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平沼国務大臣 原子力基本法の中で三つの柱があります。いずれも重要な柱でございまして、今の御
質問にかかわっている問題ですけれ
ども、いかに安定的にしっかりと
エネルギーを
供給するか、それから二十一世紀対応として
環境の問題、それからやはり電気を使う方々に対して健全な形での自由競争の中でコストを安くしていく、そういう三つの柱があります。
私
どもとしては、今回の東京
電力の
原子力の事案というのは非常に大きな
意味があると思っています。それはもう後藤先生も御指摘のように、自主点検部分でのいわゆるデータの改ざん、それから虚偽の報告、こういったことで非常に、
国民の皆様方が
原子力に対していろいろ問題意識を持っておられた、その問題意識をさらに深めるような、そういう信用失墜に結びついて、結果的には、今、東電の十七基のうち十六基がとまり、この四月中旬には
最後の一基もとまるという、そういう事態に相なっているわけです。
しかし、国は
安定供給という形でずっと進めてきたということは、やはり最悪のこういった事態も当然想定をしていかなければならなかったわけですけれ
ども、ここまで一
事業所の中ですべてがとまるというのは、非常に、これはある
意味では残念なことですけれ
ども希有の出来事だったと思っています。
ですから、我々は、そういう中で相当余裕率を持って、そして
原子力、それから火力、それからさらには水力、一部地熱、そういうような形でバランスよく
エネルギー供給を行う、こういう形でやってきましたけれ
ども、今回そういった形で非常に希有なことが起こってしまった。私は、これはやはりしっかりとした教訓に据えてやらなければならない。
現時点で起こっている
状況に対しては、私
どもとしては、やはり一日も早く、
国民の皆様方に安心をしていただいて、そして休止中のものを立ち上げる、このことに最大限の努力をする、このことだと思っておりまして、そういう
意味では、小
委員会から維持基準に対しても一つの考え方を出していただきました。ですから、それに基づいて、既に
事業者も、そして我が方も
説明責任を果たさせていただき、行動を開始させていただいています。
こういったことをやはり着実にやっていくということが必要なことだと私は思っておりまして、今回のことを最大限の教訓として、やはり
エネルギーというのは
安定供給が大切ですから、バランスよく、そしてそういう厳しい局面に対応したときも、ぎりぎりの余裕を持って切り抜けられるような体制をつくっていくということが基本になければいかぬと
思います。
そういう
意味で、今回お願いしている法律の中でも、例えば
天然ガスに重点を置くということもその基本的な考え方でございますし、また、今はわずか一%にしかすぎませんけれ
ども、新しい新
エネルギーというものも、これも伸ばしていくことも
エネルギーの
安定供給にとっては必要だと思っています。
それから、今問題があります
原子力発電、これは、今非常に厳しい局面でございますけれ
ども、安全性をぴちっと担保して、
国民の皆様方の御納得をいただければ、やはり効率の面からいっても、それから三本の柱の
環境保全の面からいっても、いわゆる発電過程においてCO2の排出がゼロでございますから、こういったこともやはり伸ばしていく。ですから、天然の
エネルギー資源に恵まれていない
日本としては、やはり
エネルギー源の多様化ということもこれからの進むべき道だ、こういうふうに思っています。
そういう中で、十基から十三基が
建設を予定していた、そういう
原子力発電所が、今御指摘のようにいろいろな事情でこれが下方修正せざるを得ない、大体九基ぐらいが、こういうような今の
状況です。ですから、私
どもとしては、所定の
計画どおりに十基、十三基というのは
達成できませんが、一方においては、
原子力発電所の効率を高めることによって、十
年度に予定をしていたそういった発電量は確保できる、こういう
見込みを持っています。
ですから、そういったことも含めて、そして、さらにこの
原子力というのはこれからも基幹
エネルギーとして必要でございますし、あるいは核燃料サイクルというものも天然資源のない
日本にとっては必要な手法でございます。これは繰り返しになりますけれ
ども、安全性をしっかりと担保するということを前提に、私
どもは、総合的に、バランスよく、そして、こういう非常に非常事態が来たときも今回のことが起こらないような、そういったことを私
どもは念頭に置いてしっかりと進めていかなきゃいけない、そういうふうに思っているところでございます。