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扇国務大臣 国際化の前に、さっき
機構の話が出ましたので、ちょっとそのことを簡単に申し上げたいと
思います。
一番大事なことは、
先ほど局長が言いましたように、廃止または民営化できない
事業、それがあるかないか。そして、なおかつ国の関与の必要性が高くて、採算性が低くて、
業務実施における裁量の余地が認められる
事業ということで、ちょっと簡単に例を挙げさせていただきますと、
公団住宅と
民間の住宅の比較、これが一番簡単だと思うんですね。今の
公団の住宅と
民間と比較しますとどんなところが違うか。
端的に言いますと、平均家賃でも少なくとも五千円ぐらい違うというのが
一つ。それから、平均の住戸の面積ですけれども、これは五十二・三二平方メートルで、
民間は三十九ということで、片っ方は五十二、片っ方は三十九、広さも違います。それから、
バリアフリー化なんですけれども、
公団の場合は現
段階で一二%
バリアフリー化できております。ところが、
民間の場合は、今
バリアフリー化は〇・三%です。という
意味で、
民間と
公団との差というものもあります。
そういう
意味で、少なくとも、
公団で高齢者とか母子世帯に対します家賃の軽減措置というのをつくっていただいたのは一川議員も
御存じのとおりですけれども、その高齢者とか母子世帯に対します家賃の軽減措置というものも七万九千世帯が
利用していただいているということも、やはり大きく貢献してきたということで、今すぐ
民間にそれができるかというと、必ずしも今、即
民間にということが一足飛びにはできないという事情は、今の例をもってしても、簡単にですけれども、列記しただけでもわかっていただけるのではないかということも一点、私はお答えしておきたいと
思います。
それから、今の国際化の話でございますけれども、これはもう、この
委員会で絶えず私が
皆さん方に申し上げていることですけれども、これはスイスの調査機関が調査した結果でございますけれども、バブル期に
世界の第一位と言われました日本の国際
競争力、これは一位だったんです。それが今は三十位にまで日本の地位が落ちております。
なぜこれが三十位に落ちてきたかというのには、少なくとも、現実的に、この間もどなたかにお答えしたと
思いますけれども、東京で開催されます国際
会議、今の現状では、国際
会議の数は
世界でもこれもまた三十三位なんですね。そして、外国への旅行客は千六百万人で、入ってくるのは五百万以下という状況。
それから、例えば、東京の魅力と
課題に関する外資系企業のアンケートというのを調査いたしておりますけれども、その外資系企業の調査結果でも、ビジネス環境に関しては、空港へのアクセス、これが外国に比べて大変悪い。また、オフィスの環境に関しては、オフィスの設備、情報通信施設でありますとか個別の空調、あるいはセキュリティー等々が、国際的に見て日本のビルはオフィスに関しては環境が悪いという結果が外資系の企業のアンケートでも出ております。
そして、
先ほど申しました空港からのアクセスということから考えますと、欧米先進国では、国際空港、国際港湾から十分以内に高速道路なりあるいは鉄道に連結できている。ところが、日本の場合はそれができていないということ自体もこの外資系企業の、アクセスの悪さというものが
指摘されているとおりでございます。
そういう
意味で、海外の企業とかあるいは海外の投資家とか、そして日本に旅行しようという
人たちを引きつける魅力が少ないということを如実にこの
数字はあらわしていると言えます。
具体的には、今申しましたように、まず私たちが新しい
都市再生ということでしなければいけないことは国際空港の
整備。いつも言いますように、香港あるいは上海、韓国から成田まで来るのに一時間から一時間半、二時間以内。ところが、成田でCIQを通るのに一時間並ばされる。成田から国内線に乗りかえる羽田まで一時間半かかって、タクシーで二万以上。これではとても日本に行こうという気にならないというための国際空港の
整備とか、そのアクセスの改善を、まず国際
競争力にたえ得るように変えていかなければいけないというのは、一番大きな問題点であろうと
思います。
二つ目には、耐震性とか、今申しましたように、外国の企業が、情報通信施設が悪い、いわゆる光ファイバーでも、各ビルの中に光ファイバーが引いていない。ビルはたくさん建っているけれども、その中で通信施設の光ファイバーがあるものは、二十四時間外国と通信可能なものというのがわずかしかない、これも私たちは改善しなきゃいけないということです。
都心の三区のオフィスの中で、耐震とか情報化の面でストックがどれくらいあるか。七割が問題を抱えているんですね。三割しか満たされていない。新しいビルはできていますけれども、今までの七割はまだそういう施設ができていない。
ですから、国際の
競争力にふさわしい機能を備えたオフィスビルを私たちは努力して推進して、
民間を率先してあっせんしていこうということで、少なくとも、商業と文化、そして居住とアミューズといった複合的な魅力を備えたまちづくりが必要であるというのが、新たな
都市再生の大きな
課題になっております。
それからもう一点は、
密集市街地です。どうしても、
都市集中で、戦後慌ててつくった町というのは密集に今現在なっています。そこにゆとりがない、緑がない、交通の便が悪い、渋滞がある。
東京都の車の渋滞、高速道路、都内
一つとってみても、一四%は東京都を素通りしているんですね。ただ通過しているだけ。けれども、外環とか圏央道とかができていないものですから、都内の一四%はただ高速道路に乗って通過していっちゃう。
それだけ東京は混雑し、なおかつ込み、そしてCO2の排出量を東京都は全部しょっている、そういう状況も、
都市再生、そういうもので考えていかなければいけない。そういう二十
世紀と二十一
世紀の違いというものを、改めて我々は、今回の
法案等々、
皆さんの御
意見を聞きながらも、一刻も早くその措置をしなければいけないというのが今の状況でございます。