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国務大臣(
森山眞弓君) 最初に、
会社更生法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
現行の
会社更生法は、昭和二十七年に制定されたものであり、昭和四十二年に手続の濫用防止等の観点から一部改正がされましたが、その後は、特段の
見直しがされることなく現在に至っております。しかし、この間の社会経済情勢の変化は著しく、とりわけ近年は、
会社更生法がその利用対象として想定する大規模な株式会社の倒産
事件が激増している状況にあります。このような状況の下で、現行法の規律する更生手続に対しては、手続開始の申立てから手続終結に至る各段階の手続が厳格に過ぎ、更生計画の成立に時間が掛かり過ぎるとの批判や、企業再建のための手法をより一層整備すべきであるとの指摘等がされております。
そこで、この
法律案は、現行法の全部を改正して、経済的に窮境にある株式会社について、その事業の維持更生をより一層合理的かつ機能的に図ろうとするものであります。
この
法律案の要点を申し上げますと、第一は、更生
事件の土地管轄規定を緩和したことであります。現行法では、更生
事件の申立ては、更生会社の本店所在地にある地方
裁判所にしか許されておりませんが、改正法では、処理体制の整った東京地方
裁判所又は大阪地方
裁判所への申立てを一般的に認め、管轄
裁判所の範囲を拡大しております。
第二は、更生手続開始前における更生会社の財産保全の
措置を充実させたことであります。更生
事件の申立てがされますと、債権者の強制執行等により、手続開始前に更生会社の財産が散逸するおそれがありますが、改正法では、債権者の強制執行等を全面的に禁止する包括的禁止命令の
制度を創設するなどして財産保全の
措置を充実しております。
第三は、更生手続の開始要件を緩和したことであります。現行法では、
裁判所が更生手続開始の決定をするには、更生の見込みがあるか否かを判断しなければなりませんが、改正法では、手続開始の遅延を防ぐため、
裁判所によるこのような経営的予測判断は不要としております。
第四は、更生手続開始後の手続を簡素かつ合理的なものに改めたことであります。更生手続が開始されますと、更生会社の債務の総額を確定し、その財産状況を
調査した上、更生計画を立案し、債権者の多数の同意を得て、その成立を図るという一連の手続が必要となりますが、改正法では、これらの手続をできる限り簡素かつ合理的なものに改めて、その迅速化を図っております。
第五は、更生計画案の早期の
提出を義務付けたことであります。現行法では、管財人等が更生計画案を
裁判所に
提出する期限について特段の規律はございませんが、改正法では、更生計画案の
提出期限を更生手続の開始から原則として一年以内と限定することとしております。
第六は、更生計画案の可決要件を緩和したことであります。現行法における更生計画案の可決要件は厳格に過ぎるとの批判があることから、改正法では、更生計画の早期成立を図るために、更生計画案の可決要件を緩和しております。
第七は、更生会社の再建のための手法を整備したことであります。改正法では、担保権の設定された物件の早期売却等を容易にする担保権消滅
制度や手続の早期段階における営業譲渡を
裁判所の許可により認める
制度等を設けて、企業再建のための手法をより
強化しております。
なお、この
法律の制定に伴い、
最高裁判所規則の制定等所要の手続が必要となりますので、その期間を考慮いたしまして、この
法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から
施行することとしております。
続いて、
会社更生法の
施行に伴う
関係法律の整備に関する
法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
この
法律案は、
会社更生法の
施行に伴い、証券取引法ほか二十六の
関係法律について規定の整備を行うものであります。
以上がこれら
法律案の趣旨であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。