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2002-11-19 第155回国会 参議院 財政金融委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年十一月十九日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十一月十四日     辞任         補欠選任      風間  昶君     山本  保君  十一月十八日     辞任         補欠選任      上杉 光弘君     岩城 光英君      円 より子君     浅尾慶一郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         柳田  稔君     理 事                 入澤  肇君                 尾辻 秀久君                 林  芳正君                 峰崎 直樹君                 浜田卓二郎君     委 員                 佐藤 泰三君                 清水 達雄君                 田村耕太郎君                 中島 啓雄君                 溝手 顕正君                 森山  裕君                 若林 正俊君                 浅尾慶一郎君                 大塚 耕平君                 勝木 健司君                 櫻井  充君                 山本  保君                 池田 幹幸君                 大門実紀史君                 平野 達男君                 大渕 絹子君        発議者      櫻井  充君        発議者      峰崎 直樹君    委員以外の議員        発議者      吉川 春子君        発議者      福島 瑞穂君    衆議院議員        発議者      相沢 英之君        発議者      大原 一三君        発議者      金子 一義君        発議者      七条  明君        発議者      石井 啓一君        発議者      小池百合子君    国務大臣        財務大臣     塩川正十郎君    副大臣        内閣府副大臣   伊藤 達也君        財務大臣    小林 興起君    事務局側        常任委員会専門        員        石田 祐幸君    政府参考人        金融庁総務企画        局長       藤原  隆君        金融庁総務企画        局審議官     三國谷勝範君        金融庁監督局長  五味 廣文君        財務大臣官房参        事官       日野 康臣君        財務省理財局長  寺澤 辰麿君    参考人        日本銀行理事   三谷 隆博君        日本銀行信用機        構室審議役    田辺 昌徳君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○銀行等株式等保有制限等に関する法律の  一部を改正する法律案(第百五十四回国会衆議  院提出)(継続案件) ○地域金融円滑化に関する法律案(第百五十四  回国会櫻井充君外四名発議)(継続案件) ○特定営利活動促進のための法人税法等の一  部を改正する法律案(第百五十四回国会江田五  月君外九名発議)(継続案件)     ─────────────
  2. 柳田稔

    委員長柳田稔君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十四日、風間昶君が委員辞任され、その補欠として山本保君が選任されました。  また、昨十八日、上杉光弘君及び円より子君が委員辞任され、その補欠として岩城光英君及び浅尾慶一郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  銀行等株式等保有制限等に関する法律の一部を改正する法律案地域金融円滑化に関する法律案及び特定営利活動促進のための法人税法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会金融庁総務企画局長藤原隆君、金融庁総務企画局審議官三國谷勝範君、金融庁監督局長五味廣文君、財務大臣官房参事官日野康臣君及び財務省理財局長寺澤辰麿君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  銀行等株式等保有制限等に関する法律の一部を改正する法律案地域金融円滑化に関する法律案及び特定営利活動促進のための法人税法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会参考人として日本銀行理事三谷隆博君及び日本銀行信用機構室審議役田辺昌徳君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 銀行等株式等保有制限等に関する法律の一部を改正する法律案地域金融円滑化に関する法律案及び特定営利活動促進のための法人税法等の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  三案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございます。自由民主党の林でございます。  今日は議員立法三案につきまして一緒審議をするという、大変国会のあるべき姿というものにも一つのいいあれになるんではないかと、こう思っておりますが、三案ございますので順番に御質問をしてまいりたいと、こういうふうに思います。  そこでまず、与党提案株式保有制限法改正法案でございますが、これは元々の法律があって、これの改正法ということでございますから、当然今のある状況というのを議員立法でやったわけでございます。そのときの考え方というのもこの委員会質疑をしてやってきた経緯があるわけでございますが、私なりに、繰り返しになるかもしれませんが、整理をいたしますと、銀行がいわゆる株式持ち合いをやっておる、このことが、やはり今までは非常に発展モデルとしてはいいモデルであったであろうと。なかなか一般の市場からのガバナンスというのが利きにくい中で、やはりこの持ち合いをすることによって、銀行が貸すというだけではなくて、株主としてもそういうガバナンスにきちっと入っていってコーポレートガバナンスが果たされていったというのが我が国の、発展途上国モデルというと言い過ぎかもしれませんが、今までそれでやってきたということでございました。  ところが、やはり成熟した我が国経済国家になるにつれて、やはりそれではなかなかガバナンスが利かないという問題がいろんなところへ出てきたわけでございまして、しからば、いわゆる株式持ち合いクロスシェアホールディングというのをだんだんに外していこう、こういうことになってきたわけでございます。  ただ、今までたくさん持っておりますから、急にその方針が変わったのですぐに全部売れと、なかなかこういうわけにいかないところがありまして、しかも、大変に調子のいいときならいいわけでございますが、今は逆に、株価が幾らになると銀行健全性がこうなるというような記事が週刊誌のようなところをにぎわすと、こういう状況になっておる中で、長期の目標としてはクロスシェアホールディングを外していくというのは正しい方向だと思いますけれども、急に全部やるとこれは不測の事態を与えかねないと、こういうようなことでございまして、私も最近ダイエットに成功したのでございますが、余り急に体重を十キロも二十キロも落としますと、これは体自体がおかしくなってしまうと。しかし、ダイエットしないと、これはもう少しやらなきゃいかぬのですが、ダイエットしないとやはり何といいますか、将来的にいろんな病気にかかりやすくなると、こういうようなことであろうと、こういうふうに思うわけでございまして、私も身をもってこの法案のなかなかの知恵というのを今感じておるところでございます。  そういう中でこの株式取得機構というものが設立をされたというふうに理解をしておるわけでございますが、なかなか使われにくいという、できてから、そういう状況になっておりまして、やはり経済実態に即したこの運営というのが必要であると。今言ったようにクロスシェアホールディングですから、お互いに持っているわけでございます。現行の法案はその片方だけを引き取ると、こういうふうになっておりますので、じゃ、あなたがそれをやるんなら、いや、私もこっちを売っちゃいますよ、それは困る、こういうようなことを耳にするわけでございまして、今回の改正法案というのは、そういう意味では、この経済的実態に合わせてやっていこうと。  ある意味では、もうちょっと厳しくやった方がいいという意見もあるんでしょうけれども、さっき言ったように、ダイエットというのは今いる人がちゃんとやってくれないとこの効果がないわけでございまして、余り実態よりも高い目標を掲げ過ぎて結局努力しなくなったというのではおかしいと、こういうこともある程度やむを得ないのかなと、こういうふうにも思うわけでございまして、そういう意味で、そういうふうな方向性を含んだ改正案だと、私はそういうふうに思っておりますが、この従来のスキーム関係とその意義につきまして、発議者からお聞きをしたいと思います。
  9. 相沢英之

    衆議院議員相沢英之君) 私が答弁を申し上げるような趣旨を大体今、林先生からおっしゃっていただいたので、それがまあお答えにもなっていると思うんですけれども、正に昨年の臨時国会で成立しました銀行等株式等保有制限等に関する法律というのは、銀行の持ち株を自己資金ティア1の範囲内に圧縮をすると。それを急にやった場合に、相当多量の事業法人の株が市場放出をされると。さなきだに市場が低迷をいたしておりますから、その影響を和らげる、言うならばクッションの役割も考えておかなければなりませんし、銀行の出資によりまして取得機構設立をし、それが銀行放出するところの株の一部を取得をするという、そういうスキームを作ったわけであります。  おっしゃるように、その際に、銀行事法との間で持ち合い状況にあるわけでありまして、その持ち合い株放出をするということが相当多いと。その際に、銀行放出をするところの事法につきましては今申しましたような取得機構というものを作ったわけでありますが、逆に、事法の持っている銀行の株を放出するに際しては同じような仕組みがない、これはいささか不均衡ではないだろうか。やはり銀行が持っている事法の株を処分するに際しましても、これは銀行当該相手方事法との間の話合いで行われることが多いわけであります。したがいまして、その際に、事法の持っている銀行株もやはりこの機構において取得することが可能というふうにスキームを改めることによって、銀行の持っている事法の株の処分も円滑になると。  問題は、一時に、殊に同一の銘柄の株を多量に放出するということになれば、その株の市価にも大きな影響を与えるということが当然ございますので、そういうことで取得機構も、今申し上げましたように、事法の持っている銀行の株も取得することが可能なように改めたらいいんではなかろうかと。  いずれにいたしましても、これは一番の大本は、銀行の持っている事法の株を自己資本範囲内において縮減を図っていくという、その目的に発するものだというふうに考えているのであります。
  10. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  この改正案を通じて、事業法人による持ち合い解消を通じた銀行株処分に対しても十分に対応を、今度はこれもし通った場合はこの機構の方にお願いをしたいと思います。  もう一問ほど。この元々の案ができて機構ができてから、実は、日銀株式を買い取る、聞くところによりますと、もうこの二十九日には買取りが始まる、こういうようなことだそうでございまして、我々これほど苦労して、議員立法でいろんな制限を付けて、タックスペイヤーのお金に傷が付かないようにというようなことをぎりぎりやりながら苦労をしてやったんですが、なるほど日銀というのは便利だなと。勝手にああいうことをやって、認可ができればすぐに同じようなことが、しかも何の保証もなしにできてしまう、こういうことですから、何となくやりきれなさを感じながらあれを聞いておったわけでございまして、たしか大塚委員だったと思いますが、先回、やはりこれはきちっと立法として、立法府の意思判断を表示すべきではないかということをおっしゃられたと思いますが、私もなるほどそうかなというふうに感じておったのも、この法案と比較してみると非常にそういうことが何だかすっと落ちるような気がするわけでございます。  こちらはこちらで、こういう改正案を出されてきちっとやっていくということなので、両方出てきたときに、一緒じゃないか、もうどっちかにまとめたらいいじゃないかというような御意見も聞くわけでございますが、よく見ていって、やっぱりこういう時期でございますから、お互いやれることは何でもやっていくという姿勢は必要であろうと私も思うのでございまして、相互にどういうふうにこれ異なっているのか、向こうはやるということを前提とした場合に、株式取得機構としてはどういうような役割を果たしていくということになっていくのか、その辺につきまして発議者からお聞かせ願いたいと思います。
  11. 石井啓一

    衆議院議員石井啓一君) まず、株式取得機構日銀株式買取りとの違いについて御説明申し上げますと、まず買取り対象先でございますが、機構の方は、会員となっているのが非常に幅広いということで、百二十七行庫が今会員となっております。ここからの株を買い取るということでございますが、日銀の方はティア1を超過している銀行ということでございますので、主要行で十数行程度ということで、買取り対象先がまず違っているということがございます。  それから、買取りの対象の株の銘柄でございますが、機構の方は国内上場株式店頭登録株式でありますが、日銀の方は国内上場株式のみでございます。また、機構の方は、格付一つ格付機関からトリプルBマイナス以上の格付取得していればいいわけでございますけれども、日銀の方は、トリプルBマイナス以上の格付取得して、なおかつほかの格付機関からダブルBプラス以下の格付がなされていないという条件も付されているところでございます。また、日銀の方は、金融機関株式は買取りの対象外になっている、こういう対象銘柄の違いがございます。  また、拠出金につきましては、取得機構の方は、会員になる際に当初拠出金をちょうだいいたしますし、また、買い取る際に、機構が買い取る際に売却拠出金ということで八%の拠出金をいただくわけでございますが、一方で、日銀についてはこの拠出金が不要であると、こういう違いがございます。ただ、機構の方は、この売却拠出金は将来のリスクへの備えでありますと同時に、解散時に利益が出ればその配当もあり得ると、こういう違いもございます。  また、買取り期間も、機構の方が平成十八年の九月まででございますが、日銀の方は原則平成十五年の九月、ただし一年の延長があり得ると、こういうことでそれぞれに仕組みが微妙に違っております。  また、今回の改正案成立させていただければ、機構の方は、銀行の持っている事業法人株に加えまして、事業法人が持っている銀行株持ち合い解消という意味で買取りが可能になると、こういう違いが生じるわけでございます。  それぞれの特徴というのを使っていただいてお互いにその機能を発揮していくということになりますが、私ども発議者にとってみれば、この日銀の株の買取りというのは機構機能を補完していただくものである、こういうふうに考えておりまして、機構は引き続き、株の保有制限の導入に伴う金融機関株式処分円滑化を図るセーフティーネットとしての役割を果たしていくものだと、こういうふうに理解をしているところでございます。
  12. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  ディテールではかなり違うところもたくさんあるわけでございますし、ダブる部分があるとしても、額の上でティア1を超えているところというのは、それぞれ足し上げてもまだ足らないぐらいのところもあるわけでございますから、そこはそこでいいんだと思います。  ただこれは、今日は日銀がいらしていないんであれですが、税金を使うときはこれだけ厳しい手続でやって、日銀の場合、バランスシートが少しリスクを抱えるということで、それは回り回って国民の持っておられる円の価値が下がる。ですから、口の悪い人は、ついに日銀デフレ対策に乗り出したんだと、円の価値を下げることによってと、こういう悪口を言う人もいるぐらいですから、日銀については、この株式の買取りのあれについてはまたいろいろ質疑をしてまいりたいと思いますが、今日は時間も限られておりますので、次に民主党提案地域金融円滑化法案について御質問させていただきたいと思います。  発議者櫻井委員とは、この法案についていろいろ立ち話等意見交換もさせていただいておりますので、私がこういうことを聞くとどういうふうに御答弁されるか大体分かるような気がするんですが、今日は議事録にきちっと載せていただくという意味できちっと御質問させていただきたいと思います。  御承知のように、我が国金融機関というのは、いろんな都市銀行から始まりまして、信金、信組、労働金庫と様々な業態があるわけでございますし、それぞれ御承知のように業態ごとお客さんも異なっておると。また、銀行金融機関というものではないいろんなローンをするところというのもあるわけでございまして、特色があるし、地域ごとに、特に地域金融機関はいろんな特色があると、こういうふうに思うんですね。  そこで、民主党案では、その業務について評価をすると、こういうふうになっておりますが、こういう地域や個別の金融機関特色というのを十分に勘案して、その地域独自とまでいかないまでも、密着して評価ができるんだろうかと。このお手本にされているかどうか分かりませんが、アメリカCRAだったでしょうか、ちょっと今記憶が定かでありませんが、それは地域で、例えばエスニシティーがどうなっているとか、そういう客観的な数字というのがいろいろあって、地域性というのがはっきりした上で政策目的があったような気がするんですね。我が国はそういう意味でちょっと違うんではないかと、こういうふうに思うんですが、そういった意味で、評価が十分にできるんだろうかということをお尋ねしたいと思います。
  13. 櫻井充

    櫻井充君 まず最初に、こういう場で自民党の議員から質問をいただけるとは思っておりませんでした。まずその意味林議員に感謝申し上げたいと思っております。  まず最初に、今回の我々が設けようとしております金融円滑化評価委員会というのは内閣府の外局に設けるということにしておりまして、御指摘のとおり国の機関でございます。問題は、国の機関地域特色をきちんとつかむことができるのかどうか、それは林委員指摘のとおりかと思います。  ただ、今私たちが考えてきているのは、いわゆる銀行全体に通じてきている公共性というものが担保されている法律がないということです。つまり、これからの銀行業務というのは、国際業務もあるでしょうし、それから地域金融もあると思っておりますし、金融商品の開発もあると思います。様々な本来は役割を持っていて、そしてその各々が金融というお金仲介機能を果たしているかどうか、そこの点が私は問題だと思っています。特に、中小企業向け貸出しが全体で四十兆円以上減っているということ、これは地域ごとの問題ではなくて国全体としての私は大きな問題だと思っております。その意味で、地域に対してどれだけ融資をしてきているのか、地域に対してどれだけ貢献しているという、そこの公共性を測ってくるような法律が必要ではないかというふうに考えております。  そしてもう一点、確かに今までの国の機関ですと、大変これは行政の方々に申し訳ないんですが、硬直化して地域の特性など測れなかったのかもしれませんが、それはやはり私はここの委員会委員長とか各委員人選によると思っております。例えば大臣でもそうだと思うんですが、ある庁の大臣になられたときに、今までの大臣が駄目だとかいうことではございませんが、例えば林議員金融大臣になられれば金融庁を、林議員であればです、きちんと動かしていけるはずでございます。そういう意味で、そのようなきちんとした評価ができるかどうかというのはこの評価委員会委員の私は人選に懸かっているんではないだろうか、そういうふうに考えております。
  14. 林芳正

    林芳正君 私が金融庁を動かすということになればこの委員会はうまくいかないんじゃないかと、こういうふうに思いながら聞いておりましたが、それぞれ今の行政というか仕組みに対する見方がちょっと違うかなと思って聞かせていただきました。  私は、党でずっと行革をやっていますとだんだん人が悪くなってきて、とにかく小さくした方がいいんだというような考え方へちょっと偏っているのかもしれませんが、法案を見させていただいた限りでは、どう委員会でどういう評価項目で、地域でどういうふうにやるのかというところが余り詳しく書いてなかったものですから、その辺りがもう少し明らかになって本当に、だれかいい人が行けば全部できるんだということは、これは組織の真髄かもしれませんけれども、もう少しその辺りが明らかになってこないと、なかなかこれでいいというふうにいかないんではないかなという気がいたしました。  そこでもう一問だけ、八条の評価項目なんですが、地域の振興に貢献する業務状況とか金融円滑化に対する寄与の程度という、今お話がちょっと出ましたけれども、これらを地域における貸出し・預金比率借入れ申請受理と却下の構成比というようなことを用いるというようなことも考えられておられるのかもしれませんが、これらのデータだけでその実態に迫れるのかなと。数値基準で、例えば今も検査のマニュアルとかいろいろやっていますけれども、結局、もう少し、何というんでしょうか、我々がお付き合いしている地域金融の方も、日々お客さんのところをぐるぐる回ったり、いろんな会を作って一緒に親睦をやったりと、そういう個人関係の中で、ああ、この人は本気だなと、やるなというようなことからやっている部分もあって、なかなかそれは、今BIS規制でもいろいろ頑張っていただいておりますけれども、その基準とか数値というものになじまない部分があるんではないかなというふうに思うわけでございます。  そういった意味で、趣旨は分かるんですが、国にやっぱり委員会を置いてそこで基準を作ってやるとどうしても末端のところが硬直化してしまうというところは、我々もここでいろんな質疑をしていていつも感じることで、それは櫻井委員も共有なさっていると思いますが、その辺りはいかがでございますか。
  15. 櫻井充

    櫻井充君 まず、アメリカのちょっとCRAの現状、CRAのことについてお話しさせていただきたいんですが、CRA委員会というのは基本的に官の組織でございまして、そのCRAが、もちろん最初はマイノリティー対策であったものですけれども、民主党の政策になりまして、その後、地域に対してどれだけ貢献してくるかとか、地域経済の活性化のために用いられるようになってまいりました。  その結果、銀行の中での評価というのは、例えばスモールビジネスだとか、それから住宅、それから住宅の修理とか、そういうところに新しい融資が生まれたということで、収益の面では決していいというデータは出てきていませんけれども、新しいビジネスが生まれてきていると、そういうところできちんと評価されております。  今年の二月にFRBを訪れた際も、地域金融にとってCRAというのはもうなくてはならないものであって、共和党政権になってもこの制度がなくなることはないだろうというお話もいただきましたし、それから、あるアメリカ銀行の会長からもお話をいただいたんですけれども、今のアメリカの制度の中では極めて有用な制度であると、まずそういうような評価をされて、アメリカはそういうふうにされております。  その意味で、日本でこういうものをどうやって客観的に評価していくのか、これはこれからいろいろ検討していかなければいけないと思っています。  といいますのは、アメリカ地域再投資法も実は最初に作られたものからどんどんどんどん変わっていって、そしてその時代時代に適応しようとしてきているところがあるからです。ですから、日本も最初に施行したときに評価の在り方というものが不適切であったとすれば、それはどんどんどんどん変えていかなきゃいけないんじゃないか。もう一つ言うと、公共性そのものが時代時代によって変わっていく可能性があると、そういうふうに考えているからです。  現時点で例えばどういうことをそれでは考えているのかといいますと、御指摘ありました地域の振興に貢献する業務状況ということですと、例えば今ある地方銀行などは、不良債権の処理というのは、ばさばさばさばさ企業をつぶすんではなくて、企業再生を行って破綻懸念先であったものを要注意先に格上げするとか、そういう努力をされている金融機関があるんですよ。そうすると、そういった企業再生をきちんと行ってきたということを評価することも一つでしょうし、例えば中心市街地の空洞化の問題がございますが、商店街がNPOを作って空洞化対策みたいなものをやったときに、そういうところに融資をしてきているかどうかとか、そういうことをもって評価してくると、地域の振興ということを行っているかどうかということははっきりしてくるんではないか、これは一例でございますけれども。  そしてもう一つは、金融円滑化評価とありますけれども、じゃ、そもそも金融の円滑というのは一体何かということなんだろうと思います。これは一九七五年だったかと思いますが、衆議院の大蔵委員会の方で当時の銀行局長が「社会的に要請されている望ましい分野に資金を円滑に供給する」ことというふうに答弁されておりますので、現時点で「社会的に要請されている望ましい分野」に本当に資金が、そのような形で資金が供給されているかどうかの評価項目を取ってくることが大事なんだろうと思っています。  現時点では、例えば地域から集めたお金地域に本当にどのぐらい還元してきているか、それから中小企業等の人たちが今資金繰りに極めて困っている状況にありますから、中小企業者にどのぐらい貸出しをしているかとか、しかもそれは業種別でどうかとか、それから事業規模別でどうなのかとか、そういうようなことをもってして、望んでいる人たちのところに本当に融資がされているのかどうかということの実態を調べてくるということが極めて大事なことなんではないだろうか。そして、そのことをもってして円滑化を図っていくような、そういう手だてができるんではないだろうかというふうに考えております。
  16. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  ちょっと時間の関係で、今お聞きしたいこともあるんですが、まあ公共性というものをやっぱりどこまで、地域金融機関といっても一応民間の機関であります。我が国は特に批判もあるように政府系金融機関がたくさんあって、地域金融をやっているという中でこの公共性をどうやって見るかというところが根本に出てきて、そこが若干、櫻井委員と私が違うのかなと思いながらお聞かせいただきました。  そこで、せっかく峰崎委員もおいでですので、一問だけ。  この参法のNPO法人の認定要件、これは大幅に緩和されるという案になっておりますが、この基準が、どういうふうにしてこれを判別するかということで、基準として本当にこれで大丈夫なんだろうか、もう何でもいろんな人が入ってきてということがよく言われるわけでございますし、その点について峰崎議員にお聞きして終わりたいと思います。
  17. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 林委員質問していただいて本当にありがとうございました。  この点について、林委員、認定NPO法人、それが幾らあって、そしてそのうち税制優遇措置がどのぐらいの団体に認定されたのか御存じだろうと思います。で、調べてみますと、今日の新聞にも載っていましたけれども、認証法人八千六百七十九法人、直近の数字なんですが、十一月七日時点、このうちわずか九法人なんです。たしかこれ〇・一%にもならない。ちょうど銀行の最近の普通預金の金利みたいなものですわ。〇・〇何ぼであって、まあ〇〇〇までいきませんけれども、本当に今の現状は、せっかくこういうものを作っておきながら、実際上何も優遇していないに等しいんじゃないかというふうに私たちは見ていまして、現在の認定の基準そのものが余りにもやはり私は厳し過ぎると。私どもの案は、これはもうアメリカなどと比較しても決してこれは厳し過ぎるということはないというふうに思っております。  今までやっぱりなぜこうなっていたのかという原因のところは、これは時間がありませんから、これはもう釈迦に説法なので申し上げませんが、何が公益かということをやはり官僚機構が独占してきたんじゃないかなと。明治以来の民法の規定もございます。そういったものの一分岐としてしかこういう法人が認められていないという、そういうやはり私は問題が残っていると思うんです。  民主党あるいは野党案は、やっぱり何を一番これから基準を考えるときに大切にしていかなきゃいけないのかというときに、私はやっぱり一つは情報公開だと思うんです。つまり、先ほど、どんな団体が入ってくるか分からないと。正にこれは情報をきちんと公開することによって、ああこの団体はこういうことをやっているんだな、あの団体は国際社会でこんな貢献をしているんだなと、このことをやはりある意味では市民の皆さん方がだれでも分かるようにする、これが第一番目だと思います。  それともう一つは、私どもはやはりパブリックサポートテストが必要だと思っているんです。ただし、今、現行あるパブリックサポートテストは余りにも、事実上このNPOが税制上の優遇措置を受けられないように正になっているんではないんだろうか、ここのところをやはり緩和をしていくということを我々は必要なんだろうということで、実は、先ほど林委員おっしゃったように、もう今や日本は成熟した社会ですから、正にそれは市民社会も成熟してきていますから、是非、明治以来続いてきた途上国型のそういった仕組みというのを、やはり先進国型、成熟した市民社会がこの社会を形作っていくと、こういう社会にするためにも、今回税制上の優遇措置をきちんと緩やかにしていくということについて、今の二つの問題点をクリアすれば私どもは十分やっていけると、このように考えております。
  18. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  実は、政府で今公益法人の抜本改革というのを進めておりまして、三十四条そのものを見直そうと。今お聞きしていると、そこにやっぱり今から作ろうとしているところと極めて考え方が近いんではないかということは一つ参考にさせていただきました。  いずれにしても、お三方、大変ありがとうございました。質問を終わりたいと思います。
  19. 大塚耕平

    大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚でございます。  私も、林委員が今冒頭おっしゃられましたように、今日は議員立法が三つ出ておりまして、本当にこれが議会のあるべき姿ではないかなと。与党から四本ぐらい出たら、国会中に三本ぐらいが可決されて、野党から四本ぐらい出たら一本だけ可決されて、閣法が二本出てきて一本成立すると、こんな姿が本当の議会の在り方ではないかなと私も思います。  今日はまた時間が限られておりますので、議論が拡散しないように、お手元に今資料を配らせていただいておりますが、主に株式取得機構の話を中心に発議者の皆様に御意見なり御質問をさせていただきたいと思っております。  まず金融庁に少しお伺いしたいんですが、株式取得機構、これ発足を既にしておるわけですが、これまでの株式の購入実績を教えていただけますでしょうか。
  20. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) お答え申し上げます。  機構は、運営委員会の決定に基づきまして、本年の二月十五日から四月二十六日までの期間及び五月十七日から十一月一日までの期間に特別買取りを実施いたしまして、合計千四百九十六億円の株式の買取りを行ったところでございます。
  21. 大塚耕平

    大塚耕平君 ありがとうございます。  既に五月十六日に、四月二十六日までの数字が発表されておりまして、それが千三百一億ですから、今の数字と差引きすると五月から十一月までは百九十五億ということで、大変、ちょっとしりすぼみになっているなという感じがいたします。  今お手元に配らせていただきました資料に、一枚目には「株式買取機関の概要」ということで、先ほど林委員の方から日銀株式取得の話との比較の質疑がなされましたが、そこで御回答いただいた内容も含めて、若干分かっている情報を整理してございます。  今お答えいただいた千四百九十六億というのは、ここにも書いてございますが、繰り返しになりますが、当初の二か月間で千三百一億であったものが、ここ半年では百九十五億にずっと減ってきているということでございます。  こういう状況をかんがみて、恐らく今回の議員立法による改正案が出てきたのではないかなと思いますが、発議者にお伺いをしたいんですが、株式取得機構のそもそもの目的について一応再確認をさせていただきたいんですが、いかがでございましょうか。
  22. 相沢英之

    衆議院議員相沢英之君) 我が国銀行が相当量の株を保有していると、その株式市場の変化によりましてそれが、当然のことでありますけれども、評価額が動いてくると。そのことがやっぱり金融機関としての経営の安定性にも当然影響を及ぼしてくるという状況にありますので、できるだけ銀行がそういう価格の変動する株を保有しない方がいいという考え方があるわけでありまして、アメリカなどはそういう考え方を非常にはっきりさせておったわけでありますけれども、さっき林委員から話がございましたように、といって一遍に減らすことも問題だということで、そこで、取りあえずは自己資本範囲内に収めたらどうか、この場合はティア1でありますけれども、ということでもって商法の規定の改正を行ったわけであります。  その際、もちろん処分するまでには若干期間がありますけれども、多量に一時に株が市場放出されるということがある、それもまた株価を冷やすおそれがある、それを防ぐという目的銀行から出資を募りまして株式取得機構を作る、その取得機構がその株を銀行等の申出に応じて取得をすると、そういうような形を取ったわけでありますから、これは銀行の経営の安全性、それから信用の維持ということにその目的はあるというふうに承知しているのであります。
  23. 大塚耕平

    大塚耕平君 ありがとうございます。  経営の安全性というのは、言葉を換えれば信用秩序の維持ということかなと思いますが、一応念のため再確認をさせていただきたいんですが、途中で株価が急激に下がるのもいかがなものかというような御趣旨の発言もあったんですが、株価対策も目的に入っておられるわけですか。
  24. 相沢英之

    衆議院議員相沢英之君) それはほっとけば市場へそのまま放出されるわけでして、そうすれば場合によりましては、特に一定、ある銘柄に集中して売られるようなことがあれば当然株価に影響を与えることがある。ですから、株式取得機構を作って、言うならば受け皿、一種のセーフティーネットでありますから、作っておけばそういうことによる株価の急激な変動ということも防げるじゃないかと、そういう意味におきましては株価の対策という意味も当然あろうかと思います。
  25. 大塚耕平

    大塚耕平君 そうすると、多分日本銀行株式取得との大きな違いは、株価対策というところを明示的に認識するかどうかというところのような気もするんですが、念のため、再々確認で恐縮なんですが、とはいえ、あくまで経営の健全化を徐々に実現していくための信用秩序対策だという理解でよろしいですか。
  26. 相沢英之

    衆議院議員相沢英之君) それはそのように考えております。
  27. 大塚耕平

    大塚耕平君 ということは、先般九月に日銀が大きな決断をされて、先ほど林委員もおっしゃられましたように、いよいよ今月の二十九日から日銀株式取得機構と同じような業務を始めるわけですけれども、相沢先生は、日銀株式取得についてどのようにお考えになっておられますでしょうか。
  28. 相沢英之

    衆議院議員相沢英之君) 私どもは、前から日銀に対しまして、デフレ対策一つの手段として、当然、市場に対する資金供給ということを強く要請をしておったわけであります。  日銀サイドの話では、とにかくもう十二分に銀行に対しては資金を供給している、もうじゃぶじゃぶになっているんだと。もうこれ以上金利も下げられないし、もう手はないと、こういうふうな話もあったのでありますが、しかしながら、やはりもう少し直接的な形での資金供給ができないものだろうか、例えば外債を買うとかあるいはETFを買うとかということを検討してみたらどうかということを、かねて我々は日銀に言っておったのであります。  日銀はそういった点についても検討を行ったわけでありますが、結局、ETFではなくて、直接銀行の持っている株を買うという方が適切だという判断になりまして、こういうような処置になったと思うのでありまして、元々この株式取得機構も、銀行の持っているところの持ち株、特にティア1を超える株の買取りを目的として設立されたものでありますから、そういう意味において、日銀の今回の株の買取りというものもその目的は同じくするものであり、言うなれば相補完し合っての効果が期待できるんじゃないかというふうに思っております。
  29. 大塚耕平

    大塚耕平君 相補完し合っての効果ということで、政府、日銀一体となってという最近の首相のお言葉どおりの動きのようにも思うんですが、先ほど林委員日銀スキーム機構スキームの違いをるる聞いていただいたわけですが、その中にもありましたように、例えば、将来の機構に発生する損益は、これは機構に株を売却した銀行にある部分帰属するんですが、日銀の場合は全部これ日銀に帰属しますので、何となく、じゃ、どっちに売ろうかなと思ったときに、これは私が銀行の経営者であれば、将来値上がりするかもしれないなという株は取りあえず相沢先生にお預けして、違います、機構にお預けして、これはもう将来値上がりが見込めないという株は日銀に売ろうかなとか、例えばそんな判断も働こうかと思うんですが、資料の二ページ目をちょっとごらんいただきたいんですが、その辺をちょっと概念図で表しましたものがこの絵なんですけれども、結局、日本銀行が買入れ対象にする銀行は先数も限られていますし、それから、今申し上げましたように、売却する銀行側がどういう行動を取るかということを考えると、多分、日銀の買われる株というのは機構の買われる株のごく一部というような、こんな概念図になるんじゃないかと思うんです。  ところが、三ページをごらんいただきたいんですけれども、先ほどこれも林委員の方から今の株価の状況ではなかなか売却も進まないというお話があったわけですが、確かに、日本銀行に株を売却すると、これは銀行側から見るとリスクアセットが減りますので自己資本比率は改善するんです。ところが、売る瞬間に今の株価ですと売却損が発生しますから、そうすると自己資本も減っちゃいますので、大体八千五百円ぐらいの株価で計算をすると、今すぐ仮に日銀に対して株を売却したとすると、実はこのシャドーの掛かっている右側の列にありますように、自己資本比率はむしろ各行こういうふうにマイナスになっちゃうんですね。そのように考えますと、今現在、日銀に対してはほとんど売却インセンティブがない、この株価の水準ではということですね。  そうすると、相沢先生がおっしゃったように、双方相補完し合って効果が出るどころか、双方とも有効に機能しないという事態も十分に想定されるわけですが、そこで日銀にお伺いをしたいんですけれども、機構日銀株式取得についても、信用秩序維持のためであると。とりわけ日銀の方につきましては、中央銀行の先進国共通の枠組みを超えた大決断をされたわけですから、それによって得るものもあると思うんですけれども、失うものも非常に大きいと私は思っておりまして、得るものというのは、現下の経済情勢では、例えば銀行自己資本比率を見ても、ごらんのように、この株価の水準ということを前提にすれば余り効果がないわけでありますが、そういう中で信用秩序維持のために今回の決定をされたということですが、信用秩序維持のための日銀役割とは何かということを改めてお伺いをしたいと思います。
  30. 三谷隆博

    参考人三谷隆博君) お答えいたします。  日本銀行法第一条二項におきまして、日本銀行目的一つとして、「金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資することを目的とする。」と規定しております。  そういった意味で、金融機関の信用力、そういったものをそれなりに確保していく、そういったことも含めまして日本の信用秩序維持そのものを守っていくということが日本銀行役割であろうと思っております。  具体的には、最も典型的に出されますのがいわゆる最後の貸手というのでございますが、このほかにも、決済システムの安定的な運営、その他もろもろのものはその信用秩序の維持の中に私どもは入るというふうに考えております。
  31. 大塚耕平

    大塚耕平君 おっしゃるとおりだと思うんですね。今、最後の貸手というふうにおっしゃったんですけれども、資料の四ページをごらんいただくと、御承知のように、平成九年に日銀法の改正が行われまして、そのときは、今お答えいただいた三谷理事が審議役として国会で大変御苦労されたわけですし、私も職員として日銀側にいたわけですが、私の記憶によると、信用秩序維持に関する日本銀行の仕事というのは、そもそも館金制会長が当時の三塚大蔵大臣に提出した答申によれば、適切な流動性の供給ということが信用秩序の維持であるということを言っておられて、その結果、この四ページの下の四角に書いてございますように、今回、第百四十回の国会の日銀改正審議を私ももう一回読み直してみたんですけれども、三塚大蔵大臣、当時の松下日銀総裁、当時の山口銀行局長が、表現は微妙に違いますけれども、総じて申し上げれば、日本銀行における信用秩序の維持のための役割とは、日銀法第三十八条に基づく適切な流動性の供給のことを指すという答弁が繰り返し行われているわけであります。  そういう事実に基づいて財務省にお伺いをしたいんですが、これは四十三条認可をするお立場にある財務省にお伺いをしたいんですが、第百四十回の国会におけるこの改正審議関係閣僚や政府参考人の発言を踏まえると、信用秩序維持のための日銀役割とはどのようなものであるかということについてお答えをいただきたいと思います。財務省で結構です。
  32. 日野康臣

    政府参考人日野康臣君) お答え申し上げます。  日銀法の改正平成九年、ございましたが、その改正に当たりまして当時御答弁申し上げておりますが、その基本的考え方金融制度調査会答申等に整理されてございます。その中に、金融機関の間に行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資することを日銀目的として明確にすること。そして、今後とも新たな業務の必要性が生じる可能性も否定できず、目的達成上必要がある場合は、日銀法等に規定する以外の業務を大蔵大臣の認可を受けて行うことができるようにすることとされておりまして、現行日銀法の関連条文が整備されたものでございます。  したがいまして、信用秩序維持のための業務につきましては、平成九年当時の国会の答弁、これはいわゆる日銀特融について御議論をされておりますけれども、こうした第三十八条に基づく日銀特融の業務に限定されるものではない、信用秩序維持のための業務については、この三十八条に基づく業務に限定されるものでないというふうに認識をしております。
  33. 大塚耕平

    大塚耕平君 三十八条に限定されるものではないということなんですが、例えばこの資料の四ページをごらんいただくと、答申の二十八ページというところを引用して私がここに記載しておりますように、「政府が信用秩序維持のため、日本銀行に対し、信用秩序維持のため必要と認める措置を講じることを要請することができるものとして、この要請に、日本銀行が政策委員会の議決により同意した場合、必要な措置が講じられる仕組みとすることが適当である。」と、こう書いてあるんですね。  かつ、それを受けて成立した日銀法第三十八条を見ると、全文は読みませんけれども、「その他の信用秩序の維持のために必要と認められる業務を行うことを要請することができる。」、これ、第一項の最後に書いてあります。そして第二項には、日本銀行は、前項の規定による大蔵大臣の要請があったときは、当該要請に応じて特別の条件による資金の貸付けその他の信用秩序の維持のために必要と認められる業務を行うことができると、こう書いてあるんですね。  だから、私は決して今回の四十三条認可が絶対間違いだとまでは言い切る自信はないんですが、法解釈の問題ですから。ただ、三十八条にそういうことがきちっと書いてあって、この法律を作るときの答申にも、なるべく三十八条を使いなさいよというような趣旨のことが書いてある中で、なぜ四十三条を、認可の道を取ったのかと。  同時に、当時私も内部にいて各部署で、実は国会では四十三条というのはほとんど審議されなかったんですよ。四十三条の認可というのはどういうことが想定されるのかという議論をした記憶があるんですけれども、そのときには、例えばある外銀の、ちょっと細かい話ですけれども、ある外銀の代理店として為銀との間で日銀が円対価の外貨の売買をできるかとか、証書貸付けの債権担保貸付けをできるかとか、そういう極めて実務的なことで法律に明記されていないことをやる必要が出てきたときには、やはりその隘路を確保しておかないといけないので、四十三条という、いざというときにいろいろできることを、抜け道を用意しておきましょうと、こういう議論であったような記憶が私自身にあります。  そういう中で、だからといって今回四十三条を選択された判断を絶対に間違いだと言い切る自信はございませんけれども、今私が御説明申し上げました改正の経緯なんかを考えると、信用秩序維持に関する日銀役割は、原則としては、やはり日銀法第三十八条に基づく受動的な機能ではないかと私は思うわけですが、この点、財務省にもう一度お伺いしたいと思います。
  34. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) お答えいたします。  先生御指摘のとおり、日銀法は日銀業務内容を限定列挙しておりますが、一方で四十三条ただし書が設けられているわけでございます。  日銀法の全面改正時の議論によりますと、日銀法四十三条ただし書に基づく認可制度が設けられた理由としては、旧日銀法下において主務大臣認可によって認められてきた業務のうち、手形振出し等、恒常的に行われるものは明文をもって日本銀行法上に新たに規定すると。一方で、将来新たな業務の必要性が生ずる可能性を否めないとして、日銀目的達成上必要ある場合に限り、主務大臣の認可の下、業務の拡大を可能とするという趣旨であるというふうに承知しております。
  35. 大塚耕平

    大塚耕平君 今の局長の御答弁ですといろんな解釈ができるわけですが、重ねてもう一つお伺いをしたいんですが、その当時そういう御答弁をされていた、政府解釈としてそういう公式見解がまとめられていたとしても、今回日銀株式取得をすると、しかもそれは信用秩序維持のためであるという、この新規業務を四十三条で認可するということは、しかも日銀が能動的にこれを申請するということは、法改正時の議論の質疑の結果を逸脱した、あるいはその当時想定していなかった事態だと考えてよろしいですか。
  36. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) 先ほどお答えいたしましたとおり、将来新たな業務の必要性が生ずる可能性を否めないということでこのただし書の規定が置かれているわけでございますが、今回の日銀株式買入れスキームにおきましては、資金決済の円滑を図り、信用秩序の維持に資するという日銀目的日銀法一条二項を達成するために行われる業務であること、また、財務健全性を維持する観点から適切な措置が講ぜられているということ等が認められましたので、所管省として日銀法四十三条ただし書の規定に基づきまして認可を行ったところでございます。
  37. 大塚耕平

    大塚耕平君 私は今野党の立場ですから、是非これは政府と与党の先生方と一度じっくり議論をしていただきたい点であるんですが、先ほど林先生が、日銀というのは割と苦労しないでこういうことがぱっとできちゃって、なるほど便利な組織だなということを気が付かされたとおっしゃっていましたけれども、中央銀行にとってそういうことを余りみんなに気が付いてもらっちゃ実は困るのが中央銀行ではないかなと私は思うんですよね。  資料の五ページをごらんいただくと、去年の十月十七日に山口副総裁が国際金融情報センターで講演された内容の抜粋が載ってございます。これは、実は去年私が日銀の半期報の質疑に立たせていただいたときも引用した文章なんですね。そのときは、実はこの株式取得機構を作るべきではないかという答申に日銀もメンバーとして名を連ねていて、やるべきだというふうにおっしゃっておられたんですけれども、やはりこれは、国民の税金をどう使うか、あるいは国民にどう負担を求めるかということにつながるので、やはり中央銀行として軽々に議論に早い段階から参画するのはいかがなものかと、そういうことを申し上げるために実は去年の質疑でも引用したんですが、改めて今回、山口副総裁というのは大変見識のある方ですので、どのようなことを言っておられるかということを見てみました。  傍線部分をちょっと読ませていただきますが、「中央銀行がアグレッシブに色々な資産を購入するというのは、金融政策という形はとりながらも、ロス負担、つまりは納税者の負担を覚悟したり、ミクロ的な資源配分に関わるという意味で、実質的には中央銀行が財政政策の領域に近いことを行うことを意味しています。」と、「民主主義国家における一般的なルールは、流動性の供給という機能金融政策という形で独立した中央銀行に委ね、他方、国民の税金の使途は選挙民から選ばれた議員から構成される国会における予算承認のプロセスを通して、財政政策という形で行うということであると思います。」と、こう述べておられるわけですね。  だから、私は、今回日銀は、この金融危機を救うためにもう本当に清水の舞台から飛び降りる気持ちで御決断をされたんではないかとは思いますが、しかしこの山口副総裁の言っておられる内容とは余り整合的ではないなと考えざるを得ないわけであります。  そして、やはりいろいろ過去に例のないことをやろうとしておられるわけですからいろんな問題が起きるわけでありますが、そこで機構日銀の今回のスキームを両方とも有効活用して日本経済を立て直せれば、それはそれで言うことありませんので、ちょっと実務的な話も幾つかお伺いしたいんですが、日銀にお伺いしたいんですけれども、日銀がこれから二十九日から株式取得すると議決権というものを株主として持つことになるわけですが、議決権行使の指針としてどのようなことを掲げておられますでしょうか。
  38. 三谷隆博

    参考人三谷隆博君) お答えいたします。  私ども、これは公表しているものでございますが、確かにおっしゃるとおり、株式取得しますと議決権が発生いたします。ただ、私どもの株式購入は基本的に入口から出口まですべて信託銀行に任せるという形を取っておりまして、議決権の行使につきましても、その信託銀行が議決権を行使する場合の日本銀行の定める指針という形を取っております。  具体的には、基本的に、議決権行使の目的は、株主たる日本銀行の経済的利益の増大を目的として行使すべきであると。それは具体的に申しますと、株主利益が最大となるような考え方で対応してほしい、かつ、それに当たっては善良なる管理者としての注意義務を十分果たしてほしい、また、その善良なる管理者の注意義務を発揮するためには、必要な限度で当該会社の経営状況等に対する情報収集を行うということを要請してございます。また、そういった体制整備のために内部規定等についても私どもでチェックいたしまして、きちっと正しく適正に議決権が行使されるような社内体制の整備というものもチェックしております。  それからさらに、具体的な個別の案件、個別の議案でございます。いろんな議案が想定されるわけでありますが、それぞれ想定される議案につきまして、信託銀行におきまして、その都度日本銀行の指図を求めることなく議決権が行使できるような具体的な判断基準に関するガイドラインを定めてもらいまして、それを私どもがチェックするというふうな対応を取ってございます。
  39. 大塚耕平

    大塚耕平君 せっかくお忙しい中、塩川大臣にもおいでいただきましたので、塩川大臣にも資料を委員部の方で。
  40. 塩川正十郎

    ○国務大臣塩川正十郎君) いただきました。
  41. 大塚耕平

    大塚耕平君 そうですか、どうも。お忙しいところ、ありがとうございます。  今、日銀の方の株式取得に伴う議決権行使の指針は伺いましたが、発議者にお伺いをしたいんですが、機構の方は議決権行使についてどのような基本的な考え方を定めておられますでしょうか。
  42. 相沢英之

    衆議院議員相沢英之君) 機構取得した株式につきましては、これは信託銀行に委託をしまして行使をするという形を考えています。
  43. 大塚耕平

    大塚耕平君 私の方でもう少し具体的なことを申し上げさせていただきますと、日銀株式の議決権行使の指針として既に対外発表しておられる総則の第一条に、これは日銀の方です、受託者は、つまり日銀は「本行の経済的利益の増大を目的として議決権を行使するものとする。」と、こう書いてあるんです。日銀は「本行の経済的利益の増大を目的として議決権を行使するものとする。」と、こう書いてあります。機構の方は、「議決権の行使は機構の経済的利益を増大することを目的として行われること。」と、こう書いてあります。両方とも同じです。そういう意味では、私は機構はこれでいいと思うんですけれども、当初はですね、これは当初発表されたものですから。日銀が「本行の経済的利益の増大を目的として議決権を行使するものとする。」というふうに掲げられているのは、大分私も悩んだんですけれども、例えば資料の六ページをごらんいただくと、日本銀行は民間企業の株式取得されると、今申し上げましたように、日銀の経済的利益追求のための議決権行使をするということになります、そういうふうにもう総則で定めて対外発表していますから。片や金融機関に対しては、これは日銀法上の、先ほど三谷理事が何度もおっしゃったように、第一条にある信用秩序の維持という法目的を達成するために、現下の第一の重点事項は何しろ銀行の収益力を向上させて、健全化させて、それによってきちっと間接金融機能を果たさせる、こういうことになるわけですが、例えば、こういう構図になってしまうと融資交渉のときにどちらの立場に立って日銀はその意思を働かせるのか、あるいは債権放棄、これは企業の側から見たら債務放棄になりますが、どちらの立場に立って仕事をされるおつもりなのか、大変私は悩んでしまうんですけれども、その点について日銀からもし御意見があればお伺いしたいんですが。
  44. 三谷隆博

    参考人三谷隆博君) 先ほど申しましたことにちょっと誤解があるのかもしれませんけれども、日本銀行保有した株式の議決権は、日本銀行がまず直接行使するのではなくて信託銀行をして行使せしめる、信託銀行に行使を委任するという構成を取っております。  その際、信託銀行が、日本銀行の利益、すなわち株主の利益を最大に考え、発揮するような企業経営というところの観点から、その企業に必要な限りで企業の経営状況等につき調査し、善良なる管理者の注意義務をもって判断をしてほしいというふうな仕組みになっておりまして、日本銀行金融機関と企業との間の融資交渉に直接関与するとか、そういったことは全く考えておりません。
  45. 大塚耕平

    大塚耕平君 それはおっしゃるとおりだと思います。融資交渉とか債権債務の放棄の交渉の過程で日銀が口を挟むということは私も想定していないんですけれども、しかし概念的に、日銀がシェアホルダーになると、こういうことが起きてしまうわけですね。  先ほど、これは機構も同じだと思うんですけれども、こういう総則なり基本方針を定めて、しかし、信託銀行が実際にどういうふうに議決権を行使するかということについては、信託銀行内でガイドラインが一杯あるんです。これは私も信託銀行に聞きました。もちろん個別のことは彼らは守秘義務があるから当然言いませんけれども、彼らの説明はこうでした。  お客様ごと、つまり日銀であるとか機構であるとか、委託者ごとにガイドラインをいろいろ変えるというのは、それははっきり言って運用上難しいと。したがって、パンフレットに信託財産を預かりますよと、議決権はこういう方針で運営しますということをパンフレットに掲載してある、その内容をほぼどの委託者にも適用する形でやらしていただいておりますと、こういう一般的な説明でした。だから日銀についてどうかということではないです。  じゃ、一般的なガイドライン、いろんなことを書いてあるんですけれども、例えばこういう記述があるんです。低いROEや低い配当性向が継続されている企業については積極的な株主還元を期待する、中期的にROEが金利を下回っている企業は基本的に自社株買いや増配で株主に資金を返還すべきであると、こう書いてあるんですね。  だから、もちろん日銀が直接議決権を行使するわけではないと思うんですけれども、例えば銀行の側を考えれば、適切な金利を融資先から取りなさいと。日本は今まで、どんな企業でもプライムレートで借りられていたというのは、これはある意味でおかしいじゃないかと。だから、金利は合理的な範囲では上げていいですよということを言い得る立場にあるわけですが、それは企業側に引き直すと、ROEが金利よりもっと低くなるんで、もっともっと配当を出せということに等しいわけですね。  逆に、貸し渋りや貸しはがしが度が過ぎると、これを何とかしなくてはいけないと。間接金融機能を復元させるのが信用秩序維持のための最終目的なんだというお立場に立てば、いや、そんなに金利は上げちゃいけないよということを金融機関に言わなくちゃいけなくなると。  だから、実際に日銀がそういうことを具体的におっしゃる立場にあるとは私ももちろん思っていませんけれども、概念的にはそういう問題が発生すると。概念的にはそういう悩みを抱えざるを得ないという点においては御同意いただけますでしょうか。それとも、概念的にもそれは違うということでしょうか。
  46. 三谷隆博

    参考人三谷隆博君) お答えをいたします。  なかなか難しい問題かもしれませんが、基本的には、日本のような資本主義社会の世の中では、個々の経済主体が一定の競争環境の下で個別にいろんなその取引の状況を決めていく、そういった意味では、あるものの売手と買手がおればすべてそこには、極論すれば、大塚先生の言うことを極論すれば、そこにすべて利益相反が生ずるというふうなことになるのかもしれませんけれども、我々はそういったところまで先ほど申し上げたように介入するつもりもありませんし、そこを利益相反、利害対立というふうに一からげでくくるのはいかがなものかなというふうに私は率直に感じております。
  47. 大塚耕平

    大塚耕平君 いや、しかしそれを利益相反と言わないのもいかがなものかなと私も思います。  ただ、相沢先生にも安心していただかないようにしてほしいんですけれども、実はこの六ページの絵というのは機構も同じなんですよね。機構は、だから、今度は民間銀行の株も保有されると言っておられるわけですから、民間銀行と民間企業の株、両方を保有することになっちゃいますので、日銀以上に実は明確な利益相反を招く可能性があると。ただ、これも日銀と同じように、直接機構が何か企業と銀行の交渉の場に口を出すわけじゃないというのはそれは分かります。しかし概念的に、今回の改正案が成立すると、企業株と銀行株の両方を保有すると利益相反的なジレンマにさらされるということについて、発議者としてどのようにお考えになられますでしょうか。
  48. 相沢英之

    衆議院議員相沢英之君) この質問をあらかじめ拝見しましたときに、我々の間でちょっと話しして、これはどういう意味でおっしゃっているのかなということが実は疑問だということを言い合っておったんですが、ただ、機構が買い取った株式につきましては、これもさっき申し上げましたが、信託銀行に信託をする、その場合に株式の議決権行使や処分の指図は、機構の個別の指示によるものではなくて機構の運営委員会が策定した基本的な考え方に基づいて信託銀行が行うことになると、こういうふうになっているわけでございます。  そこでもう一つ、その利益相反があるかないかということについての御質問にそのまま答えることにならぬかもしれませんが、申し上げますと、機構の役員は、自らと機構の利益が相反する事項については機構の代表権を有しないというふうに、これは株式保有制限法の第二十五条に規定をしております。したがいまして、その意味においては、機構が企業株と銀行株の両方を持つことによって利益相反を招くという御指摘は御心配はないのじゃないかと、このように思っております。
  49. 大塚耕平

    大塚耕平君 その運営ルールによってそういう利益相反的な事態を回避するという工夫をしておられる、それはよく分かります。しかし、先ほど私が申し上げましたように、機構の方も議決権行使に関してはもう既に基本的考えを示しておられて、機構の経済的利益を増大することを目的として行われることと。だから、もちろん機構の、例えば運営委員長はたしか慶應の吉野先生だったと思いますけれども、吉野先生とかが何か個人的にそういう利益相反行為をするとか、そんなことは全然私は心配しておりませんけれども、しかし、民間企業と民間銀行両方の株を預かってくれている信託銀行に対して、機構の経済的利益を増大することを目的として議決権を行使しろと言っているわけですから、これはなかなか悩ましい事態が概念的には生じるということは是非御理解いただきたいと思うんです。  それで、日銀の方にまた戻らせていただきますけれども、日銀の場合は、今度はこの六ページの絵でいきますと、民間企業と民間銀行日銀の間でいろいろ人材交流が行われているわけでありますが、日銀から例えばここ三年ぐらい民間企業の方に、特に今回取得する可能性のある株式の発行企業にどのぐらい人が行っておられたり、あるいは現職の役員の方で民間企業や民間銀行から日銀側にいらっしゃっている方というのはどういうような状況になっておられますでしょうか。
  50. 三谷隆博

    参考人三谷隆博君) お答えいたします。  まず初めにお断りしておきたいんですが、私どもでは、どの企業が株式の買取り基準を満たしているかどうかといったような審査はすべて買取りの窓口となります信託銀行にゆだねることとしておりまして、日本銀行としてある意味で不必要な詮索などを避ける意味から、基本的に買取り企業対象リストといったようなものは作成しておりません。ただ、お尋ねでございましたので、事前に通告もございましたので、平成十一年度以降、本年十月末までの課長級以上の職員の、役職員の再就職先につきまして調査を行ったところ、該当する先は四つでございました。  それから、もう一つお尋ねの日本銀行の現役役員のうちにその可能性がある株式の発行企業の出身者がどの程度いるかということでございますが、私どもの調査では三人ということになってございます。  以上でございます。
  51. 大塚耕平

    大塚耕平君 そういう意味ではほとんど懸念する必要のない実態であるということだと思いますので、そこは理解ができるわけでありますが、しかし、こういう国会の答弁を聞いていない人たちは、何がしか一抹の不安を感じたりいろんなことを思う人がいるわけでありますので、やはりその辺の、日銀株式取得するという、言ってみれば、しかも一般企業ですね、これはどこの国もやったことがないわけですから、前代未聞のことをやるに当たって、利益相反行為の防止とか、あるいは対外的な、例えば株を持っているからうちの会社に役員が来たんじゃないかとか、そういうもしあらぬ誤解を受ける可能性があるとしたら、そういう誤解を避けるためにもどのような対策を今回講じられておりますでしょうか。
  52. 三谷隆博

    参考人三谷隆博君) お答えいたします。  先生からお尋ねの点は、役職員の再就職先とか役員の出身企業であることを理由に日本銀行株式買入れ等の判断に影響が生じるんじゃないかとか、逆に、日本銀行が株主として影響力を行使することによって役職員の再就職にこれを悪用するんではないかという疑念を持たれないのかどうかということだろうというふうに理解いたしました。  この点、今回の株式買入れに当たりましては、まず、事務の透明性、公正性といったものを担保する観点から、買入れ事務を信託銀行に全面的に委託しておりますほか、公表いたしております客観的基準を満たした株式銀行からの申出に応じまして、これはもう無条件で、無条件といっても一定の限度はございますけれども、受動的に買い入れる、受け身で買い入れると。この銘柄基準には達しているけれども要らないよとか、そういうことは言わないというふうな仕組みにしておりまして、個別買入れ銘柄の選定に日本銀行の裁量というものが働くことは一切ないようにいたしております。  また、同様の観点から、議決権につきましても、先ほど申し上げましたように、日本銀行が示した指針の範囲内であらかじめ承認したガイドラインに基づいて信託銀行が善管注意義務に従って行使する仕組みとしておりますなど、株式保有に伴って個別企業に対し影響力を及ぼすことのないよう極力配慮しているつもりでございます。  さらに、日本銀行が買い入れ、保有する株式につきまして、その個別企業の名称、株式保有量、そういった個別情報につきましては、日本銀行の、まあ当該事務を遂行する上で不可欠な部署はこれはしようがありませんが、その部署限りといたしまして、厳正な情報の遮断措置を講ずることといたしております。物理的なファイアウオールも既に設置しているところでございます。  こうした公正性、透明性確保のための方策によりまして、株式買入れ等に係る裁量の余地をなくすと同時に、厳重な情報遮断措置を講ずることによって、先生のおっしゃったような疑念は払拭することができると思っておりまして、そういった仕組みを厳重に構築したところでございます。  なお、もう言わずもがなでありますが、日本銀行ではこれまでも、民間への再就職等に当たりまして、世間からいたずらに批判を招くことがないよう慎重に対応してきておりますし、また、今回の株式買入れを理由に役職員の再就職を働き掛けるようなことは全く考えておりませんので、この点は明確に申し上げておきたいと思います。
  53. 大塚耕平

    大塚耕平君 きちっと御答弁いただいてありがとうございます。  日銀出身の私がこんなことを聞くので、多分今も国会テレビを見ている同僚は薄情なやつだなとか思っているかもしれませんが、これは私は日銀の皆さんがそんなことをする心配をしているわけではないんです。日銀の同僚の皆さんはそこはきちっとやってくださるだろうとは信じています。だけれども、こんなことを聞かなければならないような大決断をされたんだということを申し上げたいということですし、それから、私は前回の委員会から今日にかけて申し上げていますように、様々な理由で、四十三条認可のみをもって日銀株式取得するということは大きな間違いであるという考えに基づいてこの発言をさせていただいております。  したがって、今幾つかお伺いしました利益相反的な問題については、おっしゃるような厳格なルールの下できちっとやっていただくということであれば、それはそれで私も当然信頼を申し上げているわけでありますが。  一つ理事にお伺いしたいんですが、例えば総裁、副総裁、あるいはこの件の担当役員である理事も銘柄は一切知らないということですか。
  54. 三谷隆博

    参考人三谷隆博君) お答えいたします。  全く知りません。今度の、これは内部的な定めでございますが、事務に必要な処理権限みたいなものは、当該部署の課長以下ということですべて完結するようにいたしております。
  55. 大塚耕平

    大塚耕平君 それは、総裁も含めて何も知らないんだという意味では極めて厳格なルールなようにも一面取れますが、一つ意見を申し上げて、この件は次の質問に移らせていただきます。  かつて、大きな経済事件に発展した某商社の手形を日銀が持ってしまって、これがどうするかというようなことがあったやに記憶をしているんですが、トップまで含めてどの銘柄を買うかということは一切知らないというのは、一見厳格なルールなようで、信託銀行とか現場の課長級以上の皆さんには厳重に注意しろよという善管注意義務を課しながら、役員の皆さんは、例えば役員とか経済界、財界のお歴々とお付き合いのある人しか分からないような、あの企業はひょっとしたら事件に発展するかもしれないとか、そういうような銘柄について、いや、それは日銀のバランスシートを後で毀損させないためにはそれはやめておいた方がいいんじゃないかとか、そういう判断を経営者としては働かすということもある一面、それが正しいとは言いません、ある一面、運営の仕方としてはあり得るんではないかなと思います。  確かに、総裁以下、担当理事まで含めて一切何も知らない、知っているのは信託銀行と課長以下の現場だけだという姿は美しいような気もしますけれども、ガバナンスという観点で、あるいは中央銀行のバランスシートを先々守るという観点で本当にそれでいいのかということも若干私は疑問があるということを申し上げて、次の質問に移らせていただきます。  資料の七ページをちょっとごらんいただきたいんですが、先回から今日ここまでの議論で私なりの問題意識を御理解いただければ幸いなんですけれども、やはりこれは機構であっても日銀であっても、機構が企業と銀行、両方の株を持つこと、そして日銀が企業の株を持つこと、これはいろんな意味で利益相反的な状況に置かれるリスクがある。必ずそうなるとは言いませんよ。厳格にいろいろ運営されるということで、それは信頼はしていますけれども、そういうリスクがある。そういうリスクをなるべく遮断すること。  それから、この際、何か小泉さんみたいですけれども、政府、日銀が一体となって大胆かつ柔軟に、この金融恐慌を乗り切るためには、もう日銀株式取得するということを対外的に発表してその決断をしたのでしたら、この際、これはもう与野党の対立の問題ではなくて、この金融再生ということについてきちっと枠組みを今度の通常国会の頭辺りまでに、これは日銀にも議論に参加していただいて、財務省、金融庁にも、与党も野党も議論に参加して、例えばこの七ページの絵のようにできないかなと個人的には思っております。  というのは、相沢先生が御提案されております機構の方の銀行株取得はこの際やめて、今回成立するかどうか分かりませんけれども、仮に成立したとしてもそれはまた枠組み変えればいい話ですから、機構は民間企業の株をきちっと取得する。そして、民間企業にちゃんと業績を上げろと言って議決権行使を基本的考え方の下で信託銀行にしてもらう。企業が銀行の株を売りたくなったら、それは日銀に売る。日銀銀行株取得する。これはフィンランドでも前例がありますし、国民から見たら分かりやすいんですよ。日銀銀行に対して不良債権処理をしろと今言っているわけですから。なかなか前に進まない、しかも信用不安が起き始めている。だったら、日銀銀行株取得しますと。(「逆さまだよ」と呼ぶ者あり)いやいや、最後まで是非聞いてください。銀行株取得すると。  そういう形で日銀機構がきちっと持ち分けをして、日銀日銀法上の法目的を達成するためにも、あるいは銀行の株を取得したことに伴って発生する議決権行使という面においても、銀行の収益力向上と健全化を果たすためにきちっと金融行政を行うというこのすみ分けも一つ考え方だなと。これは個人的な意見です。  それで、最後に八ページをごらんいただきたいんですが、もちろん私の個人的な見解ですので、最後、残りの五分ほどで議論をさせていただきますが、今回の日銀による企業の株式取得については、私は日銀改正時の審議の内容を超えてしまっているんではないかなというふうに思っております。  それから、山口副総裁が講演で述べられていますような、税の使い道を左右するような決定については、日銀法が想定している金融政策の枠組み以外の部分については国会で議論するのが筋であって、法治国家の視点からいっても全く問題がないとは言い切れない部分がある。さらには、日銀が言ってみればあらぬ誤解を受けたり論理矛盾の世界に置かれることは、中央銀行の信認を維持するという意味においても好ましいことではない。更に申し上げると、株式取得機構による銀行株取得についても、先ほども申し上げましたように、両方の株を持っちゃうとなかなか難しい問題が生じる可能性がありますので、そういう可能性を排除できればそれにこしたことはない。  以上、様々な点を今更後戻りはできないという前提に立って考えますと、改善案として、日銀銀行株を、機構は企業の株を取得していただいて、しかもこの大きな枠組みは何か国会できちっと立法するなりなんなりして、例えば日銀銀行株取得は法第四十三条認可ではない姿で議決をしていただくということこそ、経済国会と言われて、国民が、この金融恐慌になりかけている状態を打開するために国会議員は、永田町は、霞が関は一体どういう案を出してくるかということを凝視している中で我々議会人が取るべき行動ではないかというふうに考えます。  以上、個人的な意見でございますが、この問題に関しては、最後に金融庁と、あと塩川大臣にもお伺いしたいんですけれども、日銀がこれまでこだわってきた大原則を捨てて信用秩序の維持のために株式を買うという言わば決死の覚悟をしたのであれば、今申し上げましたように、日銀は企業株ではなく銀行株を買って、ただいま申し上げましたような枠組みについてこれから議論することも一案ではないかと思いますが、それについてのお考えを金融庁と塩川大臣にお伺いしたいと思います。
  56. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) フィンランドの事例についてもお話がございましたが、これはかなり特殊な事例であったんではないかなというふうには思っております。しかし、今先生のお話をお伺いいたしておりまして、先生のお話はある意味では、日本銀行が実質的にその公的資金を活用する、あるいは公的資金を銀行に対して注入をするという意味にもやはり取れるところはございます。  私ども金融庁としては、正式にそのようなことを想定して今日まで議論してきたわけではございませんので、このことについてやっぱりお答えするのは相当難しいことだなということを感じております。ただ、大塚先生は日本銀行の実務にも精通をされ、金融問題にも大変お詳しい方でございますので、広い意味での公的資金の活用の仕方だなということでの考え方として私どもとしては受け止めさせていただきたいというふうに思います。
  57. 塩川正十郎

    ○国務大臣塩川正十郎君) 先ほどのお尋ねにつきましては、先日、私もこの委員会でもお答えしたと思うのでございますけれども、総裁から取得をしたいということの是非を問い合わせがございました。そのときに明確に総裁が言いましたことは、銀行が、金融機関が持っておる、それぞれ保有しておる株式の、これによって起こってくるところのリスクを安定させたいんだと、この一点でございまして、そのことは私は、日銀行政上の問題として見ても別に違法性はあるわけじゃないと思ったことが一つでございます。  それが前提でございまして、そして同時にそのとき私は二つのことを申し上げた。これはこの委員会でも申しておりますが、保有は必ず長期にわたるということを是非やってもらいたいと。でないと、短期でこれを、保有を売ったり買ったりするということは投機性が伴ってくるので、長期にやってもらうということ。そのことはリスクを回避する一つの道であるということが一つ。  それからもう一つは、どういう基準で買うのかということは、きちっとした手続をして、何もこれは公表しろとかなんとかいうんじゃございませんが、これに基づいて、客観性のある根拠に基づいて取得をし、また売却をするというルールをきちっとしておいてもらいたいと、こういうことで言いまして、私はそのときに他省の者とも相談いたしましたが、四十三条の違反行為にはならないという判断を私自身が持ちましたので、それは結構ですよということを総裁に対してお答えを申し上げたという次第であります。
  58. 大塚耕平

    大塚耕平君 終わります。
  59. 勝木健司

    ○勝木健司君 民主党・新緑風会の勝木でございます。  大塚委員が今、銀行株保有制限改正法案についての質問を中心にされておりますので、私は、あと金融アセスメント法案以下、NPO法人税関係について主に質問をさせていただきたいと思います。  まず、金融アセスメント法案関係でございますが、発議者に、法律の概要については前回趣旨説明のときにもお伺いしておるわけでありますけれども、ポイントについてもう一度御説明願いたいと思います。
  60. 櫻井充

    櫻井充君 この法律のまず二条に定めております金融機関に対して、あとは八条に定めております項目についての情報公開を求めてくるものでございます。そして、その情報公開を求めてくる、その情報公開を行ってくる機関内閣府の外局に設けております地域金融円滑化評価委員会でございます。  ただし、この委員会委員長委員五名から成っておりますので、実務は行うことができません。そこで、その実務は各地方財務局に行ってもらうこととしておりまして、各地方財務局に権限を委任して銀行の調査を行って報告を受ける。そして、その報告を受けたものを地域金融円滑化評価委員会が取りまとめを行いまして、一年に一回国会そして国民の皆さんに公表すると、こういう内容になっております。
  61. 勝木健司

    ○勝木健司君 ただいま情報公開ということを言われましたけれども、この情報公開ということにつきまして、どのような点を公開をさせるのか、お伺いしたいと思います。
  62. 櫻井充

    櫻井充君 それは八条に定めているとおりなんですけれども、先ほど林委員からも御指摘がありました。ちょっと具体的な内容についてもう少し補足させていただきたいと思います。  先ほどは地域の貢献ということに関して申し上げましたけれども、あとは円滑化という点に関して、まず、地域から集めたお金はどれだけその地域に融資されているのか。それからもう一つは、中小企業者、それから事業性融資ですけれども、事業性融資と生活性融資とどの程度融資されてきているのか。それから、その生活性融資の中で、カードローンや住宅ローン等ですけれども、所得階層別に見たときにどうなのか。それから、特に女性の場合余り融資を受けられていないという実態もございますので、女性に対して一体どういう融資行動が行われているか。それから、事業性融資の場合は産業別分類それから事業規模別構成でどうなのかということの情報公開を求めていきたいと思っております。  それから、中小企業の皆さんから強く要望があった点は、事業性融資における物的担保設定、第三者保証の構成比が一体どういうふうになっているのか。要するに、過度な担保設定がなされているのではないかという、そういう御意見もございましたので、このような点についてもきちんと情報公開を求めていきたいと、そう思っております。
  63. 勝木健司

    ○勝木健司君 では、なぜこの法律によって地域金融が本当に円滑化されるのかどうかということをもう一度お伺いしたいと思います。
  64. 櫻井充

    櫻井充君 ここは大変難しい点でございまして、といいますのは、要するに、この法律が施行されただけでは金融円滑化が図られていくかどうかというのは難しいところがあると思っています。  といいますのは、これはあくまで我々は情報公開を求めるだけであって、その後、金融機関を企業の皆さんがその情報を基に選ぶような形になって、そこで市場原理が働いて初めて金融機関の貸出し動向といいますか、そういうものが変わってくると考えているからです。つまり、パブリックプレッシャーを我々は望んでいるわけであって、これまでの金融行政の在り方のように、金融庁が例えば中小企業に対して二兆九千億貸し出しなさいとか、上から下に押し付けているという内容ではないからです。  ただし、もう一点、中小企業の人たちが金融機関を本当に選べるのかどうかというのが、そこが大きなポイントになってくると思っております。  昨年の公正取引委員会が調べました金融機関と企業との不公正な取引慣行の実態というのがございまして、そこの中でどのようなことが分かってきたかといいますと、金融機関と企業との立場の関係の差が余りに大き過ぎる、つまり金融機関の方が明らかに優位であるということが分かってまいりました。というのは、いろんなことを金融機関側から企業が要請を受けていて、例えば金融機関が発行している商品を買ってくれとか、それから預金を積み増ししてくれとか、いろいろな要請を受けているわけですが、その要請を断りにくく感じるかどうかということに対して、要請を断りにくいと答えている企業が四一・九%ある。そして、なぜそのように感じているのかといいますと、次回の融資が困難になるというのが三七・五%、取引関係の悪化を懸念するというのが二五・五%ありました。  そのような状況であったとすると、取引銀行を替えればいいんじゃないか、我々そう思うわけですけれども、取引銀行の変更を検討したかということに関しては、六三・六%の企業が金融機関を変更しようということを全く考えていない、そういう実態が分かってきました。  もう一つは、なぜ金融機関を変更しないのかということなんですけれども、結局、自分のところから、A銀行と取引していて、A銀行との取引をやめてB銀行に行こうとしても、B銀行側から見たら、A銀行から取引をあなた方は停止されたんでしょうと、そういうふうに見られてしまうので、なかなか銀行を変更することができなかったという問題がありました。  つまり、今までは企業側が金融機関を選べなかったために立場にこれだけの差がございました。今度はそうではなくて、我々は情報公開だけを金融機関に求めていきますけれども、情報公開をした上で企業が金融機関を選ぶような形になって市場原理が働いてくるようになれば、こういう取引慣行の不公正というのも改善することによって金融機関側が企業に対しての貸出し・融資行動が変わっていくのではないか、そのように考えております。
  65. 勝木健司

    ○勝木健司君 今までの説明を聞いておりますと、この法律が本当に銀行を規制するとは思えないわけでありますけれども、金融庁にお伺いしますけれども、どの点をこの法律は規制するというふうに考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  66. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 金融機関の融資業務については、基本的には各金融機関の自主的な経営判断や金融機関の利用者による評価など、取引の当事者による判断、すなわち市場の判断に従うべきであるというふうに考えております。  民主党提案によれば、内閣府の外局として設置され、報告徴求及び立入検査権を有する地域金融円滑化評価委員会がある意味では特定の項目に基づいて個別金融機関の活動を評価することとされており、こうしたことによる金融機関の自主的な経営判断等への影響等を勘案すれば、慎重に対応することが必要ではないかと考えております。
  67. 勝木健司

    ○勝木健司君 中小企業に対する貸出しが減っておるわけでありますけれども、これについて金融庁は、その原因についてはどう考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  68. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 確かに、民間金融機関の中小企業向け貸出し残高が減少しているということは承知をいたしております。全国銀行ベースの貸出し残高、これ、平成十四年六月末を一年前と比べてみますと三・九%減っておりますが、そのうち中小企業向けの貸出し残高を比べてみますと七・八%減少いたしておりまして、中小企業向けのやはり貸出し残高が減少しているなということを痛感をいたしております。  先般発表されました日銀短観を見てみますと、やはり資金繰りについては中小企業は大変厳しいものになっている。その要因というものを見てみますと、やはり一つには金融機関の貸出しの態度の厳しさというものが現れておりますが、やはりもう一つは、今の経済の状況、中小企業を取り巻く経済環境の厳しさというものが要因になっているのではないかと考えております。
  69. 勝木健司

    ○勝木健司君 それでは、金融庁はこの地域金融システムの安定に資するためにはどのような施策が必要と考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  70. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) ある意味では、地域金融機関というのは、やはりリレーションバンキングをベースに、引き続き地域に根差してきめ細かに地域住民や企業のニーズに対応することによって、地域の経済の発展にやはり貢献をしていくことが基本ではないかというふうに思っております。  地域金融機関がこうした使命を果たしていくためにも経営基盤の一層の強化が必要だというふうに思っておりまして、そういう意味から、合併等の組織再編成は、そうした中で地域金融機関の経営基盤の強化のための有力な手段の一つだというふうに考えておりまして、私どもは今、国会の皆様方にこれに関連する法律の御審議をお願いをしているところでございます。
  71. 勝木健司

    ○勝木健司君 今の金融担当副大臣の発言に対しまして、発議者櫻井委員はどう考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  72. 櫻井充

    櫻井充君 先ほど、規制だと、この点が規制なんだというお話がございました。そこの中で、特定の項目に関してということですが、我々は決して、その特定の項目といいますか、強制的にこういうことをやってください、ここを調査したいということを申し上げているのではなくて、この八条のところにも書いてございますけれども、あらかじめ広く国民の皆さんの意見を聞いた上で委員会が設定するということにしておりますので、それは、その地域の実情、地域というか全体の地域経済の実情に勘案してこの項目を決めていきたいと思っております。  そういうことから考えていきますと、あるところに偏った項目だけを取り上げて、そしてそこに価値を求めていこうということを考えているわけではありませんので、私は、ここの点が規制だと、規制に当たるという判断はちょっと違うんではないかと思っております。  そしてもう一つは、これまでの金融行政の在り方で見てくると、金融機関に対して、自主的にこれをやってくれ、自主性を任せるけれども金融庁としてはこういう方針が望ましいというような言い方をして、金融庁が押し付けているわけではないというのが今までの金融庁の全体の答弁でございますが、結局、それが金融機関側からすれば金融庁の言わば命令になっていて、それを全部聞かざるを得ないようなそういう行政のやり方をしてきたからこそ、今回のこのシステムの中でこのような評価項目を作って調査して公表するということが規制に当たるというふうに金融庁では判断されているのではないか。つまり、いみじくも今までやられてきた経験があるからそのようにおっしゃっているのではないだろうかと、そういう気がいたしております。  それから、貸出し態度の厳しさということがあるというお話でしたが、貸出し態度が厳しくなるのも至極当然だと私は思います。といいますのは、昨年の下半期だけで四十五行の金融機関が私は金融庁によって破綻させられたんだと思っています。今年になってから一行も破綻していないわけですから、ペイオフ解禁に備えて破綻させられた。自己資本比率で、これ以上維持しないとおたくは営業停止ですよと言われれば、貸し渋りなり貸しはがしをしてくるというのは至極当然のことなんだろうと思うんです。ですから、そういった健全度だけを求めてくるような規制を行い続けると、規制を行い続けてくると、貸出し態度が厳しくなり続けるのは当たり前のことなんじゃないかと、そういう気がします。  先ほど、経営基盤を強化するために合併を推進するようなお話がございましたけれども、一方で、先ほど、地域の実情に合わせて細やかな対応をしなければならないとお話がございました。合併をしていってどんどんどんどん金融機関が大きくなってリストラされていったときに、企業に対して細やかな対応というものが果たしてできるのかどうか、そこは私は答弁に矛盾点があるのではないかと、そのような気がします。  もう一点付け加えさせていただければ、銀行法にまずどう書いてあるかといいますと、「銀行業務公共性にかんがみ、信用を維持し、預金者等の保護を確保するとともに金融の円滑を図るため、銀行業務の健全かつ適切な運営を期し、もつて国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」と、銀行法の一条にこう決められています。  そうすると、銀行が本来果たすべき役割というのは、きちんとした形で金融の円滑を図るということでして、そこに公共性があるわけです。その公共性があるから公的資金を注入しましょうということであれば話は分かるんです。しかし今はそうではなくて、金融機関自己資本比率を見たときに、この自己資本比率が低いから、健全度が低いから次々公的資金を入れるか入れないかという議論をしているんです。  もう一度言うと、公共性を果たしたからこそ、公共性を果たそうと思ったけれども自己資本が少なくなってきたのでこれに公的資金を入れてくださいということであれば話は分かるんですが、単純にその健全度だけを金融機関に求めていくという、私はその金融庁の大方針が違っているような気がします。公共性があるから公的資金を注入するのであって、公的資金を注入して銀行の、企業のトップの責任を問うのはそれは一つでしょうけれども、公共性を担保する法律を作ってくるというのは私は至極当然のことではないかと、そのように思っております。
  73. 勝木健司

    ○勝木健司君 そうしたら、金融庁にお伺いしますけれども、この金融アセスメント法案についてはもう不必要と考えられておられるというふうに思いますが、その理由についてもう一度お伺いしたいと思います。
  74. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 私どもは、今回の民主党提案の中で、例えば先ほどお話をさせていただいたように、評価委員会内閣府の外局として設置をされ立入検査権等も有していることなどから、この点では政府の一機関が個別金融機関の活動を評価することに変わりはなく、例えば民間の格付機関など、市場による評価とはやはり性質が異なるものではないかというふうに考えております。  また、先ほどの特定の項目についても少しお話がございましたけれども、民主党提案の中においては、地域金融機関円滑化に対する寄与の程度に関する評価を行う上で調査を要する事項として、地域の振興に貢献する業務状況や利用者の利便の増進を図る業務状況など、特定の調査項目を定め、その結果に基づき、すべての金融機関評価することといたしております。これらは、金融機関業務運営を評価する基準としては、いずれも抽象的で、かつ適切な客観的評価を行うことが難しい項目と思われ、そのまま用いられれば金融機関の日常的な活動に影響を及ぼすのではないかというふうに考えております。
  75. 勝木健司

    ○勝木健司君 この発言に対して反論がありましたら、簡単にお願いします。
  76. 櫻井充

    櫻井充君 まず一つ、我々もこれは公的機関に、内閣府の外局に設けた方がいいかどうか、これについては検討いたしました。そのときにこう言われたんですけれども、やはりこのような評価というものは、数字を出してくる、公表するところは民間ではなくて信頼できる公的な機関が望ましいというのが多くの方々の御意見でございました。  そしてもう一つは、立入検査等ができなければ銀行から提出されてきている情報が果たして本当に正しいのかどうかという判断が付きませんから、そうすると立入権限を設けるためには、私も本意でないところもありますけれども、公的な機関にゆだねなければいけないんじゃないだろうかと、そう思っているところです。  そしてもう一つは、先ほどこの八条のことについてお話がございましたが、あくまでこれは大きくこのような項目について調査したいということであって、具体的に先ほど述べさせていただきましたけれども、地域のところに、地域から集めたお金はどのぐらい地域に融資されているんですかと、これは具体的な数字になってまいります。ですから、漠然としたものを評価するということではなくて、これをちゃんと具体的に政令で作って評価することにしておりますので、これは金融庁のちょっと認識は私は違っているのではないだろうかと思います。  もう一つ、現に、現在この法律の制定を求める署名が八十六万、中小企業の方々を中心として八十六万も集まっております。それだけではございませんで、四百十六の地方自治体でこの法律の早期制定を求める意見書が採択されていると。  地域の経済というか、地域金融システムというのがもう破綻している状態にあって、そのためにこういう法律が必要なんだという多くの市民の声があるということも、金融庁は私はきちんと聞くべきではないかと。  もし、我々が作っているスキームの、国がこういうところで、形で関与するというところが、もしその点がまずいということであれば、民間の機関でも結構ですけれども、このような考え方を持った、こういう考え方を持った法律の制定というのは必要ではないかというふうに考えております。
  77. 勝木健司

    ○勝木健司君 次に、NPO法人税制関係についてお伺いしたいと思います。  まず、寄附金税制についてでありますが、現在認証されておりますNPOの数は八千六百七十九法人でありますけれども、税制上の特例措置の対象となっているものはわずか九法人にとどまっているわけでありますけれども、こういう非常に認定が低調な実態をどう認識をされておるのかということで政府側にもお伺いしたいと思いますし、あわせて、現行の認定要件の問題は具体的にどこにあって、どのように改善を図られていくのがいいのかということを、これも発議者にお伺いしたいと思います。
  78. 小林興起

    ○副大臣(小林興起君) 今御指摘いただきましたように、平成十三年十月の制度創設以降、これまで確かに国税庁長官から認定を受けたNPO法人数はわずかに九法人でございまして、このことは承知をしております。  そして、一方、国税庁において平成十四年十月末現在で既に七百四件の相談を受けているわけでありまして、相談を受けている数と認定した数との差も非常に大きなものがありますし、日本全体のNPO法人の数から見ますと、誠にわずかだというのが現状であります。  ただ、多分、税当局としては、最初は用心深くスタートをするということであったと思うんですけれども、今日NPO法人が果たしている役割、また我々のそれに対する評価、認識から見ますと、いかにも少ないということの中に、既にNPO法を所管しております関係省庁からも税改正要望が出ておりますし、またこの議会の場でもたくさんの御意見をいただいております。  したがいまして、これからいよいよ税制改正議論が本格化するわけでありまして、その中におきまして皆様方の御意見をいただきながら、政府としては最終的な、来年度、平成十五年度の税制改正において、NPO法人の認定につきまして考え直していくということになろうかと思います。
  79. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 これは、先ほど林委員質問にもありましたときにお答えをしたわけですけれども、本当に日本のある意味ではNPO法人がなぜこのように育っていかないのかという背景というのは、ある意味では申し上げたとおりですが、特に今回ある意味ではNPO法人に税制上の優遇措置をきちんと付けないという、そういう意味で、それがゆえにまたこれも発展をしていかないという、そんな状況になっているわけでありまして、じゃ一体現在それは何が阻害をしているのかなということを考えたとき、パブリックサポートテストというのは我々も必要だと思っております。  我々は、非常に十分な情報公開と、そしてパブリックサポートテストを経た上で、それを第三者である機関が認定すべきではないかという提案をしているわけでありますが、余りにもこのいわゆる認定の基準が厳し過ぎる。パブリックサポートテストの内容がアメリカのそれとは似て非なるものになってしまっていると。こういった点をやはり改革をしていかない限り、ある意味ではこのNPO法人の税制上の優遇措置というのは広がっていかないということを私どもは訴えてまいりました。  そのゆえ、こうして議員立法を出させていただいているわけですけれども、昨日も実はNPOの団体の方々が、是非この税制改革を進めてもらいたいということの要請が出ております。是非これは、課税当局としても、政府側としても、また今日こうして審議に参加をしていただいている与党側の皆さんにも是非この法案には賛成をしていただいて、そして税制上の優遇措置を拡大していただきたいというふうに思います。
  80. 勝木健司

    ○勝木健司君 この野党の共同提出案では、税制支援を受けることのできるNPOの認定要件をどのように考えられておるのかと、あわせて、税制支援の内容についてもどのようになっておるのかということでお伺いしたいと思います。
  81. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 我々こういうパンフレットを作って、今「NPOの元気が、日本を変える!」と、こういうふうにして今出しているわけでありますけれども、我々、パブリックサポートテストの中身について、これはやはりアメリカ方式と言われているものと同様のテストを行っていく必要があるのではないかということで、我々野党案としては、最初にパブリックサポートテストで三分の一、総収入と総支出の関係の三分の一というやつを、テストを、最初の年に限っては五分の一をクリアすればこれは認定していいじゃないか、あるいは二回目は二年後に申請して三分の一クリアすればいいじゃないか、あるいは三回目からは三年ごとに申請して三分の一クリアすればいいじゃないかというような形で、ある意味ではその認定をしやすくする。  そして、中身の問題については、本来、事業収入を分母、分子から除外をするということでNPOが事業を行って、自立している場合でも税制上の支援措置が受けられるようになっていると、こういったことを改正する必要があるんじゃないかなというふうに思っています。その意味で、行政下請型以外の、行政型の下請のNPOだけが支援を受けられるようでは本当にやはり自立しないわけでありますので、そういう形に進めていきたいものだなというふうに思っております。  なお、まだ細かいNPOの、何といいましょうか、中身の改正については、細かい点はこれに書いてありますので、ちょっと時間の関係で割愛したいと思っております。
  82. 勝木健司

    ○勝木健司君 民主党はさきにまとめられた経済再生プランにおいてもNPO支援税制の拡充を掲げておるわけでありますが、一般にNPOに対する支援が経済対策になるとはなかなか考えにくいわけでありますけれども、それでもなおこれを掲げたというのはどういう理由によるものか、簡単に述べていただきたい。
  83. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 実は、私は今回のデフレ対策というか、与党側、政府側の経済対策の中に税制の項目はあるわけでありますけれども、なぜこのNPOの支援税制の拡充というのが入っていないのかというのは非常に疑問に思っているわけであります。  私は、今やはりこの世の中で一番元気な、元気を出そうと思っているし、元気な方々に対する支援というのはもっともっとやられてしかるべきだと。その中にはやはり、例えば女性が元気だ、あるいはNPOが元気だ、こういったところをもっと支援をしていくということが一般的に必要だというふうに考えているわけであります。  その意味で、私は、ちょっと余談になりますけれども、私が非常に印象を受けた本に、「哲学する民主主義」という、これはロバート・パットナムというアメリカの政治学者がイタリアのいわゆる地域経済の分析をした本でございます。  その中で非常に印象深かったのは、イタリアの北部と南部でどうして経済的な格差があれだけ出てきているのだろうか、あるいはデモクラシーの面でも非常に成熟したデモクラシーを示している北と、そして非常にそれが弱い南が出ているんだろうかと。  そうした中で、こういった地域の中に実は非常に協同組合であるとか、あるいは通常私たちがNPOと呼んでいるようなものが非常に横のネットワークを張っている地域が非常に経済的にも発展をし、デモクラシーでも成熟をしていると。そこに実は非常に着目をした分析事例なわけでありますが、私は、そういう意味で、ある意味ではNPO法人というものが非常に大きく広く立ち上がり、それが横の連携を示すことが、実は長期的に見たときの経済の発展というものにとって実に大きな役割を果たすんだということをこの本を通じて知ったわけであります。  その意味で、細かいことはたくさんいろいろございますけれども、我々民主党としては、あるいは野党案の考え方もそうだろうと思うんですが、やはり今国がやっている仕事をできる限りこれは、官がやっているものは民にやる、そして国がやっているものをできる限り地方でやろう、こういう実は補完性の原理と呼んでいいんだろうと思いますが、その意味で、是非こういう形で改革をすることによって、今非常に停滞をしている、これは経済が停滞している原因というものはまだいろいろあるんでありましょうけれども、是非NPOが、成熟した社会の中で、これまでの官製のいわゆる非営利組織じゃなくて、市民がやはり自律的に動き、生まれ始めたこの社会をある意味では発展をさせていく、そのことが実は本当の意味で雇用を拡大をし、そしてそれが発展をしていく道ではないだろうかというふうに思っております。  実は、残念ながら、私は北海道出身でございますから、例えば北海道で有名な企業としては、ブランドでは雪印という最近非常ににぎやかした、問題を起こした企業がございます。これは元々協同組合なんですね。農家の方々が、協同組合で酪農の方々が作り上げたまず組織でございます。これが日本を代表するような実は酪農業に発展をしたわけであります。  その意味で、今非営利で始まったNPOも、ある意味ではこのように日本を代表するような企業になり得るベンチャー的な要素も実は私は秘めているんだろうというふうに思っているわけでありまして、是非そういうことも含めて、私たち民主党としては、これからの経済対策、雇用拡大、雇用創出という中においてはこういうベンチャー的な問題も含めてNPO法人の果たす役割は極めて大きい。それだけに、税制上の優遇措置もこれは早急に改善をしていただきたい。今お隣におられる相沢さんは税制調査会の会長さんでございますので、是非そういった点も含めてよろしくお願いを申し上げたいと思います。
  84. 勝木健司

    ○勝木健司君 最後に、政府側にお伺いしたいと思いますが、このNPOに関連して今公益法人改革を進めておられるわけでありますけれども、税制の在り方というものが大きな焦点となってくるだろうというふうに思います。  そこで、行政改革推進本部が取りまとめた公益法人制度の抜本改革に向けてという論点整理の中でも、公益法人制度自体の見直しに応じて税制を整備するという考え方が示されておるところでありますけれども、このNPO制度またNPO税制について今後改革はどういうふうに持っていこうとしておられるのか、見通しについてお伺いしたいと思います。
  85. 小林興起

    ○副大臣(小林興起君) 今、先生が御指摘になりましたとおり、今内閣官房が中心になりまして公益法人等の抜本的改革を検討する中にこの税制の問題が入っております。  政府税制調査会におきまして非営利法人課税ワーキンググループというのが設置されておりまして、これが非営利法人に対する課税の基本的な考え方につきまして検討を開始したところであり、これは今後、来年三月の公益法人制度等改革大綱の取りまとめに向けて、こういう税制を含めて総合的な結論が出てくることになっております。
  86. 勝木健司

    ○勝木健司君 ありがとうございました。  終わります。
  87. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。    午後零時三分休憩      ─────・─────    午後二時一分開会
  88. 柳田稔

    委員長柳田稔君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、銀行等株式等保有制限等に関する法律の一部を改正する法律案地域金融円滑化に関する法律案及び特定営利活動促進のための法人税法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  89. 山本保

    山本保君 公明党の山本保でございます。  今日は、まず、法案審査に入ります前に、ちょうどいい機会でもありますので、財務大臣おいででございます、この今の景気、大変落ち込んでおりまして、もうずっと続いております、これについてどのようにお考えなのか。そして、今私どもの党も、御存じのように、補正予算を大至急組むべしと、景気の下支え、また雇用対策というような観点からできるだけ大規模な補正予算をということを申し上げているわけでありますが、昨日、今日のいろいろ動きを拝見しておりますと、何かある程度もう固まってきたというふうにも聞いておりますので、できる限りちょっとここで、国会の場でその辺についてお話ししていただけるところがあれば、是非この補正予算の見込みについてもお願いしたいと思います。
  90. 小林興起

    ○副大臣(小林興起君) 今、景気の現状についての御質問がございました。この公式的な見解ということになりますと月例報告ということになるわけでございますが、月例報告によりますと、個人消費は横ばいで推移する、企業収益は改善の兆しが見られるが、設備投資が下げ止まりつつあると。一方、輸出は弱含んでおり、生産は持ち直しの動きが更に緩やかになっていると。このように、景気は引き続き持ち直しに向けた動きが見られるという状況には変化はないものの、そのテンポは更に緩やかになっておりますと、こういう月例報告が出ているわけでございますが、一政治家として言いますと、大変に今心配な状況にあると。株価も低迷しておりますし、やはり景気対策に向けてしっかりやってくれという国民の声を聞く思いでございます。
  91. 山本保

    山本保君 どうでしょう、二十二日に発表になるというふうに聞いておりますけれども、もちろん額だとかそういうものはともかくとしまして、今、与党とまた財務省で今年度の補正予算についてもう相当煮詰まった議論がされているというふうに聞いておりますので、できましたらその考え方なり大枠のようなものが示していただければと思うんですが、いかがでしょうか。
  92. 小林興起

    ○副大臣(小林興起君) 御承知のとおり、既に税収の当初見積もったものに比べて今相当税収が落ち込むんじゃないかということが言われておりまして、二兆プラスアルファという声が聞こえてくるわけでありますが、そういうところについては少なくとも埋めなければならないということでございます。  ただ、それと、どうせそこを埋めるという作業をするのであれば、御承知のとおり、補正予算ということの中にセーフティーネットであるとかあるいは義務的な経費というものはこれは当然やるわけでありますけれども、これは節約等を考えてそこを入れ替えるということで済む話だと多分思うわけでありますが、それを超えて積極的な、例えば公共事業とかいうものについてもう少し上乗せをしたらどうかということがいわゆる補正予算の額をどうするかということをめぐって今大きな問題になっているわけでございまして、こういうところは、関係閣僚とそしてまた政府、そういう政府と与党間の話合いが今行われているわけでありますが、問題点は、今申し上げたようなところをどう見るかと。  最小限にするか、更に超えて景気刺激策、景気対策ということで補正予算を積み上げるかと。積み上げるについても、従来型のもう公共事業というものではなかなか御理解が得られないという中に、例えば都市再生であるとか、そういう公共事業費の中身をもう一度よく見て経済効果のあるものにしていったらどうかという声もありまして、まずは額をどうするか、それについて上乗せする場合、上乗せの中身はどうするかという大きなテーマについて、今、政府と与党の間で最後の調整が行われると聞いております。
  93. 山本保

    山本保君 大体そのぐらいしか今のところでは言えないかと思いますが、ちょっとだけ確認したいと思います。  今のお話ですと、税収の不足分でありますとか財源補てんというようなことと、それから都市再生などという例を例えば挙げて公共事業というようなことをおっしゃいましたが、さっきお聞きしましたように、雇用対策といいますか、雇用支援についても何かそういう項目などを作っていただくということで我々も要求しておるわけですが、この辺についてはいかがでございますか。
  94. 小林興起

    ○副大臣(小林興起君) セーフティーネットという中に、非常に今苦しんでおります中小企業関係金融支援ということと加えて、今、山本委員が言われました雇用対策というのが正にセーフティーネットの柱を成すものでありまして、そこに従来既に項目としてきちっと予算化されている、そういう雇用対策の延長線上でその枠を拡大するのか、あるいは何か更に新たな項目を付け加えたらいいのかということについて最後の調整がなされているわけでありまして、御党の幹部も、与党の一つの支える柱として、今その与党間の調整の中に御意見が盛り込まれるだろうというふうに思われます。
  95. 山本保

    山本保君 どうもありがとうございます。  それでは、法案に関連しましてお聞きしようと思いますが、私は、銀行等株式保有制限、この法律についてのみお伺いいたします。  なおといいますか、前回ですか、前々回のこの委員会でもNPOについては私からも大臣にいろいろお話し申し上げました。ただ、このことにつきましては、今、与党の方でも当然来るべき税制改正に向けて内容を詰めている最中でありますので、これが出そろったときに私は審議すべきかなと思いますので、今日は質問はいたしません。  それで、最初にこれも、これは金融庁の方に、伊藤副大臣にお伺いいたしますが、ちょっと意地悪な質問かもしれませんけれども、この法案は前国会からの継続でありまして、そのときには柳澤大臣でございます。当然、柳澤大臣といろいろ調整をした上で議員立法になって出てきたというふうに聞いているわけですけれども、大臣が替わられまして竹中大臣になられて、竹中大臣、今日は衆議院の具合で出てこられないということなので副大臣にお聞きしますけれども、大臣が替わりまして、この株式取得機構について何か変化があったんじゃないか。当然、変化といいますか、そのニュアンスを変えるために内閣改造があったんじゃないかと思っておるんですけれども、その中で、この法案については同じように今出されてきておりますけれども、そこに何か若干の変化というようなものはあるのかないのか、いや、そうじゃなくて引き続いて一貫した政策なのだと、こういうふうにお考えでしょうか。
  96. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) この株式取得機構につきましては私どもは一貫した考え方を持っておりまして、これは我が国の場合には、銀行がある意味では多額な株式保有しております。このことが、株価が変動することによって銀行財務面の健全性影響を与えやすいということがございます。  そういうことから、昨年の秋の臨時国会において銀行等株式保有制限し適正な規模に縮減していくということとされたわけであります。これに伴い、銀行等がその保有株式処分していくに当たり株式市場に不測の混乱を起こさないように、銀行株式処分を円滑に進めていくために株式取得機構設立されたと承知をいたしております。  このようなセーフティーネットとしての機構の存在があることによって、銀行株式保有制限が円滑に達成されることになり、銀行業務の健全な運営が確保されることにつながるのではないかと考えております。
  97. 山本保

    山本保君 それについてもう一つ踏み込んでお聞きします。  といいますのは、十月三十日に発表になりました金融再生プログラムですか、この中に「株式の価格変動リスクへの対処」という項目がありますですね。ここには「金融機関経営の大きな不安定要因となっており、その存在は企業再生プロセスに不測の影響を与えかねない」と、今おっしゃったとおりのことが書いてございまして、「ことに鑑み、日本銀行による金融機関保有株式の買い取りの円滑な推進を期待する。」と、こういうふうに書かれております。  ここだけ読みますと、何か今日も午前中に議論がありましたけれども、日銀の買取りについては期待するとこうあるわけでございますが、今出されておりますこの法案、そしてこの買取り機構については全く言及がないわけですけれども、これはどういうような理由なんでございましょうか。
  98. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 今、先生御指摘のとおり、金融再生プログラムにおいて明示をさせていただいているわけでありますが、株式市場が低迷をしてその中で株式処分していくという現状において、銀行は経営における株価の変動リスクを減じるために保有株式を縮減していくことが要請されており、政府としてもこのためのセーフティーネットとしての機能株式取得機構に期待をいたしているところでございます。  一方、日銀による株式買取りは、銀行の株価変動のリスクを早期に軽減させることにより金融機関間の資金決済の円滑を確保し、もって信用秩序の維持に資することを目的として日銀が他業としての認可を受けて行うものでございます。金融機関株式保有リスクの軽減を通じて我が国金融システムの安定、そして強化に資するという意味では、日銀株式買取り機構機能を補完するものであり、両者の株式買取りが相まって金融システムの安定が図られていくべきものだと考えております。
  99. 山本保

    山本保君 午前中にも、相補うと、補完でするということであり、その額とか対象株、そして拠出金ですか、その拠出率ですか、拠出金の率とかいう話がございました。相まってであれば、この再生プログラムにもきちんと書いていただいた方がよかったんじゃないかなと私は思っているのでお聞きしているんですけれども、その辺はどうお考えでしょうか。
  100. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 繰り返しの答弁になりますけれども、私どもはやはり相まってということの意味合いが非常に大きいというふうに思っておりますので、そういう認識を持っているということでございます。
  101. 山本保

    山本保君 政府が独自でといいますか、自分で行う買取り機構の方の仕事ですから、改めて書くまでもなくということかなという気もいたします。日銀が新たにこういうことをし出したということについてエールを送ったのかなというふうに理解しますが、それでよろしいでしょうかね。それでは、そのように理解して、次へ進みましょう。  相沢先生、何かそれについて相沢議員から今一言いただけるようですから、先生、一言いただけますか。
  102. 相沢英之

    衆議院議員相沢英之君) ちょっと私も御指摘になった文章をよく記憶していなかったんですが、恐らく、政府のやることはもう前から決まっておりましたし、日銀がそれこそ、清水の舞台じゃない、東京タワーから飛び降りるつもりでという表現もあったように思いますが、思い切ったことをやることにしたというので、特にそのことについての名称があったというふうに思っております。
  103. 山本保

    山本保君 どうもありがとうございます。  それでは、次に、またこれも原理論的なところをちょっとお聞きしたいと思います。  これも伊藤副大臣にですかね、お願いしますが。  基本的に株の取引というのは市場を通じてやるというのが原則だろうと思っているわけです。こうなりますと、まず株式市場の活性化ということについて、大きな観点から政府はもっと積極的に取り組まなくてはならないと思いますが、今どのような政策を打っておられるというふうに考えておりますか。
  104. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 先生御指摘のとおり、株式市場の活性化というのは大変重要なことでございます。  そういう意味から、政府としましては、十月三十日に公表された改革加速のための総合対応策において、株式市場の活性化を図るための環境整備を図る観点から、証券市場の構造改革の推進、金融・証券市場の改革について取り組むこととされたところでございます。  金融庁といたしましては、具体的な方策として、証券市場への幅広い投資家の参加を促進をし、証券市場の活性化を図るために、既に公表された証券市場の改革促進プログラムについて対応可能なものから迅速かつ着実に実施をしていきたい。そして、証券市場への幅広い国民の参加を実現をするために、簡素で分かりやすい、将来にわたり安定的で投資を優遇する証券税制の実現に向けた要望を行っているところであり、これを実現させるべく関係者に対して強力に働き掛けてまいりたいと考えております。
  105. 山本保

    山本保君 それで、そういうこの間のずっと議論、特に竹中大臣の、御本人から直接聞いたわけじゃありませんが、いろいろ書かれているようなものを見ますと、やはり市場主義ということをきっちりさせて構造改革をという考え方だったのではないかと思っております。  そうしますと、先ほどのお話にもありました約一千五百億ですか、もう既に買い取ったと。こういうものが、もし仮にこれがなくて市場に出回ったとしても、そのこと自体でもし仮に銀行について悪い影響があったとしても、原理からすればこれは当然のことであって、何も国がこういう形で支えなくてもいいのではないかという議論も、議論としては成り立つんじゃないかという気もするわけですけれども、この辺は副大臣はどういうふうにお考えでしょう。
  106. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 私どもは、やはり市場原理を補完をして株式処分の円滑を図るためのセーフティーネットとしてこの取得機構設立されたものだというふうに考えております。  仮に機構保有する株式が一時に市場に出回れば、株価が短期的にファンダメンタルズと乖離して下落する可能性もあり、その結果、金融システムの安定性や経済全般に好ましくない影響を与えるおそれがあるのではないかというふうに思っております。  当庁といたしましては、そのようになることはやはり看過することができない、適当ではないというふうに思っております。
  107. 山本保

    山本保君 理論的には、一時的にもし悪化したとしても、これは当然実態に応じて盛り返してくるものだと思いますが、それすらもやはり見逃せないような大変な危機にあるということなのかなということを、今お聞きしておりまして感じました。  それで、次に一つ気になる記事が最近新聞に載っておりまして、日経の日曜日の、十一月十日の記事ですか、ここには、バーゼル銀行監督委員会がいわゆるBIS規制、国際決済銀行の規制を現行より厳しくする改正案を各国に提示したというふうに報じられております。  こうしますと、自己資本の健全化というものについてもっと厳しい基準が、これは国の中だけではなくて外側から既に出てきているのかなという気がするわけですけれども、この辺、これ本当かどうかもまずございますし、こういうことになりますと、今我が国で十月三十日、いろんな経緯で出たわけですが、とてもそれだけでは収まらないのではないかというようなことでこの記事も書かれているわけです。私も素人ですが、そんな気もするわけですが、この辺についてはいかがでございましょう。
  108. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) バーゼル銀行監督委員会では、平成十八年末から実施予定の新BIS規制について、来年第二・四半期に第三次案の公表、そして来年中に最終案の公表を予定をして、現在作業が進められているところでございます。  新しいBIS規制銀行の持つリスクをより正確に計算することを目指しており、例えば信用力の高い優良先向け貸出しやリスク分散が利く中小企業、個人向け貸出しの自己資本負担を軽減する一方、リスクの相対的に高い資産の自己資本負担を割り増すなど、現行の規制と比べ重くなる要素と軽くなる要素がともにあり、銀行への影響も新しいBIS規制適用時点での個々の銀行状況により区々であると見込まれております。  したがって、新聞報道のように、一律に資本増強を迫る動きととらえることは必ずしも正確ではないと考えております。
  109. 山本保

    山本保君 そうしますと、この新聞に報道されたことは事実として、こういう事態が今起こっていると。そして、今副大臣がおっしゃったとおりでありまして、安全な債権については今までよりは低くする、まあ危険と言ったらちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、そういうものについては手厚く、四・五倍というような数字も挙がっておるようで、五・六倍ですか、あります。  ただ、細かい数字はもう私出しませんけれども、しかし、今銀行の持っている債権で、やはり要注意先とか非常に難しい方が客観的に言って多かったんじゃないかなという気がしておりまして、今副大臣は、これは仮の話ですから個々によって違うので一律には言えないということがありましたが、少なくともこれによって厳しくなる銀行が出てくるだろう。それも、今私たちが進めようとしている銀行の持ち株を買うことによって、これでいわゆる比率が変わらないとか変わるとか何か難しい議論があるようでございますが、そのような非常に何というか、非常に職人的なというか小さなことよりは、もっと大きな形で変化が出てくるのではないかということを心配しているわけなんですけれども、その辺は大丈夫だという今お答えだったんでしょうか。
  110. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 新しいBISの規制は、銀行の持つリスクというものをできる限り正確に計算するということを目指しているわけでありまして、したがって、現行の規制と比べて一律に重くなるとかやっぱり軽くなるとか、そうしたことが言えない、両面あるということであります。  したがって、新聞に報じられているように、このことをもってすぐに資本増強を迫るということではないということを私どもは申し上げさせていただきたいというふうに思っております。
  111. 山本保

    山本保君 分かりました。これについては多分もう少し個別のデータが出てきて検討になると思いますので、今日は以上でじゃ終わらせていただきます。  次に、提案者の方にお聞きいたします。  これも一般的な、国民的なといいますか、本当に余り詳しいことは分からない面から、私も含めまして、何かこういうふうに株を買って、そしてそれがもっともっと下がってしまうとなれば、結果的に国民の税金が使われてしまうのではないか、それも、プラスの方じゃなくて、はっきり言えば非常に先行きの見通しの暗い部分に使われそうだというような気がしてしようがないんですね。そんなふうには決してならないよということについて、どんな仕組みを作られているのかについて簡単に御説明いただけますでしょうか。
  112. 相沢英之

    衆議院議員相沢英之君) その点を我々も大変に気を遣ったところでございます。  そこで、この機構を作るときに、参加銀行について当初拠出金を出してもらったんでありますけれども、それが百億を下らない金額ということでスタートしました。実際に集まった金額が百七億ですね。それから、これもまたちょっと厳しいじゃないかという御批判はありましたが、その売却時に、機構に対して銀行売却をするたびに拠出時の負担金としてその売却額の八%、これを出してもらうことにしました。これは、二回の買入れによりまして千四百九十六億を買ったわけでありますが、それの八%で約百二十億。ですから、当初拠出金の百七億とそれから今の売却拠出金の百二十億を足した二百二十七億が機構拠出金となってくるわけです。引き続いてまた第三次の買入れをいたしますが、それに伴って八%分の拠出金がこれに加わってくるということになっております。  それで大丈夫なのかということにつきましては、これからの株価の推移によるわけでありますが、まあここまで下がってくればそう大きく崩れることもないんじゃないかという気もしますし、それは分かりません。ですけれども、そういうことも考えまして、とにかく個別行に弾力的に処置したらどうかということで、この売却をしたところの銀行については、もしこの機構が利益が上がった場合には、それは分配をするけれども、それは当初並びに売却拠出金の倍額までは返すけれども、それを超えてなお利益が上がった場合には、それは国庫の収入とすると。その代わり、もし売却損が発生した場合には、まず売却拠出金を取り崩す、それで足らなければ当初拠出金を取り崩す。  今の例で申しますと、二百二十七億を取り崩した上に更になおロスが出た場合は、これは国の負担とすると。こういうことでありますから、それは絶対ないというようなことを申し上げるのはいささかどうかと思いますが、そういう面ではかなり安全率を見て設計をしておりますから、そう御心配は要らないんじゃないかというふうに思っています。
  113. 山本保

    山本保君 それと、もう一つお聞きします。  このスキーム、今回の案ができたころとまた違うので、当初からそんな目的だったとは思えないんですが、今になってみますと、銀行株が大変下がっていると。そこで、企業の持っている銀行株を買おうということは、言うならば銀行株の安定といいますか、価格の維持というような、そういうねらいが元々あったのではないかというような気がしないでもないんですけれども、この辺はいかがでございますか。
  114. 相沢英之

    衆議院議員相沢英之君) それは、銀行の持っている事法の株を買うだけでは、持ち合い解消売りのために市価が暴落するということを防ぐことにはならないだろうと。そこで、銀行事法とは持ち合い解消のときには必ず相談してやりますから、そこで事法銀行の株を売るときにもこの機構で買えるようにしたらいいんじゃないかということで今回の修正案が出ているわけであります。  そういうことでありますから、それはその銀行の株価に対しての影響はないということはないんですね、買うんですから。ですけれども、その株価を維持するということが主目的ではないというふうに御了解いただきたいと思います。
  115. 山本保

    山本保君 私の質問は、じゃ以上で終わります。  こういう大変厳しいときですから、何でもありというような言葉もさっきありましたけれども、いっときも早く安定した状況になっていただきたいと思います。  じゃ、以上です。ありがとうございました。
  116. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸です。  議員立法三法の質問に入る前に一言申し上げたいと思うんです。  御承知のとおり、私たち日本共産党、私自身が提案者でございますけれども、本国会に地域金融活性化法を提案しております。一日も早く委員会に付託していただくようお願いしてきたところでありますけれども、残念ながら与党また民主党の方からもそれに同意得られなくて、本日の審議にかけることができなくなっておる。非常に遺憾であります。また、どういう理由でもってつるしを下ろさなかったのかということについてのあれも一切明されなかったわけですから、非常に私は理解に苦しむところです。  ともかく、これまでの参議院の改革協議会等でも議員立法の重要性ということが話し合われてきたわけですけれども、それが一切考慮されない状況になっておるということですし、議員立法の重視というのは何も改革協で話し合われなくても当然のことであります。こういった状況になっているということについては、ある面では私は議会制民主主義の自殺行為に結び付いていくんじゃないかという危惧を持っております。そういうことをまず一言申し上げて、質疑に入らせていただきたいと思います。  金融機関が本来、信用創造機能や資金の仲介機能という社会的に高い公共性を有しておるということは当然のことなんです。地域に資金を供給して、生産、流通、消費にわたって地域経済を活性化させる、そういう社会的責任があるわけなんですね。ところが、今の銀行経営者にはそういった社会的責任を自覚しているとは思えないわけですね。八〇年代を見てみましても、金融スキャンダルが相次ぎました。それに続くバブル経済下では、正にそのバブルをあおった、膨れ上がらせたわけですね。そういった行為があったし、そして現在のこの不況下では、貸し渋り、貸しはがし、これをやっておる、こういった状態にあるわけです。  この銀行経営者に本来の社会的責任を果たそうという自覚とまた能力が欠如していると、こういった状態の中で、現在、政府が不良債権の処理の加速政策を取ろうとしているわけですけれども、こういう状況下でこんなことをやるとどうなるのかということは、前委員会でも取り上げましたし、先般来から私たち日本共産党が取り上げてまいりました大銀行の内部文書ですね、特にUFJの問題、これを私ども明らかにしました。  UFJのマニュアル、それにはどんなことがあったかといいますと、金利引上げに応じなければ取引解消も辞さないと明記されていたわけです。これについて取り上げてきたわけですけれども、ここで金融庁に伺うわけですけれども、これは明らかに中小企業等に対して銀行の優越する地位を利用しての金利の引上げ要求ということだと思うんですけれども、こういったやり方、これは金融庁、即刻改めさせるべきじゃないでしょうかね。
  117. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) お答えいたします。  金利の引上げ交渉などに際しまして、一般論として申し上げますれば、金融機関がどういう金利を提示するか、あるいはどのような条件で契約が成立するかというのは専ら契約上の問題ということでございますので、この一つ一つについて私どもがその適否を申し上げるということは必ずしも適当でない。特に、金融機関が適正な信用スプレッドを得るべく金利の引上げの交渉をしかるべき説明も行いながらするということでありますれば、なおさら慎重であるべきであろうというふうに思います。  ただ、銀行は公共的な性格を持つ免許業者でございますから、その業務運営に当たっては法令をきちんと遵守していただく、これは是非とも必要でございます。例えば、今例に挙がりましたような優越的地位の濫用というようなことがございますれば、これは独占禁止法に違反する行為でございます。そのようなことがあってはなりませんし、また、誠意ある顧客対応といったようなことを含めた健全な業務運営を行っていくということがあるということも言うまでもないことでございます。金融庁といたしましては、法令に基づいて銀行業務の適切性が確保されるように引き続き監督に努めてまいりたいと存じます。
  118. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 一般論で、そういうことがあればとかいう答弁だったんですが、衆議院の議論というのは当然金融庁知っていると思うんです。衆議院で我が党の議員が取り上げました。この問題を出しました。参考人として寺西頭取参加していただきました。そこでUFJの寺西頭取は何と言っているかといいますと、我が党の議員の追及に対して、マニュアルの問題点、これを認めました。そして、見直しを約束したんです。  当の銀行が悪かったと言っているのに、それを金融庁聞きながら、もしそういうことがあったとすればとか、本人がもう改定すると言っているんですよ。全く今の金融庁の態度というのはとんでもない話だと思うんですね。当の銀行が悪いと言っているのに、金融庁銀行がやっていることを悪いと認めない。一体どういう態度ですか、これ。はっきりさせてください。
  119. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) 失礼いたしました。  マニュアルそのものの御質問であるということへちょっと至りませんで、御説明が足りませんでした。  今お話がございましたように、十五日の衆議院の財務金融委員会におきまして、寺西頭取が、独禁法上優越的地位の濫用という点について問題がないと認識はしているけれども、誤解を与える懸念もあると考える、そのようなことがないように担当部でこのマニュアルの改定を進めているといった旨の答弁をなさっておられます。  私どもといたしましても、こうした改定が適切になされた後のものについてこれを参照させていただいて、そこに重大な問題がないかどうかということについてはウオッチしてまいりたいと考えております。
  120. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そういう形できちんとした、ほかの銀行についても検査をしていただきたいと思うんですね。参考人としての答弁ですから、そういう持って回った言い方しているけれども、悪かったということですよ。だから見直すということなんですから、それをほかの銀行でも、私はここの前回委員会でもやりましたから、同じことをやっていますから、きちんと検査をしていただきたいというふうに思います。  そこで、中小企業家同友会が九月にアンケート調査をやられました。それによりますと、過去一年間で金融機関から金利引上げ要請があった、こういうふうに答えた企業が関東地域で四一・三%、四割以上なんですね。金利引上げを迫られた企業、そのうち実に六割、これが納得できないまま受け入れざるを得なかった。これはもう弱い立場ですから、受け入れざるを得なかった。そのうち二六・六%の企業が、銀行から一方的通告による引上げだったと、こういうふうに答えているんですね。大変な状況です。  こんなことは絶対許されないと思うんですが、結局このことが、この間不良債権処理の加速のために金融庁が進めてきた、金融機関に対するリスクに見合ったリターンの確保とかあるいは収益性向上、これを押し付けてきた結果だというふうに私は思うんです。こういった金融行政はもう改めにゃいかぬ、貸し渋り、貸しはがし、これを禁止することこそが中小企業にとっても、日本経済にとっても緊急に重要な課題だというふうに私は考えております。  こういった立場で、先ほど申し上げました私どもの地域金融活性化法、これを提案させていただいたんですね。私たちの金融活性化法案というのは、これはこれから質問する民主党の円滑化法と理念上かなり似たところがあるんですが、若干申し上げますと、私たちはこの法案地域金融にかかわる金融機関の本来の役割を定めて、それを責任を持って社会的責任を果たさなけりゃいかぬということをまずはっきりさせた上で、国に対しても、中小業者とか地域経済を活性化させる責任、これを国が持っているんだということもまた明らかにして、そして特に地域金融、信用金庫、信用組合、これを重視しています。そして都道府県に、いわゆる金融庁から都道府県に監督・検査権限を移管するということを中心にして、地域金融活性化委員会というものを設けて、特に地域経済への金融機関の貢献度、こういったものを評価して地域経済活性化にひとつ役立たせていこう、こういう仕組みのものなんですけれども、そこで、私、金融庁並びに民主党提案者に伺っていきたいというふうに思うんです。  まず、金融庁にお伺いします。  まず金融機関を検査する際、中小企業ですね、中小企業への貸し渋り、貸しはがし、この実態を検査するマニュアルというのが、マニュアルを金融庁はお持ちでしょうか。特に、その地域からの預金残高、地域からの。それから貸出金の残高の比率、預貸率、こういったものをその金融機関地域にどの程度貢献しているかという、そういった意味での地域貢献の度合い。こういったことから金融機関評価する物差しといいますか、そういったものは金融庁はお持ちでしょうか。
  121. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) 申し訳ございません。検査の話でちょっと所管外でございますけれども、検査マニュアルそのものには、今おっしゃったような指標によるその管理をチェックをするという項目は私の記憶ではなかったと思います。  ただ、貸し渋りという一般的なお話ですと、一般的なといいますか、そういう側面からのお話ですと、これは健全な貸付先に対する円滑な資金供給を不当に、何というか、そういった資金供給が円滑に行われないようなそういった行為をしていないかどうか、この点をチェックをするという項目はございます。
  122. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 やっぱりきちんとした指標という点では、結局は健全性とか自己資本比率といったことで見ていこうということになっています。その地域への貢献度という点ではないんですよね。  そこで、櫻井委員にお伺いしたいんですけれども、中小企業をともかく地域でもう支えてきておる信用金庫、信用組合、これがもう次々と昨年からつぶされてきました。大銀行は一方で、さっき言いましたように、中小企業に金利の引上げを迫ってくるといったこういった状態、貸し渋り、貸しはがしですね、それを起こしていると。今、中小企業を、地域経済への貢献といいますか、そういった物差しで金融機関評価していくということは本当に大事になっていると思うんです。これは民主党と共産党案の理念で共通している点ではないかなと思うんですけれども、その点について御意見をお伺いします。
  123. 櫻井充

    櫻井充君 今、池田先生御指摘のとおり、この点については我が党の案もそれから共産党の案の御趣旨も全く同じものだと、そういうふうに理解しております。午前中から御答弁申し上げさせていただいておりますけれども、これまでの健全性だけを銀行の指標にするのではなくて、やはり公共性ということを担保してくるような指標というものが必要なんだと思っています。  ある方から先ほどちょっと言われたんですが、病院も同じような、私は医者なのでちょっと例を出させていただきたいんですが、その病院を測る指標、今、病院の格付をやろうという話も出てきているわけです。そのときに、病院の経営がいいからここはいい病院である、病院の経営が悪いからここは悪い病院だという、そういう話にはならないはずなんですね。そうすると、例えば患者さんに対してきちんと話を聞いて、そしてその上できちんと説明をしているかとか、看護婦さんの対応は一体どうなってきているのかとか、それから往診はちゃんとやっていますかとか、そういった診療内容について評価されるべきでありまして、経営状況に関しての評価がイコールその病院の評価になるものではないんだろうと思うんですね。  その意味で、繰り返させていただきますけれども、銀行も私は正しく公共性という立場で言えば病院と同じようなものなんだろうと思っています。ですから、銀行も健全度だけを測って、健全度が高いからこれはいい銀行で、そして地域に全く貢献していないような、貸し渋り、貸しはがしを行って自己資本比率だけを維持していこうというものがいいという評価を下してくるのはおかしいと思っております。
  124. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 ありがとうございました。  そこで、引き続き伺いますが、苦情処理等の問題についてちょっと伺いたいと思うんですね。まず、金融庁に伺いたいんです。  前回委員会でも私ここで問題にしたんですけれども、竹中大臣にお伺いしました。金融再生プログラムでホットラインを設けるということですね。もう既にホットライン設けられております。しかし、ホットラインなるものはといったら申し訳ないんですけれども、このホットラインなるものはファクスとメールだけで受け付けて返事は一切しないと。後の政策に役立たせていただきますと、こういうものなんです。個別処理をしないということになっておる。それじゃ駄目じゃないかと。やっぱり貸し渋り、貸しはがしで困っているということで通報してきた取引先、そういったところについての個別処理というものについてもやらないといけないんじゃないかということを申し上げましたけれども、その後何らかの検討はしておられますか。
  125. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) 貸し渋り・貸しはがしホットラインにはかなりたくさんの、現状ではたしか二百件近くのお話が寄せられております。  私どもの考え方は、民間におきます個々の融資契約というのは金融機関の自主的な経営判断によって借入側との間で契約が結ばれるものでございますので、その一つ一つについてその適否を官庁がこれを断じて指導するということは極めて慎重であるべきであると考えております。  ただし、そこに重大な問題がうかがわれるというような、そういったものがございますれば、これは放置をしていくわけにはいきませんから、これは金融再生プログラムにも書いてございますように、そうした重大な問題があるおそれがあるというようなことがうかがわれますれば報告徴求を行う、あるいは報告徴求を行う前にも事情を金融機関から聴取をするというようなことは必要であると考えておりまして、そうしたケースにはそうした対応を取らせていただきたいと考えております。  また、当然のことですが、報告徴求などをいたしましてある程度当方としての認識もまとまりますれば、これを検査という形で入念にチェックをいたしまして、そこに問題が認められれば行政処分に至るというようなことも当然考えておるわけでございます。
  126. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 先ほど紹介した私どもの地域金融活性化法では、都道府県に置かれる地域金融活性化委員会、そこの中で苦情処理等もやっていこうという仕組みを作っているんですけれども、櫻井委員に伺うんですけれども、先ほど紹介した中小企業家同友会の日本経済危機打開のための緊急政策提言というのがあるんですが、緊急政策提言の中でも、事業者と金融機関の融資上の取引トラブルですね、これに調停、あっせんする機関を設置することというのを、これ求めておられますね。これ大事じゃないかと思うんですけれども、この面での努力は必要なんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょう。
  127. 櫻井充

    櫻井充君 おっしゃるとおりで、そういう機関が必要だろうと思っています。  それで、我々もこの地域金融円滑化評価委員会の中に苦情処理機関機能を盛り込もうとしたんですが、その際、法制局から言われましたのは、要するに民間と民間とのやり取りであったとすると、お互いにプロとプロなので、それに対しての苦情処理を行っていくのはちょっと業務としてはおかしいだろうと、そういうお話でございました。  例えば、一般消費者が買い物をする、例えば金融商品でもいいわけですけれども、そういう場合であればプロと言わばアマチュアになりますからそこでの苦情処理というものはあってもいいんだそうですけれども、プロ対プロの間の調停というものを行政側がということに関してはおかしいんではないかと、そういう意見をいただいています。  ただ、一方で、昨年の七月に公正取引委員会の方が金融機関と企業との不公正な取引慣行の実態についてという調査を行っているんですね。これ午前中お話しさせていただきましたけれども、そこの中で、要請を断りにくいという人たちが四割以上もいまして、実際の数字よりはるかに低くなっていると思っていますけれども、こういう実態が明らかになっているにもかかわらず、公正取引委員会の方にこの点について何らかの是正措置を取ったんですかと言うと、これはあくまで任意に取ったアンケートなのでその先は何もやっていませんと。ですから、金融庁の方にこういう問題がありますよということもお話ししていないようなので、アンケートを取っても何ら意味を成してきていないという実態があります。  ですから、ある意味、公正取引委員会にきちんとした仕事をやらせていくような、そういうシステムを作っていくべきなのか、若しくは、公正取引委員会が実際に動かないということになれば新たなるまた組織を作ることがいいのか、これから検討させていただきたい、そう思っております。
  128. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 金融機関の場合は、一般の事業者に比べてやはり特殊、高度な公共性があるわけですから、私は、そういった意味では、こういった法律の中でそういったものを組み込んでいくのがいいんじゃないかなというふうに思っております。  時間がありませんので、続いて銀行等株式保有問題について提案者に伺いたいと思うんです。  この現行法、これ成立したのが昨年十一月なんです。そのときの論議では、公的資金で銀行保有株を買い取る理由として政府が挙げていたのは、先ほどからもいろいろありました信用秩序の維持と、こういうことでした。銀行の持つ公共性ということにかんがみてのそれだと思うんですね。本委員会での論議でも、当時の柳澤大臣は、銀行という企業の特殊性、特殊な公共性というところにその理由があるということでこれ説明しておられたわけですね。この法案は、金融システムを構成する存在ではない事業法人、その保有する株式を公的資金を使って買い取ってやろうと、こういうことなんですね。  こうなってきますと、政府・与党が一年前に強引にこれ進めて、私どもはこれに反対したわけですけれども、この機構設立したわけです。その設立した趣旨は今申し上げたことなんですけれども、その趣旨から見ても、これどこから見ても正当性というのはないんじゃないかというふうに私は思います。そういう点で、こういったものについて私たちは反対なわけですけれども。  しかし、法案が提出されて半年ぐらいの間に、この間には大きな変化がありました。午前中からの審議の中でも、日銀の株の買取りということが論議されてきました。正にそういう変化があったわけですけれども、そういう状況にあるところで、今この出された法案が一体いかなる意味があるんだろうかなというふうに私も思います。  まあ日銀保有株を買うなんというのはとんでもないことで、私たちはこれにも反対なんですけれども、それにしても、この日銀の買取りとそれから取得機構による買取りということが出てきた今の段階で見ますと、明らかに売る側にとっては、株を売る側にとっては日銀に売った方が得なんですよ。先ほどの相沢議員からの説明にもありましたように、銀行保有株を売るときには少なくとも八%の拠出金が必要なんですね。日銀に売るときはそんなもの要らない。だから、明らかに日銀に売った方が得なわけです。こういった状況にありますと、買取機構役割というのはもう私は先が見えていると思います。  そうしますと、与党、提案者の立場から見ましても、今更この改正法案はもう必要ないんじゃないかと。これ前国会からの継続ですよね。これだけ情勢が変わったんだから、これはもうやめたというふうになさった方がいいんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  129. 相沢英之

    衆議院議員相沢英之君) これは、そういうお考えもあるいはあるかもしれませんが、この機構による株の買取りとそれから日銀の株の買取りにつきましては、午前中にも他の委員質問に対してお答えがありましたように、その対象も違いますし、いろんな点におきまして差があるということが一つであります。  こちらの機構による株の買取りについては、特に御案内のように、銀行の持っている事法の株を買うだけじゃなくて、持ち合い解消促進するという意味も含めまして、事法の持っている銀行の株も買えるように今回改正をしたわけなんですね。でありまして、その必要性は、この半年間の経緯というもの、推移を見ましても、私は別に必要性は変わっていないんじゃないかなというふうに思っているのであります。  ですから、日銀が今回株の買取りに足を踏み出したということは、やっぱり、何といいますか、非常に砕けた意味でいいますと、ほっておけないと、市場の今の情勢は。特に、金融機関の持っている株につきましてほっておけないと。ですから、もうこういう機構の買取りに加えて、そういう補完的な意味も持ちまして日銀が買い出動に出たということについては、私は、それだからといって、この機構役割がそのためになくなったというふうには思っていませんし、ましてや今度事法の持っている銀行株を買うようにしたんでありますから、そういう意味におきましては意義あることだというふうに思っています。
  130. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 結局、公的資金で株を買ってやろうということなんですが、銀行の株、どんどんどんどん安くなっているんですよね。今日の前場の引け値を見ても、大手銀行株、みずほホールディングス、UFJ、三菱東京、三井住友、りそな、りそなホールディングスですね、全部新安値を更新している、こういう状況です。  結局、何だかんだ言っても税金で銀行の株を買い支えているという、結果的にそうなっていく、こういったことは絶対やるべきじゃないと私は申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  131. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。  池田議員がNPO法案発議者でありますので、NPO法の方は私の方から質問をさせていただきます。  今日も議論ありましたけれども、要するに何が問題になっているかといいますと、私は、政府、特に財務省のNPO活動促進に対する無理解といいますか、消極性ということがいろんなことのネックになっているというふうに思います。特に欧米の政府に比べたら、私はもう恥ずかしいくらいの後進性だということを最初指摘したいと思いますし、そういう点、ですから、昨年せっかく認定NPO法人制度できましたけれども、財務省はやっと重い腰を上げて作ったんですが、中身は非常にアリバイ的だと。取りあえず作ってみただけと。ですから、認定要件も、午前中から指摘ありましたとおり、大変厳しくなり過ぎて、実際には使えない代物になっているということです。  昨年三月二十七日、この当委員会で我が党の池田議員が当時の宮澤大臣に、なぜこれほど厳しい要件にしたのか、するのかということを聞きましたら、要するに税金を免除することだから用心深くしているんだということを言われて、要するに税金をけちったというか、せこい判断だったというふうに思うんです。  ところが、一年たってきましたけれども、認定されたのは何とたった九件、三千六百七十九法人のうちのたった九件と。これは午前中、小林副大臣が自分で九件ということを言いながら自ら噴き出しておられましたけれども、本当にひどい、お笑い、笑い話と言えると思います。  ですから、さすがに財務省も少し恥ずかしくなったのか、これから検討、見直しをするという方向ですけれども、私は、どういうメニューが、幾つかメニュー挙がっていますけれども、取り上げられて、結果的にどうなるのかありますが、今の財務省の姿勢でいきますと、余り大幅な、本当に現場で頑張っておられるNPOの方々の気持ちにこたえた大幅な見直しになるとはどうも思えません。  そういう点で、ちょうどこの時期にこの参議院で野党のNPO法案審議されるというのは非常に意義が高い、意義深いことだというふうに思いますし、是非与党の皆さんも、この世界の流れといいますか、時代の流れをよく見ていただいて、私は、いずれこのNPO関係税制というのは野党が提案している方向改正されていく、収れんしていくというふうに思いますので、もう先を見越して野党案に是非賛成をしてもらいたいということをまず申し上げて、質問に入りたいというふうに思います。  現状、現行制度の問題点でありますけれども、現場で活動されているNPOの方々の声も含めて、改めてここで明らかにしておく必要があると思います。昨日も集会が開かれました。  時間の関係で何点かに絞ってお伺いしたいと思いますが、まず、認定要件の問題点になっている、最大の問題点になっておりますが、NPOの総収入のうちの寄附金が三割以上でなければいけないと。これについて、今NPOの方々の要望、あるいはそのNPOの活動の実態との関係でどういうふうにこれがネックになっているか、さらに野党案ではこれをどういうふうにしようとしているか、まずこの点についてお伺いしたいと思います。
  132. 吉川春子

    委員以外の議員(吉川春子君) お答えしたいと思います。  今もお話がありましたように、政府のNPO優遇税制ができて一年たったんですけれども、八千三百十五法人のNPOが誕生しているのに、優遇税制の適用が認定されたのは国境なき医師団などたった九法人で、〇・一%にしかすぎません。NPO団体の方も再三、この要件が余りにも厳し過ぎるので緩和すべきだということで、昨夜も星陵会館で会場を一杯にしてこの改正を求める決起集会が開かれたわけです。  御指摘の日本版パブリックサポートテスト、つまり総収入の金額に占める寄附金総額が三分の一以上、こういうことなんですけれども、シーズというNPOの団体を総括して中心的な活動をしているところですが、そこのアンケートの結果を見ますと、九六%以上の団体がこれにパスができておりません。そして、要件緩和を求めている団体は、八割の団体が求めています。  政府の制度は、総収入に占める寄附金の割合が三分の一という場合に、分母が総収入で分子が寄附金等で計算しますけれども、四党案では、分子は寄附金、会費、補助金の合計額としております。分母も収入額から本来業務での収入を除いた額として、多くのNPO法人がこの要件をクリアしやすくしています。さらに、最初の認定については五分の一ということで、一層要件を緩和しております。  いずれにいたしましても、アメリカの制度を日本でもまねて導入したわけですけれども、本国のアメリカではほとんどのところがクリアできるのに日本はできないということで、今の政府の制度のようにほとんどのNPOがその条件に当てはまらないというならば、NPOを育てていくことにはならないと、このように考えて四党として対案を出しています。
  133. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  もう一つの問題点として、昨日の集会でも指摘されているのがいわゆる広域性要件ですね。複数の市町村で活動していなければ認定しないという部分ですけれども、私、この九件のNPOが、認定された九件のNPOがどういうところか調べてみましたら、もう全然その地域のNPOが認定されないのは分かるぐらいの結果ですね。九件のうち四件が、市町村をまたぐどころか世界をまたぐような国際協力団体になっています。うち二件は、これも市町村どころか全国をまたぐ、県をまたぐ、このレベルが二件、あともう一つは、市町村レベルというよりも全県規模で活動するところ、そういうところだけが認定されています。  つまり、地域で介護や医療、福祉で頑張っているようなNPOはもう全然その前の段階ではじかれているということが、この九件の中身を見れば分かります。九件の中には福祉関係もありますけれども、本当に地域に密着した、介護だとかなんとかではなくて、例えばテニスウエルネス協会、大変頑張っておられると思いますが、本当に全国規模のそういうテニスを通じた障害者の方々に対するNPOという、こういうところしか今の基準だと認定されないようになっています。  この辺は野党案ではどういうふうになっているか、ちょっとお知らせください。
  134. 吉川春子

    委員以外の議員(吉川春子君) 確かに、政府の優遇税制の認定にある、複数の市町村にまたがって活動するという要件ですと、クリアできないところがたくさんあります。この広域性の要件で、医療や福祉、地域密着型のNPOが排除されてしまう、こういうことになっております。  私たちは、NPO法人としてまず認定されるときに、既に一定の公益性が判断されて法人格が与えられているわけですから、やっぱり政府が国税を優遇するんだから、一つの市町村での活動ではだめだと言っているけれども、これは全く根拠がないと考えています。それでは、納税する人にもそういう要件があるのかというと、そういうことはないわけですね。一つの市町村で営業している業者もたくさんいらっしゃって、国税である所得税などを納めているわけです。  私たち四党案は、複数の市町村にまたがって活動するという、地域密着型のNPOを認定から排除するような要件は設けておりません。障害者や高齢者が会員となってNPO活動を行うのは当然のことであり、かなり多く見られるわけです。認定から共益団体が排除されることはありません。国は、その認定NPOをできるだけ少なくするために、わざとこういうハードルを高くしたとしか考えられません。国際的な舞台、大舞台で活動するNGO、NPOも増えていて、日本もそうなると思いますが、同時にこの地域密着型のNPOを排除するということは、これは今の政府の制度の不当な要件であると考えて、四党案はそれとは違う立場を取っています。
  135. 大門実紀史

    大門実紀史君 NPOの皆さんの三つ目の強い要望になっていますのは、みなし寄附金控除のことです。これは野党案には入っております。これも現場でのNPOの皆さんの活動の中でも強い要望になっていると思いますので、その辺の具体例もあれば含めてこの趣旨を、野党案に含まれた趣旨を教えてもらいたいと思います。
  136. 吉川春子

    委員以外の議員(吉川春子君) そもそもNPO制度を作るときに、実は文化芸術団体の方々が、当初は税制優遇措置全く入っていなかったので強い反対の意思を表明されたわけなんですね。みなし寄附金制度の導入というのは、特に子供劇場など芸術文化の分野で活動しているNPOにとってどうしても必要な制度です。子供たちにより良い文化を安く、こういう目的で活動していても、入場料に課税されるので活動を続けるための資金繰りがもう大変で四苦八苦されています。  みなし寄附金制度は、子供劇場などNPOの強い要望です。四党案ではこのような要望にこたえまして、NPO法人が、その収益事業に属する資産のうち、収益事業以外の事業のために支出した金額をその収益事業の寄附金とみなし、さらに所得金額の百分の五十まで損益算入できることにしています。  分かりやすく言いますと、子供劇場などのNPO法人については、入場料などの事業収入の中から、例えば子供に本や絵本を無料で貸し出す場合のその購入費、図書館の維持費など、収益事業以外の費用に使用すれば五〇%まで損益算入される、こういうことにしております。
  137. 大門実紀史

    大門実紀史君 時間がなくなってきましたので、吉川議員はNPO活動支援にずっと取り組んでこられましたので、最後に改めて、今の現状を見てNPO活動の重要性、思うところがございましたら、三時九分までの間でお述べいただきたいと思います。
  138. 吉川春子

    委員以外の議員(吉川春子君) 最近、NPOが施行されて四年目を見てみますと、当初は月百件ぐらいのNPO法人の誕生だったんですけれども、最近は三百件というふうに非常に増えています。将来ますますこのNPO法人というのは拡大していくであろうと、そのように予測されていますが、一方その六割が、NPO法人の六割が年間収支規模一千万未満のところで、常駐スタッフのいる団体でも三人以下が四分の三ということで、スタッフの平均給与は百三十四万という過酷な状況です。  こういうことをなくすためにも財政的な基盤が強化されることが求められていますし、特にNPOの発展ということは、日本の民主主義の基盤、平和の基盤を強くすると同時に、私は国民全体の活力を増やすことにもつながるだろうと考えております。  そして、NPOの経済規模は十八兆円、GNP比の三・六%を担うとされておりますし、将来更にアップされることが予想されております。先進諸国のようにNPO法人が健全に発展できるような、そういう支援体制を是非作っていきたい、野党の皆さん、与党の皆さん、力を合わせて作っていきたいというふうに思います。
  139. 平野達男

    ○平野達男君 国会改革連絡会(自由党)の平野達男です。  与党提案法律に関して質問をさせていただきます。  大きく三つの観点から質問をさせていただきたいんですが、まず株式売却に係る強制性という問題であります。  昨年に成立した銀行等株式等保有制限等に関する法律は、もうこれは御承知のようにティア1の、銀行保有する株に対して制限額を設けて、それをティア1の範囲内にしよう、その超えるものについては三年間で売却しなさいということを、これを法律で決めましたから、銀行が好むと好まざるとにかかわらずその株式売却しなければならないという、そういった意味で強制力が働いているかと思います。  片っ方で、その持ち株を銀行売却したときに、その持ち株、相手たる企業法人が銀行株売却しなければならないという、その強制力というのがあるのかどうなのか。つまり、この強制力があるために、つまり銀行が好むと好まざるとにかかわらず売却しなければならない、その結果として市場に混乱をもたらす、だからセーフティーネットですよということで株式取得機構ができたというふうに理解しております。  この売却するという強制力の意味合いというのが非常にキーワードになるんじゃないかと思うんですが、その点に関してまず一点御質問させていただきます。
  140. 相沢英之

    衆議院議員相沢英之君) 御案内のように、正に銀行に関しては、その保有する株をティア1の範囲内に収めるということで、これは商法の改正でやったわけですから、そういう意味におきまして、年限はあるんですけれども、その間に売却せにゃならぬということなんで。ただ、事法に関しては、別にそういう強制的な規定を置く理由もない。  ただ、持ち合い関係に、銀行事法が株の持ち合いをやっているわけでありまして、ありますので、銀行事法の株を売るときに、同時に事法の持っている銀行の株も言うなれば売りやすくするようにということで今回の改正法を考えているわけでありますから、私は、法人の保有する銀行株売却を強制されていなくても、そこはやむを得ないんだというふうに思っていますが。
  141. 平野達男

    ○平野達男君 銀行が持ち株を売却する場合には、市場の動向にかかわらずこれを売却しなければならないというのは、これは法律で三年間と期限を定められていますから、そういう規定だろうと思うんです。繰り返しになりますけれども、その対案として、そのときに市場に混乱をもたらすおそれがあるから、そのセーフティーネットとして今回株式取得機構を作った。  事法は、本当に株を放すときに、それが下がる、あるいは非常に株そのものの価格が下がるというふうに判断した場合には、これは何も売却をしなくても保有するという自由があるはずです。ここにおいて銀行と決定的に違うんじゃないかと思うんですが、この点をちょっと、もう少し明確に説明していただきたいと思うんですが。
  142. 小池百合子

    衆議院議員小池百合子君) お答え申し上げます。  確かに、御指摘のとおり、銀行ですと株式保有制限がございますけれども、事業法人にはそれが課せられていないということもございます。しかしながら、今、日本の、我が国のこの構造そのものを変えていくということでは、相対で持っているからこそ持ち合いというわけでございまして、その一方の事業法人が有している株式を、放出といいましょうか、市場ではなくこの機構に持って売却をしていただくということは、それだけ価値があるわけでございますから、それだけに、事業法人の方に向いた形の今回改正を行わせていただくわけでございます。
  143. 平野達男

    ○平野達男君 それですと、持ち合い株の解消というのは法の目的にありますから、確かに今回の法律目的の中にはその一部が入っていますけれども、この全体の、去年成立した法律スキームに入れるというのはちょっと趣旨が違うんじゃないかなという感じがします。これ、まず第一点目です。  それから二つ目は、二分の一の制限を課していますですね。これは何ででしょうか。
  144. 小池百合子

    衆議院議員小池百合子君) まず一点目の御指摘でございますけれども、前回は閣法で出して、今回議員立法で出させていただいているわけでございますけれども、それは更なる、焦点の方を少しずらす形で、しかしながら持ち合いであるという観点を解消するという目的に沿った形で強化させていただいていると考えております。  また、二分の一とさせていただいた理由でございますけれども、機構事業法人から銀行株を買い取る場合には、これは売却時には拠出金を取らないということにいたしているわけでございますから、これに代わって国民負担に極力つながらないようにするための措置といたしまして、事業法人から買い取る銀行株を、銀行から買い取った事業法人株の買取り価格の二分の一以内に縮減をすると。ですから、どうやって国民に対しての転嫁、負担を減らすことができるかというような、リスクを抑制するということができると、この二分の一としたことによって考えられているわけでございます。  以上です。
  145. 平野達男

    ○平野達男君 次の質問に入る前に、今の御答弁の中で、今回のこの銀行等株式等保有制限等に関する法律案というのは、あくまでも金融機関健全性なんですよね。持ち株の解消というようなこととは本来次元が違うんじゃないかという意味で申し上げました。だから、軸足をずらして強化をしたと言いますけれども、持ち株の解消ということでは、解消ということで別の、本来であれば別の法律を立てるべきだというふうに私は思います。  それから二つ目の、今の御説明ですと、二分の一制限を課すのは、片っ方では八%の拠出金を課しているし、こちらは課していないということで、それとのトレードオフという御説明かと思いました。ところが、この二分の一は、これは法律説明のときに相沢議員からの御説明も受けたんですが、銀行の株と持ち合い株の比率は大体十対四だという御説明を受けています。そうすると、トレードオフも何でもなくて、マクロ的にいけば二分の一の制限というのはその段階で意味がなくなっていると。もちろん個別の段階では多少の凸凹が出てきますが。  そういった意味で、今の御説明、ちょっと当たらないと思うんですが、もう一度御答弁お願いします。
  146. 小池百合子

    衆議院議員小池百合子君) 他の法律を作って対処すべきという議員のお考えは、御指摘は、見解の相違だと思っております。  二番目の点につきましては、これは、各銀行、各事業法人、有している株はもうまちまちでございますので、十対四というのは、それは基本的に全体の形で見たものであって、日本の全体の株式持ち合い保有ということを、ざくっとというか、つかむ際の数字でございます。  しかしながら、先ほどから申し上げておりますように、この二分の一以内に縮減したというのは、その相対ということのみならず、先ほどから申し上げていますように、リスクの抑制ということも十分念頭に考えられた極めて現実的な対応だと考えております。
  147. 平野達男

    ○平野達男君 それではお伺いしますけれども、二分の一に制限することによって、事法放出する株のどれだけが買えなくなりますか。  今の趣旨は、トレードオフとして二分の一を課したと言っているんです。つまり、そうしますと、事法放出する株の幾分かは買わなくしたという説明が成り立たなくちゃ駄目なんです。それがどういった考え方で、どういう計算で、バックで設定したのかという、そういう質問に替えてもよろしいですが。
  148. 小池百合子

    衆議院議員小池百合子君) 私は、トレードオフという言葉、一切使っておりません。
  149. 平野達男

    ○平野達男君 そうですか。
  150. 小池百合子

    衆議院議員小池百合子君) はい。それは、そちら、議員のお考えだと思います。
  151. 相沢英之

    衆議院議員相沢英之君) 私が衆議院でした国会答弁もちょっと引用されましたからちょっと補足いたしますが、それは全体として見ると、銀行の持っている事法の株に対して事法の持っている銀行の株は四割ぐらいだと。ですから、総体として見れば半分以下しかないんだし、それから、さっき小池議員から答弁がありましたように、リスクを少なくするという意味も含めまして半分という程度に抑えたらいいじゃないかと。ちょっと腰だめなんですね、これね、大体が。ですから、それでどの程度超えているかということになると、もう個々にチェックしてみにゃいけませんし、また、事実、そのように売ってくるかどうか分からないものですから、ちょっとその辺は確かじゃありません。
  152. 平野達男

    ○平野達男君 その腰だめというのが、だから先ほどから言っているように、リスクを余り取らないようにしようという意味での二分の一だといいながら、今の相沢議員の御答弁にもありましたけれども、比率は十対四だという意味において腰だめなんですが、リスクを少なくするというような数字になっていないんではないかという基本的な疑問であります。  もう一度、これ。
  153. 相沢英之

    衆議院議員相沢英之君) それは総体から見ますと、例えば今年の三月末の推計でありますが、銀行持ち合い保有する事業法人の株は十五兆六千億、それから事業法人持ち合い保有する銀行株は五兆七千億でありますから、比率にしますと百対三十七。ですから四割以内なんですね。これはそういう状況なんです。ですから、もし同じような比率でもって持ち合っていれば何も制限しなくたっていいということになるんですけれども、そうじゃないんで、ばらばらなんですから、そういう意味において意味があると思います。
  154. 平野達男

    ○平野達男君 ちょっと答弁が非常にお苦しいんじゃないかなと思うんですが、私の考え方とすれば、市場に信用秩序の維持でしたか、ということですから、持ち株をもし解消してそれで市場に悪影響があるんであれば、何も二分の一なんか制限なんか課さなくてもいいという、まずそういうのが根本的にあります。そういうものがまず基底にありましたので、まず、これは二点目はちょっとこういう質問です。  もう一点、次の三点目なんですが、売却拠出金の八%です。これは、銀行事法の株を売却するときは八%うちが納めますと。事法銀行株売却するときはいいです、ただでいいですということだったんですが、どうも公共性というか必要性にかんがみますと、銀行は公共的な機関という性格もありますから、それがティア1の範囲内で銀行の持ち株の制限を達成するときに八%という拠出を掛けておいて、それで事法売却するときにゼロ%でいいというのは、これは逆じゃないかなという感じがするんでありますが、ここはどうでしょうか。
  155. 石井啓一

    衆議院議員石井啓一君) 銀行の場合は株保有制限を掛けているわけでございますので、これは一定期間内に一定の株を売らざるを得ないと、ティア1以上の株はですね。その際にやっぱりセーフティーネットを使う可能性もあるわけでございますから、使う際に売却拠出金をいただくということでありますけれども、片や事業法人の場合は、確かに持ち合い解消ということで、銀行事業法人の株を売れば、事業法人銀行の株を売るというのが通例ではございますけれども、ただ、必ずしも事業法人機構の方に売る義務は課せられていないといいますか、売る必然性はないといいますか、それも、事業法人の方は株保有制限も掛けていないわけでございますから、そこら辺は非常に自由なわけでございまして、これは売却拠出金事業法人から取るということになると実際的にワークしないだろうと、事業法人からの銀行株の買取りということは。そういう現実も踏まえて、今回は事業法人からの売却拠出金は求めないということにしたわけでございます。
  156. 平野達男

    ○平野達男君 売却拠出金意味は、それを買い取ったときのリスクはだれがしょうかという話ですよね。八%を取るというのは、銀行放出事法株を売って八%拠出を取るというのは、変動が起こったときの銀行等保有株式取得機構リスクを少なくするということです。それで銀行法律でもって株を放出しなさいという制限を掛けている。事法は自由だとおっしゃいましたですね。自由なやつを自分の判断でこうやって、何で国が全部リスクしょうんですか、それ。それは全然理屈が合わないですよ、それは。もう一回御答弁してください。
  157. 石井啓一

    衆議院議員石井啓一君) 事業法人から銀行株を買うわけでありますけれども、その変動リスクというのは、銀行から買い取る事業法人の方で売却拠出金をもらいますね。その範囲の中で事業法人からの銀行株リスクもカバーしようということです。トータルでこの機構の解散時の損益を考えるということでございますので、銀行からは買い取る売却拠出金の八%の中で全体的にカバーしていこうと、こういうことであります。
  158. 平野達男

    ○平野達男君 今の答弁は私の質問に全く答えていないです。事法放出する株について事法が全然リスク取っていないじゃないですかと。それを何で国が取るんですかというのをお聞きしているんです。  それで、ちょっと時間がなくなってまいりまして、いずれにせよこれ訳が分からないんですよ。そもそも、銀行が二兆円という去年決めたときに、今度は日銀との話に入りますが、今度日銀が二兆円の枠で買い取ると言いました。二兆円というのは去年のこの法律作ったときの枠の設定のたまたま二兆円と一致しています。これはティア1の範囲の枠の外に出るやつが大体十兆ありますと。年間三兆円ぐらい、三年間で売却するときに八兆ぐらいの、今までの流れでいけば八兆ぐらいは市場でさばけます。その差額の二兆が市場に混乱をもたらすから、これをセーフティーネットとして買いましょうと、こういうことでした、日銀がですね。  ところが、ちょっと日銀に関していえば、我々がこの国会で議論したときに、株を買うときに、その株を買ったときのリスクをだれがしょうかというのを一緒に議論しました。それをやるときに、まず株式保有機構設立するときに百億の拠出を出しなさい、それから八%の売却拠出金を出しなさいと、そうやって銀行側にリスクをしょわせている。銀行側にリスクをしょわせているということは、逆に言えば国側のリスクを少なくしたということですね。そういうことであの法律が成立したにもかかわらず、日銀が全部自分でリスクしょいますと。拠出金も何も全部取らないと言っちゃったんですから。これが政府として許していいのかどうかというのは、これは大塚さんが要するにここは法律論でやるべきだという議論しましたけれども、全く国会の議論を無視している。  それから、ましてや、財務大臣おりませんですけれども、財務大臣はこれは禁じ手ですよ、禁じ手ですよと言っておいて、禁じ手というか、政府はしょわないように拠出金を出させます、八%の拠出金を出させますと、売却時の拠出八%と出資の百億ですね。ということで去年の法律を、財務大臣が出したんじゃなくて金融庁が出したんですが、そういうものを出しておいて、出しておいたにもかかわらず今度は日銀が要するに全部リスクをしょいますと。リスクをしょいますというのは、突き詰めていけば、例えば、日銀の要するに何でしたっけ、名前忘れましたけれども、財務省に出すお金ありましたね。(「国庫納付金」と呼ぶ者あり)ああ、納付金ですね。あれを欠損するということと同じですから、それを全く忘れて、ああこれはいい法律でありますというのは、ちょっと今、財務大臣いませんから、本当は質問したかったんですが、これはここに置いておいて、これまた本末転倒の話なんですよね、私に言わせれば。  そこで、時間がなくなって、日銀さんに御質問したかったんですが、先に相沢議員日銀の株の買取りについて一点だけ御質問します。  これは、こちらの法律では、銀行が株を放出するときは持ち合い株放出するからセーフティーネットが必要だというふうなことでやりましたね。日銀銀行から株を買いますといったときに、じゃその持ち合い株どうなるんですか、これは。それに対するセーフティーネットは必要ないんですか。見解をお伺いします。
  159. 相沢英之

    衆議院議員相沢英之君) 私は日銀じゃないのでちょっと答えにくいんですが、併せて持ち合い解消ということを主目的に置いてやろうとすれば、今おっしゃるように、銀行の持っている事法の株買う、持ち合いになっている事法の持っている銀行株とやればいいんでしょうけれども、ねらいはやはりティア1を超えるところの銀行保有株を何とか買おうということに力点を置いて考えているものですから、日銀としてそれ以上事法の株を買うという議論はあったようですけれども、やめたんだと思うんです。
  160. 平野達男

    ○平野達男君 持ち合い株の解消なんですけれども、この法律目的は、持ち合い株を解消するときに株がどっと出てくるから市場に悪影響を与えるからセーフティーネットという話になっているはずなんです。だから、日銀が二兆円買うときに持ち合い株の解消で株が出てくれば当然市場に悪影響があるはずなんです。これをどのようにお考えますかという御質問なんですが。
  161. 相沢英之

    衆議院議員相沢英之君) それは、事法の持っている銀行の株にしましても、これは市場にも売れるしこっちにも売れるわけでしょう。ですから、そこは日銀銀行株買ったときに、持ち合いの事業株が出る場合に日銀がそれを買わなければ、その辺のところのつじつま合わぬというものじゃないんじゃないかと思っていますが。
  162. 平野達男

    ○平野達男君 よく分かりません、答弁が。  それで、ちょっと時間なくて、済みません、金融庁にも一問通告申し上げたんですが、もうちょっと時間あればもっともっと聞きたいことあるんですが、残念かな、時間がありません。  それで、櫻井委員にこれは是非ともお聞きしなくちゃならないんですが、今回の法律なんですが、確かに、銀行健全性を追求しようと思いますと、最近の状況でやると貸し渋り、貸しはがしみたいなのが起こってくるし、その一方で、ただその一方で、今度は公共性を追求しますとリスクを取れということになりますので、普通、リスクを取る場合には貸出金利を高くするんですが、高くされたら企業お金借りられませんから、これはある程度低く抑えざるを得ないということがありまして。  今回の法律というのは、私は、櫻井委員がおっしゃるように、今の法律というのはあくまでも健全性に走り過ぎちゃって、余りにもそっちに寄り過ぎているという意味において、もう一本柱を立てて、やっぱり公共性というのはあるじゃないかということでこの法律を出すというのは、これは意味が非常にあるというふうに考えています。  そこで、今、私の一点目の質問は、結局、公共性を追求すればリスクが高くなる、つまり銀行健全性が損なわれる可能性が出てくる、これをどのようにして支えていくのか。これは公的資本注入でやるというのが一つの答えなんですが、それではちょっと余りにもストレート過ぎるような感じがするんですが、それ櫻井委員、ちょっとどういうふうに考えられるか、ちょっと。
  163. 櫻井充

    櫻井充君 一つは、急性期と慢性期の治療法は違うんだろうと思うんですね。どういうことかというと、例えば九八年のような金融危機が起こっているような場合には、確かに信用保証、特別信用保証の枠を作って一杯貸し出さなきゃいけないという、そういう状況もあるんだろうと思うんですね。しかし、我々が今、今回これを提案してきているのはあくまで慢性期の処方でして、今の金融庁銀行のあるべき姿が私は間違っていると思っているんですよ。先ほども病院で例えましたけれども、もうかっている病院が決していい病院ではなくて、患者さんの意見を聞いて、患者さんの治療をきちんとやっているのがいい病院であって、そういう評価がなされていないことがおかしいんではないかというふうに話をさせていただいているわけです。  本来、リスクを取って金融機関が貸し出すというのは、僕はこれは金融機関の当たり前の姿なんだと思うんですね。そのリスクを取って今金融機関が本当に貸し出しているかというと、貸し出せていないのが現状じゃないだろうか。そこがまず大きな問題点だと思っています。  それからもう一つ、我々は公共性を確かに求めておりますけれども、何も健全性を無視していいと言っているわけじゃありませんし、それから銀行がそれでつぶれて構わないんだということを申し上げているわけではありません。正しくそこのバランスの問題でして、バランスの問題でして、そのバランスが健全性だけに行き着いていませんかという問題を御提起させていただいております。  それから、平野先生、今、リスクを取って、リスクを取ってというのは、現在の経済状況だから企業がもう貸し出せば破綻するとお考えなんでしょうか。つまり、企業が破綻するから企業に今貸し出すのは難しいと判断されているのか、若しくは実態に合わないような自己資本規制があって金融機関側が貸し出せないのか、若しくは本当にその査定が甘くて自己資本自体が足りないから貸し出せないのか。そこら辺の分析をきちんとしないと、単純にリスク云々ということで議論はできないんじゃないだろうか。そこら辺の整理が必要じゃないかと思いますが。
  164. 平野達男

    ○平野達男君 そこはよく分かります。  ただ、銀行側にしますと、やはりこうやって片方から公開されて、こういうことで貸していないんじゃないか、貸していないんじゃないかというふうに指摘を受ける。その一方でやっぱり銀行は預金者を考えなくちゃいけませんから、そこの部分の両面を見ながら行動するときに、やはり例えば政府保証枠、融資に係る政府保証枠をもっと増やすとか、そういったことをセットで出していかないとこれは何かちょっとうまく機能しない面もあるのかなと、この法律に加えて出すことでより良く動き出すんじゃないかなという思いがありまして、質問をさせていただきました。  時間になりましたから、私の質問をこれで終わらせていただきます。
  165. 相沢英之

    衆議院議員相沢英之君) 私の答弁でちょっと気になりましたから、ちょっと補足させてもらいますが。  それは、日銀が株を買うときに、それは銀行株は外しているんです、わざとね、買わないようにしている。それはどういうことかというと、日銀は考査等を通じて銀行の内容をよく知り得る立場にあるのでインサイダー取引になるおそれがあるという考え方もありまして外しておるんですね。  ですから、ちょっとさっきの御質問意味を、機構の場合にはですよ、機構の場合には銀行の持っている事法の株を買い、事法が持っている銀行の株も買えるように今回し、にかかわらず、日銀の場合には反対に事法の持っている銀行の株を買わないようにしているのはどういうことかという御質問だということとすれば、今のような問題もあるということなんです。
  166. 平野達男

    ○平野達男君 御答弁ありましたので、ちょっと時間過ぎましたから。  私が言いたいのは、日銀金融機関の株を買わないというのは、それは分かります。しかし、この法律の中で、持ち合い株解消ということで銀行が株を出す、事法が株を出す、それが市場に出されるときに市場に悪影響を与えるからそれに対するセーフティーネットを用意しましたと、こういう話でしたね。だから、単純に私は、日銀が今度は株を買うときに、当然持ち合い株の解消というのが出てくるだろうと。その持ち合い株の解消をするときのセーフティーネットというのは日銀の場合には用意されていないんじゃないかという意味で、これはこの法律の全体との中での考え方が統一取れていない。  実はこれ、この後金融庁質問したかったんですね。時間がなくて、今日は。  もう要するに政策そのものがばらばらなんですよ。だから、こういったものをどういうふうな観点でやるかというのをちょっとお聞きしたかったんですが、これはまた、後日また委員会があるようですから。
  167. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 何か答弁させてあげたらいいんじゃないかと私は思うわけでございますけれども。  今日は、議員立法三法の審議ということで、国会のあるべき姿かなというふうに思っていますけれども、共産党さんが出している地域金融円滑化に関する法律案、出ているのであれば同じテーブルに出して議論をすることが民主主義の在り方だというふうに思いますので、是非、与党さんあるいは野党第一党の皆さん方にそういう方向で検討されますように希望を申し上げたいというふうに思います。  私は、特定営利活動促進のための法人税法等の一部を改正する法律案、それから地域金融円滑化に関する法律案につきましては賛成をする立場にございますし、今日は、与党案であります銀行等株式等保有制限に関する法律案の一部改正についてお聞きをしていきたいというふうに思います。質問の内容がかなり重なっておりますけれども、よろしくお願いを申し上げます。  銀行等株式等保有制限等に関する法律は、昨年の秋、臨時国会で成立をして施行されたばかりですが、今回こうして議員立法として提案をされているわけですが、閣法ではなく議員立法にしたのはなぜかということが質問の第一点なんですけれども、先ほど来、委員会での議論を聞いておりますと、事業法人株式売却を実績の二分の一とした根拠が非常に腰だめの数字を出してくるとか、あるいは売却拠出金を不要としたのはなぜかという問い合わせに対して明確に答えられない、リスクを最終的には国民が負うというようなこのことに対して説明ができないというような状況があって、これは閣法では出せない、だから議員立法にせざるを得なかったと私は読むのですけれども、提案者にお聞きをいたします。
  168. 相沢英之

    衆議院議員相沢英之君) ちょっと、そうおっしゃると少し言い過ぎだという気がしていますんですが。  ただ、最初に出したのは、金融庁の確かに閣法でしたですね、現行法はですね。これを実行に際しまして、やはり一つ持ち合いの解消ということもこれあり、事法の持っている銀行株も併せて取得するように変えたらいいじゃないかということは主として与党サイドから出た話なんであります。  そういう意味におきまして、おっしゃるように、それは閣法で直せばいいじゃないかと、こういう議論もあるかと思いますけれども、主としてそういうことで、我々がこの法律をこういうふうに直したらいいだろうかということで言い出したといういきさつもあるものですから、この議員立法にさせていただいたのでございます。
  169. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 産業界から強い要請を受けて議員立法をせざるを得なかったという状況ではないかというふうに思うわけです。  さきのこの本法を作るときにも、柳澤金融担当大臣時代ですけれども、柳澤さん自身は、大臣自身は比較的消極的であられたんですよね、ずっとこの委員会質疑をしてきましたけれども。しかし、今の金融状況を見てやむなくという形で出されてきているという状況にあるわけでございまして、今回更にそこに重ねて銀行株取得をするという、事業法人が持っている、いわゆる株式保有制限が全然掛かっていない事業法人売却をする銀行株についてもこれ手当てをしようというのは極めて一部の産業界に目を向けた手当てではないのかなというふうに思うわけですけれども、持ち合い株の解消ということが今度の法律目的の大きな目的になっているわけですけれども、持ち合い株解消が、今のこの銀行株の買取りを機構にさせなければならないという必然性、その影響が顕著に現れているというようなことが今御説明できるんでしょうか。持ち合い株解消が影響と見られるようなはっきりとした今の状況というのを説明をいただきたいと思います。この法律が必要になっている根拠ですね。
  170. 相沢英之

    衆議院議員相沢英之君) 持ち合い状況については、さっき申し上げましたように、銀行の持っている事法の株が十五兆六千億、それから事法が持っている銀行株が五兆七千億と、こういう状況になっているわけです。  そこで、さっき、持ち合い解消目的として今回の改正を考えたんじゃないかという御質問趣旨だと思います。それはそうじゃないんで、主たる目的は、やはり銀行の持っている事業法人の株をできるだけ減らしていく。減らしていくに際して、銀行事法とは持ち合っていますから、減らすときに話合いをしているわけですね、当然。ですから、銀行の持っている株を買うだけでもって事法の持っている銀行の株をほったらかしにしておくと、話合いがうまく進まぬということもあるわけです。ですから、主たるねらいはやはり銀行の持っている事法の株を、これを円滑に買っていくためには、やはりその持ち合いになっている事法の持つ銀行株を買った方がよろしいだろうと、そういうことで今回の改正を考えたわけであります。
  171. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 衆議院の財政金融委員会質疑の中で、事業法人持ち合い保有しておりますすべての銀行株保有残高の減少額は推計で二兆三千億円で、同年度中の銀行株売買代金の十四兆円のいわゆる一六%ぐらいに相当すると藤原政府参考人が答弁されていますけれども、この数字を見ても順調に市場で処理が進んでいるのではないかというふうに思われるのですが、いかがでしょうか。
  172. 相沢英之

    衆議院議員相沢英之君) それはもちろん、これはどこへ売ってもいいんですから、市場へ売ってもいいんでありますし、また、事実今おっしゃったようにそういう実績というものもありますから、だから、やらぬでもいいじゃないかという議論もあるいはあるかもしれません。  ただし、さっき申し上げましたように、持ち合い状況にある状態において銀行の持っている事法の株をできるだけ減らすためには、事法の持っている銀行も併せてこの機構で買えるようにした方が、よりスムーズに銀行の持っている事法の株の整理が進むんじゃないかと、こういうことでやっているわけであります。
  173. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは、この法律ができ上がったときに、一体どのぐらいの銀行株機構に売られるというふうに推定をしていますか。
  174. 相沢英之

    衆議院議員相沢英之君) それは、事法が持っている銀行株は、機構に売ろうと市場に売ろうと、それは言うならば勝手なわけですね。ただ、実際問題として、持ち合い解消のためには話合いでやっておりますから、事法の持っている銀行株のうちの相当程度のものといいますか、一部は当然買取り機構の方に来るだろうと思うんですが、それがどの程度になるだろうかというのは、ちょっと今から推定することは難しいかもしれません。
  175. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 売られるべき株式というのは期限が切られておって、十三年度末でしたかしらね、そこまでの期限になっていて、大体持っていられる株の数はもう分かっているわけですよね。その中のどのくらいのものが機構が買い取らないと非常に大きな影響があるという推定の中でこの法案が出されてきていると私は思っているものですから、それをお聞きしたんですが、そのことも推定がされておらないという状況でこの法案が出されてきているということを今答弁者からいただきました。  それでは、この法律は明らかに市場管理であり株価の維持政策であり、最終損失は国の責任で補うというやり方は、市場健全性のためには最もやってはいけないというふうに、対策と私は考えていますけれども、提案者はこの考え方についてどうお考えでございましょうか。
  176. 相沢英之

    衆議院議員相沢英之君) 物にはいろいろ見方があると思いますよ。ですから、そういう目でごらんになれば、そういう点もあるかもしれません。ただ、それはあくまでも目的じゃないんですね、株価の維持ということが。  しかしながら、同時に、多量に放出することによって株価が下がるという、市場の価格が下がるということを防ぐという意味があることももちろんなんです。  ですから、そこはどっちにウエートを置いて見るか、私どもは、もちろん銀行の持っている事業法人の株を減らすことを目的にして考えているわけですから、そういうふうにひとつお考え願えませんでしょうか。
  177. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは金融庁にお聞きをいたしますけれども、金融庁は、この議員立法で出された改正案について、絶対に必要なんだというふうにお考えなんでしょうか。必要性について、その必要性について答えてください。
  178. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 今回の改正案は、やはり銀行事業法人との株式持ち合い関係という経済的な実態に着目をして、事業法人が所有する銀行株持ち合い解消に伴い処分する場合の受皿を設けることによって、株式持ち合い関係にある事業法人による銀行株式処分円滑化を図って、そしてひいては銀行等による株式処分も円滑に進めるためのものであるというふうに承知をいたしております。  これによりまして、銀行等株式保有制限がより円滑に達成されることにより、銀行業務の健全な運営が確保されることになるんではないかと考えております。
  179. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 期待をしているんであれば、なぜ自分の方から昨年のあの法案の中に盛り込まなかったんですか。
  180. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 当時は、やはり株式保有制限ということに着目をいたしておりましたので、それで、当時の閣法はそれについての手当ての法律をさせていただいたということだと思います。
  181. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 このように先の見通しがない中で法律が出されて、さらに、大臣が替わったから議員立法で出していただいてその恩恵を受けましょうという感じであれば、非常にこれはもうおかしいですよね。国会の議論の中でもこの問題についても随分と議論をされていたはずですよ、事業法人の持つ株についてどうするのかというようなことも。そのときには全否定だったでしょう、金融庁は。  それなのに、今、今度はこれが必要なんだと。持ち合いというか、保有制限を掛けたからこのことが有効に機能をするというようなことであれば、全く行き当たりばったりの政策が続けられてきて、日本の正に金融政策というのはもう目まぐるしく、変わりはしないですね、追加をされていくだけですけれども、変化をしてしまうということになると思うので、もう少しきちっとした先を見た対応が必要だと思いますけれども、何か御意見ありますか。
  182. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) これは、閣法が提出されたときにもこの改正案は提出をされて、柳澤大臣平成十四年の七月十七日の衆議院の財務金融委員会において答弁をされておりますが、それを読まさせていただきますと、  我々の方の法律というのは、銀行株式保有制限という、そういう措置から論理必然的にいわばそういうことが必要であろうというふうに考えたわけですけれども、同時に、経済の実態的な面、何でそんなに銀行が多額の株式保有してしまったのかという経緯等にあらわれているところの経済的な実態、これに着目して、今回、党の方でいろいろとお考えいただいたことである、このように考えているところでございます。 というふうに御答弁をされておられます。
  183. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 私、今日は本当は竹中金融担当大臣にお聞きをしたかったんですよ。竹中さんだったらば、こういう手法で非常に組織的に、いわゆる官が株式市場そのものに介入をしていくという、こうした在り方に対してどんなふうにお考えになっているのかということを明快に聞きたかったんですけれども、残念ながらお見えいただかない。  質問を取りに来た方に、竹中さんの答弁として今の私の意見に対して大臣のコメントをきちっと副大臣から答えられるようにということで申し上げておいたんですけれども、竹中さんはどうおっしゃっているんでしょうか。
  184. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 委員から事前にそういう御指摘がございましたので、今日のお昼に大臣にお会いをさせていただいて、今私がお話しさせていただいたことを確認させていただいて、大臣もこの方向の思いがあるということで答弁をさせていただいております。
  185. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ほかにも通告をした点、四点ほどあったわけですけれども、ほかの委員の方が聞かれておりますので、重複は避けたいと思いまして、これで終わりにいたします。
  186. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十一分散会