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今野委員 ぜひそのようにお願いしたいと思います。
さて、それでは
児童の
権利条約、
女子差別撤廃条約です。
児童の
権利条約の十九条ですが、「
締約国は、
児童が父母、法定保護者又は
児童を監護する他の者による監護を受けている間において、あらゆる
形態の身体的若しくは精神的な暴力、傷害若しくは虐待、放置若しくは怠慢な取扱い、不当な取扱い又は搾取からその
児童を保護するためすべての適当な立法上、
行政上、社会上及び教育上の措置をとる。」とありまして、一九九八年の
国連児童の
権利委員会の
日本政府への懸案
事項として「
委員会は、家庭内における、性的虐待を含む、
児童の虐待及び不当な扱いの増加を懸念する。」と指摘しております。しかし、二〇〇一年に法務総合研究所から公表されている統計によりますと、少年院在院者の全体のうち五〇%は虐待経験を持っていると報告されているんですね。
また、
女子差別撤廃条約ですけれども、これも一九九四年に
国連女子差別撤廃委員会から「主要関心
事項」として、「
日本が全般的な資源開発において世界各国の中で第二位に位置づけられるにもかかわらず、
日本女性の社会経済的地位が考慮される場合には、その順位が十四位に下がることを懸念を持って観察した。」とあります。
これは、
平成十五年の四月に出ている衆議院調査局
外務調査室からの報告ですけれども、ここに人間開発指数、ジェンダー開発指数及びジェンダー・エンパワーメント指数という調査の結果が載っておりまして、HDI、人間開発指数では
日本は上位から九位のところにいるんですね。それからジェンダー開発指数は十一位。それからジェンダー・エンパワーメント指数になりますと、これはどういうものかといいますと、女性が積極的に経済界や政治生活に参加し、意思
決定に参加できるかどうかをはかるものでありまして、HDIが人間の能力の拡大に焦点を当てているのに対して、GEMはそのような能力を活用して人生のあらゆる機会を活用できるかどうかに焦点を当てております。
これは、具体的には、女性の所得とか、あるいは専門職としてどういうふうに活躍しているとか、技術職に占める女性の割合ですとか、あるいは
行政職、管理職に占める女性の割合、国
会議員に占める女性の割合などを用いて算出しているわけなんです。ここに来ますと、急激に下がって、
日本は三十一位になっております。
こういう
条約を批准していても一向に
日本の中の状態は改善されていないということが言えると思うんです。
児童の
権利条約については、
国内法及び
国内実施と
条約の諸規定の調和措置として、一九九九年の五月に
児童買春、
児童ポルノに係る行為等の処罰及び
児童の保護等に関する法律、また二〇〇〇年五月には
児童虐待の
防止等に関する法律が制定されるなど、一定の評価はできるんですけれども、しかし、日弁連などから、虐待を受けている子供の救済と親の
支援について、極めて不十分であるという批判も受けております。
制度だけではなくて内容面での充実の必要があらわれているのが、
国連の
児童の
権利委員会に対する第二回
政府報告です。これは、法律、制度、
行政措置の羅列という性格が強くて、
日本国内の子供の
権利保障の実態あるいは今後の展望についての報告とはなっていないという批判を受けております。また、
国連女子差別撤廃委員会は、
政府報告書を審議する立場にあるものであり、現職または元公務員が
委員を務めるのは公平な審査の妨げとなりかねないと言われておりますけれども、これまで
日本から選出された
委員は、すべて現職あるいは選出直前まで公務員であった
人たちなんですね。
大臣は、
児童の
権利委員会に対して、
国内の子供の
権利保障の実態把握また将来の展望などの調査や報告をするなど内容を改善すること、また、
委員会へ
NGO、NPOから
委員を派遣することによって、
国連、国際
条約へのコミットメントをするつもりはあるかどうか、そこのあたりはどうお
考えなんでしょうか。