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山本政府参考人 私、昨年、
防災担当を仰せつかりましたが、東海、東南海・南海、中央
防災会議の専門調査会の御審議を通じまして、大変精いっぱい勉強してまいったわけでございますけれ
ども、御専門の
太田先生の御
質問でございますので、非常に緊張しております。しかし、私も、仕事でございますので、今一生懸命やっていることを
答弁させていただこうと思います。
まず、予知について、非常に私も未熟ですけれ
ども、予知についての考え方は、今御
質問の中で
太田先生御
指摘になったとおりでございます。
基本的に、去る二十九日に、中央
防災会議で東海地震対策大綱を決定していただきましたけれ
ども、ここで、従来の東海地震の
防災対策の足りないところを是正して、将来に向けてやっていったんですが、ポイントが二つございます。
一つは、従来、どちらかといいますと、直前予知ができるということで、予知に寄りかかり過ぎていた
防災対策となっている。予知をして、
総理大臣が警戒警報を発令する。それで、情報が少ないものですから、みんな身をかたくして、非常にかたくなに発災するのを待つという
状況だったわけです。
それに対して、まず、予知についての的確な理解をする。東海地震について、予知というのはどういうことなのかということでございます。
私なりに理解しているところを御
説明いたしますと、東海地震、いつ起きるかということを予知するということはできません。ほかの地震と同じでございます。いつ東海地震が起きるかということを予知と呼んでいるわけではありませんで、
太田先生の御
質問の中にありましたように、少しずつ陸のプレートが海のプレートによって引き込まれて、耐えられなくなってはね返るわけですけれ
ども、引き込まれる度合いがだんだん少なくなって停止をして、やがてはね返ってくるわけです。その直前のはね返る滑りの状態を、気象庁の、非常にほかの観測
機関と
連携をした精密な観測
機関が的確に掌握いたします。やがて、十八時間、二十四時間、三十六時間のうちにぼんとはねるぞという予知情報を気象庁が出していただけるわけでございます。そうすると、
防災機関が、
防災機関の筆頭は
内閣総理大臣ですけれ
ども、警戒態勢に入っていろいろな
対応をしていくわけです。予知というものはそういうものだということ。
第二に、そういう前兆の、とまって、ゆっくり滑り初めてぼんと来るというのが非常に一般的で、今の観測
体制からすると、それが掌握できるようになったということなんですが、専門家の御検討によりますと、それがすべてではないということがポイントでございます。ずっと沈降してきたんですが、いきなりぼんとはねる場合もある。その場合は、前兆滑り現象がないわけですから、今の
体制では気象庁が掌握できない。予知なしにいきなり発災することもある、これが第二点でございます。
このために、今、二十年間蓄積したデータとか日進月歩の科学技術をベースに、どういう地震が東海地震では起きるのか、どういう地震の揺れなのか、津波の高さはどうなのかということを整理して、東海地震の姿形が明らかになりましたので、それを前提に、各
防災機関、消防、
警察、自衛隊、あらかじめ、どういう
対応をするのかということを決めておこう、いきなり来ても、被害は直ちに上がってきませんけれ
ども、そういう、あらかじめ定めた東海地震の被害像に照らし合わせた応急対策計画に従って直ちに動こうということをやりました。
つまり、予知についてきちんとした理解を、私たちも理解しますし、
国民の皆様にも理解してもらうというのが一点。
第二は、あらかじめきちんと計画をつくって直ちに行動を起こす、これが今回決めていただいたポイントでございまして、東海についてはそういうことなんです。
私が理解している限りは、あと東南海・南海についても同じようなことがあり得るんじゃないか、観測
体制が整えばそういうことがあり得るんじゃないかという議論がありますけれ
ども、専門家の間ではまだ方向がきちんと定まっておりません。
それから、宮城県沖を含む
日本海溝沿いの三陸、十勝について、これはいろいろな地震が起きているようでございます。東海のときのような形で地震が起きるのかどうかについて、現段階では必ずしも定まった見解はないようでございますので、専門家のそういう知見をきちんと集めてきて、
防災対策としてはどうしたらいいのかというのは、これから考えていかなきゃいかぬという姿勢でいるわけでございます。