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2002-12-03 第155回国会 参議院 農林水産委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年十二月三日(火曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  十一月二十八日     辞任         補欠選任      片山虎之助君     松山 政司君      平野 達男君     岩本 荘太君  十一月二十九日     辞任         補欠選任      西山登紀子君     市田 忠義君  十二月二日     辞任         補欠選任      郡司  彰君     齋藤  勁君      羽田雄一郎君     松井 孝治君  十二月三日     辞任         補欠選任      市田 忠義君     大沢 辰美君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         三浦 一水君     理 事                 国井 正幸君                 田中 直紀君                 常田 享詳君                 和田ひろ子君                 紙  智子君     委 員                 岩永 浩美君                 太田 豊秋君                 加治屋義人君                 小斉平敏文君                 福島啓史郎君                 松山 政司君                 齋藤  勁君                 信田 邦雄君                 本田 良一君                 松井 孝治君                 日笠 勝之君                 渡辺 孝男君                 大沢 辰美君                 岩本 荘太君                 中村 敦夫君    国務大臣        農林水産大臣   大島 理森君    副大臣        農林水産大臣  太田 豊秋君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       渡辺 孝男君    事務局側        常任委員会専門        員        山田 榮司君    政府参考人        厚生労働省医薬        局食品保健部長  尾嵜 新平君        農林水産大臣官        房協同組合検査        部長       上原 勝美君        農林水産省生産        局長       須賀田菊仁君        農林水産省経営        局長       川村秀三郎君        食糧庁長官    石原  葵君        林野庁長官    加藤 鐵夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農薬取締法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付)     ─────────────
  2. 三浦一水

    委員長三浦一水君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告申し上げます。  去る十一月二十八日、平野達男君及び片山虎之助君が委員辞任され、その補欠として岩本荘太君及び松山政司君が選任されました。  また、去る同月二十九日、西山登紀子君が委員辞任され、その補欠として市田忠義君が選任されました。  また、昨二日、羽田雄一郎君及び郡司彰君が委員辞任され、その補欠として松井孝治君及び齋藤勁君が選任されました。     ─────────────
  3. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農薬取締法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会厚生労働省医薬局食品保健部長尾嵜新平君、農林水産大臣官房協同組合検査部長上原勝美君、農林水産省生産局長須賀田菊仁君農林水産省経営局長川村秀三郎君、食糧庁長官石原葵君及び林野庁長官加藤鐵夫君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 農薬取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 常田享詳

    常田享詳君 おはようございます。自由民主党の常田享詳でございます。  まず、本法案質問に入ります前に、危機管理縦割り行政弊害についてお伺いいたします。  私は、薬剤師といたしまして、過去国会で何度かBC兵器、つまり生物兵器化学兵器危険性、また麻薬・覚せい剤問題等に取り組んでまいりました。とりわけ昨年の米国における同時多発テロの発生以後、我が国において、いついかなる状況テロが起きないとは言えないわけであります。テロへの危機管理については十分な対策が必要であると考えております。  農薬の中には大変危険な毒劇物が含まれております。農薬についてもテロに悪用される可能性がゼロとは言えないわけであります。テロ対策の一環として、農薬管理には十分な注意を払う必要があると考えるわけであります。今行われている国連によるイラクの査察リスト農薬工場が入っているのもそのためと考えます。過去にも、テロではありませんけれどもユニオンカーバイドインド社農薬工場からメチルイソシアネートが漏れ出し、二十万人の死傷者が出た事故もありました。これらは日本にも現在も輸入され農薬の原料として使用されていますが、極めて吸気毒性、いわゆる吸い込むことの毒性が強く、九六年から九九年の四年間で我が国でも二百八十九人が中毒死しております。  危機管理に、BSEで指摘されたような縦割り行政弊害は絶対許されません。例えば化学兵器禁止法、これは経済産業省でありますが、これと農薬取締法、これは農水省、これらは末端できちんと連携が取れているのでありましょうか。危機管理縦割り行政弊害について農林水産大臣の所見を伺います。
  7. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 常田委員専門分野から、テロに対する対応の御質問がございました。  我々は、本当にテロという問題に対して毎日毎日緊張感を持って対応しなければならないのではありますが、時としてそういう状況を他人事のように思うそういうふうなときがございます。そういう意味で大変貴重な御質問だと思います。  昨年の九月十一日に発生したアメリカにおける同時多発テロ事件に続く、また十月八日未明に開始された米国等によるアフガニスタンへの攻撃に関連し、同八日、つまり十月八日でございますが、関係大臣で構成される緊急テロ対策本部設置され、関係省庁連携を密にすることが申し合わされました。  農業につきましても、毒物又は劇物に該当するものも含まれております。テロに悪用される可能性も否定はできません。したがいまして、我が省としても、農薬保管管理徹底については農薬販売業者農薬使用者等に対して注意を喚起するとともに、その徹底を図るために食糧事務所職員等を動員して点検作業等を行っております。  昨今テロの動きが再び活発化する様相を見せており、本年の十月の十六日に内閣官房主催によるテロ対策関係省庁会議が開催されたところでございまして、この中で、今御指摘のありました経産省はもとより関係省庁連携を密にして、政府全体としてのテロ対策を迅速かつ的確に行うよう確認がされ、これを受け、農水省としても農薬製造業者販売業者に対して保管管理体制強化を改めて、先生からの御指摘もございますので、要請したところであり、我々もまた注意してまいりたいと、こう思っております。  以上でございます。
  8. 常田享詳

    常田享詳君 よろしくお願いいたします。  それでは、無登録農薬について、これまでの農水省対応についてお伺いいたします。  私が疑問に思いますのは、この無登録農薬の問題は今に始まったことではない、つまり何年も前から既に関係者から指摘されていた問題であるということであります。私は、この問題で逮捕者が出るまで農水省は無登録農薬についてどのように情報収集したのだろうか、その使用販売について厳しく指導したのだろうかという点について大変疑問に思います。残念なことに、今年に入って無登録農薬の問題がマスコミに大きく取り上げられたわけでありますが、農水省が無登録農薬使用について全国で立入検査を実施したり、使用販売規制について積極的に取り組んだという形跡はありません。つまり、農水省が長年にわたって法制度の欠陥を放置し続け、無登録農薬使用を事実上黙認し続けたことが被害拡大した大きな要因であると私は考えております。  今回の無登録農薬の問題では、全く罪のないまじめな農家、つまり風評被害を恐れ特定地域農産物が十把一からげに廃棄されたため、まじめに法律を守って登録農薬だけを使っていた農家までが大きな損害を被ったわけであります。正しく、私は正に肉骨粉の問題と同様の図式ではないかと考えるわけであります。  そこで、農水省の責任は極めて大きいと考えますが、大臣、いかがでありましょうか。  あわせて、もう一点、消費者の食の安全に対する信頼回復のためには、次の通常国会に予定されている食品安全基本法との整合性内閣府に設置が予定されている食品安全委員会農水省設置が予定されている消費安全局との連携が重要な課題と考えますが、大臣の決意をお伺いいたします。
  9. 大島理森

    国務大臣大島理森君) お答えを申し上げますが、常田委員が御指摘された最大のポイントは、肉骨粉、BSE問題と根本的には同じ問題がそこに潜んでいたのではないかという御指摘であったと思います。  私も、この職に就きましてからこの無登録農薬の問題の経緯、経過、こういうものを説明をさせました。そういう状況の中で、やはり根本的にあったのは、消費者というものをしっかりと位置付けて農林水産政策をやるというそういう緊張感とか、あるいはそういう視点でありますとか、そういうものがやはり私どもはまず第一点として反省をしなければならない、ある意味では共通した問題であったと思うんです。その上に立って、特に私は、多様な農業者で多様な生産物を作っておられます。そういう状況の中にどこかに、生産者がそこで使っているんだからというところまでは意識しなくても、そういうものを使うと、先ほど申し上げたように、消費者からどういう反応があり、体にどう影響するだろうかという、そういう危機感というものが私は全体的に希薄であったなということは否めない認識として私自身は持ちました。  したがって、これは前大臣のときからそうですが、前大臣が掲げた食の安全と安心という大きな農水省の新しい課題ということを踏まえまして、今次、ともかく今すぐに早急にできるものは何かという観点から、今次の無登録農薬改正ということでお願いしておるところでございます。したがって、具体的に言うと、無登録農薬使用規制輸入規制がないという、農薬取締法が十全でなかったと。  さらに、国と県、今、先生から御指摘いただきましたように、農林部局衛生部局県内連携が不備であった、これは地方自治体としての連携が不備であった。しかし、絶えず県なんかも国を見ているところがあります。国から縦割りに流れているところがございますから、そういう意味農水省としても反省すべき点があった。こういう反省に立ちまして、無登録農薬使用規制罰則強化を内容とした改正を提案させていただいたところでございますし、さらに国と県、県内連携システムの構築を図るということとしているところでございます。  さらに、私どもは、この無登録農薬だけの問題だけではなくて、先ほど、食の安全・安心信頼というものが大きな私ども課題でございますから、北村副大臣本部長として、そして食の安全、安心のための政策推進本部設置いたしまして、全体として食の安全・安心のための政策推進大綱国民各界各層意見を聴きながら作成をいたしておるところでございます。  反省すべきはしながら、対応するものはできるだけ速やかに対応し、そして一番大事なことは、そのことを、もしこの法案が成立させていただいたならば、農業者にしっかりと伝えるということが物すごく大事なことだと私は認識しているところでございます。
  10. 常田享詳

    常田享詳君 御答弁の中にはありませんでしたけれども食品安全基本法、そして食品安全委員会との整合性をきちんと取るということについて一言で。
  11. 大島理森

    国務大臣大島理森君) そういう状況の中で、私どもは、この食品安全基本法に、仮称でございますが、即しまして、そして農畜産物生産段階における食品安全性の確保が図られるよう、次期通常国会提出に向けて飼料安全法等関連法の見直しの検討を進めてまいりたいと、こう思っております。  加えまして、安全委員会がそれによってもしできたとすれば、これは評価の部分でございますから、評価は違う役所でやります。その評価を受けまして、我が省としては消費者行政リスク管理を一元的に担う新局を是非作りたいと、こう思っております。評価、そしてそれを今度は運営していく、管理していくという立場で、生産を進めていく局と別にそういう局を是非これから作って、委員会との間で連携政策調整の具体的な手法について取決めを締結するとともに、厚生労働省等との連携を一層強め、先ほど申し上げました縦割り行政にならないように、陥らないように、食品リスク管理に万全を期してまいる所存でございます。
  12. 常田享詳

    常田享詳君 よろしくお願いいたします。  次に、農薬登録適用拡大特定農薬について伺います。  農薬取締法では、農薬使用できる作物対象病害虫を限定しております。その結果、全国的に栽培されている作物であっても登録農薬数が非常に少ないのが現状であります。このまま登録農薬数が増えずに農薬取締法改正されれば、現場農家に大きな混乱が生じることも危惧されるわけであります。とりわけ、地域特産物マイナークロップ登録農薬が少ないため、適用を厳格に守れば新たな作付けがままならないという悲痛な叫びが現場農家から聞こえてまいっております。  一般の農薬登録は、作物残留試験や効果・薬害試験などに多額の費用を要しますので、地域特産物マイナークロップ農薬採算性が悪いとして農薬メーカーも新たな登録取得に消極的であります。したがいまして、農家が正規のルートで農薬登録使用するためには、登録農薬の少ない作物について登録適用拡大を早急に図る必要があると思います。もし、登録拡大を行えないまま一方で使用者罰則だけを強化するのであれば、現場使用する農薬がなくなり、まじめな農家法改正犠牲者になるわけであります。  そこで農水省に伺います。適切な適用拡大の取組について伺いたい。  あわせて、特定農薬は基本的には生物環境に害を及ぼさないものでありますし、伝統農法有機農法では現在も広く使われております。私は、いたずらに現場混乱を招かないためにも、特定農薬の定義と使用範囲については農家の皆さんが十分納得できる対応農水省にお願いしたいと思いますが、一方で、成分や規格、製法等に大きな違いがあるとも言われ、品質に大きなばらつきが出ることも危惧されるわけであります。そこで、特定農薬については、その安全性品質に十分留意した上で、生産者消費者がともに安心できる制度にしていただきたいというふうに考えるのでありますが、以上二点、お伺いいたします。簡潔にお願いいたします。
  13. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 二つお尋ねでございました。  一つは、適用作物拡大問題でございます。  先生指摘のように、市場規模が小さいマイナー作物等では、なかなかデータの収集のための費用が掛かるということで適用拡大が進んでおりません。したがいまして、私ども一つは、そういう試験費用でございますとか残留性データ集め等の支援をするということが一つ。もう一つは、現在何について適用拡大してほしいかという希望を受け付けておりまして、それを受け付けた後、データ等につきましてグループ化が図れないか、例えばアブラナ科葉菜類というグループ化が図れないかということを整理をいたしまして、グループ化ができました後、一月から各メーカーからの適用拡大申請を受け付けたいというふうに考えております。  それから、特定農薬でございます。  特定農薬法律におきましては、「原材料に照らし農作物等、人畜及び水産動植物に害を及ぼすおそれがないことが明らかなものとして農林水産大臣及び環境大臣指定する農薬」ということでございまして、これはもう登録を要しないものでございます。明らかに害を及ぼすものがないということで、具体的には、例えば牛乳をアブラムシの殺虫に使うだとか、そういう人が日常的に食生活で使っているもの等が指定をされているわけでございます。  消費者の心配もございますので、今後この指定のためのデータを集めまして、そのデータを基に、農業資材審議会に有識者から成る専門委員会設置して科学的知見に基づいて安全性について検証をしていただいて、生産者消費者とも安心できるようなものを指定していきたいというふうに考えているところでございます。
  14. 常田享詳

    常田享詳君 無登録農薬の問題に関連いたしまして、埋設農薬安全処理対策について伺います。  農水省は、平成十三年十二月六日に、「埋設農薬実態調査の結果について」という調査報告をまとめ、同年十二月二十六日に埋設農薬調査採掘等暫定マニュアルを通知したところであります。  私の地元鳥取県では、私が県会議員をやっております早い時期から、埋設農薬安全処理対策に県独自で取り組んでまいりました。平成五年から平成十二年度まで約五億円を掛けて安全対策を行ってまいりました。その際、記録を基に掘っても農薬が見付からず、周辺住民からの聞き取り調査や地中を掘り起こして埋設農薬を探すなど、大変な苦労をしたわけであります。  冒頭にも触れましたが、農水省生産局平成十三年十二月に埋設農薬実態調査の結果を発表しております。これを見ますと、都道府県の調査の結果、現時点で埋設場所が特定された農薬全国百七十四か所、総数量三千六百八十トンと書いてあります。この実態調査が行われてから既に一年が経過しようとしております。  そこで、農水省にお伺いいたします。初めに、この調査で明らかになった全国百七十四か所、総量三千六百八十トンの埋設農薬について、安全対策処理はどこまで進んでいるのか、具体的にお答えいただきたい。  あわせて、同調査報告書の最後には、農水省は「埋設農薬を安全に処理していくための処理技術環境省連携しながら開発している」と書いていますが、この一年間で処理技術開発がどこまで進んだのか。併せて二点、簡潔にお答えいただきたい。
  15. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 先生指摘のように、去年の十二月に調査結果を公表をいたしました。現在は、埋設地点安全対策といたしまして、農薬が埋設された周辺環境調査、これ百五十四か所でございますけれども、を行っているところでございます。この結果、周辺への漏出が認められた場合は、直ちに掘り下げまして、安全な場所保管するよう指導をしております。この掘り下げ箇所が七か所ございます。  それから、今後の処理技術技術開発でございます。昨年度までに四種類処理技術基礎的試験を行いましてデータを収集いたしまして、今年度は更に五種類処理技術基礎試験を行っているところでございます。平成十五年度には、実際の埋設農薬処理を念頭に置きまして、容器とか周囲の土、コンクリートの処理を含めた具体的な処理方法実証試験を十五年度に行うことにしております。十六年度以降は、これら技術開発により確立された処理技術を活用して埋設農薬の具体的な処理というものを進めていきたいと、このように考えているところでございます。
  16. 常田享詳

    常田享詳君 次に、無登録農薬に関連して残留農薬の問題について伺います。  国内農薬販売する際には、健康や環境への影響データ提出し、農薬取締法に基づく登録が必要であります。ところが、現在は農薬取締法に基づく使用基準登録保留基準食品衛生法による残留農薬基準とが十分にリンクしておりません。農薬取締法では使用基準を設けておりますけれども食品衛生法では残留基準を定めていない農薬が約百七十あります。また、これとは反対に、これは主に海外で使用されている農薬でありますけれども食品衛生法でのみ残留基準が定められている農薬が四十七あります。つまり現在、残留農薬基準農林水産省厚生労働省の二省で二重基準ダブルスタンダードの状態となっているわけであります。そのため、我が国残留農薬基準は非常に分かりにくいという批判が出ております。これは、明らかに農水省厚生労働省縦割りがもたらした弊害であり、現在でも残留農薬に関して生産者消費者に不要な誤解や混乱を生じさせる大きな要因となっているわけであります。  そこで、大臣に伺います。  私は、生産者にも消費者にも分かりやすい残留農薬基準制度とするためには、農薬登録申請時に使用基準残留基準設定を同時に行うことが不可欠であり、農水省同時設定の早急な実現を強く求めたいと思います。  そこで、使用基準残留基準同時登録実現について、具体的にどのような検討を進めておられるのか、大臣お尋ねいたします。  あわせて、もう言ってしまいます、あわせて、厚生労働省に伺います。  食品衛生法残留基準設定されていない約百七十の国内登録農薬についても残留農薬基準設定について検討する必要があると考えますが、この点について厚生労働省は現在どのように取り組んでおられるのか、お尋ねをいたします。  もう一点、厚生労働省お尋ねいたします。  水際での輸入食品輸入農産物検査監視体制の一層の強化を早急に実現することが不可欠であると考えます。水際でのチェック体制について厚生労働省は具体的にどのような強化策を考えておられるのか。新設される食品安全委員会の機能と併せて御答弁をいただきたいと思います。  以上、三点お伺いいたします。
  17. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 常田委員の御指摘は誠に大事なポイントでございまして、結論から申し上げますと、私どもは、同時設定につきましては、BSE問題に関する調査検討委員会における指摘も踏まえながら、次期通常国会で措置すべく現在検討中です。  今、御指摘されたように、登録されている農薬が三百五十種に対し、残留農薬基準が百八十しか設定されていないと、この御指摘消費者から見ても分かりづらいということはそのとおりだと思っております。したがいまして、先ほど申し上げましたように、同時に行うよう指摘を受けているわけでございますし、また常田委員から今、消費者国民視点からの厳しい御意見もちょうだいしたわけでございまして、厚労省環境省とともに具体的仕組みにつき検討を進めて、そして全体の問題として通常国会に何らかの対応できないかと思って、今努力してまいります。
  18. 尾嵜新平

    政府参考人尾嵜新平君) 厚生労働省といたしましては、今、大臣からお話がございましたが、食品衛生法の中で次の通常国会法案改正を予定をいたしておりまして、提出を予定いたしております。その中で、残留農薬基準設定されていない農薬等残留を原則禁止する、いわゆるポジティブリスト制の導入に向けて検討を行っておりまして、その際に、現在、御指摘がございました百七十の登録されております農薬のうち、基準設定されておらないというものについてもできるだけ早くその基準設定して、そういった対応を行いたいというふうに考えているところでございます。およそ三年ぐらいをめどに暫定的な基準を整備するということで進めてまいりたいということで、予算等の措置もお願いしているところでございます。  それと、二点目の御質問でございますが、輸入食品の関係につきましては、もう先生よく御存じのとおり、検疫所で今輸入食品についての残留農薬についての検査をやっております。そういった中で現在二百六十八名の食品衛生監視員がその対応に当たっているわけでございますが、一つは、こういった人員の増員というものを来年度、これまで以上に要求をしておるということが一つございます。  そういったことで体制を整えたいと思っておりますし、また、今申し上げました食品衛生法改正検討する中で、その中で、一つは国が行っております行政検査、いわゆるモニタリング検査でございますが、これにつきまして件数を増やすと、そうした場合の人員との関係もございますので、こういった国が行います検査につきまして外部の検査機関に委託できるような、いわゆるアウトソーシングと申しますか、そういったものができるような規定もこの改正の中で考えたいというふうに考えております。  また、あわせまして、現在、違反が見付かった際には命令検査を掛けるというふうな制度がございますが、その命令検査につきまして、これは政令で定めることになっておりますが、これにつきまして政令で定める手続等を要しますので、できるだけ機動性に富んだ対応ができるようにということで、この政令の指定要件というものも外したいというふうに考えております。  こういったことで、全体として輸入食品監視体制強化に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  19. 常田享詳

    常田享詳君 終わります。
  20. 尾嵜新平

    政府参考人尾嵜新平君) それと、ちょっと落としました。  先生から御質問の最後にございました食品安全委員会との関係でございますが、食品安全委員会はリスク評価を行うということで、残留農薬設定に関しては、その基になりますADIについては食品安全委員会の方が検討することになっておりますし、また管理につきましてもモニタリングをなさるというふうなこともございます。  十分連携を取って、国民の食に対する安全、安心のために、関係省庁とも密に仕事を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  21. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 民主党・新緑風会の信田です。  今日は、朝から見ていますと大臣はなかなかさわやかな顔をしているようでございますが、当然だと思います。青森県の八戸に新幹線が行ったと、これはもう大変喜ばしいことだと思います。是非北海道の方まで延ばしていただきますように御尽力を賜りたいと、こんなふうに思っているところでございます。  なぜこんなことを言ったかといいますと、実は、高速道路や道路網、そして新幹線も含めて、大変私ども北海道の方は、重要でありますけれども、道路はできた、新幹線はできたけれども、人はいない、過疎化になっていると。これが私は極めて重大なことで、行政は一貫してそういうことで並行して進めていかなければ、費用対効果も含めた問題が発生し、田舎の方は何も要らないという話になりはしないかと。  そういった意味で、大臣は恐らくお決めになったのか、今まだ進めているのか分かりませんけれども、新たな米政策に対する大綱、これも、そういった意味では非常に地域を守っている米、これが重要であるという意味でお聞きをしているわけで、実は、農薬の関係ですけれども、二点ほど前段お許しをいただきまして、委員の皆さんも御関心の高いものであるこの米政策を若干お聞きをいたしたいと思いますが。  今、大綱を決定しようとしているわけでありますが、大臣も私も考え方は同じでありますが、国民の主食である米、これは国土ばかりでなしに地方を守っておりますし、人間の命を守っておりまして、先般決められた農業基本法の基本は、食料、農業、そして農村と三つにしたのは、食料は消費者農業は農民、そして農村は村ですね。これは正に私は、国民のための命の基本法だといって重要な審議をしてお決めをいただいたところでありますけれども、この総則の四の中の括弧一の責務のところに、国の責務という項で、国は基本理念にのっとり食料、農業及び農村に関する施策を総合的に策定し実施する責務を有すると、こういうふうに書いている。  非常に大きなところから入ってきて恐縮でありますが、この理念に沿いますと、今、三年後、六年あるいはもうちょっと、ぼやけておりましてあいまいでありますけれども、将来の生産調整を国が関与しないと。生産調整だけが米政策ではありませんから、私は一面納得はしていますよ。しかし、需給調整があるかないか、成功しているかしていないかによって、今日まで三十年もやった生産調整が失敗している情勢にあるときに、この生産調整を国が関与しないということは今私が申し上げた農業基本法の理念に反しているのではないかというふうに、大臣にまずお伺いをいたしたいと思います。
  22. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 大綱は今日、省議で決定しようと思っております。その上に立って御議論を私はいただくことに相なろうかと思いますが。  米の問題については、日本農政の、私は、基本である、したがってそういう観点から国は様々な施策を施していかなければならぬと、このように思っておりますし、先般、信田委員にも、御陳情においでになったとき、是非民主党さんでも米の改革案をお示しいただきたいと。できれば今日ではなくて昨日、おととい辺りに民主党さんの案が出てくればそれらもまた勘案したいなと私は思っておりましたが、私の手元には残念ながら参りませんでした。  米というのは、生産者、農村、農業者農業団体ではなくて、そればかりの関心事項ではなくて、都市にも国民にも関心がある基本的、大事な問題だという認識は信田委員と一緒だと私は思っております。
  23. 石原葵

    政府参考人石原葵君) それでは、私の方から補足させていただきます。  ただいま信田委員の方から農業基本法の、食料・農業・農村基本法の第七条を引用してのお話がございました。  基本法の第九条でございますが、第九条に、「農業者及び農業に関する団体は、農業及びこれに関連する活動を行うに当たっては、基本理念の実現に主体的に取り組むよう努めるものとする。」という規定がございます。また、第十一条には、国及び地方公共団体は、施策を講ずるに当たっては、農業者及び農業に関する団体の主体的な努力を支援することを旨とすると、こういう規定もあるわけでございます。  このような第九条、第十一条の規定、これを受けまして、十一月二十九日に、生産調整に関する研究会、私の私的諮問機関でございますけれども、ここで取りまとめられました「水田農業政策・米政策再構築の基本方向」、これにおきましては、平成二十年度に農業者農業者団体が主役となるシステムを国と連携して構築すると、そういうふうに規定されたところでございます。  具体的に何をやるかということでございますけれども農業者農業者団体が主役となるシステムへの移行後の将来の姿、こういう将来の姿におきましても、需給調整につきましては、一つは、国が事務局となりまして透明性ある公正中立な第三者機関的な組織の助言を得て、客観的な指標による予測値を需給情報として提供すると、これが一つございます。それから二つ目には、農業者団体が自主的に行う生産調整の配分や推進に対する助言、指導がございます。それから三つ目には、農業者団体が主体的に行う豊作による過剰米処理に対する支援、こういうものを行うことになっております。こういうような関与を国が行うということにしているところでございます。  このように国がいろいろな面で関与を行うことがございますので、基本法第七条の、国は基本理念にのっとり施策を総合的に策定し及び実施する責務を有すると、こういう考え方に反するものではないというふうに考えているところでございます。
  24. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 まず最初に、大臣から民主党の政策にもお触れをいただきましたけれども、実は民主党は、米だけの農業政策を出しているのではなくて、総合的に日本の食料をどうするか、農業をどうするか、農村をどうするかという立派な政策を持っておりますし、決して大臣から御指摘いただけるようなことではございませんし、私自身は米十町も作っていますから私なりの個人の米政策はちゃんと持っているつもりであります。  また、長官の言われる中でですが、生産調整に情報提供や助言と言いますけれども、こんなものは今、私の息子たちは全然要らないですよ、自分で全部やれますからね。そこで国が関与しているなどということでは駄目ですね。あわせて、団体と言っていますけれども農業団体は今、米を集荷したり、様々にかかわっているところはもう五〇%を割る状況ですから、そこと協議したりそこといろんなことをやっても成果が上がらないで、またぞろ生産調整は失敗しますので、もっと総合的にやった上での生産調整を農民自身がどうやるかというふうに早く作っていただきたいと。これは今日じゅうに決めるという大臣にもお願いしたいわけですが。  それと併せて、長官に若干中身のことをお聞きしたいんですが、今回、非常に私は評価している産地づくりの推進交付金ですね。これは非常に評価をしていまして、農業版の地方分権と私は言いたいところですね、出だしとして、出発点。  しかし、これは国がガイドラインをどのように示すかなど、あるいは、聞くところによりますと、予算も非常に少ないし、これは果たしてどうなのかなと。まだまだ問題がありますけれども、これは非常にいいことですから、実はもう一つとペアでやるところの経営安定対策、これと一緒にやれば効果は上がると思いますが、一番肝心な、将来を目指すあるいは世界やWTOを目指す食料政策の経営安定対策は非常に後退して貧弱だと、こういうふうに私は思っていますので、加入面積の問題、生産者拠出の問題ですね、大いに見直していく必要があるんじゃないかと。  あわせて、ちゃちな見直しをするよりも、交付金と経営安定対策をきちっと充実したこれを二つセットにして、私はやっぱりヨーロッパ、アメリカのような直接支払制度に一気に変えた上で、さらに、農家が守っている多面的機能の環境支払をプラスして所得補償政策として国民にどんと示せば私は納得してもらえると、正に大転換を図ったなというふうに国民から大きな評価を得るんでないかと、こういうふうに私はもう前から持論として持っているんですが、長官、この際、思い切って変える気はありませんか。
  25. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 担い手に対します経営安定対策お尋ねでございます。  私ども、この担い手対策を講じる場合に二点の観点を持っております。一つは、水田営農につきましては、非常に構造改革といいますか、が遅れておるということが、生産構造がまだまだ遅れておるということがございますので、平成十二年に公表いたしました「農業構造の展望」、これを目指してその実現をどう図っていくかという観点がまず必要でございます。それからもう一つは、そういう農業構造を支える効率的、安定的な農業経営、この方々が規模拡大や経営改善、そういうものを行う際に、これは農業でございますので自然災害等もございますので、著しい米価下落があった場合にその影響緩和、いわゆるセーフティーネットをどう確保していくかという、この二つの観点から検討すべきというふうに考えております。  今回、私ども基本的な考え方として、水田農業の場合は非常に集団的な取組、集落を単位とした取組も非常に重要でございますので、一つはこの集落型経営体というものも主体として位置付けるということでまず考えております。そういう集落段階での話合いを通じまして、地域ごとに担い手を明確にしていく、そして農地の利用集積の加速化等を図っていくということがまず第一点必要だと思っております。  そして、担い手の経営安定につきましては、やはり米価下落による稲作収入の減少の影響が大きい層、こういうものを対象ということで、やはり一定規模以上の水田経営というものを行っている担い手を対象にしていきたいと。  それから、今、委員の御指摘の中にありました産地づくり推進交付金、この中に、言わば一般的な対策として米価下落の影響緩和対策も盛り込まれております。これを言わば一階部分として、その上乗せの措置として担い手に対策が講じられないかという観点でやっております。  そういうことをやっておりまして、当面は、いろいろ外国の例等で直接支払等のお話もございましたが、この考え方で当面の対策はまず着手をして第一歩を踏み出していきたいというふうに思っておるところでございます。
  26. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 大臣は非常に意気込みを持っていますし、新たな世界に向けた政策に向けて転換を図ろうという意思は、大臣の方からはどういうふうにお考えでしょうか。
  27. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 恐縮ですが、議院内閣制でございますので、与党の合意を今日全部いただき、大綱を作った暁には、もちろんこの委員会でも御議論いただきます。私、一番大事なことは意識の改革ではないかと、こう思っておりますし、今度の米大綱、米政策の大綱がどこに向かおうか、どこに向かおうとするのか、そのことを農業者の皆さんにも、都市の皆さんにも消費者の皆さんにも御理解いただくことが大変大事だと思います。  したがって、私ども、両副大臣、両政務官も先頭に立ちながら、大綱を作った暁には全国にできるだけ行って、米生産者と、この概要を説明し、一緒になってこういう方向で進もうじゃありませんかというところからまず問い掛けをし、説明をし、そしてその上に立って、来年の通常国会には法改正等も出てまいります、予算もございます。そして、ある一定の期間本当に生産者が自分たちの意識を、消費者の需要を感じ取りながら意欲的にやれるようなそういう体制に行くまでの間にしっかりとした様々な基盤を作り、意識もそういう方向に向かっていただくことが本当に大事なことだという思いで、今日、大綱を省議として決定させていただいた暁にはこの国会でも御議論いただくと思いますが、そういうところから着実に、しかし勇気を持って進めてまいる所存でございますので、御理解をいただきながら、参議院、衆議院共々に皆さんの御理解をいただき、ともになって進めてまいりたい、また進めていかなきゃならぬ、こういう思いで取り組んでまいりたいと、こう思っております。
  28. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 余りに遠回しで答えにはなってないと思いますが、何となくは意欲は感じられるような気がいたすところでございます。  もう一つ委員の皆さんに御了解をいただいて。私のところ北海道、タマネギの大産地でございまして、この点ですね、最近、大変皆さん、国民に御心配、御迷惑を掛けている事件といいますか、問題があるのは、せっかく豊作になり、たくさんいいものが取れたタマネギを廃棄しているわけですよね。そして、先日、先日というか二、三日前に帰りましたら、また二次廃棄まで検討されているという状況がございまして、非常に私は懸念をしている一人でございます。  実は、これは野菜価格安定基金制度というのがあるわけでありますから、この点について担当生産局長にお聞きしたいんですけれども生産量の七%、四万八千トン、第一次のタマネギの廃棄を行ったわけで、これに対して、マスコミも含めて大変、現場の投げているのをどんどん映してセンセーショナルに取り上げられてしまったと。このことで価格が上がるかと思ったら、依然として価格はなかなか上がらないで、本来、安定基金制度の中での目的は達してないわけでありますが、WTOの下で自由化、市場原理で、昨年はネギなどの三品目はセーフガードの暫定発動を行いましたよね。そのときも、去年タマネギ安くて、タマネギも一緒に暫定発動してくれという強い現場の要請があったわけですが、ともあれ、暫定発動したところ、中国は即、これに対して報復措置をした。ですから、私は、野菜などのセーフガードはWTOにあるにはせよ、途上国やその他の国に、まあアメリカとやるんなら別でしょうけれども、セーフガードすら非常に問題がある。  しかも、消費者が食べたい野菜を日本の国内で廃棄するという、これも私は非常にこれいいことではないんではないかと。確かに制度はありますから、これを利用して三十二円を生産者に払うわけですが、これは廃棄する運賃とか様々な問題で消えてしまうわけでありますけれども、このことはせっかく立派な重要野菜等、野菜価格安定基金制度があるわけですから、本来のこの使命、目的を果たせるようなことに今なってないんじゃないか。  基本的には、予算とかそのほかあるわけですが、私は一貫して長年これを訴えて、決して消費者生産者が対立するような野菜作りは駄目だと、これは農薬に共通するから併せて言っているわけですけれども、そういう意味農業の国際化、自由貿易、グローバリゼーションの今日、途上国に対してセーフガードも、それから廃棄もすることでなしに、価格安定基金制度を充実させて、二度とそういうことにならないで、再生産をして、消費者には取れたときには安く行く、そして安くて所得がないときには農家には一定の補償をしていくということが、充実させることこそ本来の農林省の在り方であり、今の価格制度を充実すればそれは可能だと、こんなふうに思っていますので、是非これ、農水省としては抜本的見直しをしていただきたいものだと思うんですが、いかがでしょうか。
  29. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 北海道のタマネギのお話でございます。全体で四万たしか九千トンだったと思いますけれども、廃棄をされたということでございます。  一つ、セーフガードのお話がございました。私どももセーフガードの問題を検討はしたわけでございますけれども、タマネギに関しましては輸入量との関係が明確でなかったという問題がございます。  そして、ここで考えていっていただきたいのは、価格が市場で形成をされている、タマネギは豊作ぎみということで供給が増えている、そういうときに手をこまねいていたのでは価格が暴落をいたしまして来年度以降の生産がうまくいかないと。それは消費者にとってもメリットのあることではないということでございまして、どうしてもやはり市況の回復のためには一定部分は市場からなくす、廃棄をしなくてはなかなか市場の回復につながらないと、これは経験則からいってもそうでございます。  そういうことで、地元の農業団体が言わば苦渋の選択をされて、生食用に回すもの、それからその次加工用に回すもの、残ったものを仕方なく廃棄をすると、それが私ども現在取るべき、考えられる市況の回復のためには最善の手段ではないか、そういうことに対して経費部分の助成金を支援すると、こういう考えた挙げ句の手段でございまして、そこのところは、市場原理とそれから価格の補てんの組合せの仕方として御理解をいただきたいというふうに考えているところでございます。
  30. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 今日は農薬の集中的な審議ですからそれ以上の追及はいたしませんけれども、今の答弁では消費者の皆さんと生産者が理解し合ってちゃんと野菜が国内で自給していくということにはほど遠いお答えで、大いにこの後議論していきたいと思います。  さて、本法案農薬取締法の一部改正に関しては、私は今日は、私も四十町作っている生産者で、大体何百万も農薬使う一人でありますから、いわゆる使用者側の立場で今日は基本的に考えてみたいと思います。消費者側の関係は後ほど多くの皆さんからまた御質問があろうと思いますが。  この農薬問題を、事件が起きたからといって、ただ単に農薬というその視点だけで考えることは非常に危険だと、こういうふうに私は思いまして、これは国民と人類の命の法案として作るぐらいの気持ちでなければこれは駄目ではないかと、こういうふうに私は思っているところです。  これまで衆議院の農水でもたくさん御意見があったように、この命の基であるところの水、空気、そして土壌、我々が作っている土地の健康、そして樹木、川、海、動植物すべてが農薬に直接関係する重要な問題、かつ国内、国際的にもこれは関心が持たれている非常に重要な問題であるということをきちっと踏まえた上でやらなければならないと、こういうふうに思っているところです。しかしながら、余りにも今日では、今日の改正点では問題が多過ぎると、こんなことであります。  そういった意味で、実際使っている我々はどうなのかということを申し上げながら、随時関係する局長大臣にお答えをいただきたいと思いますが、この山形や全国で事件として問題になったのは、なぜ起きたのか。これはBSEのときでもそうなんですけれども、農取法ができまして以来、度々学者などから、これはもう改正しなければ駄目だ、人によっては抜本的に改正しなければ駄目だとまで意見が農林省に出されたことはもう既に記録されている問題なのにもかかわらず、これに手を着けなかった。その結果、悲惨な事件となって消費者には大きな不安を与えてしまったわけなんですが、その点について農水省は、私は非常に長年怠慢であり、大きな責任があるんではないかと、こんなふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  31. 太田豊秋

    ○副大臣太田豊秋君) 今、委員指摘のとおり、大変長い間この改正が遅れてきたというふうなことで、このことにつきましては正に率直に反省せざるを得ないというふうなことで考えておるところでございまして、そういった中で現行の農薬販売とか使用に関する法体系というものは、無登録農薬について販売を禁止しまして、そして罰則適用する、あるいは営業停止などの行政処分を科するなどの抑止力により、その流通を防止しようとする考え方に立脚するものでございます。  また、最終的なチェック方法といたしましても、食品衛生法に基づきまして厚生労働大臣残留農薬基準を決め、これに反する食品の製造、加工、販売を禁止することによって、その使用の適正化を図るという体系となっております。  しかしながら、今回の事案は、無登録農薬に関し農薬取締法農家使用規制輸入規制がないことを奇貨として、安価な無登録農薬を輸入して販売し、これを農家が購入して使用するほか、販売規制の抜け道として、農家の委託を受けていわゆる輸入代行業者が輸入を行うなどの実態が見られたところでございます。  今から振り返って考えてみますと、委員指摘のように、今回の問題の端緒となりました山形県下の無登録農薬問題は、山形県内においては平成三年くらいから種々の情報があったものでありますが、結果的にはこれを摘発することができなかったものでございまして、大変に反省をいたしております。
  32. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 率直に反省のところは副大臣が認めていただいたわけですが、実は私は反省よりも責任の方を強く先にお答えを求めたわけでありますけれども、それはそれでまたお答えいただきたいんですが、やはり反省するぐらい問題は起きてしまったんですが、これまでこんなに遅れて、国際化の非常に進んで様々な問題がだれだって予知できたにもかかわらず対応できなかった、この遅れた理由と責任の問題と併せてもう一度御答弁いただきたいと思います。
  33. 太田豊秋

    ○副大臣太田豊秋君) 反省の問題も先ほど申し上げましたとおりでございますし、そういった中で今回、無登録農薬全国的に流通、使用され、国民の食に対する不安を招いたことにつきましては、無登録農薬使用規制輸入規制がないことなど、農薬取締法が十全でない部分があったこと、また国と県、それから農林部局衛生部局県内連携が不備であったことなど、農林水産省としても反省すべきものと考えておるところでございます。  こうした反省に立ちまして、今次臨時国会農薬取締法の無登録農薬使用規制あるいは罰則強化などを内容とした改正を御提言させていただくとともに、国と県、県内連携システムの構築を図ることといたしたところでございます。  今後は、消費者、生活者という視点を忘れては生産というものがあり得ないという観点から、食と農に対する信頼の確立に向けて取り組むように大臣から強く指示を受けて、いただきましたので、北村副大臣本部長とし、私が副本部長といたしまして、食の安全・安心のための政策推進本部において、食の安全・安心のための政策推進大綱、仮称でございますが、国民各般、各層の意見を聴きながら作成をすることといたした次第でございます。  これらを通じまして、国民の皆様の信頼回復に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
  34. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 やはり、責任の問題は責任逃れのようでありますけれども、なぜ責任の問題を追及して、私は責任で賠償要求とか補償要求を求めているんじゃなくて、そういった責任を感じながら二度とこういう事件や消費者との対立や不安を持たせない、信頼性を高めていく法律作っていただきたいから、ここをまず検証した上で次に入りたいと思ってお聞きをしたところでございます。是非、これはお答え要りませんけれども、是非そういう点を省内できちっと踏まえてお願いしたいと思います。  次に、大臣お尋ねしたいわけでありますが、衆議院農水で大臣は、今、副大臣からもお話ありましたけれども、現農取法は十全でないということを承知しながら法の改正を今回行うわけでありますが、私は、法だけを改正しても、やはり農業政策の全体と並行してやっていかなければなかなか実効が上がらないでないかというふうに思っている一人なんです、農業経営者として。  すなわち、農業の国際化で経営形態が非常に変わった、構造の変化ですね。そして、常に市場競争が求められて、消費者の安全に対するニーズも大きく変わった。さらに、地球環境の問題が大きく今国際的にも取り上げられる状態になったし、先般、水産白書、今までは漁業白書でしたけれども、水産白書を見ても、漁獲量の減少あるいは魚群の変化、様々な問題も起きていますよね。こういった変化。あるいは、土壌汚染などは、もはや一グラムに対するバクテリアの数が極端に減っている、そのうちの有効バクテリアが減っているとか、大気の汚染などは空中散布などもありますけれども、こういったものを踏まえて農取法がいかに十全でなかったかということが明らかなわけですね。  そして、そういうところに、十全でなかったから、違反をする製造や販売あるいは輸入、それにうまく口車に乗せられて農民は使うと、こういう農業構造政策に競争を強いられていますからどんどん使わざるを得ない心理状況に追われていた。  こんなことで、こういうことを知りながら抜本的に改正できなかったことについて、今適切な私は答えがなかったというふうに思って、非常に関係省庁厚生労働省あるいは環境庁も含めて、当時の省も含めて、私は非常に怠慢で責任が多いと。こういうふうに思って、これはBSEの問題のときもそんなようでありますが、常に遅れたことによって被害者は農民と消費者の方に行ってしまう。  それだけに、農薬取締法の一部改正ではなくて、私は、新農薬取締法として、抜本的でなくて新しく立法すべきではないかというふうに私は大臣に強く求めるんですが、いかがでしょうか。
  35. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 先生から、一つ反省、今、太田大臣が自らを反省するという農水省としての意見を、所見を申し上げさせていただきました。責任というものをどう考えるんだということの答えがないではないかと。  責任というのは幅広いものだと思いますが、やはり二度と起こらないようなシステムを作っていく努力をすることが政治の一番大事な責任だと思います。そして、この経過を見たときに、流通させない、もちろん造らないし流通させないし、そして使用させないということを、この入らない、造らない、流通させない、使用させないというところをまず押さえる、まず早く押さえていくということをしないといけないということで、今、法案のお願いをしておるところでございます。  そういう観点に立って、今までの取締法の法改正という中で十分それは行い得ますから、むしろ今までやってきたものをこういうふうに変えますという意味では、法改正ということの方が私ども、いいという判断もいたしましたし、さらに、衆議院、参議院におきまして、農薬取締法改正の審議経過の中で、なるほど各委員の皆様方がこういう点もあるなということも更に私ども勉強しながら、まだ改正しなければならないところがあるとすれば通常国会も視野に入れながら勉強してまいりたい。  繰り返しますが、外から入れない、造らない、そして流通させない、そして使わせない、この点だけは早く押さえたい、押さえなければ私ども反省に立った責任を果たせないということで今、法改正をお願いしている。まるっきり新しい新法となりますと、今までにある法体系と新法とどういうふうな整合性を持つのか、どういうふうな考え方に立たなきゃならぬのかという意味で、これはかなりの議論が私、必要であろうかと思います。新法よりはそういう法改正という形の方が責任を速やかに果たせることではないのかな、このように思っているところでございます。
  36. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 なぜ新法まで踏み込んだかというと、実は衆議院農水で我が党の農取法の修正案を提出いたしたところでございます。これは与党の反対で否決にはなりましたけれども、この提案の中身は、もう抜本的に変えなきゃ駄目だよというぐらいのものを提案させていただいたわけでありまして、一部改正では効力が非常に発揮できないんではないかということで、大臣から基本的に言ったのも間違いありませんし、それは重要ですから、今の法律でも一定程度はありますけれども、更に強めることでそれは十分なんですが、私が前段申し上げた国際情勢や農業情勢や様々なことからいうと、私はまだまだだと。  こういう意味合いで申し上げたんですけれども、今、大臣の言ったその程度のことで、ざる法とは言いませんけれども、まだまだ抜け道が出て、またぞろ何か起きるんでないかという、私は生産者の立場から不安なものですから聞いたわけですが、これは十分発揮されるというふうに思いますかね、この一部改正法案だけで。
  37. 大島理森

    国務大臣大島理森君) こういう論議をしているということが様々な報道を通じて農業者に伝わって、むしろ私どもがもっとこれ配慮しなきゃならぬなという、そういうふうな議論を今朝も、今いただいておりますし、やはり少なくとも農業者には無登録農薬を使っちゃいけないということはかなり浸透してきたと私は思います。  したがって、そこの意識がとても大事なところだと私は思うのです。そういう意味で、この法改正は私は相当程度有効にこれは結果を出せるものと、このように思っております。
  38. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 大臣のおっしゃるとおり、私はかなり今回の改正は効果はあるとは思っていますよ。しかし、これまでの法律でも、別に全員の農家が使っていて事件が起きたんじゃないんですよね。必ず何万人か何百人かのほんの一人か二人が抜け道を探って、あるいはいろんなことで使った結果が事件になっておりまして、そういったことを今度、次に具体的に踏まえながらまたお答えをいただきたいと思いますが、まず、大臣にまたお尋ねしますけれども、これ何で、今、大臣がおっしゃられたようにマスコミに取り上げたり様々なことで大事件になって被害があるという、こういう、しかも信頼を完全に失うというぐらい無登録農薬残留農薬があると困るにもかかわらず、農家が無登録農薬を使ってしまう。これは、そこのところの原因をきちっと検証した上で法を整備しておかないと、またぞろ使って、一生懸命になっている農家に大きな被害、そしてまた消費者にも不安あるいは信頼を失ってしまうことになると思いますが、何でこんな無登録農薬を、大臣として、農業地帯で自分も農業にかかわっていると思いますがね、思いますかね。
  39. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 売る人がいるから買う人がいるのか、買う人がいるから売る人がいるのかは、私はどっちもどっちだと思います。  やはり、売る人の立場からいうと、言わば登録するに当たっては大変な経費とそして手続が必要だという、そういうすき間産業としてもやってみたいと。それは、市場原理を基本とした私どもの自由競争の社会、自由経済の社会の中では、ぎりぎりの様々な商売をしようとする人は尽きないものだろうと、このように思います。  一方、買う人たちの立場からしますと、やはりその農薬が安いということも一つの理由ではないかなと思います。そのことが農業経営のコスト低減になるという、そういう認識があったのではないでしょうか。  もう一つ生産者の皆さんに、そういう無登録農薬を使うことが一見低コストであるけれども、基本的に、結果になって高コスト若しくは売れなくなるという認識の部分が生産者の中に薄かったということも言えるんではないかと思うんです。  また、先ほど常田先生からも御指摘いただきましたが、ロットの少ない、こういう作物に対して、なかなか農薬メーカーは、そこに合わせて研究を重ねたりなんかした登録農薬というのは少ないというのも現実でございまして、実際にこの無登録農薬を、先ほど申し上げましたように、入れない、造らない、流通させない、使わせないと、こうなってまいりますと、そういう現実的な問題も出てくるという意味で、私どもはそういうこともこれから現実的に対応をどのようにしたらいいかということを考えなければなりませんが。  長々と申し上げましたけれども、やはり売る人の立場からすると、何とか金もうけたいと思うのがこの市場社会の一つの思いの中で、すき間産業としてやりたいという人が一方いて、買いたい人の方は、低コストのこともあったでしょう、あるいは結果として経営コストを下げたいという思いもあったでしょうが、やはりそれが、消費者をもっともっと考えれば、そういうことが逆回りして高コストになり、売れなくなるという認識を、もう一度意識としてしっかり持ってもらうということも大事なんではないかなと思っております。
  40. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 私は、別にこの問題で大臣を追及するために言ったんでなくて、その視点から政策導入や政策転換や並行してやってほしいために申し上げて、大変、大臣もコストの面に触れていただきましたが、後ほどまたこの点について農林省にはお伺いしたいと思いますが。  実は、今言ったようなことは戦後の農業の変遷を見てみると分かるんですよね。二十三年にこの農取ができて、その後どんなになっているかというと、大規模な構造改善事業、これはもう村から民族の大移動が起きるような大きいことが起きて過疎になりましたよね。そして、減反政策が行われ、その後、ガットの農業合意という中で、世界の競争の中に農業はやむを得ず入った。別に皆さんが悪いと言っているわけじゃないですよ。こういって農産物も、非常に競争されるために多様な、今、大臣からもおっしゃられた、物を作ったりして工夫してきたわけですね。そのときに、いろんな農薬や何かがかかわるわけでありますが。  そして、最終的に一番大事なのは環境問題、それから食の安全問題ですね。いわゆるポストハーベストとかそういう問題、残留農薬も含めてでありますが、いわゆる国民の命にかかわる、そういう公害問題も含めた問題が起きたからこそこれは問題になっているわけですが、それなのにもかかわらず、農水省が、先ほども何回も聞いていますが、この対応が遅れて今ごろ、しかも一部しか改正しないというんですが、私は、これまで改正について相当あったにもかかわらず、要求があったにもかかわらず行ってこなかったことには、これはもしかしたら団体や業界の圧力があったんではないかと。これは、大臣は今、就いたばかりですから、いいですから。農水省は長くこれずっと歴史を持っているわけですから、そういうことがあったのかないのか。
  41. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 先生指摘のように、農薬というものの本質といいますか、を考えてみますと、一つは、農薬そのものは危害性を非常に含む物質でございまして、環境リスクでございますとか、人の健康へのリスクでございますとか、安全性を確保しなくてはならない物質であるという側面と、それから農業生産の面におきましては、機械、肥料と並びます基幹的な農業資材、そして、それが低コスト化に取り組まなければならないという、そういう側面と、二面あるわけでございます。  私どもは、その前者、安全性の方は、この農薬取締法あるいは食品衛生法、あるいは関連する毒物・劇物法律等々の仕組みの中で、無登録農薬販売を抑え、それから残留農薬、これ食品衛生法でございますけれども残留農薬の一定の基準を満たすようなものの製造とか販売は禁止するんだと、こういう体系の中で、安全性の方は遵法精神を発揮していただければ何とか守れるのではないかというふうに考えてきたわけでございます。そして一方で、農業政策として低コスト化ということを進めてきたわけでございます。  ところが、今日、やはり多段階で、輸入、製造、それから使用、先ほど大臣も申し上げましたけれども、そういう多段階で規制をしなければ安全性の方が確保できないということが、これ手後れ、反省する面、多々ございますけれども、はっきりと認識できまして、その面の改正を現時点でお願いをしているということでございます。決して、この団体だとか、そういう生産者サイドからの要請で手をこまねいてきたということはございません。
  42. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 実はなぜこんなことを聞いたかといいますと、実は衆議院農水でも質問がありまして、山形県の事件の関係について農水省は、あるいは県が大変実態をそのまま報告しなかったり、いろんな問題が答えられていましたよね。それで、私は、もしかしたらそういうところもあったんではないかと。そういうことで圧力があったことによって遅れた、遅れたことによって山形のような事件が起きた、そしてまた不安が起きた、そしていろんな起きたということについて検証するために繰り返し言っているわけですが。  これ、もう一度聞きますけれども局長、山形県からの報告があったのに農水省は、私は、ある時間、握りつぶしたんじゃないかというふうに悪く考えるんですが、そこ、どうなんですか。
  43. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 大臣からの御指示によりまして、過去の経緯を私どもも点検もしてみました。  そして、今回の無登録農薬に関連した経緯といたしまして、昨年の八月三日に山形県から農林水産省に対して、ダイホルタンとプリクトランが県内販売されているとの情報提供があって、立入検査を行う予定であると。同八月七日、昨年の八月七日に立入検査の結果、販売の事実がつかめなかったと、こういう報告が県からあったわけでございます。これに対して農林水産省の担当官は、販売の事実をつかめなかったという報告があったために、そういうことならば、販売業者ではなくて、現物を押さえて、買った農家の陳述書を取って、再度立入検査を行うよう指示したわけでございますけれども、その後、県からの回答はなかったという状況でございます。  度々問題にされるのは、どうして農林水産省は立入検査をしなかったのかということでございます。実は、そのときの内部の規範でございまして、国が立入検査をするのは、都道府県に任せていない製造業者と輸入業者、これに関する情報があったときと、それからもう一つは都道府県からの要請があったとき。これは、販売業者は国も県もできるわけでございますけれども販売業者に入るときは都道府県からの要請があったとき、すなわち確定情報をつかんだとき、事実をつかんだとき、こういう場合に国が立入検査を行うということとしていたわけでございまして、そういうことで立入検査はしなかったわけでございます。  今から振り返りますと、やはりこうも拡大したわけでございますので、こういう場合にもきちっと対応するようなマニュアルがなかったということが組織の在り方として問題ではないかということでございまして、こういうことを整理、点検をしながら、今後の、二度とこういうことのないような組織運営の在り方について抜本的見直しということを現在進めているところでございます。
  44. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 是非ひとつ、大いにそういった先ほどの反省も含めて、農民や消費者被害のないように進めていただきたいというのが、この農取に対する抜本的な改革を求める私の願いであります。  そういう意味で、実はどうしても現状を農水省にもう一度確認をいただきたいために申し上げたいのは、なぜこの無登録農薬を使ったのかと。実際に農家の大方の人は今ある農薬で間に合うんですよね、本当はね。それなのにあえてこの何人かの人が使ったと、全国的には相当の数になりますけれども。  一つは、もう御指摘のとおり安いということが魅力だったんですね。例えばラウンドアップの場合、グリホサートということで買えば十分の一である、あるいはよく効くと。ダイホルタンなんかは、これはもう失効しましたけれども、これはあったら農家の人はだれだって使いたいんだと。それから、それなりのルートで探せば持ってきてくれるんだそうですね、業界がね。  それから、例えばナフサクなんかは、メーカーが、失効をして登録外れていますけれども、実はこの登録やめたというのは、三年更新のときに、余り売れないから、もうからないからやめたというだけの話だと。別に使ってもそんな害はないわけですが。アメリカでは登録されているし、日本でも農薬でなくて試薬品として、あれは化学品ということで通産省から何ぼでも買えると、こんなこともありますよね。  それから、農薬を買うツアーなんか組んで外国に買いに行っている、買いに行くと。それから、スローフードの時代ですから、先ほどから出ているところのマイナーのものがたくさん工夫されて地域特産なんかでみんな頑張っているわけですよね。そういったものにはどうしても効く農薬を探さなければならないと。こんなこともありますし、トレーサビリティーなんか出すと逆に売れなくなると。十回も使ったのか、ああそんな農薬の使ったやつなんて買えないとかという、そういう問題も現場で抱えている。  あるいは、花卉農家なんかは登録農薬だけでやっておったんじゃ全然、花の場合、経営成り立たない、虫や病気や、もうやられちゃって全然成り立っていない。しかも、使わんかったら売れないということも農家の悩みだと。  こういう、まだまだあるんですけれども、報告されているんです、私のところへ。しかし、こういう問題を抱えた上で農薬取締法を作らなければならないという、そういう複雑な大きな問題があるということを考えて、特に国際化の中でこの法律がいかに実効あるものにしていくかというところに、私は、大きいわけですが。  この登録以上に、私が言いました中で、一つだけ私は、大臣も先ほど触れてくれましたので、申し上げたいのは、価格が安かったら、安く欲しいと、農薬が。要するに、今の農薬が高いということですね。この問題について触れたいんですが、実は農家の大方の人は農協を通して農薬を買います。まあ大方と言っていい、北海道なんかはもう九割以上と言ってもいいんですが。そういう場合、全農を通して農薬の場合はほとんど来ているんですね、農薬ですから。化学肥料でしたらいろんなところで造っていますけれども農薬はほとんど全農だと。ところが、非常にこれが高い。特に全農は生産資材すべてが高いんではないかという、末端、我々の農家のもう強い不満なんですよね。  それで、農薬は特に系統農協が多い中で、農林省にお聞きしたいんですが、無登録農薬業者から買う大きな要因の中に、私は、高いのと効かないと、この二つの理由からどうしても販売業者の方から買おうとしているんですが、全農のこの高いという体質についてどういうふうにお考えですか。
  45. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 今回の無登録農薬の事件、先生おっしゃるように、なぜ農家が購入したか、二種類ございまして、一つは、一方で登録農薬はある、しかし高いので同じような化学物質であるものを輸入をして使ったという、高いという理由。それからもう一つ、正しくナフサクを例に取られておっしゃられましたけれども、要するに、メロンの例えばネット形成みたいなものによく効く農薬はない、少々高くてもそれを使うと。その二種類がございました。  そして、高いというのをどうするのかという話がございます。諸外国と比較してみますと、日本も農薬一割ぐらいは輸出しておりますので、単価自身はそう差は、私どもは一・二倍程度じゃないかと思っているわけでございますけれども、何せ日本の場合は、アジア・モンスーン地帯、高温湿潤な気候ということで、害虫は発生しやすい、雑草は生えやすいということで、農薬使用量が外国に比べますと格段に多いと。これが薬剤費を生産コスト上高めている原因になっているんじゃないかというふうに思っております。  農協系統、これまで全国段階、県段階、単協と三段階ございました。これを二段階に改革するということにして、物流コストの低減ということを図ることにしております。私どもも資材コストの低減に取り組んでほしいというふうに農協に改革を求めておりまして、十七年度を目標とした農協系統の目標というのを内部で議論して彼らが掲げておりますけれども、それによりますと、これ農薬だけではなくて資材すべてでございますけれども、大口購入者へのサービスというものも勘案して、資材最大二〇%のコスト削減に努めたいということを言っておりますので、その努力を見守っていきたいというふうに考えているところでございます。
  46. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 直接、全農がどうのこうの、何が高いとかというのは大体分かっていますけれども、それは様々な要件がありますのでおいておきますけれども局長からそういうふうに二〇%削減を求めるということは、今までも、生産資材のこういうことについてはもう何年たっても下がらないというのが現状で、農家が大規模化、市場化の中で非常にあえいでいるということも付け加えておきまして。  全農の体質は、私は、そういう意味では農家の方を向いていない部分があるんではないかというふうに思っていまして、チキンフーズの関係で、偽装問題で農水省は全農に対して業務改善を求めたはずなんですよね。これについて改善の内容を私は仄聞するところによると、改善のようになっていないようなふうに私自身は思っているんですが、今、最終報告を受けたかどうか知りませんけれども、そういう体質の中でまた安い農薬を売らないで高い農薬を売られたら、せっかく法律作っても、何とかしようとあえぐわけですよね。この改善命令の関係の全農自体の体質については今どのような報告を受けているんですか。
  47. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 全農チキンフーズに関連いたします業務改善命令を出しております。この全農チキンフーズは全農の子会社でございますが、全農としてはこの子会社におきます法令遵守体制の確立など果たすべき責任を果たしていなかったということで、極めて遺憾であったわけではございます。  このため、農林水産省としては、四月十二日に、まず、全農に対しまして再発防止に向けまして農協法に基づいて何点か改善を命じたところでございます。一つは、責任の所在の明確化を図るとともに、体制を一新することというのが一点でございます。それから二点目といたしましては、再発防止のため、総点検の実施、法令遵守体制強化、それから厳格な子会社管理実現を行うこと。三点目といたしまして、消費者生産者等の信頼を回復するため、消費者生産者の経営への参画、あるいは情報のディスクロージャーを徹底すること。大きくはこの三つの柱で改善を命じたところでございます。  そして、これらの改善状況は、逐次聴取はしておりますが、四半期ごとに報告書を出させるということにしておりまして、第一回目は六月十一日、二回目は九月二十日ということで、二回ほど報告が出ております。  その中で、一つは、責任の明確化と体制の一新のところでは、経営管理委員会を発足させまして役員体制を一新しております。それから二点目といたしまして、事業の総点検等でございますが、総点検を実施し、法務コンプライアンス室への不祥事等の報告等の義務付けなど法令遵守体制強化、それからまたスリム化ということで、子会社の半数程度への削減に向けた取組を着手するということがございます。また、三番目の柱のディスクロージャー等の関係でございますが、消費者生産者の交流の場の設定、またホームページによりますディスクロージャーの強化などの措置を取ったという報告がなされております。  今後とも、まだこれは四半期ごとの報告はこれからも続くわけでございまして、業務改善命令の趣旨に沿った対応が着実に確実に実行されるよう厳正に監視をしてまいりたいと、こういうふうに考えているところでございます。
  48. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 本当に皆さん、委員の皆さんもお聞きして、農民自身が自分たちの団体のことについてこんなことを質問するなどということは私は情けない話だと思うんで、是非農水省としては、全農が正に農家のため、国民のためになるように強く改善命令について更に中身を検討していただきたい。一部のことは私知っていますけれども、これは今は改善中ということですから申し上げませんけれども、お願いしたいと思います。  それで、コストの関係で、大臣も大変気を遣って言っていただきましたが、例えば私、四十町歩作っていますけれども農薬で十アール大体七千円から、五千円から七千円ぐらい使うんですね、十アールね、大体。それが二割とか三割とか、あるいは先ほど言いましたように物によっては一割で買えるなんというと、百万、二百万の金が行ったり来たりするという話なんですよね。息子たちは真剣ですよ。そういうこともよく知っておいていただきたいということなんですね。だから、実際は経営全体を考えることに話は行っちゃうけれども、今日は農薬ですから行きませんけれども。  そういう意味で、若い人たちはインターネットで世界から買うと、これ現実なんですね。この間も行きましたら、先生もうあれだと、インターネットでばんばん買ってあんなものを使われて、うちの農業ぐるみ、おまえ無登録農薬だなんて言われてしまったらもう終わりだと、どうしてくれるんですかと、こんな話なんですよね。まじめにやっている人たちが被害を先ほど言いましたように受けるでしょう。  そこで、インターネットで買う農薬農薬を買うツアーなんかで個人が外国から無登録農薬を買おうという、こういうものに対してどのように防いでいこうとしているのか、今改正法ではきちっとできるのかどうか。いかがでしょう。
  49. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 今回の改正におきましては、先生言われましたインターネットによる個人輸入を含めまして、農薬の輸入に関しましては農林水産大臣登録を義務付けているということで、無登録農薬は輸入してはならないという法規制にしているわけでございます。  そこで、通関時に、実際に農薬が来るときにチェックできるかどうかということでございます。現在、現時点では関税の品目の番号に農薬という種類がないわけでございまして、現時点で財務省と協議をいたしまして、農薬に係る輸入統計品目番号の新設ということを協議をしているところでございます。例えば化学薬品(農薬)というような番号を付ける。ただ、番号が付いただけでは実際にチェックできるかどうか、実効ある取締りもできないということも考えられますので、そこのところは、いろいろな情報を税関当局に、今、提供をすることによって水際でのチェックを行いたいというふうに思っているところでございます。  なお、先ほど言われましたインターネットを通じました宣伝でございます。無登録農薬の宣伝につきましては、正しく今回の改正によりまして、輸入を媒介する者が無登録農薬登録農薬であるかのごとく宣伝する行為を禁止する、罰則で担保するということにしておりまして、そういう宣伝行為につきましても今度の法改正で取り締まるということとしているところでございます。
  50. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 それでもなかなかこのインターネットの関係は難しいそうです。しかし、私にはちょっと、深く承知しませんので、是非ひとつこの辺のところも次期改正などでもお願いをいたしたいと思いますけれども。  一つ、私からの提案なんですけれども、要するに、安いのが欲しいとかいろんなものに、業界の皆さんの言うことに悪く言えば引っ掛かるとかというのが多いですよね。農家はまじめですし、先ほど言いましたようにいいものを作りたいとみんな思っていますから。そこで、取りあえず価格の面を農林省のインターネットですべて国内のものも国際的なものも可能な限り生産者に公表してはどうかと、インターネットで。こういうふうに思って、実は、何かそういう要請がありまして、農水省は非常に喜んで意欲的に取り組もうとしたところが横やりが入ったとか入らないとかというふうに私には横から聞こえてくるんですが、どうなんですか。インターネットで公表できないんですか、価格を。
  51. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 個々の農薬の価格は、先生も御存じのように市場原理、市場競争で形成をされておりまして、販売業者の皆様が個々の判断によって設定をされておると。同じような種類であっても、個々の子細な特徴といいますか、薬効がどうだ、使用方法がどうだ、一方は二回でいいけれども一方は三回掛かるとか。そういうものとの関係で示す必要があるわけでございまして、正しくいわゆる商売上の問題でございますので、国が調査をして公表していくということは適切ではないというふうに考えております。  ただ、今、先生言われましたように、農薬価格、資材の基幹的なものでございますので、これを低減をしていくという上で農薬販売価格に関する情報を広く提供するということは、私どもとしては重要なことだと思っておりますので、今、生産資材に関する技術情報、製品情報を提供するためにインターネット上に農業生産資材情報センターというのを開設をしております。そこへ販売業者の方、販売業者の方が農薬を含めた資材の価格情報を提供する場として活用できないかということを検討しておるところでございます。  国自らというのではなくて、そこへ場を提供したいということができないかということを今検討しているところでございます。
  52. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 その面ででも一歩踏み込んでいただいて、市場原理、競争原理を生産資材にも入れていただいて、特に私ども一番信頼して農協から買っているわけですから、農協のものが高い高いなどと言われながら、こういった競争することに対して私は好ましく思っていませんので、よろしくお願いします。  さて、終わりに近づいてきましたけれども、実は、山形県で起きたのを契機にマスコミが取り上げて全国的に様々な無登録農薬に関する安全性の問題が起きたところ、全国の公設市場の野菜に、過剰反応を起こして、証明書のないものは買わないだとかなんとかという、法律にもないにもかかわらずどんどん圧力掛かって、価格は下がるわ、個人で出しているものについては証明取れないので、何というんですか、荷受けから買えないという卸が出たりしまして、大手スーパーなどはもう公然と圧力を掛けてきて相当一時混乱をしたと。例えば、私のところの市場なんかも、だれもそんな無登録農薬、北海道なんかほとんど使っていませんから、にもかかわらず、すべてそういった過剰反応があったというふうに聞きまして、これは異常過ぎると。  それだけに、この農薬取締法をちゃんとしておかないとこういうことが起きるということのために言っているわけですが、この買わないというような情勢がありまして、そういった情報を得ているはずですが、その後、担当課ではどういう対応をされたのか。
  53. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 私どもの得ている情報では、一時、各産地の卸売市場でございますとかスーパーでございますとか、そういう流通関係者の方々が、主として消費者のことを念頭に置いて、生産者の方々から無登録農薬使用していないという誓約書を提出しろというような措置を講じた場合があったというふうに聞いておるところでございます。  私ども、この問題は、まず出荷される農産物の安全確保というのが第一でございますので、都道府県に対しまして、まず生産面の対策として、立入検査によって無登録農薬使用した農家の特定をして、疑わしい農産物は出荷自粛をしなさいということを言うと同時に、衛生部局と連絡を取って残留農薬分析を実施して安全性が確保されたものについて出荷をしなさいと、こういう指導をしているわけでございます。  他方において、そういうことを消費者あるいは流通関係者に情報として正確にお伝えするということに努めてきたわけでございまして、やはり個々にどうのこうのというよりも、個人の出荷を含めまして、流通関係者を含みます実需者サイド、消費者を含みますけれども、実需者サイドに正しい情報を正確にお伝えをしてその信頼の回復を図るということが基本ではないかというふうに考えておりまして、そういう情報をホームページを通じて提供する等に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  54. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 この問題は、そういう情報を流せば流すほど逆に行くとか様々複雑ですから、私はそういうことを言っているんじゃなくて、だから、こういう問題が起きないことが一番大切だという意味で、私ども生産者ももちろん非常に神経をとがらせていることを申し上げておきたいと思います。  次に、一部飛ばしますけれども厚生労働省に、これはむしろ私からお聞きというよりもお願いをして、お聞きしたいんですが、先ほど常田先生からもございましたように、残留農薬基準と同時に農薬登録をしてもらわないと、登録はされたけれども残留農薬基準ができていないために使用者まで混乱するわけですね。これはもう厚生省から聞いています。しかし、たった二人や三人の体制でできないんだということで、どんどん遅れていく。しかも遅れるからこっちの方からは吐き出してくる、こっちは全然詰まっているということで、それで新しく基準が出て、もう既に使っておったらそれはもうパアですよ、そうしたらもうだれも買ってくれない、こんなことにならないように、これは大臣も本当に努力していただく。厚生大臣も努力していただいて、是非この体制を整える予算をもう急遽増やしていただいて、同時並行でこの基準が決められていくというふうにしていただきたいんですが、厚生労働省としては来年度予算に既に要求はしていると、先ほど若干は交換はありましたけれども、細々との要求では対応はちょっとできないと思うんですが、いかがでしょうか。
  55. 尾嵜新平

    政府参考人尾嵜新平君) 常田先生のときにちょっとお答え申し上げましたが、一つは、今御質問にございましたように農薬登録時に基準も同時に策定をすると、そういう形を作りたいということで関係の農林水産省環境省とも御相談をさせていただいているということでございます。  それと、残留農薬基準ができておらないものもたくさんございますので、それについては早急に作りたいということで、予算に関係しましては、本年度、残留農薬設定の関係についてはおおよそ九千万弱でございますが、来年度の予算要求につきましては六億八千万ということで大幅な増額要求をいたしまして、できるだけポジティブリスト制が早く導入できるように一応めど的には三年ということを念頭に置いておりますが、そういった予算要求も考えてやっているところでございます。そういう体制をできるだけ早く作りたいというふうに頑張ってまいりたいと思っております。
  56. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 今日は大切なフィリピンの大統領が来ますので、時間オーバーしないように注意しまして、最後に大臣にお願いをいたしたいと思います。  これはもう先日、衆議院農水委で、我が党の鉢呂委員から修正案につきまして得々と説明をして、野党の皆さんの大方の支持を得てこれはすばらしいと思っていたんですが、与党の反対で流れましたよね。  そこで、私は、この命にかかわる農薬の問題というのは、与野党で議論する問題ではありませんので、さらに、今回はもう日にちありませんからやむを得ませんけれども、是非通常国会で、民主党が出した修正案だというんでなくて、あそこに盛られている様々な問題点を是非洗い出して、新しくまたそれを入れて農薬取締法として国民や農民、使用者側にきちっと理解されるように作っていただきたいと思うんですが、大臣、お約束できないでしょうか。
  57. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 人間の考え方に一〇〇%というものは私、ないと思います。したがって、こういう様々な御議論をいただきながら、私どもも考えていかなきゃならぬものは考えていかなきゃならぬと思います。  民主党の御提案を衆議院でお示しいただき、勉強させていただきました。そして、私どもも前向きに検討しなければならないものも入っておると思います。したがって、そういうものを今精査し、現実的にどう対応できるのか、どうしなきゃならぬかということを、政治、行政の責任ある者としてはそこまで踏まえた上で考えていかなければなりません。よく勉強し、取り入れられるものがあれば通常国会対応していく所存でございます。
  58. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 是非、大臣のお力でよろしくお願いをいたします。  最後に、本農取の一部改正案に更に前進をさせていただいて、食の安全それから食の安心、とりわけ消費者に対する信頼感、これが国民から得られまして、使用者である私ども農民への不信感を持たれないようこの農取法が立法されるように、更にこの後も委員の皆さんの御努力を心から要望いたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございます。
  59. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十五分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  60. 三浦一水

    委員長三浦一水君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  本日、市田忠義君が委員辞任され、その補欠として大沢辰美君が選任されました。     ─────────────
  61. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 休憩前に引き続き、農薬取締法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  62. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 午前中の同僚議員も多々いろんな観点から御質問されまして、若干重複するところあるかと思いますが、御容赦いただきたいと思います。  まず、大島大臣、リンゴの産地、青森県の御出身でございますが、イギリスのことわざで、一日一個のリンゴは医者要らずと、こういうのがあるんだそうでございます。健康志向の人が多い今日、リンゴは非常に人気があるわけでございます。  私も、毎年秋になりますと、義理の母がリンゴ一箱送ってきてくれるわけでございます。しかし、今年はそのリンゴの箱の中にこの「ご挨拶」なるものの生産者の方のペーパーが入っておりました。これを見ますと、「違法農薬使用しておりません」「本年話題になりました違法農薬は一切使用しておりません。食べる人の身になれば絶対にやってはならないことです。又、肥料も有機肥料を使用しております。食物はまず安全でなければならない。そして食した人の健康に役立たなければならない。そしておいしくなければならない。と思います。」、こういう、今回の無登録農薬、違法農薬に関して、きちっと生産者は、そういうことはしておりませんと、こういう安心、安全を消費者に与えようと。去年はなかったんですが、今年はこういうごあいさつのあるペーパーが一枚入っておりました。  ということは、これは消費者安心、安全という消費者の観点だけではなくて、生産者の方々にとりましても、今回の無登録農薬の問題は大きな影響があった。後ほどその被害額といいましょうか損失額も若干言及したいと思いますけれども、そういう意味では、生産者消費者も大変これは大きな問題であり、それを今回法律改正でいこうと、こういうことは重々理解できるところでございますので、大臣の提案、趣旨説明をお聞きしても、正に消費者信頼を回復するために今回法律改正案を出したいと、これはもう全く賛同するところでございます。  そこで、一つの話題的な話になるんですけれども大臣の御出身の青森県の板柳町というのがあるんだそうでございますね。この板柳町は津軽リンゴの主産地であると。ところが、残念なことに、今回の無登録農薬問題ではそのリンゴ農家の三分の一の十二戸が使用しておったんではないかと、こういうことで、ここの町長さんが、ならば、りんごまるかじり条例を作ろうと、リンゴを皮ごと丸かじりしていただいても安全、安心のリンゴですと、こういうことを考えられまして、この十二月五日ですから、近々に町議会へ提案するそうでございます。  正に、これが今回の無登録農薬の問題に端を発した、地域において、生産側においてもひとつ一歩前進の、消費者に対する安心、安全の一つの方向を出したと、こういうことになろうかと思うんです。  特に、このまるかじり条例という中身がちょっと新聞に報道されておりますが、要は、農薬とか肥料の散布基準作りとか生産情報の全面開示を盛り込んでおるんだそうでございます。農薬種類とか使用回数、検査結果など、開示による生産者ガイドラインも設けておると、重大な違反があった場合は生産者や団体を公表すると、無登録農薬の問題を教訓に生かしてこういう条例を作りたいと、こういうことがこの十二月五日、定例議会で提案されるそうでございます。地元の青森県のことでございますし、大臣のこの件に関する御所見、御感想があればお伺いしたいと思います。
  63. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 板柳町は正に青森県のリンゴの主産地の場所でございまして、無登録農薬問題にかかわって悲惨な出来事が起こったところでございました。そして、そういうことから、町ぐるみとして、そういう悲惨な出来事をきっかけにして、新たな産地作り、まあ銘柄作りと言っていいんでしょうか、そういうことに取り組むということは、法の施行という前に意識の改革をするということ、そこが物すごく大事なことだと思っております。その行方を見守って、またいずれ話も聞いてみたいと思いますが、私が小さいころは我が家で取れたリンゴを私も相当、ちょっとだけ洗って丸かじりしたような記憶がありますけれども、正にそういうふうな丸かじりができるようなリンゴが市場に出回り、消費者にも信頼されるという姿が理想的なのかもしれません。
  64. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 今回の無登録農薬の問題にも、既に群馬県では条例を作るということで既に条例が提案をされておると、こういうふうに聞いておるわけでございます。九月二十五日提出となっておりますけれども、群馬県の正式な名前は、群馬県における農薬の適正な販売使用及び管理に関する条例ということで、地方の方がスピードを上げてこの問題に早く対処していこうと。この板柳町もそうでしょうし、群馬県もそうだと、こういうことで非常にスピードが速い。ということで、こういう食の安全、安心に関しては、私はいつも言うんですけれども、スピードと正確さがないとこれは画竜点睛を欠くんだろうと、こう思っております。  そういうことを見ますと、今回の一連の無登録農薬の問題、事件かもしれませんね、逮捕者も出たわけですから、そういう意味では、もう既に平成三年にその端緒はあったと、そういうことも言われております。  それから、山形県の洋ナシが大阪市場で残留農薬が検出されたということは、県の方に通報されたけれども山形県はそれを公表しなかったと、こういうふうな問題もございます。去年も県の衛生部は、残留農薬が検出されたんだけれども、これは試験的な、実験的なものだからということで、これも公表しなかったと。  こういうことで、一連のこの無登録農薬事件の背景を見ますと、何でこんなにその端緒があるのに、早く安心、安全ということでぱっとスピードを上げて正確にできなかったのかなと、誠に残念なことでございます。  そこで、俗に言う、この前から何回も言ってもう耳にたこができたようなお話でございますが、私が住んでいる岡山県のJA大原も、去年の九月にはどうもおかしいということが言われていて改善命令を出したけれども、一年間何だかんだといって、再検査、改善命令がどうなっているかというようなことも調査ができなくて、一年たって、急遽どっと管財人が行っていろいろ整理をする。一年掛かっているわけです。それから、今問題の原発のシュラウドがひびが入っていたとかどうだとかいうことも、もう何年も前に実名で通報されておったと。それも行ったり来たりのことで、結局、大問題になって初めて、スピードが大事ですね、法律改正ですねと、こうなっちゃう。  そういう意味では、この無登録農薬の事件は、国と都道府県、それから都道府県の中のいわゆる農林部局と厚生労働部局、ここの連携というものがどうも緊密ではなかったんではないかなと、こういう反省があると思うんですが、それらを踏まえましてどのようにお考えか、お聞きしたいと思います。
  65. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 先生ただいま御指摘のように、私ども、今回の問題を過去にさかのぼって点検をしてみました。  平成二年以降の今日に至るまでの山形県と、そして私ども農林水産省対応、やはり何回かあったわけでございます。山形県の対応については、根本的に農薬の知識が欠如していて見付けることができなかった場合、あるいは独善的な判断をした場合、あるいは産地を守りたかったという生産者寄りの姿勢、こういったものが見られたわけでございますし、農林水産省もよく指摘されます昨年の八月の対応でございます。  そのほかのものも含めまして、やはり組織として、どのような情報があった場合に何を指示し、どんな調査をすべきかという対応マニュアルというものが確立されていなかったというふうに言わざるを得ないということでございまして、これを機にやはりきちっとした適正化というものを図るための組織、業務の在り方について抜本的に見直しを行う必要があろうということで今回法律もお出しをしておりますし、これを踏まえて、もう一度リスク管理の面での意識改革でございますとか、いわゆる国と県、衛生部局農林部局環境部局、このようなところとの連携体制の確立、こういうものに努めているところでございます。
  66. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 今日は厚生労働省からもお越しでございますが、これは反面、厚生労働省側にも連携強化と。国同士それから地方は地方同士と、こういうことも重要だと思いますが、厚生労働省としてはこの連携強化をどうすべきか、お考えですか。
  67. 尾嵜新平

    政府参考人尾嵜新平君) 先生の御指摘のとおりでございまして、これまで、今回の無登録農薬の問題、あるいはそれ以前のいろんな食品の問題につきまして、おおよそ私どもの、自治体でいいますと衛生部局それから農林水産部局、それぞれが関係をしている、あるいは場合によってはそれ以外の他部局も関係するというケースがたくさんございます。  そういった事例から見まして、私ども国レベルでは、農林水産省とできるだけ情報を前広に交換するということに努めてきてはおりますけれども、その情報を私どもも県レベルに、自治体レベルの方に早く返さなきゃいけない、あるいは提供したいと。  今回のところでも、農林水産省から情報をいただいた時点で、同日にこの情報につきましては自治体の方にお流しをして、検査体制等について体制を取るようにお願いしたわけでございますが、そういった中で、体制としては、どちらかといいますと事件が起こった後という形が多うございますが、そこのところはもう十分反省しなきゃいけないと思っておりますので、自治体レベル、それと国と自治体の関係、あるいは国の各関係機関ということにつきましては、できるだけ前広に連携を取りながら情報交換に努めていかなきゃいけないという認識を改めて持っているところでございます。
  68. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 それらを反省して、来年また食品安全委員会ですか、こういうものができるということでございますから、是非、そういうところでは綿密な連携も取れるんだと思いますけれども、よくその辺を踏まえた法律を作っていかなきゃならないということで対応をお願いを申し上げたいと思います。  今お聞きしていると、やっぱりそれぞれの部署部署が何か木を見て森を見ないような感じで、自分のところだけ一生懸命やっていればいいと。そういうふうな情報を共有しようというまず概念がなかったとか、多々反省する点はあると思いますので、是非その点も、農水省それから厚生省、環境省もあるのかもしれませんが、よく連携を密に、今後しっかりとして、二度と農薬の問題で安心、安全ということを消費者に不信を持たせることのないような対応をしっかりとお願いをしておきたいと、こう思いますが、大臣、いかがですか。
  69. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 全くそのとおりだと思います。  厚生労働省農水省環境省、目的は国民の皆さんに対して、食の安全、安心というだけを言うとまた我が省にかかわることでございます、人の命にかかわることであるという、その命に対してしっかりとした安心、安全を提供していくというのが政府全体の大きな使命だと、共通認識を持って連携を、システマチックにも、あるいは日ごろの問題についても連携を取るという覚悟が一層必要であるということを私ども認識して、努力してまいりたいと思います。
  70. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 そこで、無登録農薬販売状況でございますが、時間がありませんから私の方からいただいた資料を申し上げますと、十一月二十九日現在、立入検査などにより判明した無登録農薬販売・購入状況というデータをいただきました。それによりますと、無登録農薬販売又は購入が判明したのは四十四都道府県、それから販売業者数は二百六十九業者、購入農家数は三千七百九十三戸と、こういうことで相当、四十四都道府県まで蔓延をしているというか、広がっておったということがこれで判明したわけでございます。  そこで、これだけのことが判明したわけでございますが、今回の法律改正を見ますと、いわゆる無登録農薬の回収について、またその廃棄について法律上の手当てはないわけですね。国の指導に基づいて市町村が農協などと連携を取って自主的に行っておるということだそうでございますが、こういうようなものはやはり、どうなんでしょう、無登録農薬が、違反をしているということが判明をした段階で、回収はこうすべきだとか廃棄はこうすべきだとか、もっと言えば、廃棄などの費用負担はどうすべきだとか、そこまでは通達などでいいのかもしれませんが、この無登録農薬の回収、これについて法律的な手当てをすべきではないかと、こう思いますが、いかがでしょうか。
  71. 渡辺孝男

    大臣政務官渡辺孝男君) 無登録農薬の回収の件でございますけれども、無登録等の農薬等の安全に問題のある農薬につきましては、今回、販売禁止に加え、農薬取締法改正によりその使用も禁止することとしたわけであります。  しかしながら、これらの農薬が放置されることとなれば使用されるおそれも否定できないということから、回収を命じることが必要となる、そういう場合もあると考えられます。  回収命令を法令上明確に位置付けることについては、登録を受けた農薬販売した後に登録が取り消された場合や、あるいは無登録農薬を所持している者についてまで命令を掛けることが可能かどうか、そういう点について更に検討する必要がありまして、食品安全委員会との関係を踏まえて、次期通常国会提出予定の食品安全性を確保するための関係法の整備の中で対応したいと、そのように考えておる次第でございます。
  72. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 今回は緊急的な対応ということでやむを得ぬかと思いますが、是非ひとつ次期改正時期にはやはり回収ということも念頭に入れた法案作りをお願いしたいと思います。  それから、今度、厚生労働省に行きますが、無登録農薬問題による農作物の回収、廃棄、これについてはいかようになっておりますか。
  73. 尾嵜新平

    政府参考人尾嵜新平君) 私どもが所管しております法律食品衛生法でございまして、この食品衛生法に違反するか否かということで、違反した場合には回収なり廃棄等を命じると、そういうふうな措置を取っているわけでございます。  今回の無登録農薬の関係で申し上げますと、ダイホルタン及びシヘキサチンにつきましては、これは不検出というふうなことに食品衛生法上は基準はなってございます。こういうものが検出された場合には回収なり廃棄という措置を取っておりまして、今回の中で私どもが報告を受けておりますのは、一市六県から十六件のダイホルタンが検出された、検査の結果検出されたということで、これにつきましては回収、廃棄命令、あるいはまた生産農家の自主的な廃棄を確認したということで報告をいただいているところでございます。
  74. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 ですから、厚生労働省的にいうと、法律は違うんですけれども残留農薬の問題でもし問題があれば農作物の廃棄処分は命令できると、こういうことですね。ということは、やはり農水省もこういう無登録農薬で、いわゆるそこらそんじょにずっと保管をしておるようではいかぬわけですから、廃棄なり回収を命ずるという、やっぱりこれは大事ではないかなと、こう思うんですね。  次に、失効農薬登録が失効した農薬、これについてはいろいろな理由があるそうでございます。費用が掛かるからもう登録しなかったとか、三年ごとの期限があるわけでございますから。しかし、いずれにしてもなぜ失効したのかということ。劇薬だったということが後で分かったとか、発がん性があるからこの農薬は届出ができない、届出しても駄目だったという、そういうのもいろいろあるわけでしょう。  そういう意味では、その失効農薬はどういうものがあって、それをどうやって農家の方々まで周知徹底をするのかという問題。それから、その失効農薬そのものの保管、保持、所持をしているわけですよね。それも当然回収というふうなことにもなるのかなとも思ってみたりするんですが、取りあえず失効農薬農家の方々までへ対する周知徹底、この農薬はこういう理由で失効したんですと、こういうようなことはやっぱり大事だと思うんですが、その点、どのような周知徹底をお考えでしょうか。
  75. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 農薬登録が失効する場合、更新のための費用負担ができないで失効する場合、これは安全性に問題があるわけではございませんのでその使用は可能ではあるわけでございますけれども、一方で何らかの安全性に問題があって販売を禁止をするといった場合は、使用することは望ましくないということでございまして、私どもとしては、いろいろな情報の機会を通じまして農家段階まで伝えるということも大事でございますし、今度使用基準を作ります。その中で、この農薬使用してもいい、この農薬使用が禁止されている、そういうことを明確にして農家段階までその内容が伝わるようにいろいろな手段を通じてやっていきたいというふうに考えております。
  76. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 農薬の適正使用の指導というのは非常に大切なわけでございます。そういう意味では、農協の中に全国に営農指導員という方が二〇〇〇年現在一万六千二百十六名ですか、それから改良普及センターには改良普及員という方が二〇〇〇年現在で九千六百三十一人いらっしゃるわけですね。トータルいたしますと、二万六千人近い方々がいらっしゃるわけです。それから、防除所が全国五十三か所であり、防除員の方がこれも五千八百七十六名ですか、データ的にはそうなっております。  これだけの人がいらっしゃって、先ほどの問題にちょっと返りますけれども、十年間余りいろんなうわさがあったり通報があったり検査もしたりという中で、無登録農薬の問題が全然表面化しなかったということは不思議なんですよね、これだけの方がいらっしゃって。大体農協というのは営農指導するのが目的でできたような組合でございますからね。そういう意味では、今後こういう営農指導員それから改良普及員の方それから防除員の方、こういう現行の人的資源をどのように強化をして更にこの問題に対して対応しようとするのか、お聞かせ願いたいと思います。
  77. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 現行の農薬取締法にもその農業改良普及員、ちゃんと農家に対して指導しなさいという規定が置かれているわけでございます。そうして、一つはやはり農協、農家と日ごろ密接に営農指導等で当たっているわけでございますので、この営農指導員の方に農薬の適正使用の指導というものに努めていただきたいというのが一つでございまして、販売店の方とともに農薬管理指導士、これは都道府県の研修によりましてそういう資格を与えているわけでございますけれども、これが現在三万五千人ございます。さらに、私どもとしては、今後農薬適正使用アドバイザーというものを地域ごとに置きたいということで、この管理指導士を取っておられる方を活用しながら、農薬使用者に対する講習会の開催だとか指導の徹底だとか、こういうものに努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  78. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 次は、農薬の適正な管理保管ということは非常に大切なことだと思います。先ほども申し上げました群馬県の条例の第九条は、「農薬管理」という項目がございまして、「農薬使用者は、農薬の盗難、紛失、飛散、流出等を防止するよう努めなければならない。」、これは努力義務規定でございますが。今度の農薬取締法改正は、この農薬管理等についての規定はございますか。
  79. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 農薬取締法の中には直接の規定はございません。
  80. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 そこで、たまたま昨日の夕刊見ておりますと、埼玉県で農薬入り牛乳を飲ませた女性逮捕ということで、傷害容疑で。警察庁に昨日いろいろ聞きますと、年間二、三件、多いときで四件ぐらい毎年農薬絡みの殺人事件とか殺人未遂事件が検挙されているそうでございます。ということは、この管理ということが社会的安寧ということを考えても非常に重要なんじゃなかろうかと。  そういう意味では、群馬県はちゃんと農薬管理ということで、盗難とか紛失とか飛散、飛び散ることですね、飛散、それから流出等を防止するよう努めなければならない、努力義務でございますが。是非、来年また法律改正を更に、今回は緊急ですからね、ということで来年ということがあれば、これもちょっと一文入れるべきじゃなかろうかなと、こう思いますが、法律はこれは大臣にお聞きをしなきゃいけませんな、大臣、どうですか、この管理について。
  81. 大島理森

    国務大臣大島理森君) どこまで管理体制を国として義務付けられるか、あるいは法律に書き込めるか、こういうものを考えますと非常に難しい点があるような気がしますが、日笠委員からの御指摘でもあり、先ほどテロ対策の議論が出ました。したがって、そういうふうなものに実際的にきちっと担保できる施策をどうするべきかという点も踏まえながら勉強してまいりたいと、こう思っております。
  82. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 これは局長でいいんですけれども、これが成立しまして、三か月以内の施行でしたか、そのときには施行通知ですか、出しますよね。その中にはこの農薬管理、今、さっき申し上げたようなことに努力してくださいとか、注意してくださいとか、それぐらいは出せるんですか。どうですか。
  83. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) もちろん、私ども法律のいわゆる施行通達にも書こうと思っていますけれども、それより前に、私ども、食の安心、安全の政策大綱というものを決めるべく本部を設置しているところでございます。副大臣本部長でございます。もっと大きな観点からとらえまして、その中でも農薬の適正な管理の問題をきちんと書いていきたいというふうに考えております。
  84. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 是非その方向でお願い申し上げたいと思います。  それから、これは法令に違反した場合の方の、者の氏名について、又は氏名等ですから企業名かもしれません、公表を義務付けるべきじゃなかろうかという声もございます。この農薬取締法違反の者又は業とする者、こういう方々の氏名公表、こういうことはこの法律ではありますか。又は、なければどういう方法を考えておられますか。
  85. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 今回の法律には公表の規定はございません。  実は、この公表問題、どういうふうに私ども考えているかと申し上げますと、まず法律に違反した業者につきましては、法律の規定がなくても処分が確定した段階で当然公表できるというふうに考えております。そして、処分確定前でありましても、事実関係が確認されまして消費者の健康保護への確保のための情報提供として、そういう公益上の必要性がある場合には、これまた法律の規定がなくても公表ができるというふうに考えておりまして、今回も、無登録農薬販売した二百六十九業者において十一月二十九日に処分の内容を決定をいたしまして、氏名、住所を公表したところでございます。
  86. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 これは厚生労働省にお聞きをしたいと思うんですけれども厚生労働省の場合は、残留農薬が検出された、食品衛生法上違反であったと、こういうふうなことが明確になった場合は、この公表というのはどうなっていますか。
  87. 尾嵜新平

    政府参考人尾嵜新平君) 私どもが直接国として検査をしておりますのは輸入食品検疫所でございますが、その際に、違反があった際には、命令検査を掛けるような状況になった場合には、これはプレスにすべてリリースをいたしております。情報提供いたしておりまして発表しております。それと、違反事例につきましては、基本的にはホームページに私ども載せておりまして、その事例については、検疫所での違反事例はすべてホームページでは見れるような状況になってございます。  それと、先生御存じだと思いますが、さきの通常国会食品衛生法の一部改正がございまして、その際にこういった違反事例について努力義務という形で新しく条文が追加、議員立法で成立をいたしました。その際に、私ども、都道府県におきましても、地方自治体におきましても、できるだけ違反事例については公表をお願いしたいということで課長会議でもお願いをしたところでございまして、それぞれ自治体によっては状況が異なるかもしれませんけれども、できるだけそういう、どういうものが違反があったのかということは消費者の方々に情報提供に努めるべきではないかというスタンスでお願いをしているところでございます。
  88. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 そうすると、局長、どうなんですか。片方はちゃんとホームページまで公表している、情報公開しております。  先ほどから何回も言っていますが、群馬県の条例も公表の規定があるんですよ。ですから、これは恣意的じゃなくてきちっと法律なり、分かりませんが、通達、通達じゃないな、政省令かな、などできちっと、例えばどういうものは公表するかとか、それからいつ、それはいつの時点で公表するのかとか、こういうものはある程度ガイドラインというんでしょうかね、決めて何らかの形で明記して、それをいろんなすべて周知徹底して、それに基づいてできるホームページぐらいでも、食品の安全というのは大事なんでしょう、これ。そのために「「食」と「農」の再生プラン」というようなことも考えておるわけですね。省を挙げてやろうということですから、やはり消費者とすれば知りたいですよね。これだけ大きく全国に伝播しておるわけでございますから。  そういう意味では、しつこいようでございますが、公表の義務を課すべきではないかと思いますが、その公表の時期だとか要件のガイドラインというものを周知徹底をすべきではなかろうか。それからもう一つは、ホームページなどに情報公開すべきじゃなかろうか。以上、お答えいただきたい。
  89. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 実はBSEのときもございまして、公表の法制的な側面からいきますと、消費者にその情報を提供する必要がある場合には法の規定がなくても公表できるということでございますので、法との関係は今後詰めていかざるを得ぬ、いわゆる詰めていきたいというふうに考えておりますけれども先生今言われましたように、どういう場合に、どういう時期に公表するか、そしてその手法、ホームページに出すかどうかのガイドラインを作るべきではないかということでございます。このことについては積極的に前向きに取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
  90. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 最後の御質問をしたいと思います。  日本における農薬使用量は、先ほども同僚委員の御質問にお答えがありました。非常に多いということですが、具体的にどの程度、諸外国に比べて農薬使用量は多いんでしょうか。それから、コストですね、料金、これも俗に言う高いから安い無登録に走ったということも、先ほどから御答弁されております。どの程度高いのか。これらを踏まえて、今後の日本の農薬使用の問題それからコストの問題をどうお考えなのか、お答え願えれば終わりたいと思います。
  91. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) まず、使用量でございます。ぴったしした同じ農薬を外国と日本でどう使っているかという資料はないわけでございますけれども、出荷量と農地面積の関係で比べてみますと、やはり我が国の場合は高温で多潤といいますか湿潤といいますか、そういう気候条件なために雑草が繁茂しやすい、病害虫が発生しやすいという条件にありまして、欧米に比べますと施用量は非常に多い状況になっております。例えば、我が国と比べますと、オランダ、ベルギーが約七割、イタリアが約四割、フランスが二割、米国が一割ということでございます。  そして、じゃ農薬の価格、どうなのかという話でございます。これも資料がないわけでございます。十三年度の白書で比べたことがございますけれども、これによりますと、米国に比べて約一・二倍と、単価は。やっぱり使用量が多いために農薬、薬剤費としてのコストは高くなっていると、こういうことでございますので、その農薬の価格の低減とそれから利用の効率化と、その二つの面から低コスト化というのに努めていく必要があろうかなというふうに考えているところでございます。
  92. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 終わります。
  93. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  まず、無登録農薬使用問題を契機に今回法改正が行われたわけですけれども、この事件の背景に、輸入に対する規制がなかったり、あるいは行政検査の甘さ、国と県との連携の不十分さなどが指摘をされて、衆議院でもそして今日も各委員会から審議をされているわけです。  それで、この無登録農薬使用されているという情報があって、山形県が平成二年から十三年まで七回立入検査を行ったわけですけれども農水省がこういう無登録農薬が使われているらしいという情報を得たというのが平成十三年の八月三日ということです。それで、余りにもこれは遅いじゃないかというのは各委員指摘しているわけですけれども、改めて私もそのことを指摘したいと思うんですね。なぜこんなに遅かったのかということで、いかがでしょうか。
  94. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) この無登録農薬問題、先生言われますように、平成二年ごろから山形県下におきましては情報があり、その都度立入検査を行っていたわけでございますけれども一つは、なかなか確実な情報がつかめなかった、それから衛生部局が発見した残留農薬に関しましては独善的判断を下してしまって報告がなかったと、こういうようなことが続いたということが県の対応でございます。それから、農林水産省も、これも先ほど来申し上げましたけれども、昨年の八月にも情報があったわけでございます。そのときの基準では、国が立入検査までは行くような規範になっていなかったわけでございます。  やはり、かくも大きく広がった問題でございます。今から考えますのに、やはり組織、業務の在り方として、どういう場合にどういう対応をすべきかというマニュアルといいますか、の作成、いわゆる危機管理意識というものの欠如というものがあったというふうに反省せざるを得ないというふうに考えております。
  95. 紙智子

    ○紙智子君 結局、疑惑があって県が検査をしたということが十年以上、国に報告が来ていないと。  それで、裁判が行われていますけれども、この冒頭陳述見ますと、平成三年ごろはまだ売上帳にダイホルタンあるいはプリクトランということが失効した名称で書かれていたと、だから確認すれば分かったことなんだけれども、それを見なかったというふうにあります。平成四年の段階では、風袋の現物を示された上、情報提供を受けたけれども、その後も複数回検査したけれども、これ発見できなかったと。  だから、県の検査のずさんさと、それから甘さということが問題ですけれども、同時に、こうした立入検査の情報がなぜ国に早期に知らされなかったのかというのは、私は非常に疑問に思います。  それで、検査については県がやるということで、それについて国に報告する必要がなかったわけですよね、当時。そして、平成十二年までのこの法律では、国が例えば委任した検査で報告義務が、しなければならないというふうに明記されていなかったと。このこと自体がやはり問題の発覚を遅らせたんじゃないかというふうに思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。
  96. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 過去の山形県によります販売業者への立入検査、これ、法律上は機関委任事務ということでございまして、機関委任事務の場合、確定した事実を見付ければ国への報告義務というのが義務付けられていたわけでございます。その後、地方分権等ございまして、法定受託事務、平成十一年になったわけでございます。これも同様、確定事実を見付ければ国へ報告すべきというふうになっていたわけでございます。  山形県としては、確定した事実が見付からなかったということで国への報告がなかったということだろうというふうに思っているわけでございます。  ただ、このようなシステムが今回の問題につながったわけでございますので、私どもとしては、国と県の関係につきましては、情報があれば連絡をするようにという連携体制というものを急遽整えたということでございます。
  97. 紙智子

    ○紙智子君 そうしますと、今回通達も出しているということなんだけれども、何かあったら報告しなさいということだけではやっぱり同じことが繰り返されるんだと思うんですよ。  検査の実施、そして報告の、今おっしゃいましたけれども、システム自体に問題があったと。国への報告が行われていれば検査所による検査も発動できたし、早くに問題を発覚させてこれほど事件を拡大することを防げたんじゃないかというふうに思うんですね。その意味では、これは大臣にも是非答えていただきたいんですけれども、やっぱりこれまでのそういう制度上の不備があったんじゃないかという点についてお答えいただきたいと思います。
  98. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 山形県の場合も精査を私なりに局長にもう一度させて、そういう意味で、様々な制度的な欠点もあれば危機意識の欠如もあれば、多分、山形県の中で生産者をかばおうという意識も私、なかったとは言えないと思うんです、それまた意識の問題になるわけですが。それらを様々に私ども反省をいたしながら、新たな今の改正案を皆様方にお願いしておるところでありますし、法律改正するだけではなくて、先ほど来御指摘いただきましたように、農水省厚労省環境省との一層の連携でございますとか、また自治体におけるその部局間の連携でございますとか、そういうものを徹底させながら、こういうことが起こらないようにしていくことが私どものこれから反省に立った責任と、このように考えております。
  99. 紙智子

    ○紙智子君 今、大臣、お答えになったわけですけれども制度上の不備という問題についてはお認めになりますよね。
  100. 大島理森

    国務大臣大島理森君) なかったとは言えないと思っております。
  101. 紙智子

    ○紙智子君 次に、昨年の八月七日に県から報告を受けて農水省は、現物を押さえ、農家使用したという陳述書をもらうようにということで指導をしたわけです。ところが、県からその後いろいろ何も言ってこないということで、その後の追跡をしていなかったと。  これについては農水省としても反省をしているということですけれども、もう少し突っ込んで聞きたいんですけれども、行政のシステム改善の問題として考えた場合に、県からの検査に対する報告や相談、指導内容についてはそのときどのようにしていたのかなと。つまり、文書にして記録を残して、そしてちゃんと上まで上げて見せるということも含めて、どの段階まで報告するシステムになっていたのか。実際、農水省の内部でそういうことを受けたときにどういうふうに対処していたのかということについてもお聞きしたいと思うんです。いかがでしょうか。
  102. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 事実関係について申し上げますと、昨年の八月、当時の農林水産省の担当者は、先生言われたように、山形県に対して、農家まで立入調査をして使用の事実をつかんだ上で再度販売店への立入りを行うよう指導をしたということ、その後、県から情報を得ることができなかったということでございます。  そして、どのようにこれについて判断をしたかということでございます。当時、国による立入検査というのは、二つの場合、一つは都道府県による立入り権限のない製造業者と輸入業者に関する情報が寄せられた場合には国が立入検査をする、もう一つは、販売業者につきましては都道府県からの要請があった場合に立入検査を行うと、こういうことであるために立入検査を行わなかったということでございます。  当担当官は、当時、担当の補佐まで報告をしたわけでございますけれども、文書の記録にとどめるというようなことはございませんでした。
  103. 紙智子

    ○紙智子君 BSEのときも、実際の内部での責任の問題が一体どの段階で判断をしたのかということも含めていろいろ議論になったけれども、結局のところはっきりしないということだったわけですけれども、そういうところをやっぱり教訓にして、こうして文書で残す問題ですとか、やっぱりどこでそういう判断をしたのかということが、個人責任も含めてはっきりされていくということが同じことを繰り返さないことになると思うんですね。  それで、リスク管理の意識のなさということも先ほど話が出ていましたけれども、今回の事件を機に、輸入自体にも規制を掛けるという改正が行われるわけですけれども農水省は、この輸入に関してで言いますと、農薬については規制がないと、それから無登録で入ってしまうと。国内に来て、ただ、販売の時点になって規制されるという現行の法律がやはり問題があるということを、そういうことについて、いつそういう認識を持たれたんでしょうか。
  104. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 無登録農薬の輸入に関する情報でございます。  海外の安価な無登録農薬農家にあっせんしている者、いわゆる輸入代行業者、この情報は平成の四年四月ごろから入手をしておりました。このために、平成四年の八月以降、情報があるたびにその輸入代行業者のところへ担当官を派遣をいたしまして、営業の自粛、農家に対して販売しないようにという指導をしてきたわけでございます。  当時、輸入代行業そのものについて、輸入そのものについて規制の対象でなかったわけでございまして、当時の法律で、輸入代行業者を罰則適用等その他を考えていわゆる摘発するためには、販売行為というものの事実関係の確認を取る必要があったわけでございましたけれども調査の結果ではそこまでの確証が取れず、いわゆる摘発を行うまでには至っていなかったところでございます。  私どもとしては、そういうような指導、自粛指導、購入しないような指導で何とか法の趣旨が守れるのではないかというふうに考えていたわけでございますけれども、今回この山形県での無登録農薬販売が発覚したことに端を発しまして、業者による無登録農薬の大掛かりな輸入とその販売ということが全国的に広がっていたという認識を持ったのは、正直なところ今回が初めてでございまして、この法律の趣旨を完遂するためには、輸入、製造それから輸入代行業者を含めた規制が必要であるということで、急遽法律改正案をお出しをしているということでございます。
  105. 紙智子

    ○紙智子君 平成四年ころからそういう情報を入手していたということですけれども、私も、BSEが起こったときに、北海道の現地に行ったときに、農業者の方たちが輸入肉骨粉というのは重大だと、しかしその問題もあるけれども、今にきっとこの輸入の農薬、この問題ももっともっと大きな問題になるときがあるということがそこでも言われていたんですね。ですから、そういう情報はあちこちにきっとあったんだと思うんですよ。そういうことを知りつつ、やっぱり早く対処をできなかったというのは非常に大きいと思うんですね。  今回の事件で二つの輸入業者が逮捕をされたわけです。法務省にお聞きしますと、平成元年にダイホルタンが失効すると初めは在庫品を使っていたんだけれども、そのうちに台湾から輸入し始めたということが分かっていると。つまり、十数年も前から輸入しているということですよね。農薬企業の関係者に聞くと、我が国で失効した農薬が安く海外で造られているというのは常識なんだと、こういう話まであるわけです。そして、日本の貿易制度には農薬という分類がなくて、これ規制できないと。これらを考えれば、なぜもっと早くにこの輸入規制の必要性を検討できなかったのかというふうに思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
  106. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 率直に申し上げまして、今いみじくも先生おっしゃられましたけれども、輸入の際に農薬が化学品、殺菌剤、殺虫剤という分類で入ってくると、そういう実態にあったことから、中で流通するその販売を抑えることによって無登録農薬販売とか使用を防ごうという趣旨でこの農薬取締法ができていたわけでございます。  今回の全国的なこの問題の広がりにかんがみまして、その輸入の水際のところで何とか捕まえなくては法の趣旨が全うできないというふうに考えまして、何とか水際で捕まえる方法はないかということを急遽検討をいたしまして、輸入についての規制ということを法改正をするということとともに、実態的に水際で捕まえる方法について、今税関当局と協議をしているということでございます。
  107. 紙智子

    ○紙智子君 次、大臣にお聞きしたいんですけれども、今までやり取りしてきましたように、国の行政、そして検査における県との関係での連携と、それから輸入規制がなかった問題と、無登録農薬の事件の背景には、こうしたことを見ますとやっぱり国の責任というのはあると思うんですね。そして、販売業者は犯罪者です。使った農家も問題がもちろんあります。しかし、それを付け込ませた国の責任ということについてやっぱりどう受け止めるかということは大事な問題だと思うんです。  一部の無登録農薬使用によって、多くのまじめな関係のない農家の人までが廃棄処分や検査を余儀なくされています。価格にも影響が出ているというふうに聞いています。多くの生産者がその意味では被害者にもなっていると。しかも、そのあおりで今度は使用者への罰則の禁止の規定が作られたわけです。言わば、このとばっちりが来たというふうに受け止めている生産者も少なくないと思うんです。  私は、やっぱりこの使用規制ができるのは、全体としてはこの無登録農薬販売禁止農薬使用を防ぐと、消費者にも安全な食料を供給するということではより強い担保の措置だというふうに思いますし、やむを得ないというふうに思います。しかし、政府に求められることでいいますと、やはり国の側の責任について率直に認めて生産者の協力をお願いすると、それが大事ではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか、大臣
  108. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 今の輸入問題の議論も伺いながら、もう一つこんなことを考えました。  つまり、IT革命がもたらした輸入代行業者的仕組みというもの、つまりもう行政が想定し得ない流通の在り方がどんどんどんどん実体経済の中で対応していったということも一つあるんだろうと思います。  そういう中にあって、先ほど来議論もありましたが、これは自由主義経済ですから、その法のぎりぎりのところ、法と法のはざまのところで何か商売できないかと、こういうふうなことでそういうふうなものを考える人たちもいるんだろうと思うんです。一方、生産者の立場からすると、コストが高い、農薬が高いというお話もございました。やはりそういうふうなものに対して飛び付いていく、コストが高いので安い物がないか、同じような類似品がないかということの中にそういう方々が入っていくというふうな状況でもあったのかな。  一方、その根底の中にあるのは、やはり生産者も、もちろん農薬関係者も、そして私どもも含めて、今次の農林水産政策全体において消費者というものに対する視点が、食の安全とか信頼とかというものに対する視点、重き、こういうものが根底に足りなかったところから起きた問題であるという認識は私は一つ持っております。反省も持っております。  したがって、そういう反省の上に立って、二度と起こらないように最善を尽くすことが責任と、このように思っているところでございまして、したがって、生産者の皆さんに御迷惑掛けましたということよりは、一緒になってこの問題を考えて、そういう新しい消費者視点に置いた生産体制も、あるいは農業政策も我々やってまいりますからという、そういうお互いの共通の認識を持ってこの問題に対応していくことの方が私は大事なのではないだろうかと、このように思っております。
  109. 紙智子

    ○紙智子君 二度と繰り返さないことが大事だということを言われましたけれども改正案には不十分な点があると思うんですね。  一つは、販売禁止農薬や無登録農薬の回収義務がないと。これでは知らないで使うということも防止できないわけです。既に、この点では、衆議院の議論でも、次期国会改正に向けて努力するというふうに答弁をしているわけですけれども、だれがどれだけの責任分担があるのかと。現在では、今難しくて、今回の法案には間に合わないというふうに説明をそこでされています。  安全性残留性などで販売禁止になった農薬の場合に、あるいは失効後に危険性が確認された農薬、これは造ったメーカーやあるいは輸入業者の責任で回収すべきだというふうに思うんですけれども、これはいかがでしょうか、大臣
  110. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 先ほども日笠委員からこの回収の問題が議論になりました。あるべき姿として、それは回収した方がいいと思います。  しかし、言葉では簡単なんですが、現実問題として、どのような方法で回収をし、回収義務を課せられるか。憲法上の所有権との問題等々を考えますと、今の法律にそのことを、そういう現実の問題、憲法からくるところの法律整合性の問題、そういう総合的な判断で、ここで今この法律にそこの点は一項立てるということには至りませんでした。  したがって、様々なそういう問題を含めて、通常国会に向けてどう対応したらいいか考えてまいりたい、このように思っております。
  111. 紙智子

    ○紙智子君 登録の際に、人畜に対する毒性等の試験成績書及び解毒方法などが出されます。それで審査されるわけですけれども、その後、登録された後、安全性におそれがあるというふうに判明したときに販売禁止になるということなんですけれども、そういう危険性のあるものを製造した責任とか、あるいは輸入した責任というのはあります。そして、登録する際に、そういう危険性を予測し得なかった責任というのもまたあると思うんですね。この点についてはいかがですか。
  112. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) この回収の関係、大変法律的には難しい点でございまして、まず明らかなのは、無登録農薬と分かっておって販売した者、それから販売禁止になった農薬と分かっていて販売した者、これらの者に対して回収規定を掛けれるというのは、これは現時点でも私は可能だというふうに考えております。  問題は、販売した時点では合法、登録を受けていたんだと、それから販売した、その後で見付かったりした製造業者とか輸入業者でございます。製造業者責任とかいろいろな問題がございますけれども、こういう者にまで法令上回収を命じ得るか否かということにつきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、やはり財産権の保障との関係等を踏まえながら検討する必要があろうかというふうに考えているところでございます。
  113. 紙智子

    ○紙智子君 製造業界に対して甘いというふうに私は思います。  今回の事件で、ダイホルタンは平成元年に失効して、その後、九年に発がん性が明らかになりました。NDと、つまり残留基準が検出されてはならない農薬ということで指定をされているわけです。プリクトラン、これは昭和六十二年に失効して、平成七年にNDというふうになりました。この時点で、どれだけこのような危険な農薬なんだということを国や都道府県が情報を提供し、指導したのかと。  第十二条の七の条項がありますけれども、ここでも定めていますね。そこはやっぱり徹底していかなきゃいけないということになっているわけですけれども、そういうことをやっぱりやる必要がなかったという、失効していればなかったということなのか。そして今後、失効後、残留基準が検出不可になるなどの危険性が確認された場合に、失効していても販売禁止を掛けることもあり得るのか。この場合を含めて、販売禁止の場合に、そうした情報と指導を国と都道府県の「努めるものとする。」という努力規定から、メーカーも含めて、ねばならないという義務規定にすべきだというふうに思うんですけれども、今回なぜそれをやっていないんでしょうか。
  114. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 情報提供の話でございます。私ども先生言われたようなケースには、今後はホームページでございますとかそういうものを使いまして、失効農薬リスト、失効理由、そういうものをできるだけ調べまして情報提供をしたいというふうに考えております。  現行法でなぜこうなっているのかという話でございます。やはり私は、販売に係る輸入業者も製造業者も販売業者も、そしてこれを使う農家も、特に農家食品を供給する者でございまして、その義務の中にやはり安全な食品を供給する責務というものは、これは当然内在しておるものだと思うわけでございまして、それぞれの段階で注意をしていただく、立法の趣旨を守っていただくということがあれば今回のような事件はなかったんではないかというふうに思っておりますが。  やはり今後は、安全でない食品消費者に供給されないようにすることというのは重要でございますので、例えば、衛生部局が発見した場合には食品衛生法上の措置を取って速やかに農林部局へ連絡する、農林部局は直ちに農家販売業者に立入検査を行って農林水産省に連絡をする、農林水産省は他の関係機関にも情報提供をいたしまして、必要に応じて立入検査を行うという安全性の面からの検査と、それから先ほど、消費者に無用な不安を与えず風評被害を招かないための情報の提供と、両面努めていきたいというふうに考えております。
  115. 紙智子

    ○紙智子君 ちょっと大臣にまたお聞きしたいんですけれども、今のこととも関連するんですけれども、山形県では、結局、県の情報がずっと公開されていなかったと。そして、平成十三年に衛生研究所がダイホルタンを検出していながら、公表したり農家注意喚起するということをしていなかったと。  こういうことを教訓にするならば、やっぱり義務規定にすべきじゃないかと思うんですね、努力でなくて。その点、次期改正検討するおつもりはありますか。
  116. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 義務規定にしないのかということでおっしゃっておられますが、義務規定まで行くべきかなという疑問をちょっと持っております。
  117. 紙智子

    ○紙智子君 義務規定にすべきだというふうに私は思いますけれども。  この使用禁止に輸入、製造、販売、同じレベルの罰則が、またこれ違う質問になりますけれども罰則が付きますけれども使用禁止違反の場合に、それが故意でやられたのか、それとも知らないで使ったのか、過失なのかと、その理由はいろいろ出てくると思うんです。販売禁止の情報が知らされていない場合もあるだろうと。機械的な罰則適用はあり得ないというふうに思いますけれども、この点、いかがでしょうか。
  118. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 法律罰則適用につきましては、刑法に本則がございまして、罪を犯す意思がない行為は罰しない、行為がなければ罰しないと原則が書かれているわけでございます。あわせまして、法律を知らなかったとしても、そのことによって罪を犯す意思がなかったとすることはできないということでございまして、いわゆる法律の不知というのは可罰性があるということでございます。  私ども、今回の問題を実態上見てみますのに、やはり農家段階でも、ラベルがないとか、そういう農薬だとそれは無登録だということは分かるわけでございますので、農家の方々にも、そういう農薬使用すべきではないという遵法精神といいますか意識を持っていただきたいというふうに思っております。  それで、先生の御質問に対するお答えでございます。  具体、個別の事案は司直の方で判断されるんではないかというふうに思っておりますけれども、例えば無登録農薬を、登録を受けていると誤認させるような宣伝を行って、そして登録農薬と思い込んで使ったといったような場合には、それは行為は問えないだろうというふうに思っております。
  119. 紙智子

    ○紙智子君 次に、農薬使用基準を定めて、その遵守規定が設けられて、違反に罰則が付くわけですけれども、したがって、この基準使用者の理解が必要なわけです。今は安全使用基準を公表するというふうになっているわけですけれども、非常に複雑で矛盾があるというふうにも聞いています。  例えば、DDVP剤、殺虫剤ですね、この場合は、ジャガイモについては収穫前日まで使用可能だけれども、サツマイモは十四日前、それからキュウリは前日までで、トマト、キャベツは三日前、ブロッコリーは七日前というふうになっていますね。それで、こういう複雑さというのが一体なぜなのか、ちゃんと農家に知らせて、そして理解してやってもらうべきだというふうに思うんですけれども、こういうことに対する指導はどのようにされるおつもりでしょうか。
  120. 渡辺孝男

    大臣政務官渡辺孝男君) 使用基準についての周知に関してでありますけれども、今回の改正で、食の安全の観点に立ち、農薬使用する者が遵守すべき基準を定めたわけでありますけれども、これに違反するような場合などに罰則規定を設けたところであります。農薬使用者が遵守すべき点や知っておかなければならない農薬情報について、分かりやすく教育、普及することが重要であると考えております。  このため、法施行前までに、農薬使用者に対し、遵守すべき事項を各都道府県の農業振興事務所あるいは病害虫防除所、それから改良普及センター、農協等の関係機関を通じて徹底していくことができるように、必要な措置を取っていくこととしております。  また、従来から実施している農薬使用者に対する講習会の開催等に加えまして、農薬適正使用徹底のために、農協の営農指導員などの中から農薬適正使用アドバイザーを地域に育成することなどによりまして、関係者による生産者への農薬に関する情報提供を推進していくことにしております。
  121. 紙智子

    ○紙智子君 徹底するための体制ももちろん必要で、アドバイザーという話ありましたけれども、それをやるのであれば、やっぱり現に今いる改良普及員とか、そういう体制がずっと今まで減ってきているわけですから、ここはやっぱり減らさないでちゃんと充実していくということをやるべきだというふうに思うんです。  財務省がこの農業改良普及員それから農業委員などの補助金を二〇%減らすということを言っているんですけれども、これはちょっと私は逆だというふうに思うんですね。これ、ちょっと一言、大臣で結構ですけれども、コメントを。
  122. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 太田大臣にお答えをさせると、全く同感だと言うおそれがあるかもしれないので、私がお答えをいたします。  私、経済財政諮問会議でも、いわゆる学者さんと言われる方々が、むしろもうそういうような必置規制なんかはやめたらどうか、こういうふうな質問を私に問い掛けます。私は、この農政の改革のときだからこそ、あるいは食の今の安全、安心のときだからこそ、その必要性は依然としてありますと。ただし、その在り方の中身について、より質を高めるとか、今の時代に合うようにしていくような改革をいたさなければなりません、このような考え方でお答えをしておりますし、今、紙委員がお話しされましたように、農薬に対する指導という一つのその大きな人的要素として、普及員の皆さんにも徹底をしてもらう、ネットワークとして活用していかなきゃならぬ、働いてもらわなきゃならぬ、このように思っておりますので、どうぞ、農業委員の在り方論等々については御支援のほどをよろしくお願い申し上げます。
  123. 紙智子

    ○紙智子君 ちょっと時間が迫ってまいりましたので、続けさせていただきます。  それで、関連する問題なんですけれども、埋設されている農薬についてで、ダイオキシンを含む2・4・5T除草剤、これが国有林で一九六八年から七〇年に使用されて、七一年に使用禁止をされ、林野庁はこれを土の中に埋めて、その後八〇年に掘り起こしてもう一度コンクリートで固めた中に入れた、そして保管されているというふうに聞くんですけれども、林野庁にお聞きしたいんですけれども、この安全管理がどのようにされているのか、全国で何か所でどういう形で埋設されて、安全点検の巡回や調査や結果の記帳がどのようにされているかということについてお聞きしたいと思います。短くお願いします。
  124. 加藤鐵夫

    政府参考人加藤鐵夫君) 国有林野内への2・4・5T剤を埋設した問題でございますけれども全国で五十四か所でございまして、埋設箇所の適切な保全を図るため、原則として年に二回、現地の状況等の点検を実施するなどの指導をしておりまして、その結果につきましては、森林管理署などにおきまして点検記録簿ということに記録をして保管をしているところでございます。
  125. 紙智子

    ○紙智子君 関係自治体にその結果を報告していますでしょうか。
  126. 加藤鐵夫

    政府参考人加藤鐵夫君) 関係自治体への報告につきましては、点検の結果につきまして、現在まで埋設箇所に異常が発生をしていないということから自治体の方に特段の連絡をしていないところでございますけれども、現地に異常があった場合には、地元自治体に速やかに情報提供するよう指導しているところでございます。
  127. 紙智子

    ○紙智子君 非常に不安に思っているわけですね。ですから、これは相当山奥にもあるということもありまして、調べたらやっぱり結果については報告をしていただきたいというふうに思います。  それからもう一つ、本法案農薬規制を強めるために規制に入らないものを特定農薬ということでやっているわけです。この中で木酢液、土壌の消毒にとっても殺虫剤を使わなきゃならないわけですけれども、有機米などをやる場合に、この木酢液を土壌に使って、そしてカメムシの発生を抑えたりということが報告されているわけです。  これについて、自然循環機能の維持増進ということで、このこと自身が農業基本法の精神にもなると思うんですけれども、これについてその効能と、やっぱりもっと推進するべきじゃないかというふうに思うんですけれども、これについてお答えいただきたいと思います。
  128. 加藤鐵夫

    政府参考人加藤鐵夫君) 今お話ございました木酢液は、木炭の生産時の煙から生成される酢酸であるとかプロピオン酸などの二百種類以上の有機化合物を含む液体でございまして、有機農業用資材として幅広い効用を有しておるということから、近年、農業用であるとか家庭園芸用などに利用されているところでございます。  しかしながら、原材料や炭化過程の温度等によりまして製品によって品質のばらつきがあるということから、業界団体におきましては品質規格の作成及びそれに基づく認証制度の構築に関して自主的な取組を進めているところでありまして、林野庁としましても、これらの取組に対して助成措置を講じているところでございます。  今後とも、そういった中で安全性の確保や品質の安定に努めつつ、木酢液の使用に努めていくということではないかというふうに考えております。
  129. 紙智子

    ○紙智子君 品質の向上、安全性はもちろん大事です。  それで、木酢液については、現状では化学農薬に頼らない土づくりということでも大事だと思いますし、有機農業志向に使われているわけで、特定農薬に入らなかった場合に、従来の方法や用途で使用規制されないだろうかという不安を持っている実態もあるんですね。  ですから、是非そういう点では使用法を規制されないように配慮をしていただきたいということを最後に言いまして、質問を終わります。
  130. 岩本荘太

    岩本荘太君 国会改革連絡会の岩本荘太でございます。  農薬取締法につきまして、私も質問をさせていただきます。    〔委員長退席、理事国井正幸君着席〕  今までの御議論、大所高所からいろいろな面で質疑されておられましたが、私、現場でちょっといろいろ聞いたことについて、どういうふうに考えておられるのかちょっと問いただしたいと。  正直言って、私の県も農薬使用については必ずしも優等生ではなかったわけですが、今回のこういうことを踏まえて、現場ではしっかりとこれからは対応をしようという覚悟で取り組んでいることを御紹介させていただきたいと思います。  それで、実は、一つ不安に思っているというのは、生産量の少ない農産物ですね。それが今回の農薬取締法とどういう関係になるのかということなんですが、まず、いわゆる登録された農薬といいますか、登録といいますか、何が規定されるのか、どういうことが表示されるのか、まずその点をお聞かせ願いたいんですが。
  131. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 農薬登録時の使用方法でございます。メーカーから薬効でございますとか薬害でございますとか残留性毒性、こういうもののデータが出てくるわけでございまして、簡単に言うと、病害虫への防除効果、農薬としての病害虫への防除効果がある、農作物に薬害を生ずることがない、それから、それが原因となって人畜に被害を生ずることとか、このようなことを勘案しながら登録するわけでございます。  その際に、具体的には、使用方法といたしまして、適用作物及び適用病害虫、雑草、そういうものごとに散布の際の希釈倍数、十アール当たりの使用量、使用時期、使用回数、こういうものを定めているところでございます。
  132. 岩本荘太

    岩本荘太君 その適用作物が実はちょっと問題でありまして、恐らくこういう適用作物なんかを記載するということは、それなりの試験をして、それで決められるわけですね。そういうことでよろしいですね。  そうしますと、当初言いました生産量の少ない作物を本当に検査するという行為ができるのかどうかということが私といいますか、地元の疑問なわけでして、言うなればマイナーな作物ということになるかもしれませんけれども、マイナーというのは何かマイナスイメージですけれども、実はむしろこういう生産量の少ない方が非常に販路が、販路といいますか評価が高くて、非常に農業振興に役立っているという面もございまして、私のところでは加賀野菜という、昔、前田利家といいますか、前田時代から培われた野菜がございまして、今それを盛んに拡大しようということで農家の人は頑張っておるわけですけれども、そんな中で、五郎島という金沢に近いところのサツマイモですね、これなんかは非常に有望でして、三越辺りまで持ってきて売っているというふうなのが実態でございます。  したがって、こういうものがそれほど規模は大きくなくてもこれから増えると思うんですけれども、そういうものに対して一々試験をして適用作物ということがなかなか決め得ないんじゃないかなというような感じがするんですが、こういうものに対する取扱いといいますか、農水省はどのようにお考えになっておりますでしょうか。
  133. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 生産の側から見ると先生指摘のとおりだと思うんです。  実態を申し上げますと、ある農薬適用作物拡大する場合には、もちろん適用拡大申請メーカーによる適用拡大申請が必要でございます。その場合には、データとして残留性、薬害、薬効、このデータが必要でございまして、ある程度の費用は掛かります。そういうことのために、いわゆる市場規模が小さい作物、マイナー作物でございますけれども、そういう作物では適用拡大申請が進んでいないわけでございます。  ただ、先ほど来議論に出ておりますように、農薬そのものは危害性を含みます物質でございますので、やはり作物についてちゃんとしたデータを持って、ちゃんとした薬効があり、薬害がなく、残留性の点についてもクリアしたという、そういうことがちゃんと証明されて初めて適用作物にも拡大できるんじゃないかということでございます。  ただ、マイナーなものはなかなか進まないのも事実でございますので、今のところ、どういう農薬をどの作物適用拡大したいかという希望を取っておりまして、今、三百作物ぐらい集まっておりますけれども、それをデータを集めまして、農薬適用作物グループ化というのができないか。例えばカブ類なら大体いくんじゃないか。データが要るわけでございますけれども、そういうことができないかということで、その後にそのデータに基づいて適用拡大促進というのを図っていきたいというふうに考えているところでございます。
  134. 岩本荘太

    岩本荘太君 余り前向きというか、先の遠いような話で、そうしますと、法律施行のときにそういう農家の方は困っちゃうんですけれども。実際に、例えば今のままでいった場合に、対象作物でない、対象作物にするには大変なお金が掛かるということですから、作物でないということになりますと、それを使った作物は結局不正規な農薬を使ったということにされちゃうんじゃないかというような心配が非常に強いんですよ。だから、守ろうと思ってもなかなか守り切れない。  先ほどからいろいろ御議論出ていた、いろんな面の細かい問題があると思うんですけれども、その一つとして、一番私のところで不安に思っているのはこの点なんですけれども、もう少し積極的な対応策というのはないんですか。
  135. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 先ほど来申し上げております適用作物拡大問題、やはりデータに基づいて適用作物を決めていくということは基本にならざるを得ないわけでございます。今度の使用基準にも対象作物というのは書かせていただくわけでございまして、現在、約三百作物適用拡大要望が出ております。これを私どもはできるだけ早く、十二月中にデータに基づく農薬適用作物グループ化等の検討をしたい、そして来年の一月中には登録の変更の申請の受付を開始したいということで、改正法の施行に向けて農薬適用拡大促進というのを努めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  136. 岩本荘太

    岩本荘太君 私がイメージしている作物が申請されているかどうか分からないので、これは至急調べなきゃいけないと思います。大臣、何かございますか。
  137. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 実はこの間、農業祭がございましたときに、そのときに表彰された方がイチジクを栽培しておる、これもやっぱりマイナークロップの作品で、真剣に訴えられました。  ですから、今局長が答えた仕組みは仕組みとしまして、各県で小さく、特産で、正に今先生がおっしゃったように、三越に出すとかなんとかというのは県が多分分かっているんだろうと思うんですね。できるだけそういう情報を集めて、今の我々が考えている仕組みの中で積極的に対応できるように一層努力したいと思うんです。  せっかく産地でいいものを作って、集落で頑張っている農家をこれによって逆に苦しめたりしちゃいけませんので、仕組みは仕組みとして、マイナークロップだから法律から除外するとかということはこれはできません。だから、今のある制度で積極的に取り組ませるように、各県にもう一度聞き直して洗い直させているという中での対応を考えてみたいと、こう思います。
  138. 岩本荘太

    岩本荘太君 大変前向きな姿勢で有り難いんですが、私、この話、実は県庁の担当課とも話しておりまして、そういう意味では県全体の問題として今やっておりますので、そういうことについて何とぞひとつよろしく対処をお願いいたしたいと思います。  それと、これは法律に対する反論ではないんですが、いわゆる今回の農薬取締法罰則強化されたわけですね。それで、これ思い返しますと、今年の六月、JAS法でもやっぱり強化されているわけで、私はこれ強化されることはしようがないかなと。本来であれば、性善説が通用する世の中であればこんなものは要らないはずなんだけれどもと、こう思うわけですけれども、こういうことによって少しでも良くなればいいなと、こう思うんですが。  JAS法のときは、いわゆる懲役が一年以下、それで罰金が個人で百万、法人で一億円というふうに決まっているわけで、今回の場合、これいろいろな種類があるようですが、一概に言えませんが、大体今のJAS法と横並びみたいな感じを受けるんですが、これはこれとして別に私どうこう言うわけでないんですけれども、実はJAS法の審議のときにちょっとお聞きしたんですが、いわゆる不正競争防止の法律があるんですね。やっぱりこれは、私の理解では偽ブランドを防止するというための法律ですね。その法律がJAS法のときの一つの目安になったというようなこともお聞きするんですけれども、不正競争防止法を見ますと、懲役が三年以下、罰金がいわゆる農薬やJAS法なんかと比べますと三倍の三百万円、個人に至っては、個人も三倍の三億円以下と、そういうような規定になっているんですね。    〔理事国井正幸君退席、委員長着席〕  これはこれで一つの何といいますか、法体系として、私は法律詳しいわけじゃありませんのでとやかく言えないんですけれども、どうもJAS法とか農薬取締法といえば、これはやっぱり人の安全を守るものじゃないかなという気がするんですね。それに比べて、不正競争防止法というとこれは経済活動を重視したものだと思うんですが、そうした場合に、やっぱり経済活動と人の安全というものを比べてちょっと差があるのは何かなという疑問にちょっと襲われたんですが、何か聞くところによりますと、この規定でそれぞれ取り扱っている会社は破壊的ダメージを受けるからちょうどいいんだというようなこともお聞きしたんですけれども、あるいはそういうこともあるかもしれませんが、何となく倫理的な面と経済的な面を比べて倫理的な面がやられちゃっているような感じがするんですが。  こういうことを申し上げるのは、これは別に通告もしていなかったですけれども大臣、よく経済効率性ばかりでない、世の中はということを言っておられる大臣は、こういうような今私が申し上げたような、法体系というとおかしいですけれども、こういうような世の中の動きといいますか、そういうものについてどんな御感想を持っておられるか、お聞かせ願いたいと思います。
  139. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 岩本委員から、そういう視点に立って罰則の重い低いを考えれば、なるほどそういうふうな論理もあるかなと、人の命にかかわることだから少し罰則強化、もっとしたらいいんじゃないかと言われれば、そういう視点に立てばそうかなということですけれども、これは率直に言いまして、局長が一番内閣法制局と苦労したところでございます。  やはり、法律の世界の整合性の中で、生産資材である飼料についての罰則の水準と同等とすることを基本として考えたというところで、内閣法制局との議論の中でそういう判断をしたところでございますし、一つの考え方としては先生の考え方もそれで納得、なるほどそういう考え方もあるかなと思うところがありますが、なかなかここのところは、やっぱり純粋な法理論の内閣法制局との議論の中でこういう結論を得たということで御理解いただければと思います。
  140. 岩本荘太

    岩本荘太君 私、あえてこれで議論をするということじゃなくて、こういうことを申し上げることによって少しは経済主義といいますか、そういうものから変わっていく一つのきっかけになるんじゃないかなと、そんなおこがましい気持ちで申し上げたところでございます。御答弁ありがとうございました。  それで次に、これは不正表示という問題ともある意味じゃ関係しているかもしれないんですけれども、表示問題ということで、食糧庁長官お見えいただきましたのでちょっと質問させていただきますけれども、先日、生産者とお会いしたら、自分で作ったお米を産直で売るという行為をする場合に、最近になってだと思うんですけれども検査を受けなければ、例えば自分がコシヒカリを栽培してもコシヒカリと書けないと。何て書くかといったら、一つのケースで、複数原料米とか、何か全然お米の品種のイメージじゃないイメージを付けざるを得ないと。  検査が前提だからそれは検査しろということを奨励しているのかもしれませんが、何か生産者からしてみると、どういう品種を植えるかというのは、春先からあるいは前の年から種を確保して、しっかり自分はこの品種を、コシヒカリならコシヒカリを植えているんだという認識でずっと栽培してきているわけですね。それが、できた後、検査を受けないとそれはコシヒカリじゃなくなると、なくなるんじゃなくてコシヒカリと言えないというような、これで非常にがっかりしたことを伺いまして、これはいろんな複雑な要素があるんでしょうけれども、私もそういう人たちに対して、いや、こういうことなんだということで、もう私、そういう考えが間違っているとすれば申し上げなきゃいけないと思っているんですけれども、今、これは事実ですね、こういうことを食糧庁としては今私が申し上げたようなことで進んでおられるわけですな。
  141. 石原葵

    政府参考人石原葵君) お答え申し上げます。  今の問題でございますけれども制度が今どうなっているかということでございますが、JAS法では、消費者に玄米及び精米を販売するすべての販売業者、これが品質表示の義務を負っております。それで、生産者であっても、消費者向けに直接販売する場合にはJAS法に基づいて表示を行う必要があるということでございます。それで、国内産の玄米それから精米につきまして産地それから品種及び産年を表示する場合には、農産物検査法の証明を受けた原料玄米でなければならないというふうにされておりまして、未検査米については産地、品種及び産年の表示が禁止されているということでございます。
  142. 岩本荘太

    岩本荘太君 検査費用というのは一俵五十円だそうですからそれほどの額じゃないんでしょうけれども、米がこれだけ下がっているときに対する精神的な影響というのはかなり大きいものですから申し上げているんですけれども、今お話聞きますと、結局検査をするということに問題が集約、検査するというか、検査に問題が集約されると思うんですけれども、私は食糧庁の検査というのは、昔、一等米とか二等米を決めるので取り出して粒のいい粒と悪い粒と振り分けたとか、そういう検査の記憶しかないんですが、今回、今言う検査というのは、昔のそういう一等米、二等米の検査ということが中心になる、それと品種を決めると、そういうことなんでしょうか。
  143. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 検査は、もちろん一等、二等というのが農家の非常に関心の高い事項でございます。しかし、その前提として、当該米が玄米がどういう品種であるのか、それからどういう産地であるのか、その辺をチェックしているということでございます。
  144. 岩本荘太

    岩本荘太君 この表示例を見せていただきますと、等級は余り書いていないんですよね。産地、品種、産年、使用割合。だから、恐らくこれからの米というのは、僕は昔の言う一等米、二等米ということを余り重視しないんじゃないかなという、むしろ産地を、産地というか品種を重点的に置くのかなという気がするんですが、その前に、本当に持ってきたお米を見て、これがコシヒカリだと分かるんですか。
  145. 石原葵

    政府参考人石原葵君) プロが見ますと分かります。この前も私もテレビで見ましたけれども、全部見分けておりました。  これはすべて消費者の表示に対する信頼、今、非常に消費者の表示に対する信頼がぐらついております。以前以上に今、表示に対する信頼を確保する、そういう意味からもこういう規定といいますか、こういう制度は必要であろうかと思っています。  それで、この点につきましては平成十二年の農産物検査法、そういう改正に当たりまして国会より「消費者の表示に対する信頼を維持・確保するため、精米等の表示については、検査制度との関連も考慮しつつ、適正に対処すること。」という附帯決議もいただいているところでございまして、我々、そういう附帯決議に沿いまして、適切に対処しているつもりでございます。
  146. 岩本荘太

    岩本荘太君 時間がありませんので、また米の質疑をする機会があるといいますのでそちらに譲りますけれども、今の附帯決議にしても、どう検査しろとは書いていないでしょう。検査をすべしと。検査ということは、検証をどうすべきかということだと思うんですよね。これは消費者が幾ら何を言おうが、やっぱり生産者には生産者の、生産者に納得してもらわなきゃいけない方法があると思いますので、私はそこまで言って今日はやめますけれども、どうもありがとうございました。
  147. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 農薬取締法改正案について質問します。生産局長にまずお願いします。  今回の無登録農薬問題の発端となった山形県の三業者については、一九九一年の時点で情報が山形県庁に寄せられたんですね。それ以降、何度も業者への立入検査が行われたわけです。しかし、山形県庁は無登録農薬の在庫や販売の記録を見付けることができずに、業者たちは今年七月末の逮捕まで無登録農薬を売り続けてきた、こういう事実があります。  なぜ山形県庁は立入検査をしても業者の不正を見付けることができなかったのかと、どうしても疑問にわいてしまう。立入検査をする、まるで分かったように証拠がなくなっているという話ですよね。警察はそれを一回目でちゃんと摘発できたわけですよね。これはどういうことなのか、非常に不思議なんですが、大体、山形県庁というのは検査とか監督というものの能力に欠けていたという話なんですか。
  148. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 実は、今年の九月に私どもの担当官を山形県に派遣をいたしまして、これまでの経緯の調査を行いました。その結果を事実に即して申し上げますと、平成の三年ごろから平成の七年ごろまでの出来事でございます。平成三年ごろまでに立入調査をしたわけでございますけれども、売上帳にダイホルタン、プリクトランと明記をしていたわけでございますけれども、その売上帳の確認をしなかったという事実がございます。  それから、平成四年にもそういう情報提供を受けていたわけでございますけれども、やはりその売上帳の記帳を見逃したという事実がございました。私ども、売上帳を確認しなかったということは、立入検査職員としての資質に欠如があったのではないかというふうに思いますし、あるいは心の中で産地を守りたいという意識があるいはあったのかもしれません。  それから、平成七年のとき、平成七年から今年の七月まででございますけれども、県の衛生部局がキュウリだとかホウレンソウ、サクランボなどから残留農薬四十六件検出をしておるわけでございます。これを土壌中の残留農薬が原因だというふうに判断をしてしまったということでございまして、農家が購入したのではないかという観点からの調査を行っていないわけでございます。やはりそこに独善的判断といいますか、科学的な原因究明を怠っていたのではないか、いわゆるリスク管理の必要性に対する認識が欠けていたのではないかというふうに思わざるを得ないわけでございます。  それから、昨年の山形県の衛生研究所がラ・フランスからダイホルタンを見付けたわけでございますけれども農林部局に報告をするのが七か月後になったというようなことがございまして、これもリスク管理に対する認識が欠けていたのではないか、そういうことでございます。  山形県の対応について調べた結果は、私どもは正直言ってそういうことでございました。
  149. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 今のお答えは、全部要するに山形県庁には検査・監督の能力がなかったということの証明なわけですよね。これは球団が野球をできない選手に給料払っているという話と同じだと思うんです。一大事じゃないかと思うんですね。要するに仕事のできない公務員が何にもせずに高給を税金からもらっているという事態で、これは別の角度から問題にすべき重大な話だと私は思います。  次に、今回販売が確認された無登録農薬にはアジアを中心とした海外から個人が輸入代行業者を通じて入手したものがたくさんあったわけですね。農水省はこうした無登録農薬の個人輸入というものの実態をいつごろから把握していたんでしょうか。
  150. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 北海道を中心にして輸入代行業者、無登録農薬農家が入手、使用することについて法的規制がないということに着目をして、海外から安価な無登録農薬農家に代わって輸入する、あるいは農家にあっせんするという業者が販売していたことが明らかになったわけでございます。  私ども、この輸入代行業者の存在、そしてそういう広告をしているということは平成四年の四月に最初につかみまして、その後、何回か調査をしておりまして、数次にわたり担当官を派遣して無登録農薬の輸入についての営業の自粛と農家販売しないように、農家に対しても購入しないように、そういう指導をしてきたわけでございます。さらに、平成五年の四月には、指導通達というものも発給をしてきたわけでございます。  ただ、現行法では輸入代行業についての規制がないということでございまして、そのとき法的措置を取るためには輸入代行業者が販売をしていたという事実をつかまなければ法律上の措置を取れなかったということで、私どもはその事実の確認ができなかったものですから、自粛指導あるいは指導通達にとどめてきたわけでございます。  今回の事件で輸入代行業者を経由した無登録農薬の輸入の広がりというものを認識をいたしまして、輸入代行業者による宣伝行為の制限を含む輸入製造、使用規制ということを法律改正をしたという事実関係でございます。
  151. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 生産局長と協同組合検査部長質問します。  農林水産省と農協は様々なレベルで日ごろより密接な情報交換をしていると聞いています。また、農協の不正監視については農水省に協同組合検査部というのがあるわけですよね。しかし、今回の問題では農薬の適正な使用を指導すべき立場の農協が無登録農薬の流通に関与していたという事実も明らかになった。農水省調査によれば、実に二十農協、五十支所にも上るというわけです。  なぜ、農水省は農協の不正というものを見付けることはできなかったんでしょうか。
  152. 上原勝美

    政府参考人上原勝美君) お答えいたします。  農協に対する検査につきましては、都道府県が実施しているところでございます。全国で約五百人の都道府県の検査専従職員によりまして、すべての総合農協に対しましておおむね二年に一回の周期で実施しているところでございます。  この検査につきましては、農協の経営の健全性、適切性を確保するという観点から、農林水産省におきまして、農業協同組合検査実施要領を定め、的確な検査の実施を図るよう都道府県に対し指導しているところでございまして、その中で在庫品の管理状況の検証、その一環といたしまして、農薬を含め、毒物・劇物等の薬品の取扱いについての法令の遵守状況を検証するように定めております。  しかしながら、実際の都道府県の検査におきましては、限られた検査人員、それから検査日程の中で実施していることもございます。また、最近では、厳しい金融情勢にかんがみまして、信用事業に関する検査が中心になってございます。それから、農薬の在庫品、これは多くの事務所や事業所の倉庫に分散して保管されていることが多い、そして実際に使われる農薬種類が極めて多いわけでございます。そういったことでございまして、無登録農薬が扱われているかどうかを限られた検査時間内で発見することは容易でないということ、そういった事情がございまして、結果といたしまして無登録農薬の発見ができなかったのではないかと考えてございます。  なお、現在は、特に注意を要する農薬種類につきまして、都道府県の検査担当部局に通知するなどによりまして、農協の検査に際しましては農薬保管管理状況を的確に検証するように指導しているところでございます。
  153. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 私どもも農協とは随時接触をしているところでございます。全国レベルの農協系統とは、私どもはよもや農協はこんな無登録農薬販売をしているとは思ってもなかったわけでございまして、資材費の低減に向けた取組でございますとか、営農指導員の適正利用指導、こういうことを中心にして意見交換をしておりました。  ただ、テーマを決めて、農薬検査所が農協を含めて立入検査もしておりました。平成九年から平成十三年までに三十五農協についての立入調査をしておりました。テーマを決めてというのは、例えば非農耕地用の除草剤を農耕地で使っていないかどうかとか、そういうテーマを決めてやっていたわけでございます。  今回、無登録農薬販売していた農協、それがどういう手法で帳簿記載等をしていたかということでございます。やはり、ほかの資材のところ、肥料等、そういうほかの資材のところに紛れ込ませて帳簿整理をしていたということでございまして、恐らく農協検査に行った職員も、立入調査に精通をしていたという職員も、限られた期間内に確認するということが実態問題としてなかなか困難な状況にあったわけでございます。  ただ、こういうこと、要するに農家を指導する立場にあり、また自ら農産物を共同出荷する、その食品供給者としての責務も負っているわけでございます。無登録農薬販売使用するようなことがあってはならないということで、九月に全中を呼びまして、再発防止に向けた徹底指導というのを要請し、全中は十月二十三日に点検をした結果を公表するとともに再発防止策を公表したということでございます。私どもも、農協の七営業所に対し販売停止処分をし、五十二の営業所に対して警告を行うということで、やったことに対しては毅然とした措置を講ずることとしたところでございます。
  154. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 今の農薬の問題だけではございませんけれども、この委員会で様々な観点から農協に対する問題提起がございました、流通、金融その他につきまして。したがって、農協改革というそのまた根本的な問題についても私どもは今、手を付けておりまして、そういう中から、もう一度、農協自体が本当に、生産者、もちろん、のための農協でありますけれども消費者にきちっと目を向けた農協にもなってもらわないかぬという視点から、そういう基本的なところから農協改革について今議論しておりますので、結論が出たらまた先生方と御議論をしたいと思っております。
  155. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 大変複雑で見分けにくかったというようなお答えもありましたけれども、しかし、見分けにくくて見分けられなかったら、これはやはり山形県庁と同じ、能力の問題ということが問われるわけですし、また須賀田局長が農協がそんな悪いことをしているとは夢にも思わなかったと言うのは、農協をなめているんじゃないかという逆説的な批判が来ると思うんですよね。  つまり、実は大体は分かっていたけれども、無登録農薬の流通と使用というものを、実はこれを農水省は見逃してきたんじゃないかということが実際あるんじゃないですか。そういうことに関して、農水省自身が責任についてどういうふうに総括しているのか。これは生産局長に答えていただきたいと思います。
  156. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 率直に申し上げまして、一連の経緯を振り返って、私どもの組織の対応についても、やはり情報があった際に立ち入らなかった、立ち入ったけれども見付けることができなかった、そのようなことがございました。やはり基本的には、どのような情報があった場合に何を指示をしてどんな調査をすべきであったかという、組織としての対応マニュアルができていなかった、もっと危機管理意識を持って取り組むべきであったということ。それから、県の立入調査の際には無登録農薬の存在を見逃したわけでございますけれども、国と県、衛生部局農林部局連携体制が取れていなかったと、こういうことを痛切に感じております。これを機に、やはり業務とか組織の在り方を抜本的に見直しまして、二度とこのようなことが行われないようにすることが我々の務めというふうに考えております。  私どもは、今後、一つは、先ほど来お話ございますけれども、次の通常国会に向けて、更に農薬の取締りの実効の確保が上がるような法律改正等に努めるということ、二つ目には、やはり公務員としての意識が欠如しておったんではないかということがございますので、そういう消費者保護を第一とする意識改革等に努めるということ、それから三つ目には、先ほど言いましたけれども、国と県、農林部局衛生部局環境部局の連携体制の構築を図っていく、国が責任を持って調整に当たるという原則を確立すること、これが必要ではないかというふうに考えているところでございます。
  157. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 これからどれだけ規制罰則強化したところで、それを検査・監督する側に能力が欠けていれば実効性は全くなくて、意味がないんですね。必要なことは、農水省自身の責任に対する反省と、それに基づく具体的な対策ということだと思うんです。  ところが、この改正案のどこを見ても、検査・監督能力をどうするのかということは分からないんですね。衆議院農水委員会の議事録を読んでも、情報を一元的に管理する、都道府県で農林部局衛生部局の連絡を密にする、改良普及員、農協、市町村の協力を得るなどと、抽象的な答弁だけしかないわけですよ。具体的に農水省検査・監督体制がどう変化するのかということに関しては、この法案では不明なんですね。  農水省は、検査・監督体制というのをどう変えなければならないと考えているのか、来年度の予算要求などでどういうふうにするのか、具体的に説明できますか。
  158. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 現在、国レベルの立入検査等を行う職員でございます。本省に十七人、農政局に二十一人、農薬検査所五十六人、合わせて全国レベルで九十四人でございます。  販売業者が四万人、四万店あるわけでございますので、都道府県との協力というのが必要となろうかと思いますけれども、その中で、私ども農薬取締りの強化のために、本省四名、農薬検査所七名の増員要求を行っているところでございます。  さらに、無登録農薬の取締りの強化のためには、販売業者でございますとか農家に対する取締りの強化や、販売業者に対する研修指導を実施することが必要ということで、都道府県による指導講習の必要な経費について予算を要求をしているところでございまして、一人一人の能力の向上と併せまして検査・監督体制強化に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  159. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 これは大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、これまで私やほかの委員たちからも再三にわたって指摘されたように、今回の改正案というのはまだまだ不十分なところがあると。そして、環境や健康の視点から有機農業者農薬問題に取り組む市民団体、こうした人々の意見もどんどん吸収して農薬取締法の抜本的な改正作業を早急に始めるという、こういう部分も必要なんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  160. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 無登録農薬を外から入れない、造らない、流通させない、使わせない、まずこの四点だけは早急に押さえないと国民の食の安全と安心に対する私どもの責任が果たせないということで、今度の法案を少なくとも緊急に出させていただきました。  この委員会等で出された様々な御指摘等、私どもが謙虚に聞かなければならない点も何点かあると思いますし、委員が今お話しされた国民の御意見というものをどういう形で伺うかは別にして、そういうものも視野に入れながら勉強しながら、通常国会に更なる食の安全、安心のために無登録農薬のあるべき姿を追求してまいりたいと、このように思っております。
  161. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 終わります。
  162. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  農薬取締法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  163. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四分散会