○松本(剛)
委員 持ち合いを解消するべきである、そして、
日本にしっかり健全な証券
市場を育成していくべきであるということについては、私も同感なのであります。
私、実はきょう午前中法務
委員会で、金庫株のさらなる緩和に関する
質疑を一時間させていただいてきたのでありますが、実は、この金庫株の緩和の話と
銀行の
保有株式の買い取りというのは、いつもとは申しませんけれども、セットのように
市場対策で出てくるというような傾向があります。毎回、恐らく、思いつかれる方は、需給対策の発想ということで出てくるのであろうというふうに思うわけであります。
今回も、実は三月の
金融庁の六項目の
市場対策という中では、金融機関の株式売却について
市場への配慮を要請するというような言葉が入っている。どういうこっちゃろうなと思います。
市場に売るに当たって配慮をしろと監督官庁が言う。しかも、
金融庁は証券
市場の監督もかかわりがある。証券取引監視
委員会は
内閣総理大臣の所管という形になるわけですけれども。こういう形が行われるということであります。そしてまた、五月に株安歯どめの追加の
緊急対策ということで、この
拠出金八%の話が出てくる。また、このときに自社株の話というのが出てくるわけなんですけれども。
こういう形で、総裁は、持ち合い株の解消、
日本の本来のあるべき姿をつくるための一過程だ、こういう話でおっしゃったわけでありますが、看板はそうでありながら、そして日銀はその感覚でおやりになっておられるのかもしれませんが、実は、この
法案が出てくるとき、またこういった、昨年の緩和、ことしの緩和、裏というんでしょうか、毎回起こってくる
経緯を見る限り、そういう非常に崇高な使命があるとは私にはちょっと思いにくいところがあるわけであります。
今ヘアカットに例えておっしゃいましたけれども、私自身は、これは日銀と
機構との分担をどうするかという問題は残ると思いますけれども、百歩譲ってその目的のためだとすれば、やはり目的に限定をしてしっかりやるべきではないか。まあ総裁のお立場ではそれ以上は踏み込んでおっしゃれないのかもしれませんので、答弁はこれ以上求めませんが、その点はぜひ申し上げておきたいと思います。
もう一点は、この
法案というか、
銀行の株式を買い取る最大の眼目は、
銀行が株価変動リスクのある株式を大量に
保有していることによって、
銀行自身の信用リスクが発生する
可能性がある、この信用リスクを軽減する、そして、そういったものから金融システムの安定性を遮断するために
銀行の
保有株を落とさせる必要があるということでお話があったと思うわけであります。
今回、ちょうど
銀行の
決算が出て株主総会も行われたところであろうと思いますが、金融システムの問題というのは、この
保有有価証券、先ほどから国債の話も何度か出ておりましたけれども、国債、債券のリスク、そして株式のリスク、もちろんあると思いますけれども、同時に、そのほかの、
銀行そのものの経営のあり方ということがまず根幹の問題としてあるんであろうというふうに思います。
先ほど、
金融庁の方からでしょうか、ティア1をオーバーしている七行の実名挙がっておりました。不良債権の問題にしても、株式の
保有にしても、全体として、
日本の構造が持っているがゆえに、株を持っているとか、不良債権がふえているとか減っているとかいうことはあると思いますが、個々の
銀行の多寡というのは経営の問題の範囲に入ってくるわけであります。先ほどの七行の名前を、私のもと所属していたところも名前が挙がっていたような気がいたしますので、所属時代に株を買ったかどうかを一生懸命思い出しているんですけれども、個々の経営の
判断の要素がやはり入ってくる。
どこまで本当に公的な立場から救わなきゃいけないのかという問題は常に残っていると思うんですが、そもそもまず
銀行の
決算。今回、りそな
銀行が
決算の前後をめぐってああいう処理が行われるようになりました。その背景には、直接は繰り延べ税金資産のことが取り上げられているわけでありますが、やはり収益
見通しが一つ大きなポイントになったんではなかろうかというふうに思います。
実は、私ずっと追っかけているんですが、一つは不良債権の処理額。実は、毎年毎年、金融機関は、期初の予想された不良債権に比べて、最終的に処理する不良債権処理額というのは、この三年間だけ見ても全く合わない、物すごく極端に違ってきているわけであります。昨年一年の分だけを見ても、いわゆる主要四行だけ見ても、三菱東京グループぐらいなんですね、ほぼ予想と同じようなけたと言ってもいいようなところ。みずほグループの場合ですと、当初の予想は六千億、これは与信費用ベースですけれども、六千億程度が最終的に二兆になった。三井住友は、五千億の予想が一兆になった。UFJ、これは信託
銀行を含むベースですけれども、やはり四千八百が七千四百億になった。
果たして、では、ことしの不良債権の処理の予定額を見たときに、昨年二兆の不良債権の処理をしたみずほがまた六千億の予想をしている。東京三菱グループは、まあ昨年も大体予想どおりですから、ここはある程度信頼性があるという仮定が成り立つかもしれませんが、昨年の半分にしている。三井住友、UFJともに、昨年の最終的な結果というよりは、むしろ期初の予想に近いような数字を不良債権の処理の予定額にしている。
これは、昨年一年間だけ狂ったんだったら私もここまで申し上げませんが、少なくとも三、四年戻ってみてずっとそうなんですね。毎年、デフレ
経済の中で思ったより不良債権がふえたとか、そういう
説明をいただくわけでありますが、本当にこの三、四年、そんな何倍も不良債権がふえるほど
経済が悪化しているんでしょうか。
経済財政
担当の
竹中大臣、お戻りになられましたけれども、もしそうだとしたら、政府の
経済運営は極端に失敗を続けているということになります。
いい状態ではないけれども横ばいだ、もしそうだとすれば、
銀行経営者側の予想が全く当たらない、極めて経営者として資質を欠いているということになるか、もしくは、残念ながらいまだ隠されていた不良債権が毎年毎年少しずつ顕在化せざるを得なくなって顕在化をしてくる。
この点について、不良債権の処理の予想、そして
銀行の今期の
見通しについて、
福井総裁の御所見を承りたいと思います。