○赤松(正)
委員 公明党の赤松正雄でございます。
元野党、今与党の公明党の
人間が登場しましたので、今までのような激しい、厳しい
質問になるかどうかわかりませんが、ゆったりと言いたいことをいっぱい言っていただきたいと思います。
まず、きょうは、前回もそうだったかと思いますが、きょうは二十七日、同時並行で衆議院の憲法
調査会が実は上の部屋で行われておりました。私は、両方かけ持ちでございましたので、途中、この安保
委員会における議論をしっかり全部掌握はしていないんですけれ
ども、憲法
調査会におけるところのこの
イラクの問題をめぐる議論は全部聞きました。
実は、その憲法
調査会は二十日の日にも、同じく三時間をかけて、この
イラクをめぐる問題、憲法並びに国連憲章、あるいは日米安保条約等の問題を議論いたしました。二十日の日は全部で二十六人。きょうは恐らく、正確に数えておりませんが十五人ぐらい、多少ダブっている方もいらっしゃいますが、与野党合わせて四十数名の方がこの問題をめぐっていろいろな、まあ時間が限られておりますから、一人の発言時間は大体平均五分、長い人で十分ぐらい、こういう感じでございましたけれ
ども、与野党の主張が非常にこのテーマはくっきりと分かれて、非常に印象深い議論だったと思います。
きょうも、ここから私と、それからあと浜田
理事とが与党の方の
質問になるので、これまでの午前中から今に至るまでの議論と多少トーンが違うかと思います。
私は、今まで違う場所でも話をさせていただいたんですが、きょう、ここで
外務大臣や
防衛庁長官に聞いていただくのは初めてなので、大体概略、今回の問題に対する公明党並びに私の考え方を冒頭に申し上げておきたいと思います。
我が党は、こうした
事態に至るまで、ぎりぎりの平和的な解決を模索するということで、一生懸命頑張りました。
私はどこへ行ったかというと、外国へ行ったわけじゃありませんが、
国内にいて大使といろいろな議論をいたしました。印象的なのは、イギリスのゴマソール大使と、イギリスも
アメリカの最も近しい関係であるんだったら、フランスとドイツのように少しはいろいろ注文をつけたらどうですかと、かなり無理筋を言ったようなこともあります。むしろ
アメリカの行動に歯どめをかけてもらいたいという思いを伝えたりもいたしました。それはなかなか、非常に不機嫌な顔をしておられまして、そう言うはやすく行うは難しいというふうな印象を受けたんですけれ
ども、そういったことをやったりいたしました。
現実、こうした
事態を迎えた今となっては、一日も早いこの
事態の終結を、本当に心の底から、命の底から求めたい、そんなふうに思っているわけであります。
アメリカの最大の
同盟国であるイギリスの中にも、また
我が国にも
アメリカの中にも、強い反対の世論があるにもかかわらず今日の
事態になったということは、極めて残念であり遺憾である、こういうふうに言うしかありません。
しかしながら、同時に、この
事態を冷静に考えれば、そう事は簡単ではない。さっき与野党の
意見がかなり屹立して分かれたという話をしましたけれ
ども、正直言って、私の立場からすると、皆さん非常に元気いっぱい自分の立場を主張しておられるな、そんなふうにばしっと割り切って言えるんだろうかという思いが実は同時にあって、事は単純ではない、そんなふうに思います。
あの湾岸戦争からこの十二年間における
イラクのサダム・フセインがとってきた行動というのは、明らかに、国際社会に背を向けるどころか、その願いをあざ笑うような、そういった悪らつなものであったということは改めてここで振り返ることもないかと思います。だからこそ、あの昨年の国連決議一四四一へと世界の思いは結実したんだ、そういうふうに思うわけであります。
もちろん、でき得べくんば、
武力行使を公然と容認する新たな決議が欲しかったということは言わずもがなでございます。しかしながら、私は、これは先ほど条約局長あるいは
茂木副
大臣からも答弁ありましたけれ
ども、私に言わせれば、まあこれはだめ押しというふうなニュアンスだったろう、そんなふうに思うわけでございます。
そこで、要するに、私強く感じますのは、先ほど与野党のいろいろな
意見が分かれたという話を申し上げましたけれ
ども、今ほど戦争と平和という問題をめぐって無秩序とでも言っていいような百家争鳴の
状況を呈しているというのは、これは否定的にとらえるんではなくて、ここから新たな
日本の
安全保障という問題に、あるいは、国際社会の中でどうやって、もう壊れてしまっていると私は思いますけれ
ども国連をどう再建していくのか、そういったふうな形で積極的な、単なる議論に終わらせないで、新たな展開への十分な
対応をしていきたい、そんなふうに思う次第でございます。
いろいろなことを言いましたけれ
ども、要するに、国連決議についても、あるいは自衛権の問題につきましても、国連憲章に照らしてこれは明らかに違反ではないかという声が今もございましたけれ
ども、私はグレーゾーンであるという印象を強く持っております。
アメリカの主張と、それに反対する側の主張にも、それぞれ正当性があるようでない。事の発端が、
イラクの
国内における残虐非道な行為あるいは
周辺諸国への侵攻行為、
安保理の決議無視など、挙げて
イラクにあることは周知のとおりです。しかし、それに対する
アメリカやイギリスの
武力行使についての正当性が、明々白々とは言いがたいものの、それなりにあるというグレーゾーンだ、そんなふうに思っております。
それは、国際
テロと
生物化学兵器の結びつきという新たな可能性という現実に対して、国際法というものが正直追いついていっていない部分があるんではないか、そんなふうに感じる次第でございます。
国際連合の
安保理における合意については、先ほ
ども言いましたけれ
ども、新たな決議があれば望ましいと言えたけれ
ども、なくてもそれは、今も申し上げまして繰り返しになりますが、だめ押しというものである、がゆえに、根本的な問題はない、そんなふうに考えております。
自衛権の発動という部分については、
アメリカは真っ正面から言っておりませんけれ
ども、背景にそういう気分が十分にあるということは承知しておりますが、その気分がわからないわけではない、そういうとらえ方をしているということを表明しました上で、幾つかの
質問をさせていただきたいと思います。
まず、先ほど来も出ておりますけれ
ども、また憲法
調査会の場においても野党の皆さんからあったことですけれ
ども、査察を続けていたら今回のああいうふうな武力攻撃に突入するということではなくて、査察を続けていたら少なくともその間は平和が続いていたんじゃないかということを言う方がいらっしゃいます。
しかし、これはそうなんだろうかと私は思います。米軍の展開という軍事的圧力のもとでの査察でさえ、ほんのわずかの小出しにしかしなかった、それが、仮に米軍が引き揚げていたらどういう
事態になったか、仮に米軍の役割を違う国が十全と果たすことができるのかどうか、そういったことを考えると、査察を続けていたら平和が一定期間続くということについて、極めてその議論の不確かさというようなことを感じるわけでございます。米軍の展開あってこそのそういう査察の意味ではなかったのか。
そういったことを踏まえまして、過去の査察の経緯と、その間における欧米の軍事的展開ということの関係について述べていただきたいと思います。