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参考人(
鬼追明夫君) 整理回収機構の
鬼追でございます。
では、早速でございますが、私の方からは整理回収機構、RCCの業務の概要につきまして御説明を申し上げまして、十月末に発表されました総合対策あるいは
金融再生プログラムの御議論の御
参考に供したいと、かように存じます。
お手元に「譲受
債権および回収の
状況」と題する書面を始め五枚紙が配付されていようかと思いますが、適宜御参照いただきたいと存じます。
それでは、まず組織から御説明をさせていただきます。
御案内のとおり、平成十一年四月一日に住宅
金融債権管理機構と整理回収
銀行とが合併して
株式会社整理回収機構という組織になりました。現在の役職員数はこの十月一日現在で二千四百十九名でございまして、合併時に比べますと約二百名弱減少いたしております。できる限り組織のスリム化を図りたいというところからそういった結果になったものでございます。このうち、役員数は、監査役三名を含めまして十三名でございます。回収拠点は全国に四十三か所の拠点を配置してございまして、北は北海道旭川から南は沖縄県那覇市に至るまで、全国四十三か所で
債権回収あるいは
企業再生のビジネスに取り組んでいるわけでございます。
資本金は二千百二十億に及んでおりまして、これは預金保険機構一社の
全額出資ということになってございます。
次に、譲受け資産及び回収の
状況について御説明を申し上げたいと思いますが、時間の
関係で、住専勘定及び、私どもではRCB勘定と申しておりまして、破綻
金融機関から資産譲受けをいたしましてその回収をしておりますが、これをRCB勘定と称しております。これは、お手元の
資料をごらんいただきまして、もし御不明の点等ございましたら後で御質問をいただきたいと、かように存じます。
したがいまして、譲受け
債権及び回収の
状況につきましては、最近特に問題になっております
金融再生法五十三条による健全
金融機関からの
不良債権の買取り
状況等について御説明を申し上げたいと思います。
この五十三条勘定と申しますのは、平成十年十月の
金融再生法の制定によりまして、健全
金融機関から
不良債権を買い取ると、こういうことになったものでございます。当初、二年間の時限立法でございましたけれども、平成十三年六月に三年間の延長が行われたことは御承知のとおりでございます。平成十四年九月までの買取り額は、元本ベースで申し上げまして一兆九千九百三十五億円、買取り価格が一千四百三十九億円でありまして、同月時点での回収率はもう既に四〇・九%に達しております。五十三条勘定の買取り対象
債権は、表の脚注の2に記してございますように、「原則として、破綻懸念先、実質破綻先又は破綻先に区分される債務者に対する貸出金」、こういうことになってございます。
したがいまして、平成十一年四月一日からの
金融再生法五十三条の買取りの破綻懸念先の比率が六・一%ということでございまして、したがいまして九三・九%、これは実質破綻及び破綻先
債権を私どもは買い取っていると、こういうことになろうかと思います。
この
金融再生法は、実は平成十四年一月十一日に改正が施行されました。その改正の
ポイントは、これも御高承のとおりでございますが、改めて確認をさせていただきますと、次の四点でございます。
一つは、買取り価格を時価とする価格決定方式の弾力化、あわせて、相対の買取りに加えて入札参加を可能とした、これがまず第一の
ポイントでございます。
第二の
ポイントは、回収期間の短縮化ということでございまして、預金保険機構とのこれまで回収委託で、特にRCB勘定では五年間をめどとされておりましたけれども、あるいは五十三条につきましても五年間ということで預金保険機構との間で回収委託協定を結んでおりましたが、改正法によりまして、「当該資産の買取りから可能な限り三年を目途として回収又は譲渡その他の処分を行うよう努めること。」と、このようにされました。
三番目の改正
ポイントは、処分方法の多様化ということでございまして、回収に加え、
債権譲渡その他の処分も行うこととされました。
四番目は、今大変議論になっております
企業再生という新たな機能の付与あるいは機能の
強化ということでございまして、債務者の
再生の
可能性を早期に見極めて、その
可能性のある債務者については速やかなる
再生に努めることと、このようにされたわけでございます。
こういった改正を踏まえまして、私どもの業務内容が拡充
強化されたわけでございますが、まず一番目に、
金融再生法改正による買取り価格変更の影響について御報告を申し上げたいと思います。
二枚目の表をごらんいただきますと、法改正によりまして買取り価格が適正な、これまでの改正前は適正な価格、つまり二次ロス防止のための適正価格ということになっておりましたものが弾力化をされまして時価となりました。それに対しまして、元本に対する買取り価格が著しく伴いまして高くなってきておりまして、法改正前の元本対買取り価格の比率が三・七%でありましたものが、法改正後は一一・四%と、ほぼ三倍になっております。ただこれは、価格が上がったということと、健全行さんが私どもにお持ち込みいただく、あるいはビッドにお招きいただく
債権の質が、時価で買い取ってもらえるという期待からそれに相応する
債権に変わってきたと、この二つが
原因となっているように考えられます。
また、買取り元本の方は、法改正前の三十三か月間での買取り元本一兆七百六十八億円に比べまして、法改正後の九か月間で、信託を含めますと一兆三千百六十五億円となっておりまして、法改正前の四倍以上のスピードといいましょうか
ペースで買い取ることが現在はできております。
次に、処分方法の多様化を私どもはどのように実践いたしておるかと申しますと、処分方法の多様化としての流動化、証券化につきましては、昨年九月に信託兼営の認可を得ておりまして、この信託にも積極的に取り組んでおりますが、こういったものを活用しながら
不動産の証券化二件、これは売却価格で八百億であります。信託機能を活用した
不良債権の証券化四件、これは五千六百九十七億円の証券化、元本ベースでございますが、いたしております。さらに、
債権の売却は四十件で三千九百七十二億円ということになっておりまして、既に元本ベースで一兆円を超える規模の処分をいたしております。
三番目には、
企業再生に関してでございますが、平成十四年一月十一日の改正
金融再生法の施行に先立ちまして、我が社におきましては昨年十一月一日、御記憶にまだ新しいかと思いますが、改革先行プログラムが十月の下旬に発表されておりましたが、それを受けまして
企業再生本部を発足させました。この本部には四名の役員を担当役員として配置いたしますとともに、
企業再生部を設置いたしまして、当初は五十名体制でスタートしたところでございます。現在ではこれが百三十名体制ということに拡充をいたしております。
そして、これまでの既存
案件及び健全行から買い取っていく
債権、そういった中で
再生の
可能性のある
案件につきましては、この
再生本部に
企業再生検討
委員会なるものを設けまして、我が社の役職員だけではございませんで、外部から、例えば監査法人から、あるいはまた学者の先生方、あるいは弁護士、会計士の人たち等もお招きをいたしまして、
企業再生の可否を検討した上で、そこでの御
意見等を
参考にして
再生に踏み切るべきものは踏み切ると、こういうようなことにいたしてございます。
また、この
委員会の設置に合わせまして、
企業再生検討
委員会の顧問という形で外部の方三名、つまりこれは
経済人の方、学者の方、それに報道人の方三名をお迎えいたしまして、更に外部の御
意見なども十分拝聴するということによって私どもの判断の客観性を持たせたいと、このように考えて、現在その体制で
再生ビジネスに取り組んでおります。
そこで、
企業再生案件の
状況ということでございますが、
企業再生と申しますと大変耳障りがよろしゅうございますけれども、実際に
企業再生ということはどういうことですかということになりますと、人によってまちまちでございます。最終的には恐らく、債務超過
企業であるならば債務超過の状態を脱却して
利益を生み出すような、そういった
企業を目指すということが
再生の
方向であろうかと思いますが、私どもは、民事
再生法でございますとかあるいは会社更生法の目的規定の定め方を
参考にいたしまして、
企業再生というのは、
企業の
再生計画が策定され、その計画について
債権者の全部若しくは多数の賛同を得られて、この計画に沿って動き出すことが主要な要件であろうと考えておりまして、私どものこのお手元に配付しました表の中で、既に取組済みの
案件として八十七件の
再生案件を数えておりますが、何だ、たったそれだけかと言われる方もいらっしゃるのですが、申し上げましたように、私どもが譲り受けております
債権が破綻懸念先以下の
債権であるということ、さらにまた、
企業再生とは何ぞやということについて、私どもは私どもなりの
一つの定義と申しましょうか、こういうものを
企業再生と言うんですと。ただ
債権放棄をしたり、あるいは
債権を売却したり、つまり事業の継続を、債務者の事業継続を認容しているだけでは必ずしも
再生とは言い難いというようなところから、そういう考えでカウントをいたしております。
債務者に事業の継続を認めながら
債権を回収していきますタイプは、こういった
企業再生によって回収するほかに、条件の変更をする、あるいは
債権を一部放棄する、あるいは
債権の売却、他に売却をする、あるいは他の
債権者が申立てをした、例えば民事
再生の申立てでありますとかあるいは会社更生の申立てについて協力をしていくと、こういうような類型があろうかと思います。
私どもの
企業再生としてカウントいたしておりますのは、先ほど申し上げました要件のほかに、私どもが指導的にそういうことを働き掛けた、債務者をそちらの
方向に向けて誘導していったというような件数でカウントをいたしております。
私ども、そういった
企業再生ビジネスに関しましては、ファンドとのタイアップ、あるいはファンドを言うならば形成する、そういったことがどうしても不可欠のことになるであろうと、このように考えております。したがいまして、
企業再生ファンド等との連携
強化、あるいは信託機能の活用というものを行いまして、今後とも
企業再生を積極的に進めてまいりたいと思っておりますし、現に
金融機関あるいは外資等とタイアップいたしまして、RCC
企業再編ファンドというニックネームのファンドをもう既に立て上げをいたしました。あるいはまた、
銀行がお作りになっていらっしゃるサービサーとタイアップをいたしましてこのファンドを活用していこうと、こういったことも視野に入れているわけでございます。
もっとも、このファンドを活用して
企業再生ビジネスあるいはサービサービジネスを進めていくということは、
日本では比較的新しい手法といいましょうか、そういったものでございますので、今後とも精力的にそういうことに取り組んでまいりたいと、このように存じております。
以上、私どもの活動につきまして概略御説明を申し上げたところでございますが、
最後に、今度の
デフレ対応策における構想の具体的な内容については定かには承知しておりませんが、書面で見る限り、産業
再生機構の設立が現在準備中でございます。私どもは、今申し上げましたように、私どもの守備範囲は破綻懸念先以下の
債権について回収あるいは
企業再生というビジネスに取り組んでいるわけでございまして、この総合対策を拝見いたしますと、産業
再生機構といいますのは、要管理先
債権について、しかも準メーン行以下の
債権を買い取る、そして
再生ビジネスに取り組むと、こういうふうにお書きになっていらっしゃるわけでございますので、私どもの言うならば役割分担は、一応今後の御議論をいただく場合には明確にしていただいた方がよろしくはないだろうかと、こういったことを考えております。どうぞよろしく
お願いを申し上げたいと存じます。
以上でございます。