○佐藤泰介君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま
議題となりました
構造改革特区
法案に関して、
小泉総理並びに
関係大臣に質問をいたします。
本題に入る前に、
小泉総理の
経済失政の
責任を厳しく追及したいと
思います。
小泉総理就任以来、
日本経済の低迷の一途をたどり、奈落の底に突き進んでいます。
総理は、
改革なくして成長なしと繰り返すばかりで、
不良債権問題の処理など、
日本経済を
再生させるための抜本的な
構造改革を先送りさせてきました。
小泉内閣の無為無策により、
中小企業は
貸し渋り、
貸しはがしに遭い、
経営危機や倒産に直面し、塗炭の苦しみを味わっています。サラリーマンはリストラ地獄に陥り、若者は就職の夢を絶たれています。地方の
経済は疲弊し、
産業は空洞化し、
日本は失業列島、倒産列島の様相を呈してきています。不況による生活苦が、自殺者が三年連続三万人を超えるという、
経済有事と言わずしてほかにどんな表現が今あるのでしょうか。
総理は、自民党をぶっつぶすとして
改革を進めると豪語していたのに、その
実態は、
国民生活をぶっつぶしてでも政権の延命を図るということではありませんか。
去る十月三十日に
政府が決定した総合
デフレ対策は、お粗末極まりないものでした。対策は閣議決定の手続さえ経ておらず、
金融再生プログラムに至っては要望事項がメジロ押しというていたらくであり、
国民を愚弄するものでした。
不良債権処理も目途が立たず、
中小企業や雇用の
セーフティーネットも穴だらけのまま、新
産業・雇用創出につながる大胆な
政策も盛り込まれていません。これでは、
デフレを食い止めるどころか
デフレを拡大するものと酷評する以外にありません。
そもそも、
小泉内閣の
経済政策は、不公正な
競争を放置したまま、強きを助け弱きをくじくというたぐいのものでしかありません。
政府は、住宅ローンや教育費が払えなくなった勤労者、身ぐるみはがされている
中小企業者には冷たい態度を取っている上に、ゼネコンなどの大
企業への借金棒引きを見逃しています。日銀が大
銀行の株式を買い取るという禁じ手は全世界からブーイングを受けています。
産業再生機構なるぬえ的な
組織を作って、市場が見放した
企業の
再生を手助けする
計画が進んでいますが、そもそも個別
企業の
経営に国が関与することが許されていいのでしょうか。
小泉総理は、本日二十二日にも閣議で正式に
補正予算の
編成を指示する
方針だと伺っております。そして、来年一月召集の通常国会の冒頭に提出し、早期成立を目指すとの予定と聞いております。しかし、まず
補正予算を
編成せざるを得ない状況に至ったこの事態について、
総理を始めとする内閣の
責任を明らかにすべきではありませんか。
日本が
経済危機に陥ったのは、正に
総理自らがまいた種が原因ということを見逃すわけにはいきません。
補正予算を提出するには、
小泉内閣が
経済失政にけじめを付けるという絶対条件が不可欠です。
総理の明快な御所見を求めます。
また、本当に
補正予算編成が必要であると
考えるなら、なぜ来年の通常国会に提出するという中途半端なことをするのですか。この国会こそが
経済再生・
デフレ克服国会ではなかったのですか。世界の
経済市場が一つになり、マネーが国境を越えて動いている今日の状況においては、ちょっとした
政策決定の遅れが命取りになります。
補正予算を組むなら、この会期中にやらないと意味がありません。なぜ年明けでないといけないのか、全く理解に苦しみます。
総理から
答弁をいただきたい。
小泉内閣の失政により、
経済危機が深刻化し、その結果、約二兆八千億円の税収不足が生ずる見込みと言われています。さらに、
景気対策の
補正予算を組めば、今年度の新規国債発行は首相が
公約していた三十兆円を維持できず、大幅に突破する
可能性もあると聞いております。
異常な国債発行、天文学的な債務累増に歯止めを掛けるためにも、何らかの縛りを掛けるのは当然のことであり、国債発行を三十兆円枠内に抑えることは一つの選択肢だと
考えます。私たちはそれを義務付ける
法案を提出した経緯があります。国債の三十兆円枠は、民主党がこだわっていることではなくて、
政府は無
関係であるかのように強弁する最近の
小泉総理の発言は納得できません。
今年二月の施政
方針演説で、国債発行三十兆円を守り、
税金を無駄遣いしない体質へ改善するとともに、将来の
財政破綻を阻止するための第一歩を踏み出すことができたと述べたのは、
小泉総理、あなた自身ではありませんか。
歳入欠陥が生じたなら、
景気対策でも財源が必要になったなら、まずやるべきことは何でしょうか。
企業で行われている合理化、節減化、家計で行われているやりくりと同様、
政府も同じぐらい、いやそれ以上に汗をかくべきです。
また、今年度予算の執行
期間は四か月以上も残っています。無駄な公共事業
関係経費の
見直し、内閣官房報償費及び外務省報償費等の
見直し、行政経費の削減、特殊法人向け歳出の
見直しなどで当初予算に大なたを振るい、財源を捻出すべきであります。大胆に予算の内容を組み替え、それで
景気対策を中心とした
補正予算を
編成すべきではありませんか。それとも、今年度予算には無駄なんて一円もなく、全部国債を発行して財源を補うべきとお
考えでしょうか。
小泉総理の
答弁を求めます。
民主党は、タイムスケジュールを明らかにして現下の不況に
対応すべきと
考えます。まず、一刻の猶予もならない緊急対策に全力を注ぎ、将来ビジョンを伴った再チャレンジ可能でリスクに見合ったリターンが得られる公正な
経済社会づくりを同時に進めることが基本であります。
危機回避のための緊急対策の主要な第一の柱は、雇用対策です。失業保険の給付延長、求職者の能力開発、失業者の健康保険料、住宅ローン及び家計
負担の軽減などを図るべきであります。
緊急対策の第二の柱は、
中小企業対策です。まず、
貸し渋り、
貸しはがしと戦う
中小企業を強力に支援すべきです。
モラルハザードを防ぐ手だてを講じた上での
特別信用保証の臨時的復活、
金融アセスメント法の制定や
政府系
金融機関の活用に取り組むべきであります。さらに、起業こそが
我が国経済の
活性化の源泉との認識から、起業時の法人税免税、
特別融資枠の創設などを通じ、百万社起業の実現を目標とすべきであります。
第三の柱は、税制です。住宅、教育費等のローン利子控除
制度を創設し、また住宅の売却損を税制で補う
措置を講ずるべきです。また、NPO税制を
強化し、株式譲渡益課税を時限的にゼロ税率にすべきです。来年度税制改正の議論を待たずして、この国会に
法案を提出し、対策を実行に移すべきです。NPO税制については、野党案が既に提出しており、
総理の決断によって与党も賛成に踏み切るべきです。
こうした緊急対策にどう取り組むのか、この国会で何をどう実現するのか、
総理の
答弁を求めます。
今日の
経済状況は、将来がどうなるか分からないという不安も大きな要因です。
経済の
再生、
国民生活の質の向上に向けた、安心と信用を基調とした新しい
経済社会の建設を進めるべきであります。
政府は、
日本の将来ビジョンをどのように描いているのか、どんなタイムスケジュールでどのような方策によって進めていくのか、
総理の
答弁を求めます。
それでは、
構造改革特区
法案について、幾つかのポイントに絞ってお伺いします。
まず、この
構造改革特区については、先ほど触れた
政府の総合
デフレ対策の中にこう位置付けられております。すなわち、「
民間活力を最大限に引き出し、民業を拡大することにより、
経済を
活性化する。」とあり、「このため、
構造改革特区の推進を始め、規制
改革を強力かつ迅速に進める。」と。
そこで、
総理に基本的な認識について
お尋ねをいたします。
構造改革特区がなぜ
デフレ対策なのか、御
答弁をいただきたいと
思います。
また、
政府案が成立すれば
民間活力が最大限に引き出され、民業が拡大し、さらには、
経済が
活性化されるのでしょうか。この点、
総理から分かりやすく
説明をいただきたい。
さらに、具体的に特区
法案では十四の個別
法改正項目が盛り込まれておりますが、それぞれどのような
経済活性
効果があるとお
考えですか。この点、鴻池
大臣より簡潔明瞭な
答弁をお願いします。
次に、
構造改革特区の意味を伺いたい。
政府案の項目を見ると、それらは規制
改革特区と呼ぶのがふさわしいのではないかと
考えます。つまり、規制緩和を特定の
地域に限定して実施することであろうと
思います。
政府が今回あえて
構造改革と称されたのはどのような意味があるのでしょうか。
総理の
考えをお聞きしたい。
特区
法案の
目的は、第一条に、自治体の自発性を尊重した特区を設定し、その
地域の特性に応じた規制の
特別措置の適用をとありますが、
政府は、規制緩和のパイロットケース、すなわち全国展開に向けた先駆けとして位置付けておられるのか、それとも単なる
地域振興策、
経済政策として位置付けられておられるのか、はっきり分かりません。恐らく
地域振興策としての
効果は極めて限定的であろうと思われることから、むしろパイロットケースとしての位置付けをもっと明確に打ち出すべきではないかと
考えますが、鴻池
大臣の
見解を求めます。
政府案にある規制緩和項目については、その内容や想定される
効果などを
考えれば、余りに中途半端なものにとどまっていると
思います。また、盛り込まれた項目にも、即座に全国展開すべきではないかと思われるものが多々見受けられます。
特別地域において規制の
特別措置が可能であるのならば、官庁の抵抗に負けず、即座に全国一律で規制
改革を実施すべきではないかとも
考えますが、この点、
総理の
見解を伺います。
本
法案は
構造改革の推進を
目的とされ、方向性としては評価できる点も多々ありますが、一部の規制
特例が
地域の利権化することの
懸念への
対応や、地方自治体にとって依然不透明である霞が関の法令の解釈の透明化など、更に改善を求めたい点もございます。良識の府参議院を代表して入閣され、各省庁と交渉を重ねながら規制
改革に取り組まれている鴻池
大臣が、真の
構造改革の実現に向け、さらに、本構想をより良きものとしていくためにリーダーシップを発揮されることをより強く期待したいと存じますが、
大臣の決意を聞かせてください。
次に、
構造改革特区にかかわる
効果を評価し、将来の規制
改革につなげるためには、その適正かつ客観的な評価
制度が必要になると
思いますが、この点は
政府はどのように
考えをお持ちか、鴻池
大臣の
見解をお願いします。
今回の特区
制度の実施により、特定
地域において既得権益化しないか
懸念されます。
政府案にその防止策があるのかどうか、鴻池
大臣の
答弁を求めます。
また、
法案では、国による
財政措置が行われないこととされていますが、今後も
財政支援を行わないことを明確にさせる必要があるのではないでしょうか。ただ、一方で地方自治体の
負担がどうなるかという点も気になります。これらの点についても鴻池
大臣の
見解を求めます。
最後に、
総理は、
政府の
方針は四季に応じて葉っぱの色が変わるようなものだと言われました。今は初冬、木の葉の色が変われば葉っぱは落ちます。
国民生活も枯れ落ちていることを
総理は御存じですか。
以上で質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣小泉純一郎君
登壇、
拍手〕