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松崎政府参考人 まず第一点目の、
就業規則に
解雇事由が記されている場合、
就業規則違反とおっしゃいましたけれ
ども、
就業規則の
解雇事由に該当した場合、すぐ
解雇になることはないかと、有効かということでございますけれ
ども、
就業規則に
解雇事由というものが普通は書かれております。それで、何か
労働者がやった行為が
就業規則の
解雇事由の条項に該当した場合というふうに
理解してよろしいんであれば、それは、例えば欠勤を月のうち十回以上したら
解雇といったような条項があり、確かに事実としてこの欠勤を十回以上したということがあれば、まずは
解雇は有効ということでスタートいたします。
しかしながら、それはスタートいたしますけれ
ども、これは、今度新設されます十八条の二なり、現在でいえば
解雇権濫用法理によりまして、その
解雇が、具体的な事案について客観的に合理的な
理由を欠き、特に後段の方かもしれませんけれ
ども、
社会通念上相当であると是認できない場合は、
権利の
濫用として無効であるということですから、それが軽微なものじゃないかと、それは確かに
就業規則に違反している事実は確認できた、確かに該当する、しかしながら、俗に言えば
解雇まではやり過ぎじゃないかといったような場合には、今申し上げたように、この
権利の
濫用法理によりまして無効になる場合が出てくるということだと思います。これは
裁判上の話でございます。
それから二つ目は、具体的に
就業規則の届け出でございますけれ
ども、これは、常時十人以上の事業場につきまして
就業規則をつくらなければなりませんで、つくってそれを
労働基準監督署に届け出なければならないというふうにされております。その場合に、まず届け出られました
労働基準監督署におきましては、中身をチェックいたします。それは、
労働基準法の中に、
就業規則に必ず書かなければならない事項、労働時間関係、賃金関係、それから退職、今度は括弧して
解雇に関する事項を含むとしようとしていますけれ
ども、その三点は絶対に書かなければならないと。それからその他、相対的必要記載事項といいまして、退職金制度がある場合には退職金の話といったようなことがございます。そういったことで、まず絶対的必要記載事項が書かれておるか、それから相対的必要記載事項についても、その制度があるんならば書かれているかといったことをチェックいたします。
それから、御
質問のように、例えば
解雇事由というところに
限定して申し上げますと、その
解雇事由の書き方、これが社会的合理性を欠いた場合どうするのかということでございますけれ
ども、正直申し上げて、まず
法律違反、
労働基準法とかそれから男女雇用機会均等法とか、ですから、例えば結婚したら退職しなければならないといったような明らかに
法律違反になるもの、こういったものは非常にわかりやすいので、我々もプロですから、それはチェックして直させます。ただ、
法律には違反しておりませんけれ
ども、
民法九十条でしたか、いわば公序良俗のような社会的合理性を欠く内容、ちょっと例が悪いかもしれませんけれ
ども、社内恋愛はだめだとか、社内結婚はだめだとか。社内恋愛というのはどこかの会社であったかもしれませんけれ
ども、まあ少ないと思いますけれ
ども、こういったものがあれば指導はできると思います。
それから、いわゆる
就業規則の
制限列挙説と
例示列挙説の話だと思いますけれ
ども、これは五月六日の本
会議におきまして
大臣が
答弁されました。これは、具体的な
就業規則があった場合、そこに書かれております
解雇事由が
限定したものと解される場合、それが
制限的にしか書いていない、要するに、
使用者が
就業規則をつくるわけですので、みずからの
解雇できる場合を
制限したというふうに解される場合には、この当該
事由に該当しない何か
労働者の行為とか事実があっても、それが
就業規則に書かれております
事由のどれにも該当しないという場合には、
解雇は無効となるというふうにお答えしたんだと思われます。なので、
就業規則にとらわれない、
就業規則は関係ないといったものではないと思っております。それはございません。
なお、これまでの実例でございますけれ
ども、これは私
どもも指導しておりますけれ
ども、やはり今でも、退職に関する事項の中には
解雇に関する事項を含むという解釈を行って、指導しております。
先ほど申し上げましたように、やはりそういった絶対的必要記載事項というのは明確にする必要がございますので、
先ほど申し上げたように、監督署に
提出があった場合、欠けている場合、不明確な場合には、こう書けとは言いませんけれ
ども、明確にしなさいという指導をいたします。そういったことから、現実の話といたしましては、かなりきちんと書くということで、結果的にいわゆる
制限列挙説といいますか、
就業規則に書かれている事項以外では
解雇はしないというふうに解される、いわゆる
制限列挙的に解される
就業規則がほとんどだということでございます。
ただ、もちろん私
ども、どうしても例外というものがあるために、そこを言わざるを得ないわけでございますけれ
ども、全部が全部ではございませんで、余りにも不備な
就業規則、例えば、十人未満ではつくる必要もないし、届け出る必要もない、我々のチェックも原則ないわけです。そういったものも、一応
就業規則をつくればその事業場の中では通用するということでございますから、そういう中で、不備なものがあって、
解雇する場合はこれしかないというふうに読めないというものが全くあり得ないということはないということで、すべてがこの
制限列挙で解されるとか、
制限列挙せないかぬというまではいかないなというふうに考えて申し上げたわけでございます。
したがいまして、今回の改正におきましても、現在でも指導はしておりますけれ
ども、
法律上
解雇に関する事項を含むということがより明確になるわけでございます。したがいまして、労使の間におかれても、この
解雇に関する事項というものが全く書かれていないということ、やはりこれはもう明白にわかりますし、もちろん、監督署に来ればわかるわけでございますけれ
ども、労使レベルでももちろんわかりますし、また、そういうことによりまして、
就業規則の
作成段階で
解雇事由というものが整理されるということになりまして、
当事者間におきまして
解雇についての事前予測性が高まると同時に、結果としてこれ以外には
解雇はないんだよということがだんだんわかっていくというふうなものが定着していくんじゃないかというふうに考えています。