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大塚耕平君 それは、総裁も含めて何も知らないんだという
意味では極めて厳格なルールなようにも一面取れますが、
一つ意見を申し上げて、この件は次の
質問に移らせていただきます。
かつて、大きな経済事件に発展した某商社の手形を
日銀が持ってしまって、これがどうするかというようなことがあったやに記憶をしているんですが、トップまで含めてどの
銘柄を買うかということは一切知らないというのは、一見厳格なルールなようで、信託
銀行とか現場の課長級以上の皆さんには厳重に注意しろよという善管注意義務を課しながら、役員の皆さんは、例えば役員とか経済界、財界のお歴々とお付き合いのある人しか分からないような、あの企業はひょっとしたら事件に発展するかもしれないとか、そういうような
銘柄について、いや、それは
日銀のバランスシートを後で毀損させないためにはそれはやめておいた方がいいんじゃないかとか、そういう判断を経営者としては働かすということもある一面、それが正しいとは言いません、ある一面、運営の仕方としてはあり得るんではないかなと思います。
確かに、総裁以下、担当理事まで含めて一切何も知らない、知っているのは信託
銀行と課長以下の現場だけだという姿は美しいような気もしますけれども、
ガバナンスという観点で、あるいは中央
銀行のバランスシートを先々守るという観点で本当にそれでいいのかということも若干私は疑問があるということを申し上げて、次の
質問に移らせていただきます。
資料の七ページをちょっとごらんいただきたいんですが、先回から今日ここまでの議論で私なりの問題意識を御
理解いただければ幸いなんですけれども、やはりこれは
機構であっても
日銀であっても、
機構が企業と
銀行、両方の株を持つこと、そして
日銀が企業の株を持つこと、これはいろんな
意味で利益相反的な
状況に置かれる
リスクがある。必ずそうなるとは言いませんよ。厳格にいろいろ運営されるということで、それは信頼はしていますけれども、そういう
リスクがある。そういう
リスクをなるべく遮断すること。
それから、この際、何か小泉さんみたいですけれども、政府、
日銀が一体となって大胆かつ柔軟に、この
金融恐慌を乗り切るためには、もう
日銀は
株式を
取得するということを対外的に発表してその決断をしたのでしたら、この際、これはもう与野党の対立の問題ではなくて、この
金融再生ということについてきちっと枠組みを今度の通常国会の頭
辺りまでに、これは
日銀にも議論に参加していただいて、
財務省、
金融庁にも、与党も野党も議論に参加して、例えばこの七ページの絵のようにできないかなと個人的には思っております。
というのは、
相沢先生が御提案されております
機構の方の
銀行株の
取得はこの際やめて、今回成立するかどうか分かりませんけれども、仮に成立したとしてもそれはまた枠組み変えればいい話ですから、
機構は民間企業の株をきちっと
取得する。そして、民間企業にちゃんと業績を上げろと言って議決権行使を基本的
考え方の下で信託
銀行にしてもらう。企業が
銀行の株を売りたくなったら、それは
日銀に売る。
日銀は
銀行株を
取得する。これはフィンランドでも前例がありますし、国民から見たら分かりやすいんですよ。
日銀が
銀行に対して不良債権処理をしろと今言っているわけですから。なかなか前に進まない、しかも信用不安が起き始めている。だったら、
日銀が
銀行株を
取得しますと。(「逆さまだよ」と呼ぶ者あり)いやいや、最後まで是非聞いてください。
銀行株を
取得すると。
そういう形で
日銀と
機構がきちっと持ち分けをして、
日銀は
日銀法上の法
目的を達成するためにも、あるいは
銀行の株を
取得したことに伴って発生する議決権行使という面においても、
銀行の収益力向上と健全化を果たすためにきちっと
金融行政を行うというこのすみ分けも
一つの
考え方だなと。これは個人的な
意見です。
それで、最後に八ページをごらんいただきたいんですが、もちろん私の個人的な見解ですので、最後、残りの五分ほどで議論をさせていただきますが、今回の
日銀による企業の
株式の
取得については、私は
日銀法
改正時の
審議の内容を超えてしまっているんではないかなというふうに思っております。
それから、山口副総裁が講演で述べられていますような、税の使い道を左右するような決定については、
日銀法が想定している
金融政策の枠組み以外の
部分については国会で議論するのが筋であって、法治国家の視点からいっても全く問題がないとは言い切れない
部分がある。さらには、
日銀が言ってみればあらぬ誤解を受けたり論理矛盾の世界に置かれることは、中央
銀行の信認を維持するという
意味においても好ましいことではない。更に申し上げると、
株式取得機構による
銀行株の
取得についても、先ほども申し上げましたように、両方の株を持っちゃうとなかなか難しい問題が生じる可能性がありますので、そういう可能性を排除できればそれにこしたことはない。
以上、様々な点を今更後戻りはできないという前提に立って考えますと、改善案として、
日銀は
銀行株を、
機構は企業の株を
取得していただいて、しかもこの大きな枠組みは何か国会できちっと
立法するなりなんなりして、例えば
日銀の
銀行株取得は法第四十三条認可ではない姿で議決をしていただくということこそ、経済国会と言われて、国民が、この
金融恐慌になりかけている状態を打開するために国会
議員は、永田町は、霞が関は一体どういう案を出してくるかということを凝視している中で我々議会人が取るべき行動ではないかというふうに考えます。
以上、個人的な
意見でございますが、この問題に関しては、最後に
金融庁と、あと塩川
大臣にもお伺いしたいんですけれども、
日銀がこれまでこだわってきた大原則を捨てて信用秩序の維持のために
株式を買うという言わば決死の覚悟をしたのであれば、今申し上げましたように、
日銀は企業株ではなく
銀行株を買って、ただいま申し上げましたような枠組みについてこれから議論することも一案ではないかと思いますが、それについてのお考えを
金融庁と塩川
大臣にお伺いしたいと思います。