○
国務大臣(
竹中平蔵君) 結果として、
銀行の貸出残高がトータルとして減っている、特に
中小企業向けが減っていると。その減り方がかなり大きいということに関しては、やはり政策の
立場から見ても非常に大きく注目をしなければいけないというふうにかねてより思っております。
その
要因は何なのかと、どういうふうに見越すのかということになりますが、これは非常に難しい幾つかの
要因があると思います。
まず、
日本の
銀行貸出しの残高そのものがバブルのときに異常に膨らんだという事実があるということであります。以前はGDPに対してその七〇%だかの水準だったのが一〇〇%を超えた。それが一〇〇%から今九〇%とかになって収縮をしていっている。このプロセスをどのように見るかというのは、これはなかなか悩ましい問題であろうかと思います。バブルのときに膨れ上がり過ぎているんだと。それはまあ、マクロの統計ではそう言ってしまえばそれまでなんですが、これは実際に借りている方がいらっしゃるわけですから、それがある程度収縮していくというのはトレンドとしては仕方ないのかもしれないんだけれども、そこで、やはり実際に借りている人の
立場から見ると問題がもちろん起こり得るということなんだと思います。
したがって、トレンドとしての修正があるとしても、それはできるだけマイルドに、実態的な問題ができるだけ少なくなるようなやはり手配をしていかなければいけないということなんだと思います。
もう
一つ、バブルのときに信用残高が膨れ上がったのは、特に
中小企業で膨れ上がっております。その反動が今、
中小企業の部門に来ているというのは、トレンドとしては少なくともあるということも事実なんだと思います。
しかしながら、一方で、じゃ、これはトレンドだけかというと多分そうではない。その
理由は、昨年の
経済財政白書でかなり詳しく分析をさせていただきましたが、この間、
銀行は、過去九〇年代を通して、利益率が低下していっている一部の業種に対してどんどん貸付けを増やしていったという事実があります。利益率が低下して悪くなっているところに貸付けを増やしたんです。その分、やはり本来きちっと利益を上げられているところにお金が回らなくなったのではないかという
可能性は、これはやはりきちっと認識していかなければいけないんだと思います。
これはなぜそんなことになったかと。先ほども塩川
大臣がやっぱり
銀行もっとしっかりしてもらわなきゃ困るというふうにおっしゃいましたけれども、もう今私が申し上げた点にこのことが私は如実に現れているのだと思います。本来、
銀行というのは、やはりちゃんとした利益が上がるところに貸し付けて、自分のところもちゃんと利益を上げていくというのが
一つの運動メカニズムのはずなんですが、そうはやはりなってこなかったということが事後的に検証されている。だからこそ、資産査定をきちっとやる。つまり、収益率が悪くなって、悪いところには貸さないようにしていただく、結果的にきちっと必要なところにお金が回るような、コーポレートガバナンスを発揮できるような仕組みを作っていく、そうした思いから金融再生プログラムというのが作られているわけでございます。
中小企業の金融に関しては、しかしそこに現実にお金を借りて活動している生身の人間、事業がいるわけでありますから、そこに対してはやはり様々な手当てをこれは打っていかなければいけないと思います。先ほど申し上げたモニタリングというのは、そのうちのささやかではありますが重要な一歩であると思いますし、さらに、金融再生プログラムの中で述べましたように、新たな貸手が積極的に入ってくるような仕組みを作りたい、同時に、特にこれから二年半ぐらいの間の
セーフティーネットについては、これは総合対応策で万全を期したいと、そのように
考えて幾つかの政策を重層的に打っているつもりでございます。