○佐藤(観)
委員 それでは、本題の
公認会計士法の
改正の問題に移りたいと思います。
御
承知のように、平成十年十月二十三日に長期信用
銀行は、
金融再生法第六十八条二項に基づきまして即日特別公的管理下に入ったわけであります。何も長銀を出さなくても、ほかの例でもいいんですが、長銀が一番衝撃的でしたから長銀の例を出しますが、国民から見ると、長期信用
銀行という、国が関与している
銀行が突然、一言で言えばつぶれたわけですね。
その経過については、皆さんの方から「破綻
金融機関の処理のために講じた
措置の
内容等に関する報告」というのが平成十二年の八月に出ていて、「特別公的管理の開始決定が行われる
状況に至った経緯」ということで、十二月の十六日に長銀が出し、かつ平成二年からの
状況がずっと細かに書いてあって、極めてドラマチックに書いてある。
これは、「内部調査
委員会調査報告書に基づく総括報告書」というものであります。これは平成十一年十二月の十六日に長銀が出したものでございまして、これを下敷きにして、そして、私も余りはっきりわからないんだけれ
ども、平成十年、九年、八年、七年の有価
証券報告書というのを見てきたんです。
そうすると、余りにも落差が大きいというんでしょうか。つまり、不良債権が膨大になり、最終的には、判決が昨年出ましたように、頭取以下役員三人が、配当してはいけない
状況なのに配当したということで、これは控訴中でありますけれ
ども、判決が有罪として出ております。
それまでの有価
証券報告書というのは一体どうなっているかといいますと、つまり、時間がないから簡単に言いますと、一般に公正妥当と認められる
監査基準に準拠して、通常実施すべき
監査手続を実施したということで、中身については、各
項目に書いてある数字というのは正しいんだと思うんです。私は正確にわからない、正しいんだと思うんですが、正しい数字がずっと出ていて、最終的に
金融機関が破綻する。これは平成十年だけの話ではなくて、八年、九年でも同じように、通常公正と認められる、正当妥当と認められる
監査基準に基づいて
監査しました、そして最終的には適正であります、一言で言えば、
経営成績を適正に表示しているものと認められるということが書いてあるわけですね。
それから、半期ごとの報告書というのも出ておりますけれ
ども、これも書きぶりは同じように、一般に公正妥当と認められる中間
監査の基準に準拠しということと、これらの書いてある数字は有用な会計情報を表示しているものと認める、こういうことが書いてあるんですね。
この有価
証券報告書なり半期の報告書なりを読むと、どうして
金融機関が破綻したんだというのはちっとも読めてこないんですね。確かに、
経営判断というのは
公認会計士はしないし、それから、破綻に至るまでの報告書の中には
経営判断の問題も入っているし、善管条項も入っておりますし、その他いろいろ条項も入っているが、全般の長銀が力があったときにはやってもいいけれ
ども、力がなくなったときにはやってはいけないんだということも報告書の方には書いてあるわけです。
それで、問題は、私がこれから非常に重要な問題だなと思っているのは、この
公認会計士法を今論議するときに、こちらにある報告書というものと、これはとてもじゃないけれ
ども全部読み切らぬから、三年分だけです。三年分だけの報告書で書いてある最終的な報告の部分と、こちらの方の破綻に至るまでの経過、これは本当にドラマチックで、何か小説でも書けるような大変いい報告書だと思うんですが、最後がまたしゃれておりまして、一番最後のところ、「長銀は長年にわたりディスクロージャー回避のために手を尽くし、その
経営実態について
市場を欺き続けていたのであるが、ついに最後には
市場に暴力的に報復されたのである。」という極めて文学的な表現が書いてあるわけです。
問題は、重ね重ね言いますけれ
ども、
監査法人が入っておりますこの報告書、これが三年分であります。この報告書と、こっちの破綻に至るまでの経過とが余りにも乖離があるんですね。
例えば、最後に平成九年なんかでは、不良債権がこれだけ膨れておるというようなことが、
投資家なりあるいは債権者に何らかの格好でこちらに出てこないと、一体これは株主なり債権者保護になるんだろうかという、最も根本問題でありますけれ
ども、ちょうどあなたも勉強なさったようでありますので。
確かに、私も
公認会計士の方に教わりまして、この間に若干変更があるんですね。変更というのは、基本的には私は、それによって数字は変わるけれ
ども、最終的な結論は変わるものではないと思っておりますけれ
ども、若干会計基準の変更とかあるいは会計規則等の変更、あるいはもっと細かく言えば、連結法の扱いの問題、持ち分法の問題とか、あるいは今は実効支配力ということでいろいろと入っておりますけれ
ども、こういった問題等々、若干いろいろ数字の取り扱いについてはこの間でも変わってきているわけであります。
しかし、いずれにいたしましても、全体的にいって、この報告書と、
公認会計士が見たこの数字は当然正しいんだと思うんですけれ
ども、そこに至るまでの経過を書いたこのものとが余りにも距離があって、私はどこも
投資していないけれ
ども、これで一般
投資家はディスクロージャーがされているということになるんだろうか。長銀の、例えばどこの国のどこのあれにどうだとか、いろいろなそういうものがずうっと書いてあります。しかし、その数字は正しくても、全体的に書いていないんですね。
一体、こういう乖離というのは、これからまただんだん言いますけれ
ども、これは局長で結構ですけれ
ども、どういう経過でこういうことになってくるのか。これは、僕は重要な、別に
監査法人が間違いがあるとかないとかの問題ではなくて、一体、先週やりましたように、これから
証券市場を広げていこう、コンビニでも株を売ろうといっているときに、先ほど
増原先生からも御
指摘があったけれ
ども、本当の実像というのがわからないと、
投資しようといっても、する気にはならないと私は思うので、余りにもこの乖離が大き過ぎるというふうに
感じたんですが、どうなんですか。