○岩國
委員 今ドイツの例を挙げられましたけれども、ドイツとフランスは土地でつながっておるんですね。ですから、EUという
一つの社会システムの中に入っていくと、今度はドイツだけが無料だということはなかなかやりにくいから、よその国を意識したことをやっている。今、
日本の中に中国ナンバーや韓国ナンバーがどんどん走っているなんということはあり得ないわけです。その点をちゃんとよくわきまえて
答弁をしていただきたいと
思います。
なるほど、
アメリカ、ドイツ、イギリスは無料だ、そのドイツでさえも今度有料制を取り入れたか、これが世界の兆候かと思わせるような誤解を招きやすいのは、そこに
一つの問題があると私は
思います。
それはドイツ国民の税金でつくられた道路だからドイツ国民には無料で開放する、わかりいいやり方ですよ。あるいは、よその国から来た人に対してもそこそこのあれはやる。しかし、いろいろな税制から何から統一化していこうというときに、そこを統一化するためには、周りが全部有料制であれば、とりあえずそちらの方に対応していかなきゃならぬというドイツ独特の問題はあるでしょう。
では、ドイツがあっちをやったからイギリスもまねしたか、
アメリカもどんどん有料制に切りかえているかということは、ないわけですから、将来、中国ナンバーや韓国ナンバーがどんどん走るようになれば、そのときの対応というのはまた何らかの方法は考えなきゃいけないでしょう。
しかし、今我々が目の前にしているのは、
都市と
都市の間の格差がある、あるいは、島根県、鳥取県のように、高速道路がない、そういう県と、高速道路が何本もあるような県との、要するに
都市間格差、県と県の間の格差、これが
障害なんです。そういう高速道路を持って国内競争でやっていけるところと、高速道路さえもないような県とでは、明らかにこれはバリアがあるじゃないですか。これも大きな
意味では、バリアフリー社会が
日本ではまだ実現していないと私は思う点であります。
それでは、次の
質問に移らせていただきます。
航空
局長とこの間、
成田の民営化の問題について私は
議論をさせていただいたことがありました。今、そうした民営化の動きの中で、何でも民営化がいいとは言えないと私は思うんです。公営でしっかり守るべき仕事というのもあるはずですし、私自身は、民間企業の経営も、それから市役所の経営も、両方とも経験させていただいている。両方のよさというものがわかっていると私は思っております。いわば民と官の両方の経験というのを持たせていただきました。
民間に任せればすべて何でもよくなるというのは大いなる幻想じゃないかと私は思っております。役人というのは役に立つ人と書いてあるのはこのためかと思わせるような仕事ぶり、そのようなものを意地で見せるときが今来ているんじゃないかと私は思うんです。何でも民間企業に任せたら効率はよくなる、サービスはよくなる、そして利益率は向上する、そのような
考え方は間違っていると私は
思います。
出雲市の例を申し上げて恐縮ですけれども、出雲市は、同じ税金で、同じ給料で、しかし、土曜日も日曜日も営業をやっております。土曜日も日曜日も、勤務は五日、サービスは七日、これが出雲市役所が
平成元年からずっとやっていることです。税金もよそと同じ、給料もよそと同じ、それで市民はサービスを七日間受けている。官も民も今リストラに取り組んでおりますけれども、出雲市は七割の職員で十割の仕事をやっております。それは数字を調べてみたらよくおわかりのことだと
思います。官も民もリストラで、そして二十年間に二割とか三割削減ということを目標にしておりますけれども、出雲市の場合には、二十年間悠々とよそが追いついてくるのを待っているだけです。
建設省から二人助役さんを三年ずつ私は送っていただいたことがあります。それは平岡助役と松田助役、二人とも優秀な役人さんでした。そして、私の仕事を第二助役として手伝っていただいて、あらゆる
公共事業、治水
事業から区画整理から鉄道高架から、
まちづくりから、国道のバイパス、そして山陰高速道路の準備、二年後には周囲と合併いたしますから、
空港整備に港湾整備、
公共事業のデパートと言われているぐらいにたくさんの仕事があった。それを全部こなしてきた。
何よりもすばらしいのは、その二人の助役はともに市民から大変愛されました。霞が関がやっている紙と鉛筆の行政ではなくて、足で歩いて、そして汗を流して、時には
住民とともに涙を流して、私はこれが本当の行政だと思うんです。そして、
公共事業というものは悪いものだという意識は全くありません。むしろ、一生懸命、役に立つ人、役人が汗をかいて、一緒に涙も流して、そして
まちづくりを、島根県の活力を高めてくれているんだ、そういう
思いを浸透させる。これは民間企業にはできないことなんです。
今こそ、国土づくりということを強調されるのであれば、私は、官の強さ、官のよさというものをもっともっと強調すべきではないかと
思います。役所は役に立つ所と書いてあります。それを見せるときではないか。今いろいろな民営化の法案が次から次と毎週この
委員会を流れていきますけれども、私は、そういう役所の強さ、役所のよさというものをもっとPRされるべきではないかと
思います。
空港にしても道路公団にしても、公団には優秀な役人もいるんだ、民間企業ばかりじゃなくて、公団にも成績のいい者が、少しはどうかと言ったら失礼かもしれませんけれども、集まっているということを見せるべきじゃないですか。
そして、
日本の郵便局も、出雲市に倣って、十年前から、ついに土曜日も日曜日も営業を始めました、大
都市のデパートの中だけですけれども。やればやれる役所だってあるんですから、私はそういったことを、今この民営化という大きな流れの中で、法案審議をしながら、なぜもっと役所あるいはお役人と言われる方たちが立ち上がって、
自分たちの方に任せてくれた方がもっといい仕事ができるんだということをおっしゃらないのか、その点を大変残念に
思います。
さて、
扇大臣に
質問したいことがありますけれども、先ほど私が取り上げましたこの
国土交通白書、この中に、
国土交通の行政が国土の防衛のためにどういうふうにお役に立つべきか、どういうふうにすべきかというのは、何ページのどこにどういうふうに書いてあるんですか。
一朝事があったときに備えるために、今、国会で
大臣も内閣の一員であれば、小泉内閣の大きな課題が有事法制を立法化することだったんじゃありませんか。我々民主党も、一生懸命汗をかいて、とにかく国民のために安心できるような法律をつくろうと努力しました。
この
国土交通行政というのは、そういう法律面の有事法制があったとすれば、それを実行して
体制をつくるのは、この
国土交通省の大きな仕事ではありませんか。あらゆる省庁の中で、国という字を使っているのは、
扇大臣、あなたの省しかないんですから。
〔菅(義)
委員長代理退席、
委員長着席〕