○田嶋陽子君 無所属の田嶋陽子です。
私は、ずっと女性問題というのをやってきまして、それでやっぱり女性
政策ということを真っ先にやっていただきたいなと考えているんですけれども、何かというと、やっぱり女、女と言うなというそういう言葉がすぐ出てくるんですね。でも、私が何で女性
政策のことをやっているかといいますと、やっぱり
日本という国が二十一世紀、真っ当な国として生き延びていくためには女性
政策をきちんとやらないと駄目だという信念を持っているんですね。
今の
日本という国は、私は、フラミンゴみたいに片足立ちの国だというふうに思っているんです。その片足は何かというと、男性であって、その男性が女性を背負って、家族を背負って、そういう国だというふうに思っているんです。元気のいい男性は、家族を背負って、子供を背負って、自分で立っていることを生きがいだと思っていると思うんですけれども、こうやって不景気になってきて少し国がかしいでくるような印象のときには、男性たちはもう非常につらくて大変で、よく言われているように、それに耐え切れなくて自殺する人もいらっしゃるわけです。
ですけれども、もし男性が背中から女性を下ろして、女性を独り歩きさせたら、この国は人間の資源はすごく豊かです。女性という資源は、私に言わせると、大学の教員やっていましたから分かりますけれども、社会に出るまではむしろ男性よりも優れた資源なんですね、そういう言葉を使うと申し訳ないかもしれないんですけれども。それなのに、社会に出るとやはり家族を背負う男性が優先的だといって、就職の世話も男性が
中心になされます。そして、せっかく大学まで来た女性たちの能力が生かされないままに終わってしまっているんですね。
それに対して、今度、この間、所信表明で福田官房長官もおっしゃったように、女性の能力を生かすようなそういう施策をするということをおっしゃってくださったんですが、どうも私にはまだそれが絵にかいたもちのような気がして信じられないんですね。福田官房長官はそのときの所信表明で、現在直面する最重要の課題は
日本経済の
再生だとおっしゃっています。総合的な
対応策を取りまとめたいともおっしゃっているんですが、私は、このままでは
日本経済は幾ら
再生させようといったって、へんぱでうまくいかないような気がするんです。
ということは、不景気
対策というのは、やっぱり国民が生き生きと生きていないと不景気
対策にはならないような気がするんですね。みんなお金使いません。しかも、年配の人たちが貯金の大半を持っているようなこの国で何でお金を使わないかといえば、皆さんも御存じのように、みんな将来が不安なわけですね。将来が不安なところで景気
対策なんてできないというふうに私は思っているんです。
その将来の不安をなくすためには、何で不安かといえば、自分たちの老後をだれが見てくれるんだと。スウェーデンのように五〇%税金払っても、政府を信頼していれば、みんな税金払って、そして安心して老後を暮らせるとなれば、お金をみんなためなくてもいいんですね。でも、
日本は、そう言っては福田官房長官を前にして悪いんですけれども、みんな政府を信頼していません。ですから、無所属も増えます、無党派も増えます。まあちょっと話は違います、違うかもしれないんですけれども。
ですから私は、景気
対策のための何が一番大事かといえば、
少子化対策だと思うんです。すなわち、女の人たちがみんな二人三人と子供を産むような、産めるような社会にすることが真っ先の景気
対策の条件だと思うんですね。遠いようでありながら一番近い道がこの
少子化対策だと思うんです。
少子化対策というのは、女の人たちの静かなストライキです。みんな仕事を持っても家庭を持てないとか、仕事を持って家庭を持ったら死ぬような苦しみをするとか、ましてや子供を産んだら、みんなひいひい言っているんですね。それでも均等法ができたおかげで、そしてみんな働くようになったけれども、男の人の三〇〇%働いている女性もいます。男の人も大変ですけれども、
日本はみんなが大変になってきました。
そこで、きちんとした
政策が必要だと私は
思います。その一番大事な、遠くて近い
政策が、近くて遠い
政策のように見えるその
政策は
少子化対策です。
少子化対策の抜本は、今申し上げたように女性の静かなストライキをやめさせることです。この静かなストライキというのは何かといえば、女性は子供を産んだら真っ当な人間
生活ができない、家庭
生活ができない、苦労がある、親や近所の人を見てみんなそう思うわけですね。それよりも今を楽しんだ方がいい、そういう考え方の人たちがたくさんいます。
ですから、女の人たちが、均等法ができた上に、今度、働きながらも家庭を持てて、そして子供も産めるようなそういう社会にしていく。これはみんなが言っていることですが、施策としてはなかなか実行されません。これが実行されない限り、私は
日本の不景気
対策なんか幾ら
竹中大臣が頑張ろうと無理だと
思います。
そしてこれを、
少子化対策は私はちょこちょこつまみ食いの
政策では駄目だと思うんです。総合的に
一つ一つ円を描くようにリンクにしてやっていかなければ駄目な
政策なんですね、これは後で説明しますけれども。そのリンクが描けていない、円が描けていない、ぼつぼつぼつぼつみんなぶった切りの縦割りの
政策。これこそ、超党派でも何でもいいですから横つながりの
政策ができなきゃいけない。
そして、その横つながりの
政策をやるためには、私は、何回も話に出ていると思うんですが、まず男女平等省、省が無理なら庁でもいい、
環境庁ができたんですから。女性省が嫌だったら、男が入れてもらえないと思って名前だけでも嫌だと思うのなら、男女平等省というものを作ってほしい、早急に作ってほしい、そして総合的な施策をそこで全体を見ながらやってほしい。
現在は、厚生労働省にどこどこの省にと、みんな
政策は分散しています。それが統合されていないから、せっかくいい
政策を作っても実行されないんですね。みんなどこか谷間に落ちてしまう、そして
予算も取れない、そういう
状況では私は
少子化対策は駄目だ。すなわち、女性
政策は実行できない、その結果みんなが元気にならない、老後が不安だ、そして景気
対策は良くならない、私はそんなふうに考えています。
そしてまず、例えば私は、女、女と言うなと言う人たちはどういうことを言うかというと、
政治評論家はこう言います。まず景気が良くなってから女の問題だよ、いつもそう言われてきました。女の問題は後回し後回し。それなのに、バイアグラが出たときは一年以内で許可されて女のピルは三十八年たって許可された、すべてこうですね。
そして、女性問題はずっとあるのに、
環境問題が出てきたら、まず
環境庁ができた。これは、
環境問題というのはみんな人類にかかわることだからという言い訳ですが、私がさっき言ったように、女性問題というのは女性だけじゃなくて全部、男性も子供も老人も全部かかわる実は目に見えない重大な問題なんですね。それでも後回しにされてしまう。
そして、介護の問題も実はこれは女性問題なんですね。ですけれども、介護に関しては皆さんもう年配の方が多いし男性が多いからとっとっとっと進んでいっちゃった。たとえ、たとえ不備なことがいろいろあろうとも軌道に乗っている。だけれども、育児の問題は女と子供と決められているからなかなか先に進まない。本当は育児の問題が将来の
日本を担う大事な問題なのに、そこを女の問題だからといって男の人たちは真剣に考えない。そして、ほとんどの
政治家が残念ながら男性です。それでも今はいろんな施策を官房長官を始めとして出してくださっているんですけれども、実行ができていない。私は本気で
日本という国を二十一世紀に向かって憂えているんですね、これでも。
私は、そこで、とにかく
少子化対策としてそれが一番の抜本問題だとしたら、ここに女性省を作ってほしい。そして、もう
一つ提案があります。女性省が嫌なら男女平等省です。
もう
一つの提案は、今日たしか臨時国会に
構造改革特区法案が出されるはずです。何で坂東さん、この
構造改革特区のところに男女平等
政策特区を作らないんですか。何でここにその優れた
政策をこの特区で実験してみる地域に手を挙げさせないんですか。歯がゆくて見ていられないですよ。こここそ
未来に向かっての
日本という国を実験してみるいいチャンスじゃないですか、特区を。どうしてそういうアイデアを出してくださらないんですか。
ちっとも出してくださらないから私が言います。まずその特区でどういうことをするかというと、皆さんはそんな女のことをやったら
経済は駄目になると言うけれども、違います。国民の半分の女の人にきちんと働いてもらうんです、税金を納めてもらうんです。
今の専業主婦の人たちは、自分の健康保険の掛金も年金も払っていません。ましてや税金も払っていないんですね。これを計算してもらいましたら、もし一千三百万人の専業主婦かもしれない女性たちが働いたら二・七兆円の収入がある。パートとそれから半々に働いても一・七兆円の収入がある。その特区でそんな収入はないですけれども、みんなに働いてもらって、そして国民、二十歳を過ぎたら、あるいは十八を過ぎたらみんなが税金を払う。
男の人たちは女の人を専業主婦一人抱えて便利をしているんじゃないですよね。そんなのよくないよ、もう。女の人にきちんと働いてもらって、その代わりワークシェアリングで男の人はもう十四時間なんか働かなくてもいい、一日に。きちんと八時間働く、あるいはワークシェアリングですから六時間働く、そして女の人も六時間働く。そして、スウェーデンのようにとは言わない、スウェーデンは皆午後三時に帰ってきます、男も女も。
日本は午後四時でもいいです、早めに帰ってくる。そしてワークシェアリングをやる。そして、パートでもきちんと生きていけるようにパートの最低賃金を上げる。そして、同一労働同一賃金を実践する。それから、ポジティブアクションを実践する。
女性起業家にはきちんとお金を出す。そして、今ここにいろんなあれがありますが、女性起業家にお金を出しても、時間がたつと女性起業家たちは一年ぐらいでぽしゃっちゃうんですね。男の人たちなら商工会議所とか何かがあって支え合うけれども、女の人たちはそういうところに入れてもらえない。すなわち、せっかく起業を支援してもケアがないと企業は続かないんですね。あらゆるところがそういう途中で駄目になっちゃう施策ばかり。
それから、せっかく公務員の女性が試験を受けて昇級できるようにしようとしても、何と女性たちが試験を受けて昇級しようとしない。なぜかというと、やっぱり保育施設がきちんとしていない、育児に対する施策がきちんとしていない。だから、女の人たちはそんなに苦労をするんならといって試験を受けないから、女性の社会的地位も上がらない。もう一事が万事、施策はあってもばらばらということですね、さっき言ったことの繰り返しになりますけれども。
それから、今男の人たちが一生懸命育児をしようとしても、きちんとそういう教育を受けていない。女の子はおままごとをするというのは、子供のときから専業主婦になる練習をすることです。男の子がぶうぶう、自動車で遊ぶのは、
大人になってから自分で給料を取るための仕事をするためです。すなわち幼児教育のときから性別役割分業をやっているんですね。それでは駄目なんです。子供のときから特性に合った遊び方をさせる。女の子だからピンク、男の子だからブルーという色差別もやめる、そういうジェンダーフリー教育、言ってみれば性別役割分業に反対した幼児教育から始めなければいけないです。
そして、みんな男の人も女の人も働きます。ですから、各地域に、私は今考えていることは、共同ダイニング作りです。みんなが帰ってきたら、仕事から帰ってきたら自分で御飯を作りたい人は作ればいい。でも、忙しい人はその地域の共同のダイニングに行けば、そこで近所のおじいちゃん、おばあちゃんたちが御飯を食べている。早く学校から帰ってきて、お父さん、お母さんがいない子供でもその地域のダイニングに行ったらどこかのおじいちゃん、おばあちゃんがいて一緒に御飯を食べてくれる。そこにお父さんとお母さんが帰ってきて、みんなでそこで、地域で一緒に御飯が食べられる。嫌な人はうちで作ればいいけれども、忙しい人はそうやって地域みんなで仲良くなれるような、そういう地域のそういうダイニング作りもしたい。そして、そういうおじいちゃん、おばあちゃんたちは、嫌でも自分たちの部屋に帰ればまた
子供たちが、よその子、自分の血のつながりなんか関係ないです、遊びに来てくれます。そうやって大きな介護と育児の輪ができるような、そういう地域の共同体作りをしたいと
思います。
私は、こうやって特区を作っていただきたい。そして、皆さんがぼつぼつ作っているその
政策をその特区で実験してみてほしい。少なくとも、子供が生まれてから仕事を持つまでに三十年、いろいろあっても三十年というふうな時間を見ていたら、その間でどんな効果が上がるのか。その特区で、実験と言うと言葉は悪いかもしれないですけれども、やってみてほしい。
そして、そこは
経済効果、例えば私が知っている鷹巣町、秋田県の鷹巣町は理想的な介護の
システムを作っただけでいろんな人が全国から来るわけですね。物すごく
経済効果があります。それから、長野県の北御牧村もそうですね。ここも一生懸命デンマークやスウェーデンから習って、そして町づくりをしました、介護の。そしたら、いろんなところで、人たちが訪ねてきて、いろんな
意味での
経済効果もあります。この間訪ねたデンマークのコペンハーゲン市では
日本語用のパンフレットまで作っています。ということは、介護に関しては
日本人はみんな関心を持ってデンマークのコペンハーゲン市を訪ねていっているということですね。大変な
経済効果があるわけです。
たった
一つ取っても、
一つその特区で特徴のあることをやって、男女平等、年功序列なし、子供大事にする、老人大事にする、みんなが働く、そういう町を取って試行錯誤で頑張っていったら、そこはみんなが集まってくるおもしろい町になると
思います。そうやって私は特区を作っていただきたい。
この案に関して、福田官房長官、どうお考えでしょうか。女性省と二つについてお答えください。