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杉山参考人 まず第一点でございますけれ
ども、先ほど、そのうちのある部分は御説明申し上げたところでありますけれ
ども、当初、中間の
段階で提案されておりましたスキームというのは、私、今から振り返って、結果的には違う形になりましたけれ
ども、当時一部の報道等で批判をされましたような、決して不合理一辺倒のものではないというふうにいまだに思っております。それはそれなりの理屈があったというふうに私は思っております。
それは、先ほど申し上げましたように、
一つには、
日本の国の中で
三つの
国際拠点空港がある。
一つは内陸の
空港、しかしそこには、今お話がありましたような
経緯があったために、環境
政策あるいは
地域との
共生等々の大きな問題を抱えているという特殊性があった。それから関西
国際空港につきましては、海面の埋め立てということのために予想以上のまた
コストがかかった。それから中部につきましては、これはスタートの形態が前二者ともまた違った形で来た。それぞれの土台が大きく異なっておりまして、また、
コストの発生の形態も違う。
そういうことで、
日本として持っている、また、
三つそろって
日本のゲートウエーとしての機能を果たす、そういうものについて、全く土台が違う形のものでスタートし、互いに努力をするという考え方はありますけれ
ども、そのときに、
一つの考え方としては、その根っこの部分について、ある
程度の国の関与のもとに条件を均等にしておいて、ひいては
利用者が同質の、また同
水準のサービスをエンジョイできるような形に一定の条件を整えるという考え方はあっても不思議はないことであります。
同種の社会資本について、その
発展のプロセス、建設の
段階においてはそれらを一括して運営していくという考え方は、他の社会資本についても従来しばしば用いられてきた考え方でもありますし、そういうことで、それ自体が極めて不合理な、何か、ある特定の
目的のために無理やりつくられたというものではないというふうに私は
理解をしておりました。
しかしながら、先ほど申し上げましたように、そのスキームがとられたときに、やはり
一つの懸念として、ある
空港から他の
空港へ調整という形で少し支援がなされ過ぎるような形になるのではないか、こういう懸念が非常に強く
存在をしたというふうに思います。
それから一方で、これも先ほど申し上げたことですけれ
ども、そもそも、上下分離ということと、それから、上下を一体として個別の
空港で
意思決定していくというときには、一体どちらがスピーディーな
意思決定ができるか、あるいは
効率化のためのいろいろな施策をそれぞれ採用しやすいかという
観点から見た場合には、これは常識的には、分かれていて相互の調整が必要とされるよりは、個々の独立した
主体の方がよいであろうという
意見は当初からございました。
それと、これも繰り返しになりますけれ
ども、
一つ、
分科会の
議論の中で、そういう言い方がかなり影響力を持ったものがあったと思いますけれ
ども、それは、先ほど申し上げましたように、当初の案によって条件をそろえることによって、調整をすることによって、
三つの
国際拠点空港が二十年あるいは三十年のうちに足並みをそろえて
民営化を果たすという考え方も
一つはあるけれ
ども、それよりも、今はむしろ、より
民営化を果たしやすいところから力を入れていって、その
民営化の恩恵を還元する形でそれを他の
国際拠点空港にも及ぼし、そして、順序は異なるけれ
ども、
民営化を順序をつけて進めていく方が結果としては早いのではないか、こういう
意見も出てまいりました。
そういうような全体としての
意見を踏まえて、
分科会として、地方自治体、エアライン、それからそれぞれの公団、それぞれの法人、
三つの
国際拠点空港の
主体ですけれ
ども、ヒアリングをさせていただきました。
このヒアリングはたしか三回ぐらいにわたって行われたというふうに思っておりますけれ
ども、その中で、やはり
民営化に関して、例えば中部に関して言えば、今まで独立した
民間の企業という形で進めてきたときに、
最後に、その案は
理解できないわけではないけれ
ども、しかし、そういう形に今この
段階で切りかえるということは、債権者等々の間での了解も得なければならないし、調整もしなければいけないし、これは大変大きな事柄である、そういうことがございました。
それぞれの
主体の感触が大きく違っているということもありまして、それを一定の期間の中で下物法人の統合というところにまとめ上げるということはやはりかなり難しいという感触がございました。そういうことで、大きく転換をする形で、もう
一つの別の案の方に進んでそこを仕上げていった、こういう
経緯でございます。
それから、第二番目の、個人的に考えます
国際拠点空港のあり方ということですけれ
ども、一種の理想的な姿ということ、これは私はいろいろな形があってよいかとも思いますけれ
ども、今考えられているような
民営化という形を目指していって、そのもとで、その
主体が非
航空系の
事業等にもいろいろ着手をする。つまり、
空港という場は、現在の考え方として、単に飛行機が飛来をする、あるいは飛び立っていく、そういう場だけではなくて、そこが
一つの都市の形成のもとになってみたり、あるいは文化の形成のもとになってみたり、さまざまな機能をこれからグローバリゼーションの進展する
世界の中で果たしていく大きな重要な場だという
認識が強まってきていると思いますので、そういうことを背景にして個々の
空港の
主体がいろいろな
展開を果たすという姿、そのもとで
競争がなされていくということが
一つの理想の姿ではないかというふうに考えております。