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政府参考人(
山崎潮君) ただいま二つの御
指摘があったかと思いますが、まず予備試験ルートの方に受験生が流れ込むんではないかと、そういう懸念が
一つでございます。
その点につきましては、
法科大学院、これは
司法試験に合格するためだけのものではないということでございます。この
理念につきましては、もちろん理論的な基礎をきっちり学んでいただいて
実務の導入部分も加えて
教育をするわけでございますが、この科目を利用いたしまして、これから高度複雑化する
社会、こういうものにどうやって専門性を持って対応できるかという部分も徹底して教えるという
理念でできているわけでございます。
したがいまして、自分の将来というものを長い目で見たときには、やはりきっちりした力とそれから人間の幅と倫理、こういうものを備えて出ていくということがいかに自分にとって大切かということは、私は賢明な受験生なら十分お分かりいただけるだろうと思います。また、そういう魅力のあるものにしなければならないということでございまして、この運用に関しましては、
実務家の方からも教員に行きましてきっちりした
教育をしていくということでございまして、私は、そういう将来のことを
考えれば予備ルートの予備試験ルート、こちらへ流れ込むということはないと
考えております。
それから、もう
一つの御
指摘は、受験資格として構築すべきではないかということでございます。
確かに、この
改革審議会の
意見書でも、経済的事情や実
社会での十分な経験を積んでいる者云々と書かれておりますけれ
ども、この事由につきましては、
法科大学院を経由しない事情というのはそれぞれの受験者によって様々でございます。これを逐一全部拾い上げられるかということ、そういう点を
考えますと、やはり試験
制度の公平性の
観点等から
考えまして、予備試験の受験資格を一定の事由のみに限定するということが極めて困難またかつ相当ではないというふうに私
ども判断したわけでございます。
仮に、経済的事情ともし言われたときに、それについてどういうことが起こるかということでございますが、じゃ果たしてその当時本当に経済的事情で受けられなかったのかどうか、これをどうやって、何によって証明するかということにもなります。場合によっては家族の収入等、そういう点も全部証明をしていただかなければならない、場合によってはプライバシーにも入り込むという
状況が出てくるわけでございます。こういう点を
考えると、本当にいいのかどうかということが
一つ障害としてあったということでございます。
それから、
社会での活躍、これもいろんな
分野がございますので、これを特定できるかという問題がございます。それから、大量に今いろいろ受験されてくる方、そういう方に、個人について逐一全部それをチェックできるかどうか、短時間のうちにできるかどうかという問題。あるいは、あなたは受験資格がないと判定をしたときに、それに対して不服申立てをどうするか、多分裁判だろうと思います。そうすると、受験が始まる前にそういう裁判という問題も抱えなければならない。そういうことが果たして適当かどうか、相当かどうかということも十分に
考えた上の選択でございます。