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首藤委員 いや、
石破長官、違うんですよ。私が言っていることは、そんな、
法律が通ったら精査してどこかへ行くというんじゃないんですよ。もう
イラクの現状は、これは
戦闘状態にあって
戦闘地域だ、そして将来もまたあるということなんですよ。だからここには、通常の今までの
自衛隊派遣の論議でいったら送れないんですよ。そんなのは当たり前のことなんですよ。常識の話ですよ、そんなの。
さあそれでは、その
イラクに対しては、本当に組織的抵抗がエスカレートしていると思います。私も、ただぶらっと見に行っているわけじゃない。さまざまな情報を持って、旧バース党の組織がどのように再編成しつつあるか大変つぶさに聞いてきました。
そうしたものはまた別の機会で話すとしても、もう一つ重要な点は、何で
自衛隊を送る必要があるのか、そもそも
自衛隊のニーズはどこにあるかということですね。
私は、
イラクへ行って、ニーズが一番必要なのは
イラク人による
政府だと思いました。これはもう早くつくらないと、
治安維持も含めてすべての基礎です。ですから、まさにある
意味で、今までのORHAと、それから、
イラク人による反フセイン連合体による暫定政権、暫定行政機構というのは本当に重要だったんですね。しかし、わざわざアメリカは、ORHAをつぶして、もう一度やり直そうとしているわけですね。ですから、これはもうますます
イラク人の
政府というものがおくれていく。
それからもう一つは、
フセイン政権の破壊より、制裁下で疲弊したインフラですね。これはもう、制裁の長い間に疲弊していったインフラというのは問題があります。
さて、最近、
自衛隊に対するニーズというのは水だという話がありました。それは、砂漠であれば確かにそうだと思うんですね。砂漠へ水を運んでいく、大変なニーズがあると思います。しかし、御存じのとおり、
イラクというものは、穴を掘ったら遺跡か石油か水が出てくるというのですよ。これはもうチグリス・ユーフラテス、どこを掘ったって出てくるんですよ、はっきり言えば。水を運んでいく必要なんかどこにもないんですよ、人間のいるところであれば。もう有史以前からずっとそこに井戸があるんです。だから、簡単な井戸を掘ればいいんです。そこで油が出るから、多少油分がむしろ含まれている。それは傾斜板みたいな簡単な装置で外せるんですね。それから、今でいえば、逆浸透膜の簡単な装置があって、幾らでもつくれるんですよ。
それからまた、軍用の水タンクではなくて、軍用の水タンクはなぜああいうタンクかというと、それは、万が一弾が当たったとき、穴があいて水が漏れちゃいけないから、厚くつくっているんです。そんなもの要らないんですよ。
紛争地に行けばわかるように、逆浸透膜につなげたのは、もうただのゴム風船なんですよ。ゴム風船にびやっと水を入れてぼわっと、この部屋いっぱいぐらいのゴム風船なんですね。それでぽんと上げるんですよ。それを使って、孤児院とか病院とかずっとやっていくんですよ。
自衛隊が持っている四輪駆動車の後ろに一生懸命引っ張っていくものとか、五トンしか入らない水タンクとか、そんなものは要らないんですよ。
ですから、結局要るのは、水とは何かというと、アメリカ兵のペットボトルですよ。アメリカ兵のペットボトルだって、これを
自衛隊のそんな水タンクで一生懸命運んで、そういうものに充てんするんじゃなくて、それはヨルダンだろうがクウェートだろうが、さらにはトルコだろうが、膨大な車の流れ、トラックの流れが毎日のように入って、ペットボトルを運んでいるわけですね。ですから、全くニーズがない。
水はニーズがない。では、輸送はあるかもしれない。C130がある。しかし、これも、何もインフラのない、山しかないといった東ティモールとか、そういうところじゃないんですよ。
イラクといえば、
フセイン政権がつくった超一流の飛行場が、軍用飛行場も含めて各地に点在している。幾らでも普通の飛行機でも行けるし、さらに、
日本と比べものにならないぐらい立派な高速自動車網が全土を走っているんですよ。私も、アンマンからバグダッドへ行くまで平均時速百六十キロですよ、走っていったのは。
日本でそんな走れるところないですよね。
ですから、そう考えてみると、どこにもニーズはない。C130を飛ばしていったって、最近、映像でちらっと見ましたけれ
ども、最近の輸送機は、何と旋回しながらおりてきますね。時々フレアを撃っていますよ。どういう
意味か。それは、地対空ミサイルが怖いからですよ。では、C130がフレアを出しながら、旋回しながら急降下でやるなんて、そんな訓練し、そういうところへ果たして
日本が、
自衛隊がやっていくべきなのかどうかということは問題ですね。
そしてまた、この
法案が万が一通って、
自衛隊が派遣されることになっても、実際の派遣が十月となれば、もうとっくの昔に、水の問題も物資の問題もすべて民間企業がやって片づいているわけですね。さらに、十月ともなれば行政機構が確立しているかもしれない。そうしたら、この行政機構があれば、先ほどの話じゃないですが、
イラク人は別に
外国人に
占領してきてほしくないですよ。
日本人が来てくれるんだったら、JICAに来てほしいと。JICA、JICAと言っていますよ。
だから、そう考えると、全くニーズのないことを
前提とした、
自衛隊派遣の実績をつくるだけの
法律じゃないですか。こんなことで
日本の若者の命を危険にさらしていいと思っているんですか。福田
長官、どうですか。