○
井上(和)
委員 今御答弁にあったように、
マンションというのは、大体今三十六年ぐらいで建てかえ時期を迎えているんですよ。
つまりは、三十歳ぐらいで三十年
ローンを組んで
マンションを買って、
定年になってやっと
ローンを払い終わったとなったら建てかえになっちゃうわけですね。
前国会で、
マンションの建てかえの
促進法というのを
国土交通委員会でも
議論をしたんですが、私は、これはもう人生の悲劇じゃなくて喜劇だと。やっと
ローンを払って
マンションが自分のものになったと思ったら、今度は新たに
ローンを組んで
マンション建てかえだと。一体いつまで
ローンを払えるのか。
ローンをまだ、
定年になっても借りられる人はいいですけれどもね。これはもう本当に大きな問題だというふうに私は認識しています。
それで、
マンションの質がいかに低いかということを、恐らく皆さん、ここは
国土交通じゃないので余り
御存じじゃないと思うので、ちょっと五分ほど説明させていただきたいんですね。また、
竹中大臣は
マンションを幾つか持っていらっしゃるということで、ぜひ聞いていただきたいと思いまして、ちょっとパネルを持ってまいりました。
なぜ今の
日本の
マンションがだめかといいますと、大きな問題として、
断熱の問題があるんですね。
つまり、今の
マンション、恐らく
竹中大臣のお持ちの
マンションも、これは内
断熱マンションといいまして、
断熱材が内側に張ってあるわけです。ところが、
欧米は全部違う、これと違うんですね。特に
ヨーロッパはもう全然違いまして、
外断熱マンションといいまして、
ビル全体が
断熱材で囲われているんです。こういうふうになっているのは、今大体、
日本とか、まだあとは
開発途上国ですね。もう中国も今全部こちらに移っている。
ごらんになってもわかるように、まず
断熱性能、これは、
断熱材が周りに張ってあるこちらの
マンションの方がいいに決まっているんですよ。だから、先ほど私が言った、
アメリカで暖かいのに何で
日本は寒いのかといったら、やはりこの
断熱の
方法が違うということであります。
それで、もう
一つは、例えばここも、ここは
コンクリですから、
コンクリが
外気の
温度にすぐ反応するわけです。冬だったら、すぐ
コンクリ、寒くなる。
床下部分がこういうふうになっていますから、これはヒートブリッジといって、当然
床下から
外気が伝導してくるわけですね。中が寒くなっちゃう。ところが、
外断熱で全体を
断熱材で囲ってありますと、そういうことがない。
つまり、
外気が入ってこれないんですね。
それで、
耐久性の面でも、結局これですと、夏は暑い、冬は寒いというと、
コンクリがしょっちゅう冷たくなったり熱くなってしまいます。それだけ劣化の程度が早くなるわけです。ところが、こちらですと、この外側に新たに壁をつくるわけですね。
つまり、
コンクリートの
温度というのがほとんど
室内温度と同一なわけです、一年を通して。
つまり、それだけ
コンクリートの
耐久性があるということ。だから百年二百年でももつんですね。だから、
日本の
マンションというのは、こういう構造があるからもたない。
もう一点は、ちょっとこれも御興味のある方に御説明したいと思います。
配水管が
マンションの中を通っているわけです。
日本だけなんです、こういうふうにやっているのは。
御存じですね。
区分所有法で
専有部分に
共用部分が通っているのは
日本だけなんです。
欧米の方は、全部
ビルの両側にあって、
床下は二重床になっているんですね。二重床になっているから、間取りを変えることができる。これを
SI、スケルトン・インフィルといって、とにかくこういうものを
日本でも導入していかなければいけない。
つまりは、私が言いたいのは、今ある
マンションというのはほとんど、要するにスタンダードの
レベルからいったら非常に質が悪い。では逆に、これをちゃんと
ヨーロッパ並みにしていくには大変な
投資が必要だし、これは逆に言えば非常に大きなビジネスチャンスでもあるし、大きな
需要をつくり出していくということなんですね。そういうことをちょっと申し上げて、また次の話に移りたいと思います。
それで、どちらかというと、今度は
塩川大臣にお伺いしたいんですが、今回の
税制でもそうなんですけれども、
日本の場合はとにかく
住宅取得、
住宅取得、そういう面での
税制優遇なんかをつくっているんですが、では私が今申し上げたような、こういう良質な
住宅を、
マンションなどを供給するという面では非常に
税制上もおくれているんじゃないかと思うんですが、ぜひ今私が申し上げたような、こういう良質な
住宅をつくるという側面からも
税制面で支援していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。