○谷垣
国務大臣 お尋ねの田中実さんの件につきましては、先ほ
ども御
答弁を申し上げたように、北朝鮮の拉致の可能性も視野に入れながら、今捜査を進めているところでございます。
そして、今
委員もお触れになりましたけれ
ども、御
質問の後も公刊物で報道があった、それを含めて過去にいろんなものが出ておりますので、こういう表現が妥当かどうかはわかりませんが、その
情報が果たして正しいのかどうかというようなこと、当局は、今、つぶすといいますか、そういうことは十分やっているというふうに考えております。
それから、今、いろいろ多岐にわたる御議論でございましたけれ
ども、この件について、いろいろ、例えば司法取引みたいなものがあるのではないかというようなことが巷間言われているということをおっしゃったわけでありますが、
我が国の制度には司法取引というようなものはございません。したがいまして、司法取引があるから手を緩めているというようなことは一切ございませんで、先ほど申し上げたように、北朝鮮による拉致の可能性も視野に置きながら、法と証拠に照らしてきちっとやるという原則は踏まえてやっているというふうに考えております。
それからもう
一つ、これは地元の警察本部が捜査を担当しているわけですけれ
ども、
日本国内でもあちこち捜査に実際行かなければいかぬというようなことで、果たしてそれぞれの地域の警察の連携というものは十分にいっているのか、そういうようなことを考えると、いわばFBIみたいなものが
日本にも必要ではないか、こういうお考えも承ったところでございます。
もう私が申し上げるまでもなく、
日本は、戦後、一番最初は市町村警察ということで始めまして、どうもそれではやはり広域にわたる捜査など必ずしもうまくいかないということになりまして、現在、都道府県警察がそれぞれ執行権を持つということになっております。
ちょっと議論が広がりますけれ
ども、こういう捜査を遂げていくときは、私は二面必要なんだと思います。
一つは、地域に密着しなければ捜査というものはうまくいかないし、犯罪の抑止もうまくいきませんので、その
意味においては、都道府県警察が執行権を持ってやっているというのは、もっともっと地域に密着してやらなきゃならぬという面があると思うんですが、他方、
委員の問題意識、私も非常に共感する
部分がございまして、こういう国際的な拉致の問題であるとか、あるいは、ちょっと事案が違いますけれ
ども、サイバーテロみたいなものを考えましても、それぞれの都道府県警で全部そういう
情報を集めて捜査を遂げろといいます場合に、例えば警視庁のような大きなところならできるかもしれませんが、小さなところではなかなか手に余るということも場合によってはあるかもしれない、こういう御議論がこのごろ随分ございます。
それで、FBIのような、これはアメリカでも、聞きますと、FBIは、FBIとそれぞれの、例えばニューヨーク市の警察とかそういうところの権限、なかなか実は難しいところがあって、その調整に苦労するという話も聞いておりますけれ
ども、こういういろいろな国際的な関係なんかが出てきた場合に、果たして今までの
日本の制度だけで十分なのかどうかということは今部内でも議論をしております。
つまり、国が出るべきところはもう少し前に出なきゃならぬ必要があるんじゃないかというような議論もいたしておりまして、これは警察制度の根本にかかわることでもございますので、少しお時間をいただいて、私
どもも十分勉強したいと思います。
ただ、現在の都道府県警察を中心にした制度のもとで、
委員が御懸念のように、それぞれの連携がうまくいかなくて捜査が進まないんじゃないか、こういうようなことがあってはいけませんので、それは十分連携ができるように、地域が異なるところでも警察力が十分発揮できるように、私
どもとしても十分指導をしていかなければいけないことだと思っております。