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政府参考人(
永谷安賢君) 二十一世紀型の
消費者政策ということで何を意図しているかということについては、私の方から御
説明いたしたいと思います。
これも今朝ほど来ずっと議論になっていますけれども、現在の私どもが持っております
消費者政策に関するツールというのは、すべて三十数年前にできた
消費者保護基本法というのが土台になって、その上に成り立っている世界であります。当然のことながら、今から三十数年前ということでありますので、
日本の経済自体が今みたいにこんなに市場経済とかなんとかというような形でなかったわけですね。取りあえず、市場経済とかなんとかということを想定していないような
状況の下で作られた法律であります。
そこでは、先ほどどうやって
基本法ができたかという御質問ありましたけれども、いろんな
消費者トラブルが発生する中でその法律自体が作られるということはあったわけですけれども、まず今の
消費者保護基本法の中で一番遅れている部分というのは、
消費者というのはアプリオリに保護されるべき主体という位置付けになっているんですね。そこが権利の主体という位置付けではなくて保護されるべき主体ということであります。したがいまして、
消費者の例えば
情報を得る権利とかいろんな、安全である権利とか、そういった権利というのは、保護という形で事業者が
配慮しなきゃいけないというような形になっているんですけれども、
消費者の権利としてはそういうものが何ら認められていないということであります。
健全な市場経済を営んでいくためには、正に権利の主体としての
消費者とそれからその
消費者と健全な良好な
関係を築いた事業者というのがあって初めて経済というのはうまくいくんだろうと思うんですね。今の
消費者行政、
消費者保護基本法の体系というのはそういうことになっておりません。一つは、そういう形で
消費者の権利とかなんとかというのをどう
考えるかという大問題があるというのが一点。
それからもう一つは、
消費者の契約についての規定というのが何らなされていないということであります。御案内のとおり、
消費者契約法という法律が別途民法の特例法という形でできていますけれども、現在の
消費者保護基本法の中ではそういう
消費者契約の適正化というのはきちんと規定されておりませんし、
消費者のトラブルが起こったときに、先ほども出ておりましたけれども、
裁判外の紛争処理メカニズムをどうするかとか、その辺りも全然書いてありませんし、したがいまして、私どもが今、
国民生活審議会の
消費者政策部会で議論をさせていただいているのは、そういう個別のパーツ、パーツについて、今の世の中にぴったり合った形でどういうふうに書いていけばいいかという議論をさせていただいているということであります。