○吉武
政府参考人 五月一日現在で、代行返上の認可につきまして、まず、将来返上を行います、その認可を受けた基金が五百二十三基金ございます。それで、この基金につきまして、十三年度末でございますけれども、これは確定をいたしておりますので、その時点におきます
株式を実は保有いたしておりますが、代行部分とプラスアルファ部分と一体に保有いたしておりますので、どこが代行部分だということは特定はしがたいんですが、代行の比率とプラスアルファの比率というのはわかりますので、その比率で案分をいたしますと、約二兆九千億という状態であります。
しかし、先生御案内のとおり、十四年度に入りまして、国内
株式、外国
株式は時価が落ちておりますので、私の推測で申し上げますと、十四年度末の決算、これは七月ごろ出てまいりますけれども、その状態では、多分、
株式の評価額は相当落ちているだろうというふうに思っています。
それからもう
一つ、これはちょうどゴールデンウイークの前に、代行返上の売りによって非常に市場に悪影響が出ているというような
報道がございました。個別の基金はなかなか確認ができないわけですけれども、主にこの基金の資金運用に携わっていますのは信託
銀行でございますので、信託
銀行に幾つか聞いておりましたところでは、四月の時点で申し上げますと、企業年金
関係の売買については通常の売買だということを聞いております。非常に大きく売りが上回っているようなことはないであろうというふうに言っております。
それで、十三年にこの
法律が制定をされましたので、一応今のスケジュールで申し上げますと、ことしの十月から積立金の移管を開始するということでございますが、これは十四年度決算を見てみなければわかりませんけれども、基金は機関投資家でございますので、市場への影響をある程度考慮しながら
株式の売却をするというのが大体基金のスタイルでございますので、むしろ割と分散しながら売却をしているようでございます。
そうしますと、中には、十四年度にある程度売却を終えているところもございまして、そういう全体像というのは十四年度決算を見ないと明確に申し上げられないということでございますが、先ほど申し上げました、
株式の実際の、例えばTOPIXの価格の変動みたいなことを申し上げますと、約二兆から二兆半ばぐらいというのが
一つの非常に大ざっぱな推計ではないか。いずれにしましても、これは決算を見て精査をする必要があるだろうというふうに思っています。
それから、十月に一気に返上が行われる、あるいは
株式売却が行われるというようなことが言われることが多いわけでございますが、
現実の基金の
状況を申し上げますと、十四年度で、
責任準備金に対しまして資産運用結果が非常に厳しい
状況でございますので、
責任準備金をそろえるためには企業は実は追加
負担をする必要があるわけでございます。したがいまして、十四年度決算の基金の
状況を見、それから母体企業の、御自分のところの十四年度の決算なり十五年度の経営の見通しを見ながら、いわゆる追加の拠出をしていただいて、そのことによって実際に返上が完成するという形でございまして、今申し上げました五百二十三基金につきましても、では、これは十五年度に実際に返上をされるのか、あるいは十六年度以降に選択をされるのかということは、今後の
決定になるだろうというふうに思っております。そういうこともございまして、どちらかといいますと、なだらかに、分散されながら返上がされるんじゃないかというのが私どもの今見通しでございます。
それから、二番目の先生の御
質問でございますが、まず返上時期でございますけれども、積立金の移管というのは、市場なり
経済的には非常に大きな要素でございますが、もう
一つ忘れてなりませんものは、積立金を移管しますと、代行部分につきましては、基金には給付に必要な原資がなくなってまいります。
したがいまして、これを社会保険庁が受け入れる形で引き継ぎまして、例えば、返上いたしました月までは厚生年金基金が代行部分の給付をいたしますけれども、その次の年金分からは社会保険庁が給付をするということになっています。実は、二年半の猶予をいただきましたのは、そのためのシステム開発を行ってきているところでございます。そのシステム開発は、現在もまだ完成に向けてやっておるところでございます。そういう
意味で、これは、資金の移管と給付の引き継ぎは同時に適切に行われることによって返上が完成するという形でございます。
それで、最近でごらんいただきますと、こういう事態のときに、システムのミスによっていろいろ御迷惑がかかった事例がございますが、私どもは、決してそれが起こらないように、年金受給者にこのしわ寄せが来ないようにやらなければならないというふうに思っておりまして、そういう
意味から申し上げますと、代行返上の時期の問題というのは非常に難しい問題がございまして、システムと両方あわせて、受給者にとって安全な形でどう
考えていくかという問題でございます。
それから、物納要件の緩和につきましては、御案内のとおり、公的年金はパッシブ運用が
中心でございますから、十三年に国会でも御審議をいただきました
法律上の要件としましては、
有価証券指数と連動することが要件となっております。したがいまして、基本的にはパッシブが対象となるということでございますので、そのパッシブの要件につきまして、既に私どもの案を示させていただきまして、パブリックオピニオンをお聞きいたしておりますけれども、これまでの御議論も踏まえまして、さらに
検討することがあるかどうか、これは
考えてみたいというふうに思っております。
いずれにしましても、昨日、与党三党の
対策、それから
経済財政諮問
会議の御審議のこれからの
状況につきまして、私ども事務当局の方から坂口厚生労働
大臣にも報告をいたしておりますし、来週に向けましても、
大臣に御報告をし、
大臣とよく御
相談をしていきたいというのが今の私どもの状態でございます。