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2003-02-12 第156回国会 衆議院 財務金融委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
平成十五年二月十二日(水曜日) 午後五時二十五分
開議
出席委員
委員長
小坂
憲次君
理事
金子 一義君
理事
七条
明君
理事
林田 彪君
理事
渡辺 喜美君
理事
生方 幸夫君
理事
松本
剛明君
理事
上田
勇君
理事
中塚 一宏君
上川
陽子
君 倉田
雅年
君
小泉
龍司君
左藤
章君 坂本 剛二君 砂田
圭佑
君
田中
和徳
君 竹下 亘君 竹本 直一君
中村正三郎
君 萩山
教嚴君
林 省之介君 増原 義剛君
山本
明彦君
山本
幸三君
五十嵐文彦
君 井上 和雄君
上田
清司君 佐藤 観樹君
仙谷
由人君
中津川博郷
君 永田
寿康
君 平岡 秀夫君
松原
仁君 石井 啓一君 遠藤
和良
君
佐々木憲昭
君 吉井 英勝君 阿部 知子君 植田
至紀
君
山谷えり子
君 …………………………………
財務大臣
塩川正十郎
君
国務大臣
(
金融担当大臣
)
竹中
平蔵君
内閣
府副
大臣
伊藤 達也君
財務
副
大臣
谷口
隆義君
財務大臣政務官
田中
和徳
君
参考人
(
日本銀行理事
)
三谷
隆博
君
財務金融委員会専門員
白須 光美君
—————————————
委員
の異動 二月十二日
辞任
補欠選任
上川
陽子
君
左藤
章君
小泉
俊明
君
松原
仁君
江崎洋一郎
君
山谷えり子
君 同日
辞任
補欠選任
左藤
章君
上川
陽子
君
松原
仁君
小泉
俊明
君
山谷えり子
君
江崎洋一郎
君
—————————————
本日の
会議
に付した案件
参考人出頭要求
に関する件
財政
及び
金融
に関する件 ————◇—————
小坂憲次
1
○
小坂委員長
これより
会議
を開きます。
財政
及び
金融
に関する件について
調査
を進めます。 この際、お諮りいたします。 両
件調査
のため、本日、
参考人
として
日本銀行理事三谷隆博
君の
出席
を求め、
意見
を聴取いたしたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
小坂憲次
2
○
小坂委員長
御
異議
なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
小坂憲次
3
○
小坂委員長
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
五十嵐文彦
君。
五十嵐文彦
4
○
五十嵐委員
民主党の
五十嵐文彦
でございます。
最初
に、
竹中金融担当大臣
に、私は、
最初
はそれほどの問題かなと
考え
ていたんですが、党内でかなり
竹中発言
に対する反発が強いものですから、
最初
にお尋ねをしたいと思います。
株価連動型投信
、
ETF
について、絶対もうかるから買った方がいいというような
発言
をされたのかどうか、伺いたいと思います。
竹中平蔵
5
○
竹中国務大臣
ETF
に関しましては、
投資信託
の中でも、特に
日本
の
未来
を買うということで、
閣僚懇
におきまして、
閣僚
も率先して買おうというふうな
問題提起
をさせていただきました。それを受ける形で、
官房長官
の方からもそれの徹底をしてくださいました。 そのことの後の
記者会見
で私が申し上げましたのは、では
竹中大臣
は買いますかというふうに言われましたので、私は買います、私が買う、私が
投資家
として絶対もうかると思っておりますというふうに申し上げたわけでございます。絶対もうかるから買いなさいというようなことは、これは言うべきではない。そのような
趣旨
で申し上げたのではなくて、私は買いますということでございます。
五十嵐文彦
6
○
五十嵐委員
絶対もうかるというような言い方は品がないということが
一つ
ですけれ
ども
、それは、
景気
を
回復
させて
平均株価
を上げたいという気持ちがこもっているということで、まあいいかなと私は
最初
思っていたんですが、
証券会社
の
営業マン
が、絶対もうかるから買いなさいと言ったら、これは言ってはいけないことなんですね。それを、
所管
する
担当大臣
がそれに同様の
発言
をしたら、この新聞を、あるいは載せてある記事を持って回れば、本人が言わなくても、いや、
大臣
がお
墨つき
を与えているんだから、これは絶対もうかりますよという
意味
になるじゃありませんか。絶対もうかるというようなことを、幻想を与えるようなことを弄して商売をしてはいけませんというみずからの決めをみずから壊すことになるじゃないですか。それはおかしいじゃないですか。(
発言
する者あり)
与党
から、信用されてないという声もありますけれ
ども
、どうですか。
竹中平蔵
7
○
竹中国務大臣
私の立場では、
日本
の
未来
を買いましょうということをあくまで申し上げたかったわけでございます。 基本的に、
株価
に関しては、
日本
の
株価水準
は本来の
水準
よりも低いと思っている、それに関して、将来的には
株価
は上昇する余地は非常に大きいと思っている、そういう
発言
は、私はかねてからしているつもりでございます。これは、マーケットをエンカレッジするという
意味
では私の仕事の一部だというふうに思っておりまして、品がないという御批判は、これは謹んで承るというふうに思いますが、繰り返し申し上げますけれ
ども
、絶対もうかるから買いなさい、これは販売上言ってはいけないことでありますけれ
ども
、私が申し上げたのは全くそういう
趣旨
ではありませんし、それは前後の文脈等々できちっとわかっていただけるのではないかというふうに思っております。
五十嵐文彦
8
○
五十嵐委員
いや、品がないのもさることながら、絶対もうかりますという
発言
がそういう違法な商法に利用される
可能性
があるということに気がつかないで
発言
すること自体が問題だということを申し上げているんですから、それはおかしいんですよ。 これは、今からでも遅くないから、絶対もうかるという
表現
はまずかったと訂正された方がいいと思いますよ。
竹中平蔵
9
○
竹中国務大臣
これは、繰り返し申し上げておりますけれ
ども
、私は、買いますかというふうに聞かれて、私としては絶対もうかると思っていますし、買いますということを申し上げたわけでありますから、
訂正云々
という問題ではないというふうに思っております。 ぜひとも、
日本
の
未来
を買うということで、我々
閣僚
もそういう行動をとっておりますので、その
趣旨
を御
理解
いただきたいと思います。
五十嵐文彦
10
○
五十嵐委員
それはおかしいですよ、明らかに。あなたは
金融担当大臣
という役目なんですから、わざわざ絶対もうかるという
発言
をする必要はなかったわけです。今おっしゃるとおりに、私は
景気
の
回復
に全力を尽くしますので、
日本
の
未来
を買うために
閣僚
の
皆さん
も協力してほしいと思いますと言えばいいだけの話じゃないですか。もうかる、もうからないという
発言
は言う必要ないですね。そういうことを気がつかないで
発言
する、そして、それを言いわけをして糊塗するということにあなたの政治に対する姿勢が疑われるということがある。だから、信用されないという声が
与党
から出てくると私は断じざるを得ないわけであります。 次に、
財務大臣
の
所信
について質問をさせていただきたいと思います。
財務大臣
は、二〇一〇年代初頭における
プライマリーバランス
の
黒字化
を目指すとの
目標達成
に向けて努力をいたしますという
発言
を、繰り返し本
会議
でもこの
委員会
でもされているわけですけれ
ども
、この「
改革
と
展望
」に含まれている二〇一〇年代初頭の
プライマリー黒字化
ということと、二〇〇七
年度
の
プライマリー赤字
を現在の
GDP比
五%強から半減するという
目標
については、
所信
では
一つ
しか言っていませんけれ
ども
、両方とも
現時点
で堅持するという
理解
でよろしいですか。
塩川正十郎
11
○
塩川国務大臣
堅持するように努力するということでございますから、
一つ
の確固たる
目標
を掲げて努力していくことであります。
五十嵐文彦
12
○
五十嵐委員
目標
を堅持するということなんですが、しかし、同時に
大臣
が提出された
補正予算
では、今
年度
の
税収
が相当落ち込んでいる。そして、
国債
を追加発行せざるを得ないということになっているわけであります。
発射台
が低くなりますから、後
年度
も
財政
の
ギャップ
、これは
拡大
をしていく、そのまま足されていくというふうに見るべきだと思います。
公債
の累増は不可避であるというふうに思うわけですが、今回の
補正予算
、あるいは十五
年度
予算
での
国債
の当初のもくろみ以上の積み増しを含めても、この
目標達成
は可能というふうに見られているんでしょうか。
塩川正十郎
13
○
塩川国務大臣
現在の推測では、二〇一〇年初頭と、私は大体二〇一三年ごろかなと思うて
計算
しておるんですけれ
ども
、そこには絶対に近づけたいと思っております。
五十嵐文彦
14
○
五十嵐委員
二〇一三年まで初頭かどうかというのはかなり問題があると思います。通常は、二〇一〇年代初頭といえば、一〇年、一一年ということを
意味
するんだろうと思います。一三年まで入って初頭というのはおかしいと
考え
ますが、それを具体的にちょっと見てみたいと思うんです。 お手元に、
財務省
の
資料
、それから
内閣
府の
資料
を私が抜き書きしてリライトしたものがございます。それに借
換債
を加えた各
年度
の今後の要
国債発行額
というのを
計算
してみました。 そうすると、この
試算
一、
試算
二と、
財務省
も分かれているんです。一の方は、
成長率
を
かなり高目
に、十六
年度
〇・五%、十七
年度
一・五%、十八
年度
二・五%と見ておりますので、これよりは、
名目成長率
を今の
状況下
でゼロと見る方がむしろ蓋然性が高いかなと思うわけです。
試算
二の方を仮に見ていくといたしますと、十四
年度
、今
年度
は
補正
後を含めて新
発債
と借
換債合わせ
て百四兆六千億円でした。これを、
名目成長率
ゼロそれから
長期金利
二%、
長期金利
の
計算
は今ちょっと違うわけですが、実際には
現時点
では〇・八%
程度
ですから、これはかなり、逆に
公債
を発行する側にとっては都合のいい現状なんですけれ
ども
、仮に二%と
財務省理財局
は見ていますので、そのまま置いて
計算
しますと、十九
年度
には百六十八兆二千億円に膨れ上がるわけであります。これに
財投機関債
、これはだんだん少なくなってくるとはいえ、
現時点
では十五兆円
程度
の
財投債
がこの上にさらに積み増されるわけであります。十五
年度
から十九
年度
までにこの
伸び率
は六〇・八%ですよ。借
換債
まで含めますと物すごい勢いで
公債
の
発行額
をふやさなければならないということなんですね。 一方、「
改革
と
展望
」、すなわち、
プライマリー赤字
を解消するというその
工程表
にのっとった方を見ますと、
成長率
の
計算
は大体今の
財務省
の
計算
と同じようなんですが、
名目長期金利
を、二〇〇三
年度
というのは十五
年度
になるわけですが、一・三%、十六
年度
一・五%、五
年度
一・八%、六
年度
二・一%、七
年度
二・五%で、初頭の二〇一〇
年度
は三・一%と見ているわけですね。これは、
成長率
が
回復
して
インフレ率
もゼロ以上に高まるというふうに見ているわけですから、
長期金利
は上昇するというのは当然の
見方
ではあるのです。 ただし、御存じのとおり、
長期金利
の
計算
というのは、
予想成長率プラス予想インフレ率プラスリスクプレミアム
なんです。そうすると、
インフレ率
が高まってくれば
長期金利
が上昇するんですが、
リスクプレミアム
は、当初は高く見ていると思っていいわけですね。
長期金利
は今〇・八ですから、あるいは十五
年度
でも一・三という
見通し
を持っているわけですね。ところが、後
年度
になってくると、極端に
リスクプレミアム
を低く見ている。むしろゼロと見ているということが言えるんですね、この
計算
上。 そうすると、実際には、十四
年度
に比べて
国債
の
発行高
が六〇・八%も膨れ上がっていながら、
国債
の
リスク
は、これは
減損会計
、
時価会計
を導入してくれば当然、
長期金利
は上昇して売れ残りも起きてくるだろう、その
リスク
は膨らんでくると私
ども
は見るんですが、
リスクプレミアム
は逆に低く見ているというのはどうもおかしい。 要するに、
長期金利
はこの
見通し
より以上にもっと上昇するのではないか。そうすると、逆に言えば、
公債費
はもっと増大してくる。
税収
と歳出の
ギャップ
はもっと
拡大
する。どちらかがおかしいんですね。要するに、
リスク
が
拡大
をして
金利
が上昇する。
金利
が上昇すればさらに
国債
の
危険度
は高まる。 そして一方では、私は、
金利
が上がらなければ
景気
は
回復
しないと思っているんです。なぜなら、
金利
が上がるということは
設備投資
の意欲が高まるということであり、
消費
という面でも、
お金
を持っている
人たち
が、
金利収入
が上がるから、それで
お金
を使おうという
消費性向
の増進につながるということで、
金利
が上がらなければむしろ
景気
はよくならない、こう思う……(
発言
する者あり)そんなことはないですよ。いい
意味
での
金利
が上がらなければ
景気
はよくならないというのは、むしろ常識ですよ。 そういうことだと思うんですが、この
国債
の
増嵩
によって
金利
をゼロ近くに無理やりにでも下げなきゃならぬということになると、これはなかなか難しいということになってくると思うんですね。これは
景気回復
か
財政再建
かということにも大きく影響してくるんですが、この際、この
見通し
が今でもこのような
計算
で達成できると思っておられるのか、
財務大臣
に伺いたいと思います。
塩川正十郎
15
○
塩川国務大臣
五十嵐
さん、物すごい勉強しておられるが、これは、
パソコン
で
計算
したらこうなるんですね。そうですね。ここがなかなか
現実
の難しいところでして、例えば
長期金利見通し
のところで、
長期金利
がこうなる、そうすると、これに伴うて
経済
の
成長率
はどのぐらいになるんですか、ちょっと一緒に教えていただいたら。そうしますと、
税収
が変わってきますね。そうすると、
税収
が変わってくるということは、
国債発行額
も変わってきますね。 ですから、これはなかなか、
パソコンゲーム
でいくとこうなると思うんですけれ
ども
、私らから見たら、
現実
はなかなか難しい、予測はちょっと立てにくいと思うんですが、その点、
経済成長率
は
名目
でどのぐらいになるということをちょっと教えていただいたら、これもまた
考えよう
があると思うんですけれ
ども
。
五十嵐文彦
16
○
五十嵐委員
いや、
名目
の
成長率
は出ているんですよ。
名目
の
成長率
は、ここには書いておりませんけれ
ども
、まさに
経済財政諮問会議
に出された
名目
の
成長率
は、これは十五
年度
が
マイナス
の〇・二、四
年度
が〇・五、五
年度
が一・五、六
年度
は二・二、七
年度
は二・六、一〇
年度
は三・二%ということになっているわけであります。 しかし、今、
税収
が上がると言いましたけれ
ども
、この
程度
の
経済成長
だったら、
税収
は、たかだか一兆円とか一兆五千億とか、そんなものですよ。
税収
の
弾性値
は今や一・一あるかないかでしょう。そんなに伸びないですよ。したがって、
名目成長率
が上がれば一挙に
景気
が
回復
して
公債費
が下がるなんということはあり得ないです。そうじゃないですか。
塩川正十郎
17
○
塩川国務大臣
それは、十五
年度
の
ベース
でずっとそのままいくということですね、
五十嵐先生
のお説では。 ところで、今度、何でこの
プライマリーバランス
の
ずれ
が出てきたかということを見ました場合に、今度
税制改正
で、五年を
一つ
の周期として
増減収
の
バランス
をとりたい、
中立
ですね、こう思うておったのが、大体七年ぐらいから八年
ずれ
てきたということなんですね。ということも、この一事を見ても御
理解
いただけると思うのですが、十五
年度
ベース
にしたものよりも、十五年、十六年、十七年ということは、
自然増収
、要するに
税収
の増、この分がふえていくということも加味していただかないと
計算
が合わない。ですから私は、複合的な
計算
の上に
経済
の
見通し
をするということはなかなか難しいことだ、こう言っておるんです。
五十嵐文彦
18
○
五十嵐委員
いや、
自然増収
まで見込んだ
数字
でしょう、これは、当然ながら。それはおかしい話で。 それで、
大臣
が今、二〇一三
年度
かなとおっしゃったのは、これは個人的な
考え
なんですか。それとも、
政府
として、もう二〇一三
年度
にその
目標
をずらすということで決めたんですか。
塩川正十郎
19
○
塩川国務大臣
これは、
経済財政諮問会議
のときに、この席ではこの
議論
になりました。私は、これは七年から八年の
ずれ
が出てきた、要するに、五年で
収支バランス
をとるという
税制改正
が、七年から八年の差になってきたということであるならば、
プライマリーバランス
の年数も後
年度
へ譲っていくべきだということでございまして、そのときに私が、個人の
意見
として、二〇一三年ぐらいが適当じゃないかと言ったんです。 そうすると、いや、それはちょっとゆっくりし過ぎるということで、では二〇一〇年初頭ということで
意見
がまとまったというところでございまして、だから、
表現
は二〇一〇年初頭となっております。「
改革
と
展望
」の文章はそうなっておりまして、
政府
の
意見
としては初頭であります。けれ
ども
、私が申しましたのは、一三年ごろだなという感じで申し上げておるということです。
五十嵐文彦
20
○
五十嵐委員
竹中
さんは
経済財政諮問会議
の
担当大臣
でありますから、
財務大臣
との、今の見解との
関係
はどうなんですか。
竹中平蔵
21
○
竹中国務大臣
諮問会議
にも出しました
内閣
府の
試算
というのは、二〇一〇年までの
試算
を行っております。そこから先の
試算
、だから、何年にということは、
計算
はしていないわけでありますけれ
ども
、基本的な
考え
方としましては、今、
プライマリーバランス
は
GDP比
で五%
強赤字
でございます。十年ぐらいということで、毎年、それまで、平均すると、年々
GDP比
〇・五%改善していくという
シナリオ
を立てているわけです。 二〇一〇年の時点での
GDP比
の
赤字
は、
マイナス
の一・三ぐらいだったでしょうか、それ等々から総合的に勘案いたしますと、二〇一〇年で
GDP比マイナス
一・三、それが〇・五ずつ改善ということになりますと二〇一三年ごろという、まあ
塩川大臣
がおっしゃったのと、これは
計算
としても、
試算
としてもほぼ符合する。い
ずれ
にしても、二〇一〇年代初頭に
プライマリーバランス
を
回復
させる、そのような
シナリオ
になっているわけであります。
五十嵐文彦
22
○
五十嵐委員
いや、今回の
政策
がこれに影響するのであれば、それを素直に、こう影響して、こういうことになります、しかしこういう
政策
をとるから大丈夫ですということをきちんと
説明
する責任があると思いますよ。ただ、二、三年
ずれ
ますという話だけでどうも済むとは思えない。しかも、
財務省
の
計算
と
経済財政諮問会議
に出された
計算
との
数字
の根拠もきちんと
整合性
がとれていない。
長期金利
の
見通し
もどうもはっきりしていないということでありますから、こういう
政策
をとれば
長期金利
はこうなります、そしてこのような
プライマリー黒字化
の道程になりますということをきちんと御
説明
になる必要がある。 改定をしていただきたい。早急にそれを示していただきたいというふうに思います。
谷口隆義
23
○
谷口
副
大臣
今
五十嵐委員
がおっしゃったことに対して若干、
大臣
の
発言
につけ加えさせていただきたいと思います。 まず初めに、
大臣
がおっしゃった
税制中立
ということで、二年ばかり
ずれ
たということもあるわけですが、一方で、十四
年度
の
税収不足
が、土台が落ちたといったことも
一つ
の原因であるわけでございます。 また、
長期金利
については、これは
内閣
府の
試算
で出てきているんですが、
五十嵐議員
がよく知っていらっしゃるように、これは
国債
の
需給関係
だとか為替だとか
財政政策
だとか
金融政策
だとか、こういうような中で決まるものでありますので、今後の
長期金利
を予想するといったことはかなり難しいわけでございます。 ですから、この所与の条件で
内閣
府のデータを
考え
ると、
財務省
の
試算
となかなか
整合性
がないということになるんだろうというようにも思うわけでございますが、とにかく
財務省
の方は、ことしから
議論
が始まります
社会保障
の
制度
の見直し、
年金制度
の
改革
をやるということ、また国と地方との財源のところを明確にしていくということと、あとは
公共投資
を真に効果のあるところに注ぎ込んでいく、こういうことをやりながら、二〇〇七年というのはいわば
見通し
でございまして、
目標
ではございません、読んでいただいたらわかるわけでございますけれ
ども
、そういうことを通じて、二〇一〇年代初頭に
プライマリーバランス
を
黒字化
する、こういうことを言っているわけであります。
五十嵐文彦
24
○
五十嵐委員
私が言っているのは、今〇・八%ですけれ
ども
、たった数日間で、一九九九年の二月の二日ですか、二、三日の間で〇・八%から二・四%に
長期金利
がはね上がっているんですよ。すなわち、
長期金利
は
リスクプレミアム
の部分がかなり敏感に来るということなんですね。この
リスク
を全く
計算
しないで、ゼロと見て想定するのはナンセンスじゃないか。しかも、急激に
公債発行額
がふえていっている中で、ゼロと見るのは無理があるじゃないかということを申し上げているんですから、それは、私
ども
は今の
説明
だけでは納得はできない。いいですよ、後でまたじっくり時間があるときにやらせていただきますから。 次に、
産業再生機構
について伺っておきたいと思います。 私は、この
産業再生機構
というのは、貸し出しもするわけですから一種の
国営銀行
だ、そういう
認識
を持っております。一方でまた、
銀行
を救済するための
銀行
であるという
見方
をとっております。 この
産業再生機構
の
アイデア
が生まれてきた背景は、私は
金融
のサイドにあると思っているんですが、
竹中大臣
の
金融再生プログラム
、この中から出てきた
アイデア
ではないんですか。いわゆるすぐれて
金融
的な
世界
のものとして
考え
るべきだ、こういうふうに思うんですが、どうでしょうか。
竹中平蔵
25
○
竹中国務大臣
産業再生機構
が必要だというふうに判断した経緯でございますけれ
ども
、基本的には、
銀行
も、
銀行
から
お金
を借りている
企業
も、いわゆる
バランスシート調整
をしっかりとやらないことには、新たな
リスク
をとってあすに向かって発展していけない。そのときに、
銀行
としては
不良債権
の
処理
の
加速
でありますけれ
ども
、
企業
にとっては、過剰な債務を抱える
企業
の
再生
である。そういう
意味
では、コインの裏表のような
関係
にあるというふうに
理解
をしております。 その
意味
で、
不良債権処理
の
加速
とともにこういう
議論
が出てきたわけでありますが、これは同時に、しかし、
産業
のまさに
再生
でございますから、
金融
の面を
金融庁
が担当する、
産業
の
再生
の面についてはまた別の視点が要る、そういうような
発想
も裏にはあるというふうに
認識
をしております。 い
ずれ
にしても、
金融
の側と
実物経済
の側、両方連携することは重要でございますけれ
ども
、これは、
金融
は主に
金融庁
、
産業再生機構
についてはしかるべきセクションでこのことをしっかりと、特に、
所管
の業種が横にわたることもありますので、
横割り
でしっかりとやっていただきたい、そのような
発想
で成り立っております。
五十嵐文彦
26
○
五十嵐委員
いや、これは極めて
金融
の
世界
の話ですよ、もともと。 それで、
産業再生
というと格好いいんですけれ
ども
、実際には
産業
じゃないでしょう。
特定
の大
企業
でしょう。
中小企業
は救えないでしょう、これでは。
中小企業
を対象にしないとは書いていないけれ
ども
、実際に七十人ぐらいの人員を想定されているらしいし、
与党
の幹部の
皆さん
に聞いても、大
企業
で手いっぱいで、とても
中小企業
まで中身を調べて分割をしたり
再生
させることはできない、こう言われているわけですから、
産業再生
という名前は大仰だけれ
ども
、これは単に
特定
の大
企業
の救済になるんじゃないですか。
竹中平蔵
27
○
竹中国務大臣
産業再生機構
に関しましては、
谷垣大臣
が
所管
でいらっしゃいますので、私の方からお答えできることは限定されておりますが、今
五十嵐委員
まさに言われましたように、
企業
の規模は問わない、やはり原則としてはこの点は重要でございます。今後どのように運用されていくかということに関しましては、実態に即してしっかりとやっていきたいというふうに思っております。 それと、
産業再生
でありますけれ
ども
、決して
企業
再生
ではなくて、やはり
産業再生
である。それは、その業界が持っているいわゆる供給過剰等々が
認識
される場合には、それと相反しないような形で
企業
再生
をやっていく。したがって、そこは単にミクロ、
企業
の話ではなくて、
産業
というスコープがそこに入っているという点が今回の機構の大変重要なポイントであるというふうに思っておりますので、その
趣旨
に沿ってしっかりと組織をつくって運用していく必要があると思っております。
五十嵐文彦
28
○
五十嵐委員
まさに建前だけの話で、実態はそうならないであろうと容易に想像がつくわけですが、これは後でまた
議論
をしたいと思います。 きょうは時間がありませんから、一点だけ最後に伺っておきたい。
竹中
さんは私に対して、別にインフレターゲティング論者ではないと言ってみたり、よそではインフレターゲティングを進めてみたり、はっきりしないんですけれ
ども
、あなたは今、
現時点
でインフレターゲティングを採用すべきと
考え
ているのかどうか伺って、終わりにします。
竹中平蔵
29
○
竹中国務大臣
インフレ
目標
に関しましては、
内閣
府で作成したいろいろな
政策
文書等々に書いているのが私の基本的な建前でございます。 繰り返し言いますけれ
ども
、重要な点は、マネーサプライがふえるということであって、マネーサプライが安定的にふえるような、そういう仕組みの
一つ
としてインフレターゲット、物価
目標
というのは、それなりに私は有益であろうというふうに思っております。 ただ、例えばインフレ
目標
がないとマネーサプライをふやせないということではありませんから、あくまでもマネーサプライをふやすという形が重要である、そのための
一つ
の手段として十分検討に値する、そういった
意味
で
議論
を進めなければいけないというのが
内閣
府の文書で書いているとおりでありますし、私の立場でございます。
五十嵐文彦
30
○
五十嵐委員
一言だけ。マネーの賦存量と流通量を間違って、混同されているというふうに思いますが、後でまた
議論
させていただきます。 終わります。
小坂憲次
31
○
小坂委員長
次に、永田
寿康
君。
永田寿康
32
○永田
委員
まず冒頭、日銀の総裁の人事が大分新聞紙面などをにぎわしていまして、国会としても非常に重大な関心を持っています。
財務
金融
委員会
の場では、
理事
会で、総裁候補の名前が大体固まりそうになったら、国会に呼んでお話を聞きたいということ。もちろん、同意人事ですから、お話を聞いてから同意するかどうかという態度を決めたいというつもりでお願いをしているわけですけれ
ども
、
政府
として、国会を重視する立場、あるいは日銀の重要性というものを
考え
ると、そのように候補者の段階で御
意見
を紹介というか、要するに人柄も見ていただくというようなことは、僕は、
政府
としては賛成してほしいなというふうに思っているんですが、どのような姿勢でこの問題に取り組まれるのか、お答えをいただきたいと思います。これは、
財務
と
金融
と両方の
大臣
にお願いします。(
塩川国務大臣
「どういうこと」と呼ぶ)要するに、日銀の総裁候補が決まったら……(
塩川国務大臣
「いやいや、僕に聞いているんですか、だれに聞いているんですか」と呼ぶ)そうです、
財務大臣
にも
金融担当大臣
にも、両方ともこれはお答えいただく価値があるものだと
考え
ております。
塩川正十郎
33
○
塩川国務大臣
これは
政府
が、国会同意人事でございますから、国会にお願いすることでございますから、国会でお決めいただければ結構です。
竹中平蔵
34
○
竹中国務大臣
財務大臣
がおっしゃったとおりであろうかと思います。どのような形で会を運営するかということは、これは議会でお決めいただくことだと思います。
永田寿康
35
○永田
委員
いや、そういう論点じゃなくて、
政府
としては、日銀の重要性と国会での同意人事という重みをぜひ感じていただいて、これはそういう機会を設けるのが適切である、あるいは望ましいことである、前向きに取り組んでいただきたい、そういうふうな
意見
を僕は求めているんですけれ
ども
、そういう
意見
は持っていないというふうに
考え
てよろしいんですか。もう一回お二人にお願いします。
塩川正十郎
36
○
塩川国務大臣
これは、国会審議に介入することになりますので。 例えば、公安
委員
の任命、あるいは公取とかそういうのがございますが、そういう例がございますから、私は、それに見習った措置の問題だろうと思っております。
竹中平蔵
37
○
竹中国務大臣
これは、国会の同意を得て総理が任命するということでありますから、国会でお決めになること、もう
一つ
は総理がお決めになる部分ということでありますから、私
ども
の立場でどうこうというのは、これは大変難しいかというふうに思います。
永田寿康
38
○永田
委員
その
程度
のことも答えられない人に質問をしなきゃならない苦痛を今かみしめているところであります。 ちょっと質問の順番を変えて、日銀の株買い取りの話をしたいと思います。 日銀が猛烈な勢いで民間
銀行
が保有している株式を買っています。先日の発表では、三千八百億円残高があるというふうに言われています。これは、僕は非常に大問題だと思っています。 買い始めてからしばらくたつものですから、その保有している株式について、当然、
株価
が日々変動します。損益というものは、その瞬間で含み損、含み益、どれぐらいあるか、
計算
できると思います。直近の
数字
でどれぐらい損益が出ているのか、日銀の方からお答えをいただきたいと思います。
三谷隆博
39
○
三谷
参考人
お答えいたします。 私
ども
、買い入れた株式については、半期ごとに、原価法による期末評価を行った上で、必要な減損
処理
、もしくは含み損超となった場合の
処理
というものを
考え
ております。 したがいまして、
株価
は毎日毎日変わるものでありますので、基本的には決算の段階で
財務
諸表とともにその含み損の
数字
とかそういったものは公表させていただきたいというふうに
考え
ております。
永田寿康
40
○永田
委員
究極のモラルハザードであります。 僕は、まだ生まれてこの方一度も株というものは買ったことはありませんが、恐らく、自分が株を自分の
お金
で買ったとしたら、一日に五回は
株価
をチェックしますよ。そんなものだと思いますよ。だけれ
ども
、自分の金じゃないから半期に一回で済むというふうにお
考え
になっているわけですよね、要は。 半期どころじゃないんですよ。実はこの株というのは、買ったら十九年まで持ち続けて、十九年から今度は二十九年までの間に順次売却をしていく。その際に含み損、含み益というものは実現するわけですから、その瞬間に
処理
をすればいい。だから決算上は、もちろん財産目録をつくる
意味
では当然半期に一度
計算
するという作業は必要だとしても、それ以上の
意味
は持っていない、多分それぐらいの話だと思うんですよ。 冗談じゃありません。自分の
お金
じゃないからといって、そんなばかな扱いしないでほしいんですよ。これは、最終的には損失が出たら国庫納付金となるべき
お金
から損失を補てんしなきゃならないという、大変、これは税金に準じた
お金
ですから、ほっておけば国庫納付金になって国家
予算
の一部を形成するわけですから、そうした性格の
お金
を扱う者としてはまことに不適切な態度だと思うのですが、今後も半期に一度しか損益を評価しないというふうにお
考え
なのか、もう一度答弁をお願いします。
三谷隆博
41
○
三谷
参考人
お答えいたします。
日本
銀行
の保有している資産、今回株の買い入れを行ったわけでありますが、
国債
にしろ外国為替にしろ、いろいろな形で、市場の相場変動によりまして、その時々時価は変わるわけでありますけれ
ども
、私
ども
としては、そういうものは、基本的には、毎日
試算
するというわけではなくて、決算期末に決算
処理
と合わせてきちんと世の中に報告していくということが必要十分でないかというふうに
考え
ているところでございます。
永田寿康
42
○永田
委員
日銀の資産が劣化するかもしれないという部分が非常に大きなテーマとなって、今回の日銀の株買い取りは世間から非難をされているわけですよ、注目を集めているわけですよ。実際、日銀の株というのはこの十年以上下がり続けていて、今でもこの十年、最低付近で
株価
というのは推移しているわけですよ。 資産の劣化がどれぐらいだということは、マーケットは注目をしています。今この瞬間に日銀の資産がどれぐらいだということが
計算
できるのにしないというのは、僕はマーケットに対する裏切り行為だと思うんです。マーケットに対して正しい日銀の
株価
形成を促す、そういう謙虚な気持ちで
計算
をして、明らかにすべきときに明らかにしていくべきだと僕は思いますけれ
ども
、いかがお
考え
でしょうか。
三谷隆博
43
○
三谷
参考人
今申し上げましたように、
日本
銀行
の持っている資産というのは、
国債
であれ外国為替であれ、今度新しく購入しました株であれ、毎日価格は変動するわけでありまして、それを毎日毎日把握して公表するというのはまさにいろいろな、マーケットにも不測を招きかねないということもございますので、そこは決算の際にきちんと決算
処理
も合わせて報告したいということでございます。
永田寿康
44
○永田
委員
この問題は余り禅問答をやってもしようがないんですが、株の毎日の変動なんて、追うのは簡単なんですよ。野村証券のホームページに行って、株取引シミュレーションみたいなゲームみたいなものがあって、百万円ぐらいの資産を株式の購入に割り当てて、そのポートフォリオが毎日総額でどれぐらいの価値を持っているかなんということはすぐ出てきます。わけもない話です。その
程度
のこともやろうとしない日銀の姿勢に、私は愕然とせざるを得ないというふうに思っているわけであります。 ところで、では今度は、いわゆる善管注意義務の話がありますね。資産の劣化に対して適切にその監視をしていく、あるいは、日銀法第五条の話ですけれ
ども
、「
日本
銀行
は、その業務及び財産の公共性にかんがみ、適正かつ効率的に業務を運営するよう努めなければならない。」と第五条に書いてあります。 これはもちろん、日銀の役員さんが最終的には責任を負うものだと思います。そして、この善管注意義務に従って株式の損益を適切に管理し、要するに損益がどれぐらいあるかというものを見ていく、あるいは管理していく、こういうことは何と日銀の監事さんの仕事だというふうに、以前、我が党の参議院大塚耕平議員の質問に対して日銀の方がお答えになっているんですけれ
ども
、そのことは覚えていらっしゃいますか。
三谷隆博
45
○
三谷
参考人
申しわけございませんが、私自身でそういうことを答えたことはございませんので、ちょっと記憶にございません。
永田寿康
46
○永田
委員
通告もしていないんですが、これは総裁がお答えになったことだというふうに記憶をしています。 ちなみに、では、
三谷
理事
にお伺いしたいんですが、
株価
も含めて日々変動する資産があるわけですね。この状況について、それが、言ってみれば、日銀の公共性などにかんがみて適正かつ効率的な業務の運営と言える状態にあるのかどうかを管理し、判断するのはだれだと思いますか、日銀の中で。
三谷隆博
47
○
三谷
参考人
私
ども
のいろいろな
金融
資産等の買い取り、これはその時々の
政策
目的に従ってやっているわけでございます。したがって、これを今買うと損が出そうだから買わないとか、そういったことは基本的には、別の対応を
考え
ざるを得ないといいますか、そういうことでオペレーションの中身を変えるということは、私
ども
は基本的にはやっておりません。 今お話のありましたいろいろな資産の価格変動につきましては、先ほど申し上げましたように、基本的には期末の時点で、引当金の
処理
も含めて、きっちり
処理
をした上で御報告するということが適正なやり方だなというふうに私
ども
は
考え
ております。
永田寿康
48
○永田
委員
今、何か損が出ないようにするとか、あるいは日銀の利益をふやすことを目的としないということだと思うんですね、裏を返せば。
政策
目的を達成するためであれば、損益については余り大きなプライオリティーを置いていないというお答えだったと思う。今うなずいていらっしゃるのでそうだと思うんです。 そうではなくて、今回の日銀の株の購入については、これは
投資信託
銀行
に業務を委託していますね。委託した結果、その先で、取得した株の議決権の行使については、日銀の利益を最大限にすることを理念として議決権を行使してください、信託
銀行
にそういうふうに申し入れていますね。利益のことをちゃんと
考え
ているじゃないですか。その調子でやってほしいんですけれ
ども
、なぜそこでは利益を
考え
、こっちでは利益を
考え
ないという話になるのか、教えてください。
三谷隆博
49
○
三谷
参考人
今のお話は、議決権の行使に当たって、議決権を変な形では行使しないということでありまして、今先生のおっしゃったような私
ども
が定めました議決権の行使の基準というのは、その他の公的機関等の議決権の行使の仕方というものも参考にしながら決めたものでございます。今おっしゃった利益というのと、議決権行使に当たっての利益というものと、それから市況、相場変動等に伴う
日本
銀行
の資産の価格の変動というものは、これまた別のものと私
ども
は
考え
ております。
永田寿康
50
○永田
委員
改めてちょっと戻りたいんですけれ
ども
、善管注意義務、日銀は、その業務及び財産の公共性にかんがみ、適正かつ効率的に業務を運営するように努めなければならないという義務規定ですね。半期に一度の決算期に
計算
して、自分の資産がどうなっているかということを確認するだけで足りるんですか。 人類の歴史上初めて中央
銀行
が長期に株を保有するという判断をした。しかも、
日本
の株式マーケットというのは、
世界
も含めて大変動しているわけです、今。そうであるならば、少なくとも当初は、このやり方が、
制度
が果たして適正なものなのか、効率的なものなのかということを注意深くウオッチしていく必要があると思うんですけれ
ども
、なぜ半期でいいというふうに
考え
ているのか、その哲学、理念を教えてください。
三谷隆博
51
○
三谷
参考人
先ほど申し上げましたように、
日本
銀行
の資産というのはそれぞれその時々の相場の変動によって変化するわけでございます。そういったことにより
日本
銀行
の
財務
基盤が損なわれないように、そのためにいろいろな形での準備金とか内部留保を持っているわけでありまして、そういったものを引当金等も含めて総合的に
処理
をして公表するのが
財務
諸表、期末での
処理
ということでございます。 したがって、もちろん私自身、関心はございます、買い取りの結果どういうことになっているかと。ただ、この株式につきましては、御承知かもしれませんけれ
ども
、いろいろな形での情報制限を極めて強くいたしておりまして、私自身、どういう銘柄を買ったとか、そういうことも含めて、これは担当部署限りのものということで、承知していないことにしております。 したがいまして、い
ずれ
にしても、また、この株式は五年間凍結する、十九年の九月までは売却しない、その間、相場の変動につれて一喜一憂するものでもないんじゃないかというふうに私は思っております。
永田寿康
52
○永田
委員
いや、それは一喜一憂しなきゃいけないんですよ。自分の資産が劣化しないように、業務と財産の公共性にかんがみて、適切かつ効率的に運営されているかどうかチェックしなければいけないと書いてあるんですよ。それは一喜一憂しなきゃいけないんですよ。そこは
考え
方を変えてください、もうこれ以上変えるつもりのない人に言ってもしようがないので、これぐらいにしておきますけれ
ども
。 ところで、日銀が株を買うということは通貨の調節につながるのかどうか。イエスかノーかでお答えください。
三谷隆博
53
○
三谷
参考人
今回の株式の購入は、通貨の調節を目的とするのではなくて、
金融
システムの安定ということを目的としてやっているものでございます。
永田寿康
54
○永田
委員
金融
システムの安定を目的としているのであれば、
金融
の調節にも資さないことは明らかですね。今うなずいていただいたので結構です。 日銀法の第一条、目的規定には、「
日本
銀行
は、我が国の中央
銀行
として、
銀行
券を発行するとともに、通貨及び
金融
の調節を行うことを目的とする。」と、まず目的はこう書いてあります。 そして今回の株買い取りの法的根拠を与えた日銀法第四十三条、いわゆる目的達成業務でありますが、「
日本
銀行
は、この法律の規定により
日本
銀行
の業務とされた業務以外の業務を行ってはならない。」原則的にやってはならない。しかし、「この法律に規定する
日本
銀行
の目的達成上必要がある場合において、
財務大臣
及び
内閣
総理
大臣
の認可を受けたときは、この限りでない。」この規定に従って、
財務大臣
と総理
大臣
の許可を受けて行っているのがこの業務だと承知しています。 しかし、目的達成業務が規定しているのは第一条の目的に資するものだけです。つまり、第一条の目的に資さないものはやってはいけないんですね。四十三条を根拠とする場合、第一条の二つの目的、すなわち通貨の調節または
金融
の調節、どちらかに資するものでなければできないはずなんですけれ
ども
、どうしてこれができるようになっているのか、根拠を教えてください。
三谷隆博
55
○
三谷
参考人
日本
銀行
法の第一条には二つ書いてございまして、
一つ
が、先生のおっしゃった通貨及び
金融
の調節ということでございます。第二項に、「前項に規定するもののほか、
銀行
その他の
金融
機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資することを目的とする。」というものがございまして、私
ども
は、今回の措置は第一条の第二項の目的を達成するために実施をするということを
考え
ているわけでございます。
永田寿康
56
○永田
委員
信じられない話ですね。 第二項は、
銀行
その他の
金融
機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図る。つまり、資金決済の円滑ですから、
銀行
その他の
金融
機関同士の間で行われる資金の決済の円滑化を図ることを目的としているんですね。それを使って「確保を図り、もって信用秩序の維持に資する」ということは、そういう決済の円滑化を通じて秩序の維持を図ることを目的としているのであって、今回の株の買い取りが
金融
機関同士の資金の決済の円滑化に資するものだ、僕は全然そうは思えないですよ。これは株を買っているだけですから、資金の決済の円滑化とは全然
関係
がないと思います。これをもって信用秩序の維持に資することを目的とするという規定は、第一項よりもさらに当てはまらないんだと思うんですけれ
ども
、どうしてそういう解釈になるのか教えてください。
三谷隆博
57
○
三谷
参考人
お答えいたします。
金融
機関の決済が円滑に行われるということは、
金融
機関相互間で十分な信用度が確保されているということが大前提になるわけでございます。 御承知のとおり、今、
金融
機関は
不良債権
の問題、また株の含み損といったようなことが
金融
機関の信認にとって極めて大きな問題としてみんなに注目を浴びているわけでございまして、そういった
意味
でいけば、
金融
機関の株式の大量の保有に伴う
リスク
を軽減していくということが
金融
機関の信認を確保することにつながり、それが資金決済の円滑の確保、信用秩序の維持に資するというふうに私
ども
は
考え
ているわけでございます。
永田寿康
58
○永田
委員
大変重要なお話がありました。要するに、
金融
機関、主に
銀行
ですね、
銀行
から株を買っているわけですから。
銀行
が株を持ち過ぎているがために、周りのほかの
金融
機関から危ないと思われて、もうおまえのところでは決済やらないよというふうに言われる
可能性
があった、それを避けるために株を買ったんだというお話ですね。 本当に、おまえのところは株を持ち過ぎているから決済の相手としては不適当だというような現象が起こっていたんですか。それはどういう現象だったんですか。どういう
調査
に基づいて、どういう話でそういうふうな
発想
を持つに至ったのか、事実
関係
を
説明
してください。実名を出すと多分大変なことになると思うので、実名は出さなくて結構です。どういう
調査
をして、どういう論拠に基づいて、どういう証拠に基づいてそういう
発想
に至ったのか教えてください。
三谷隆博
59
○
三谷
参考人
先生も御承知のとおり、今、
金融
機関に対しては株式の保有制限というものを法律で決めております。具体的には、ティア1を上回る部分について十六年九月までに解消せよということ。これは、すなわち、現在
金融
機関がティア1をオーバーして持っているような株というのはやはり
金融
機関として持ち過ぎである、そういうこと自身が
金融
機関の信認の維持にとってやはり大きな問題ではないかというところからこの法律が定められたということで私
ども
は
理解
しておりまして、そういったことを念頭に今回の措置に踏み切ったものでございます。
永田寿康
60
○永田
委員
違うんですよ。八%ルール、株をそれだけしか持ってはいけないという、この法律の審議に僕も参加していましたからわかりますけれ
ども
、あれは、
金融
機関の経営が、株のようなマーケットで値段が上下するような不確実なものに大きく左右されるようでは困るということで八%ルールを定めたわけですね。 そうじゃなくて、今
三谷
理事
が御
説明
なさった答弁というのは、おまえのところは株を持ち過ぎているから、決済の相手としては不適切だから、もうおまえのところは決済してやらぬ、そういうような現象が起こったか、ないしは起こりそうだったという予兆が明白に見られたから
銀行
から株を買い取ることにしたんだ、そういう話だったんですよ。どういう根拠をもって、どういう現象をとらえて、どういうところからそういう感触を持つに至ったのか教えてほしいというお話をしているんです。
三谷隆博
61
○
三谷
参考人
今先生が御指摘なされたとおり、
金融
機関が多額の株を持っている、そのこと自体が、
金融
機関の経営を不安定にしかねないというふうなことでございました。したがって、そういう不安定のもととなっているものは早く一定額以下に処分しろということが法律で決められているわけでございますが、まさに、そういう
金融
機関の経営が不安定に陥る
可能性
があるということ自身が決済の円滑化に問題を生じかねないということで、私
ども
はこういった措置をとったわけでございます。
永田寿康
62
○永田
委員
答弁が
ずれ
ているんですよ。そうじゃないでしょう。 決済
リスク
があると感じられるぐらいに株を持ち過ぎている
金融
機関が幾つかあった、
一つ
かもしれないけれ
ども
。もうこれは決済してやらぬという話になるかもしれないから、だから株を日銀が引き取った、そう
説明
なさったんですよ。経営全体が揺らぐとかそういう話をしているんじゃなくて、株の持ち過ぎというものが、直接に決済
リスク
、決済をもうしてやらない、決済システムが崩壊するかもしれない、そういうところに直接的因果
関係
があってつながったという現象が見られたわけですね。それはどういう話だったのかということを教えてほしいと言っているんですよ。 例えば
調査
をしたとか、ヒアリングをしたとか、そういう苦情が来たとか、いろいろな話あるでしょう。単に、八%ルールを定めた法案が国会で審議されてできたという現象だけじゃ
説明
つかないですよ。因果
関係
がなければいけない。株を持ち過ぎているという原因と、決済の相手として不適切だという判断をされるかもしれないという結果、ここの間の因果
関係
がなければいけないんですよ。それはどこから知ったんですか、教えてください。
三谷隆博
63
○
三谷
参考人
先ほど申し上げたように、
金融
機関の資本力に比べて過剰な株を持っておりますと、
株価
の変動によって、いつ何どきそういうことが起こるかわからないわけでありますが、
株価
が仮に大幅に変動いたしますと、直ちにその
金融
機関に対して信認の低下ということが起こりかねないわけでございます。 そういった場合に、
金融
機関に対するいろいろな与信であるとか決済というのは、相手が信用できないと安心してできないものでありますから、そういった
意味
で、
金融
機関の経営が極めて不安定になったときには決済システムが、そこで円滑な決済が行われなくなるということは当然
考え
られるわけでございまして、そういった支障を未然に防止するために私
ども
はやったわけでございます。
永田寿康
64
○永田
委員
これはもう、後づけのこじつけですね。事前にそういうことを
考え
ていたとはとても思えない。 普通、株の保有高と決済
リスク
というものの因果
関係
を調べようと思ったら、決済の金額の例えばどれぐらい決済してもらっている、あるいは決済をしてくれる相手の数みたいなものと株の保有高の相関
関係
を
計算
してみたり、それは一次相関をとれば出ますから、そういうものを
計算
したり、あるいはヒアリングをしたり、あなたのところは株を持ち過ぎているということを理由にして決済を断られたことがありますか、あるいは余計な保証をつけてくれと言われたことがありますか、そういうようなヒアリングをしたり、そういうことをやるんですよ。全然そういうことをやっているという話をしていない。 ということは、そういうようなことも
考え
られるというふうに答弁すれば多分すり抜けられるだろうというふうにたかをくくって、後づけで
考え
たこじつけの理屈ですよ。それははっきり白状なさった方がいいと思いますよ。 そうじゃないとおっしゃるならば、もう一回お伺いします。最後にお伺いしますが、因果
関係
はどこにあったんですか。どこからそれを見取ったんですか。お願いします。
三谷隆博
65
○
三谷
参考人
先生も御承知のとおり、私
ども
が株の買い取りを検討すると公表いたしましたのは、昨年の九月の中旬でございます。そのしばらく前から、
日本
の
株価
は相当大幅な下落を続けておりました。かつ、その当時から、例えば海外でどういうことが起きるかということによっては、また極めて不安定な状況にあるというふうな状況でもございました。結果として、仮に株が大幅に下落すれば、その途端に自己資本を大きく毀損するような
金融
機関が出てくる
可能性
は十分にあったわけでございます。 そういったことを
考え
ますと、自己資本がどんどん毀損されても
金融
機関に対する信認は確保できるんだということであれば別ですけれ
ども
、恐らく、そういうことになりますと、幾つかの
金融
機関において信認が相当低下することは十分
考え
られるという
考え
方のもとに、私
ども
は決断をしたわけでございます。
永田寿康
66
○永田
委員
もう結構です。 ところで、日銀が
銀行
から株を買った場合と、日銀が買わずに
銀行
がマーケットに売却をした場合、株式市場の、マーケットの
株価
の上下という
意味
で、
株価
に対する影響というのはあると思いますか、ないと思いますか。
三谷隆博
67
○
三谷
参考人
これは、株式市場、いろいろな要因で価格が決まっているわけでございます。
一つ
の理屈で言えば、
企業
の収益力とかそういうところから決まってくるわけでありますけれ
ども
、ごく短期的には、やはり需給という要因もあると思います。したがって、結果として、市場に売却されることなく
日本
銀行
に売却されるということであれば、需給面から何がしかの
株価
への影響ということはあり得る話だと思っております。
永田寿康
68
○永田
委員
これは本当にひどい話で、買った株の銘柄を公表しないんですよ。僕の友人は
投資家
なんですけれ
ども
、自分の資金を運用してちゃんと株式投資をしているんですけれ
ども
、日銀がどの銘柄を幾らぐらい買っているかわからないような状態で、株式マーケットに金を突っ込むのは怖くてとてもできないと言っているんです。
現実
に、そういうことで株から手を引いちゃった人がいるんですよ。 どう思われるんですか。これはマーケットをゆがめていますよ。僕は、銘柄を公表すればまだ何とかなると思います。今からでも公表するシステムに切りかえるべきだと思いますけれ
ども
、お
考え
はいかがですか。
三谷隆博
69
○
三谷
参考人
先生の御指摘ではございますけれ
ども
、私
ども
としては、その銘柄を公表することになりますと、むしろその方がマーケットに不測のいろいろな思惑を招くのではないかというふうに
考え
ております。 と申しますのは、五年間は、つまり十九年の九月までは私
ども
がずっと持ち続けるわけでありますが、その後は逐次処分していくわけでありまして、そういったことが明確にわかってまいりますと、個別の
株価
形成にとっても、また別の
意味
での不測のいろいろな影響が出てくる
可能性
はあり得ると思っております。
永田寿康
70
○永田
委員
本当に困るんですよ。さっきも
三谷
理事
がまさにおっしゃったように、株は日銀が買うことにすれば、短期的には、需給的な要素がありますから、
株価
に対して影響する
可能性
があるというお話でしたね。短期のものは短期で済むんですよ。逆に言えば、日銀が株を買わずに、
銀行
が直接マーケットに売った場合は、今に比べて多少売り圧力は強まるかもしれないけれ
ども
、それは短期でおさまるんですね。 ところが、今日銀がやっている
制度
というのは、今から平成十九年まで株を持ち続けて、その間ずうっとマーケットをゆがめ続けて、そこからさらに二十九年まで十年間かけて株を売り続けるという、いつ売るか、いつ売らないかということがマーケットに参加している
投資家
には全くわからない姿になっている。かえって短期のインパクトを長期に引き延ばしているんですよ。そのことについての罪悪感というのはないんですか。教えてください。
三谷隆博
71
○
三谷
参考人
御指摘ではございますけれ
ども
、では、
現実
、株式を持っている方がそれぞれどれだけ株を持っていて、そういう方々がいつ、どういうふうに売るのか、これは全くわからないわけでございます。したがって、
日本
銀行
だけがそれを公表いたしますと、むしろその方が
株価
形成にいろいろな思惑を招きかねないというふうに私は思っております。
永田寿康
72
○永田
委員
ちゃんとそういうものを所与の条件として
投資家
は判断をしますから、できるだけ透明で、クリアでわかりやすい形で情報が公開されていれば、それ以外の不確定要素はちゃんと不確定なものとして織り込みますから、マーケットというのはそういうふうにできていますから、余り
投資家
をばかにしない方がいいですね。 今の
発言
は、日銀の姿勢を明らかにしたらかえっていろいろな思惑を招くとは、一体どういう話なのかなと思いますね。それは、日銀がきょうトヨタの株を百億円分売るという話があったら、それを前提としてマーケットの
株価
は形成されますから、大丈夫なんですよ。不確定要素をできるだけ排除するということが大事なことなんですね。ですから、そこは
考え
直していただきたいなというふうに改めてお願いします。 最後に、たくさん先輩方がいらっしゃるので、生保の予定利率の引き下げのことについては一言も触れないわけにもいかないので、ちょっとお伺いしますけれ
ども
、盛んに言われております生保の予定利率の引き下げ、今の検討状況をざっと教えていただきたいと思います。 なぜかというと、やるならやる、やらないならやらないではっきり早期に決めないと、やるかやらないかわからない状態に置いておくと、どんどん解約がふえていくんですよ。そして、新たな契約も結びにくいということになるわけですよ。ですから、やるならやる、やらないならやらないではっきりと早目に決めてほしいし、今決められないんだったら、いつまでに決めるということぐらいはマーケットに言ってあげた方がいいと思いますね。そうしないと、解約が殺到するということになりかねないので、不安定な状態に置いておくのが今一番悪いんです。 国民は、もうこれ以上
リスク
を負いたくないと思っています。損失を確定したいと思っています。だから株式市場から逃げています。生保がこれ以上予定利率が下がるんだったら、さっさと逃げて、損失を確定したいと思っています。だから、そういう国民の気持ちというものもちゃんとわかってあげた上で善処してください。ぜひ御
説明
をお願いします。
竹中平蔵
73
○
竹中国務大臣
生保の問題が国民生活の中で大変大きな問題であるというふうな
認識
を私も持っております。その中で、我々が今やっておりますのは、とにかく、これはちょっと諸外国の例がなくて、どのような対応をしたら多くの方が満足できるか、多くの人が満足できるその正解がなかなかない問題だと思っております。 でありますので、とにかく、こうした場合にはどういう利点、不利点があるということの
議論
の整理をしながら一生懸命勉強しているところでございます。その上で方針をどうするかということを幅広く
議論
していただいて決めなければいけないのですが、いつまでに決められるかということを、実は、大変申しわけありませんが、まだ今の時点でそこまで申し上げる自信はございません。ただ、できるだけ早い時期に、論点の整理といいますか、こういう場合はこういうメリット、デメリットがある、それに対して国民の皆様方に、こういう情報というのは
一つ
だけ取り上げてわあっといくというのが一番問題なものですから、そうならないように、論点の整理のようなものを見ていただいて、幅広くしっかりと
議論
していただけるように、そういう努力をしたいというふうに思っております。
永田寿康
74
○永田
委員
終わります。
小坂憲次
75
○
小坂委員長
次に、中塚一宏君。
中塚一宏
76
○中塚
委員
改革
なくして成長なしということですが、
政府
自体も、
名目
は別にして、実質ではなかなかプラスにならない、そういうふうな
見通し
を立てていらっしゃるわけで、
景気
、
経済
、もちろん短期の問題と中長期の問題と二通りあるというふうには思いますが、今国会も、来
年度
の
予算
案の前に
補正予算
案が提出をされたというふうなこともあるし、
政府
としては、また例によって十五カ月
予算
というふうな観点で
予算
編成をされているんでしょうから、
補正予算
並びに当初
予算
、そして昨年に発表されました
金融再生プログラム
ということも含めて、当面の、来
年度
の
景気
、
経済
に与える影響ということを、きょうはまず初めにお伺いをしたいというふうに思っております。
経済
財政
担当大臣
、
金融再生プログラム
、これについての
経済
効果、二〇〇四年までに現状の
不良債権
を半分にする、そういう
目標
を立てられているわけなんですけれ
ども
、これによって来
年度
はどういうふうな
経済
効果をもたらすことになるのか、失業率等も含めて
数字
を教えていただきたいのです。
竹中平蔵
77
○
竹中国務大臣
二年ぐらいの
目標
を立てて
不良債権
比率を半分にする、そのためにいろいろな努力を
金融
機関は今始めたところでございます。それがどのような
経済
的な影響を及ぼすかということは、これは昨年の十月に発表した後もいろいろ御質問をいただきました。そのときにお答えしたとおりになるのでありますが、そのことを、非常に厳密に
経済
効果を算出するというのは、どのような形で
銀行
がそれぞれの経営計画を立てていくかということに依存しますので、厳密に申し上げるのは、大変残念でありますけれ
ども
、難しいというふうに思っております。 ただ、今までの
一つ
の
考え
方としますか、めどになりますのは、これは
内閣
府で
試算
をして、かつ、最近また一部データを新たにして見直しておりますけれ
ども
、
銀行
が一兆円オフ
バランス
化をすると一・四万人ぐらい失業がふえる懸念がある。そのことはそれなりに織り込んで今
年度
の
経済
見通し
とかそういうことに、これは繰り返し申し上げますと、一対一で対応させるということは難しいわけでありますけれ
ども
、マクロの予測をした上で、そういうふうな
金融
再生
の効果はその中に矛盾しないで入っているというふうに見られる、そういう形で
議論
をさせていただいているつもりでございます。
中塚一宏
78
○中塚
委員
それで、
数字
等はあれなんですか、全然勘案されていない、出されていないということなんですか。
竹中平蔵
79
○
竹中国務大臣
金融再生プログラム
で、それによって
銀行
の行動が変化して、それがマクロ数値に直接どのように影響を与えるかというような
試算
は、先ほど申し上げましたように、
銀行
がどのような行動をとっているかということ自体、今一生懸命
銀行
が模索している段階でありますので、そういう限定的な
試算
は行っておりません。
中塚一宏
80
○中塚
委員
金融再生プログラム
だけじゃなくて、今から先行減税の
経済
効果とか、あと
補正予算
の公共事業積み増しの効果とかもお伺いしようと思っていますが、確かに
政府
の予測がなかなか当たらぬということはよくわかっていますけれ
ども
、それでも全く
考え
ていないということは、それはちょっとあり得ない話なんじゃないですか。どうですか。
竹中平蔵
81
○
竹中国務大臣
先ほど申し上げましたように、例えばマクロ的な予測というのはある
程度
できるわけでございます。後で詳しく聞いていただけるのかどうかわかりませんけれ
ども
、先行減税、ネットで一・八兆円やった、そういうことは織り込んでマクロモデルの
試算
は行っております。また、十四
年度
の
補正予算
がこのぐらい十四
年度
に出てくる、十五
年度
にさらにこれだけ支出が出てくる、そういったマクロ的なことは行っているわけでございます。その中で、
銀行
の行動の変化がダイレクトにどれだけのインパクトを例えば
成長率
や失業率にもたらすか、これはちょっと技術上できない。そういう形では織り込んではおりません。 しかしながら、これまでも
銀行
の残高というのは減ってきているわけでありますけれ
ども
、そういったトレンドを反映したようなマクロモデルでの
試算
を総体として行っている、その
数字
は
経済
見通し
及び「
改革
と
展望
」の中に反映しているということであります。
中塚一宏
82
○中塚
委員
では、この
金融再生プログラム
のことだけでそういう
数字
は出していないということだけれ
ども
、「
改革
と
展望
」等にはその
数字
は反映されているということですね。それも込みだということでよろしいのですね。
竹中平蔵
83
○
竹中国務大臣
先ほど言いましたように、一対一の対応
関係
を取り出すのは難しいのでありますけれ
ども
、全体としてのマクロとのトレンドの中でそういった問題を消化しているといいますか含んだ形で、総合的な姿を「
改革
と
展望
」で描いております。
中塚一宏
84
○中塚
委員
過去のトレンドからいろいろ判断をして、民間シンクタンクなんかでいろいろな
数字
が出ていますね。そういうものをずらっと見ても、例えば、二〇〇三
年度
、GDPを
マイナス
〇・一から〇・二押し下げるというふうな
数字
が出ていますが、それについてはどういうふうにお
考え
ですか。
竹中平蔵
85
○
竹中国務大臣
今の
数字
はちょっとどこの
数字
なのかあれなのですが、
金融再生プログラム
によってそれだけ短期的に大きな
マイナス
が出てくるというのは、直観的にはいかにも大き過ぎるのではないのかという気がいたします。
金融
の
再生
によりまして、新たな成長分野に少しずつだけれ
ども
新たな成長資金が回るということも期待できるわけでありますし、その数値の根拠をもしお示ししていただければまた検討させていただきますけれ
ども
、そのような大きなものではないというふうに思っております。
中塚一宏
86
○中塚
委員
一兆円のオフ
バランス
で一・四万人、そういうことになれば、今、大手行の
不良債権
というのが総与信の九%弱ぐらいですから、それを半分まで持っていくというと、四%かもうちょっと上ということになるわけですね。額でいくと十五兆円弱ぐらいになると思いますが、十五兆円弱ということは、一・四万人ですから、額でいきますと二十二万人、二十三万人ぐらいの失業者が出るということなわけですね。それが
景気
、
経済
に対して与える影響というのは
計算
できるんじゃないかというふうに思いますが、織り込んであるという
数字
であるならば、それはそれで結構なんですけれ
ども
。
竹中平蔵
87
○
竹中国務大臣
ちょっと今の
数字
の中で、
不良債権
の額の中に要管理の額が入っていたと思います。要管理はオフ
バランス
するということではございません。もちろん、要管理の中からさらに破綻懸念先以下に落ちてくる、その確率は見込んでおかなければいけないのですが、その
意味
では、半分ぐらい要管理でございますので、今のような
数字
では必ずしもないというふうに思っております。 ただ、い
ずれ
にしても、今御指摘のようなラフな
見通し
というのは、もちろん幾つかの仮定を置いていろいろなところが発表しているかもしれないわけでございますが、その場合もやはり、本当に要管理と破綻懸念先以下をきっちりと分けるとか、そういうちょっと注意をして取り扱わなければいけない
数字
がございますので、今の
数字
に関して、大変申しわけございませんが、一点だけ今の点を申し述べたいと思います。
中塚一宏
88
○中塚
委員
要管理がそれからおっこちるかどうかというのは特別検査等の結果にもよることなんでしょうから、またそのことは後でお伺いをいたします。 では続けて、先行減税一兆八千億円、これについてはどういうふうな効果を見ていらっしゃるか。
竹中平蔵
89
○
竹中国務大臣
減税の効果というのは、特に今回、
設備投資
を刺激する等々、研究開発投資を刺激する、それが供給サイドにどのような影響を与えるということは、実はまだ勉強中なところでございます。 しかし一方で、需要側で一・八兆円
政府
から民間に
お金
が出るということでございますので、これについては、
政府
経済
見通し
の中にそのことを織り込んでおります。ちょっとそれだけ今取り出して何%かということはまたまた仮定を置かなければいけないのでありますけれ
ども
、今
年度
の
経済
見通し
、プラスの〇・六%成長、その中にその効果は、数量的にはモデル
試算
も含めてかなり正確に織り込まれているというふうに御
理解
いただきたいと思います。
中塚一宏
90
○中塚
委員
織り込まれているのは当たり前なんですが、このことだけを個別には
考え
ていらっしゃらないということですか、そうしますと。
竹中平蔵
91
○
竹中国務大臣
ですから、もしその減税がなかりせば、一・八兆円分の需要刺激がなかりせばどうだったかという
計算
はできなくはございませんけれ
ども
、そういう取り出し方をすると、先ほど言いましたように、減税となると本当は供給側も
考え
なければいけないねとか、そういう話になりますので、それだけを取り上げた
試算
は行ってはおりませんということであります。
中塚一宏
92
○中塚
委員
そんなので本当に大丈夫なのかなという気がするんですけれ
ども
ね。 例えば減税にしたって、税制の法律はまたその後こっちで
議論
されることになると思うんですけれ
ども
、減税といったって、先行減税とはいうものの、後から増税が待っている。所得課税は増税ですね、先行減税というのは法人
関係
税が圧倒的に多いわけですね。 私ははっきり言って、その法人
関係
税を減税したってそんなに効果はないというふうに思っているんですよ。というのは、そもそも、
税収
が落ち込んだというのは法人
税収
が落ち込んでいるわけですよね。
赤字
が多いのに、それを減税してそんなに効果があるのかどうか。 しかも、それも
設備投資
促進ということになっているわけですが、私は、
企業
が
設備投資
しないのは税金が高いからじゃないと思いますよ。税金が安くなれば
設備投資
するというものでもないと思うし、上げた利益を過剰債務の解消なんかに使うというふうなことが多いから
設備投資
には向かわないと私は思っているんです。今のお答えだと、その
設備投資
減税の効果が幾らとか、あるいは相続税も税率が下げられるわけだけれ
ども
、その相続税の減税による効果が幾らとか、そういったことは検討されていないということですか。
竹中平蔵
93
○
竹中国務大臣
今申し上げましたように、供給側を通してどのような影響があるかというのは、これは、
一つ
の分析で多分
一つ
の論文が書けるような、かなり難しい問題であろうかと思っております。したがって、今の時点で結果をお示しできるようなものはございません。 それにかえて、マクロで見た需要の刺激の分がどのような効果をもたらすか。これは、
見通し
の中に織り込ませていただいているということでございます。
中塚一宏
94
○中塚
委員
論文が書けるんだったら論文を書いてもらいたい感じですね、
経済
学の教授なんですから。ぜひともそれはお願いしたいぐらいなんだけれ
ども
。 では次に、何ぼ聞いても出ないんなら、二〇〇二
年度
の
補正予算
、これによって公共事業が積み増しになっていますね。これについては、どういう効果を見ていらっしゃいますか。
竹中平蔵
95
○
竹中国務大臣
これにつきましては、乗数効果等で、つまりマクロの効果がはっきりと
認識
されるものですから、そのマクロ的な効果をマクロモデルを使って計測ができております。 構造
改革
推進型の
公共投資
の促進に国費一・五兆円、それで事業費の規模で三・四兆円を計上するということによりまして、これは今後一年間の通年
ベース
での効果でありますけれ
ども
、実質GDPを〇・七%
程度
押し上げる効果を持つ、そのような
試算
結果を出しております。
中塚一宏
96
○中塚
委員
では続いて、来
年度
の当初
予算
なんですが、当初
予算
の公共事業費、これがどういうふうな影響を与えるのかということと、あと、地方
財政
計画の方でも単独事業を減らすということになっていますけれ
ども
、この二つがどういうふうな影響を与えるのかはいかがですか。
竹中平蔵
97
○
竹中国務大臣
これも、先ほど申し上げましたように、
予算
の項目
一つ
一つ
について、それがどのような影響が出るか、このシミュレーションは、その支出なかりせばどうかということを
考え
てその効果を計測するということになるでしょうけれ
ども
、これは、個別の問題になればなるほど考慮すべき問題がたくさん出てきて、むしろ
数字
が不正確にとられる
可能性
がありますので、そういう個別の効果は出しておりません。 先ほどから繰り返し申し上げておりますように、
予算
全体として、
政府
がこれだけの支出をする、
税収
がこれだけと見込まれる、その結果、マクロの効果として今
年度
の
経済
にどのような影響を与えるか、これは、マクロのチェックは行っております。その結果は、総体を示すものが
政府
経済
見通し
でございます。
中塚一宏
98
○中塚
委員
それじゃ、二〇〇三
年度
で、
社会保障
関係
で負担増があったり、年金の給付額が削減になったりするわけなんですが、これについてはいかがですか。
竹中平蔵
99
○
竹中国務大臣
そのマクロモデルの中において、家計に対してどれだけの負担が生じるかということを、これは積み上げた
数字
で入れてシミュレーションをしております。予測をしております。繰り返しますが、それだけ取り出してどうだということはやっておりませんが、そういった効果を織り込んで
経済
見通し
を出しているということでございます。 非常に大ざっぱな
考え
方といたしましては、
政策
が二〇〇二年から二〇〇三年にかけてどのように変化するかということに関しては、
政府
が民間部門に与える影響というのはほぼニュートラルである。ややプラスになりますが、ほぼニュートラルであるというような結果になります。この
数字
は、「
改革
と
展望
」の
政府
の貯蓄投資差額を見て御確認いただけると思います。
中塚一宏
100
○中塚
委員
よくわかりました。 今幾つか聞きましたけれ
ども
、
大臣
が具体的に
数字
を挙げてお答えになったのは、プラスになる〇・七だけですね。あとは、
マイナス
の影響を持つだろうと思うようなものは、全部、わからないとか全体に織り込んであるというふうなお答えでした。結局、要は、二〇〇二
年度
の
補正予算
で公共事業積み増しの
経済
効果〇・七ということだけだったんです。 では、今申し上げたようなことを皆々ひっくるめて、二〇〇三
年度
の
景気
というのは、ネットにすると
マイナス
の影響を受けるということでよろしいですか。
竹中平蔵
101
○
竹中国務大臣
今まさに御答弁申し上げましたように、
マイナス
ではないということであります。 それは、
政府
の貯蓄投資差額で御確認いただきますと、もちろん
政府
は、勘定は
マイナス
でありますけれ
ども
、
マイナス
の
程度
が二〇〇二年から二〇〇三年にかけて、わずかだけれ
ども
、やはり大きくなります。 その要因は幾つかございますけれ
ども
、
一つ
は、二〇〇二
年度
の
補正予算
の執行が二〇〇三
年度
に出てくるというのが
一つ
の要因。もう
一つ
は、先行減税を行っております。一方で、負担増等々ございますけれ
ども
、負担増等々を全体としては相殺して、オフセットして、やや
政府
部門が民間に対してプラスの効果をもたらすような
予算
編成になっております。
中塚一宏
102
○中塚
委員
塩川
財務大臣
に同じことを伺いますが、今いろいろ申し上げたようなことをすべてあわせて、二〇〇三
年度
、
財政政策
による
景気
浮揚効果というものは、ネットで
マイナス
で働くんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
塩川正十郎
103
○
塩川国務大臣
どうもこの
委員会
で先生方の質問は、木を見て森を見ずの話ばかりが多いんですね。先ほど来聞いておりましても、部分ごとに、これはどうなんだ、あれはどうなんだと。
経済
というのは有機的なもので行動しておりますから、それがお互いに関連してきて、
一つ
のものでもって何%
経済成長率
だということ、これを測定を出せということは至難な話だと思います。けれ
ども
、何とかして、
予算
の重点配分によって
経済
全体をよくしていきたい、そういうことで組んできておるんです。 そこで、それじゃ二〇〇三
年度
はどうなるんだという話でございますけれ
ども
、私はこう思うております。
経済
の
数字
の上からいったら、評論家なんかは決していいとは言わないと思います。しかし、
企業
活動は非常にようなっていくと思います。現に、最近の統計見てごらんなさい。輸出の中身が変わってきまして、
消費
財の輸入もふえておりますけれ
ども
、輸入の限度がだんだんと停滞してきて、横ばいになってきておりますが、一方、輸出の方は随分と変わってきました。
消費
財の輸出は少なくなってきて、資本財の輸出がうんとふえてきておりますから、様子は確かに変わってきておるんです。 もうこれでやめておきますが、
企業
はようなってきているんだ。構造改善も進んできています。ですから、
予算
で
経済
がどうのこうのというのじゃなくして、
予算
でセーフティーネットも十分振っていって……(
発言
する者あり)だから、聞いてくださいよ。二〇〇三
年度
はそんな悪くならないです。
中塚一宏
104
○中塚
委員
企業
がよくなっているのは、リストラ利益ですよ。別に、ばんばん物が売れて、ばんばんもうかっているわけじゃないですよ。だからデフレなんでしょう。根拠なき楽観論に基づいて
経済
財政
運営がされているということがよくわかりました。 では次に、デフレということですけれ
ども
、そういったことで需要追加ということとは別に、今度は供給過剰の解消ということがあるわけですけれ
ども
、この供給過剰の解消ということで、
竹中大臣
は、具体的な施策というと、これは一体どれに当たるとお
考え
なんですか。
竹中平蔵
105
○
竹中国務大臣
供給過剰という言葉が、大変、幾つかの
意味
を持っているように思います。 供給の過剰が一時的にあったとしたら、別にその過剰を解消する必要はないと思います。まさに、それであれば、需要を一時的につけるというような
政策
をとるべきであります。
現実
には、供給側に、過剰なものというよりは、使用不可能なものがまざっているというのが
日本
の現状であろうかと思います。エクセスキャパシティーじゃなくて、ユースレスなキャパシティーがあるという言い方がございますけれ
ども
、まさにそれが
不良債権
の問題、
企業
の過剰債務と不良な資産の問題であろうかというふうに思っています。 これに関しましては、
不良債権
問題の解決の中で、同時に、これは
産業再生機構
も設立いたしますけれ
ども
、過剰な債務、その裏にある不良な資産を償却していくという中で、
企業
の健全化、
産業
の健全化が図られていくというふうに思います。
中塚一宏
106
○中塚
委員
今の答弁もよくわからなかったんですが、ユースレスな設備というと、それは、ユースレスだったら別にデフレの原因にならないんじゃないですか。どういう
意味
でユースレスというお言葉を使われたのかよくわからないけれ
ども
。 だって、デフレなんでしょう。需要が足りないということで、供給が過剰だということで、だから需要不足をどう解消するかということがあるし、供給過剰をどう解消するかという話があるわけで、ユースレスな設備が云々というのは、何かよくわからない。もう一度お願いします。
竹中平蔵
107
○
竹中国務大臣
ちょっとわかりにくい
説明
だったかもしれません。申しわけございません。 例えば、非常にわかりやすい
不良債権
の例で申し上げますと、バブルのときに、どこかの山の中に大変ゴージャスな立派なホテルを建てた。これは需要がつくだろうというふうに想定していたわけですけれ
ども
、バブルの時代のそういう想定は間違いであった。例えば、山の中に大変立派なものがあったとして、これは供給過剰かということなわけですね。そういうところに人が行くまで需要をつけるということはできない、だからこれはユースレスなキャパシティーである、そういうものは資産としても処分していかざるを得ない、私が申し上げたのはそういうことでございます。 それともう一点、中塚
委員
の御主張の中心にあるのは、需給
ギャップ
が大きくて物価が下がっているということかもしれませんが、需給
ギャップ
というのはもちろん存在はするわけでありますけれ
ども
、我々の計測によると、それは過去の不況に比べてそんなに大きなものではないし、この一年ぐらいに関しては若干だけれ
ども
縮小している、そのような
認識
を持っております。
中塚一宏
108
○中塚
委員
山奥の別荘の話は、それはわかりやすい例じゃなくて極端な例ですよ。それと物価が下がるということと一体どういう
関係
があるんですか。わかりました。供給過剰の解消ということも余りお
考え
になっていないということがよくわかりました。 次に、
産業再生機構
のことを伺いますが、そういう
意味
で、供給過剰を解消するというんだったら、
産業再生
と言いますが、いろいろな原因があって、例えば過剰債務なりなんなりでふらふらっとしてくるわけですね。それが
不良債権
になっていったりするんだろう。そういうふうな過剰債務
企業
を
産業再生
で
再生
させてしまうと、供給過剰の解消にはならないんじゃないですか。どうですか。
竹中平蔵
109
○
竹中国務大臣
まさにそれは、
再生
できる、
再生
プログラムにのるものかどうかという判断の問題であろうかと思います。 業界全体が確かに過剰供給を持っている
産業
もあることにはあります。そういうところで、その
産業
をもはや
再生
不可能であるにもかかわらず生き長らえさせてしまえば、これはその業界全体の利益も国民の利益も損なうわけでございます。そうすることにならないように、
産業再生機構
にのせられるプロジェクトに関しては、きちっとした基準を設定して、
再生
可能なものに限定していく、決してそこに塩漬けにならないようにしていく、そういう仕組みづくりを今、
谷垣大臣
を中心にしっかりと行っているところでございます。
中塚一宏
110
○中塚
委員
だめになるのにはやはりだめになる理由があるわけですよ。過去、経営を失敗したとか、あるいは時代の変化に対応できないとか。そういった
意味
で、だめになったものにはだめになった理由があって、しかも、
銀行
の経営者だって決して褒められたものじゃないけれ
ども
、
銀行
がやったってだめだったものを
再生
機構が引き取るわけでしょう。それで
再生
してしまったら、供給過剰の解消にはならないと私は思いますよ。法律自体はこの
委員会
で審議されるのかどうかわかりませんけれ
ども
、そのことを指摘しておきたいと思います。 次に、デフレということで、きょうの閣議後の
記者会見
で、両
大臣
とも、
金融
緩和、一層の緩和をというふうなことを言われたというふうに聞いています。
金融
緩和の手法ですけれ
ども
、
竹中大臣
は、手法は
日本
銀行
が
考え
ればいいというふうな答弁を
予算
委員会
でされたと思います。ただ、オーソドックスなやり方として
国債
の買い切り、
国債
を買うということだと思うんだけれ
ども
、
日本
銀行
には日銀券の発行残高を上回らないという、規制というか、ルールというか、制限があります。これはもう撤廃しても構わないというふうにお
考え
なんでしょうか。
竹中平蔵
111
○
竹中国務大臣
国債
買い切りの限度設定というのは、これは何か法律とかそういう事項ではなくて、日銀の
金融政策
決定会合で決められることであるというふうに
認識
をしております。 したがって、当面のめどとして、そのようなところに当面のシーリングを設定して
金融政策
を展開するというふうに
日本
銀行
は判断されたわけでございますから、それをどうするかということも含めて、繰り返しますが、これは
金融
情勢を見ながら判断する、日銀
金融政策
決定会合で
議論
して決定すべき事項であるというふうに思います。
中塚一宏
112
○中塚
委員
日本
銀行
に土地を買えだの何だのかんだのとは言われないと私は信じていますけれ
ども
、ひょっとしたら言い出すのかもしれませんが。 さっきからマネーの伸びの話をずっとされていますが、じゃ、伸びなきゃどんどん
国債
を買えという話になるのか。買えるものなんてそんなにないですよね、
現実
問題として。だったら、この発行残高ということとの
関係
は、い
ずれ
それに突き当たるわけですね。次期総裁予定者の段階で
参考人
ということを要求しておりますので、またそのときにもその予定者の方に伺いたいというふうに思います。 次に、特別検査について伺いますけれ
ども
、去年の柳澤
大臣
がおやりになった特別検査と同じなのか、違えばどこが違うのかということをお答えいただけますか。
竹中平蔵
113
○
竹中国務大臣
特別検査の
意味
は、決算に当たって
銀行
が資産査定をするに当たって、それと同時に、リアルタイムで
金融庁
も入って、監査法人等々と
意見
交換をしながらできるだけ正確な資産査定をしよう、それが特別検査の
趣旨
でございます。 それをやるに当たっては、市場からシグナルが出ているような、
株価
の変化とかそういったものについて、
特定
の大口の債務者に絞ってしっかりとやる、基本的にはその
考え
方は、柳澤
大臣
がお始めになったことを私
ども
の役割はしっかりと継続することであるというふうに思っております。
中塚一宏
114
○中塚
委員
考え
方はわかりましたが、では、例えば対象債権の数とか、そういったことについてはいかがですか。
竹中平蔵
115
○
竹中国務大臣
風評
リスク
等々もありますので、そういうものについては事前に公表は今までもしていないわけでございますけれ
ども
、基本的な
考え
方、対象の大枠は変わっていないというふうにお
考え
いただいておおむね結構だと思います。
中塚一宏
116
○中塚
委員
対象の範囲等は変わっていないということですが、
銀行
の自己資本とかそういったこととは全然
関係
なく、検査は検査として淡々とおやりになるということでよろしいんですか。
竹中平蔵
117
○
竹中国務大臣
そのとおりでございます。そこが大変重要であろうと思います。自己資本云々は監督の仕事であります。監督の行政と検査の行政の間にはきちっとしたファイアウオールを設けて、検査は検査として厳しくしっかりとやってもらう、これが重要な体制だというふうに思っておりまして、そのように指示をしております。
中塚一宏
118
○中塚
委員
では、最後に
一つ
お伺いして終わりますが、去年の柳澤
担当大臣
は、特別検査の結果、自己資本不足に陥る
銀行
もないし、資本注入の必要もないというふうに言っておられたんだけれ
ども
、
竹中大臣
は、ことしの特別検査の結果を反映して、そういったことになる
可能性
はあるというふうにお
考え
ですか。
竹中平蔵
119
○
竹中国務大臣
検査は結果でありますから、結果を見て判断するということだと思います。
財務大臣
から声がかかりましたように、ここは厳しくやらせていただく、その上で結果をぜひ、きちっと見たいと思います。
中塚一宏
120
○中塚
委員
以上です。
小坂憲次
121
○
小坂委員長
次回は、来る十四日金曜日
委員会
を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時五十九分散会