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洞政府参考人 お答え申し上げます。
世界の
国際航空市場を眺めますと、経済活動のグローバル化に伴いまして、欧米の
航空会社が競争力強化のために世界的な規模での
連携関係の樹立であるとか拡充に動いておりますほか、一方におきまして、アジアの
航空会社が低コストを武器に
国際旅客の獲得を目指して攻勢に出るなど、非常に厳しい経営環境にございます。世界のトップクラスの
航空会社といえ
ども、経営危機とか破綻に追い込まれている企業も出てきておりまして、我が国の
航空会社につきましても、文字どおり
国際航空市場での生き残りをかけた企業戦略が必要となってございます。
JALとJASの経営統合というものも、このような非常に厳しいグローバルな競争に耐え得るような事業基盤を確立することを目的として行われたものと認識してございます。
具体的に、国内線を中心とするJASと
国際線に重点を置くJALとの経営統合を通じまして、グループ全体として、国内、
国際にわたりまして、広範で一体的なネットワークを形成することによりまして、より安定的な事業運営の確保を図るほか、効率的な経営体質の確立というものを目指しているものと認識しています。
昨年の十月に持ち株
会社が設立されて、経営統合が実現しましたけれ
ども、これまでの間、いろいろな販売部門等の統一等々の企業の再編等行われてまいりまして、ことしの四月には路線の再編成も行われました。幹線はJAL、地方路線はJASに集約を行うなど順調に統合が進んでいるところでございまして、来年の春には、この持ち株
会社のもとに、これがさらに、
国際と貨物はJALインターナショナル、国内の旅客事業はJALジャパンというものに事業が再編されるというふうになるということで、今準備が進んでいるところでございます。
国土交通省といたしましては、JAL・JASグループがこのような経営統合を通じまして、それこそ効率的な事業経営を図りながら、それを通じて、生活路線の維持など
利用者ニーズに適合したサービスの提供を行う、そして同時に、外国
航空会社とのグローバルな競争に勝ち残っていけるよう、今後一層努力することを強く期待しているところでございます。
それから、今回の法改正におきまして、持ち株
会社についても外資規制をかけることとした理由と諸外国の
状況でございますが、
国際航空というものはそれぞれ各国との権益の交換の上に成り立っておりまして、それぞれの権益を行使できるのは、それぞれの当該国の実質的な支配下といいますか、コントロール下にある
航空会社というものにこの権益が与えられる、こういう構図で動いているわけでございますし、また国内
航空市場も、やはり実質的に日本国民が支配するそういう
航空会社しか国内の運航はできない、これは諸外国においてもまさしく同じでございます。
こういう実質的な支配を何で担保しているかというと、議決権の行使の割合、株式の所有の割合であったり、役員の構成の割合であったり、こういったメルクマールで実質的な支配が行われているかどうかというのを判断しているわけでございます。
アメリカにおきましては、議決権の四分の三以上が米国市民によって所有されている、役員の三分の二以上が米国市民であること等の外資規制が行われております。これは持ち株
会社も同じでございます。
それから、EU諸国におきましては、EUの加盟国またEUの加盟国の国民が議決権の過半数を有しているという規制が行われてございます。
それから、申しおくれましたけれ
ども、
航空会社に外資規制をかけますけれ
ども、持ち株
会社はその
航空会社の経営を実質的に支配しているところでございますので、ここに外資規制をかけなければ本当に自国、当該国の支配権が及んでいるかどうかというのがしり抜けになっていく
可能性がございますので、その親
会社である持ち株
会社にも外資規制をかけるものでございます。ですから、欧米におきましては、当該運航
会社そして持ち株
会社においてもこのような外資規制が行われております。
また、シンガポールとかマレーシアは持ち株
会社がございませんので、持ち株
会社に対する外資規制の制度は設けられてはおりませんが、当然のことながら、実際に運航する
航空会社に対しては、実質的な持ち株、持ち株といいますか、株式の取得の制限がかかってございます。