○中津川
委員 大臣、政治は結果なんですよ。結果が出なきゃ、今どんなにぺらぺらしゃべって、いろいろしゃべるのはお上手ですからいいんですけれども、結果は何にも出ていない。一年間踊り場じゃないですか、
日本の
経済が。
国民がちゃんと見ていますから、もっと本当は議論したいんですが、ほかに進みたいと思います。
不良債権処理加速に伴う競売、先ほどから出ておりますが、この
増加について、例を挙げながら
質問をしていきたいと思っております。
二月十日のテレビ朝日のスーパーモーニングという番組で、競売で住んでいた家をとられた七十歳になる女性、これは将来に生きる希望を失って、同居していた弟と無理心中しようとして弟を刺した。それで自分も死のうとしたんですが、幸い二人とも命は取りとめた。しかし、その女性は、弟に対して殺人未遂ということで勾留されて、今罪を問われているという痛ましい事件が報道されたんですよ。びっくりしました。
日本では、抵当権に基づくいわゆる任意競売の場合は、事務的、形式的要件さえ整っていれば、債務者の意見はほとんどと言っていいほど聞かないで、裁判所は機械的に競売手続に入っていく。欧米ではこんなことはないと思うんですね。もちろん、融資の方法、さっき私が申し上げた担保至上主義とかそういうのとは違いますから、これは一概には言えませんけれども、少なくとも、
日本のようなこんな状況じゃない。
今、このような痛ましい事件が、
政府の
不良債権処理加速の中で激増しているんですよ。競売の問題を取り上げた人はまだ余りいないと思うんですが、物すごいこれはふえている。それに、こういう銀行被害者と呼ばれる人々が全国で百万人いると言われております。私のところに毎日たくさん相談に来られるんですよ。それで、多くの人たちが言うには、今の裁判を皆さん初めて実際に体験してみると、貸し手である銀行の言い分ばかり聞いて、借り手の立場はほとんど聞いてもらえない、無視されちゃう。裁判をやって、弁護士費用を払って、経費ばかりかかって、決して身にならない、むだだということを異口同音に率直に言われるんですね。
そこで、私は本日、私のところに相談に来られたこういう人たちを何人か、具体的な例の方がわかりやすいと思いますので、例を申し上げながら、今日の
日本の裁判のあり方、つまり、裁判の公平性、透明性そして迅速性等を最高裁に直接本当はぜひ伺いたかったんです。そうしたら、国会法七十二条二項というのがあるそうで、最高裁は
出席できないということですので、
金融庁それから法務省、かかわっておりますところの役所に
重点的に
質問してみたいと思っております。
実は、きのうの日経新聞朝刊に、「競売の手続き迅速に 書記官の権限拡大」という記事が載っかったんですよ。
不良債権処理が加速されると裁判官も忙しくなる、目が行き届かない、そこで書記官が決裁をする、こういうことです。黙っていくとそのまま読み過ごしちゃうんですが、私はこういう問題にかかわっておりますから、これは少し憂慮すべきことだなと思ったんです。
ある例を挙げます。江戸川区の根木島さんという
ケースなんですが、最低競売価格の決定というのは、本来、裁判所の選任する評価人、不動産鑑定士が決めて、最高裁はそのまま採用している。今日、競売が
増加しているため、出した不動産評価を裁判所も一々細かくチェックする暇もないといってしまえばそれまでですが、単純なミスとかあるいは精査ミスとかいうようなことが、私なんかが見てもわかるんですから、そういうミスを犯していると思われる
ケースがかなりあるんじゃないかと思うんですね。
根木島さんの
ケースでは、評価人が最低競売価格を算出する際にミスをしていると思われるわけです。この件は非常に道路づけのいい、三面道路に面して、不動産としての商品価値と申しますか、それもある土地なんですね。ところが、マイナス二五%という価格が
試算されているんですね。たくさんの人がその不動産を見に来ているわけですから、これは一〇〇%あり得ないです。マイナス二五%という価格が
試算されている。裁判所はそのまま採用されているんですよ。
それで、根木島さんがこれはおかしいと思って別の不動産会社に頼んでみたら、当然プラス評価になった。こっちが裁判所が頼んだ評価書ですね。不動産鑑定士さんの名前は申し上げませんが、一応ここにある。こっちが根木島さんが頼んだ評価書でありますが、全然違う。
それで、根木島さんが、最低競売価格が間違っていると、昨年八月、東京高裁に、売却決定に対する執行抗告、不服申し立てというんですか、これをしたんですが、普通は大体一、二カ月で出るそうなんですが、まだ決定が出ていない。裁判所も頭を痛めている、悩んでいるのかもしれません。裁判官も人間ですから、間違えちゃいけないとは言いません。間違えてもそれを非難しません。しかし、間違ったら率直に認めて、速やかに処理をしなければいけないと思うんですね。
私が先ほど冒頭に憂慮すると申し上げたのは、新聞に報じられたとおり、今度書記官がやるようになって権限が拡大されますと、こういうようなミスがたくさん出てくるんじゃないかと心配しているんですね。いかがですか。