り込まれたら、
相殺方式
で機能できないようになっているわけです。だから
事業者
も申請しないというようなことなので、これは実際
運用
ができないようなことなんです。
相殺方式
をとることも私
たち
は
異議
がございまして、これは
ベンチマーク方式
だってあるし、
積み上げ方式
だってあるわけですからね。 だから、その辺を含めて、また、この
ユニバーサル
というものも、どういう
ユニバーサル
をどういう場合に適用するかということだって、
状況
がかなり変わっておりますから、そういうことを含めてひとつ
検討
を
お願い
したいということでございます。 最後になりますが、これは
遠藤委員長
に対する私の
お願い
でございます。
国会改革
の
見直し
のときに
与野党協議
がございまして、
遠藤委員長
は、たしか
事務局長
として先頭に立って改革に着手されたわけですね。私もちょうど野党の代表で出ておりまして、クエスチョンタイムもそれでつくり上げたわけですよね。思い出深いわけです。クエスチョンタイムはそこでできたんです。ところが、
現状
を変えるということは随分党内にも
意見
がありまして、サインして帰ったらぼろくそに言われたことも私は覚えております。しかし、これは、やってみたら、定着するのには時間がかかったと思うのです。そのときにも、国会、
委員会
の審議の
あり方
も随分
議論
しました、逐条審議も必要だろう、小
委員会
方式
も必要だろうということを。島さんも出ていましたから、もうよく知っているんです。 そこで、
委員長
に
お願い
でございますが、今後の
高度情報化社会
はどのように
進展
していくんだろうかという情勢
把握
なり認識の問題だとか、あるいは
e—Japan計画
がやられておりますけれども、これらの中長期の課題はどうなるだとか、あるいは
情報通信
なり放送を含めた
制度
、
政策
問題についてフリーに
議論
をする、この中に小
委員会
をつくってフリーに
議論
をする。だから、仮称でございますが、
情報通信
問題小
委員会
というものをつくっていただいて、そこでお互いに
議論
などをやっていくというのが日ごろあればと。何か一般
質問
のときだけに限っていろいろな
議論
をやるということだけでは、意外とこれは専門性もございまして、そういうのでは難しい、こなせないというふうにずっと前から私は言い続けているわけです。
遠藤委員長
は改革派の先頭でございますので、ぜひともこれは、ああ、なかなか合うなということだと思いますので、だれかがやらなければこういう新たなことはできないんですよ。だから、
遠藤委員長
が座ってみえる間に、私は、これはもう最後の機会になるかもわかりませんが、
お願い
をしたいと思っておるんですが、どうでしょうか。気は合うでしょう。どうですか。
遠藤武彦
13
○
遠藤委員長
伊藤委員
の御趣旨のほど、よく御理解できます。したがいまして、
理事
会の
検討
課題に値すると私は思います。ですから、御党の
理事
を通して、
理事
会の協議事項となるよう手順を踏まれてはいかがかと思います。
伊藤忠治
14
○
伊藤
(忠)
委員
ありがとうございました。 終わります。
遠藤武彦
15
○
遠藤委員長
次に、島聡君。
島聡
16
○島
委員
今
お話
がありましたように、確かに、
委員長
と
伊藤
先生
と私と、
国会改革
の
議論
を
委員長
とともにさせていただいたことがあることを今思い出しながら聞いておりました。 我が党は、多様な、活発な
議論
を
政策
については行っております。ですから、いろいろな
議論
がございます。 今、マニフェストという話がありますけれども、マニフェストというのは、選挙のときにこういう
議論
を出す、そういう
政策
論を出す、そしてその上でその間実行していくということでありますけれども、IT
政策
に関しましても
政策
は出しています。参議院選挙のときにも出しています。私は当時、政調の副会長でありましたし、その後、次の内閣のIT総括副
大臣
、そして次の内閣の
総務大臣
、現在は党の
総務
局長
でちょっと
政策
とは離れていますが、その間にずっと
政策
をやっていました。 今、多様な
議論
は認めますが、我が党の
政策
は、「
競争
政策
を推進」、特に今
議論
になっております
光ファイバー
に関しましては、こうなっています。参議院の選挙公約です。「
光ファイバー
等の電気通信
設備
を有する総ての
事業者
に対し、公正なルールの下、他
事業者
への適正な価額での
設備
開放の徹底を図ります。」というのが我が党の参議院選挙の公約となっております。その公約があって、そのほかにも「第一種・第二種
規制
等も廃止し、」というのもありますから、今回の
法律
、その意味では我が党も前向きに考えているところでございまして、これが、今おっしゃったように、
国際電気通信連合
の調べでも
日本
の
ブロードバンド
の安さと速さは
世界
一になったということでありますので、我が党の
政策
はその意味では相当貢献したんじゃないかというふうに思っておる次第でございます。 時間がありませんので
総務大臣
にお聞きしますが、失われた十年よりもこれから残された五年が大事だと思っています。小泉内閣で唯一成功しているのが、このいわゆるe—Japanの戦略。つまり、
ブロードバンド
だけでもすごくふえていますでしょう。これだけは成功している。これを突破口にして
日本
を復活させなきゃいけないと私は思っています。 それは、今申し上げたように、
ADSL
の爆発的な普及というのは、
メタル回線
のオープン化、公正な開放形態が維持されたこと、
競争
の中で低価格化、高度化の実現がされていった、そういうことだと私は思っているんです。
加入者
系
回線
数で見た
NTT東西
の
シェア
は、先ほどもありましたが、
全国平均
で九四%、
光ファイバー
についてのみ計算しても
全国平均
で八〇%。ということは、私は、この時点で
光ファイバー
を
指定設備
から外すのは時期尚早であると考えております。というのは、今せっかく伸びているこの分野、残された五年が大事ですから、ですから時期尚早と考えていますが、
大臣
のお考えはいかがでしょうか。
片山虎之助
17
○
片山国務大臣
今島
委員
言われましたように、e—Japan戦略をつくって着々とその実現に努めておりますので、御
承知
のように、
見直し
をこの前やりまして、利活用をさらに
拡大
する、これを大きな
目標
にするということと、
日本
型のIT社会というものを
世界
に発信していこう、こういうことを決めておりますので、ぜひよろしく
お願い
いたしたいと思います。 そこで、この
指定設備
の問題ですが、
現行制度
では、ほかの
事業者
が
サービス
を
提供
するために当該施設を利用することは不可欠かどうか、
不可欠性
というんですけれども、これを
指定
の要件にいたしております。これについては、メタルだけでなく、
光ファイバー
も同じ
考え方
なんですよ。不可欠かどうか、
不可欠性
を
観点
に物を考えていく、こういうことでございまして、これは
審議会
での御
議論
もいただきましたし、パブリックコメントにもかけまして、確定した我々の解釈、
運用
でございますので、今のような
状況
の中で、この
指定設備
については継続していきたい。その
指定設備
を続けていくことによって、今島
委員
言われたように、大きな効用が出ている、私はこういうふうに思っておりますので、さらに継続することによって電気通信
市場
の
拡大
と活性化を図りたい、こう思っております。 〔
委員長
退席、
佐藤
(勉)
委員長
代理着席〕
島聡
18
○島
委員
我が党は多様な
議論
は認めますがということは何度も言っています。ただ、党の選挙公約はそうなっているという
前提
で
質問
をします。 参議院
総務
委員会
の審議の中で、
加入者回線
数で
シェア
を算出するという現在の
総務省
の
運用
は
法律
違反ではないかという主張、
質問
がありました。
法律
違反というのだったら、立法府に身を置く者としてきちんとしなくちゃいけないので、本当にそうなのか、それを確認したいと思います。
有冨寛一郎
19
○
有冨政府参考人
五月二十二日の参議院
総務
委員会
での
質問
の御趣旨でございますが、これは
電気通信事業法
第三十八条の二におきまして、「第一種電気通信
事業者
が設置するものであつて、」というような
規定
がございます。これをもとにして、利用されているか否かにかかわらず、
敷設
されているもので
シェア
を算定すべきとの趣旨ではなかったかというふうに理解をしております。直接
議論
があったわけではございませんので、私どもの推測でございますけれども、そういうふうに理解をしております。 ただ、この
事業
法の第三十八条の二では、「その一端が利用者の電気通信
設備
と接続される伝送路
設備
のうち」ということで、利用者の
設備
と接続されるということがまず大きな条件になっておりますので、私どもといたしましては、利用者が実際に利用している
回線
で
シェア
を算定することを意味しているというふうに受けとめておるところでございます。
島聡
20
○島
委員
同じく参議院
総務
委員会
の附帯決議、これも党内ではいろいろな
議論
があったわけでありますが、その中で「
光ファイバー網
の構築が複数の
事業者
による
競争
環境下
でなされている」という記述があります。
質問
は、
総務省
としては
競争
環境下
にあるということをどのような
基準
で考えているかということであります。いろいろな
考え方
があると思います。 私、ざっくり思いますのが、要するに、よく総延長距離なんというのがあります、特に
電力
系は多いという話をよくされますけれども。
委員
の
皆さん
にも聞いてもらいたいんですが、
電力
系の
光ファイバー
というのは、山の中に送電線なんか走っているでしょう、あの長いのも入っているんですよ、距離に。それで比較するのはどうも変だなと私つくづく思っています。それから、芯線数というのも、これは聞いたら、芯線数のデータはないというんだけれども、芯線というのは
光ファイバー
の線ですけれども、相当違いがあるというふうに思っています。
競争
環境下
にあるということをどういう
基準
で考えているのか。今言った総延長距離、芯線数、そういう
基準
を、今とっていないと思いますが、どういうことでやっているのかということをお聞かせいただきたいと思います。
有冨寛一郎
21
○
有冨政府参考人
先般の附帯決議にもございましたけれども、
光ファイバー
の
敷設
、これは
NTT東西
だけでなくて複数の
事業者
も始めているというようなことは
承知
をしておりますけれども、先ほどから申し上げておりますが、この
指定電気通信設備
制度
というのは、他
事業者
が
サービス
を
提供
するために当該
設備
を利用することが不可欠な
状況
にあるかどうかというようなことが大きな
観点
であるということでございます。 先ほどから申し上げておりますように、実際に利用していなければ
シェア
として算定することは適当ではないというのがまず大きな
基本
でございます。 そして、今
先生
御
指摘
のような、
光ファイバー
の総延長距離で見てはどうだとか、あるいは芯線数で見てはどうだとかいうような御
指摘
がございます。 まず、
光ファイバー
の総延長距離の
観点
でございますけれども、
現実
の
事業者
の
ネットワーク
を見ますと、その構成はさまざまでございます。例えば、局舎と
加入者
宅との距離、これはいろいろ違います。それを全部単純に足し合わせて総延長距離ということでその
不可欠性
を判断するというものはいかがかなというふうに、まず思っております。 それから、芯線数でございますけれども、
光ファイバー
とかいうようなものを見ますと、たとえ一
回線
でありましても複数の芯線を利用する場合もございます。例えば芯線を二
回線
で一つというのがございますので、
回線
数で見た方が
市場
の
シェア
というものをより正確に
把握
することができるというような
観点
で取り組んでおります。 したがって、私どもとしましては、
基準
としては、実際に利用されている
加入者回線
数、これをこれからも
指定
の
基準
とさせていただきたい、このように考えているところでございます。
島聡
22
○島
委員
今度は
大臣
に。
光ファイバー
論争というのは、要するに、e—Japan戦略、いわゆる
高速
通信網が三千万世帯、超
高速
が一千万とか、そういう基盤はある程度できたということですよね。まだかもしれませんが、徐々に、相当、ある程度できた。さあ、次の第二ステップだということで、e—Japan戦略2というのができてきているんですよ。 これは、すごく大事な話だと私は思うんです。選択と集中じゃないですが、
日本
経済復興のために、ブレークスルーする分野をどこか一つつくらないと本当にだめだと思っているんですよね。特に、今度のe—Japan戦略を見ていたら、元気、安心、感動、便利ですか、医療、食、生活とかの七つの分野、これからもっと大変なんでしょうけれどもね。
日本
経済、
日本
のシステムが
競争
力を失っているというのは、やはり工業社会システムから情報社会システムに移るときに随分なっているんですよ。きちんとできていないことがまだいろいろ多いんです。私が今回の問題で、
光ファイバー
、本当に取り入れたのはそこなんですよ。今はもう数百社が
光ファイバー
を利用して、今、
不可欠設備
と言われましたけれども、いわゆるボトルネックがある中でやっている。 現在、数百社が利用しているこの
光ファイバー
が自由に利用できなくなった場合、つまり、前の
指定電気通信設備
、
平成
九年に
指定
されたそうですが、その前はいろいろな面倒くさいことがあったと聞いています、私も。それがなくなったからこれは自由に発展したんですよ。だから、e—Japan戦略2というのを本当に実際にしていくためには、ベンチャー企業を初め、イノベーション、技術革新というのは必要なんですから、それをしていくためには、こういう
光ファイバー
というものをきちんと今のままに開放していくという形にしていかないと、あるいは
指定電気通信設備
から外れた場合には、e—Japan戦略ということ自身の
目標
の達成は困難になると私は考えています。
大臣
、どう思われますか。
片山虎之助
23
○
片山国務大臣
言われましたように、インフラの整備はかなり速いスピードでできている、私はこういうふうに思いますね。 だから、先ほども申し上げましたが、このインフラをどうやってうまく活用していくか、
日本
経済にこれをどういう推進力としてうまく使っていくかということがこれからの課題である、こういうふうに思っております。 今
お話
しのように、
平成
九年に
指定電気通信設備
制度
を導入したんですね。これによって
光ファイバー
を含むボトルネック
設備
のオープン化をやりましたので、言われたような、
NTT東西
の
光ファイバー
を用いて多くの新規
事業者
がいろいろな
サービス
をやった、この
競争
の結果が、一番速く、一番安く、こういうことになったんだ、こう思いますね。 ただしかし、それは公正なルールで、国民が納得できるルールのもとでやっていく、こういうことでございますので、今我々が用いた
基準
で今後ともこの
制度
は維持していきたいと思いますけれども、
状況
が大きく変わってくる、こういうことになりますと、そういう
観点
ではまた
議論
が当然あり得るだろう、こう思っておりますが、当面は我々はこの
制度
を維持していきたい、それによって、先ほども言いましたが、電気通信
市場
の
拡大
と活性化を図っていきたい、こういうふうに思っております。
島聡
24
○島
委員
極めて重要な、本当に重要な
観点
だと思います。 限定された時間で
日本
経済を復興させるときに、それでもう、今そんなことに一生懸命いろいろな企業がイノベーションを起こしてやろうとしているときに、ある日突然、自分
たち
が使っていた道路が急に私道になって、
料金
を取られるような道路になっちゃうとか、そんなようなことがあると活性化が減少しますので、十分慎重にやっていただきたいと思っております。 今、
伊藤委員
も
IP電話
等の話をされました。いろいろなことが変わってきています。 私
たち
の政党というのは結党五理念というのがありましてね、民主党というのは。私もその結党理念の
基本
政策
をつくるメンバーの一人でありました、一回生では私一人でしたけれども。そのときに、今でも覚えているのが、消費者、納税者、生活者の政党になるべきだというのが私
たち
の理念でありました。だから、消費者サイドに立って物事を考えなくちゃいけないというのが私の思いであります。 消費者の方々と今
お話
ししていますと、
基本
料金
についてよく聞かれるんです。
基本
料金
というのは一体どうなっているんだということをよく聞かれます。ちょっと聞きましたら、昭和六十年に千五百五十円であって、
平成
七年に千七百五十円に引き上げられたと。いろいろなものが、電話
料金
、インターネット
料金
もどんどん下がっていくのに、
基本
料金
というのはなかなか引き下げられませんね、どうしてですかというふうに聞かれます。私が言っているのは、要するに、これが独占だとそういうふうになる典型例なんですという
説明
をしています。それは私の
説明
の仕方でありますが。 この
基本
料問題についてはどのように考えておられますか。
有冨寛一郎
25
○
有冨政府参考人
先生
御
指摘
のとおり、
NTT東西
の電話
サービス
の
基本
料、これは、その収支が大幅な赤字であったということで、
平成
七年に
料金
を改定して、それ以降
料金
は据え置かれているというのが
現状
でございます。 まず、この理由でございますが、
平成
七年度以降、よくよく見ますと、一つには、携帯電話の普及等に伴う電話
加入
数の減少ということがございまして、
基本
料収入が減っている。したがって、その限りにおいて、収支が非常に厳しいということで今日に至っているというふうに受けとめております。 ただ、
先生
御
指摘
のように、消費者団体から、継続的な物価下落の中で
基本
料は高どまりしているのではないかというような御
意見
が寄せられておりますし、この三月の
情報通信
審議会
の答申におきましても、
基本
料等の扱いについて、抜本的な再
検討
を行うべきではないかというような要請も受けております。 これらを受けまして、
総務省
におきましても、この六月でございますが、学識経験者や消費者団体及び関係
事業者
を交えた勉強会を立ち上げました。そして、
基本
料等の扱いについて
検討
を開始したばかりでございますけれども、現行
基本
料の
費用
構造、これは非常に重要な点だと思いますので、まず、この
基本
料の
費用
構造等の
検討
を行いまして、
基本
料がいかにあるべきかというような
議論
を行っていきたい、このように考えているところでございます。
島聡
26
○島
委員
基本
料は
NTT
さんの重要な収入の要素であることはよく
承知
しておりますので、いろいろな意味で慎重な
議論
が必要だと思うんです。
大臣
、
大臣
はITにもお詳しくなられたと思いますが、
IP電話
というのがあるんですよね。
IP電話
というのは、音声をパケットにして送るんですよ、ばあっと。
電力
系の
IP電話
ぐらいですと、ファイバー・ツー・ザ・ホーム
サービス
の月額
料金
プラス
基本
料ですと数百円ぐらいです。
皆さん
、もうすぐ選挙が近いので、電話をたくさん使われると思いますので
お話
ししますと、
皆さん
の後援会全部に
IP電話
をつくってもらいます、業者は一緒なんですが。そうすると、会員間の電話は無料になることが多いんです。 私の事務所でも、地元事務所とそれから東京事務所へかけると相当の電話
料金
になりますが、私の事務所の地元事務所と東京事務所がそういう
IP電話
でつながりますと、当然、会員同士ですから、ほとんど無料になります。ぜひやってみていただければいいと思いますが、これはそういうことなんです、わかりやすく言いますと。 ですから、今までの、いわゆる電話をかけて時間がかかるとどれだけ高くなるとか、そういうビジネスモデルが崩れちゃうんで、そういう意味では、確かに、
NTT
という国の大事な、国といいますか、今までの電電公社時代からのものを、そういう経営資源はどうするかということは本当に
総務
委員会
できちんと
議論
をする必要があるとは私は思います。そこまで時代は進んでいます。 ぜひ私もやろうと思っているんです。自分の後援会に
IP電話
をざっとやって、同じ会員になってもらうと相当の
コスト
削減になりますから。相当の本数をかけられるでしょう、もうすぐ選挙が近いと言われていますから。お金のかからない政治にも役に立つ
IP電話
、そういう話であります。 それで、
総務大臣
とは個人情報の話もよくさせていただきました。そうですね、個人情報保護法の話も随分。 こんな話もよく聞きます。利用者が引っ越しをすると、電話の移転手続とあわせて
NTT東西
さんからBフレッツ
サービス
などの営業がよく来る。圧倒的な顧客情報を持つ
NTT東西
がその情報を営業に用いることというのは、今公正と言われましたけれども、本当に、公正
競争
、個人情報保護の
観点
から、一体どうなのか。 恐らく
NTT
さんは、恐らくというより、まず間違いなく
NTT
さんは膨大な個人情報を持っていますから、
事業者
、
対象
者でしょう。それがこれだけの人が移転しますよということをほかの人に流したら、完全に個人情報保護法違反になるはずです。そうですね。 この問題について、公正
競争
、個人情報保護の
観点
から考えた場合、
総務大臣
、どのようにお考えになりますか。
有冨寛一郎
27
○
有冨政府参考人
NTT東西
の関係でございますが、これはボトルネック
設備
を有しているということで、相当の
市場
支配力を持っている。したがって、その営業活動につきましては、公正
競争
の確保という
観点
から、一つには、ほかの電気通信
事業者
の電気通信
設備
との接続の業務に関して知り得た情報を目的外に利用することは禁止をする、二つ目は、
NTT
再
編成
により分離された
NTT
コミュニケーションズとの一体的な営業は禁止をする、三つ目は、
地域
電気通信業務等以外の新たな業務に進出した場合、
地域
電気通信業務等と当該業務との間で営業面でのファイアウオールを確保するといった
措置
を講じてきているところでございます。 御
指摘
の、電話の移転手続とあわせて
NTT東西
の
提供
する
地域
電気通信業務の営業活動を行うということは、今申しましたいずれにも該当しないということでございまして、公正
競争
確保の
観点
からいいますと、直ちに問題があると言えないものだというふうに認識をしております。 また、個人情報の取り扱いについてでございますが、電気通信
事業
における個人情報保護に関するガイドライン、これにおきまして、電気通信
事業者
は収集した個人情報を収集目的の達成に必要な範囲に限って利用することができる、このようにされております。 この収集目的の達成に必要な範囲とは何かということでございますが、現在
提供
している電気通信
サービス
に直接必要な場合のみならず、それと関連を有する事項も含まれるということでございますので、御
質問
の事例が、ガイドラインに照らしましても、直ちに問題があるとは言えないのではないかというふうに考えておるところでございます。
片山虎之助
28
○
片山国務大臣
この国会でおかげさまで個人情報保護法を成立させていただきましたが、この
法律
におきますと、個人情報取扱
事業者
は、個人情報の取り扱いに当たり、利用目的を特定するようにと、こうなっていますね。 そこで、この利用目的の範囲なんですね。これは具体的にどういうふうに特定するか、こういうことでございますが、これは事柄によってなかなか簡単にはいかない、こういうことがあると思いますけれども、私どもの方で現在、電気通信
事業
分野におけるプライバシー情報に関する懇談会、こういうものをつくっておりまして、そこで少し
議論
してもらおうかと。 いずれにせよ、電気通信
事業
における個人情報保護については、特別の
法律
をつくるかつくらないか、そういうことの
検討
もしなきゃいけませんし、つくるとした場合はどうするのか、つくらないとした場合はどうやるのか、こういうことを含めて、そこでいろいろ
議論
していただいておりますので、そういう中で、この利用目的の特定化、具体化、これも一定の方向づけをしてまいりたいと思っております。
島聡
29
○島
委員
今、接続料
算定方式
の
見直し
について
伊藤委員
からの
お話
もありました。参議院の
総務
委員会
の附帯決議の中で「実際
費用
を十分に配慮した」というのがあります。何度も言いますが、多様な
議論
は認めますが、これは党の手続をきちんと踏んでもらわないと困るというふうに私は思っておりますけれども。 この実際
費用
を十分に配慮した接続料の
算定方式
、現在の
長期増分費用方式
から実際
費用方式
に移行した場合、いわゆる先ほどからおっしゃっている公正性及び透明性、私ども民主党の前回衆議院選挙のキャッチフレーズは、すべての人に公正であるためにというものだったのです。公正性、透明性というのを重視する政党であり、そういう
政策
をつくっています。 それで、
長期増分費用方式
から実際
費用方式
に移行した場合、かなり接続料算定が
NTT東西
の依存度が高まって、公正性、透明性という
観点
から問題がある。また、そもそもこの
長期増分費用方式
というのは、いわゆる
NTT東西
の
投資
における非効率性というのを排除する、そういう目的もある、それが排除できなくなるのではないか、そういうふうに私は思っています。 その辺についてどう考えていますか。 〔
佐藤
(勉)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
有冨寛一郎
30
○
有冨政府参考人
今の接続料の問題でございますが、
指定電気通信設備
制度
、これが導入された
平成
九年以降、これをずっと見てみますと、やはり諸外国と比べても接続料が極めて高い水準にあったということで、随分
議論
になりました。 その中で、この
制度
の趣旨でございますが、これは独占的な
地域
通信網の非効率性を排除しなきゃならないというのがまず一つございます。それから、算定においての透明性というものを確保しなきゃならないというのが二つ目でございまして、そういう
観点
で
平成
十二年度から
長期増分費用方式
が導入されたということでございまして、先ほどから
大臣
等も御
答弁
を申し上げておりますが、この成果は非常に大きなものがあるというふうに考えております。 ただ、現在の
固定電話
事業
におきましてどうであるかということでございますが、一つには、既存の電話網に対する
投資
が抑制をされてきつつあります。それから、
トラフィック
も大幅に減少しているということもございます。したがって、この
平成
十七年度から、こういった
環境
の変化に対応した新しい接続料の算定に当たっての
見直し
が要るのではないかというようなことでございまして、私どもとしては、こういった
状況
変化に即した
方式
を
検討
していきたいと思ってはおります。 ただ、今申しましたように、その場合においても、一つには、
NTT東西
の非効率性が排除された適正な原価の算定というのは重要な要素である、それから、
NTT東西
以外の
事業者
に対しましても公平性、透明性というものがちゃんと担保されていることが必要であるということでございまして、そういった
観点
で関係
事業者
等の
意見
も十分聞きまして
検討
を進めてまいりたい、このように思っております。
島聡
31
○島
委員
つまり、公正、透明であることがまず第一でありますし、非効率を排除するというのは必要だと思います。 例えば、
大臣
、ISDNというのを御存じだと思いますね。あれは本当に
投資
としてよかったのかなと思うのですよ。 例えば、物すごく具体的なことを言います。
皆さん
、議員会館に公衆電話があります。第一議員会館に公衆電話があります。見てください。ぱっと開くと公衆電話があって、その公衆電話のところにISDNのジャックが入っていますよ。私は、議員会館のところで公衆電話からISDNにジャックをつないでやっている議員を見たことがありません。 そういうようなことがいろいろあるのです。
民間
ならいろいろな意味でそういうことはきちんと責任も問われますし、いろいろな
観点
から
検討
がされるはずです。そういうことがあるということであります。
大臣
、
質問
通告しなくて恐縮でありますが、一問だけお聞きしたいことがあります。まだ三分ほど残っています。郵政民営化です。 小泉首相が、自民党は私が総裁になる前の二〇〇一年三月の党大会で民営化はいけないと決めていた、郵政公社の
法案
が通るときも自民党は今後一切民営化の
議論
を行わないとしていたが、私は郵政公社は民営化への一里塚だと言っている、反発するのを
承知
でやっているんだから郵政民営化は必ず公約に盛り込むと首相がおっしゃっているのですが、ということは、これは首相が言っているのですから、内閣の一員である
片山総務大臣
は、もうそれにつきまして
検討
を始められますか。
片山虎之助
32
○
片山国務大臣
この問題は、御
承知
のように、長い
経緯
がありまして、公社法を去年通していただくときも、ちょうど今ごろの時期でございますが、衆参で大変な
議論
をされた問題ですね。総理はもともと郵政民営化論者でございまして、そういう持論はいささかも変わっていないんだろう、こう思いますし、国会での
議論
で、まず公社化をやる、その後については、総理直属の懇談会が三案を出していますよね、それについては国民的
議論
の中で方向づけをしていく、こういうことで一致しておりますから、今回総裁選に当たって、総理が再度総裁に出るという上での御自身の公約としてそういうことを言われることは十分あり得るし、大変結構なことではないかと私は思っております。
島聡
33
○島
委員
党の総裁であり総理ですから、その辺の人格をどういうふうに分けられるかというのは不思議なものがありますが、内閣の一員であらせられますので、やらないと不一致になると思いますから、きょうは時間がありませんのでこれで終わりますが、十分
検討
してください。 終わります。
遠藤武彦
34
○
遠藤委員長
次に、黄川田徹君。
黄川田徹
35
○黄川田
委員
自由党の黄川田徹であります。 まず、新しい
競争
政策
の
あり方
についてであります。 最近、
総務省
は、ことし五月末ですか、
ブロードバンド
通信
サービス
の
利用状況
を公表いたしました。それによりますと、初めて一千万件の大台を突破いたしまして、前年同期比二・三倍の約一千四十八万件、世帯普及率二一・五%に達したわけであります。
情報通信
技術が急速に発展、普及する中で、ITを活用した新しい多彩な
サービス
が登場してきまして、
国民生活
に深く浸透している、それが
実態
だと思っております。 そこで、今回は、昨年八月の
情報通信
審議会
の最終答申等を踏まえまして、この電気通信
事業
分野の新たな
競争
政策
についてお尋ねしていきたいと思います。 さて、この
平成
十二年十二月の同
審議会
の第一次答申では、新たな
競争
制度
の導入後、二年を
経過
しても十分な
競争
の
進展
が見られず、所期の目的が達成されていない場合には、
NTT
グループの経営形態について、完全資本分離を含め、抜本的な
見直し
が必要であるとしておりました。そしてまた、
規制
改革推進三カ年計画でも同様な趣旨が明記されていたと私は思っております。 そこで、二年前、
電気通信事業法
の改正の折、
大臣
は、
競争
環境
の実現
状況
によっては、二年を待たずに
検討
するし、二年後のこともあると
答弁
していたと私は記憶しております。ちょうど二年が
経過
した現在、
大臣
は、この最終答申を受けまして、新しい
競争
政策
、どのように御認識されておりますか。その所見を求めておきたいと思います。
片山虎之助
36
○
片山国務大臣
これは黄川田
委員
が言われましたように、
規制
改革推進三カ年計画でも書きましたし、当
委員会
でも大変な御
議論
をいただいた。公正な
競争
を促進するための施策をやるんだけれども、十分
競争
が進まなければ速やかに抜本的な
見直し
を行う、こういうことでございます。 一昨年の
電気通信事業法
の改正によりまして、新しい
競争
政策
を導入いたしました。この二年間で、きょうも御
議論
いただいておりますが、
ネットワーク
のオープン化を推進し、
ADSL
サービス
については
世界
で最も低廉な
料金
水準になっている。また、一般家庭向けの光アクセス
サービス
もオープン化によって進んでまいりまして、これまた
料金
も大変安くなっている。特に
ブロードバンド
について言えば、ITUが言いますように、最も速いスピードで最も安い、こういうことでございまして、これはこの二年の
競争
政策
推進の成果だろう、私はこう思っております。 御
承知
のように、紛争が起こった場合には紛争処理
委員会
で処理する、こういうことに
平成
十三年十一月よりなりまして、ここでいろいろな紛争についても適正に処理されており、これも
競争
政策
が有効に機能しているものと考えております。 このような
現状
を踏まえますれば、現段階で直ちに
NTT
の
あり方
に関し、抜本的な
見直し
を行わなければならない
状況
には至っていないと考えております。 もちろん、
IP
化等の技術革新が
進展
する中で、
競争状況
を適切に
把握
しながら
競争
政策
の
あり方
を不断に
検討
していくことは今後とも重要であると考えておりまして、そのための
努力
は続けたい、こういうふうに思っております。
黄川田徹
37
○黄川田
委員
ブロードバンド
も含め、一歩も二歩もおくれていた
日本
でありますけれども、今では、
世界
でも最も速く、そして最も低廉な価格で
提供
できるようになったという
現実
がありますが、また一方、公正取引
委員会
でも、
政府
規制
等と
競争
政策
に関する研究会を設けまして、昨年十一月に「電気通信分野の
制度
改革及び
競争
政策
の在り方」として答申がなされておるわけであります。 それによりますと、
NTT
グループ各社による自由な活動を認めるのとあわせて、
競争
を一層促進する
観点
からは、
NTT
ドコモが有効な
競争
単位になるよう持ち株会社による出資の比率の引き下げを行うとともに、公正取引
委員会
としても公正
競争
を確保するために
NTT
グループ各社による
競争状況
を注視していく必要があるとしておるわけであります。 そこで、
NTT
グループの経営形態等の
あり方
を含めまして、電気通信分野の
競争
政策
の
あり方
について、公正取引
委員会
の
基本
的な
考え方
を求めておきたいと思います。 〔
委員長
退席、
佐藤
(勉)
委員長
代理着席〕
伊東章二
38
○
伊東
政府参考人
お答えいたします。 電気通信分野の
競争
政策
の
あり方
についてということでございますが、公正取引
委員会
といたしましては、より一層
競争
を促進し、技術革新と自由な創意工夫の発揮を促していくことが同分野の健全な発展あるいは国民の利便性向上につながるというふうに考えておるところでございます。 そのような
基本
的な認識のもとで、まず
規制
の
あり方
といたしましては、技術の変化が非常に著しい分野ということもございまして、
事前
規制
というものは必要最小限のものとし、できるだけ事後
規制
を
基本
とすべきであるということのほか、
NTT
グループの経営形態の
あり方
につきましては、
NTT
グループ各社間でより一層
競争
が促進されることが重要であるというふうに考えております。 さらに、独占禁止法の
運用
につきましては、引き続き電気通信分野における迅速かつ積極的な事件処理に努めるとともに、独占禁止法上の
考え方
の明確化を図ることなどによりまして、公正かつ自由な
競争
を阻害するおそれのある行為の排除等、未然防止を図り、電気通信
事業
分野における
競争
環境
の整備に努めていくことが重要であると考えておるところでございます。
黄川田徹
39
○黄川田
委員
それぞれ、公正な
競争
環境
の育成に関する見解をお聞きいたしましたけれども、それを踏まえまして、前回も尋ねましたけれども、
大臣
に改めて、
NTT
の自主的実施計画の実施
状況
についてお尋ねいたしたいと思います。 すなわち、
総務省
は、
NTT
に電気通信
市場
の
競争
促進のための自主的実施計画の作成あるいは公表を求め、その進捗
状況
につき報告を求めることといたしておりましたが、
NTT
からは
総務省
に対してどのような報告が行われたのでしょうか。そしてまた、
総務省
として今後どのように対応していくのか、
大臣
の見解を求めておきたいと思います。 〔
佐藤
(勉)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
片山虎之助
40
○
片山国務大臣
今
お話
しの、
NTT
の自主的実施計画は、これも
平成
十三年三月の
規制
改革推進三カ年計画において、こういうことを
NTT
に期待したい、これが始まりでございまして、私どもの方でもそのことを
NTT
に言いまして、これを受けて
平成
十三年十月に
NTT
がその自主的な計画の作成、公表を行ったものでございます。その際、
総務省
としては、一年後を目途にその進捗
状況
を報告してくれ、こういうことを
お願い
しておりまして、昨年の十月に
NTT
から進捗報告を受けたところであります。 その内容は、
NTT東西
の
地域
網の開放については、
光ファイバー
の増設計画の開示など、この実施計画に盛り込んだ事項等について、他
事業者
からの要望等を踏まえて実際実行しているということが一つ。それから、
NTT
グループ内の相互
競争
の実現につきましては、
NTT
持ち株会社と
NTT
コム、コミュニケーションズ、あるいは
NTT
ドコモの取締役兼任は解消するということが一つ。それから、出資比率の引き下げについては、株式市況が大変低迷いたしておりますから、
現時点
において大幅な出資比率の引き下げは
検討
することは困難である、これは引き続いて
検討
させてほしいということ。また、
NTT東西
の経営の効率化については、
平成
十四年の五月に御
承知
のような業務の抜本的なアウトソーシングをやった、そういう構造改革を進めている。こういう報告であります。 そこで、これを受けまして、
総務省
としては、さらに
NTT
に対しまして、取り組みが進んでいるものについては引き続き進めてほしいということが一つ。進んでいない出資比率引き下げ等の問題については、株式市況の動向を見ながら、条件が整えば引き下げてもらいたい、こういう要請を行ったところでございます。
総務省
としては、この実施計画の策定
状況
に照らしまして、電気通信
市場
の
競争
の
進展状況
をできるだけ的確に分析、評価するとともに、今後とも、場合によっては必要な
措置
について
NTT
に申し入れてまいりたい、こういうふうに考えております。
黄川田徹
41
○黄川田
委員
公益
事業
の産業
政策
として、個別
事業者
の
競争
政策
の促進と、また一方、
ユニバーサルサービス
の公益性の維持との兼ね合い、これは本当に難しい問題だと思っております。しかしながら、いずれ、
日本
はパソコンによるインターネット革命では米国におくれ、そしてまた
ブロードバンド
革命では韓国に先を越されました。そしてまた、モバイル革命では技術的に優位に立ちましたが、輸出
市場
ではフィンランドあるいは韓国などに大きく水をあけられている。それもまたどんどん巻き返しはしておるわけなのでありますけれども、やはりe—Japan戦略でさらに
競争
力を強化する、これが一番大事だと思っておりますので、よろしく
お願い
いたしたいと思っております。 それでは、具体的に電気通信
事業
の個別的分野について
質問
していきたいと思います。 まず、
指定電気通信設備
制度
の
あり方
についてであります。
加入者
系
光ファイバー
を活用することによってさまざまな通信
サービス
が競って展開されまして、その結果、通信産業が発展するとともに、利用者の利便が飛躍的に向上することが期待されるわけであります。そしてまた、他の
事業者
が
サービス
を
提供
するために接続することが不可欠な
設備
が
指定電気通信設備
に
指定
されておるところであります。この
指定電気通信設備
を有する通信
事業者
には、接続料あるいは利用条件、申し込み手続等を定めた接続約款を作成することがこれまた
義務
づけられておるところであります。
NTT
の
加入者
系の
光ファイバー
のき
線点
までの整備
状況
は、先ほど来
お話
しのとおり、既に
全国平均
で八〇%を超えておりまして、今後は主にき
線点
から
加入者
宅まで延ばせばよいだけになっている上に、
NTT
は
加入者
宅までの電柱であるとかあるいはまた管路を有しておりまして、最も
光ファイバー
の
敷設
を推進しやすい
立場
にあるわけであります。 しかしながら、もし
NTT
が主張するとおりに
加入者
系
光ファイバー
を
指定電気通信設備
から外すようなことになれば、
現実
問題として
NTT
の
光ファイバー
としか接続できない通信
事業者
が、ボトルネック
設備
を有する
NTT
と接続について直接協議することになるわけであります。合理的な条件で合意できることはなかなか期待はできないのではないかと思っておりますし、場合によっては拒否される場合もあるのではないかとも思っております。このような
状況
になれば、
我が国
の
FTTH
、ファイバー・ツー・ザ・ホームですか、この
進展
は間違いなくおくれることになりまして、ひいては利用者の利便を著しく妨げる、こういうことになるのではないかと思っております。 したがって、
光ファイバー
は
現時点
では
指定電気通信設備
のままとしまして、どの通信
事業者
であっても
NTT
に定められた手続で接続を申し込めば定められた
料金
で容易に
加入者
系
光ファイバー
に接続してもらえる、そういう
環境
とすべきでありまして、そのような
環境
があってこそ、多くの通信
事業者
間の
競争
が活発になり、さらには
サービス
が安く
提供
されるようになり、ひいては消費者の、利用者の利便が向上される、そう思うわけでありますけれども、このことについて、改めて
総務省
に見解を求めておきたいと思います。
有冨寛一郎
42
○
有冨政府参考人
先ほどからるる御
答弁
申し上げておりますけれども、
指定電気通信設備
制度
、これはいわゆるボトルネック性に着目をして
平成
九年に導入されたものでございまして、その具体的内容は、
指定電気通信設備
に関しまして、まず接続料、それから接続の条件、申し込み手続、そして接続に必要な情報、こういったことに関しまして、接続約款を作成し、それを公表する
義務
、こういう形になっております。そして、この接続約款の制定あるいは変更につきましては
総務大臣
の認可を要するというふうになっておりますが、要は、これらの項目が適切かつ公正であるかということを担保するためのものでございます。
現行制度
におきましては、
光ファイバー網
につきまして
指定
の
対象
となっておりますけれども、
先生
御
指摘
のとおり、
料金
とかあるいは手続が約款に
規定
されているということによって他
事業者
における予見性が非常に高くなるということが一つございますし、実際に、
光ファイバー
を
指定
したことによりまして、多くの
事業者
による新たな
サービス
の
提供
が可能となっております。したがって、
現行制度
は有効に機能しているというふうに受けとめております。さらに、
光ファイバー
を用いた
サービス
が、
ADSL
と同様、一層高度な
情報通信市場
の
拡大
に大いに寄与するということも期待をしておるところでございます。 したがいまして、
NTT東西
のメタルと
光ファイバー
を合わせた
加入者回線
の
シェア
が
都道府県
単位で五〇%を超えている限りにおいて、この
市場
の
拡大
に資するよう、引き続き
指定
制度
というものを継続していきたい、このように考えております。
黄川田徹
43
○黄川田
委員
それでは、ちょっと具体的な話をさせていただきたいと思います。 通信
事業者
が
NTT
加入者
光ファイバー
を借りる手続にいかに時間を要するか、具体的に実例を紹介してみたいと思います。 新築マンションに某通信
事業者
が
NTT
接続約款に基づいて
光ファイバー
の借用申請をしたところ、多数の物件を平均いたしまして、調査申請に二十五日、
NTT
局内側の工事に三十八日、
加入者
側工事に五十二日、合計約百十五日、四カ月近くも要しておるとのことであります。この通信
事業者
の申請手続は、単に所要日数のみではなく、そのための書類作成あるいはマンパワー
コスト
、これも多大なものであります。また一方、
NTT東西
は、Bフレッツは六営業日開通という広告チラシを流しておるわけであります。 そこで、
質問
であります。 通信
事業者
は、
NTT
に対して
加入者
光ファイバー
を早く引いてもらいたいというのが第一の要望でありますけれども、せめて
NTT
にはBフレッツ開通までの時間優位性を営業トークとして使うことはやめてほしい、これも強く要望しておるわけであります。この点につきまして公正取引
委員会
の見解はいかがでしょうか。そしてまた、特にどのように指導していく所存か、お尋ねいたします。
伊東章二
44
○
伊東
政府参考人
お答えいたします。 御
指摘
のような
NTT東西
によります営業トークあるいはチラシにつきましては、それが虚偽ということであればともかく、そうでなければそれをやめさせるというのは難しいのかなということでございます。 ただ、その背景にある問題に関連いたしまして、電気通信
事業
ガイドラインにおきましては、
市場
において相対的に高い
シェア
を有する電気通信
事業者
が自己の
競争
事業者
に対して
加入者回線
網との接続を行う場合に、接続手続の期間等につきまして
競争
事業者
を自己に比べて不利にさせるような取り扱いをすることによりまして
競争
事業者
の新規参入を阻止したりその
事業
活動を困難にさせることは独禁法上問題となるというふうにされておるところでございます。 公正取引
委員会
としましては、そうした独占禁止法に違反する具体的な行為に係る情報に接した場合には、迅速、厳正に対処することとしているところでございます。
黄川田徹
45
○黄川田
委員
それでは、
法案
の一種、二種の
事業
区分関係についてお尋ねしていきたいと思います。 電気通信
市場
における
現状
でありますけれども、その変化の激しさは、さまざま
委員
から
お話
しになったとおりであります。 そしてまた、先日公表されました
情報通信
白書によりますと、
我が国
のインターネット利用人口は、
平成
十四年末、既に六千九百四十二万人、前年比二四・一%増となっておりまして、今や国民の二人に一人はインターネットを利用している、そういう
実態
であります。そしてまた、
平成
十四年度末でありますけれども、携帯電話の契約数も七千五百六十六万契約、電気通信
サービス
の利用が
国民生活
や企業活動に急速に普及、浸透、そしてまた
我が国
の経済活動には欠かせない、そういう基盤であります。さらには、先ほど来
お話
がありましたとおりの、
IP電話
あるいはまた無線LANといった新たな
サービス
も次々登場しております。 このような大きな
市場
環境
の変化の中で、今回の改正案でありますけれども、この
電気通信事業法
の制定当時からの枠組みでありました一種、二種の
事業
区分を廃止し、そして一種
事業者
に係る許可制の廃止や
サービス
提供
の原則自由化、
料金
、契約約款に対する
規制
の原則撤廃を図るなど、一層の
市場
の活性化を図るための
規制
緩和策を盛り込んでおる
法案
だと思っております。 今回、どのような目的でどのような改正を行ったのか、また、この改正によりどのような効果がもたらされることになるのか、
基本
的なことでありますが、改めて
総務省
にお尋ねいたします。
加藤紀文
46
○加藤副
大臣
まず、今回の改正の目的でありますが、今
委員
の
お話
にもありましたように、
我が国
の電気通信
事業
分野におきましては、インターネットの急速な普及というものを背景にいたしまして、
ネットワーク
の
IP
化や
ブロードバンド
化が
進展
してまいりまして、
お話
しのとおり、
市場
環境
が変化してまいりました。 そして、これまた
お話
ありましたように、そういった
状況
の中で、まず電気通信
回線
設備
の有無に着目いたしました一種、二種の
事業
区分を廃止する、そして一種
事業者
に係る参入の許可制の廃止、また
料金
、契約約款
規制
の原則廃止による
サービス
提供
の原則自由化ということ等を行うことによりまして、
電気通信事業法
の
制度
全体について
規制
の合理化を図り、電気通信
市場
の活性化を図ることを目的としております。 さらに、この改正の効果でありますが、まず、各
事業者
にとってより柔軟に
事業
展開や
サービス
提供
を行うことが可能になります。それによりまして、
事業者
の創意工夫と活発な
競争
を通じて、
料金
の低廉化や
サービス
の高度化、多様化が進んでまいりますし、一般消費者や企業ユーザーなど、利用者にそのメリットが還元される。それによって、ITを活用した
我が国
の構造改革、経済の再活性化に大きな効果があると期待しております。 他方、
ユニバーサルサービス
、
ネットワーク
の安全・信頼性、重要通信の確保、また利用者保護のためのルール整備を行うことといたしまして、
制度
全体として
我が国
の利用者利便の増進を図ろうということであります。
黄川田徹
47
○黄川田
委員
そしてまた、今回の改正の中で、今副
大臣
お話
しのとおりでありますけれども、
料金
、契約約款の
規制
を原則廃止しまして、そして
サービス
提供
の原則自由化を図ることとしておりますけれども、これは電気通信
事業
分野で
サービス
ベースでの
競争
が
進展
してきたというふうなことに対応したものと私は理解しております。 しかしながら、この
競争
の
進展状況
は、
サービス
によってさまざまでありまして、
競争
が余り進んでおらず、他の
事業者
によって代替的な
サービス
が十分に
提供
されていないような
サービス
については、利用者利益の保護のために、
料金
等の
サービス
提供
条件の適正化を確保する必要があると思っております。 以上の
観点
から、今回の改正案では、ボトルネック
設備
を設置する
NTT東西
については、
指定
電気通信役務
について保障契約約款の
事前
届け出
義務
を課しまして、利用者から求められた場合にはその約款に定められた
提供
条件で
サービス
を
提供
しなければならない、そう理解しております。 そこで
質問
でありますけれども、この
指定
電気通信役務
は、どのように決められ、どのような
サービス
が該当することになるのか、その決定に当たっては
市場
の
競争状況
についてどのように勘案するのか、あわせて
総務省
の見解を求めておきたいと思います。
有冨寛一郎
48
○
有冨政府参考人
お尋ねの
指定
電気通信役務
でございますけれども、これはボトルネック
設備
である第一種
指定電気通信設備
を用いて
提供
する
電気通信役務
のうち、まず一つは、他の電気通信
事業者
によってこれにかわるべき
電気通信役務
が十分
提供
されないことその他の事情を勘案して、二つ目は、適正な
料金
その他の
提供
条件に基づく
提供
を保障することにより利用者の利益を保護するために特に必要があると認められるものという
観点
で、具体的には
総務省令
で定めるということとしております。
現時点
では、具体的に何だろうかということでございますが、これは電話あるいはISDN等を想定しておりますけれども、具体的に
指定
電気通信役務
の
対象
を決定するに当たりましては、一つには、当該
電気通信役務
の
シェア
あるいは
料金
の水準、
競争
事業者
の
状況
等の要素を勘案いたしまして総合的に判断することが必要となるであろうというふうに考えております。 なお、その決定に当たりましては、パブリックコメントを通じた一般からの
意見
募集、あるいは
情報通信
審議会
への諮問手続などを通じまして、透明かつ公正な形で対応していきたい、このように思っております。
黄川田徹
49
○黄川田
委員
次に、携帯電話の電話番号についてちょっとお尋ねいたしたいと思っております。
事業者
間の
競争
の一層の促進を図るためには、利用者が、さまざまな電気通信
サービス
の中から、みずからが必要とする
サービス
を容易に選択できる
環境
が整備される、これが大
前提
だと思っております。ところが、
現状
では、利用者が携帯電話の
事業者
を変更する場合には、電話番号を変更しなければならないということになります。この電話番号の変更は、利用者にとっては、
関係者
に連絡しなければならないなど、さまざまな手間を要するわけであります。そこで、利用者が
事業者
を自由に選択することを逆に妨げる要因の一つになっているのではないかと思っております。ごらんのとおりの携帯電話の普及でありますので、
事業者
間の
競争
を一層促進しまして、そして利用者利益の確保の
観点
から、この解決策の
検討
が必要ではないかと思っております。 そこで
質問
でありますけれども、携帯電話の利用者が
事業者
を変更しても電話番号がそのまま使えるようにするための方策、すなわち番号ポータビリティーを導入することについて、新聞記事にもさまざま載っておりますけれども、
総務省
はどのような
検討
を行っているか、お尋ねいたしたいと思います。
有冨寛一郎
50
○
有冨政府参考人
番号ポータビリティーの問題でございますが、
総務省
におきましては、携帯電話につきまして、利用者の利便性の向上、そして
事業者
間の
競争
環境
の整備という
観点
から、利用者が携帯電話
事業者
を変更しても同じ電話番号を引き続き使用できるようにするという、番号ポータビリティーの導入の可否につきまして
検討
を行っているところでございまして、具体的には、この
平成
十四年六月からでございますが、電気通信
事業者
それからメーカーから成る勉強会を開催いたしまして、実現
方式
や必要な
費用
の試算等について技術的な調査を行っております。 その結果、いずれの
方式
も、実現に当たりましては多額の
費用
を要するということが明らかになりつつあるわけでございますが、これらの
費用
は利用者
料金
に反映されるということにもつながります。この額でございますが、
NTT東西
それから携帯
事業者
の合計でいいますと、おおむね一千から一千五百億円程度かかる、こういうような試算がございます。 十四年度の電気通信
サービス
モニターにアンケート調査をいたしました結果でございますが、手数料等を
負担
しても同じ番号を使いたいという率が二八・八%ございました。それから、
費用
の額にも左右されるためどちらとも言えないというのが四九・一%ございました。それから、
費用
がかかるくらいなら番号が変わってもよいというのが二二・一%ございました。 こういったようなことを踏まえまして、今後、電気通信
事業者
と意思疎通を図りながら、必要な
費用
の削減の可能性について
検討
する、あわせまして、利用者の
ニーズ
をさらに詳細に
把握
していくという考えでございます。その結果を踏まえまして、携帯電話における番号ポータビリティーの導入の
あり方
について
検討
していきたい、このように考えております。
黄川田徹
51
○黄川田
委員
利用者からのアンケート調査の結果も出たようでありますので、引き続き、さらなる
検討
を
お願い
いたしたいと思っております。 それでは次に、
固定電話
であります。
我が国
の国土、これは山間、離島も多いわけでありまして、また、社会経済生活においては過疎化の進行あるいは高齢化の
進展
、さまざまそれにかかわる課題が山積しているわけであります。このような中にあっても、インターネットあるいはまた携帯電話が急速に普及する、また一方、
固定電話
、これはお年寄りの方々を含め、
国民生活
にとって大変基礎的な通信手段である、これは変わらないわけであります。 このように重要な
固定電話
でありますけれども、
NTT東西
に対して
ユニバーサルサービス
の
提供
義務
が課されておりますが、両社の経営
状況
は厳しいものがありまして、
ユニバーサルサービス
としての電話の円滑な
提供
の確保にも影響が出てくるのではないかとも思っております。 そこで、
固定電話
の円滑な
提供
の確保、維持について、そしてまた、最近公衆電話もどんどん減っておるわけでありますけれども、つい五月の二十六日ですか、三陸南地震によりまして、それぞれ安否の確認ということで電話のやりとりがありまして、それが通じない通じる、いろいろなことがありました。公衆電話は比較的そういう災害等に対してはきっちりと対応できるというような通信手段になっておりますので、ぜひとも残してほしい等々さまざまな
意見
がありますが、その点、ちょっとお聞きいたしたいと思います。
加藤紀文
52
○加藤副
大臣
まず、
固定電話
の方でありますが、
委員
御
指摘
のとおりに、電話
サービス
の
提供
につきましては、
日本
電信電話株式会社法第三条に基づきまして、
NTT
の責務といたしまして、あまねく
日本
全国
における適切、公平かつ安定的な
提供
の確保を課しております。これを受けまして、
NTT東西
は各社の
コスト負担
で
サービス
の
提供
を確保しているのが
現状
でございます。 しかし、今後、
事業者
間の
競争
の
進展
に伴いまして、
NTT東西
の
採算地域
から不
採算地域
への
地域
間補てんのみではその
提供
を維持することが困難になると見込まれますことから、先ほども
お話
ありました
ユニバーサルサービス基金
制度
が昨年具体化されたところであります。これによりまして
固定電話
は、
ユニバーサルサービス
制度
の
対象
として安定的な
提供
は担保されると考えております。 次に、公衆電話でございますが、
NTT東西
におきまして、第一種公衆電話と第二種公衆電話の設置
基準
を設けまして
提供
されているところであります。具体的に申しますと、第一種公衆電話は、市街地においておおむね五百メートル四方に一台、その他の
地域
におきましてはおおむね一キロメートル四方に一台、また第二種の公衆電話は、利用が多く見込まれる場所に設置するという
基準
に基づいて
提供
されておるところであります。 こういった中で、第二種公衆電話は、公衆電話
事業
の収支が悪化していること、また、
お話
ありました携帯電話の普及等により、設置台数が減少しております。しかし、戸外における最低限の通信手段としての第一種公衆電話は、
ユニバーサルサービス
の
対象
として、
基準
に基づき、その安定的な
提供
は担保されているものであります。
総務省
といたしましては、引き続き、
国民生活
に必要不可欠な
サービス
の安定的な
提供
を確保するために、
固定電話
や公衆電話を
対象
とする
ユニバーサルサービス
制度
について、今後の
運用
状況
を踏まえた上で適切に
見直し
てまいりたいと考えております。
黄川田徹
53
○黄川田
委員
残り時間があと五分になってしまいましたので、
固定電話
の
基本
料については、通告しておりましたけれども、島
委員
さんから
質問
がありましたのでこれは割愛させていただきます。 いずれ、今春、
NTT
の接続料を平均五%引き上げる、これが認可された際に、
情報通信
審議会
ですか、これから
基本
料と接続料の関係を整理しておくべきだという課題も
指摘
されておりますので、
基本
料の引き下げが可能かどうかは別にいたしましても、
基本
料についてはさまざま
検討
する必要があると思っておりますので、よろしく
お願い
いたしたいと思います。 それでは、最後の
質問
になりますが、今回の
NTT
法の改正は、昨年十一月の当
委員会
における、
NTT東西
の接続料に関して、
ユニバーサルサービス
の
観点
から、東西均一
料金
を維持する附帯決議を踏まえまして、接続料に関し、
NTT
東が
NTT
西に対して金銭交付を行う
措置
であると思っております。
平成
九年、
NTT
再
編成
のとき、
NTT
西は離島が多く、かつ東京圏を抱えていない等、東西間で経営の効率性に差があったことから、
NTT
東は
NTT
西の経営安定化を図るために、設立から三年間、利益処分として
NTT
西に金銭を交付することができるものとし、その間に
NTT
西は経営の効率化を進めることとしたわけであります。しかしながら、今回の改正は、金銭交付を行うこととする強い
義務
規定
であります。 そもそも、再編時に東西
地域
会社の
地域
割りの弊害を引きずっている面も強いわけでありますけれども、水道
料金
は別にいたしまして、電気、ガス等の公益
事業
でありますが、これらは
地域
により一〇%程度のばらつきがあるのも事実であります。この
ユニバーサルサービス
、これをどのようにすればよいのか、また均一性をどのように保てばいいのか、疑問がさまざま残るわけでありますけれども、
NTT
も完全民営化されてからほぼ二十年にもなるわけであります。 そこで、
質問
であります。
NTT東西
は、県間通信も許可されていることでもあり、
民間
企業並みに合理化をさらに図るとともに、新規
事業
の開発をするなど、その中で何とか利益を取り込む、そういう自助
努力
をまずすべきではないかと思っております。少なくとも、ある期間を置いて様子を見てから接続料の東西格差の一定部分を補うようにするなど、こういうふうに改めることも必要ではないのかと思っておりますが、今回の交付期間、交付金額はどのようなものであるのか、
総務省
の見解を最後にお尋ねいたします。
有冨寛一郎
54
○
有冨政府参考人
御
指摘
のとおりでありまして、
NTT東西
におきましても、合理化あるいは新規
事業
の開拓といった経営
努力
は当然に行うべきものというふうに考えております。 ただ、ちょっと接続料について申し上げますけれども、電話の役務に関する接続料について、これは
電気通信事業法
の
規定
に基づきまして、独占的な
地域
網の非効率性を排除して、合理化要素を加味した
長期増分費用方式
により算定された原価を実績に基づく
トラフィック
で除すことにより算定するということでございまして、望ましい自助
努力
は既に実は織り込み済みというものでございます。それが
長期増分費用方式
というものの持つ性格であることについて御理解を賜りたいというふうに思います。 それから、接続料の水準でございますが、これは、昨年十一月の衆参
総務
委員会
の決議を受けまして、
ユニバーサルサービス
である電話の
料金
につきまして
全国
均一を確保するという
観点
で、この二年間、
平成
十五年度と十六年度の二年間につきまして引き続き均一をするというようなことでございます。 このための
措置
でございますが、
NTT
東
日本
におきましては、長期増分
費用
に基づき算定される原価を上回る接続料収入が得られる、
NTT
西
日本
につきましては、原価を下回る接続料しか得られなくなるというようなことでございます。これを是正するという
観点
で今回法的な
措置
を
お願い
しているものでございますけれども、額につきましては、現段階で確定したものではございませんけれども、
NTT
の試算によりますと、
平成
十五年度分で二百数十億円となるというようなことでございます。
黄川田徹
55
○黄川田
委員
規制
緩和が進めば、今度は消費者とのトラブル等が発生するかもしれません。そういうためにも、電気通信
サービス
における消費者
行政
、これの充実にも努めてもらうことを
お願い
申し上げまして、
質問
を終わります。 ありがとうございました。
遠藤武彦
56
○
遠藤委員長
次に、矢島恒夫君。
矢島恒夫
57
○矢島
委員
日本
共産党の矢島恒夫でございます。 私はまず、提案されております
NTT
法の改正に関して最初に
質問
していきたいと思います。
NTT
の東西分割が審議されました九七年、私はその審議の中で、分割して、それぞれの
コスト
に基づいて
料金
を決めれば、西
日本
は離島が多い、いろいろな構造的
コスト
、こういう要因から、
ユニバーサルサービス
である電話
料金
に格差が出るという点を挙げながら、東西分割を批判しました。
政府
は、分割によって発生する
NTT
西
日本
の赤字問題、これに対処するために、三年間に限って、
NTT
東
日本
から
NTT
西
日本
への交付金
制度
、こういうものを決めたわけであります。 その三年が
経過
したわけです。そこで、
政府
の計画でいけば、
NTT
西
日本
は、
NTT
東
日本
から補てんを受けずに、みずからの
コスト
に基づいていよいよ
料金
を設定する時期が到来したということになると思うんです。そして、電話
料金
の土台となっています
接続料金
、これも東西の
コスト
に基づいて計算された。ところが、今回提出された
法案
は、
コスト
に基づいて東西別々に計算されたにもかかわらず、実際は東西均一
料金
としたために発生するところの西
日本
の減収分、これを東
日本
が補てんするという
制度
を導入する、そのためのものであると思います。三年間に限定した、東から西へ補てんする
制度
を事実上延長するというものだろうと思います。 そこで、
総務省
にお聞きします。 まず、東西の
接続料金
、これを
長期増分費用方式
の
コスト
に基づいて計算した場合に、いわゆるGC接続、
加入者
交換機接続、それからZC接続、中継交換機接続、それから端末
回線
、それぞれの東西
料金
格差がどれくらいになるのか、お答えいただきたいと思います。
有冨寛一郎
58
○
有冨政府参考人
平成
十四年九月の
情報通信
審議会
の答申時の値でございますけれども、GC接続に関しましては、三分当たりでございますが、東
日本
が三・五九円、西
日本
が四・七五円でございます。それからZC接続でございますが、これも三分当たりでございますが、東
日本
が四・五七円、西
日本
が五・九五円でございます。それから端末
回線
、端末
回線
の伝送機能の部分でございますが、これは一
回線
、月当たりでございますけれども、東
日本
が千二百五円、西
日本
が千二百五十三円でございます。 GC接続、ZC接続につきまして格差おおむね三割程度、それから、端末
回線
につきましては約四%というような数字がございます。
矢島恒夫
59
○矢島
委員
接続料金
の中心的なものは、やはりGC接続及びZC接続だと思います。そこで、今
答弁
いただいたように、おおよそ三〇%ぐらいの格差があるということ。 そこで
情報通信
審議会
の答申を見ますと、「GC接続
コスト
については、
NTT
西
日本
は小規模局が多いことから局設置RT〜
加入者
交換機の伝送路が、また、ZC接続
コスト
では、地理的条件から離島を多く有しているため、
料金
水準で見た格差は
拡大
している。」こんなふうに答申は述べていると思います。 要するに、
NTT
を東西に分割したときにいろいろ
指摘
しましたように、東西間の格差の構造的要因、これによっての格差、先ほどの
お話
では約三〇%存在するということであります。東西に分割した趣旨からいえば、
NTT東西
は、それぞれの
コスト
に基づいて
料金
設定をするはずであった。今回、その本来の趣旨に反して、
接続料金
を均一にする
法案
を提出してきた。なぜこういう
法案
を提出してきたんですか。
有冨寛一郎
60
○
有冨政府参考人
NTT東西
の電話の役務に関する接続料でございますが、これは昨年十一月の衆参
総務
委員会
の御決議を受けまして、それから
情報通信
審議会
でも、
省令
案につきましてパブリックコメント等を求めまして、
ユニバーサルサービス
であります電話の
料金
は
全国
均一を確保するというようなことがございます。したがって、そういうものを実現する
観点
で、
平成
十五年度及び
平成
十六年度の二カ年度について、引き続き均一とするということにしているものでございます。 これを実現するためには、一つには、
NTT
東
日本
におきましては、
長期増分費用方式
に基づいて算定された原価を上回る接続料収入を得ることになります。他方、
NTT
西
日本
におきましては、原価を下回る接続料収入しか得られなくなるという
状況
が発生をいたします。したがって、今回
お願い
をしております交付金
制度
は、このような原価と接続料収入の乖離を是正するということが一つと、それから
競争
政策
上必要であるという、二つの
観点
で
お願い
をしているというものでございます。
矢島恒夫
61
○矢島
委員
NTT東西
の
コスト
差に基づいて
料金
を設定すると、分割を推進してきた
政府
から見ても、
ユニバーサルサービス
である
NTT
の電話
料金
に容認することができないような格差が生じる、こういうことから、この
法案
のような
接続料金
を均一にするという
法案
が出たんだと思うんです。 そこで
大臣
に一つお聞きしたいんですが、こうした
NTT東西
の
コスト
差、これは分割の論議をしたときからもちろん予想されていた問題だと思います。そしてその格差を埋めるために三年間経営
努力
をする、これが
経過
したわけであります。もっとも
NTT東西
の
コスト
差というのは、先ほども申しましたように、地理的条件などの構造的なものですから、経営
努力
の範囲をそもそも超えているものだということも言えるわけです。 そこで、
ユニバーサルサービス
に容認できない
料金
差が生じてしまっている
NTT
分割、そもそも根本から失敗しているんだということを今回の結果は示していると私
たち
は思うんですが、
大臣
、これについての御感想を。
片山虎之助
62
○
片山国務大臣
それは、
NTT
の今の仕組みについては国会でも大
議論
していただきまして、今の持ち株会社
方式
にしたわけでありますし、
地域
会社を東西に分けたというのは、東西で
競争
しろということですね。切磋琢磨、
競争
で、少々の格差があってもしようがない、本来はそういうことなんですね。だから今回も、これは
考え方
なんですけれども、当面かなりな差が出るというのは、これは困るんだという
意見
が大分ありましたですね。 それで、
基本
的には、衆参の
総務
委員会
で附帯決議をしていただいたものですから、我々は国会第一でございますので、国会の附帯決議は最大限尊重する、こういうことでございまして、いろいろな
意見
があったわけです、省内にも。そこで、当面は一緒にしよう、そういうことでパブリックコメントにもかけまして、そういうことの方がいいという
意見
が多かったような
状況
を私は聞いております。 そういうことで、今回こういうことに、過渡的にというのか、させていただいたわけでありますが、本来は東は東、西は西でいくことが正しいのではなかろうか。そういうことで、これは一時的な、過渡的な
措置
としてお考えいただくべきではなかろうか、私はこう思っております。
矢島恒夫
63
○矢島
委員
私
たち
は、分割そのものがどうだったのかということを十分考えなきゃいけない。今
大臣
が、東西格差は仕方がないんだというお考えも述べられましたけれども、そういうことから、
ユニバーサルサービス
として容認できない格差、三〇%前後、こういうものを生じてしまったというところは、やはり分割そのものが重大な問題を持っているんじゃないかということを
指摘
したわけです。
情報通信
審議会
の
接続料金
問題に関する昨年の九月の答申ですけれども、そこには、電話
料金
が
ユニバーサルサービス
であり、約三〇%という格差は認められないという、「社会
政策
的配慮が実現できることは確かだとしても、
NTT
東
日本
及び
NTT
西
日本
は別会社であるという事実を
前提
にすれば、特定
負担
金
制度
が終了して以降、なお、
長期増分費用方式
による
コスト
を算定したにも拘わらず、その適用を見送ることを正当化することは困難と考えられる。」
政府
の方針に忠実に
競争
原理を進めてきた、あるいは審議してきた
情報通信
審議会
ですら東西別
料金
というものを提言しているわけです。 そこで、今回の
法案
が提出された最大の理由は、まさにその社会
政策
的配慮を実現する、このためである、答申にもそのとおりだと思います。このことによって、
情報通信
審議会
がこれを否定する最大の根拠であった東西別会社という
制度
を、この答申の言葉は事実上否定することになっているんだ。そこで、今回の
法案
はまさにこの
NTT東西
分割の
政策
の破綻を認めるにほかならないと私は思います。 今回の改正案のようなつじつま合わせ、こういうようなものではなくて、破綻した東西分割という枠組み、これを根本から考え直すという点で進めるべきだということを
指摘
しておきたいと思います。 次の
質問
に入ります。
接続料金
問題です。いわゆる
長期増分費用方式
についてお尋ねしたいわけです。
接続料金
を下げるために導入されたのが
長期増分費用方式
だった、こう思います。現在、新聞報道によりますと、新電電五社が
NTT
接続料金
値上げ認可取り消しを求めて
総務省
を提訴するというような見出しを見ました。 そもそもこの
長期増分費用方式
というのは、これが審議されたときに、また答申にも出されておりますが、「
現時点
で利用可能な最も低廉で効率的な
設備
と技術を
前提
として、現在の需要を賄う
ネットワーク
を構築した場合の
費用
を算定するもの」、こうなっているわけです。電気通信技術というのは、まさに日進月歩、むしろ秒進分歩といったような大変な技術革新の
世界
であります。パソコンを見ますと、三年もすれば性能は何百倍にもなる、
コスト
は何百分の一だ、こういう
世界
であります。 そこで、二〇〇〇年のモデルよりも二〇〇三年のモデルによって計算された
接続料金
が値上がりするというのでは、そもそも
長期増分費用方式
の概念に
矛盾
するんじゃないかと思うんですが、これについてはどういうお考えですか。
有冨寛一郎
64
○
有冨政府参考人
長期増分費用方式
の導入、この目的でございますが、これは、あくまでも
NTT東西
の非効率性を排除して適正な原価の算定を行うということと、それから算定方法につきましても、
NTT東西
以外の
事業者
にとって透明性、検証性が確保されるというようなことで、
先生
お尋ねの二〇〇〇年モデルでは接続料が大幅に引き下がったということがございます。 今回のモデルの
見直し
でございますが、モデル作成当時の長期増分
費用
モデル研究会報告書、それから
平成
十二年二月の
情報通信
審議会
答申で
指摘
された
見直し
事項等、これを踏まえまして、公募によりまして参加をいたしました国内外の電気通信
事業者
の協力も得まして実施をしたものでございまして、
議論
の透明性も確保しながら進めたということでございます。 接続料は、適正な
コスト
を
トラフィック
で割るということによって算定されるという
基本
的なスキームがございます。したがって、分子である
コスト
は
見直し
によりまして若干減りましたけれども、分母となります通信
トラフィック
が大幅に減少するというような外生的な要因もございまして、結果として単位
コスト
である接続料の一部が上昇するということになったものでございます。 適正な原価を算定するという
観点
での
長期増分費用方式
の導入の目的は十分に達成されているというように考えております。
矢島恒夫
65
○矢島
委員
私が
質問
したのは、十分に達成されているかどうかという問題じゃないんですよ。 二〇〇〇年のモデル、それから二〇〇三年のモデルを見ますと、そもそも
長期増分費用方式
というのが導入されたその根本的な精神は、一番安い、そして高度の技術、それを
基本
に計算していこうということでやったわけですよ。だから、透明性を確保したことがどうとか、あるいは
トラフィック
がどうだとか、そういう問題について私はお聞きしたんじゃないんです。今回の
料金
値上げの主因の一つである、先ほど
答弁
の中で言われた
トラフィック
の減少、これはそもそも
長期増分費用方式
と関係ないんですよ。
ネットワーク
全体の
費用
の計算方法がどんなものであっても、
トラフィック
が減少すれば単価は上昇するわけですから。 しかも、今回のモデルで主要な
コスト
削減要因となっているのは、答申も
指摘
しておりますけれども、
設備
の経済的耐用年数の
見直し
による減価償却費の軽減である。企業会計原則の
世界
では、
費用
計算の継続性のために経済的耐用年数などの変更は大体通常行われないわけですよ。そこで、二〇〇〇年のモデルと二〇〇三年のモデルの総
コスト
を比較するのであれば、二〇〇三年モデルも二〇〇〇年モデルと同じ経済的耐用年数で減価償却しないと正確な比較にはならない。 そこで、お尋ねすることは、まず、
接続料金
で回収するべき年間の
ネットワーク
総
費用
、これが二〇〇〇年モデルでは幾らで、二〇〇三年のモデルでは幾らか、このことをお答えいただきたい。
有冨寛一郎
66
○
有冨政府参考人
まず、二〇〇〇年モデルでございますけれども、端末系の交換機能、中継系の交換機能、中継系の伝送機能、これを足し合わせまして約八千億円でございます。それから、二〇〇三年モデル、これも同様の機能を足し合わせますと七千九百四十六億円というふうになっております。
矢島恒夫
67
○矢島
委員
八千億円と七千九百四十六億円、ほとんど同じだということが言えると思います。なぜそうなったか。その主要な原因を見てみますと、耐用年数の
見直し
、つまり減価償却の軽減というところにあると思うんです。 そこで、正確に比較するという意味から、二〇〇三年のモデルを二〇〇〇年モデルの経済耐用年数で計算した
ネットワーク
総
費用
、これはどれくらいになりますか。
有冨寛一郎
68
○
有冨政府参考人
これは、おおむね一兆円程度になります。二〇〇三年モデルの総
費用
が七千九百四十六億円でございまして、約二千億円の増加という形になっております。
矢島恒夫
69
○矢島
委員
約一兆円ということです。 二〇〇三年モデルは、会計上の操作でどうにか、先ほど
局長
が答えたように、二〇〇〇年モデル並みの総
費用
となったわけです。もしそれをしなければ、つまり、操作をしなければ、耐用年数の
見直し
をしなければ、三年
経過
して安くなるはずであった二〇〇三年モデルの総
コスト
が、二〇〇〇年モデルの総
コスト
より高くなった。これは、先ほど約一兆円という数字が出てまいりましたが、明白であります。両方とも大体八千億円であるわけですが、それが約一兆円というわけですから。 そこで、
大臣
、
現時点
で最も効率的で安価な
ネットワーク
を構築したときの
コスト
を計算する
長期増分費用方式
、これで二〇〇三年のモデルの方が二〇〇〇年モデルより本質的に高くなる、こういうのでは新電電が納得できない、提訴するかどうかは別として、そういう事態になってくるのも私は当然であると思うんです。二〇〇三年モデルが二〇〇〇年モデルより高くなるというのでは、それは、そもそも
長期増分費用方式
に基づく
料金
とは言えないと私は思うんです。 そこで、
大臣
、こういうものに基づいて出された
接続料金
、これを認可したわけですが、そこの問題についてお考えを聞きたい。
片山虎之助
70
○
片山国務大臣
委員
が言われるように、
長期増分費用方式
でいくと、だんだんと下がっていくということですよね。そういうことが一種の
前提
にあるんですね。ただ、大変な
環境
変化、これも
委員
十分御
承知
だと思いますけれども、そこで、この
環境
変化の中でどう考えるかということなんで、そこが難しいんですね。 本来の
あり方
からいうと下がっていくべきだと私も思いますよ。ただ、しかし、これだけの
環境
変化の中でどう考えるか、こういうことなものですから、今回はこういうことにやらせていただきましたけれども、十七年度以降どう考えるか、これから
関係者
の
意見
も十分聞きながらやってまいりたい、こういうふうに思っております。 なかなかある意味ではつらいところでございますけれども、そこはぜひ御理解を賜りたいと思います。
矢島恒夫
71
○矢島
委員
私
たち
は、そもそもこの
長期増分費用方式
というものについて、机上で、机の上でつくり上げたプランというのでいろいろ問題があるということを
指摘
しながら反対いたしました。新電電も、こういう
状況
で、今まで
長期増分費用方式
に賛成、当時していたわけですが、問題ありという声を上げたわけですね。 この二〇〇三年モデルは、先ほど来言っていますように、
現時点
で最も効率的で安価な
ネットワーク
を構築するという
長期増分費用方式
、これに基づくモデルでありながら、三年前のモデルより高価になる、この
長期増分費用方式
の定義自身に
矛盾
するものになってしまっている。ですから、いわゆる
長期増分費用方式
そのものが大変な今、救いようのないといいますか、破綻に直面している、こう言わざるを得ないと私は思うわけです。 そこで、なぜこんな事態か考えてみました。 つまり、今回のモデルを見ますと、最大の問題は、これを推進していこうという人
たち
から見ても、
長期増分費用方式
の欠陥、こういうものが明らかになったということもありますが、同時に、電話
料金
の土台となっている
NTT
の
接続料金
がなぜ国際的にも高いのか、その最も本質的な理由、これを明らかにすることが必要だし、明らかになってきたと思うんです。それは何かといえば、
NTT
は、
ネットワーク
の主要な
設備
を法定耐用年数で減価償却しております。 それぞれ、デジタル交換機、メタリックケーブル、それから光ケーブル、それから管路、法定耐用年数は何年になっていますか、これは。
有冨寛一郎
72
○
有冨政府参考人
今
先生
の御
指摘
の
設備
について順次申し上げますが、デジタル交換機が六年、メタルケーブルが十三年、光ケーブルが十年、管路が二十七年、これが現在の法定耐用年数でございます。
矢島恒夫
73
○矢島
委員
局長
にもう一つお聞きしたいんです。 長期増分
費用
モデル研究会、そこが、これらの
設備
が、今
答弁
されたような耐用年数になっているけれども、実際にはもっと長く使われていると。そこで、経済的耐用年数といいますか、これを改定せよということで研究会が出しました。それはそれぞれ何年になっていますか。
有冨寛一郎
74
○
有冨政府参考人
関係する
設備
の経済的な耐用年数でございますが、デジタル交換機が十七・七年、メタルケーブルにつきましては、架空ケーブルで十九・五年、地下ケーブルで二十五年、光ケーブルにつきましては、架空ケーブルで二十・三年、地下ケーブルで二十五・九年、管路が五十二・二年というようなことでございます。
矢島恒夫
75
○矢島
委員
今お答えいただいたように、どの部分を見ましても、実際に使っている年数の約半分の年数で減価償却しているという事実がはっきりしたわけであります。 アメリカではどうかというので、ちょっと調べてみました。そうしましたら、交換機については十六年、メタリックケーブル二十一年、光ケーブルで二十五年、管路で五十六年、機械用建物でいきますと四十六・九年、こういうような数字が出ております。このアメリカの耐用年数というのを見ますと、これは大体、
NTT
が実際に使っている年数とほぼ同じ年数で償却しております。 アメリカでは、建物の耐用年数四十六・九年と言いましたが、
NTT
は二十一年から二十二年と、こちらも大体半分になっていますね。
NTT
の
設備
の実際耐用年数、これも、つまり実際に使っている年は、アメリカやあるいはイギリスの耐用年数とほぼ同じになっている。これを、実際にはそうなのに、会計上は半分の耐用年数しかないものとして計算しているわけですね。 そこで、
局長
、ちょっとお尋ねしますが、耐用年数、いわゆる法定耐用年数での減価償却費、これは、実際に使っている耐用年数での減価償却費、これらの、交換機その他については大体何倍ぐらいになるんでしょうか。
有冨寛一郎
76
○
有冨政府参考人
お答えいたします。 まず、償却
対象
の資産額は同一ということを
前提
で置かせていただきますけれども、その上で、法定耐用年数を使用した場合と、いわゆる実際のといいますか、私どもでいいますと、経済的な耐用年数を使用した場合と、こういったものを比較いたしますと、デジタル交換機が二・九五倍、それからメタルケーブルでいいますと、架空ケーブルで一・五倍、地下ケーブルで一・九倍、光ケーブルで見ますと、架空ケーブルで二・〇倍、地下ケーブルで二・六倍、管路が一・九倍、このようになります。
矢島恒夫
77
○矢島
委員
NTT
の
ネットワーク
設備
の実際上の耐用年数と比べて、会計上の耐用年数、今
答弁
いただいたように、おおよそ半分である。 そこで、十年で償却するものを半分の五年で償却した、そうすると減価償却費は当然二倍になるわけですけれども、今
答弁
いただいたように、それぞれ二・九五倍から一・五倍の間ぐらい、平均しますと二倍前後、これくらいの減価償却費の違いが出てきているわけですね。
NTT
の
ネットワーク
は、実際の耐用年数の大体半分の年数で償却している。
現実
にも、また諸外国との比較でも、大体二倍の減価償却の水増しと言わざるを得ないような
状況
になっている。 先ほどの
総務省
の試算でも、実際に使っている耐用年数で計算されたところの二〇〇三年のモデル、それから法定耐用年数を採用している二〇〇〇年のモデル、耐用年数で計算すると、大体総
コスト
が一・数倍、二倍近くということになる。 そこで、このことが、この耐用年数の水増しといいますか、耐用年数を縮めながら減価償却費を水増ししていく、総
コスト
でいいますと約三〇%程度になりますか、ここに、私は、諸外国に比べて
接続料金
が高い根本的な要因があるのではないかと思うわけですが、このことについては
総務省
、どんなふうに考えていますか。
有冨寛一郎
78
○
有冨政府参考人
耐用年数等につきましては、これも今
先生
いろいろ御
指摘
ございましたけれども、法定耐用年数あるいは経済的耐用年数、これをどういうふうに扱うかということで随分
議論
がございまして、私どもといたしましては、ここは経済的な耐用年数ということを採用するということで取り組んできております。 したがって、これはあくまでも、いわゆる水増しといいましょうか、効率的なシステムを構築するという
観点
で見ると、実際に使っている経済的な耐用年数の方が望ましい、こういうスタンスでございますので、私どもとしては、そういったものを踏まえながら接続料の算定をしたということでございます。
矢島恒夫
79
○矢島
委員
耐用年数の短縮によって減価償却費が水増しされるということが、まさに
接続料金
の
拡大
の最大の要因だと私は思うわけです。 そこで、あと、時間がなくなりましたので、この
NTT
ネットワーク
の減価償却が、
現実
にも、諸外国との比較でも半分の期間で行われている。それから、その結果として、諸外国の
基準
と比べて年間の減価償却費が約二倍になっている。その結果、総
コスト
でいえば三割ぐらい高くなっている。こう推定されるわけですけれども、
長期増分費用方式
、先ほど来言っておりますように、その意味するところからしても、また、「独占的な
地域
通信網の非効率性を排除した
コスト
算定の一手法」だという答申の言葉からしても、非常に重要な問題を抱えていると思います。 そこで、当然のことかもしれませんが、確かめておきたいんですが、諸外国との比較で耐用年数を約半分として計算することによって、これと比べて
NTT
の減価償却費が二倍となっている。このことは、
NTT
が
地域
網を独占しているということと何か関係ありますか、全然関係ないですか。どうですか。どんなふうに考えますか。 〔
委員長
退席、
佐藤
(勉)
委員長
代理着席〕
有冨寛一郎
80
○
有冨政府参考人
あくまでもこれは
NTT
に接続をする
事業者
が支払うべき
コスト
は幾らであるかということでございますので、実際は独占的な
立場
にございますので、その
料金
そのものが
市場
価格としては機能しない。したがって、望ましい価格として、いわゆる
長期増分費用方式
という形で、効率的な経営と、それから一番安いであろうと思われる
設備
等で適正な
コスト
でやるということでございますので、独占的であるかどうかということとは直接にはリンクしないのではないかというふうに思います。
矢島恒夫
81
○矢島
委員
無関係であることは当然のことだと思います。耐用年数を改めれば、電話
料金
の土台となっている
NTT
ネットワーク
の
コスト
は安くなってくる、これは当然であります。 ところで、これも確かめておくわけですが、
NTT東西
の
競争
、こういう
競争
によってこの
コスト
は削減できる性質のものかどうか、この点についてはどういうふうにお考えですか。
有冨寛一郎
82
○
有冨政府参考人
設備
競争
が
競争
的に行われて、それで、いわゆるリアル
コスト
、実際
費用方式
ということであればいろいろなことが言えるのかもしれませんけれども、今現在におきますとそういうものではない。したがって、あくまでも
競争
的ではないということを
前提
にして、効率的かどうかということの検証をするという意味でも、いわゆる
長期増分費用方式
を導入しておりますので、ちょっとそういう面で、今の
方式
で東西云々というのは当たらないんではないかと思いますが。
矢島恒夫
83
○矢島
委員
確かにお答えのとおりです。
競争
の関係、東西分割によってどうかこうかということは無関係だ。そういうことによって減価償却費の水増し計上というのが改まらないことは確かです。 そこで、東西分割によって
NTT
ネットワーク
の
コスト
が諸外国に比べて割高な根本原因、ここへメスを入れなきゃいけないんです。ところが、東西分割の理念を徹底すれば
ユニバーサルサービス
というのは危機的
状況
になっていく。私が重大問題として
指摘
しなければならないのは、この誤った
コスト
論に従って誤った
コスト
削減策がとられたことだということです。
NTT
が、我々は、無法、脱法の行為だ、こう言っておりますが、十一万人リストラを強行した。その口実の一つが
接続料金
引き下げだったんです。 しかし、
接続料金
が高かったのは、まさに、今までずっと私と
局長
といろいろやってまいりましたが、この耐用年数の問題、水増し償却の問題なんです。このことを、耐用年数がこうだということはもう昔からわかっていることなんですが、知っていながら、ここに重大な問題があるということを知りながら、リストラをどんどん強行してくる。
NTT
の責任も重大ですけれども、これを知っていながら後押ししてきた
総務省
の責任も私は重大だと思うんです。 今回の一連の法改正が電気通信
事業
の抜本的な改革であるならば、電気通信
事業
の中心にあるところの
NTT
の
規制
体制に対して、今回のような小手先の対応じゃなくて、これまでの
政策
の失敗を総括した、その上に立った抜本的な改革が求められる、このことを私は強く
指摘
しておきたいと思います。 以上で
質問
を終わります。
佐藤勉
84
○
佐藤
(勉)
委員長
代理 次に、横光克彦君。
横光克彦
85
○横光
委員
社民党の横光克彦でございます。
質問
をさせていただきます。 電気通信業界の技術革新、これはもう御案内のように、目覚ましいものがあるわけでございます。正直言って、利用者の方がついていくのが精いっぱいだというような
実態
でもあろうかと思います。通信の
ブロードバンド
化や、それに連動いたしましたインターネットプロトコル、
IP
系
サービス
などの普及が急速に進んでいるわけでございますが、そういった中で、
総務省
としては、今回、十八年ぶりに
電気通信事業法
の改正案をまとめられたわけでございます。 その趣旨は、
規制
緩和による新規参入の促進と
市場
の活性化を促す、これがねらいであろうと思っております。確かに今回の法改正によって
規制
緩和が進められるわけですが、これにより、
事業者
の
サービス
の多様化、あるいはビジネスチャンスの
拡大
、さらには迅速な柔軟な
事業
展開、こういったことが可能になるわけでございます。急速な
環境
変化に対応する意味からもこれは必要でしょう。 しかし、
規制
緩和は、最終的にはやはり、国民にどのような恩恵をもたらすか、どのような
プラス
になるか、ここに行き着くことだと思うんですね。今回の
規制
緩和を中心とした法改正、これが国民にどのようなメリットをもたらすかということをまずお聞きいたしたいと思います。
片山虎之助
86
○
片山国務大臣
今、横光
委員
言われましたように、今回の改正は、昨今の
IP
化あるいは
ブロードバンド
化といった
市場
環境
の変化を踏まえてどういう
規制
改革をやるか、こういうことでございまして、この
規制
改革によりまして、
事業者
の方は、これまで以上に柔軟な
事業
展開や
サービス
提供
が行える。こうなりますと、創意工夫と活発な
競争
をやるわけですから、
料金
の引き下げあるいは
サービス
の高度化、多様化、こういうことが利用者にとっては期待される、こういうふうに思います。 ただ、
競争
が激化すると、
競争
激化の余り利用者にしわ寄せが来るようなことがあってはいけませんので、この
法律
改正の中には、例えば、
ユニバーサルサービス
に係る約款
規制
だとか、
サービス
提供
に係る重要事項の
説明
の
義務
、苦情処理
義務
、こういった利用者保護のルールも中にあわせて決めておりまして、
制度
全体として
我が国
の利用者利便の増進を図ることができるのではないか、こういうふうに考えております。
横光克彦
87
○横光
委員
確かに、
サービス
の多様化あるいは
料金
の値下げ等、国民利用者にとっても
プラス
になるものがあろうかと思いますが、それと同時に、今言われたように、技術革新が進めば進むほどいろいろな不正あるいは苦情というものがこれはどうしてもつきまとうわけで、そういったことの対応について、私、ちょっとお尋ねしたいと思うんです。 まず、
ブロードバンド
時代における電気通信分野の
規制
の
あり方
として、今回、
規制
緩和、一歩進めましたが、今回の改正で果たして十分と考えておられるのか、それとも、今いろいろ言われたように、
事業者
のためにも国民のためにもさらなる改正が必要である、このように思われているのか、お聞かせいただきたいと思います。
有冨寛一郎
88
○
有冨政府参考人
今、
大臣
が
答弁
されましたように、
市場
の変化が非常に激しいということに対して、今回精いっぱい
制度
の
見直し
をして御提案を申し上げているということでございますが、当然これからも、
市場
の変化、あるいは
競争
環境
の変化、技術革新等々の変化が多々あろうと思いますので、そういったことにも対応しながら、
制度
全体は不断に見直す必要があるというふうに思っております。
横光克彦
89
○横光
委員
わかりました。 今回の改正、一番中心は、いわゆる一種、二種の
事業
区分の廃止でございます。この二種電気
事業者
、これはこれまでも登録、届け出制だった、つまり、もともと
規制
は厳しくなかったわけですね。要するに、
事業
区分の廃止の恩恵といいますか、
プラス
になるのは第一種電気
事業者
になろうかと思いますが、第二種電気
事業者
にとって今回の
事業
区分を廃止するメリットはどこにあるかをお聞かせいただきたいと思います。
有冨寛一郎
90
○
有冨政府参考人
先生
御
指摘
のように、今、参入の面で見ますと登録と届け出ということでございますので、今回についても、これは届け出ということになりますので、
基本
的に大きな変わりはないということではございます。 ただ、
現行制度
におきますと、一部でも自分みずからが電気通信
回線
設備
を設置したいということになりますと、実際には第一種電気通信
事業
の許可を受ける必要があるというふうになるわけでございます。そういう面でいいますと、二種
事業者
がみずから電気通信
回線
設備
を設置することが認められないという
観点
では大きな制約があったというふうに思います。 今回、この
事業
区分の廃止ということによりまして、これは現行の二種
事業者
でありましても、
光ファイバー
や無線アクセス
回線
といった電気通信
回線
設備
をみずからの判断で設置するということができるようになりますので、二種
事業者
にとりましても、
ネットワーク
の構築あるいはビジネスの展開上も大きなメリットが生じるということが一つございます。 それからもう一つございますが、今般、第一種電気通信
事業者
に対します契約約款
規制
、これが原則として廃止をされます。そのことによりまして、二種電気通信
事業者
は、一種電気通信
事業者
と一層自由に相対契約を結ぶことができるようになります。そのことによって、
回線
の利用という面では、二種
事業者
の
ネットワーク
構築の柔軟性が非常に大きく高まる、このようなメリットがあるというふうに思っております。 このように、二種につきましても相当のメリットが出ているというふうに私どもは考えているところでございます。
横光克彦
91
○横光
委員
今、二種のメリットの中で、約款等の
事前
届け出
義務
の廃止によっていわゆる相対契約が結ばれるようになる。確かにそうなりますね。 しかし、これも、言ってみれば、結局のところ、大手の
事業者
と大口の利用者、いわゆる企業ユーザー、こういったところがさらに相対契約によって大口の割引
制度
等の恩恵を受けるようなこともありましょう。しかし、一般の利用者はこのことによって何のメリットがあるかちょっとわからないんですが、そこのところはいかがですか。 〔
佐藤
(勉)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
有冨寛一郎
92
○
有冨政府参考人
電気通信
事業
の分野でございますけれども、多数の新規参入というようなものがございますし、それから
競争
ルールにつきましても、公正
競争
という
観点
でのルールの整備を行ってきておりまして、
市場
は大変活発になってきているというふうに受けとめております。 そういった意味でいいますと、各利用者が、
市場
原理の中で動く多くの
事業者
の多種多様な
サービス
の中からみずからに適した
サービス
を選択できる、あるいは適切な条件で
提供
を受けられるというような
環境
は整備をされるのではないかというふうに認識をしております。 したがって、
競争
が
進展
した分野におきましては、
料金
あるいは契約約款の届け出
義務
が廃止となりまして、
事業者
のより柔軟かつ機動的な
サービス
の
提供
や
料金
設定が可能となるということで
競争
が一層
進展
をする、その結果、一般利用者も含めた利用者が
料金
の低廉化や
サービス
の高度化、多様化といった恩恵を享受できるというふうになると思います。 ただ、
先生
御
指摘
のように、一般利用者と電気通信
事業者
との間で、その情報とかあるいは
交渉
力とかという
観点
で見ますと大きな格差がございます。したがって、こういう点につきまして何らかの手当てが必要であるという
観点
で、一般利用者が
料金
あるいは
提供
条件というものを十分理解して、みずから必要な適切な
サービス
を選択できるようにするという
観点
で、電気通信
事業者
等が、これは代理店も含みますけれども、契約締結の際に
料金
や
提供
条件について必要な
説明
をするということを
義務
づけるというような形にしてございます。 さらに、
交渉
力等の格差に対応するということで、仮に
事業者
が特定の利用者を不当に優遇するあるいは冷遇する、こういった場合におきましては、そういった利用者の利益を阻害している、こういう場合には、これは
総務省
としては、業務改善命令を行うということ等によりまして是正を求めるということが可能でございまして、利用者の利益というものについては十分配慮をしたつもりでございます。
横光克彦
93
○横光
委員
今、
競争
の中でいろいろな
サービス
が展開され、そしてまた、利用者がそれを選択できるメリットもあるということでございましたが、
料金
・
サービス
規制
を緩和して、そして
事業者
間の
競争
を促す中で、強引な勧誘やあるいは契約時の
説明
不足によるトラブル、これが
現実
でも後を絶たないわけですね。 改正案で、公益
事業
法において初めて、
料金
などの取り決め、約款が原則的にはなくなるわけでございます。つまり、ユーザーは
事業者
と直接向き合う
必要性
が出てくる。ここのところで
プラス
の面もマイナスの面も出てくるでしょう。つまり、利用者の自己責任がベースで果たして大丈夫かという心配も出てくるわけですね。現行の厳しい法制下のもとですらトラブルが多発しておるわけでございます。
事前
規制
から事後チェックへの転換を強調する余り、問題が起きてからというふうに対応を先送りするようなことはないんでしょうか。
有冨寛一郎
94
○
有冨政府参考人
いわば
規制
緩和によりまして、電気通信
事業者
の方の
競争
によります多様な
サービス
とかあるいは
料金
の低廉化とかというものを期待しておりまして、利用者の方がよくよくそれを比較できるというのが一番大事でございまして、先ほど
先生
、今でもいろいろ問題があるという御
指摘
もありましたけれども、そういったことも踏まえて、利用者保護ルールというものを今回改めて法定化したということで対応しているつもりでございます。
横光克彦
95
○横光
委員
また後で、ちょっとそういった利用者のいろいろな苦情問題についてお尋ねしたいんですが、この緩和の中に第一種電気
事業
の許可制の廃止、いわゆる
設備
の設置
区域
及び規模による登録制または届け出制への移行ということがございます。 電気通信
事業
への参入の際、電気通信
回線
設備
の規模及び設置する
区域
の範囲、これまでは設置のあるなしに着目していたわけですが、こういった規模及び設置する
区域
の範囲が
総務省令
で定める
基準
を超えない場合については
大臣
への届け出としている。この
総務省令
で決める
基準
というのは一体何でしょうか。
有冨寛一郎
96
○
有冨政府参考人
今御
指摘
のあった課題でございますが、今回の改正案では、電気通信
回線
設備
の規模、それから電気通信
回線
設備
を設置する
区域
の範囲、これは
総務省令
で定めるというようなことでございます。 これは、
現時点
において、例えて言いますと、設置する線路の亘長の総延長、これが例えば百キロメートルといったような一定の距離以下であることとか、あるいは電気通信
回線
設備
を設置する
区域
あるいは区間が一の市町村の
区域
にとどまるものであるとか、こういったことのいずれかに該当する場合には届け出で足りるのではないかというようなことを想定しております。 しかしながら、具体的には、
事業
の
実態
を踏まえまして、今後、パブリックコメント等を経た上で、
総務省令
において
規定
をするというようなことでございまして、こういった電気通信
事業
分野そのものは非常に変化が激しいということで柔軟に対応するという
観点
で、
総務省令
で
規定
をしたいというふうに考えておるところでございます。
横光克彦
97
○横光
委員
今、インフラ部分で見れば、設置
区域
及び電気通信
回線
設備
の規模という
基準
についてちょっと
説明
ございましたが、いわゆる登録制または届け出制、この区分というのは、
総務省令
で決めるというより、これまで
法律
で決められていたわけですから、この
基準
については
法律
により定める必要があろうかと思うんですが、その点はいかがですか。
有冨寛一郎
98
○
有冨政府参考人
先ほどちょっと申し上げましたけれども、電気通信
事業
分野、これは技術革新が激しい、あるいは
市場
環境
の変化も激しい、それから新規参入とか各
事業者
の
事業
内容の変更等、
事業
環境
が急激に変化をするというようなことでございまして、
事業
の
実態
を踏まえながら、適切な
基準
というものを機動的に設定をしたい、その方が各
事業者
の柔軟なビジネス展開がより可能であろうという
観点
で、この
基準
につきましては
総務省令
で定めることといたしたい、このように思っているものでございます。
横光克彦
99
○横光
委員
それでは、休廃止の許可制の廃止、これも届け出制への移行となります。 電気通信
事業者
が休廃止をしようとする場合、これは、これから
競争
がさらに激しくなれば、突然
事業
を打ち切るというような業者も恐らくたくさん出てくるだろう。アメリカでは、実際、非常にふえて、このことがいわゆる
料金
にまで影響しているというようなことが起きているという話もございますし、こういった休廃止をしようとする場合、
事前
通知が必要である。利用者への
事前
の周知期間、あしたやめるといったって、これは
事前
は
事前
ですが、いわゆる
事前
通知にはならない、こういった周知期間はどの程度が妥当であると考えているのか。これも
省令
で決めるんですね。
有冨寛一郎
100
○
有冨政府参考人
先生
御
指摘
のように、
競争
が激しくなりますと、一部の企業は
市場
から退出あるいは
サービス
を休止する、廃止をするというようなことが十分に想定をされます。そうしますと、突然にして
サービス
の停止ということで、利用者は非常に不測の被害をこうむるということが想定されます。 したがって、今
先生
御
指摘
のように、他の
事業者
の
サービス
に円滑に移行することができるというような
制度
的な担保が必要であろう、時間的余裕は必要であろうということで、この周知期間について
総務省令
で定めるというようなことで考えております。 ちなみに、どのぐらいの期間かということ、まだこれは、これからパブコメ等を開きながら
検討
していかなきゃならぬと思っていますけれども、アメリカの中には、州際のノンドミナントキャリアで三十一日であるとか、あるいは韓国でありますと、
我が国
の二種に相当する
事業者
でありますとおおむね三十日前だとかというようなこともありますので、こういったことも念頭に置きながら対応していきたいというふうには思っております。
横光克彦
101
○横光
委員
こういった
事業
をやめる業者は恐らくふえると思いますし、そういった意味で、利用者への
事前
通知というのは非常に大事であろうかと思っております。またさらに、利用者に確実に周知することが重要と考えておりますが、その周知方法、いろいろな方法があろうかと思います。電子メールとかいろいろあろうかと思いますが、どのようなことをお考えなんでしょうか、周知方法は。
有冨寛一郎
102
○
有冨政府参考人
お尋ねの周知方法でございますけれども、
先生
今言われましたように、利用者に対して確実に周知されるということが極めて重要なものでございます。 そういった
観点
からいいますと、郵便であるとかあるいは信書便であるとかというようなものが非常に有効ではあろうと思いますし、あるいは電子メールであるというようなものも有効であろうとは思います。ただ、いろいろな技術革新がございますので、例えばホームページなんかでも、利用者がちゃんとみずから利用する際に確認できるというようなわかりやすい表示というものもこれは有効であろうというふうに思っておりまして、こういった、あくまでも利用者がきちんと確実に周知、周知といいますか、理解できる、認識できるという方法であれば、いろいろなものがまだ考えられるだろうというふうに思っております。 この周知方法につきましても、実は
総務省令
で定めるというふうに
お願い
をしておりまして、パブコメ等、関係方面の
意見
も聞きながら、あるいは利用者利益と
事業者
負担
との均衡、こういったものも
観点
に入れながら、よくよく
検討
していきたい、このように思っております。
横光克彦
103
○横光
委員
この周知期間また周知方法、これは利用者にとって、混乱を来さない意味で非常に重要でございますので、十分なる対応をしていただきたいと思います。 電気通信
事業者
が
事業
を廃止する場合、「利用者の利益に及ぼす影響が比較的少ないもの」、これは利用者への周知
義務
を除外しておりますね。「利用者の利益に及ぼす影響が比較的少ないもの」、これは一体どういうことなんですか。これは主観的なものでしょう。
事業者
にとっては影響が少ないかもしれぬけれども、利用者にとっては非常に大きいかもしれない。どのように判別するのか、ここのところを具体的に御
説明
いただきたいと思います。
有冨寛一郎
104
○
有冨政府参考人
御
質問
の、利用者の利益に及ぼす影響が比較的少ない電気通信
事業
の休廃止の具体的な内容につきましては、これは
総務省令
で定めるということにしておりますけれども、
現時点
で、例えて言いますと、不特定の利用者間の通話を接続して会話の場を
提供
する、いわゆるツーショットダイヤルというようなものがございます。こういった
サービス
でございますが、これは利用者の利用形態、これが単発的なものでございます、一回限りというような感じのものでございますし、そういう面でいうと、継続的な利用というものは想定されていないというようなものでございます。 それから、あわせまして、周知させるべき
対象
となる、つまり、どうしても利用者は知らなきゃならないという、利用者の特定もなかなか難しいというものがあって、それから、
実態
としても、周知させないという形であった場合であっても、利用者がこうむる不利益というものが想定しがたいというようなこと、それから、他の
事業者
に移行するための時間的な余裕を確保する必要もないというようなもの、こういった点から、
事業
の休廃止に関する
事前
周知
義務
というものを課す
必要性
は乏しいというようなものでございます。 こういった事例を申し上げましたけれども、こういう
観点
で、今後、広く
関係者
の
意見
も聞きながら、電気通信
事業
の休廃止によって利用者が不測の不利益をこうむることのないように
検討
していきたい、このように思っております。
横光克彦
105
○横光
委員
「影響が比較的少ないもの」というふうになっておりますが、少しでも影響があれば、やはり私は除外すべきじゃないという気がしているわけですね。これがやはり利用者への十分なる対応だという気がしてならないわけでございます。 今回の改正で、休止あるいは廃止に際して、利用者への周知は
事前
の
義務
になる、ところが、役所への届け出は事後でよいとなる、これで果たしてどれだけ実効性があるかということでございます。私は、これまで以上に苦情がふえるのではないかという気がしてならないんですね。ましてや、第二種
事業者
は非常に数が多い。先ほどから言っておりますように、簡単に開業できます、また簡単にやめることもできます。派手な宣伝をして利用者を募るが、休止、廃止も簡単なわけで、本当に
総務省
当局としては、この
実態
を、利用者数すら
把握
していないんじゃないかというような
現実
でもあるわけで、今後どういう体制で苦情に対処して利用者の権利を守っていくのか、非常に私は重要だと思っているんです。 今度の法改正で苦情は減ると約束できるんですか。いかがですか。
有冨寛一郎
106
○
有冨政府参考人
これからの
状況
でございますので、こういった
競争
が激しくなればなるほど、いろいろな形の
市場
での利用者との関係、苦情等もあるいは多くなるであろうかというふうには想定はしておりますけれども、ただ、そういったことも想定されるがゆえに、
事前
の
説明
義務
とか周知
義務
とか、あるいは退出の際の
法律
的に担保した
措置
というものを考えているわけでございますので、仮にこういう苦情等があったとしても、そこはこのルールにのっとって対応せざるを得ないのかなというふうに思っております。
横光克彦
107
○横光
委員
事前
に利用者に周知せずに休廃業した電気通信
事業者
に対して、改正案では何らかのペナルティーを科しているんでしょうか。
有冨寛一郎
108
○
有冨政府参考人
事業
の休廃止について、先ほどから申し上げておりますけれども、周知
義務
というものをかけるということでございますが、その違反があった場合、これは直接の罰則は科されません。例えば、
事業
の一部を廃止した場合とか、あるいは
事業
の一部または全部を休止した場合とか、こういったことに関しまして、違反を犯した
事業者
が電気通信
事業者
としてなお存続しているというような場合におきましては、次回以降には同様の違反をしないように、休廃止について例えば
事前
に
総務大臣
への報告を求めるなどして、業務改善命令を出すということは可能でございます。 その上で、当該
事業者
が命令に違反をして再度周知
義務
違反を犯したという場合につきましては罰則が科されるというふうになっております。 ただ、倒産等によりまして
事業者
が既に消滅してしまっているというような場合については、業務改善命令等による対処は困難でございます。こういったケースにつきましては、利用者が損害をこうむった場合、これは一般の民事ルールである民法等の
規定
に基づいて損害賠償
義務
というものが課されるのではないかというふうに考えておるところでございます。
横光克彦
109
○横光
委員
今、業務改善命令を出せるということでございますが、それだけで利用者保護のルールの実効性が保たれるかどうか非常に危惧をしております。今、裁判の件もおっしゃいましたが、やはり裁判所で、民事裁判で訴えるというものであれば、簡便な方法を早急に
検討
すべきじゃないか、このように考えております。 このように電気通信
事業
に対する苦情、これは非常に激増しておるんですね。
総務省
の調査でも、
平成
九年度千七百二十四件が、
平成
十三年度は一万三千五百八十一件、五年間で約八倍にもふえている。
平成
十二年度、十三年度だけで見ても倍増しているわけですね。改正案ではしっかりと、電気通信
事業者
は苦情及び問い合わせについては適切かつ迅速に処理しなければならない、このようになっております。 苦情・相談件数がこのように激増している原因、これは
総務省
としてはどこにあるとお考えなんですか。
有冨寛一郎
110
○
有冨政府参考人
先生
御
指摘
のとおり、
平成
十三年度で見ますと、
総務省
の電気通信消費者相談センター、ここに寄せられました苦情・相談件数が七千三百八十三件でございまして、
平成
十二年度の件数四千七百四十一件と比べますと大幅に増加をしております。 この具体的な内容について分析をいたしましたけれども、内容的に見ますと、
ADSL
の申し込みをしたのになかなか開通をしない、解約したいのに高額の違約金を請求された、迷惑メールが大量に送られてくる、ワン切りで夜も眠れない、こういったようなことがあったわけでございます。 こういったことに対して、
総務省
としましては、相談窓口とかあるいは
国民生活
センターとも連携をしまして、かつ、電気通信
事業者
とも連携をしまして対策を講じて、必要な場合においては
法律
の整備を行うというようなことで考えてきているところでございます。
横光克彦
111
○横光
委員
かつて、迷惑メールあるいはワン切り、すさまじい被害が増発しまして、結局、法整備いたしましたね。このことによってトラブルは非常に減少傾向にあると聞いております。このように、まず
事業者
に対処させて、問題が深刻化してきたときにやっと法改正という、その前の対応というものをやはりしっかりと考えないと同じことの繰り返しになろうかと思います。 例えば、個別のことでちょっとお聞きしますが、新聞で報道されましたあの東広島市のインターネット接続業者、一方的に
料金
を三倍に値上げをして、利用者からの問い合わせに対しては
事業者
は一切応じない、そして東広島市役所に多数の苦情や相談が寄せられている、この問題について
総務省
は何らかの対応をいたしましたか。
有冨寛一郎
112
○
有冨政府参考人
お尋ねの件でございますが、この値上げに関しまして、利用者からの苦情申告を受けました。そして、中国総合通信局におきまして、その
事業者
から、六月十日でございますが、事情を聴取いたしました。 その際、周知期間を設けずに、突然、大幅な値上げを行うということについては、利用者に対して十分な
説明
がない、問題ではないかという考えのもとで、このような信義則に反する取り扱いは行わないように要請をいたしました。
事業者
はこれに応じまして、十分な周知期間を設けるべく、
料金
値上げを十月に延期をしたというふうに聞いております。
横光克彦
113
○横光
委員
こういった悪質な業者もおるわけでございます。 改正案では、苦情、問い合わせに係る迅速処理
義務
を電気通信
事業者
にのみ課しておりますね。これは、
総務省
の資料によりますと、携帯電話の契約代理店の営業にかかわる苦情や相談の件数は、五年前に比べて五倍以上にふえている。つまり、電気通信
事業者
の前に契約代理店に苦情は行くわけですね。こういった事情を認識していながら、なぜ契約代理店には迅速処理
義務
を課さなかったのか。
提供
条件の
説明
には契約代理店は入っている、ところが、苦情処理には入っていない。ここはなぜなんですか。そういった被害を受けた人が一番行くところはそこなんですね。最初に販売店に行くわけですから、そのあたりで、しかも契約代理店というのは、すぐ、本来の
事業者
にいろいろな情報あるいは改善を求めたりすることができるわけですので、ここへのいわゆる処理
義務
を課さなかったのはどういうわけなんでしょうか。
有冨寛一郎
114
○
有冨政府参考人
実際のトラブルの内容、これを見てみますと、契約締結時にあるのか、あるいは契約締結後にあるのかというような
観点
で見てまいりますと、契約締結の場合は、電気通信
事業者
自身が行うだけでなくて、代理店において行われるケースというものが非常に多く見られるものでございます。したがって、電気通信
事業者
及び契約代理店の双方について、契約時における
提供
条件の
説明
というものを
義務
づけております。 ただ、契約締結後でございますけれども、これにつきまして、この
サービス
の内容に係る苦情とか問い合わせに関しましては、実際に
サービス
を行っております、
提供
しております電気通信
事業者
自身が対応しなければ問題の解決が図られないというのが
実態
でございます。したがって、電気通信
事業者
に対しまして、苦情を迅速かつ適切に処理すべきという
義務
を課しているということでございます。
横光克彦
115
○横光
委員
たとえ処理
義務
の
規定
がなくても、この
法律
の施行までに、契約代理店等に対して、苦情、問い合わせに対して誠実に対応するよう私は指導すべきだと思っております。 次に、
NTT
の公衆電話あるいは
固定電話
、さらには
ユニバーサルサービス
等の問題についてお尋ねしたいんですが、
NTT
法によって、
国民生活
に不可欠な電話の役務のあまねく
日本
全国
における適切かつ安定的な
提供
の確保を
義務
づけられているわけですね。しかし、携帯電話等の普及によって公衆電話の収益は減少している。おのずと公衆電話の設置台数も減少している。しかし、携帯を持たないお年寄りなどが外出した際に、街角などで、前にあったところに公衆電話がなくなっている。これは、都市、農村を問わず、こういった
現実
が起きて、大きなハンディとなっているんですね。 とりわけ大規模災害時、こういった非常災害時には、
固定電話
や携帯電話、発信
規制
の
対象
となりますね。ですから、この前の宮城沖地震でも、やはりかなりかかりにくかったというような
状況
が起きている。しかし、公衆電話は優先電話取り扱いとなって、発信
規制
の
対象
になっていないわけでございますので、こういったときに大変な効力を発揮する。もちろん災害が来てほしくないわけですが、災害は忘れたころやってくるわけでございますので、そういった意味からも、公衆電話の意味、大切な通信手段だ。 これは、防災を担当する内閣府なども、大地震などの災害時の公衆電話の有用性を認めているわけでございますので、この設置台数の減少という
現実
に対して
総務省
はどのようにお考えか、お聞かせください。
有冨寛一郎
116
○
有冨政府参考人
公衆電話の
状況
等でございますけれども、今の
NTT東西
におきましては、一カ月の平均の利用金額が四千円未満の公衆電話につきましては削減という対応をしておりまして、
先生
御
指摘
のように、近年、公衆電話の設置台数は減少しているという
状況
にございます。 これに関してでございますが、利用頻度の低い公衆電話の撤去、これは公衆電話
事業
の収支が悪化していること、先ほど
先生
も言われましたけれども、携帯電話の普及等もあるということで公衆電話の利用が減少しておりまして、こういった点にかんがみれば、やむを得ないものではないかというふうに認識はしております。 ただ、公衆電話の利便性というものも十分認識をしておりますが、この撤去に当たりましては、関係の方々に十分な
説明
を行って、同意を得ながら撤去している、こういうことで取り組みを
お願い
しておりますし、
NTT東西
もそういうふうにやっているというふうに受けとめておりますけれども、
総務省
といたしましても、利用者の理解は十分得て対応するようにということで、引き続き
努力
をしていきたいというふうに思っております。
横光克彦
117
○横光
委員
この公衆電話もそうですが、
固定電話
もやはり、新規
設備
投資
の凍結によって、
固定電話網
の機能を維持することが難しいようなことが将来起こりかねない。この固定も公衆電話も、
ユニバーサルサービス
であることを考えれば私は重大な問題だと思うんです。
ユニバーサルサービス
を、
義務
を課せられているんです。しかし
現実
には、利用者減あるいはそういった
設備
投資
の凍結等によって減少している。となると、
ユニバーサルサービス
は確保されていないということになる。それを補うのが、いわゆるいろいろな方法、今回の接続料の問題にもつながるわけですが、やはりそこには
ユニバーサルサービス基金
というものがあるわけですね。 これは要するに、
ユニバーサルサービス
の
提供
に伴う赤字補てんとして導入された
制度
なわけでしょう。今言われたように、確かに利用者が少ないと赤字になりますよ。そういったことを補てんするために
ユニバーサルサービス基金
というのはあるわけでございますので、この活用というものをどのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
片山虎之助
118
○
片山国務大臣
今、横光
委員
御
指摘
のように、
ユニバーサル
基金制度
というのがありまして、これは活用していきたい、こう思っておりますが、これは東西それぞれの業務
区域
内における不
採算地域
をカバーする、こういう趣旨のものでございまして、その趣旨に従って
運用
してまいりたい。接続料の均一の場合等についてお考えならば、これは適用がない、こういうことであります。
横光克彦
119
○横光
委員
接続料の値上げ、いわゆる東から西へ交付するという
措置
を講じたわけですが、これはいわゆる東西の
サービス
エリア
、条件不利
地域
、こういったことを考えますと、今後も東西の格差は生じることが予想されるわけですね。そうしますと、やはりまたこの接続料の問題につながっていく。でなくて、やはり、そういった赤字を補てんする場合には
基金
というものがある。しかし、この
基金制度
は、いわゆる合算
制度
、相殺
制度
から、それぞれの
地域
ごとに計算をして、そして公平に各社が
負担
をするという、そういった
運用
改善をして活用すべきだと私は思う。 現に、
総務大臣
のおひざ元の
情報通信
審議会
の答申でも、「東西均一の接続料については、
IP電話
の普及等により
加入
電話
サービス
の社会的位置付けが変化することも予想されることから、このような
環境
変化を踏まえ、
ユニバーサルサービス基金
等との関係について更に整理を行い、」
平成
十七年度以降、今年度、来年度はもうこういうふうに決まっていますので、十七年度以降この活用をするように、
基金
の活用を早急に
検討
するべき、
審議会
もこういうふうに言っているわけですので、ぜひともこの問題に対応していただきたいと思います。 最後に、ちょっと一言お尋ねいたしますが、
NTT東西
の
地域
会社が保有する
光ファイバー
、この
光ファイバー
をめぐり業界が揺れております。
NTT
の
競争
力を制限して通信
料金
を下げるだけでは通信産業の発展につながらない、こういった認識も広がっております。かといって、
NTT
に対する
規制
を緩め過ぎると独占状態になりかねない、そういった声もある。しかし、
光ファイバー
は、今後の
ブロードバンド
、
高速
大容量通信時代の主力
回線
となるわけでございますので、そういった意味から、
ブロードバンド
時代の
競争
政策
を、
総務省
としてはどちらにウエートを置いていくのか、この
競争
政策
をちょっと御
説明
いただきたいと思います。
有冨寛一郎
120
○
有冨政府参考人
大変難しい問題ではありますけれども、今、
光ファイバー
の
議論
はいろいろございますけれども、これは、
光ファイバー
という意味での
NTT
と
NCC
との関係を規律する、いわば
設備規制
の部分、もう一つは、電気通信
事業者
と利用者との関係を規律する部分、この二つに分けて私ども整理をしておりまして、
現時点
では、
NTT
と
NCC
との関係については、今のオープン
ネットワーク
政策
というものを引き続き維持していくというスタンスでございます。 ただ、それだけですと、
NTT
も、契約約款等で縛られているならば柔軟な対応もできないということで、今回
お願い
しておりますけれども、利用者に対する約款
規制
、これを大幅に緩和しております。したがって、
NTT
も十分にこの
規制
緩和によるメリットを受けられる。したがって、
NTT
と
NCC
との間でしっかりユーザーとの関係で
競争
をしていただきたい、そのように考えておるところでございます。
横光克彦
121
○横光
委員
終わります。
遠藤武彦
122
○
遠藤委員長
これにて本案に対する
質疑
は終局いたしました。
—————————————
遠藤武彦
123
○
遠藤委員長
これより討論に入ります。 討論の申し出がありますので、これを許します。矢島恒夫君。
矢島恒夫
124
○矢島
委員
私は、
日本
共産党を代表して、
政府
提出の
電気通信事業法
及び
日本電信電話株式会社等
に関する
法律
の一部を改正する
法律案
に反対の討論を行います。 本
法案
が提出されるに至った背景には、急速なIT技術の発展やインターネットの普及によって、電話
事業
を
基本
に第一種と第二種と区分して
規制
する現行の
電気通信事業法
の枠組みが、
現実
の電気通信
事業
の
現状
にそぐわなくなったことがあります。
世界
の最先端を行く携帯電話
サービス
、
ADSL
や
IP電話
などの最新の
ブロードバンド
サービス
の発展や普及は目覚ましいものがあります。その中で、いわゆる
固定電話
は、
ユニバーサルサービス
として
日本
の
情報通信
サービス
の土台となっているだけでなく、その
ネットワーク
なしには携帯電話や
ADSL
の
サービス
も成り立たないという、まさに
日本
の
情報通信
の基盤であります。
政府
、
総務省
は、この
ネットワーク
を維持し、
ユニバーサルサービス
を
提供
する
NTT
を東西に分割するなどの
競争
政策
を推進してきました。 しかし、この分割は、
ユニバーサルサービス
に容認できない東西格差を生み出し、始まった
IP電話
などとの
競争
は、基盤である
固定電話
ネットワーク
を無秩序に侵食しており、
競争
の激化によって基盤の
ネットワーク
料金
が反対に上昇するという事態に至っております。
現状
が求めているのは、第一種、第二種の廃止など、
競争
万能哲学に基づく
電気通信事業法
の改革ではなく、
日本
の
情報通信
サービス
を総合的に発展させていく
規制
枠組みであります。そのためにも、不合理な現行の
NTT
の分割体制を再編し、
NTT
が、
ユニバーサルサービス
だけでなく、
ネットワーク
を合理的に
提供
できるようにすることです。 今回の
電気通信事業法
及び
NTT
法の改正に反対の第一の理由は、破綻したこれまでの
競争
万能
政策
を踏襲しており、小手先の手直しで、抜本的電気通信
事業
規制
の改革になっていないだけでなく、改革も方向違いであるということです。 第二の理由は、相対契約の解禁などによって、公共性の高い電気通信
事業
の利用者の間における不公平が一層
拡大
するおそれがあるからであります。また、参入・退出
規制
の大幅緩和は、通信
事業者
の倒産や売却などによる個人情報の大量流出という危険を大きくするものであります。 最後に、電気通信
事業
の
現状
が求めているのは、破綻したこれまでの
競争
政策
を抜本的に
見直し
、電気通信
サービス
を総合的に発展させる枠組みを構築すること、インターネットなど電気通信
サービス
の発展に対応した消費者保護や個人情報保護などの新たな規律をつくることであるということを
指摘
し、私の討論を終わります。(拍手)
遠藤武彦
125
○
遠藤委員長
これにて討論は終局いたしました。
—————————————
遠藤武彦
126
○
遠藤委員長
これより採決に入ります。
電気通信事業法
及び
日本電信電話株式会社等
に関する
法律
の一部を改正する
法律案
について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
遠藤武彦
127
○
遠藤委員長
起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました
法律案
に関する
委員会
報告書の作成につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤武彦
128
○
遠藤委員長
御
異議
なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
遠藤武彦
129
○
遠藤委員長
次に、地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。
行政書士法
の一部を改正する
法律案起草
の件について議事を進めます。 本件につきましては、先般来
理事
会等において御協議を願ってまいりましたが、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得た次第であります。 この際、私から、本起草案の趣旨及び内容について御
説明
を申し上げます。 まず、本起草案の趣旨について申し上げます。
行政
書士は、依頼を受けて、官公署に提出する書類を作成すること等を業務とし、国民の利便性の向上等に多大な貢献をしてまいりました。 しかしながら、今日、
行政
書士を取り巻く
環境
は、
高度情報化社会
の
進展
を初めとして、大きく急激に変化してきており、
行政
書士の業務に対する国民の
ニーズ
も多様化するとともに、国民の利便性のさらなる向上が求められております。 このため、複雑・多様化する社会情勢に的確に対応し、
行政
書士の業務遂行能力の強化と規律の向上を図り、
行政
書士及びその業務に対する国民からの一層の理解と信頼を確保する見地から、本起草案を提出した次第であります。 次に、その主な内容について申し上げます。 第一に、
行政
書士のみを社員とする
行政書士法
人を設立することができることとしております。 第二に、
行政
書士は、所属する
行政
書士会及び
日本
行政
書士会連合会が実施する研修を受け、その資質の向上を図るよう努めなければならないものとすることとしております。 第三に、国民一般からの懲戒処分請求
制度
の創設、懲戒処分の公報による公告等を行うこととしております。 なお、この
法律
は、
平成
十六年八月一日から施行することとしております。 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。
—————————————
行政書士法
の一部を改正する
法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————
遠藤武彦
130
○
遠藤委員長
お諮りいたします。
行政書士法
の一部を改正する
法律案起草
の件につきましては、お手元に配付の案を
委員会
の成案と決定し、これを
委員会
提出の
法律案
と決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
遠藤武彦
131
○
遠藤委員長
起立総員。よって、そのように決しました。 なお、本
法律案
提出の手続等につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤武彦
132
○
遠藤委員長
御
異議
なしと認めます。よって、そのように決しました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時八分散会