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大門実紀史君 具体的におっしゃいませんので、一度お聞きしたことがありますが、韓国はとにかく一気に処理をしてV字型の回復をやったというようなことも含めておっしゃいましたし、この
経済財政白書に書いてあるのはそういうことですね。
ですから、私はそういうことそのものは大変危険だなというふうに思っております、韓国のまねをするのは、今この日本で。御存じのとおり、韓国は九〇年代、GDP成長率が十年間平均で六・二%ですよね、高度成長です。日本は九〇年代平均して一・七か何かですから、全然
経済状況が違うと。そのときに韓国がやったことを、非常にドラスチックな韓国のやり方を日本でまねすると大変なことになるというふうに、まず
経済的には申し上げたいと思います。
さらに、私、このコラムに載ったものですからいろいろちょっと批判したくなるんですが、韓国のこのコラムに載っているのは、やり方を正確に伝えていないと、問題点とか伝えていません。このグラフにあるとおり、一遍思い切ってやればその後景気回復するよと、これだけを強調するためにこのコラムで取り上げられたような、そういうものになっていますので、少し韓国で何がやられたかということを簡潔に申し上げたいと思うんですけれども。
このコラムには書いてないんですが、韓国はIMFが入っているんですね。まず、そこが全然違います。IMFの監督下で処理が進められたと。そんなことをまねするのは大変な事態、大変なことになります。
主要行でいきますと、韓国で、これはカウントの仕方といつの
時点かとあるんですが、結論だけ言いますと、韓国の
主要行としては九つ大きいところはあると言われています。そのうち七行が、これは九八年から二〇〇〇年の間に、
主要行の九行のうち七行が国有化されました。二〇〇〇年三月
時点は、このコラムにも書いてありますけれども、九行でいきますと、三行がまだ国有化のまま、残り六行のうち五行が外資系です。外資系の
銀行ですね。これ御存じのとおり、ゴールドマン・サックス、JPモルガンとかアメリカ系の外資系
銀行が受皿になったわけです。
一つ残っております朝興
銀行は、これは何と日本の新生
銀行が買取りを名のり出ていると、リップルウッドが名のり出ていると。
つまり、もう韓国の場合はまず国有化して、これから更に増えると思いますが、ほとんどが外資系に、受皿になって外資に売却されたということが、そういうことが書かれていないんです、このコラムについて言えば。
もう少し触れておきますと、公的
資金の問題ですよね。韓国は幾ら使ったかと金額だけちょっとばくっと書いてあるんですけれども、相当の金額ですよね。百五十五兆ウォンというと、韓国のGDPの三割ぐらいです。十ウォンが一円ですから、日本のGDPは韓国の十倍ですから、日本でいうと百五十兆ぐらいの
お金を、公的
資金をつぎ込んだと。しかも、
不良債権の売却に相当使っているということですよね。こんな形を日本でやったら、もう幾ら使わなきゃいけないのかと、大変なことになると。
ですから、なかなか今ははっきりおっしゃいませんけれども、以前ほど韓国のやり方やるんだということをおっしゃいませんが、本当にこれやったら、
先ほど言いましたとおり、日本の
経済もクラッシュに落ち込みます。日本の
財政も、こんな公的
資金、これだけ出せるものありませんから、日本の
財政もパンクになります。ですから、どの点取っても私は韓国の例は参考にならないと、これを述べるべきではないというふうに指摘しておきたいというふうに思います。
こんなやり方やってだれが得するのかを
考えてもらいたいんです、日本の場合ですね。
経済が
破綻して、もう国民生活更に大変になって、日本の
銀行までもうがたがたにさせられて、どこが最後に得するんですか、これ、同じやり方日本でやったら。外資しかないんじゃないですか。外資系投資
銀行しかないんじゃないですか。私、そう思います。
その外資、アメリカの投資
銀行でいえば、いかにアメリカ政府に強い圧力を持っているかと。これはなかなか日本では御存じないようですし、私、調べたんですけれども、例えば昨日のワシントン・ポスト読んでいましたら、リンゼーさん、今度補佐官を降りる様子なんですけれども、もうリンゼーさん、どこで仕事を探しているかというと、ウォール街で仕事を探し始めたということが昨日のワシントン・ポストに載っておりました。もう御存じのとおり、ボルカー前FRB議長も、クエール前副大統領ですかね、彼らとか、シードマンさんもそうですけれども、みんな、政府高官経験者あるいは政府高官は、ウォール街に戻るか、ウォール街から来た人というふうな関係ですから、アメリカの投資
銀行の要求というのはアメリカ政府に直接反映するようになっているんですよね。ですから、この話を私は荒唐無稽でも何でもないというふうに
考えているところです。
しかも、私、驚いたんですけれども、調べている中で、ヘンリー・カウフマン博士、御存じだと思いますが、堂々と言っているんですよね。今度は、もう日本の
不良債権の方はやくざが絡んで大変だから、直接
銀行と企業の買取りに乗り出したいと。これは表ではもう堂々と言っているんです。特に向こうの投資
銀行、投資ファンドの関係者たちはこういうことを、全部取り上げませんけれども、堂々と向こうで言っているんです。日本人だけが知らない、そういうことを。知らない
状況で、何かもう国内だけで
不良債権処理した方がいいとか、したら大変だとか、こんな議論をやっていると。
この背景にアメリカのこういう事情があるということを指摘したいと思いますし、今回の加速策が求めるのも、若干妥協で時間的にはストップされたのか立ち往生されているのか知りませんが、スキームですね、メニュー、スキームがそういうことにこたえるようになっているんですね。そういうメニューになっているということなんです。
ですから、今回の加速策、私、冒頭にちょっと異様だと、異質だと申し上げたのは、例えば
柳澤大臣のときは、少なくとも大
銀行の存在は前提にして、それでオフバランスをさせると、こういう
考え、枠組みだったと思いますが、今度は、メニューが出ているんですけれども、スキームが出ているんですが、場合によってはそれ、場合によってはといいますか、それを前提にはしないと、大
銀行の存在を前提にはしないと。ですから、
銀行整理の中でも、もちろん
破綻処理の中で
不良債権というのは処理できるわけですから、何も
銀行がオフバランス化、生きたまましてもらわなくても
破綻させて売却すれば
不良債権処理はできるわけですから、どちらにもできるわけですけれども、今回のスキームというのは
柳澤大臣のときと全然違うという、そこが私は異質だなというふうに思います。つまり、
銀行の意識的な追い込みになっていると。そういうことが今回の目玉になっているんですね、このスキームの。
ですから、大手七行の方々が異例の反対声明を出したと。これはマスコミとかが言うように、私は、単に自分たちの権益を守りたいだけでああいうものを出したんではないと。日本共産党の私が大
銀行の代弁をするのは変ですけれども、彼らは日本の
金融資本としての
危機感を私は表明したんだというふうに見ています。
この辺のことを、
大臣、いかがお
考えですか。