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逢沢委員 自由民主党、
逢沢一郎でございます。
いよいよ、
個人情報保護法案、最後の
審議の機会となりました。きょうは、特に
小泉総理大臣にも御
出席をいただいております。限られた時間でございますが、どうぞよろしくお願いをいたします。
さて、この
個人情報保護法案、実は二年一カ月前、
平成十三年に
内閣が
国会に
提出をいたしました。既に二年が経過をいたしておりまして、実に六
国会をまたいでまいりました。特に、さきの
臨時国会では、
与党・
政府の
判断で、
提出をしておりました
閣法を一度廃案にする、そして新たな
法案を今度の
国会で出し直す、こういう
経緯もあったところであります。
旧法も非常にいい
法案であったというふうに
認識をいたしているわけでありますけれども、
メディアの
規制につながるのではないか、あるいは、官に甘くて民に厳しいんじゃないか、そういう内外の声がございまして、それを
与党としても真摯に受けとめて、よりすっきりした、また洗練をされた、そしてよりしっかりした
法案を
政府に今度出し直させた、その
経緯を改めて
確認しておきたいというふうに思います。
与
野党を通じて共通の
認識だと思うんですね。つまり、
個人情報をしっかり
保護していかなきゃならない。同時に、
個人情報の
有用性、
経済の成長にも、あるいは、
行政を効率的に、能率的に進めていくためにも、
個人情報をしっかり使っていく。その両方の大切さ、これはしっかり
認識ができていると思いますし、また、
国民にもそういった
理解が広がっている、そのように私も思っております。
とにかく、猛烈な
勢いで
高度情報通信社会が
進展をしてまいりました。いわゆる
IT社会の本格的な到来ですね。民間の
コンピューターの中にも、あるいはお
役所の
コンピューターの中にも、いろいろな形で多くの
個人情報があるわけであります。
Eコマース、
電子商取引、猛烈な
勢いで進みつつありますし、また、
片山総務大臣の
リーダーシップでオンライン三法も
成立をいたしまして、
政府、
地方も含めて、いわゆる
電子政府、
Eガバメント、この
進展も著しいものがございます。
こういった状況を
考えるときに、やはり
個人情報を適正に取り扱っていかなくてはならない、万一それが外に大量に漏えいをするというようなことがあっては大変なことだという
認識をしっかり持つ必要がある。
そこで、今度の
法案で、
個人情報を取り扱う
事業者の方に
一定のルールを強いた、あるいは
義務を負っていただこう、こういうものでありますし、また、
行政においてもしっかりした対応をやっていただこう、こういうことが
法案の骨子であるというふうに
承知をいたしております。
また、今度の
審議を通じて私はよかったなと思うのは、
閣法に対して
野党の皆さんが
対案を出された。
野党案を出された。私は、そのことは率直に評価をしたいと思いますし、そちらに座っておられる
細野さん等を中心に大変な努力をされた、そのことを評価したいというふうに思うんです。
ただ、
野党案をいろいろ見てまいりますと、やはり幾つか問題もある。
例えば、明確な概念が定着していない
自己情報コントロール権を入れ込むというのはどうなのかな。あるいは、
野党案では
報道の
定義というものはなされていないわけでありますけれども、
適用除外の範囲を政令に定める、こういうふうに書いてある。それを読んでいけば、つまり、何が
報道に当たるかは最終的には
行政の裁量に任されるというふうに
法案が読めるんですね。そこのところはどうなのかな。そういった
問題点も改めて
指摘をしておかなきゃならぬというふうに思います。
あるいは、
センシティブ情報の扱い。これも、
与党でも
議論をいたしたところでありますけれども、例えば
本人の同意を得ないで
個人情報をとってはならないということが厳格に
世の中に行き渡ると、例えば
保険の支払いなんかについていろいろ問題が出てくるのではないか。あるいは、取得について
利用目的の
通知を一々
本人にする、書面かあるいは電磁的な方法でするということになると、例えば
生命保険の
業務なんて一体どうなるのかな。こういう疑問も
指摘をされたわけでありますが、等々多くの問題があるということについても、改めて
指摘をしておきたいというふうに思います。
さて、
総理に御
認識をお伺いしたいというふうに思うわけでありますが、今度の
法案の
審議を通じて、
報道をどう取り扱っていくかということが大変大きなテーマになりました。「「
報道」とは、不
特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせること」そして「これに基づいて
意見又は
見解を述べることを含む。」、こういうふうに
定義をいたしたところであります。
私の
個人的な
認識では、取材の部分も
報道に入る、そう言い切ってもいいんではないかというふうに思っておるわけでありますが、ところで、いろいろ
議論をした末に例えば
確認をされたこと、客観的事実として
報道されたことが
真実と異なった場合、いわゆる
誤報であったとしても、それは
報道だ、
報道になるということを
確認をしてまいりました。
報道した内容が正しかった、あるいは間違っていたかということではなくて、客観的事実として不
特定かつ多数に知らせたかどうかが
判断の基準になる、こういうことを
委員会の
審議を通じて
確認をしてきたわけであります。
総理も、長い
政治家としての経歴の中で、
報道される
対象としていろいろな
経験をお
持ちであろうかというふうに思うわけでありますが、私もいろいろな
経験をしてまいりました。
ちょうど一年ほど前でありますけれども、官邸に
官房長官、
福田さんを訪ねていったんですね。いろいろな話をいたしました。次の日の
新聞に、
内閣委員会筆頭理事の
逢沢一郎は
福田官房長官に
個人情報保護法案の今
国会成立を断念したということを伝えたということが
かぎ括弧つきで、御丁寧に
かぎ括弧つきで、次の、どの
新聞とは申し上げませんけれども、
朝刊一面に
報道をされたわけであります。
あの空間には
逢沢一郎と
福田官房長官、二人しかいなかったわけでありますから、何が
真実であるかは二人しか知らないわけであります。しかし、翌日の
朝刊にはそういう
報道がなされて、これは
誤報なんですね。しかし、それも
報道だというふうに私どもは
認識をいたしているわけであります。
報道によっていろいろな被害を受ければ、それは民法であるいは刑法で争うということも、そういう道もあるわけでありますけれども、我々が
審議をしてきた
個人情報保護法案では、それは外に置いているということは、
総理も御
承知のとおりでございます。
さて、そういう
議論を
総理、聞いていただいて、
報道のあり方、そして
個人情報の
保護との兼ね合い、これはずっと長い
議論でございますけれども、
総理として一体どんな
認識をお
持ちであるか、
見解をお聞かせいただきたいというふうに思います。