○
大臣政務官(日出英輔君)
外務大臣政務官の日出でございます。
最後でございますが、
我が国外交における情報通信技術につきまして御
説明申し上げたいと思っております。
外務省の
資料の二ページをごらんをいただきたいと思っております。
まず、
ITが持つ意味でありますけれども、この
ITの普及によりまして世界的
規模で大きな社会構造の変化が生じているわけであります。
私どもが外交という
観点から
東アジアにおける
IT貢献策を考えますときに、
ITの普及が
経済効率の上昇を通じて持続可能な
経済成長の実現に寄与し、かつまた
アジア地域における
ITの発展が
我が国経済の
活性化にもつながるという
経済的な側面、そのほかに、ここにございますように、政治的側面あるいは安全保障の側面がございます。すなわち、情報発信伝達の手段として、
政府の情報公開の促進や市民の政治参加を推進し、民主主義の
強化や
透明性の確保、あるいは人権の促進といったような政治面での
改革に貢献をいたします。また、
ITの普及は、情報及び知識の自由な流れを促進し、相互の寛容性、多様性の尊重といった精神を涵養し、もって国際社会の安定性を増進することに寄与すると考えているわけであります。
そこで、二番目に、
我が国外交における
IT分野における
取組でありますが、この
ITは、世界じゅうすべての人々が情報社会の利益に参加することを可能にする手段であります。
ところが、先ほど
総務副
大臣からもお話しのように、実は先進国と途上国の
ITの普及の格差、つまりデジタルデバイドの話がございます。本日は、私は、この
東アジアにおける
IT貢献策につきましては、主にこのデジタルデバイドの解消の
取組についてお話を申し上げたいと思っておる次第でございます。
資料として、三ページをお開きをいただきたいと思います。
我が国は、二〇〇〇年の九州・沖縄サミット、
日本政府が主催しましたこの九州・沖縄サミットにおきまして、主体的に国際的な情報格差問題に対する包括的
協力策というものを取りまとめておりまして、この中で、デジタルデバイドの解消に向けまして、ODAあるいは非ODAの公的資金によりまして五年間で百五十億
ドル程度を目途に
協力を行う、それからその際、四つの分野におきまして重点を置いて
支援を実施していくということを発表いたしました。
その四つが以下にございます。
まず、二国間
協力、四つの分野におきます二国間
協力の問題でございますが、三ページ目から四ページにかけてでございます。
第一番目は、
政策あるいは制度作りへの知的貢献であります。
我が国といたしましては、途上国側の主体性を重視して
支援を進める方針でありますが、単に途上国側の要請をそのまま受け入れるのではなく、よりよい発展のために、対話を通じて適切な計画が策定されるよう、
政策アドバイスを行っております。こうした
観点から、専門家派遣による
政策アドバイス、開発
調査による個別分野の計画策定、セミナー開催による意識
向上と知見の共有等の
支援を実施しております。
それから二番目が、人づくりであります。
ITを有効に活用するためには、
政策立案者やソフト開発者を育成する高等教育、専門家や技術者を育成する専門教育、一般の
IT利用者の幅広い意識と知識の
向上といったような様々な人づくりの
取組が必要となっております。また、資格認定制度の
導入、相互認証など、産業人材の育成とその社会的活用のための制度
整備も重要であります。このような目的を達成するため、専門家派遣や研修員受入れ、第三国研修等の技術
協力、研究・訓練センター設置や教育研修機関への機材供与等の無償
資金協力などの
支援を実施しております。
四ページ目に、三番目でございますが、情報通信基盤の
整備、ネットワーク化の
整備であります。
この分野では、通信技術、メディアといった
インフラ整備や技術の供与だけじゃなくて、これらの維持管理のための
整備主体や資金確保の制度などを効果的に組み合わせる必要があります。また、保健・衛生指導あるいは防災情報などに取り組んでおるわけであります。
四番目が、援助実施に際します
IT利用の促進であります。
これは、
我が国の援助実施に際しまして、遠隔研修、遠隔教育の面で
IT利用の促進を図ることを目的としているわけであります。具体的には、東京、沖縄に設置する
ITコア・センターと
アジアを
中心とした途上国に設置する
ITサテライト・センターを国際回線で結びまして、技術
協力を遠隔講義の形で実施をいたしております。このネットワークは、世銀の開発教育ネットワークと連携を図ることによりまして、世界の広範な
地域に対して
我が国の技術
協力を提供することを目指しておるわけであります。
次は
域内協力であります。
域内協力につきましては、
我が国は、前に申し上げましたような
ITの持つ意味を念頭に置きながら、グローバルな情報社会の構築を目指しまして、先進国あるいは多国間での協議においては、国際的な枠組み作りや制度・
政策面での協調に取り組んでおるわけであります。
具体的には、APECには電気通信情報作業部会、電子商
取引運営グループ、e—APECタスクフォース等の作業グループがありまして、デジタルデバイドの解消、制度及び
インフラ整備、人材育成などについて協議を行っております。このほか、ASEANに対する
協力、
国際機関を通じた
アジア地域への
協力も行っております。
私どもといたしましては、二国間
協力を縦糸にし、そして
域内協力の枠組みを横糸にいたしまして、途上国における情報社会への
移行を促進することにより、
地域の安定と
経済的・社会的発展を進めていく所存であります。
五ページ目をちょっとお開きをいただきたいと思います。
最後のページでありますが、包括的
協力策におきます
協力目標といたしまして、
東アジアにおける
IT関係の
経済協力実績を載せてございます。
先ほど、包括的
協力策におきましては、ODAあるいは非ODAの公的資金によりまして五年間で百五十億
ドル程度を目途に
協力を行うということを表明したことを申し上げました。このペーパーでは、
我が国が
協力策を発表いたしましてから二年間に行った
協力がここにございますが、
政府開発援助以外の公的資金、OOF、これで約十六・五億
ドル、それからODAで約七・一億
ドル、合わせて二十三・六億
ドルということでございます。このうち、
東アジアにおける
協力につきましては、この五ページに書いてございますが、OOF、この(2)でありますけれども、十一・五億
ドル、ODAで四・七億
ドル、合わせて十六・二億
ドルということであります。先ほど申し上げました目標数に比べまして実績が少ないことがございます。
次のような
原因が考えられると思います。
IT分野が、
民間の
イニシアチブ、すなわち
投資や
貿易により発展する分野であり、公的部門の
役割は専ら
民間の積極的な
取組に対して
政策及び人材育成等を補完的に
協力するという
役割を担うべきであるという点。あるいは、
我が国、世界の景気が
回復の動きを示しているというものの勢いは弱く、
我が国経済を取り巻く
環境は厳しさを増しており、
IT分野においても
民間の活動は低調であったこと。あるいは、昨年九月十一月のテロ事件以降、国際社会において
ITに対する関心が相対的に低下しているといったことの事情が挙げられると思います。
こうした
状況の下、
IT分野における公的部門における
協力についても、当初予測に比して低調であったことは率直に認めざるを得ないわけであります。
政府といたしましては、
IT分野における
協力推進に向けまして、積極的に案件の発掘、形成を図るため、これまでも被援助国との間で
政策対話、プロジェクト形成のための
調査団の派遣等を行ってきたところでありまして、今後とも、このような努力を継続し、関心を有する被援助国との間で
協力推進に向けた努力を進めていきたいと考えておる次第でございます。ありがとうございました。