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政府参考人(
工藤智規君) 先ほど
大臣から申し上げましたように、基本は、経済的な
理由でせっかくの
法科大学院に進学できぬことがあってはならないわけでございますので、私どもだけではなくて、政府を挙げてあるいは官民を挙げてそのバックアップのために知恵を出していかなきゃいけないという思いでございます。
ただ、今は
法科大学院の御質問ですからあれですが、あるところで、
法科大学院は中身の濃いしっかりした授業を行いますから、きっとアルバイトもできないぐらい中身が濃いんですよと言ったら、某東大総長OBの方からやじが飛びまして、
法科大学院だけではない、理
学部、工
学部あるいは医師
養成、ほかの
学部、
大学院でもやはりしっかりした支援体制が必要であると。正にそのとおりでございまして、私ども、まず第一番目に御
指摘がございました希望者全員への奨学金の交付というのは、かねてから私どもは、奨学金政策は十八歳自立
社会の実現ということで、高卒レベル以降は余り親掛かりではなくて、学生本人の意思と希望、
能力によって進学できるような環境を整備する必要があるんではないかと。そのために、無利子、有利子を通じまして奨学金の御用意をさせていただいているところでございます。
現実には、今、幸か不幸か低金利時代でございますから、有利子奨学金につきましても、実質上、無利子と余り変わらない状況でございまして、
大学、
大学院を通じまして、ほぼ希望者に添える形になってございます。今後とも、そういう方向での
努力をさせていただきたいと思っております。
それから、一人当たりの奨学金の枠を増額すべしという二点目の
お話でございますが、これは、先ほど
大臣、副
大臣から御
答弁申し上げましたように、現在の水準、有利子については最高額で十三万という水準でございますが、無利子、有利子合わせますと年間二百六十万ぐらいお貸しできるわけでございます。現在の水準が十三万という上限額、これでいいかどうかというのは私どもも大いに問題意識を持ってございまして、塩川
大臣の問題意識と同じでございますけれども、来年の夏まで掛けて更にその増額の
努力をさせていただきたいと思いますが、他方で、余りたくさんお貸しいたしますと返済のときにも負担になるということも、兼ね合いも考えながら、かつ希望者の需要におこたえするような
努力をしてまいりたいと思っております。
三番目の
給費制の問題でございますが、これはかねてから私どもも政策的な課題と考えてございますし、今現に
大学審議会等でも御
指摘をいただいているのでございますが、他方で現下のような財政事情もございます。しかも、育英会の貸与事業はそれなりに
意味もございまして、一つには、限られた財源の中で幅広く学生にお貸しできる仕組みということでございますし、もう一つは、学生から返還金を通じましてその学生自身が、自分がお世話になったそれをお返しすることによって、後に遅れて来る学生に奨学金が渡されると。そういうリレーといいますか、学生から学生へのリレーという、自立心、
自己責任あるいは
社会への還元という効果もあるわけでございまして、貸与制というのもそれなりに意義があるということで育英会ではこれまでやってきているわけでございます。
給費制は確かに政策課題でございますが、返ってこないお金でございますので、よっぽどたっぷりした原資がございませんとなかなか踏み切れない部分がございます。
他方で、現在、
大学院生の返還免除
制度というのがございまして、これは育英会の改組に伴いまして見直しをすることになってございますが、今のままですとやや偏った政策になっておりますので、見直すに当たりまして
幾つかの選択肢を考えられております。一つには
給費制を一部始めてはどうかという案もございますが、他方で若手
研究者を対象とした競争的な
研究資金を増やす方に回したらどうかとか、あるいはポスドクという、フェローシップが進められてございますけれども、修士段階レベルが空白な地帯になっていますので、修士レベルを対象にした若手
研究者の育成に、充実したらどうかという
お話でございますとか、あるいは在学して、まあ銀時計と言ってはなんですけれども、成績優秀者に一部免除するという仕組みを
導入したらどうかという、いろんな御提案をいただいてございまして、これから財源の確保の見通しなども考えながら更に
検討してまいりたいと思っております。
四点目でございますが、
教育ローンへの政府保証の実施ということでございます。これは
鈴木委員、御承知のことと思いますが、
アメリカで先行例がございます。
アメリカは連邦政府が奨学金をかなり充実した政策として用意しているわけでございますが、一時期、同じような政府保証での奨学金
制度をかなり大幅に行ったのでございますが、その反省に立ちまして、やってみたところ、やっぱり反省点が多くて、言うなれば失敗したかなというふうに私どもも受け止めておりますけれども、どうしてもお貸しする
民間金融
機関のモラルハザードが崩れて、かえって事務費が高騰するとか、あるいは学生へのサービスが低下するとか、結局政府としての財政負担も多かったものですから、今やダイレクトローンの方に切り替えているというふうに承知してございますけれども。
そういう
意味では、今、財投
機関債等も含めて育英会で必要な資金の調達に努めておりますけれども、低利の資金が確保できればそれにこしたことはないわけでございまして、
民間金融
機関のそれよりも高い金利の利ざやを更に埋める、あるいは
民間金融
機関の自主
努力を政府として何かお先棒を担ぐかのごときことになることではいかがなものかということもございますので、これは今後更に
検討が必要でございますけれども、
関係方面とも更に
検討しながら、トータルとして学生支援には万全を期してまいりたいと思っております。