○本田良一君 民主党・新緑風会の本田良一でございます。
冒頭、私は、この
農林水産委員会で同じく熊本県出身であり、そして熊本県議会でともに席を並べた
三浦一水
委員長の下で、そしてまた御指名を受けてこの
質問の機会を与えていただきましたことに、心から敬意を表します。
それで、私は、
農協貯金法改正の
質問に入ります前に、どうしてもこの農水
委員会の場で一問だけ農水
大臣に御
質問をして、そしてその後、この
法改正の
質問に入らせていただきます。
私は熊本出身で、そして先般、有明再生法が本
委員会でも採決をされましたが、この有明海に近いところで育ち、そして小学校のころなどは臨海学校というものでこの有明海でいろんな貝を取ったり、そうした
関係で海を熟知している者としてひとつ
質問をいたしますが、まず、最近はこの有明海に貝も、アサリガイも見当たらないと、そういう
状況であります。私は、これの大きな原因の
一つに野放しの養殖生産があると思っております。そして、このことは全国各地に当てはまることだと考えております。
そこで、私は議員立法を作成をいたしまして、先般の通常国会、そしてまたこの臨時国会を照準にしながらも、次の通常国会でこの持続的養殖生産確保
法改正を提出をしたいと、こう思っております。それは、養殖生産における化学的物質の使用を規制をするものであります。有明海を始めとする全国の沿岸漁業の衰退を食い止め、昔の豊かな海に戻そうという
趣旨であります。そして、最終的には食の安全の確保をするということであります。
具体的な数字を申し上げますと、九州農政局がまとめました熊本県の海面漁業、養殖業の総生産は、
平成四年には十二万六千六百五十トンありました。しかし、
平成十三年には七万六千百トンに落ち込みました。四〇%も減少したわけであります。しかし、問題はそれだけではありません。総生産量の
内訳であります海面漁業と海面養殖業で見ますと、海面漁業が十年前の何と三八%に落ち込んでいるのに対し、養殖業は、ノリの大不作があったにもかかわらず十年前の八七%を維持しております。したがって、十年前は海面漁業が全体の五五%、海面養殖業が全体の四五%と海面漁業が優勢であったものが、
平成十三年には海面漁業が三五%、養殖業が六五%と大きく逆転をいたしました。これは一体何を意味するのでありましょうか。
もし、有明海や八代海の総生産量の減少が流入河川の運んでくる生活排水など都市の過密化の
影響であるとするならば、海面漁業も海面養殖業も同じ比率で減少するはずであります。海面漁業と海面養殖業の一番の違いは何でありましょうか。
人工のえさや病気予防のための薬剤、見た目を良くするための化学薬品など、ありとあらゆるものを海に放り込んで生産するのが養殖であります。そうでない、あるがままの姿の魚介類を確保するのが海面漁業であると思っております。ところが、どちらも同じ海域で行われているわけでありまして、当然、養殖業で使用される大量の薬剤、えさは海を汚し、海面漁業にも多大な
影響を与える。養殖に対する化学薬品の使用規制というものは行われなければなりません。それが野放しだからであります。
熊本県の総生産量に占める海面漁業の衰退という事態になったのでありますが、農水省は、BSE問題や牛肉偽装などの問題の反省から、従来の生産者、業者寄りの
行政から消費者、生活者の方を向いた
行政に大きく転換をしてきております。しかし、
農業や
畜産で起こった問題は海面の面でも遅かれ早かれ同じように起こり得る、実際に起こっていると言えましょう。
そこで、農水
大臣にお伺いをいたしますが、漁業の衰退が言われる中で、我が国の養殖生産は顕著に推移をしております。一九八〇年の海面養殖業の生産は海面漁業の十分の一にすぎなかったものが、昨年は四分の一を上回る規模になっております。世界的に見ても、我が国のような養殖の盛んな国はほとんど見当たりません。海外で我が国の企業が
指導しております養殖、それを我が国に輸入するというようなことも盛んに行われております。正に養殖大国であります。
しかし、養殖には大量の薬剤、人工のえさが使用をされます。ところが、その養殖に関して我が国の
法律といえば、持続的養殖生産確保法という
法律が三年前に施行されただけであります。しかも、この
法律は消費者や水産環境の
視点から養殖業を規制する
法律ではありません。養殖業の健全な育成を目的とする
法律であります。言わば業界支援法でありますし、持続的とは養殖業界の持続であります。そうでなくて、養殖生産における化学物質の使用を規制をして、掛け替えのない海洋保全、環境保全をし、そういう意味の持続的でなければなりません。
この
法律を
改正するお考えはございませんか。
大臣にお伺いをいたします。