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政府参考人(
鍋倉真一君) 旧郵政省のときに、十一年に
研究会をやりまして
報告書を出しておりますけれ
ども、
先生言われるように、いろいろ
発信者情報開示ということについて研究をいたしました。
それで、例えば行政機関が
発信者開示をさせるとか、あるいは第三者機関を設けるとか、いろいろ検討しております。行政機関がやるというのは、なかなか、
通信の
秘密の問題等もございますのでなかなか難しいと。それじゃ第三者機関を設けようかというようなことも検討しましたが、
先生、ちょっとお言葉を返すようでございますけれ
ども、
プロバイダー責任制限法、いわゆる
プロバイダー責任制限法においては、厳しい要件の下ではありますけれ
ども、
発信者情報開示の請求権を初めて設けました。これは、この
法律によって初めて
発信者情報の請求することができるようになったわけでございます。
この場合は、これもまた
釈迦に
説法でございますけれ
ども、いわゆるインターネット上の掲示板みたいなところで、いろいろな誹謗中傷ですとか、あるいはプライバシーの侵害ですとか、いろんな誹謗中傷等が乱れ飛んでいると。そういう方々の
被害を救うということで、物すごい厳格な要件はございますけれ
ども、
発信者情報開示の請求権を認めたということでございます。
これは、
先生先ほどからお話をされているような、公然性を有する
通信ということで不特定多数、確かにそのとおりでございまして、不特定多数が見れるような、一気に見れるような
情報でございますので、そういった
被害も非常に深刻になるということで
発信者情報開示というものを認めたわけでございます。認めたというか、そういう
一定のルールを作らせていただいたわけでございます。
その際にいろいろこのレポートを基に検討いたしました。当初は、この
法律、
プロバイダー責任制限法を作るときに第三者機関を設けるとかいろいろ検討はいたしましたけれ
ども、やはりいろんな立法上の制約あるいは
法律上の問題もございまして、この
プロバイダー責任制限法のような
発信者情報開示の請求権のような形に落ち着いたということでございまして、この
研究会をそのままほっておいたのではなくて、これを基に実は
プロバイダー責任制限法というものの検討をしたということでございます。
今後、
大臣の御指示もございますので、それ以外の、これは要するに、もろに掲示板ということで不特定多数に公然性を有する
通信でございます。
迷惑メールとかあるいは
ワン切りというのは、それとやはり異なると思います。
ただ、
先生がおっしゃいましたように、
通信と放送の垣根がなくなってきているということも、これもまた事実です。ただ、典型的な放送というのは一対多数を同時に送るものですから、これは古典的な解釈ですけれ
ども今歴然とある解釈です。一対不特定多数に同時に送るというのを放送と言っております。これについては表現の自由というのが
一つの大きなメルクマールになっております。一対一の
通信、これは
電話が典型的ですけれ
ども、これは
通信の
秘密というものがあるということで、全く違う
保護法益になっているわけです。それが確かにインターネットの時代になって重なってくる部分というのは出てきていますけれ
ども、やはり世界各国どこを見ましても
通信に分類するか放送に分類するかをしております。第三の道を探ったものもございますけれ
ども、なかなかこれはうまくいっていない。というのは、両方哲学が違うからでございます。
そこのところで、
プロバイダー責任法については、掲示板、不特定多数にそういう
通信をするものについて初めて風穴を空けたということで、じゃそれより違う一対一の
通信、我々は一対一の
通信と思っておりますけれ
ども、多数に一対一の
通信をするような形態、
迷惑メールですとか
ワン切りというのは、これはなかなか非常な慎重な検討が要るんじゃないかと思います。ただ、
大臣の御指示もございますので、
研究会を設けてこういうものも検討していかなきゃいけないというふうに思っております。