○奥田
委員 今、
原子力のお話、あるいはこれから
供給の多様化を目指すというお話もありました。
私は、
日本の
一つの特性の中で、まだつけ加えたいとすれば、何人かの
委員からも御
指摘ありましたけれ
ども、今の
エネルギー供給においては、安定性と
安全性といったものが非常に高い
供給がなされている、
大臣のおっしゃった保守といったところも含めて、安全な
供給がなされているということ。
それと、今の
東京電力の問題なんかもありますけれ
ども、
ピーク時の
電力と一番少ないときとのその格差というのは、やはり諸外国に比べても大変大きいものがある。これは
日本の四季とも
関係しているのかもしれませんけれ
ども、そういった
需要変動というものが大変ある。
さらには、
電源を考えるときには、諸外国と比べれば大変困難な条件の上で
電源立地というものを進めていかなければならない。きょう足りなくなって二年先に
発電所が欲しいといっても、それはなかなか、
火力発電所であってもできにくい、そういった特性を持っているかと思います。
私が
大臣の方に
エネルギーの諸外国の例なんかを聞きましたのは、ちょっと機会がありまして、昨年臨時
国会が終わってからアメリカの方に視察に行く機会がありまして、そしてこういった
電力危機のこと、あるいは
自由化の進捗
状況のことも見聞してくることができました。そういったことを少し、当然そういうことはお調べになっていることですけれ
ども、少しでもお伝えできればなということで行ってきたわけでございます。
当然、
電力自由化がアメリカの中では順調に進んでいると言われているテキサス、ブッシュ大統領のふるさとであり、
エネルギー王国アメリカの中でも一番の
エネルギー産業の盛んなところでありますけれ
ども、そちらを見てまいりました。
エンロンの事件、エンロンスキャンダルと向こうでは言っていましたけれ
ども、そういったことも、テキサスだけではそんなに
影響はないんだよというお話でした。ただ、
電気市場といいますか、そういったところの信頼は全く失っている。これはもうアメリカだけじゃなくて、世界的なものかもしれません。そういった資本投入というのが全く減ってしまった、それが一番大きい。そういった
自由化になってきた
電気市場の信頼を失ったということは、すべての会社に対して
影響のあることであるということでもありました。
また、アメリカの方では、今
大臣がおっしゃっていたように、あるいは私
たちが考えるように、やはり
価格を下げたい、競争によって
価格を下げたい。そして、
一つの新しい事業、新しい産業といいますか新しい
事業者が参入できる、そういった市場を設けたい、そういう二つの大きな
目的があるというふうに聞いておりましたけれ
ども、果たして
本当に
価格が安くなったのかというと、こういった
電気事業を管理している方と消費者団体の方とでは、百八十度違う話が出てきました。
確かに、大口
電力、個々が契約条件を、相対で、マンツーマンで契約できるような、そういったところに関しては
価格の低下というものの享受を受けている。しかし、小口になればなるほど、
自分で
電気の
値段を決められない取引契約になっていけば、そういったものは享受できていない、反対に高くなっているという話がありました。
それは
先ほど高市議員の方から、
一つの
価格を制限したり、そして行ってきたところでも、六%、強制的にというか義務的に引き下げて、家庭の料金も下がりましたよということを、向こうですと
電気信頼度協議会という、系統管理をするところや、あるいは広域事業
委員会という名前で、こういった公益事業を少しずつ民営化、
自由化していくという仕事を持ったところがありますけれ
ども、そういったところでは、
自分たちは六%料金切り下げを三年間の義務として業者に課したから、安くなっている。
ところが、消費者団体へ行くと、そういうのは一件当たりの請求書やそういうものですぐにわかる、家が大きくなったわけでもない、領収書を見ているとすごい変動が起きているだけで、最終的には高くなっているんだと。安くなっているというのは、義務づけされる前に
価格を一回つり上げてそこから落としているので、その前のことと変わらない、あるいは、燃料である天然ガスの
価格変動に振り回されているだけになっているんだと。
さらにひどいことには、こういった競争が始まりますときに、
原子力発電所を持っている
電気会社は競争にとって不利になるということで、何とかしろということで償却を早める。その償却を早めるための利益分というのが消費者の方に課せられてしまっている。ですから、
事業者のための
自由化であっても、消費者のための
自由化にはなっていないという話を聞いてきたわけでございます。
そしてもう
一つ、競争があれば当然よくなるはずのサービス、こういった
部分も、これはもうすべてのところが言っています、競争が始まってからサービスは悪くなったと。
例えば、
電気料金を払わなければ
電気は切られる。それは確かに当たり前なんでしょうけれ
ども、
自由化になってからは、
電気料金を未納した瞬間すぐに切られる。
ライフラインとしてのそういった配慮というのは薄くなってしまった。もっとひどい話は、料金未納じゃなくても
電力会社の方がお客さんを選別して、低所得の方だとか、あるいは
電気料金は払っているけれ
ども多重債務を背負っているというような情報が入ると契約してくれない、そういった話も聞いてきました。
これは、
自由化を進めていく中で、金融の
部分でも、低所得の方が銀行口座を開設するときに開設しにくい
方向に行くというようなことが
一つの社会問題になったと思いますけれ
ども、そういった
方向と同じようなものじゃないかと思います。
ですから、今言ったような
規制緩和、
自由化、あるいは競争原理の導入と言ってもいいかもしれません。こういったものも、物によっては慎重に進めていかなければ、確かに
メリットもある、しかし、こういう
自由化の中で
リスクという
部分も発生してきて、これは同じ人が
メリットも
リスクも受けるというのならいいんですけれ
ども、どうも
メリットを受ける方とデ
メリットを受ける方というのが別の分野で受けるような形になるんじゃないかというふうなことを思います。
日本の場合はまだ
一般家庭というところまでは行きませんけれ
ども、段階的な、
事業者契約ぐらいのところまで
自由化を進めていくという中で、こういった
メリットと
リスクというものについて、どんな認識そして配慮というものを持っているかということ。あるいは、間違いなくこれは公益のある大きな
部分であると思います。公益と競争原理といったものについての御意見を伺いたいと思います。