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扇国務大臣 今の、戦後今日までの
日本の
都市のあり方、
地方のあり方、一川
議員がおっしゃるように、さまざまな様相を呈し、変化してきております。御存じのとおり、我が国においては、
都市に人口の約九割が集中しているというのが今の
日本の現状でございます。
その集中しているために、経済的あるいは社会的、文化的、そういうものが、それぞれの
都市において、さまざまな営みの中で我々はこれを享受し、ただ、残念ながら、それを中心にはなっておりますけれども、例えて言えば、
大都市と
地方都市と比べてみますと、少なくとも
大都市においては、御存じのとおり、例えば
東京の場合、通勤したりあるいは通学したりする時間というのは、
平均で九十分かかっています。そして、絶えず慢性的な混雑ぶり、あるいは車の渋滞、そして渋滞とともに環境のCO2の排出量を、我々は渋滞の中で空気も悪くなっているというのが今の現状でございます。
ですから、
地方にいる人の方が、空気もいいし、ゆとりもあるし、しかも時間もゆったりある。しかも、自分が行きたいところには、
大都市のような混雑がなくて、自分で運転しても悠々自家用車で行けるというようなところでも、私は、それはそれなりに
地方のよさというものがあると思いますけれども、今、現段階では人口の九割が集中している
都市をどうするか。これも私は重大な問題になっていると思っておりますので、少なくとも私たちは、二十世紀の負の遺産と言われるもの、例えばものをつくり続け、ハードの二十世紀、二十一世紀はソフトの時代だ、二十世紀のハードの上にバリアフリーと環境を加味したソフトの二十一世紀をつくっていくというのが、我々の
国土交通省として、また国家としての、私は大きな課題をしょってきていると思っております。
では、その二十一世紀、ソフトの時期だというけれども、まずこの九〇%集中してしまった
都市をどうするかということなんです。外国からの旅行者の例を挙げるのが正しいかどうかわかりませんけれども、例えて例を挙げさせていただきますと、香港には、少なくとも年間に一千百七十万人が香港へ行っているんですね。そして、パリには、少なくとも一千三十五万人がパリの町を訪れている。けれども、
東京にそれじゃ何人来ているか。二百四十九万人
東京へ来ているんですね。この数から見ても、いかに
東京が魅力のない
都市なのかということも私は言えると思います。
ですから、先ほども、きょう午前中に小泉
内閣で二〇一〇年に外国からのお客様を五百万人から一千万人に倍増しよう、それが二十一世紀の第三次産業の、環境というものは大きな基幹産業になるだろうということで頑張っておりますけれども、この集中している
都市一つ見ても、外国の人から見ると余り魅力があると思っていないんですね。
ですから、そういうことも含めて、私たちは、少なくとも
東京の国際
会議というものを
一つ見ても、
全国の国際
会議の開催率が
世界じゅうで三十三位なんですね、
東京は、国際
会議の開会率が。それをとってしても、私は
東京がまだまだ国際
都市と言えないんじゃないかという大きなクエスチョンマークを持っております。
けれども、我々が今言ったような二十世紀の遺産でハードのものをつくってきたけれども、今度ソフトを加味するというときには、
地方都市のよさ、個性ある
地方のよさというものを出させて、なるべくは分散できれば一番ありがたい。
都市と
地方のお互いの共存共栄というものを図っていければありがたいと思っておりますけれども、そういうものも含めて、二十一世紀の国土のあり方、またそれに加えて、今回のように、今まで
都市基盤整備公団がやってきたことを少しでも
民間の
皆さん方に、
賃貸住宅ももうここまでできたんだから、少なくとも七十五万戸つくったんですから、
民間の人がするんだったら
賃貸住宅もよりいいものを、
民間の人たちの活力も生かしていこうじゃないか。
そういう二十一世紀型の国土のあり方と
居住環境のあり方と、国民の要望、高齢化社会に対応するというあらゆる面を含めて、新たな二十一世紀の形をつくって、
民間の活力を生かしながら、今までつくった
都市基盤整備公団の七十五万戸と、年間六千戸を
建てかえるという、これだけは守りながら、
民間の活力を生かして、新しい、希望に燃えた、住みやすい、あるいは住んでよかったと言われるような、ここをどきたくない、ずっとここに住んでいたいと言われるような、そういう
都市の中での
賃貸住宅のあり方も考えていかなければならないというのが、私たち今回大きな問題点だと思っております。
今申しましたように、香港等々、今SARSで、訪れる人は激減しておりますけれども、それは一過性のものであって、基本的な
都市づくりあるいは
都市住宅のあり方、
賃貸住宅のあり方というものは変わらないで、今の基本的な方針を貫いていきたいと思っています。